- 1 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2005/12/17(土) 15:08:53 ID:GxaSj02M0]
- 文章で遊べる小説スレです。
SS職人さん、名無しさんの御感想・ネタ振り・リクエスト歓迎! 皆様のボケ、ツッコミ、イッパツネタもщ(゚Д゚щ)カモーン ======================================================================= ※(*´Д`)ハァハァは有りですが、エロは無しでお願いします。 ※sage推奨。 ※己が萌えにかけて、煽り荒らしはスルー。(゚ε゚)キニシナイ!! マターリいきましょう。 ※職人がここに投稿するのは、読んで下さる「あなた」がいるからなんです。 ※職人が励みになる書き込みをお願いします。書き手が居なくなったら成り立ちません。 ※ちなみに、萌ゲージが満タンになったヤシから書き込みがあるATMシステム採用のスレです。 ======================================================================= 前スレ FFの恋する小説スレPart4 game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1101760588/ 記述の資料、関連スレ等は>>2-20にあるといいなと思います。
- 496 名前:DC後 【34】 ◆BLWP4Wh4Oo mailto:sage [2006/04/19(水) 01:31:29 ID:8EV2z4100]
- >>348-354 >>360-362 >>416-420 >>427-432 >>441-442 >>459-461 >>464-470の続きです。
食事が終わると、子ども達はてきぱきと食器を運び、 テーブルクロスをランドリーゲージに入れ、 ティファがそれらを手際良く洗って片付ける。 洗った物をマリンが丁寧に拭いて、デンゼルが食器棚にしまう。 あまりにもシステム化されていて、シェルクが手伝う余地すらない。 「まったく、良く出来た子達だよなぁ。」 「本当に良く手伝うよね。コスモキャニオンに居た時だって…あれ?」 ナナキが不意に言葉を切って、店の入り口の方を見る。 「誰か来た。」 「こんな時間に?」 二人の間に緊張感が走る。 「ヴィンセントではないの?」 心配そうにティファが尋ねる。 「匂いが違う。民間用トラックと…一人降りて来た。」 ドアがノックされる。 子ども達を店の奥に下がらせて、ティファがそっとドアを開ける。 「なんだ…おじさん…」 ティファがホッと胸を撫で下ろす。 やって来たのは常連客の一人だった。 「すまないなね、こんな遅くに。」 「ごめんなさい、お店はまだ…」 「分かってるよ。今日はクラウドに頼まれたんだ。」 「クラウドに…?」 そしてティファは、漸く昼間の会話を思い出した。 常連客は、家具屋だったのだ。
- 497 名前:DC後 【35】 ◆BLWP4Wh4Oo mailto:sage [2006/04/19(水) 01:34:00 ID:8EV2z4100]
- 「配達が遅くなっちまったけど、奴らのせいで注文が立て込んでてね。
クラウドがどうしても今日中にって言うもんで…あ、ここに受け取りのサインを頼むよ。」 ティファは戸惑いつつも、言われた所にサインをする。 「どうしたんだい?奴らにベッドを壊れたのかい?」 「え…えぇ…」 ティファは自分の背後で家族と客人が耳をそばだてているのを感じ、努めて明るい声で、 「家に…友達が避難して来たの!それで…ベッドが足りなくて…」 「あれ?おかしいなぁ?クラウドは“ティファのだ”って言ってたんだが?」 「い…いやだわ、クラウドったらなんでそんな…」 「どれにする?って聞いたら、“店で一番立派な物”って言ってたよ。幸せもんだねぇ、ティファは!」 恥ずかしさがピークに達したティファはなんと返していいのか分からない。 「あんまり立派過ぎると、部屋に入らないだろうから適当なのを選んでおいたよ。」 「おっじっさ〜ん♪」 ティファの背中から上機嫌なユフィが顔を出す。 「ねぇ、クラウドが本当にそう言ったの?」 家具屋の親父は突然顔を出したユフィに驚いたが、 「あぁ、言ったよ。」と、頷く。 ユフィと子ども達は歓声を上げて外に飛び出し、 組み立てる前のベッドの部品を店に運び始める。 「うわぁ〜…真っ白なベッドね。お姫さまみたい。」 白いスチールが優美な曲線を描き、マットはピンクだ。 マリンがうっとりと言う横で、ユフィは腹を抱えて笑っている。 「クラウド、すっごい少女趣味!」 ティファはいたたまれず、俯してしまう。 「残念だけどお嬢さん、それを選んだのはわしだよ。ウチの店で一番立派な物だよ。」 そして、困り果てているティファに、 「男ってのは、何を贈れば女房が喜ぶかなんて実は全然分かってないんだよ。 贈られて迷惑な物でも、喜んあげな、ティファ。」 「迷惑だなんて…そう…そうよね…」 からかわれてとても恥ずかしいけど、やはりうれしい。
- 498 名前:DC後 【36】 ◆BLWP4Wh4Oo mailto:sage [2006/04/19(水) 01:36:14 ID:8EV2z4100]
- 「喜んで頂く事にするわ。遅くにありがとう。」
