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LAS小説投下総合スレ19



1 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/10(月) 21:28:28 ID:???]
LASを投下しましょう。甘LAS、シリアスLAS、イタモノLASなどジャンルは問いません。
また、LARSやハーレム物の中で描かれるLASなどもOKですが主軸はLASで。他カプが主軸なら該当スレへ。

エロ分が多ければエロパロ板へ投下で、当板は全年齢対象です 。
原作にどれだけ直球な表現があったからといってもエロ分が多いとスレ削除を食らいます。

あなたがLASと思えば、それはLASなのです。

過去スレ1
01 anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1122558487/
02 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1109570903/
03 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1110008498/
04 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1110645039/
05 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1111194171/
06 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1111941594/
07 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1112530302/
08 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1113068736/
09 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1113238483/
10 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1114138826/


evaFF転載板
ttp://yy10.kakiko.com/yy11307819/
LASスレ投下SS保管庫
ttp://las.nobody.jp/


299 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/20(木) 10:53:48 ID:???]
 サードインパクトから三年後、ゼーレや碇ゲンドウなどの一部を除いた人々は
、貴重な臨死体験を終え帰還し、地球レベルでの復興も驚くべき早さで進んだ。
これには、ネルフの科学技術の開示が起因していた。
こうして、今ではセカンドインパクト直前ほどの状態に戻り、日本もサードイン
パクト時の衝撃による、地軸のずれの解消により、四季を取り戻していた。
 その間にアスカとシンジの和解、ネルフと残ったチルドレン二人との和解、国連
とネルフの和解、などたくさんの和解があり、その上に今の平和が成り立ってい
る。この和解の連鎖は、人の心を覗き合い、他人を思いやるという事を以前より
覚え、少しだけ優しくなった人類の、サードインパクトによる副弐的産物であっ
た。
 そんな、太陽が照り付ける茹だる様に暑い夏のとある日曜日の午後、保護者兼
元上司の葛城ミサト、同居人兼恋人の碇シンジの不在を良い事に、居候の身であ
りながら惣流・アスカ・ラングレーは、クーラーの温度設定を低めにし、自室の
壁にもたれ掛かって音楽をかけながら座ってスイカバーを食べていた。
「ホント、外は暑そうねぇ。シンジ、大丈夫かしら…」
そう、独り、言ちる。
聴いている曲は、年齢に似合わずさだまさしである。
何故こんな古い曲を聴いているのかというと、それは先日、地球復興に甚大な功
績を挙げたことにより、今では国連の特別研究所になっているネルフに、アスカ
とシンジが健康診断を受けに行った際、青葉シゲルに会った時の事だった。


300 名前:恋愛症候群 mailto:sage [2009/08/20(木) 10:54:29 ID:???]
サードインパクトから三年後、ゼーレや碇ゲンドウなどの一部を除いた人々は
、貴重な臨死体験を終え帰還し、地球レベルでの復興も驚くべき早さで進んだ。
これには、ネルフの科学技術の開示が起因していた。
こうして、今ではセカンドインパクト直前ほどの状態に戻り、日本もサードイン
パクト時の衝撃による、地軸のずれの解消により、四季を取り戻していた。
その間にアスカとシンジの和解、ネルフと残ったチルドレン二人との和解、国連
とネルフの和解、などたくさんの和解があり、その上に今の平和が成り立ってい
る。この和解の連鎖は、人の心を覗き合い、他人を思いやるという事を以前より
覚え、少しだけ優しくなった人類の、サードインパクトによる副弐的産物であっ
た。
 そんな、太陽が照り付ける茹だる様に暑い夏のとある日曜日の午後、保護者兼
元上司の葛城ミサト、同居人兼恋人の碇シンジの不在を良い事に、居候の身であ
りながら惣流・アスカ・ラングレーは、クーラーの温度設定を低めにし、自室の
壁にもたれ掛かって音楽をかけながら座ってスイカバーを食べていた。
「ホント、外は暑そうねぇ。シンジ、大丈夫かしら…」
そう、独り、言ちる。聴いている曲は、年齢に似合わずさだまさしである。
何故こんな古い曲を聴いているのかというと、それは先日、地球復興に甚大な功
績を挙げたことにより、今では国連の特別研究所になっているネルフに、アスカ
とシンジが健康診断を受けに行った際、青葉シゲルに会った時の事だった。


301 名前:恋愛症候群 mailto:sage [2009/08/20(木) 10:55:28 ID:???]
 健康診断を終えたシンジが、自動販売機のベンチに座ってアスカを待っている
と、いつになくハイテンションな青葉シゲルがやって来た。
「おぉシンジくんじゃないか!どうしたんだいこんなところで?」
シンジは、何時になくハイテンションなシゲルを訝りながらも答えた。
「えっただ早く健康診断終わったんで、アスカを待ってるだけですけど…」
「そうかいそうかい!」
シゲルはひたすら陽気だった。馴々しく肩を組んで来た。
「ところでシンジくん、いっつも何の曲を聴いてるかしらんが、今の時代はロッ
クだぞ!ロック!このフォースインパクトを引き起こすロックンローラーと言わ
れた所で全く憚らない男!青葉シゲルが、良い曲紹介してやるよ!」
「いやいいですよ、だってシゲルさん影薄いですし、何より名前初めて聞きまし
たよ」
「えっ…」
「あっ…」
そんな気まずい空気を打破するかの様に、シンジの姿を見つけたアスカが駆けて
来た。
「シンジぃ!なにしてんの?」
「あっアスカ!」
シンジは(≧∇≦)ъ ナイス!とばかりに心踊らせた。
「シゲルさんが何か良い曲紹介してくれるって」
復活したシゲルが喋り出す。
「おぉ〜いい所に来たな、アスカ!いっつも何の曲を聴いてるかしらんが、今の
じ」
「へぇ〜存在感薄いからって必死ね」
シゲルは泣いた。シンジが、自分の事を棚に挙げ「ダメだよ気にしてるんだから
」などとアスカを非難していると、そこへ今では総指令の冬月がいつもの困った
顔でやって来た。


302 名前:恋愛症候群 mailto:sage [2009/08/20(木) 10:58:05 ID:???]
「おやおや?なっ青葉くん!何かあったのかね?」
「シンジくんとアスカちゃんがぼく、かげうすいっていじめた!」シゲルは幼児の様な声で喚いた。
「あぁ残念だが、それは否定出来かねるな」
「ぐぅ〜」シゲルはうずくまった。
「ところで何の話をしておったんだ?」
「はい、シゲルさんがロックな良い曲を紹介してやるって」とシンジが答えると、日頃から不満を抱いていたのであろう冬月が激昂した。
「何?ロックだと!?だから今の若者はなっとらんのだ!あんな軽薄な雑音で構成された騒音なぞを聞いておるから」
「ろっくばかにすんな!」
冬月はシゲルの顎を思いっ切り蹴り上げる。
「良い機会だからアスカくん、日本文化の勉強のためにも昭和のアーティストでも聞いてみたらどうかね?」
冬月は何もなかったかの様に、アスカへ薦める。
「えぇ〜あんまり私っぽくありませんよ!」
「良いじゃない。この前アスカ、日本の文化も悪くないわね。とか言ってたじゃ
ないか」
シンジも、あまり音楽を聴いていない様子のアスカが取っ掛かりが何にせよ音楽
に興味を持てば一緒に楽しめるのではないかと思い、それに同調する。
「うっさいわねぇ!それはアンタがアタシに作った肉じゃがが美味しかったから
、日本の食文化も悪くないわねって言ったんじゃない!別に日本の文化を褒めた
わけじゃなくて、その、あ、アンタを褒めたのよ」
「…アスカ」シンジは呟き、照れたアスカを愛しく思い頬を緩めた。
そして、冬月がこの良い雰囲気に飲まれたら負けだと危機感を感じ執り成す。
「まぁとりあえず一度聞いてみるといい。さだまさしという人が私は好きなのだ
が、笑える曲から泣ける曲までたくさんあってな。良い曲が多くある。取り敢え
ず部屋に来なさい。ライブベストを貸してあげよう。本当にサードインパクトの
後、音源が残っていたのも奇跡と言える。」
冬月は喋りながら歩き出し、シンジとアスカも手を繋ぎながら続いた。
その場にはシゲル一人が意識を失い、四肢をだらんとさせたまま仰向けに倒れ、
よだれを垂らして気絶していた。
しかし、持ち前の影の薄さによって誰一人気がつく者はいなかった。


303 名前:恋愛症候群 mailto:sage [2009/08/20(木) 11:01:31 ID:???]
そして今日、アスカは冬月に返す日をあさってに設定したことを思い出し、早く聞かなければと急いで部屋に埋もれていたCDを引っ張り出して、あまり使わ
ないコンポで聞いているのだった。
「ふぅ〜ん、まぁまぁね」
そして開始約15分後、ディスク1枚目の4曲目「恋愛症候群-その発病及び傾向と対策に関するー考察-」が始まった。
(前奏で皆笑ってる…そんなに面白いのかしら?)
『恋と呼ばれる一過性の発情症候群に於ける その発病及び傾向と対策について考える 年齢 性別 職業 ツベルクリン反応 郵便番号の如何を問わず 凡そ次のとおり

開き直らねば何も出来ず ただ暗く爪をかみ 目が点になってため息ばかりの A型』
(違うわよ!あっ、でもバカシンジは完全にそうね。)
『他人のことなど考えられずに 大切な花畑 平気で踏み荒らしてヒンシュクをかう B型
 今日と明日では自分同士で意見が分かれて 熱し易く冷め易い AB型
 その内なんとかなるんじゃないかと思っている内に 自分だけ忘れ去られている O型』
(血液型占いなんて、前時代的。でもまぁ古い歌だもの、しょうがないわね)
『その他 いきなり優しくなったり急に詩人になるケース 夜中にいなりずしをどうしても喰べたくなる場合 海に向かってばかやろーと叫ぶなどはよくある事で更に若いのに髪が薄くなる方もある

なにしろ これらがある特定の人にだけ反応するって事は恋は一種のアレルギーと考えてよい』
(あら、上手いじゃない!)


