- 616 名前:この名無しがすごい! mailto:sage [2017/11/10(金) 21:51:08.33 ID:Yec2y6GC.net]
- 使用お題:『英語以外の外国語』『夜道』『月が綺麗ですね』『魔王』『テキーラ・サンライズ』
【魔王の色々な冒険】(1/3) な「「「今日限りで辞めさせていただきますゴブ!!」」」 「ちょちょっとお〜!!」 謁見の間では、ゴブリン大隊長3匹の背に手を伸ばしたまま、魔王が固まっていた。 「あーあ、先日オーク隊もこぞって辞めたばかりじゃないですか……人望有りませんね、魔王様……」 「クッソー!! 勇者さえ! 勇者さえ現れなければあ!!」 魔王軍は今、壊滅の危機に瀕していた。それまで魔物故の繁殖能力の高さによる数に任せて領土の拡大を続けていた魔王軍だったが、それに終止符が打たれたのだ。 なんと、魔物の脅威から人類を守るため、人間の王国が事もあろうに異世界から勇者を召喚したのだ。 「拉致連行だと思うよな? そうだろう? ゾーリンゲン!」 半人半蛇の魔物ゾーリンゲンは「まあそうですね」と答える。 「ですが、件の勇者はノリッノリで魔物を倒してますし、決して本人の意思を歪めてると言う訳では無いと思いますが……」 「そこなんだよなぁ……ニホンジンだっけ? 何でアイツ等、何の疑いも無く俺達魔物を殺せるの? 可笑しくね?」 「先代の時もそうだったんでしたっけ?」 「そうそう、何なの異世界、あんな危ない奴らがウロウロしてるの? それどんな世紀末?」 魔王が玉座に座り頬杖をつく。 「ですが、先日、その勇者がクラーケンを従えたとも聞きましたが?」 「マジで!?」 「はい……それは兎も角、兵士の補充をしませんと」 その言葉に魔王が反応する。 「それなんだけどさ、補充するの兵士だけじゃなくてさ……」 「……おっしゃりたい事が有ればハッキリとおっしゃってください」 「えー、まぁ、それなら言うけどさ、その、そろそろ妃が欲しいなぁ……なんて……」 「……自分の顔を見てショック死して転生してから言って下さい」 「ちょ! おま!!」 魔王が傷ついたとばかりに頬を膨らませる。 「止めて下さい、心臓が止まるかと思いました」 「いや、ちょっと、お前、酷過ぎるだろ?」 「自覚してからが勝負どころです……さて、何故、今この状況で妃を?」 「いやぁ、やっぱりさ、部下も綺麗ドコロ? って言うか、アイドル的存在がいた方が士気も上がるんじゃないかって思う訳さ、魔王的に!」 ゾーリンゲンが「ホウ」と感嘆の声を出し、目を見開く。 「見直しました。魔王様……まさか自らの不細工さ加減に自覚があったとは」 「おま! そっち!?」 「勇者とやらも巨乳の聖女を連れていると言う話ですしね……それで、アイドルそのものでは無く“妃”と言う事は、見初めた方がいらっしゃるのですね?」 的確に見抜かれた魔王が「グウ」と声を漏らす。だが、ゾーリンゲンが思いの他話を聞いてくれそうだった事もあり、気が変わらない内に……と、詳細を話す事にしたのだ。
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