- 1 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/03/26(金) 06:09:47 ID:uW729sCA0]
- ___ ___ ___
(_ _)(___)(___) / ̄ ̄ヽ (_ _)(__ l (__ | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ } |__) ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_ l⌒LOO ( ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ | ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_, _)フ 「 | ロ | ロ | ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂 (_,ィ | </LトJ_几l_几! in 801板  ̄  ̄ ◎ Morara's Movie Shelf. ◎ モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。 なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |[]_|| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ]_|| |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ̄ ̄ ̄| すごいのが入ったんだけど‥‥みる? |[][][]._\______ ____________ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |[]_|| / |/ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.|| |[]_|| |[][][][][][][]//|| | ̄∧_∧ |[][][][][][][][].|| |  ̄ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.|| | |[][][][][][][][]_|| / ( つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (__)_) 前スレ モララーのビデオ棚in801板56 yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1265871268/ ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-9のあたり 保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有) morara.kazeki.net/
- 18 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/03/27(土) 13:43:07 ID:E11/yrDF0]
- >>12
うああ、待ってました!! 唄のこのストレートさに六弦はヤられっぱなしのような気がするw 聴いてるこっちが恥ずかしいわ (でも高低ズの唄の曲って六弦に捧げたっぽいの多いよね)
- 19 名前:ピンポン 再見 1/5 mailto:sage [2010/03/27(土) 22:59:34 ID:U1LhbNz50]
- >>1乙です
ピンポン ドラチャイ 56-429 56-448 56-456 の続き 56-456の半年後 じわじわとしか進まない二人だよ |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「コンちゃんさー、つうかさー、普通見えねーでしょ」 「見える」 「おっかしーだろー。なんでホームにいる孔ちゃんが、ロマンスカーに乗ってる人間ハアクできるのよ」 あるうららかな土曜日の午後、孔は木村に誘われて、町田まで遊びに出た。 木村は時々、思い出したように孔を遊びに誘ってくる。 江の島からは小田急線で一本。程々に遠く、程々に近い。 初めて行く街は、賑やかでおもしろかった。 駅ビルを冷やかし、木村のナンパに呆れながら付き合い、109の前でたむろする女の子の化粧に圧倒され、ラーメンを食べ、そろそろ帰るべぇかと言う木村と二人、駅のホームで急行を待っていたところだった。 向いの新宿行きのホームに、藤沢から町田を通過して終点へ向うロマンスカーが入ってくる。 停車しないロマンスカーは、駅の構内に入るとスピードを落とす。 見るともなく乗客を眺めていた孔は、その中に見覚えのある顔を見つけて声をあげた。 「風間!」 ほんの一瞬だったが、確かに風間だった。 向こうもこちらのホームを眺めていたらしい。 風間は一瞬驚きの表情を見せ、手を上げ、笑った。 風間の姿はあっという間に視界から消えた。
- 20 名前:ピンポン 再見 1/5 mailto:sage [2010/03/27(土) 23:00:31 ID:U1LhbNz50]
- 孔は少し興奮気味に、よそを向いていた木村に「風間、いたよ今! ロマンスカー!」と言った。
「あ? 風間って誰?」 「誰て…海王の、風間。私、試合した」 「あーあーあー、あの『海王の風間』」 「そう」 「ロマンスカー? 乗ってたの見えたの?」 「うん」 「うっそでしょー。通過列車よ。走ってたじゃん」 「私うそ言わないよ」 と続き、先の会話になったのだった。 「木村、卓球の玉と、今のロマンスカー、どちら早い?」 「そりゃー、ロマンスカーに決まってるでしょー」 孔は額に手を当てた。 「木村が卓球へたな理由、今わかた」 「なんだよそれー」 停車した片瀬江ノ島行きの急行に乗り込みながら、孔は今見た風間の姿に思いをはせた。 髪が伸びてた。 髪が伸びた風間を見てみたい、と言ったのは自分だ。だが、 …なんだか知らない人みたいだ。 知らない人間もなにも、実際何も知らないのではあるが。 孔は風間と親しく付き合ったことはない。 繋がりは卓球だけ。 星野が渡欧するというので空港に見送りに行った時に顔を合わせて以来、接点はまったくなかった。 あれから半年の間に髪が伸びたのだろう。空港で会った時は眉はあったが、髪の毛はまだ剃っていると言っていた。 私服で、髪が伸びて、普通の様子をしている風間に少しどぎまぎした。
