- 247 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/05/09(水) 13:13:54 ID:Jlh75c4z]
- 「あんた誰?」
ある朝、ルイズが目を覚ますと、ベッドにはもう一人の自分がいた。 もう一人のルイズは、うにゃうにゃと目を覚ますと、驚きに目を丸くして言った。 「あんたこそ誰?」 「わたしはルイズよ。ルイズ・フランソワーズ。貴族の娘よ」 「わたしがルイズ・フランソワーズよ。あによ。あんた、人の名前を騙ろうっていうの?」 にらみ合う二人のルイズ。険悪な空気がただよう。 「わかった。誰かが魔法で変身したのね。あんた、馬鹿なことしてないで、さっさと正体を見せなさいよ」 ルイズAがぽんと手を叩き、ルイズBの肩をつかむ。 「痛っ。なによ。あんたこそ誰かの変身したわたしでしょ? なんでそんなにあつかましくできるの?」 肩におかれた手を振り払うルイズB。むむ、という感じで不機嫌になるルイズA。 「そんなわけないでしょー? わたしはわたしなんだもん。だったらあんたが偽者でしょー?」 「わたしが本物だもん。ならあんたが偽者に決まってるでしょー?」 真偽のほどが分からない。そのうちルイズAがなにかをひらめく。 「そうだわ。ディテクトマジックがあったじゃない。あれを使えば、魔法が解除されるわね」 そういって、ニヤリと笑う。 「あら。それで困るのはあんたの方でしょ? わたしはわたしなんだもん。平気よ」 ルイズBも同じように笑い返す。 呪文の詠唱が始まった。 室内に響く、ユニゾンで呪文を唱える声を聞いてサイトが目覚めると、ベッドの上には二人のルイズが。 思わず目をこするサイト。しかしルイズは二人のままだ。 「な、なんだこれ?」 驚くのも無理はない。二人のルイズは、にらみ合うようにして魔法の詠唱をつづけている。 「二人いるよな」 思わず呟くサイト。どうやら夢ではないようだ。 「ディテクトマジック!」 やがて呪文の詠唱を終え、ルイズたちがお互いに魔法をかけ合う。 室内が光で満たされる。 「うわっ!」 再び驚くサイト。 光が引き、ベッドの上を見る。 「ど、どうしてよ?」 「なんで、あんたがまだいるの?」 魔法をかけ終わっても、ルイズはまだ、二人のままだ。 「ルイズ。な、なにがどうなってんだ」 駆け寄るサイト。 二人のルイズは、よく分からないといった風に首をふる。 「なんか分かんないけど、増えちゃったみたい」 二人とも、ぽかんとしている。 サイトも、ぽかんとした。
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