「組み立てるのは大丈夫かい?」 「ええ。」 帰る家具屋に礼を言ってから、ベッドを広げて大騒ぎする3人を、こら!と叱りつける。 「夜遅くに大声出さないの。ユフィ、それを私の部屋に運んでちょうだい。」 「え〜!?今から組み立てるのぉ?」 「そうでないと、あなたが寝る所がないわよ。」 「なんでぇ?」 「じゃあ、今夜クラウドのベッドで寝る?」 「…いえ…結構です。」 そして、横に居るナナキに小声で、 (それしにてもさぁ…クラウドって相変わらずツメ甘いよね〜) (なんで?) (どぉーせならダブルにすりゃいいのにさ!) 「聞こえてるわよ。」 ユフィがおそるおそる顔を上げると、手を腰に当てたティファが微笑んでいる。 微笑んでいるが、目が笑っていない。 ユフィは慌ててベッドヘッドを抱える。そして、チラリとティファを見ると、 「ねぇ…アタシさぁ…やっぱ古い方のベッドがいいな。」 「どうして?」 「これ…アタシの趣味じゃないし、それに…」 「それに…なぁに?」 「これで寝たらさぁ〜クラウドになんか、呪われそう。」 「ユフィ!」 ユフィはベッドヘッドを抱えたまま、慌てて階段を上ってしまう。 「…もう!」 ティファはやれやれと溜め息を吐き、説明書片手にベッドを組み立てると、 子ども達にシーツや毛布を運ばせた。
- 499 名前:DC後 【37】 ◆BLWP4Wh4Oo mailto:sage [2006/04/19(水) 01:37:08 ID:8EV2z4100]
- 新しいベッドで寝るのはどうしても嫌だとユフィがダダをこねるので、
お姫様ベッドにはシェルクが寝る事になった。 しかし、シェルクにはベッド一つで何故こんな大騒ぎになるのか分からない。 「それに、これは大事な贈り物ではないのですか?」 「おかしいかもしれないけど、クラウドのベッドには誰も寝て欲しくないの。」 そして、ティファは人差し指を唇に当てて、 「私以外にはね。ユフィには内緒よ。」 ティファは照れているが、とても幸せそうに微笑んでいる。 「…よく分かりませんが?」 「その内シェルクにも分かる様になるわ。でも、今日はもう休んでね。」 そして、シェルクの肩に手を置いて、顔を覗き込む。 「夜、具合が悪くなったりしたら、すぐにユフィを起こして。」 シェルクが頷くと、ティファも満足げに頷く。 「じゃあ、明日ね。おやすみなさい。」 実際、とても疲れていたので少しホッとして階段を上った。 ティファの部屋にはベッドが2つ並び、人一人がやっと通れる程のスペースしかない。 僅かな隙間を通って窓際のベッドに行く。 ユフィは古い方のベッドで、すぅすぅと寝息を立てている。 食事前に少し眠っていたたようだが、疲労が濃いようで、 食事中も時々あくびを噛み殺していたり、だるそうに肩を回したりしていた。
- 500 名前:DC後 【38】 ◆BLWP4Wh4Oo mailto:sage [2006/04/19(水) 01:38:09 ID:8EV2z4100]
- 子ども達も眠ったようで、家の中はさっきまでの賑やかさが嘘のように、しんとしている。
(つい昨日まで、星と…私たちの生存をかけた戦いだったのに…) 激しい戦いと、暖かい団欒とを一度に体験したせいだろうか、 「私も…疲れました…」 誰に言うでもなく、そう呟くと、シェルクはベッドに横になった。 地下に連れ去られてから、眠る場所と言えばずっと無骨なパイプベッドに固いマットレスだった。 いや、ベッドで眠れればいい方で、一晩中カプセルの中だったり、 手術室でたくさんの機械に繋がれて何日も過ごしたり… それが今や“お姫さまみたい”なベッドの上だ。 お陽様の匂いのする洗い立てのスーツに柔らかい毛布… それだけでも充分なのだが、やはり気持ちが華やぐ。 ふと動かした視線の先に、例の段ボールがあった。 (明日こそ…ティファに聞こう…) 今度は窓の外を見る。 (彼は…いつ戻るのかし…ら…) 彼が戻ったら、何から話そう?やはり、最後に交わしたあの約束だろうか。 そこからすとん、と意識が途切れ、シェルクに10年ぶりの穏やな眠りが訪れた。
- 501 名前:DC後 【39】 ◆BLWP4Wh4Oo mailto:sage [2006/04/19(水) 01:40:18 ID:8EV2z4100]
- とても長く眠っていた様な気がする。
誰かが呼んでいて、それで目を覚ました。 「シェルク、朝ご飯なくなっちゃうよ!」 マリンとデンゼルが顔を覗き込んでいる。 「シェルクはお寝坊さんね。みんなお腹を空かせて待ってるわよ。」 マリンのおしゃまな言い方にシェルクも釣られて笑う。 いや、笑おうとしたが出来ない。 ありがとう、すぐに起きます…そう言おうとしたが、唇が動かない。 起き上がろうとしても、身体に力が入らない。 「…?どうしたの?」 子ども達の笑顔が曇る。 (そんな顔、もうさせたくないのに…) ちゃんと起きて、心配しないでと言ってあげたい。 なのに、身体の感覚がなくなり、手足がなくなってしまったかのようだ。 舌も痺れてしまって、思う様に動かせない。 「…め…うご…け…ない…」 もつれる舌で、それだけ言うのがやっとだった。 「…ィ…ファを……んで…」 二人は転がる様にして部屋を飛び出すと、大声でティファを呼んだ。 (いつか来ると思ってましたが…こんなに早く来るとは…) 耳はまだ大丈夫なようで、誰かが急いで階段を駆け上がって来る音が聞こえた。 でも、舌はもつれ、顎を動かす事すら出来ない。 これでは話も出来ない。 (…話したい事が…たくさん…あるのに…) つづく。
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