- 21 名前:ピンポン 再見 3/5 mailto:sage [2010/03/27(土) 23:01:58 ID:U1LhbNz50]
- 木村が吊り革につかまりながら孔に言った。
「ねーねーねー、やっぱりつるっぱげだった? 海王の風間」 「つ…つる?」 「あー、髪の毛なかった?」 「あたよぉ。まゆげもある」 「へぇー、やっぱ伸ばすんかー。あたりまえかぁ」 「かこよくなてたよ」 「想像出来ねー」 孔は笑った。確かに想像出来ないかもしれない。 「木村、『卓球通信』見てないか?」 「えー? 読まないし見ないよー。俺卒業したじゃん卓球。ゲンエキの時も見たことねー」 「風間、載てるよ」 「なになに、孔ちゃんたら、わざわざチェックしてんの?」 図星を指されて、孔は一瞬言葉に詰まった。 卓球通信を手にしたら、風間を探してしまうのは事実だが、それは星野の記事を探すのと一緒だ。 木村の言い方はまるで、違う意味に聞こえる。 「そんなこと言てない。本見てたら目に入る」 「あー、何赤くなってんのよー」 「赤くなてない」 本気で孔が怒りそうだと見たのか、木村は口を閉じた。
- 22 名前:ピンポン 再見 4/5 mailto:sage [2010/03/27(土) 23:03:06 ID:U1LhbNz50]
- 孔は突然暑くなって、Tシャツの首をつかんでパタパタと空気を送り込んだ。
しばらく無言が続いたが、木村はどうにも落ち着かないらしく、口の端をもぞもぞと指で掻いている。 孔は木村のそぶりに気がついたが、無視して吊り広告を見るふりをしていた。 我慢出来なくなったらしい木村が孔をつついてくる。 「孔ちゃーん」 「なに」 「怒ったのー?」 「怒てない、別に」 「怒ってるじゃーん」 「怒てない」 「拗ねないでー」 「拗ねてない」 「んもー、そんなかわいい態度取っちゃったらさー」 「なに」 「恋する乙女みたいって言われちゃうよー、俺に」 孔は黙って木村の足を踏んだ。 「ぐわー! いでででで! 言わない言わない!」 「よし」 「孔ちゃん乱暴」 「人からかう、木村悪い」 「だってさー、孔ちゃんなんか嬉しそうだしさー」 「嬉しそう? …そう?」 孔は慌てて顔をこすった。 嬉しそう? そりゃ、まあ、久しぶりに旧友に会ったようで嬉しい。 旧友と言えるかどうかは別として、風間に会えたのは嬉しい。 風間もこちらを認めて、笑ったのが嬉しい。 あんなところで偶然、お互いを認識できたなんて、ちょっと奇跡みたいじゃないか。
- 23 名前:ピンポン 再見 5/5 mailto:sage [2010/03/27(土) 23:04:55 ID:U1LhbNz50]
- 藤沢に着いたところで電車を降りると、孔は知らずに息をついた。
風間もここからロマンスカーに乗ったのだ。今までも気がつかないだけでどこかで交差して、どこかですれ違っていたのかもしれない。 「孔ちゃんこれからどうするー?」 「ん…帰ろかな」 「そかー、じゃまたなー。俺、飯食ってくわー」 「バイバイ」 孔は少し迷ったが、一駅分、歩くことにした。たいした距離ではない。夕焼けがきれいだ。 一人になって、自分の思いに沈み込めるのがありがたかった。 孔の頭の中はいま、風間のことでいっぱいだ。 会えてよかった。一瞬だったけど、顔が見れて嬉しい。 風間はもうとっくにロマンスカーを降りただろう。どこへ行くのだろう。 …誰と、会うのだろう。 先程の風間の顔が浮かぶ。 驚き、そして笑顔になった風間。 いったい俺は何だって好きな女の子のことを考えるみたいに風間のことばかり考えているのだ、と思いながら、なんとなく温かい気持ちを抱えて、孔はゆっくりと歩き出した。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! ナンバリングミス失礼しましたorz 1/5が2つあるよ
- 24 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/03/28(日) 00:18:51 ID:9Z86MWb8O]
- >>19
貴方様のドラチャイを読みに…と思ったらなんと新作がー!! 丁寧に優しい時間が過ぎていくのが、そしてチャイナのカタコトの日本語が可愛くてたまらないですw
- 25 名前:そ/こ/で/お/は/よ/う/の/キ/ッ/ス 0/4 mailto:sage [2010/03/28(日) 01:20:48 ID:XWUMvsxq0]
- >>1乙です
____________ | __________ | | | | | | | |> PLAY. | | | | | | ∧_∧ 生注意 | | | | ピッ (・∀・ ) ベリショのおじさまCa/ts m/e×蛇事務所暴風雨の四男 | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 26 名前:そ/こ/で/お/は/よ/う/の/キ/ッ/ス 1/4 mailto:sage [2010/03/28(日) 01:21:58 ID:XWUMvsxq0]
- 俺じゃだめ?
丹乃宮はテーブルに行儀悪く肘をついたまま、烏龍茶のグラスを傾けてそう言った。 泥酔しきった丹乃宮をタクシーに押し込んで彼のマンションまで送り届けるはずが、 自宅に連れてきてしまったのは一時間ほど前のことだ。 今日は俺、帰らないよ! だって鍵なくしちゃったもん。 そう唇を尖らせた二回り近く年下の友人を路上に放置することはさすがに憚られ、 立つことも出来ないくらいふにゃふにゃの丹乃宮をほとんど担ぐようにして帰宅したのだった。 まだ酔っ払ってるのかコイツ、そんな思いを込めて鷹嘴は短く問い返した。 「……は?」 「だからぁ、一人寝が寂しいっつってたじゃん。俺じゃだめ?」 「おまえ、こんなおっさんつかまえて妙な冗談言うもんじゃないよ」 冗談。 その響きを半ば確かめるように、半ば嘲弄するように繰り返した丹乃宮は まるでマジックの道具を扱うような手つきでグラスを弄んだ。 丸い指先がグラスの縁を滑る。 「本気だ、って言ったら?」 唇の端をつりあげた丹乃宮が躙り寄る。子供のような掌が鷹嘴の頬を包んだ。 顎にある寂しげなほくろが妙に至近にあることを訝しむ暇も与えられず唇を重ねられ、 無意識のうちに丹乃宮の舌に応じてしまった自身を鷹嘴は内心で恥じた。 戸惑いと照れを浮かべた年上の友人を罠にかかった獲物を眺める表情で見つめた丹乃宮は、 鷹嘴が拍子抜けするくらい色気のない仕草でTシャツを脱ぎ捨てた。