304 名前:恋愛症候群 mailto:sage [2009/08/20(木) 11:05:18 ID:???]
『恋におちたら一部の例外を削除すれば およそ 男は男らしく 女は女っぽくなるものらしい手想 星座 サイコロ タロット 四柱推
命 その他茶柱まで相性占いなど気になったら もう恋 相手には自分の良い所ばかり見せたくなるものであるし 相手の欠点には気づいても気づかずにいられるし』
(私達の場合真逆ね…)
『食べ物 着るもの 見るもの 聴くもの すべて好みが合うと思うし 毎日が二人の記念日になる

処が一年二年とたつうち見えてくるんですよ 恋とは誤解と錯覚との闘い
そのうちなんだかお互い知らない人に思えてきて 次第に疲れて 会っても無口になる』
(そんなもんなのかしら…まぁ私達の場合はサードインパクトでさらけ出しちゃったし関係ないわね)
『初めは めまい 立ちくらみ 食欲不振で気づいた恋がいつか注意力散漫 動悸 肩こり 息ぎれに変わり やがて 頭痛 発熱 歯痛 生理痛 すり傷 切り傷 しもやけ あかぎれ 陰金 夜泣き かんむし 田虫 水虫 出痔 いぼ痔 切れ痔 走り痔 えーと えーと …えーとせとら』
(日本語の意味が分からない所が多々あったわねぇ…帰って来たらシンジに聞いてみよ)
『とにかくそんな風に笑っちまった方が傷つかずに済むって わかってるんだ 誰だってそうだろう』
(あら?突然シリアス調になったわね)
『恋は必ず消えてゆくと誰もが言うけれど ふた通りの消え方があると思う』
(うんうん)
『ひとつは心が枯れてゆくこと そしてもうひとつは 愛というものに形を変えること』
(変えられるかしら…大丈夫よね、シンジと一緒なら。)
『相手に求め続けてゆくものが恋 奪うのが恋』
(えっ…)
アスカの頭に、尊大に命令する自分と、いやいやながらも実行し続けるシンジの姿が幾つも甦った。
『与え続けてゆくものが愛 変わらぬ愛』
堪らずCDの再生を止め、冷房の駆動音が場を支配する。車のクラクションが聞こえた。
(あたしは、シンジに何も、与えられて、ない…)
溶けかかったスイカバーのつゆが、アスカの手の甲を、伝った。


305 名前:恋愛症候群 mailto:sage [2009/08/20(木) 11:06:45 ID:???]
「ただいま〜ゴメンね、遅くなって」
家の玄関先で、何故か、碇シンジは暖かな衝撃を感じた。
「おっかえり〜シンジ!」
アスカがシンジに駆け寄り、抱き付いたのだった。いつもはリビングから聞こえて来る「おかえり」の声がこんなに近く、また実体
を伴って来るとは思わずシンジは驚いた。
「どっどうしたの、突然!?」
「どうしたのって…恋人同士なんだから抱き付くくらい当たり前じゃない」アスカはシレっと答えた。
シンジの脳裏に「これには何か裏があるに違いない」という危機感がよぎる。
「いやでもさぁ…今日はいやに積極的じゃない?」
「そうかしら?別に普通よ」
これが普通ならいつものわがままな彼女は何だったんだろうと思いつつ、夕食を作る最中にゆっくり考えようと、靴を脱ぎながらシンジはアスカに告げる。
「まぁいいや。今日は餃子作るから楽しみにしててよ」
「あっじゃあアタシも手伝う!」

沈黙。のち

「えぇっ!?」
シンジは二の句を口に出すまで少々間が開いてしまうほど驚いた。
「あによ?何か文句あるわけ!?」右頬を膨ませシンジをにらむ。
「いや、ないよ。ないけど…ホント今日はどうしたんだよアスカ?」
「別に、何となくよ、何となく!さぁササッと夕飯作るわよ!」


306 名前:恋愛症候群 mailto:sage [2009/08/20(木) 11:10:26 ID:???]
夕食時、食卓にはパリッと焼けた餃子の良い香りが立ち込めていた。副菜として中華サラダが用意され、ワンタンスープと白米までついたバランスの取れた、かつ食欲をそそる料理が並んでいた。
しかし、主菜である餃子の形自体に目を向けると、些か不可解なことになっている。
具を押さえきれず包皮が決壊していたり、明らかに折り目の間隔がおかしかったり、完全に形象崩壊してしまっているものがあるかと思えば、折り目が等間隔に
並んでいる綺麗な餃子もある。だが、この謎は餃子を作った二人の性格、つまりアスカは唯我独尊でシンジは気
弱、しかし共通して優しいという事と、今の様子を見ればすぐに明らかとなる。
アスカが不機嫌そうに形の悪い餃子ばかりを食べるのに対して、シンジはビクビ
クしながら綺麗な餃子ばかりを食べている。時折シンジが形の悪いものに手を出そうとするも、アスカの射る様な目線に遭い
、おずおずと箸を方向転換し綺麗な餃子に向ける。
この状態から見るに、アスカが餃子作りを手伝ったは良いが失敗し「この失敗した奴は全部アタシが食べるわ!だから、アンタがもし私のに手を出
そうもんなら容赦しないわよ!」とシンジに言い渡し「えっでも、そしたらアスカが…」
とシンジが言い返そうと頑張るが、もちろんアスカに遮られ「うっさいわね!男のくせにグダグダ言ってんじゃないわよ!アタシが料理運ん
でやるから、早く席に着きなさいよ!」と玉砕され、「分かったよ…」などと呟きながら席に着くシンジが目に浮かぶ様であった。
そんな気まずい夕食を終えると、保護者である葛城ミサトから電話があり、今日は遅くなるので夕飯はいらないとのことであった。
リビングのソファに二人並んで腰掛け、テレビを見ながらうだうだと、それでいて幸せそうに喋っていると、お風呂が沸いた事を告げるメロディーがリビングに鳴り渡った。
いつもであれば、アスカが「じゃあ先入るわね」とシンジに告げてソファを立つ
筈なのだが、今日は何故かそうはせず、いつもとは全く逆なことを言い出した。


307 名前:恋愛症候群 mailto:sage [2009/08/20(木) 11:11:44 ID:???]
「アンタ、先入っていいわよ」

沈黙。のち

「えぇ!?」
本日二度目である。
「何で!?」
「何でって…いっつも私が先じゃ悪いでしょ?」
「いやでも…あっほら!僕、洗濯物畳んだり食器の片付けとかあるから」
「じゃあアタシがやったげるわよ!」
「うえぇえっ!ホントに!?」
「このアスカ様がウソ吐く訳ないじゃない!」
「えぇ〜でもなぁ…」
「何よ、アタシに任せるのがそんなに不安だって言いたい訳!?」
「い、いや、そっそんなことないよ!じゃあ…分かった、今日はお願いするよ」
「全然OKよ!さぁ早く入っちゃいなさいよ!」
アスカはまず、食器洗いから始めた。食器自体は夕飯分、しかもたった二人分しかないので数自体はあまりなかったた
め早く終わるだろうと目算したためである。しかし、数は少ないはずなのだが、食器を手から滑らせシンクに落とし、ギリギ
リ割れてしまうのを免れるケースが多々あり、食器洗いは難航した。ようやくヒヤヒヤものの食器洗いを無事に終えたアスカは、洗濯物を畳み始めた

 その後、しばらくしてシンジがタオルを首にかけ、ほこほことした湯気を立て
ながら、心に置けるアニマの占有率が高過ぎるのではないかと思わせる女性的な
フェロモンを放出しつつ、笑顔でリビングに入って来た。
「いや〜やっぱり一番風呂は良かったよ。ありがとう、アス…アスカ!?」
そこには、正座の状態から両足を外に出して座る、いわゆる女座りをし、俯いているアスカの姿があった。
「アスカ、どうしたの!?」
シンジの心拍数が高揚する。
すぐさま駆け寄り膝を突き、アスカの顔を覗き込む。
アスカは、涙をこぼしていた。




308 名前:恋愛症候群 mailto:sage [2009/08/20(木) 11:15:28 ID:???]
「アタシは、ホントに、ダメな、女なのよ…」
声を震わせながら、ポツリ、ポツリと、答える。
シンジが横に目をやると、洗濯物の山とお世辞にも上手いとは言えない、洋服や下着を小さく折ったものがあった。そして小さな声で呻く様にアスカは喋り始めた。
「バカらしい話かも知れないんだけど、今日ね、冬月さんに貸して貰ったCDを聞いてたの、シンジも一緒に居たし分かるわよね?」
シンジは頷く。
「それでね。恋愛症候群って曲なんだけど、その中の歌詞に『相手に求め続けるのが恋、奪うのが恋。与え続けて行くものが愛、変わらぬ愛。』っていうのがあってね。
 アタシ、今までは浅はかで自己中だから、シンジはアタシを愛してくれてるし、アタシもシンジを愛してるから、ずっと一緒にいてくれると思ってたの。
 でもこれ聴いて気付いちゃったのよ。アタシのシンジへの想いは愛じゃなくて、恋なんだって。アタシは求めてるだけ、シンジから奪ってるだけってことに…シンジはアタシに優しくしてくれてるのに、アタシは、シンジに何もしてあげてないのよ!」
「そんなことないよ、アスカ!」シンジは悲痛なようすで叫んだ。
アスカも負けじと叫ぶ。
「何が、違うってえのよ!アタシは、アンタに何かしてあげようと思ってやってみても、何も出来ないただのダメ女じゃない!それなのに、アタシはいつもいつも高飛車に、尊大に、シンジに命令して、女王様気分で愛されてるって勘違いしてる、馬鹿女じゃないの!」
もうアスカの顔は涙でグシャグシャだった。
「だから…違うって言ってるだろ!」
冷房の駆動音が響く。
シンジは、恫喝するかの様な声を出した自分に驚き、アスカも、シンジの初めて聞く唸り声に沈黙し、場に寂然とした空気が流れる。
その均衡をシンジが静かに、やぶった。

