- 247 名前:1/2 mailto:sage [2017/10/27(金) 19:45:38.86 ID:HXQ7b8Nh.net]
- 使用お題:『長靴下のピッピ』『きのこ』『ゲーム』『全否定』『60億(単位は自由)』
【今から私とゲームを始めましょう】 「育人さん、私とゲームをしませんか?」 私の言葉に、育人さんは可愛らしい顔を苦々しく歪めました。 反面、私は期待通りの反応に頬が緩みます。 「いや、しないよ。だってまひるちゃん、性格悪いからね」 「いけない人ですね。三年も付き合っている彼女に対する言葉とは思えません」 「言ってもいいと思うけどなあ。事実だもの」 そう言って育人さんはぷいっと顔を横に逸らしました。 「いくら事実といっても、真正面からそんなことを言うから、育人さんは女の子に酷い人と言われるんですよ?」 「いったい誰が言っているのかな? 初耳なんだけど」 「言えません。女の子同士の友情は固いんです」 私が牛のクッションで口元を隠すと、育人さんは諦めたようにため息を吐きました。 「一度も勝てた試しがないからなあ。まひるちゃんは勝つためなら、容赦せずになんでもするし」 「一番になるためならどんな手でも使えと、母からの教えですから。そうですね……育人さんが勝ったら、私から景品を受け取るというのはいかがでしょう?」 「いらないものなんでしょ。どうせ」 育人さんは私の性格が悪いと思っています。 不信感いっぱいの目ですね。 こういうところが可愛いと思うあたり、やはり私は性格が悪いのでしょうか。 まあ些細なことですけどね。 「いらないものかどうかは、私が決めることではありません。これです」 私は本棚から一冊の本を取り出しました。 「いいものではないかな。『長くつ下のピッピ』って……僕はこれでも十九歳、大学生だよ? 絵本を読む歳じゃないよ」 「いい本に年齢は関係ありません。名作ですよ? 私の愛読書です」 「一周回って面白いかもだけど……」 「石のように固い頭ですね。そこまで渋るのなら別の手があります」 「いくらか嫌な予感がするけれど、何?」 私は姿勢を女の子座りから、正座に移し、育人さんの瞳を見つめます。 濃い黒色で、とても素敵な目です。私が独り占めしてもいいのでしょうかと、時々不安になります。 おっと、今は大事な話の最中でした。こんな事を考えている場合じゃありません。 育人さん、そろそろ決着を付けさせてもらいますね。 「一度目の勝利にはやはり相応の特別を。育人さんが勝ったら、その、育人さんの……き、きのこを噛み千切ってあげます!」 「い、痛いだけだよねそれ。というか、きのこってまた随分とベタな隠語を……」
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