- 27 名前:そ/こ/で/お/は/よ/う/の/キ/ッ/ス 2/4 mailto:sage [2010/03/28(日) 01:23:44 ID:XWUMvsxq0]
- 「痛くしたらキレるからね、俺」
爼上の鯉よろしくベッドに横たえられているというのに、 平素と些かも変わらないちょっと生意気な口調だった。それが鷹嘴には嬉しい。 彼が呼吸をするように演技の出来るたちであることにもなんとなく気づいていたから、 丹乃宮の行動が芝居などではないことに安心したのかも知れなかった。 「おまえの声って通るんだから、あんまりうるさくしないでくれよ」 「大声出ちゃうくらい、気持ちよくさせてみろっつーんだよ」 誘うというには余り色気のない口調でそう告げた丹乃宮は、鷹嘴の首に腕をまわした。 鼻先を掠めたアルコールのにおいがやけに生々しい。 筋肉も贅肉も薄い、ただただ平坦な腹を撫でると丹乃宮は体を捩るかすかな抵抗をみせた。 「やだよ、それ……くすぐったい」 「敏感だなあ」 鷹嘴にそう誂われた丹乃宮は、むっとした様子で目を逸らす。 年齢よりもずっと幼い表情だったので、鷹嘴は妙にどきりとする。 丹乃宮はこんな表情を、どれくらいの人間に見せてきたのだろうか。 相手の経験の多寡にいちいちこだわるほど鷹嘴だって若くはない。 そもそも鷹嘴からすれば子供に等しい年齢とはいえ、既に少年と呼ばれる時期は終えた丹乃宮だ。 これが彼の初めてのセックスであるはずはない。 それでも自分がいたいけな少年に対していけないことをしているような罪悪感に駆られ、 鷹嘴は敢えて丹乃宮に確認した。 「オッサンだけど、俺でいいの。丹乃」 「ばっかだなあ、俺はあんたがいいの」 丹乃宮の返事はこちらが気恥ずかしくなるくらいに明瞭だった。
- 28 名前:そ/こ/で/お/は/よ/う/の/キ/ッ/ス 3/4 mailto:sage [2010/03/28(日) 01:25:19 ID:XWUMvsxq0]
- 体を裏返して四つ這いにしてやり、窄まりの周辺を指の腹で擽ると、丹乃宮は不安げに鷹嘴を振り返った。
その視線にダイジョーブダイジョーブ、とごく軽く応じた鷹嘴は、 丹乃宮の漿果から零れた先走りを絡めた指で緊張しきったそこをゆっくり解していく。 指を鈎の形に折り曲げて前立腺をやや乱暴に引っかいても丹乃宮は短く喘ぐばかりだ。 はやく、と小さな声で急かされた鷹嘴は昂った自身を取り出すと、 既にひくついた丹乃宮の後ろにあてがい、一息に押し込んだ。 「ひ、あっ」 「丹乃、苦しい?」 そう問われて首を左右に振った丹乃宮は、より深い快感を求めるように自ら腰を動かした。 ポーカーフェイスと形容されることの多いこの男が、熱に浮かされたように目を細め、 唇を小さく開けて息をつく光景はそれだけで鷹嘴を煽った。 「活未、活未っ……!」 上擦った声が鷹嘴の名前を呼ぶ。 応じて深く突き入れると丹乃宮の腰が逃げるように動いた。 両手で引き戻して穿つ。くぅん、と子犬めいた嬌声をあげた丹乃宮がシーツに爪を立てた。 「活未ぃ、ちょっ、あんまがっつくな、って」 「悪い」 少しもすまなそうでない口調で鷹嘴は呟く。 「んっ……は、あっ……!」 滑らかな背中を舐め上げられ、うなじに歯を立てられると、 ただでさえ追い詰められていた丹乃宮はすぐに体を震わせて達した。 同時に内部が切なく収縮し、僅かの後に鷹嘴も吐精する。
- 29 名前:そ/こ/で/お/は/よ/う/の/キ/ッ/ス 4/4 mailto:sage [2010/03/28(日) 01:27:08 ID:XWUMvsxq0]
- 充足感よりも気怠さが勝っているのは間違いなく自分が年齢を重ねた証拠だ。
ひょっとすると自分よりも体を酷使したはずの丹乃宮が既に目を覚まし、 隣に寝そべったまま涼しい顔で携帯をいじっているのを見ると、鷹嘴は更に強くそう思うのだった。 裸にジーンズを穿いただけの体は痛々しいくらい細くて薄い。 貧弱と言ってしまっても良いくらいだ。 首からのラインをなぞる鷹嘴の指を、丹乃宮は無作法を窘めるように軽く叩く。 「そういう触り方、オヤジくさい」 「ご、ごめん」 「謝んなよ。なんか、こっちがへこむわ」 拒んだのは自分のくせに、丹乃宮の瞳はあっさり引き下がった鷹嘴の指を名残惜しげに追いかけ、強請るように潤んだ。 「ねぇ、活未」 「ん?」 「おっさんで、髪も薄くて、どっか頼りなくって……でも好きだよ」 んふふ、と小さく笑った丹乃宮が今更恥じ入ったように肩をすくめ、タオルケットを被る。 成人男性がこんなんでいいのか、と思ってしまうくらい罪のない仕草だった。 僅かに覗く肌の白さが夜明け前の仄暗さに映えてやりきれない。 腕の中に飛び込んできた丹乃宮の髪が状況に不釣合いなくらい瑞々しく爽やかに香った。 ____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ これからも掌でコロコロしちゃってください | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 30 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/03/28(日) 01:48:22 ID:dW8gAboBO]
- >>29
超GJ!!! 尋常じゃないくらい萌えましたありがとう! 荷乃未矢の素っ気なさとかどこまでもカシミをなめきった態度がたまらん……!カシミより何枚も上手だ……!
- 31 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/03/28(日) 01:50:07 ID:34dtjRcD0]
- >>25
うわあああ萌えた! 前に偶然深夜の番組で見て仲良すぎwwとちょっと萌えてたんだけど 姐さんの話読んでイメージが具体的になってすごく萌えました 鷹嘴さんはともかく暴風雨あまり知らないんだがチェックしてみようかな、ありがとう!
- 32 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/03/28(日) 05:33:54 ID:5bYZtnEi0]
- !!ナマ注意!!