309 名前:恋愛症候群 mailto:sage [2009/08/20(木) 11:17:48 ID:???]
「アスカさ、前に僕が、何で僕に何でもやらせるんだよって聞いた時、何て言ったか覚えてる?」
アスカは首をふる。
「その時アスカこう言ったんだよ。アンタが幸せそうな顔するからじゃないの!って。それで、そりゃそうだな…って思ったよ。」
不思議そうにアスカは見つめる。
シンジは言葉を選びながら噛み砕くように告げる。
「だってさ、好きな娘のわがままっていうのは、言わばその人の、計算や飾りのない、まごころな、訳でしょ?
 それをぶつけてくれて、その好きな娘のためにそれに答えるっていうのは、本当に幸せなことなんだ。
 だから、アスカも、傍目にはそうみえないかもしれないけど、僕に今まで与え続けて、愛し続けてくれてたんだよ。そんなイヤな役回りをし続けてくれた、アスカに、悪いくらいだよ。」
アスカは徐に否定する。
「そんなこと…ない」
シンジはゆっくりと続けた。
「うん、でもね。アスカのまごころに答えるのも、好きな人のために何かしてあげられてると思えて嬉しいけど、好きな人に何かしてもらうって言うのも、それと同じくらい嬉しいって事に今日、気付いたよ」
「シンジ…」
アスカは依然泣いていた、が、涙の意味が少しずつ変わっていた。


310 名前:恋愛症候群 mailto:sage [2009/08/20(木) 11:19:55 ID:???]
「でも、アタシ料理も上手くないし、食器洗いも、洗濯畳むのも何も出来ないのよ?」
悪い事をしてしまい、それを親に告げる少女の様に、不安そうにアスカは尋ねた。
シンジは、優しい母親のように答える。
「これから覚えれば良いじゃない。だって死ぬまで一緒に、いるんだからさ」
アスカの涙の意味が変わった。
「…シンジぃ!」
アスカが、シンジにギュッと抱き付く。
シンジも、それに呼応するかのように優しく抱きしめる。
「だから、今まではアスカが、僕にまごころをくれて、僕がそれに答えるっていう、立場の決まった関係だったけど、これからはさ。
 何でも二人で一緒にやっていこうよ。ずっと、一緒にいるんだからさ。そうすればお互いが一生愛し合えることになるしね。」
「そうね。それって、素敵な事よね」
「うん、こんなに大事なことを気付かせてくれて、本当にありがとう、アスカ。」
「こちらこそ、ずっと私を愛してくれて、ありがと。そしてこれからもよろしく
ね、バカシンジ!」
アスカの笑顔が、ニヤッと、イタズラっ子の笑顔に変わる。
「なっ!?何でこんな良い雰囲気の時にバカシンジなんだよ!」
「だって、ホントの事じゃな〜い!こんなわがままアタシを一生愛してくれるなんてさ…」
二人はまた強く互いを抱き寄せる。
「アスカは、今まで、他にも僕に与えてくれてたんだよ。」
「何よ、暴力とか下らないこと言ったら、怒るわよ」
「ちっ違うよ…例えば、さ。元気の出る満面の笑顔…とか、てっ照れてる可愛い顔…とか、
 他人と一緒にいる初めての安心感…とか、けっ結婚したいって気持ち!とか、それと、あとは、ンッ」
待ちきれない、とばかりにアスカは自らの唇で、シンジの唇を塞いだ。
「長いのよ、バカシンジ。」
「ゴメン…でも、大事なことだからさ」
「うん、これからもよろしく頼むわね。シンジ」
「こちらこそよろしく、アスカ」


311 名前:恋愛症候群 mailto:sage [2009/08/20(木) 11:21:16 ID:???]
そして、アスカは満面の笑みを浮かべて立ち上がった。
「ねぇ記念に二人で恋愛症候群、聞きましょうよ!」
「良いけど、また落ち込んだりしない?」
「大丈夫よ、シンジと一緒なら。それに、さっき何でも二人でやるって決めたじゃないの!」
「そうだね。」シンジが微笑む。
二人でアスカの部屋に行き、壁にもたれ掛かりながら、二人で手を絡ませながら座る。
そしてCDを再生し、曲は後半へと差し掛かろうとしていた。
『頭痛 発熱 歯痛 生理痛 すり傷 切り傷 しもやけ あかぎれ 陰金 夜泣き かんむし 田虫 水虫 出痔 いぼ痔 切れ痔 走り痔 えーと えーと …えーとせとら
「ねぇ、ここらへんの日本語ってどんな意味なの?」
「えっあぁ〜こっこ昆虫の名前だよ!そう、いるんだよ、こういう昆虫が!」
「ふぅ〜ん、でもなんで皆笑って…あっここからよ!」


312 名前:恋愛症候群 mailto:sage [2009/08/20(木) 11:23:17 ID:???]
『とにかくそんな風に笑っちまった方が傷つかずに済むって わかってるんだ 誰だってそうだろう

 恋は必ず消えてゆくと誰もが言うけれど ふた通りの消え方があると思う ひとつは心が枯れてゆくこと そしてもうひとつは愛というものに形を変えること』
「僕たちは変えられたから大丈夫だね。」
シンジが微笑みかけ、アスカは満面の笑みで返す。
『相手に求め続けてゆくものが恋 奪うのが恋 与え続けてゆくものが愛 変わらぬ愛』
(ここから止めちゃったから聞いてないわね)
『だから ありったけの思いをあなたに投げ続けられたら それだけでいい』
(シンジは、それだけでいいって…思って、くれてたんだ。)
アスカの頬に一筋の涙がこぼれ、それをシンジが優しく拭う。
『おそらく求め続けてゆくものが恋 奪うのが恋 与え続けてゆくものが愛 変わらぬ愛
だから ありったけの思いをあなたに投げ続けられたら それだけでいい』

『あなたに 出会えて 心から しあわせです』

曲が終わり、二人を甘美な静けさが覆う。
自然と二人は見つめ合い、目線を絡ませ、片方の手を絡ませたまま、そっと、抱き合い、二人の舌を、強く、絡めた。

二人の『恋愛症候群』は、永遠に治らなかったという

Fin



313 名前:恋愛症候群 mailto:sage [2009/08/20(木) 11:29:42 ID:???]
えぇ〜多分始めの名前欄いれず投稿した以外にも、
何かしらのミスはあると思いますが、大目に見てやってください。
読んでいただいた方、ありがとうございました。

314 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/20(木) 11:57:28 ID:???]
>>313
普段しなれないことを頑張るアスカ可愛かったです。
文体は初々しい感じがしました。
これからも頑張って素敵なLASをお願いします!GJ!

315 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/20(木) 12:00:00 ID:???]
GJ!
前半ギャグかと思ったけど、少し切ない感じもあって良かったです!
青山と冬月のキャラぶっ飛んだなw

316 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/20(木) 12:06:55 ID:???]
>>315
>青山と

影が薄すぐるw

317 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/20(木) 12:08:12 ID:???]
さだまさしのノリは70年代だからなぁ



318 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/20(木) 12:08:26 ID:???]
>>315
名前間違えるなよ、青菜さんだろ!

319 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/20(木) 14:17:13 ID:???]
GJ!
和むなぁw

320 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/20(木) 15:55:38 ID:???]
青葉ワロタwwwwwwwww

乙です

321 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/20(木) 18:16:28 ID:???]
GJです!題材のせいか、妙にノスタルジックな気分…

しかしこんなに新参さんがイキイキするとは、破効果すげえw

322 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/20(木) 19:00:27 ID:???]
>>288
の続きです。当初の目論見より、かなり長く成って来ました。
Quickeningは前後編に分けます。あと、3回ほどなので、
読みたくない人はもう少し我慢してください。

323 名前:Another Way Quickeningze前篇 mailto:sage [2009/08/20(木) 19:02:17 ID:???]
初号機が暴走をした後、直ぐにアタシ達は拘束され、芦ノ湖に曳航された、三隻のヘリ空母に監禁された。
特に、パイロットであるアタシの扱いは最悪。絶対に逃げないように、重営倉に入れられた上、
手錠をされて、壁に繋がれた、鎖を足に付けられている。
全てが、鋼鉄で出来た独房で、ベットはおろか、トイレも無い部屋で、代りにバケツが置いてある。
薄手の夏服一枚ではかなり堪える。渡された、薄手の毛布をお尻に敷いてはみたが、全く効果なしだ。

入口の扉が開くと、強い光が差し込む。薄暗い部屋に入れられているので、目がくらんで入って来たのは、
誰か解らない。
「あの神経質な大尉を入れるには、環境悪すぎませんか?」
ようやく目が慣れて、入ってきたのが誰か解った。何で、お前が居るんだよ。
「何しに来たの?マリ。」
「助けに来たに決まってるでしょ。それにしてもひどい扱いスね。大尉は、未成年になんだから、これは
児童虐待ですな。アグ○ス辺りが知ったら、怒鳴り込んで来ますよ。制服姿の女子中学生にこんな事して、
連中は変態じゃないですか?」
「下らない事、言って無くて良いから、手錠外してくれる?」

「監視カメラは、大丈夫なの?」
「システムにハッキングして居ますので、ダミーが流れて居ます。後、20分は大丈夫ス。」
「他に、捕まっている人は?」
「ええと、このエリアでは3人ですが。」
「じゃぁ、その人達も助けて。」
「一寸、待って下さい。救出用の小型艇は二人乗りです。助けられません。」
「良いから、助けなさい。この船には、飛行機も積んだ有るから、それを奪えば良いわ。」
「ヘイヘイ、解りました。こう成ったら、自棄ス。」
「あ、それから、アンタのMP5よこしなさい。」
「これは、自分のですが。」
「アンタは、見張りの兵から奪った銃を使えば良いでしょ。兎も角、よ・こ・す・の。」
「もう、大尉の我儘が始まったよ。解りましたっ、これで良いんでスね。」
「良いわ。じゃぁ、助けて来て。」

