- 322 名前:4/4 mailto:sage [2009/01/05(月) 22:48:06 ID:PlyaNIHd]
- しばらくはぬるい海の中を漂っている風だった。
身体中に染みわたっていた快楽がカーテンのように引いていく。頭の中に張った白濁した膜が溶け去る。ようやくリチアの神経を麻痺させていた白い化物が帰っていった。 心地よい脱力感にいつまでも身を浸しても居られない。リチアは荒い呼吸をやっとの思いで押さえつけ、着衣を整える。役目を果たしたクンツァイトのソーマが彼の首元に収納されていった。 「……はぁ、はっ……。今の、は……?」 「性器の充血、筋肉の硬直を確認。オーガズムを迎えたと推測します」 「……お、オーガズ、ム?」 聞きなれぬ言葉に、リチアは思わず鸚鵡返しに聞き返す。 「肯定。性的快感の極地。俗語的な言い回しをすれば、『イった』」 「……!!」 顔が炎で炙られているのかと思うほど激しく熱した。 そういった単語は耳にしたことがあったが、まさかこの今自分が経験するとは思いもよらなかった。先程のあれがそうだったなんて。あまりの恥ずかしさに目元には涙さえ滲む。 ……このまま消えてしまいたい。 「しかし、それは『豊乳コース』の使用です。よってアナタが羞恥を覚える必要性は皆無です」 珍しく空気を読んだクンツァイトが、どこか慰めるように告げる。 「……そ、そうは言っても……」 とんだ痴態を演じてしまった。 ああも淫らに声を上げて、身体を捩じらせて、…………。 彼にあのようなあられもない姿を見せてしまったのだ。これからは視線さえも合わせられない。 「……とにかく! あ、ありがとう、ございました」 「問題ありません。更なる豊乳をお望みであれば、いつでもお申し付け下さい」 ただ、起伏の薄い何時も通りのクンツァイトの表情だけが救いだった。 (……全音声と映像を、自分の『お楽しみライブラリ』に登録する!)
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