- 354 名前:名刺は切らしておりまして mailto:sage [2018/05/16(水) 19:52:42.40 ID:6EDFSGqG.net]
- 警備をやめ65歳になった俺は、
貯金も底をつき生活保護を申請に役所に行った。 役所の窓口は鉄格子で覆われ、両脇にはガードマン まるでアジアの銀行のような物々しい雰囲気だった。 俺が生活保護の申請を申し出ると、役所の男性職員が面倒臭そうに1枚の用紙をくれ、 「はいはい、これね。必要事項を書いて郵便で申請して。1ヵ月で結果を郵送しますから」 職員はそれだけ言うと、すぐに次の高齢者に同じ説明を始めた、申請者が次々来るのだ。 俺が、「1ヵ月も待てないです、今月末にもアパートを追い出されそうで」と言うと、 職員はさらに面倒臭そうに1枚の地図をくれ、「じゃここ行って。毎晩炊き出しやってるから」 俺は諦めて帰るしかなかった。 後日、役所から1枚のハガキが届いた。ハガキの内容は言うまでもない。当然の内容だった。 俺はただ眠るしかなかった。寝ている間は嫌なことは全て忘れられる唯一の時間だったのだ。 「このまま二度と目が覚めなきゃいいのに。警備なんてやるんじゃなかった。警備なんて」 俺の頬を冷たいものが伝う。何の努力もせず警備まで墜ちた代償は、あまりに大きかった。 「おいっ!起きろ!交代だよ、いつまで寝てんだよ!新人!」 俺は悪臭漂う警備の仮眠室で目が覚めた。すべては夢だったのだ。 いや、夢なんかじゃない。俺はきっと20年後の未来を見て来たに違いない。 俺はその日、警備を辞めた。
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