324 名前:Another Way Quickening前篇 mailto:sage [2009/08/20(木) 19:04:28 ID:???]
マリが持って来たのは、サイレンサーが付いた特殊部隊用のMP5に点射モードの付いたSD6だ。
「良い銃ね。」
人に向けて、撃てるかな?
「撃つしか無いんだよ、アスカ。シンジに会いたかったらね。」
そう、シンジに会えるんだったら、地獄に堕ちても構わない。

外に出ると、マリが助け出した人が既に居た。ミサトと加持さん、それに赤木博士だ。
「アスカ、酷い扱い受けたみたいね。大丈夫?」
他の人の独房は、ベットも有るし、トイレに仕切りが付いている。アタシとは雲泥の差だ。
「まぁ、知らない人にしたら、エヴァパイロットなんて、化け物なんでしょ。それより、司令や副司令は、
居ないの?」
「あの人達は、こう言う事態を予想して居たみたいで上手く逃げたよ。多分、巻き返しの工作中だと思う。」
「そうなんだ。やはり、凄い人達ね。じゃ、アタシ達も逃げようよ。20分以内に逃げれば大丈夫よ。」

甲板にでると、流石に人が多い。物陰に隠れて、奪えそうな飛行機を物色する。
「あの右から3番目のVTOLが良いんじゃ無い?」
「何で、ですか?」
「エンジンかかっている中で、一番マークがカッコいいから。」
「一寸、適当すぎるでしょ。まぁ、良いか。どれも大して変わらないし。」

どうやって、奪うか考えていた時、サイレンが鳴った。
「総員緊急配備、逃亡者が出た至急探索せよ。」
「マリ、どういう事よ?まだ、15分しかたってないわ。」
「知りませんよ。それより、如何します。」
「あ、居たぞ。あそこだ。」
見つかったか。
「こうなったら、強行突破よ!皆、走りなさい!」
そう言って、走り出したミサトの後追うように走りだす。

325 名前:Another Way Quickening前篇 mailto:sage [2009/08/20(木) 19:05:23 ID:???]
銃を乱射しながら立ちふさがる兵をなぎ倒して、目星を付けたVTOLにたどり着く。
「アスカッ、発進準備をして!」
「解った、ミサトも援護してね。」
「任せといて!」
エンジンがかかっていたので直ぐに発射準備が整う。
「ミサトォ!出れるわ。乗って!早く!」

飛び出しすと、追手を沈黙させるために、ミサイルで甲板をぶっ壊して飛行機を飛べなくする。
残りは二隻だが、一隻は同じように破壊できたが、ミサイルが尽きたので、残りの一隻は上がって来たのを片っぱし
から撃ち落としていく。それでも、撃ち漏らした最後の一機に背後を取られてしまった。
「大尉、ヤバいスよ。」
「黙って乗ってなさい!VTOLでのドッグファイトのやり方を見せてあげるわっ!」
そう言うと、エンジンを90度回転させ、VTOLを上昇させる。更に、前方へエンジンを傾ける。
急制動がかかり、速度が一気に落ちる。一応、斜め下にエンジンが向いているので落ちる事は無い。
物理的に無理な気もするが、同じタイプが大量に生産されているので、設計的な問題は無いんだろう。
このまま、エンジンをふかし続ければ後進も可能だが。速度が0近く成った所で、エンジンを絞る。
「ちょ、大尉。ここで、エンジンを絞ったら落ちますよ!」
「そうすれば、逃げられるわ。」
「落ちたら意味無いですよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。」
落下しながエンジンを水平位置にしておき、水面近くで機首を起こして水平にすると、エンジンをフルスロットル
で吹かす。揚力を回復した、VTOLが水しぶきを上げて水面ギリギリを飛ぶ。
「飛行艇じゃないんだから、こんなとこ飛ばなくても良いでしょ。」
「でも、ベストポジションよ。」
アタシは、敵の下方を取る位置に付ける事が出来た。このまま機首を起こし、バルカンの射線上に入れる。
「ごめんね。恨みは無いの。でも、シンジと会いたいのだから、ごめんね。」
引き金を引くと、相手のVTOLが落ちて行く。

326 名前:Another Way Quickening前篇 mailto:sage [2009/08/20(木) 19:05:59 ID:???]
「皆、無事?」
「無事な訳、無いでしょ。私は吐きそうだし、リツコは泡を吹いて気絶して居るわ。」
「生きているだけ良いじゃん。」
「大尉、このまま洋上に出て、九州方面に飛んでください。坊ノ岬沖にユーロの潜水艦が来ています。」
「そんな地名言われても...。」
「北緯30度43分、東経128度04分ス。」
アタシは、航行用コンピュータに座標を入れて、場所を確認する。
「ここって、日本の領海内でしょ。こんな所に居て大丈夫なの?」
「何でも、昔の戦艦が沈んで居る所なので上手く、カモフラージュできるみたいで...、大尉?何処へ、
向かってるんスか?」
「ジオフロントよ。」
「だから、勝手なことしないで...。作戦が無茶苦茶じゃないスか。」
「シンジを助けないと、意味無いもの。」
「って、あの坊やは初号機に取り込まれています。助け出すのは無理しょ。」
「大丈夫、アタシに考えがあるから。」

第三新東京市と呼ばれた地域は今や廃墟となり、厳重封鎖地域に成っている。それが逆に幸いして、人は誰も居ない。
この分なら、上手く行きそうだ。
ジオフロント上面も吹っ飛んでおり、初号機へは簡単に辿りつける。ココにも人はいない。
アタシは、初号機を貫いている槍の直ぐそばにVTOLを降ろすと、槍の元へ駆けだす。
「全く、酷い目に有ったわ。アスカの操縦する飛行機には金輪際乗らないわ。」
目を覚ました。赤木博士がふら付きながら出てくる。他の人もアタシの後に付いてきた。

327 名前:Another Way Quickening前篇 mailto:sage [2009/08/20(木) 19:07:21 ID:???]
アタシは、槍に手をかけて、念じるように下を向く。
「で、大尉。これから、如何するんスか?」
アタシは、徐に上を向くと大声で叫ぶ。
「コラー!バカシンジ、今直ぐ出てこーい。何時までも、そんな女といちゃついてるんじゃ無いぞ!」
「あのーぉ、大尉、作戦てこれッスか?」
「黙ってなさいよ!エヴァは、人の意志でどうにでも成る訳の解んない乗り物よ。こうすれば、何とかなるわ。」
「アスカ、気持ちは解るけど、今コアに刺さっている槍は制御装置なの、何が有っても動かないわ。」
「そんなの解らないじゃない、ここ最近、あり得ない事ばかり起きてるんだから。」
赤木博士の言葉に、泣きたいのを必死に堪えて反論する。
「アタシはね。エコヒイキなんかより、何倍もアンタの事愛してるんだよぉ!だから、戻って来てよ。お願いだからぁ!」
アタシは腹立ちまぎれに槍を蹴りつけながら、続ける。
「良い?シンジ、アタシの作った味噌汁は、エコヒイキのと違って、出汁も取ったし、味噌もチャンと溶いたじゃん。
アンタのよりは、落ちるけどもっと、美味しいの食べさせて上げるから...。お願いだから...、出てきてよ。」
アタシは耐えきれすに、最後は半べそになりながら言った。

「はぁ、シャーナイ。あのね、坊や。この大尉は、性格は無茶苦茶で乱暴だけどさ。根は取っても良い娘だよ。
あんまり泣かせないでくれるかな?」
「シンちゃーん。ペンペンも入れてまた、4人で暮らしましょ。楽しかったの覚えているよね。」
「おーい、シンジ君、男なら女の子をあんまり泣かせるんじゃ無いぞ。男らしくスパッと出てきて、抱きしめてやれよ。」
「はぁー、仕方の無い人達ね。シンジ君、思われているうちが花よ。あんまり泣かせると、嫌われるわよ。」
皆...、赤木博士まで...。

その時、地面が爆発して砂煙が上がる。遠くの方に大勢の軍隊が見えた。
完全に包囲されたみたいだ。

続く...。



328 名前:Another Way Quickening前篇 mailto:sage [2009/08/20(木) 19:08:16 ID:???]
と言う訳で、次回は後編です

329 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/20(木) 22:35:14 ID:???]
乙です。アスカパワフルでみんな優しいのぉ
〜スよマリにちょっとワロタw

ちなみに「〜。」かぎかっこの最後に。はいらんよ

330 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/20(木) 22:39:00 ID:???]
>>239でも注意されてるのに無視してる時点で聞く耳持ってないんだろ

331 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 01:06:10 ID:???]
夏真っ盛り

332 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの [2009/08/21(金) 04:20:02 ID:y7+VzvYY]
致命的なレベルではない

333 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 06:47:26 ID:???]
>>329
それは新聞小説の文字数削減の時に出来た文法だから間違いじゃないよ
「〜。」が本来正しい文法だ
ただ見辛いのもあって新聞小説式の。を付けない方式が広まっただけ
自分は文字数制限クリアする為に。は付けない方で書いてるが
押し付けはいかんよ

334 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 07:22:05 ID:???]
>>275
すんげえ遅レスですが超GJです
マジ神すぎる
あなたの大ファンです

シンジって女の子だと向かうところ敵なしの大和撫子だよねw
そんなシンジ君が好きだわ

アスカのアスカらしさと、シンジのシンジらしさが素晴らしいです
本編でちょっとありそうなエピソードで大好き

335 名前:674 mailto:sage [2009/08/21(金) 09:08:00 ID:???]
ぐーてんもるげんです。どうも遅くなりました。
短編のつもりが無駄に長くなっていきます。すみません。自分でも予想外です。


・学園異性系イタモノ注意
・中途半端
・シンジが分からん




NGワード キンモクセイ

336 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/21(金) 09:09:51 ID:???]
堤防の向こうに立ち並ぶ団地も。
建物の隙間から差し込む夕日の色も。
草の匂いに少し生臭い水の匂いも。
家路に急ぐ人の姿も。
子どもたちのはしゃぐ声も。
この河川敷の景色は変わらないね。あたし、みんな知ってる。