飯共の川柳と全夜の花見ジングルをネタに歩歩路の撮影風景を妄想 エロ無しのただ甘いだけの小話です |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
- 33 名前:鳳 粕×和歌 巷に花の降る如く 1/3 mailto:sage [2010/03/28(日) 05:35:37 ID:5bYZtnEi0]
- ひらひら、ひらひらと花びらが次々に舞い落ちる。
不規則に揺れながら落ちていく花片を目で追っていると 頭上からカメラマンの声がする。 「目線、上にくださーい」 大声に促されて視線を上げる。 脚立の上の眩しいライトの、そのまた上のほうから 次々とピンクの花吹雪が舞い落ちてくる。 『綺麗だな』とは思うけれど、どんな顔をすればいいのか分からなくて ただぼんやりと見上げていた。 こうゆうのって本当に苦手なんだよなぁ。 撮影前には、気を使ったスタッフから「和歌林さんは・・・いつも通りで」なんて言われちゃって いつも通りって・・・能面でいいんッスかね。 隣では本当に楽しそうに笑う相方。 素直に表情に出せるこいつが、昔から羨ましくもあり、妬ましくもある。 俺の視線に気付いたのか、粕賀がふとこっちに視線を向ける。 目が合うと、あいつの笑顔がさらに優しくなって、ドキリとする。 舞い散る花びらの中に立つ粕賀は、いつもより格好良く見えて ピンクのベストが、花吹雪に溶け合うのを、つい見惚れてしまった。 「満開の粕賀は、どうですか?」 照れ隠しなのかなんなのか、頬も少しピンクに染めて、一段と胸を張る。 「バーカ、お前なんか、いいとこ三分咲きだろうが」
- 34 名前:鳳 粕×和歌 巷に花の降る如く 2/3 mailto:sage [2010/03/28(日) 05:38:14 ID:5bYZtnEi0]
- 「じゃあ、まだまだこれから咲き誇るって事ですね」
「・・・日本のために、止めてください」 「なんなんだよっ!」 いつもの軽口の応酬に、我知らず口元も緩む。 自分でも、自然と笑顔になっているなと思った瞬間 連続したシャッター音が聞こえた。 「いただきましたー!ありがとうございまーす!」 満足そうなカメラマンの声がかかって、撮影が終わった。 やれやれと肩の力を抜いて、ふと傍らに視線をやると なにやら困惑したような表情が目に入った。 「どうした?」と目で問うと、ため息交じりに粕賀が呟いた。 「困ったねぇ・・・」 「何が」 「こんなに可愛らしい顔で笑うあなたを他の誰にも見せたくないなんて、思っちゃって」 「は?」 「今の写真を見る全ての人類に、嫉妬しそうですよ」 恥ずかしげも無くこんな事を言ってのける相方に、手が出そうになるのをぐっと堪えた。 「何言ってんだ、バーカ」 「だぁってぇ!」 「お前が、一番間近で見てんだから、贅沢言うな」 自分が言った言葉に、自分で照れてしまって、頬が熱くなる。 視線を逸らして横を向いた俺の頬に、そっとアイツの右手が触れる。 不意を衝かれた俺は、少しびくりと震えてしまった。
- 35 名前:鳳 粕×和歌 巷に花の降る如く 3/3 mailto:sage [2010/03/28(日) 05:41:20 ID:5bYZtnEi0]
- 「・・・何?」
「ん?花びらがね・・・おたくさんのホッペに・・・ほら」 ちょいと摘んで、一片の花びらを俺の目の前に差し出した。 よく見ると、粕賀の髪にも数枚の花びらが乗っている。 「お前にだって、ついてんじゃん・・・ほら」 手を伸ばして払ってやると、はらはらと舞い落ちる薄紅の花。 俺とあいつとの間に流れる甘い空気に流されそうになって、慌てて手を引っ込めた。 粕賀は俺の動揺を読み取ったのか、ニヤリとスケベ面で微笑って 指先に摘まんだ花びらに、俺の目を見ながら軽く口付けた。 茶色の瞳が揺れて、その奥にちらりと光る情欲が透ける。 「なに、考えてる?」 探るように問い質すと、ふふふと小さく笑う。 「おたくさんと、同じ事」 「・・・すけべ」 「っ!お互いさまでしょうよ!!」 一歩体を寄せて、周りのスタッフに聞こえないように小さく小さく囁いた。 「・・・後で、な」 粕賀は一瞬息を飲んだ後、物凄く嬉しそうに「うぃ」と返事して満面の笑みを浮かべた。 巷に花の降る如く、わが心にも花が降る かくも心に滲み入る、この幸せは何やらん・・・ □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
- 36 名前:銀盤※ナマモノ前編 mailto:sage [2010/03/28(日) 13:19:07 ID:EdAnDp4rO]
- 再びこちらで失礼します。
生モノ、銀盤某選手2人の2009エピを、画像や動画を元に捏造妄想。 名前は完全に伏せてあります。 細かい部分は銀行からのニワカ故にご容赦ください。 前スレのものから続いています。 前後編に分けますので、後編は様子を見て、夜か明日投下させていただこうかと思います。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
- 37 名前:銀盤生モノ 1/4 mailto:sage [2010/03/28(日) 13:20:10 ID:EdAnDp4rO]
- 彼への印象は『そこそこ気が合って、たまに理解出来ないセンスを持つ、女好き』。
あと、僕は嫌いなスピンが得意で美しい、せいぜいこのくらいだったと思う。 最初は本当に軽い気持ちで彼に声を掛けた。 このつまらない時間を潰してくれるなら誰だって構わなかった。 たまたま、すぐ横に僕と同じようにつまらなそうな顔をした彼がいた、それだけ。 別に他意なんてものは無かったんだけど…。 「……っ!?」 唐突に、柔らかく首に巻き付いてきたのは黒いマフラー、…じゃなく、腕? 頬を擽る髪から香るフレグランスで、背後から抱きしめてきた相手が誰なのかはすぐに判った。 「ははは、いいね、そのショット!」 たまたま僕の真正面にいたカメラマンが、笑いながらカメラを構えて、フォーク片手に背後から抱きしめられてる様をカメラへ写しとった。 まったく、なにが『イイ』んだ。
- 38 名前:銀盤生モノ 2/4 mailto:sage [2010/03/28(日) 13:21:54 ID:EdAnDp4rO]
- 「……食事をジャマされるのは好きじゃないんだけど」
カメラマンが他のテーブルへと移動するのを横目に、チクリと釘を刺しても巻き付いた腕は離れない。 「ミスターゼブラ?聞いてる?」 「どうしていきなりいなくなったの?」 くぐもって僕の肩口から聞こえてくる、わざと拙くした返事は、聞かなければよかった類のそれ。 やっぱり『それ』か。 あえて答えることは放棄して、首に彼の腕を巻き付けたまま、僕は食事を再開した。 身が付いたままの毛皮だと思えば気にならない。 「ウブなんだ、見掛けによらず」 黙々と食事を再開した僕をようやく解放した彼の言葉は、普段なら僕を苛立たせるには充分なんだけど、恐ろしく無邪気な笑顔に苛立ちも引っ込んだ。 「…見掛けで判断されるのも好きじゃない」 フォークで食べかけのフルーツを突きながらそう返すと、彼はやっぱり無邪気に笑いながら肩を竦めるだけだった。 どうしていきなり、ね。 それはこちらの台詞じゃないか?
