- 689 名前:この名無しがすごい! mailto:sage [2017/11/15(水) 23:18:49.13 ID:db9l+B4N.net]
- 使用お題:『人力車』『御令嬢』『嘘』
【Rickshaw−do】(1/3) カラカラカラカラカラカラカラ…… ファルマリア・フォン・リヒテンバーグが王都を走り始めたのは、朝靄も未だ濃い早朝の事だった。 仮にも伯爵家御令嬢が外出するのだから、その場には護衛の従者が二人程伴っている。 「しっかし、良く続きますねぇ……毎日毎日、飽きないんですか?」 「愚問でしてよ? コーネリアス。これは既に私の生活の一部なのです」 ファルマリアの答えにコーネリアスが「そんなもんですかね」と呟く。 つい1年ほど前まで、不摂生の為に死にそうな顔でコルセットを絞めていたとは思えない、今の健康的なプロポーションの彼女を見ながら、コーネリアスは(変われば変われものだ)と、感心していた。 実の事を言えば、こうして生活が変化した貴族子弟は、ファルマリアだけではなかった。 薄くなった朝靄に目を凝らしてみれば、王都の彼方此方で走っている貴族令嬢に気が付くだろう。 「あら?」 「ああ、ファル。御機嫌よう」 「ええ、ネフィこそ、御機嫌よう」 バッタリと会い、にこやかに挨拶を交わす二人は、そのまま一緒に走り出す。 カラカラカラカラカラカラカラ…… 「今日もコースを一通りかい?」 「ええ、そのつもりですわ」 「なら、わたしもご一緒して構わないかな?」 「ええ、構いませんわ。第一、私達チームメイトではありませんか」 「違いない」
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