「ねぇねぇ、シンジ」
「なに?」
あたしのグローブに、シンジの投げたボールが吸い込まれていく。
手のひらに感じる小さな衝撃。
「あたし、今、すっごい魔球思いついた!投げてみるから受け取りなさいよ」
「またぁ?どうせロクなのじゃ」
「行っくよ!大回転魔球!!でやー!」
「……パクリじゃないか」
あたしの手を離れて、日暮れの空へと消えていく白いボール。
「どこ投げてんだよっ」
空へ向かったボールは予想外にシンジを越え、さらに大きく横に逸れながらそのまま草の茂みへと消えていった。
しまった。これじゃあ、こないだの消える魔球と変わらない。
「……アスカのへたくそ。ぽっぽこぴー」




337 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/21(金) 09:11:29 ID:???]
「ったく!」
渋々とボールを取りに行くシンジの背中を笑って見送りながら、芝生の上へ腰をおろした。
グローブを左手から外して、横に置く。
汗ばんだ手のひらが外の空気に触れて、ひんやりとして気持ちいい。
「ばかシンジー!はーやーくー!」
「ちょっと待てよ!どこにあるか分からないんだってーっ」
少し遠くに響くシンジの声に、高架橋を走る電車の音が重なる。
高架橋の下で素振りをしていた少年の姿は、いつの間にか消えていた。
子どもの、妙に高い、けど不愉快ではないはしゃぐ声も聞こえてくる。
道を並んで歩く、手を繋いだ男の子と女の子。
空を見ながら、

おひさま落ちちゃったからはやく帰らなきゃ、
あ、カラス
カラスがないたらかえりましょー

そう呟く子どもたちの声に、あたしは微笑んだ。
そうか、子どもたちの時間はもう終わりなんだ。
空を見れば、沈みかけた夕日が、世界を茜色に染めていた。
綺麗だな…でも、赤い空は寂しくてあまり好きじゃない。
夏の終わった夕方は、肌寒かった。

「ねーアスカぁー!見つかんないよー!」

…なにしてんのよ、あいつ。
シンジが叫んで、早く来てくれと言った風にこちらに手招きする。
仕方なく立ち上がって、あたしは溜め息をついた。
「アスカってばー!」
「うるさい!今向かうわよっ」
あたしに手を振って、シンジがまた叫んだ。




338 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/21(金) 09:12:52 ID:???]
そんなに急かさないでよ。
あたしはどこへも行かないのに。
「どこ見てんの、だいたいそこらへんに落ちたでしょ?」
かがみながら草むらをかき分けるシンジに、後ろから声をかける。
「だって、見つかんないんだ……」
立ち上がってシンジが、振り返る。

「なんてね。うっそだよ」

手の中にあるのは、あたしたちの白いボール。
こいつ、ボールなんてとっくに見つけてたんだ。
悪戯が成功したと言わんばかりに満足そうに、にやにやしていて。
「………」
「魔球のおかえ…いっだぁー!!」
その顔があまりにもウザかったので、思いっきりお尻に蹴りを入れてやった。
今のあたしの行動は間違ってないと思う。
「ばーか」
うずくまってお尻を抱えるシンジを置いて、さっさと踵を返す。
ザマアミロ、と笑って。シンジがあたしにイタズラしようなんて生意気なんだ。
グローブを置いたさっきの場所まで戻ったときに、
ふと、くすくすと笑い声が聞こえて、あたしは声のした方向に顔を向けた。
「仲良いのねぇ」
河川敷に沿って通るアスファルトの道路に立ちながら、おばさんがこっちを見て笑っていた。
手に握られたリードの先に繋がれた少しぽっちゃりした柴犬も、おばさんに似た笑いを浮かべている。
この時間に何度か見たことのある、よく犬と散歩してるおばさんだ。
「あ…お恥ずかしいです。バカみたいなとこ見られちゃって」
「いいわねぇ、若いって…あの男の子は彼氏さん?」
「違います!!」
おばさんの言葉に、あたしは大声をあげて否定していた。
「幼なじみの腐れ縁の、…ただの友だちです。それ以上でも以下でもないわ!!」
つい、声を荒げて。
あたしの強い言葉に、おばさんはキョトンとして。我に返って、恥ずかしくなる。

339 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/21(金) 09:14:24 ID:???]
おばさんは不思議そうな顔をして、そうなの。ごめんなさいね、とだけ言って、立ち去って行った。
離れていくおばさんの後ろ姿と、犬のお尻がふりふりと揺れていた。

「やけに必死に否定するんだね」

後ろから声がした。
はっとして振り返ると、シンジがボールを持って立っている。
「ったく、手加減しろよな」
アスカの蹴りは殺人レベルなのに。
そう言いながら、笑ってお尻をさする。
「聞いて、たんだ」
「…最後だけ。アスカは彼氏がいるし、そりゃ必死に否定するか」

今までも結構間違われたりしたよね
小さい頃は姉弟に間違われたこともあったけ?

冗談を飛ばすように、朗らかに笑いながら。
自分にとっては気にかけるほどのことじゃない、ただの笑い話だと。
そう、シンジが言っているような気がした。
なぜか悲しくなって、でもそれをシンジに悟られたくなくて。
「…あんたなんかの彼女に間違われるなんて、まっぴらゴメンよ」
「ひどっ」
あたしの言葉に、傷ついたようでもなくシンジがまた笑った。
「…あんた、彼女は作らないの?」
なんだよ突然、とシンジが不思議そうな顔をする。
「最近、聞かないから」
「機会が無いんだよ」

機会?あんたにとって彼女なんて、機会でしかないの?

340 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/21(金) 09:15:38 ID:???]
「あんたが優しく微笑んであげれば、女の子なんてみんなコロっと落ちちゃうんじゃないの?」
「僕を何だと思ってんだよ…そんな、漫画みたいな」
「霧島さんだって、山岸さんだって、一条さんだって、みんなそうやって手に入れたんでしょ?」
名前を上げた女の子たちの顔が浮かんでくる。
簡単にシンジを手に入れた女たち。
みんな可愛いくて、そしてみんな心底シンジに惚れていたようだった。
「手に入れたって…キッカケなんて色々だよ、そんなの」
色々、か。
あたしの場合はひとつしかない。
告白されて、都合が良かったら言われるがままに付き合うだけ。
都合が悪くなったらあたしから別れるだけ。
「シンジは好きだったから付き合ったの?」
「そりゃ…」
「だったらなんで別れたの?」
「そ、それも色々だよ…。どうしたの?アスカ。あまりこういう話好きじゃなかったよね?
先輩となにかあった?」
「別に…」
シンジの言う通りだった。
今までシンジとこういう話は極力しないように避けてきたのに。
キンモクセイにあてられてから、最近のあたしはどうも自分を見失いがちだ。
「アスカが心配しなくても、好きな子が出来れば付き合えるよう頑張るよ」
それ、見当違いよ。シンジ。
心配なんかじゃ、ない…。
「最近は、そんな気にあまりなれないんだけどね。アスカといる方が楽しいし」
あたしも、シンジといると楽しい。
変わらないままで。
それはあたしたちの共通の願いなんだろう。
けれどシンジの言葉には、あたしとの間に残酷なほどの違いがきっとある。
それでもあたしは良かったから、今までもこれからもずっと一緒にいる…。
「…もう暗くなったし、帰ろっか」
嬉しさと悲しみを同時に感じながら、あたしは話を逸らした。


341 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/21(金) 09:16:35 ID:???]
シンジの後ろの空の夕日は、もう完全に沈んでいる。
茜色の世界のほとんどが闇色に飲まれていて、空には星の瞬きすら生まれていた。
「ほんとだね…。最近、日が落ちるの早いや。…げっ、まだ五時半だ」
ポケットから取り出したケータイの画面を見て、シンジが驚いている。
「カラスが鳴いたらかーえろってね」
「なんだよそれ、小学生?」
「そ…」
芝生の上に置いたままになっていたグローブを拾い上げる。
堤防の上にとめられた自転車に向かってあたしは歩き出した。
シンジもあたしの後ろをついてくる。
「さっきね、あたしの周りで遊んでた子どもが言ってたの。まだまだガキのあんたは早くおうちに帰らなきゃね」
「自分だってガキのくせに」
否定はしない。
シンジを見て、あたしは静かに微笑んだ。
シンジの目が、大きく見開かれる。
「それに明日、英文訳の課題の提出日でしょ?あんたどうせやってないだろうから、早く家に帰らなきゃまずいんじゃない?」
「………忘れてた」
「あんたね…」
止められた自転車の荷台に跨る。
シンジが前に座って、足で地面を蹴り上げた。がしゃん、と音を立ててスタンドが外れて自転車が前に進む。
「課題、忘れちゃだめよ。あたし手伝わないから」
「分かってるよっ」
セーラー服を着た女子中学生に、ランニングしてるおじさん。
買い物袋を自転車のカゴに乗せたおばさん、色んな人とすれ違っていく。
景色は同じでも、すれ違う人の姿は少しずつ昔と変わっていく。
シンジの腰をぎゅっと掴む。手のひらに触れるセーターの感触はむず痒くも、暖かかった。



342 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/21(金) 09:18:15 ID:???]