- 39 名前:銀盤生モノ 3/4 mailto:sage [2010/03/28(日) 13:23:38 ID:EdAnDp4rO]
- ついさっきまで、僕と彼はちょっとした『お遊び』をしてた。
ショーのリハーサルなんて、その半分以上は待ち時間との戦いだ。 そんなつまらない時間を潰すのに、彼を誘ってペアの真似事をしたのはほんの気まぐれでしかない。 でも、いざ始めてみると、これが中々に面白かった。 周りの反応も上々で、僕のエージェントなんかカメラまで持ち出してたし。 それだけなら『面白かった』って気分良く終われたのに、彼がそれをぶち壊した。 またスロージャンプをやろうと、二人で並んで滑っていたら、不意に彼が僕の前に回り込んできた。 「なに?」 彼が僕の腰に両手を絡めたままだから、まるで抱き合うみたいになって滑りながら、僕は彼の行動に首を傾げて見せた。 「……君といると不思議な気持ちになる」 「え?」 あまりに突然な告白に、頭の中が一瞬フリーズを起こした。 自慢じゃないが、『口は禍』を地でいく僕は、周りからバッシングを受ける程度には口が回る方だ。 でも、その瞬間は彼の瞳に飲まれたみたいに口が動かなかった。
- 40 名前:生モノ銀盤 4/4 mailto:sage [2010/03/28(日) 13:28:29 ID:EdAnDp4rO]
- 「君は本当は男でも女でもない、天使なんじゃないかって思えるんだ」
エッジが氷を削る音に紛れる程の小さなその呟きは、それこそ天使が放った矢のように僕に刺さる。 刺さった場所から広がる訳の解らない感情にバランスを崩して、自然と傾ぐ体を僕は支える事が出来なかった。 そのせいで、動きを止めた彼の胸に身を預ける羽目になったのは、盛大なるミステイク。 「……大丈夫?」 耳に吹き掛けられた吐息混じりの問い掛けに、一気に熱が上がっていく。 ハイスクールのウブな女の子でもないのに、胸が苦しくて、頷くしか出来ない。 フッと彼が笑った気配に顔を上げたのは、僕の二度目のミステイク。 そして、僕の耳元から頬へ彼の唇が移動する。 柔らかく濡れた感触が、見開いた僕の瞼の縁に、そっと、触れて離れていくのを僕は呆然と眺め…、気が付いたら彼を突き飛ばしていた。 周りは何事かと、一瞬、騒然となったけど、あれは僕だけの非では決してない。 そして、この胸の高鳴りにも、意味なんてないんだと、僕は自分に言い聞かせた。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! エロもなく、801でもなく、すみません。 後悔はしてませんが、反省はしてます。
- 41 名前:月蝕 1/2 mailto:sage [2010/03/28(日) 14:42:17 ID:8iBHxCki0]
- |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
タイガードラマの武智→涼真。 涼真三味線ベンベンの回と先生涙ポロリの回をねつ造。 似非土イ左弁なのはご愛嬌で。 涼真の歌声が聞こえてくる。 そういえば昔から歌う事が好きな男であった。 酒元家の前に佇みながら武智はふと昔を思った。 決して幸福とは言えないがあの家族に包み込まれた涼真は夢の中にまどろんでいる子供の様であった。この世の厳しさも理不尽さも理解し切れていない男だった。 だが、愛する者を失うというあの一件で目覚めていた。 涼真は器用である。 自分自身に対しても他人に対しても、迷いながらでも結局は器用に生きている。 それが己はできないでいた。 これからの土イ左の為には涼真は必要である。 武智は門を叩いた。
- 42 名前:月蝕 2/2 mailto:sage [2010/03/28(日) 14:43:42 ID:8iBHxCki0]
- 「おまんを頼りにしちゅうじゃが!」
皆が涼真を求めている。それなのにこの男の態度は煮え切らないでいる。 何故理解してくれない?何故この声に耳を傾けようとしてくれない。 苛立つ心を引き摺って飛び出していた。 「武智さん!」 己を呼ぶ声を振り切って駆け出す。 何故土イ左の為に・・・いや、この国の為に必死になっているこの心を理解してくれないのだ。誰も。 『おまんはしょうまっことそう思っちゅうのか?』 「誰じゃ!」 突然の声に足を止める。 だが、周りには誰もいない。 『おまんががしょうまっこと求めちゅうのはなんじゃ?』 やはり耳元で声がする。静かで見透かした様な声だ。 空耳なのか?いや、それとも自分の心なのか? 姿の見えぬ何かはまだ語りかけてくる。 『おまんがしょうまっこと求めちゅうのは』「やめい!」 その先を聞くのが恐ろしくなってその声を遮るように叫んでいた。 違う。違う。違う。 己はそんな弱い男ではない。 「武智さーん!」 遠くで涼真の呼ぶ声が聞こえ、咄嗟に物陰に身を潜めた。 違う。違う。違う! 何度も聞こえてきそうな声を打ち消していた。
- 43 名前:月蝕 新月1/2 mailto:sage [2010/03/28(日) 14:51:15 ID:8iBHxCki0]
- そんな日々の記憶がさらに武智を追い詰めていた。
「くうぅああ」 苦しい。 塔要達に足蹴りにされた痛みの所為ではない。 絶望と恐怖がじわじわと体を締め上げていた。 どうすればいいのだ。 朦朧とする意識の中で答えの出ない問いを考え続けている。 『めっそ目を覚ませ、武智』 誰だ? その声は聞き覚えがあった。 『おまんは何を求めちゅう』 ああ。あの時の声か。 その声は涼真の家から苛立ちに任せて走り去ったあの日に聞こえた声であった。 ―おまんがしょうまっこと求めちゅうのは― やめろ。やめてくれ! 『ほりゃあ先生などとゆう立場でもなく、この国の将来でもない』 やめろ。 『おまんが求めちゅうのはあの男』 「やめいぃ」 部屋には自分にそっくりな男が立っている。だがその目は酷く冷たく、自分であって自分で無い様な顔だった。
