- 196 名前:
その日以来、グレーゴルはフィヨルドに挟まってひっそりと生活することになった。 彼の世話をするのは妹のグレーテで、彼女はグレーゴルの姿を嫌悪しつつ食べ物を差し入れ、またフィヨルドの掃除をした。 グレーゴルの食べ物に対する嗜好はまったく変わってしまっており、いまでは新鮮な食べ物を口にする気にはなれず、腐りかけた野菜やチーズに食欲が湧くのだった。 グレーゴルは日中はフィヨルドから外を眺めて過ごし、眠る時にはフィヨルドの溝に体を入り込ませ、また妹が入ってくるときにも気を使ってフィヨルドに身を隠した。 溝越しに聞こえてきた会話によると、一家にはわずかながらも倹約による貯えがあり、唯一の働き手を失った今でも1、2年は生活していくことができるようだった。 [] - [ここ壊れてます]
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