つまらないバラエティ番組が延々とたれ流されてるだけのテレビの画面。
冗談を交わし合うタレントたちの声を横に流しながら、あたしはソファの上に寝そべってファッション雑誌を広げていた。
今秋のトレンドは黒だとか、チェックを上手く使った着こなしの仕方だとか、
秋らしい特集をしているけれどその中身はモデルの着ている服すらも、先月号とほとんど変わらない。
力が入っているつまらない恋愛大特集に興味はないし、今月号は失敗だったかもしれない。
暇つぶしにもならない雑誌を放り投げて、あたしは仰向けになった。

あーつまんない。
シンジのやつ、課題ちゃんとやってるかなぁ。

見慣れた天井を見上げて、ぼんやりとまたシンジのことを考えていた。

「ただいま、アスカちゃん帰ってるのー?」
ママの声だ。
帰ってきたんだ。
「はぁい!」
上半身を起こして、テレビを消す。
最近、残業の多いママにしては早い時間だ。
「おかえりなさい、ママ。今日は早いのね」
「ん…ただいま。今日はね、一段落ついたから」
リビングに顔を覗かせたママに、ソファに座ったままで声をかける。
少し疲れたような顔をしたママが、スーツを脱ぎながら言った。
「来週からなのよ。忙しくなるのは」
「また実験?」
「ええ。ユイたちもママもしばらくは家に帰れなくなるけど…ごめんなさいね」
「気にしないで、ママ。あたしはママの体の方が心配だわ。…ご飯はどうする?」
「いただくわ」

343 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/21(金) 09:19:36 ID:???]
ママが部屋で着替えている間に、昨日の残りのカレーが入った鍋に火をつける。
棚から取り出したお皿をテーブルの上に置いて、冷蔵庫から冷えたオレンジジュースを取り出した。
安っぽいオレンジが書かれたその瓶の中身はもう半分もない。
今度買っておかなきゃと、頭の中で呟く。
「あら、カレー?」
ラフな格好に着替えたママがやってくる。
「ごめん、昨日の残りなの」
「ママ、アスカちゃんのカレー大好物」
そう言ってママが微笑んだ。
ママの研究が忙しい時期は、こうやってあたしが食事を準備する日も、ひとりだけで食事をとる日も珍しくない。
とは言っても、作るのには慣れても不得手だと自覚してるから簡単なものしか作らないけれど。
シンジとお互いの両親が不在の時は、ふたりで食事をする日も多い。
シンジもシンジで料理なんてろくに作らないので、そういう時はふたりで四苦八苦しながら一緒に作る。
「そういえば」
テーブルについたママが思い出したように、切り出した。
「なに?」
「進路希望のプリントのことだけど…」
ああ、とお皿にごはんを盛りながら、返す。
3年生になるまであと半年に近づいてきたので、学校側が2年生の進路希望調査を始めていた。
近郊では有名な進学校で、進路については特にうるさい学校だ。
先週、ママにその話をしていたことを思い出す。白いごはんの上にカレーをかけて、ママの前へ置いた。
「ありがとう」
「提出はまだよ。先生は来週でいいって」
「もう決めたの?」
「ううん…」
はっきり言ってあたしは成績優秀だし努力も怠らない。狙おうと思えばどの大学だって狙える、と自負する。
ママと同じ研究者としての道へ進みたいという気持ちもある。
けれど、あまりまだ進学のことは考えたくなくて、あたしは白紙のままにプリントを放置していた。
「アスカちゃんがやりたいことをやればいいしと思う、強制はしないわ。これはママからのひとつの提案だと考えてくれたらいいんだけど…」
あたしが首をかしげると、ママはそのまま続けた。

344 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/21(金) 09:21:40 ID:???]
「ドイツのね、大学に進むのはどう?って。ママの実家もあるし…おばあちゃんもね、いつでもいらっしゃいって。
ママもね、向こうの研究所から帰ってこないかって誘われてるの」
「ベルリンの?」
「そう。選択肢のひとつとして、捉えてくれればいいのよ?あなたには好きに生きてほしいから」
ドイツ…、かあ。
悪くない話だとは思う。日本のようにごちゃごちゃとしていないベルリンの整然とした、美しい街並みも好きだ。
久しぶりにグランマにも会いたい。
けれど…。
「それに、あんまり期待はしてないの」
ママの言葉に驚いて、あたしは二度まばたきした。
「えっ…、どうして」
「だって、シンジ君と離れ離れになるの、嫌でしょ?いつも一緒だものあなたたち」
そう言って、軽くウインクして笑う。
「もう、ママ!あたしだってシンジと四六時中一緒にいるわけじゃ…」
…ないことない。
そんな自分を思い出してあたしはそこで止まってしまった。
「ほらね?」
「むー」

受験なんてまだ一年以上先の話で、ママの話を聞いても実感はわいてこなかった。
あまり考えたくなかっただけかも知れない。
ただ、ドイツに行けばシンジと離れなきゃいけない…それだけは分かる。
シンジがそばにいないなんて、そんなこと想像できない。
なんとなく、シンジと同じ大学に行けたらいいな、なんてぼんやりと考えた。
一緒にいたいから、それだけが理由だった。
…これじゃママの言う通りだと気づいて。
浅はかでまるでガキっぽい考えに、あたしは自嘲した。
別にいいじゃない。あたしはあたしの好きなように生きたって。そう、自分に言い聞かせながら。
シンジ…、シンジはどうするんだろう。

345 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 09:23:39 ID:???]
支援

346 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 09:28:19 ID:???]
僕はね
ずっと待ってた
ずっと待ってたんだよ、君の投下を!!!!

まだ書き終わってないのかな?
書き終わってるんなら気にせず投下しまくってくれると嬉しいぞ俺は!!


347 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 09:32:55 ID:???]
キンモクセイキター(゚∀゚)ー!!

続きwktk



348 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 09:34:34 ID:???]
うぉー悶々とするぅ!続きワクテカ!!

349 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 09:37:11 ID:???]
幸せになれ〜幸せになれ〜フヒヒww
次の投下はいつくらいになりそう?

350 名前:キンモクセイ mailto:sage すまん規制された [2009/08/21(金) 09:38:27 ID:???]





最後の授業が終わって、教室の中はいっそうに騒がしくなる。
部活の準備をする子や、集まってどこへ行こうかとはしゃぐ子。
さっさと帰っていく子、そのまま教室に残ってダベる子。
これからどうしようかな、なんてことを考えながらかばんの中に教科書をつめる。
その時、ポケットの中で振動するケータイに気づいた。
「メールかな」
サブディスプレイに示されているのは彼氏の名前。
なんだろう。今日は予備校だと言っていたはずだ。
嫌だな…。この間あいつの家に行ってから3日も経ってない。

「アスカぁーーっっ」
「!!」
教室中に響く、あたしの名前を叫ぶ間抜けな声にびっくりしてあたしは思わず顔をあげた。
声のした方を見れば、シンジが情けない顔を貼り付けながらあたしに駆け寄ってくる。
「な、なによ…そんな大きな声出して呼ばないでよっ」
教室に残っているクラスメイトからくすくすと忍び笑いが聞こえて、あたしは恥ずかしさに小さくなった。
「お願いします手伝ってくださいアスカ様」
懇願するように、あたしの前で膝をついて手を合わせる半分涙目のシンジ。
身長がある分見た目には決まっていて、それが逆におかしかった。
「なにをよ」
どうせろくなことじゃないだろうけど、一応聞いてやる。
「英文訳」
「あんたねえ!あれほど、ちゃんとやりなさいって言ってあげたじゃない!!なにやって…」
「あ、アスカ!声、声!」

351 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/21(金) 09:41:25 ID:???]
シンジが慌てたようにあたしの口を塞ごうとする。
しまった。
呆れて思わず、さっきのシンジ以上の大きな声で叫んでいた。
慌てて周りの様子を見れば、教室中の視線があたしたちに注がれていた。
さらに小さくなって、こそこそとさっきの続きを言う。
「…だいたい、提出期限過ぎてるじゃない」
「…先生の温情で17時まで引き延ばしてもらったんだよ。お願い!手伝って!」
「嫌!自分の力で頑張りなさいよ」
「あーすーかぁー」
「嫌なもんは嫌。あたし関係ないもん。さーて、帰ろ帰ろ」
「パフェでどうだ」
「のった」


ロイホのホットファジーサンデーでよろしく。
了解。交渉成立だね。

ぐっとふたりで腕を組み交わす。
あたしはシンジとフェアな関係にいたいだけで、パフェに釣られたわけじゃない。
断じて。
そう、誰に聞かせるでもなく心の中で呟いて、シンジとふたりで図書室に向かう。
さっきのメールのことは、頭の隅に追いやられてしまっていた。






352 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 09:41:30 ID:???]
きたあああああああああああああああああああああああ!!!!!

353 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/21(金) 09:47:58 ID:???]




窓から吹き込む風は緩い。日の陽気に照らされて優しさを含んでいる。
その気持ちよさにあたしは目を細めた。
「アスカ、ここは?」
「…って、さっきからほとんどあたしが訳してるじゃない」
「大丈夫。バレないように、時々わざと間違えて書いてるから」
「…小賢しいわね」
「トウジに教わった生きるための知恵です」
ノートに向き合ったままで、シンジが笑いながら答えた。
あたしはわざとらしく、大きくため息をつく。
違う高校に通うシンジの悪友は相変わらず、ろくな事しか教えないみたい。
放課後だと言うのに図書室の中の人影はまばらで、それをいいことに一部の生徒たちが暇つぶしにお喋りしている。
外からは部活動に励む生徒たちの声が響いていた。
決して静かで良い環境とは言えないけど、それが妙に心地いい。
そもそも勉強したい人は図書室ではなく冷暖房の完備された自習室へ行くのが、この学校では当たり前みたいになっているから問題はなかった。
シンジのペンを走らせる音さえも、ざわめきの中ではかき消えていく。
「ねぇ、ここは?」
「えっと…」
次々とノートに綴られていく文字たちは綺麗で女性的で。
シンジらしくて、あたしは嫌いじゃない。
顔は反して、必死の形相に彩られていたけれど。そのギャップにあたしはくすりと笑った。
シンジの垂れた前髪がさらりと揺れる。
「…なに笑ってんの?」
「あんたの顔を見て」
なんだよそれ、とシンジが顔をあげる。