- 44 名前:月蝕 新月2/2 mailto:sage [2010/03/28(日) 14:52:30 ID:8iBHxCki0]
- 『めっそ目を覚ませ。おまんがほがな中途半端な気持ちで求めちゅうから、誰にもなんちゃーじゃ伝わらん。このままじゃーおまんは終わりだ』
「わしはどうすれば」 『わしはお前の味方ぜよ』 ポロリと涙が零れる。ずっと欲しい言葉であった。その一言でいいのだ。 「どうすれば・・・」 『酒元に塔要を・・・・』 その言葉に目を見開く。体が芯から冷えていくのが分かる。 「けんど」 『ほがな想いに縛られるな。おまんの周りは全て手駒だと思え』 「わしにゃいかんじゃ」 『おまんにゃその資格も器もある』 「けんど」 『そうでもしやーせん限りおまんは酒元を手に入れられん』 「・・・っ」 『わしはおまんの味方じゃき』 張りつめていた糸がピンッという音をたてて切れた。 「・・・そうじゃ。斬ってしまえ」 『そうじゃ。わしの声に従っていればはやだらしゅうもならん』 『おまんから全てが無くなっても』 「わしはおまんの味方じゃき」 汗に濡れた口元が歪んだ。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! ナンバリングを間違えて苦し紛れをやってしまいました。すみません。 黒のも白のも先生が好きすぎて困る。 ありがとうございました。
- 45 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/03/29(月) 00:40:03 ID:TMAyYLhH0]
- >>41
黒白先生GJです! 「味方ぜよ」は寂しい人には究極の殺し文句だなぁ。
- 46 名前:記憶 1/4 mailto:sage [2010/03/29(月) 01:07:36 ID:cx9cp3As0]
- 生 注意
六角なクイズ番組同級生コンビ新×先 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! しんだろー……しんちゃん、好きだよ…… 耳に残るのは甘いささやき。唇には柔らかい感触。 目に焼きついた、とろける様な極上の笑顔──。 「おい!聴いてんのかよ?」 カフェのテーブルをコンコンとひろみが叩く。 「あ、ごめん。もっかい言って?」 「何だよー。ちゃんと聴けよな」 文句を言いつつ話を繰り返す顔と声には、甘さの欠片も無い。 いつもと同じひろみだ。 忘れてる。 こいつ昨日のこと絶対に覚えてないな、と確信した。
- 47 名前:記憶 2/4 mailto:sage [2010/03/29(月) 01:08:17 ID:cx9cp3As0]
-
みんなでわいわい騒いでた昨日の飲み会。 偶然が重なり、二人ぽつんと部屋に残された。 「しーんちゃん。おい、しんたろう!こっち向け」 「お前すげー酔ってるだろ?」 「なーに言ってんだよ。酔うために飲んでんだからあったりまえじゃん」 やべー。完全に目が据わってる。 ひろみがこんなに酔っ払ってるの珍しい。 いつもはハイになっても、ここまで酔うことないのに。 「ひろみ、ちょっと水飲んだら?」 「いらねーよ。なんで水なんだよー。せっかく美味い酒飲んでるんだからお前も飲め」 「はいはい、飲んでるさー」 「あれ?なんで誰もいねーの?」 「みんなトイレとか電話とか……あとは分からん」 「ふーん……二人きり、なんだぁ……」 ちらりとこちらを見上げる、上目遣いの目線に思わずどきりとする。
- 48 名前:記憶 3/4 mailto:sage [2010/03/29(月) 01:08:47 ID:cx9cp3As0]
- 「しんたろー」
呼ぶなり、両手で襟元を掴まれて強く引き寄せられる。 至近距離で見ても綺麗な顔だ。 「何ー?」 額をこつんと合わせたひろみはふふっと笑った。 あどけないのに色っぽい、不思議な笑い。 「しんたろー……しんちゃん、好きだよ……」 ささやかれた声に時間が止まった。 長い睫毛がゆっくりと伏せられる。 目の前の顔がもっと近くなり、唇が重なる。 柔らかい。と思った瞬間にはもう離れていた。 ゆるやかに、華が咲くようにひろみが笑う。 その笑顔に、心の奥からいままで知らなかった感情が引きずり出される。 メッシュが入った髪がふらりと揺れて倒れてくるのを受け止めた。
- 49 名前:記憶 4/4 mailto:sage [2010/03/29(月) 01:09:28 ID:cx9cp3As0]
-
あのまま寝ちゃうなんてひろみはズルイ。 そんで起きたら何も覚えてないなんて、もっとズルイ。 「だからー、ってマジ聴いてねーだろ?またボーっとしてるし」 「はいはい、聴いてる聴いてる」 「人が一生懸命説明してんだから、もっと真面目に聞けよな」 口を尖らせる顔をうっかり可愛いと思ってしまい、無理矢理視線を窓の外へ向ける。 そんな話じゃなくて、もっと聴きたいことがあるさー。 昨日のあの言葉はマジ?とか。 今度は俺からキスしてもいい?とか。 でもお前が何も覚えてないんだから、俺だって何も言えない。 もやもやする気持ちを持て余し、アイスラテをストローで思い切り吸い込んだ。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 飴☆の会話で、先は酔っ払ったら何かしそうと妄想したらこうなったw 同級生コンビ可愛いよ。