354 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/21(金) 09:51:30 ID:???]
「わるかったなあ。平々凡々な顔で」
「あら、ユイおばさんに似て綺麗で可愛い顔してるって評判じゃない」
親戚に会うたびに相変わらず可愛いわねぇ、と言われる話を何度も愚痴のように聞いたことがある。
「17の男がそんな風に言われて嬉しいとでも?」
眉をひそめてむくれる。
そういう子どもっぽい仕草が余計に幼く見せるってシンジは気づいてるのかな。
「だったら、おじさんに似れば良かったの?」
「それは勘弁…」
仏頂面で強面で目つきが悪くて高圧的な髭面。
もっぱらユイおばさんの尻にひかれているけど、見た目だけならまるでマフィアのボスみたいなおじさん。
小学校の授業参観にたまたまおじさんが来たばっかりに、クラス中が大騒ぎになったのを思い出した。
シンジのやつ、しばらくボスの息子として畏れられてクラスメイトから敬遠されてたっけ。
父さんのばかぁー!どうしてくれるんだよ!、とシンジがおじさんに泣きついておじさんが困ったように謝っていた光景が、今でも鮮明に思い浮かぶ。
「なにニヤニヤしてんだよ」
「ん?髪質と…あと目元は少し似てるかなって。中年になればおじさんに似てくるんじゃない?」
「げっ!?それ本当!?僕、将来ああなるのか…」
両手で顔を抑えて青ざめるシンジがおかしくて、あたしはお腹を抱えた。
そんなに嫌なんだ。
「ちぇ…そんなに笑うなよ」
拗ねたように口をすぼめながら、シンジが呟く。
「あははっ…でも、渋くていいじゃない?あんたも昔と比べたらちょっとは男らしくなったもんね」
笑いすぎて滲んだ涙をぬぐう。
むー、とシンジがまたむくれた。
ふと、シンジの顔が真顔に戻る。

「アスカはさ」
「ん?」

左手に持つペンがくるくると回る。
頬杖をついて、あたしを見つめて。


355 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 09:53:38 ID:???]
何?何?どきどきする!!

356 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/21(金) 09:56:27 ID:???]

「アスカは……。アスカは、どんどん綺麗になっていくね…」
はにかみながら、そう言われた。
「へ?」
「日を追うごとに綺麗になって…僕、それが眩しくて…アスカは本当にアスカなんだろうかって、時々真っ直ぐにアスカを見れなくなる」
あたしは一瞬なにを言われたのか分からなくて、呆然として。
それから燃えるように頬が熱くなったのを感じた。
「ば、ば、ばっかじゃないの!?あ、ああ、あんた何言ってんの!?」
机に突っ伏して両手で顔を隠して、あたしは叫んでいた。

なんで、なんで。
急に何を言い出すのよこいつは。

シンジの言葉にこんなに顔を赤くしてる自分が恥ずかしくて、馬鹿みたいで。
言われ慣れた言葉でも、こいつに綺麗だなんてと言われたのは初めてだったから。
嬉しさと複雑さに頭がぐちゃぐちゃになる。
大きく鼓動する心臓の音があたしの中で響き渡った。
「なーんちゃって」
「………………へ?」

なんちゃって?

その言葉にゆっくり顔をあげる。
その先で、頬杖をついてニヤニヤしたシンジが待っていた。
してやったりと言った表情で、にししっと笑う。「アスカったら耳まで真っ赤にしちゃって…ははっ、そんな可愛いアスカ見たのはじめブベラっ!!」
まるで10tトラックが壁に激突したような音が図書室中に響いた。
そばにあった英語の分厚いテキストで、シンジの顔を思いっきりぶん殴ってやった音だ。
「こんの、ばかシンジ!!!!」
そう言って、両手でシンジの胸ぐらを掴む。
「あ…あうあ…す、すみません…そんなに反応するとは思わなくて…」
殴られた左頬を抑えながら、ブルブルと震えて。「…今度やったらコロスわよ」


357 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 09:59:24 ID:???]
なぜ焦らすww罪なやつだw



358 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 10:00:20 ID:???]
ブンブンと頭を縦に何度も振るシンジ。

言っていい冗談と、悪い冗談があるわよ…。

シンジの言葉に一瞬でも浮かれて、心を躍らせて。
真っ赤になった自分が馬鹿みたいで情けなかった。

シンジを解放して、唇を咬んで俯きたい気持ちを我慢して、そのまま静かに椅子に座る。
お喋りに興じていた生徒たちがあたしたちを見て笑いを漏らしたり、
書架で本を吟味していた生徒が茫然としているのが少し気恥ずかしくて、あたしは小さくゴホンと咳払いをする。
シンジが小さく、ごめん、と呟いた。

「そういえばさっ」
あたしは話題を変えるために明るく切り出した。
「進路希望の紙、もう提出した?」
シンジがどこに行きたいのか知りたかった。
「進路希望…って、ああ。あれってもう出さなきゃいけないの?」
「ううん、来週まで。おばさんたち何か言ってた?」
「父さんは何も言わないよ。好きにしろって。母さんは…京都の方に行って欲しいみたい。僕も別にいいかなって」
京都。
たしか、おばさんたちの母校だと聞いている。
悪くないと思う。でも、
「あんた、今の成績で行けんの?」
「うっ…」
「ムラがありすぎなのよね。数学と物理と化学以外も頑張りなさいよ。特に英語!おじさんたちと同じ道に進むならなおさらね」
「国語すら出来ない僕が英語なんて出来るわけ…」
「やらないだけじゃん」「ううっ…胃が」
シンジの図星という図星をつきまくって。
情けない声を出しながらシンジが胃を抑えてる。


359 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/21(金) 10:05:19 ID:???]
「じゃあさ、アスカは決めてるの?」
「あたし?あたしは…」
シンジと一緒に、シンジと一緒のところへ。
そう言いかけて、でも、言葉が喉のところで引っかかる。
それでいいと思っていたのに、その言葉が出ない。

本当にそれでいいの?

14歳のあたしの声が聞こえた。

だって、友だちだもの。
一緒にいたいんだもの。
今までも一緒だったんだからこれからも一緒よ。

…あんたが一方的にシンジを追いかけて、シンジに縛られて、シンジに依存してるだけじゃないの?
あんたの中にはシンジしかいないのね。

うるさいわね…あたしの勝手でしょ

いくらシンジを想ったって、
あいつはあんたのことなんか見てないのにね。
あいつはもうひとりで歩いてる。自分で、決めて前へ進んでる。
恋人だって、大学だってそうじゃない!
いつまでもキンモクセイに縛られたまんまのあんたとは違うことに、早く気づきなさいよ。

うるさい!うるさい!あいつだって思ってるはずよ!あたしと一緒にいたいって、ずっとそばにいたいって!
こないだってあたしといると、楽しいって…!
だってあたしとシンジは…

「…すか、アスカ!」
「…な、なに?」
「なに、じゃないよ。どうしたの?急にボーッとして」

360 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/21(金) 10:06:10 ID:???]
シンジが心配そうに、あたしを覗き込んでくる。

あいつはあんたのことなんて見てないのにね。

さっきの言葉が頭の中でリフレインする。何度も、何度も。
気がつけば、あたしは思ってもみないことを口にしていた。
「あたし、ドイツへ帰るの」
「…ドイツ?」
あたしの言葉に、シンジの瞳が揺れる。
「ママがね、向こうに帰るからその時一緒に…グランマもいらっしゃいって…」
嘘、ウソよ。
帰る気も無い癖に、なんであたしはこんなうそをついてるんだろう。
「言葉も住む場所も問題ないし、向こうの大学はレベルも高いから…」
日本から出る気なんてないわ。
あたしはシンジと一緒にいるの。ずっとずっと。おばあちゃんになるまでずっと。
「それ、いつなの…?」
「…卒業したら」
馬鹿みたいなウソをついて、シンジの気をひきたがってる。
そんな馬鹿なあたし。
「そっか」

シンジはそれきり何も言わなかった。
課題の続きに再び取り組んで、何事もないようにあたしに答えを求めてくる。
あたしもなんでもない風に装って、シンジに答えを教えて。
時計は17時に迫っていた。



361 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 10:06:11 ID:???]
あぁん!じらしちゃいやーんw

362 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 10:08:03 ID:???]
wktkもいいとこだぜホント

363 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 10:08:46 ID:???]
でも、リアルタイムでわくわくさせられるこのどきどき感はたまらん!

364 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 10:09:48 ID:???]
何人見てんだろ?俺ともう二人で計三人くらいかな?w
いやマジで待ってた作品だから嬉しいわ、リアルで観れてw


365 名前:674 mailto:sage [2009/08/21(金) 10:10:01 ID:???]
とりあえずいじょう。


中途半端ゴメソ
続きはまた今度!キンモクセイがマジで咲く季節までには完成させないと、と焦ります。9月から忙しくなるんで。

みんな応援ありがとな!

366 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 10:10:53 ID:???]
>>365
ぎやぁぁぁぁぁぁぁ!!!
激しくGJ!だけど、ここで終わるのはいやぁぁぁぁぁあ!!!

367 名前:674 mailto:sage [2009/08/21(金) 10:11:28 ID:???]
ごめん、焦らしたんじゃないYO
規制されてケータイでポチポチしてた
元々ケータイで書いてるからまあいいけど、変な感じでコピペしてたらごめんね



368 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 10:11:38 ID:???]
>>365
乙!!!超乙!!!
欲を言えば早く続きが見たいが気長に待つぜ!!
やっぱあんたは最高だ

369 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 10:14:14 ID:???]
キンモクセイ待ってました!!
シンジがマジでわからないわ…
翻弄されてるアスカがかわいそうだけどイイッw
ハッピーエンド期待してます!

370 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 10:14:30 ID:???]
>>365
乙〜

ハッピーエンドになるといいね

371 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 10:16:22 ID:???]
イタモノ苦手だけどこーいう切ないのは大好きだwww

頑張って!シンジもアスカも幸せになれるといいね!

372 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 10:18:25 ID:???]
>>369
いいよねいいよね!
どう思ってるのかまったくわからない相手に
翻弄されるアスカ。すごくいい。
このわかんないシンジがまたすごくいいわ。
いずれ、二人とも内に秘めた激しい感情を
吐露しあうんだろうなとわくわくする。

373 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 10:19:48 ID:???]
続きいつ頃になりそう?