- 50 名前:銀盤生モノ 後編 mailto:sage [2010/03/29(月) 07:12:08 ID:ywbFVZ0FO]
- >>36-40の後編を投下させて頂きたく、携帯から失礼します。
生モノ銀盤某選手2人の2009年エピを、画像や動画を元に捏造。 生モノなので名前は完全に伏せてあります。 銀行からのニワカ故、細かい箇所はご容赦を。 溜まりに溜まった萌えの発散で、801未満です。orz |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
- 51 名前:銀盤生モノ 1/3 mailto:sage [2010/03/29(月) 07:14:09 ID:ywbFVZ0FO]
- 「たまたま当たっただけで…」
「ふぅん、君は舌をいつも出しっぱなしなのかい?まるで犬だな、次のEXは猫じゃなくて犬にしたらいいよ」 なけなしの僕の言い訳は、思い出したくない過去を擬えた皮肉で、スッパリと切り落とされた。 僕自身、どうしてあんな事をしたのか、わからない。 いや、正確に言うなら、どうしてしたのかは解るんだけれど、それを引き起こした感情は解らない、かな。 きっかけはあのスロージャンプ。 僕の腕から離れ、羽根でも生えたように宙を舞い、鮮やかに着地した彼を見た瞬間、『美しい』と素直に思った。 流れるようなランディングに、しなやかに舞う身体、氷上の彼は紛れも無く僕を魅了してた。 競技としてではない、遊びのそれはむしろ、彼本来の持つ魅力を際立たせているように感じたのは、間近で彼を感じていたからなのだろうか。 一つ一つの遊びの中で、彼の違う面をもっと見たくなった。 その妙な感覚は、ベッドでの交わすそれに似ていて、触れる度に沸き起こる高揚と、もっと暴きたいという欲求。 捕まえようとすると、するりと逃げる彼に、翻弄されてる錯覚さえ覚えた。 だから、逃したくなくて、捕まえてみたくて、正直に彼へとそれを伝えたのが失敗だった。
- 52 名前:銀盤生モノ 2/3 mailto:sage [2010/03/29(月) 07:15:44 ID:ywbFVZ0FO]
- すんなりと僕の腕の中へ堕ちてきた彼の、間近で見る薄い皮膚の下で色付いた頬の滑らかさに息を飲んだ。
そして、伏せられていた瞼を彩る長い睫毛が揺れて、僕へと瞳が向けられた瞬間、考えるより先に体が動いていた。 舌先で震える睫毛を軽くなぞるようにして、彼の瞳を奪う。 震える程の愉悦を覚える自分と、何をしているんだと警鐘を鳴らす自分、結局勝ったのは、僕を盛大に突き飛ばしてくれた彼だった。 「……もういいよ」 思案の海に漂っていた僕を引き戻す、小さな言葉に逸らしていた視線を彼に戻す。 部屋の暖かさに色濃くなった赤い唇が笑みに上がるのを見て、身体を駆け抜けたのは安堵。 「僕も君を突き飛ばしたし、チャラにしよう」 いつの間にか空になっていた皿にフォークを戻しながら、肩を竦めた彼に異を唱えたい衝動に駆られたけれど、なかった事にしたくない、なんて事を言える訳もない。 「ヘイ、お二人さん、さっきから仲良しじゃないか」 どう答えたらいいのか迷っていると、先ほど彼と談笑していたカメラマンが再び戻ってきた。 「ペアだからね、当然だろ」 気楽に返す彼の声は、普段と変わらぬそれ。 何となく気まずくて笑い返しただけの僕の肩に、スルッと彼の腕が回される。 「一枚、頼める?」 「もちろん」 カメラを構えたカメラマンに、ポーズを決める彼につられるようにして、笑顔を作る。 たったそれだけなのに、触れ合った身体の体温や、ほのかに香るフルーツと彼のフレグランスの甘さが気になってしまうのは、一体なんなんだろう。
- 53 名前:銀盤生モノ 3/3 mailto:sage [2010/03/29(月) 07:17:08 ID:ywbFVZ0FO]
- にこやかに離れていくカメラマンを目で追いながら、ぼんやりと考える。
「……隙だらけだよ、ミスターゼブラ」 「え?」 我に返るきっかけは彼だった。 チュッと高らかな音を立てて頬に触れて、すぐ離れた柔らかい感触。 そして、周りから上がる冷やかしの口笛に、呆然とする僕を婉然と見下ろした彼は、これみよがしに微笑んだ。 「さぁ、僕の可愛いパートナー、行こうか」 そう言って彼が差し出してきた手を取りながら、僕は自分の気持ちを半ば否定しながらも認めざる得なかった。 複雑に絡んだ気持ちはまだ理解を越えてるけど、唯一わかるのは、彼は天使なんて甘いモノではないって事だけだった。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 銀行で知って画像や動画を漁るうちに積もった萌えを吐き出したかったので、こちらを利用しました。 後悔はしてませんが、反省はしてますので、これ以上、銀盤関連の投下はしません。 ありがとうございました。
- 54 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/03/29(月) 14:53:27 ID:XyfWZf/DO]
- >>46
うわー、GJ! 親先可愛いよ、親先ハァハァ
- 55 名前:Offのゼータク 1/2 mailto:sage [2010/03/29(月) 22:47:04 ID:5ewaLbfd0]
- 半生注意