374 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 10:21:30 ID:???]
>>372
うむ・・・うむ・・・
久しぶりだな、ここまで続き楽しみな作品は

375 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 10:21:56 ID:???]
ハッピーエンドだったらハロワ行くわ


376 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 10:22:23 ID:???]
>>375
今すぐ行けw

377 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 10:31:16 ID:???]
>>372
でも、両方意地っ張りだから
案外どっちかが激情して迫っても、
相手は感情を押しとどめて
受け流しちゃうかも…
あぁぁぁどうなるにしろ、続き気になるぅ!



378 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 16:35:11 ID:???]
異性系イタモノと書いてあった瞬間に読み飛ばした俺にダメージは…
存在するだけで大ダメージだぜ、グファ。。。

379 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 18:03:07 ID:???]
アスカだけ、とかシンジだけ、は苦手だけとどっちも異性系だと案外イケる
精神的にはアスカの一途な片思いだけど…
続き気になるわ!

380 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 19:16:20 ID:???]
キンモクセイさんは凄い
ところで、ここに居るプロの書き師は何人いるの?
キンモクセイさん、円谷さん、碇アスカさんを書いてる人
俺が知ってるだけで3人です



381 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 19:26:16 ID:???]
待ってたよー!!
あぁGJ。素晴らしい!
続き楽しみにしてます。

382 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 19:41:12 ID:???]
>>380
その三人以外の作者に対して失礼だって分かって書いてる?

383 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 19:46:28 ID:???]
ifっぺえ

384 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 19:47:43 ID:???]
その名は出すな

385 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 19:53:19 ID:???]
>>380
アスカ「最っ低!」

386 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 19:56:34 ID:???]
>>382
 まっ、夏休みですから

387 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 20:09:29 ID:???]
>>380
プロっていう括りはハードル高杉だが…夜の帳の人と、パッチンさんもいい



388 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 20:17:41 ID:???]
どの作者が良いとか言う話はやめろ

389 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 20:42:19 ID:???]
>>388
同意
わざわざ書いてくれる人に失礼すぎる

390 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 20:43:15 ID:???]
僕はifさんとトゥルーさんとリスペクトしてます

391 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 20:44:59 ID:???]
>>388
超同意

みんな楽しみにしてます

392 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 21:13:55 ID:???]
新規さんのスピードと勢いに圧巻されているw
読む方も大変だな。もちろん嬉しい悲鳴なんだけど

393 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 21:36:44 ID:???]
>>327
の続きです。
あと、少しなので嫌いな人はもう少し
辛抱してくださいね

394 名前:Another Way Quickening後編 mailto:sage [2009/08/21(金) 21:37:36 ID:???]
「10分だけ、待ってやる。武器を捨てて投降しろ。10分後に攻撃を開始する。」
スピーカから高圧的な警告が流れる。
「アスカ、逃げるわよ。大丈夫、連中はエヴァに当たるのを恐れて、重火器は使わないわ。
エヴァを楯にしながらVTOLを飛ばせば逃げらる。ヨーロッパに逃れて、皆でシンジ君を
助ける方法を考えましょ。」
アタシは、もう一度、槍に手当てて、下を向く。
「マリ、最後の命令を伝えます。良く聞いて。」
「へ?何スか?改まって。」
「現時刻を持って、アタシの救出作戦を破棄、残りの生存者を連れて、ユーロと合流をして。」
「ちょ、何を言ってるんスか?バカな事を言わんで下さい。」
「そうよ。アスカ、貴女を置いて行ける訳無いでしょ。」
「皆、ごめんなさい。アタシも最初から、あんな事しても無駄だって解っていたの。
実は、アタシはここへは死にに来たの。」
「何言ってるんスか?折角、助けに来たのにそれは無いでしょ。」
「ねぇ、マリ。何でアタシがあんな厳重に監禁されたか知っているわね。」
「ええ、大尉は処刑されるんですよね。」
「正確に言えば、処理ね。あの事件を見て驚いたNERVの上部組織は、エヴァの運用を見直す
事にした見たい。それで、エヴァのパイロットは最小限に抑えるって決めたのね。余分な、
パイロットは処理する。その第一号がアタシ。何せ、アタシはある意味事件の当事者だしね。」
「一寸、アスカは子供よ。良くそんな事、できるわね。」
「仕方が無いわ。どうせ、アタシ達は使徒と戦う道具なんだもん。必要無く成れば捨てられるだけ。
第一、子供を利用したのは、ミサトも同じでしょ。人の事を批判できると思う?」
「そうね。子供を利用して生き延びて、その挙句がこれだもんね。自業自得か。でもね、
だからこそ、アスカは生き延びて。折角、ユーロが受け入れるって言ってるでしょ。」
「あのね。連中もアタシを道具としてしか見て無いの、そこへ逃げ込んでもいずれ、高値で売り飛ばされる
に決まってる。良い?相手は月面まで拠点を持ってる組織よ。何処へも逃げ場なんか無い。いずれ、
殺されるなら、シンジの側で死にたいの。」

395 名前:Another Way Quickening後編 mailto:sage [2009/08/21(金) 21:39:00 ID:???]
「はぁー、仕方がないにや。大尉の我儘に付き合うのは成れ子だからね。良いスよ付き合います。
と言う訳で、葛城一佐、三人で逃げて貰えます?」
「バカな事言わないで、私も残るわ。私はアスカの上司です。彼女を最後まで守る義務があります。
加持君、リツコをお願いできる?」
「あのな。俺が女子供を置いて逃げるなんてかっこ悪いマネが出来ると思うか?問題は、リッちゃん
だが...。」
「私は、VTOLなんか操縦できないわよ。私も残るしかないわね。大丈夫よ。私だって、銃位扱えるわ。」
「どうやら、全員残る見たいスね。」
「もう知らない。勝手にすれば?」

「まだ、少し時間があるわ。ねえ、アスカ、最後に教えて。」
ミサトがアタシの頭を優しく撫でながら聞いてきた。
「何かな?」
「アスカは、シンジ君の何処が好きなの?」
「それが、良く解らないんだよね。そりゃー、料理が上手いとか優しいとか色々、上げられるけど、でもね。
それって、好きになって後から付けた理由なの。人を好きになるって、そう言う事じゃ無いのかな?」
「アスカにしては曖昧な答えね。まぁ、可愛いけどね。」
「本当は、恥ずかしいから言わないで置こうと思ったけど、最後だから言うとね。運命って言うか、アタシは
シンジを好きになる為に生れて来たんだって思ってるの。おかしいでしょ。」
「アスカって、本当に可愛いわね。もっとも、貴女は大人ぶってるけど、本当は中学生だもんね。それも
有りかな?」

396 名前:Another Way Quickening後編 mailto:sage [2009/08/21(金) 21:39:54 ID:???]
その時、マリがミサトを後ろから後頭部に一撃をくらわした。不意を突かれたミサトは崩れ落ちる。
「マリ!何て事すんの!?」
「加持さん、これで葛城一佐を連れて行ける。三人で逃げなよ。」
「助けてくれるって事か?」
「勘違いしないでくれる?アタシは大尉と違って育ちが悪いから、滅多に人を信じてないだけ、大尉は優しくされると
直ぐに他人を信じるけど、アタシは今でもNERVの人間を疑って居る。そんな人間と、一緒に死にたくない。」
「随分と、嫌われたもんだな。」
「当たり前よ。特に、アンタには殺されかけているからね。」
「何の事かな?」
「とぼけないでくれる?5号機の自爆タイミングは明らかに早かった、あれは誰かが意図的に仕組んだもの。」
「その犯人が俺だと?」
「あくまでも白を切る気?まぁ、良いわ。いずれにしろ、子供を利用して生きて来た人が今更、子供を守るなんて
偽善でしか無いもの、そんな人間とは一緒に戦えない、ただそれだけ...。」
「解った。葛城とリッちゃんは連れて行く。それで良いんだな。」

三人を乗せたVTOLが飛び立っても連中は何もしなかった。やはり、連中はアタシ以外は興味無いみたいだ。
「ありがとう、マリ。」
「別に、礼を言われる事をして無いスよ。あれは、本気だからにゃ。」
「出来れば、マリにも逃げて欲しかったな。」
「大尉を置いて逃げたら、自分にも行き場が無くなるス。だったら、大尉とお供します。」
「ごめんね。勝手な事ばかりで。」
「いいスよ。大尉も行き場は無いですからね。」

397 名前:Another Way Quickening後編 mailto:sage [2009/08/21(金) 21:40:40 ID:???]
「時間だ。答えを聞こうか?」
「答えは、これだぁー!」
言うが早いか、マリが銃を乱射した。遠巻きにしている連中に届くわけでもないのに何、格好付けるかな?
引きつけて、攻撃とか少しは考えてよ。まぁ、死ぬ時間が多少変わるだけか...。

相手は反撃とばかりに、迫撃砲を撃ってきた。放物線を描いて迫ってくる砲弾がやけにゆっくりに感じられる。
これに当たって死ぬのか。痛いかな?出来れば、苦しまずに死にたいな。
シンジは結局、アタシを守ってくれなかったね。
アタシは、槍に手を当てて、最後の時を待つ事にした。こうしていれば、シンジと繋がっている気がしたからだ。

砲弾はかなり離れた所に着弾すると、中からガスが噴き出す。
ガス弾だったのね。まぁ、良いわ。この辺に充満した所で思いっきり吸えば、一思いに死ねるわね。
ガスを思いっきり吸いこむと、意識が遠のいて行く。
薄れていく意識の中で、アタシは槍が動くのを感じた。そして、遠くの方で響きわたる、咆哮が聞こえた。

続く...。



398 名前:Another Way Quickening後編 mailto:sage [2009/08/21(金) 21:41:35 ID:???]
と言う訳で、次回は?です
これも前後編に別れそうです。

399 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/21(金) 22:40:53 ID:???]
キンモクセイさん、Another Way Quickeningさん
超超GJです。
楽しませてもらってアリガトー!
しかし、今夜は生殺し状態・・・
続きを楽しみにしてます。
おねがいします。






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