しーえむ。Offのゼータクで新人→先輩です。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「先輩、今日呑みに行きませんか?」 「え? 俺と?」 花の金曜日。勇気を振り絞って誘ったのに帰ってきた声はあまりに間が抜けていて、けれ どまぁ先輩らしいっちゃ先輩らしくて俺は少し笑ってしまった。 「他に誰が居るって言うんですか」 新入社員の癖に生意気だ、なんてどやされそうな台詞も、このお人好しの先輩は何も言わ ない。そうだな、すまん、と謝られる。そして先輩は、たぶんこの人の癖なのだろう、少 し瞳を揺らして、 「別に、かまわないよ」 その返事に心の中でガッツポーズ。入社してずっとこの先輩が気になっていたのだ。気に なっているというか、目が離せないというか。人当たりは穏やかで、怒った所なんて見た こともなくて。でも意外と仕事が出来ることにも最近気がついた。たいていの先輩は入社 して一度は呑みに行こうと誘ってくれたのに、この人はそれが一度もなかったのだ。ただ たんにそういうことが苦手なのだろうというのは、毎日の生活の中で気がついたけれど。 だからこそ、今日は思い切って自分から声をかけてみたというわけだ。 「店は、俺が選んで良いのか?」 行きつけの店があるんだ、と続く。思いの寄らない言葉に目を見張り、もちろんです、と 力強く言えば、先輩はそうか、とくしゃっと破顔した。この顔がたまらなく好きなんです と言ったら、たぶんお店には連れて行って貰えなくなるから黙っておくけど。 *
- 56 名前:Offのゼータク 2/2 mailto:sage [2010/03/29(月) 22:49:54 ID:5ewaLbfd0]
- 「でも、良かったんですか、僕なんか連れて来ちゃって」
ほどよく酔って、涼しい夜風に顔をさらしながら歩く。先輩はポケットに片手をつっこん で、歩いていた足を止めてえ? と目を見張った。 「だって、初めて連れの人とって」 女将さんはこの人が誰かを連れてきたのは初めてですと綺麗に笑っていた。とうことは、 先輩は誰もここには連れてきた事がないはずで。友達も、同期も、上司も。そんな誰も入 り得なかったプライベートゾーンに、まだ知り合って少ししか立たない新人社員の俺が初 めて足を踏み入れてしまったというわけだ。 嬉しくて、たぶん夜じゃなかったらにやけた表情が晒されていた。今は三日月の光がほの かに差しているだけで、少しだけ安心する。 「そうだなぁ」 先輩はうーんと考えるようにクビを捻った。瞳が月明かりを反射してゆらゆらと揺れる。 綺麗だなぁとその横顔を見ながら、俺は返事を待った。 「何でだろう。でもずっとお前を連れてきたいって思ってたんだ、なんでかなぁ…」 良いだろう、あのお店。またくしゃっと笑って先輩は言う。俺はたぶんそのあとの言葉を 飲み込む余裕なんて無くて、真っ赤になってしまった顔をふいっと背けた。なんと言うこ とをさらっと言ってしまうんだろう。 「また連れて行ってやるからな」 俺は、はいと返事をするのが精一杯で、気に入ってくれて嬉しいよという先輩の声をどこ か遠くに聞いていた。 何というかたぶん、今の自分にとって、この人と共に過ごす週末が何よりの贅沢だ。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 衝動で書いてしまった。 もっと後輩君はガツガツしてそうなんだけども…
- 57 名前:ピンポン 再見 5/5 mailto:sage [2010/03/29(月) 23:46:38 ID:SINcvIyV0]
- >>55
わー、CM見て萌えてたよ ありがとう
- 58 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/03/29(月) 23:47:09 ID:SINcvIyV0]
- 名前欄すいません…
- 59 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/03/30(火) 00:02:18 ID:iFlc17LN0]
- >>58
ドンマーイw 亀だけど姐さんのお陰でまた新しい萌の扉が開けたよ!ありがとう ここ数日投下ラッシュで嬉しいなぁ 投下してくれる全ての姐さん達に幸あらんことを!
- 60 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/03/30(火) 00:52:14 ID:RfjexgGd0]
- >>55
もんのすごい萌えたありがとう 先輩は無意識でどんどんあのお店に連れて行ってしまって 後輩はいつか先輩を酔い潰してお持ち帰りすればいい いつか後輩→先輩に気付いた女将もきっと協力してくれるはずだ
- 61 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/03/30(火) 01:00:57 ID:1MFWJWOiO]
- >>55
CMを見ながら、後輩、先輩を見る目が獲物を狙うタカの目だw と思っていたら、作品ktkr 可愛らしい萌えありがとうございました!
- 62 名前:「愛した人」オリジナル 1/3 mailto:sage [2010/03/30(火) 08:40:16 ID:UkRItXIZO]
- 携帯から失礼します
オリジナルで別れの話です とある泣ける歌を聞いて、それをネタにしてますが、キャラはオリジナルです |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 目の前のグラスが、まるでスローモーションみたいに、ゆっくりと床の上へ落ちていく。 でも、衝撃音は耳を素通りしていった。 ただ、目の前にいるハルの、怯えたように竦められた細い肩と、零れ落ちそうに見開かれる濡れた瞳だけが、酷く印象に残っていた。 「……ッてぇ、」 指先に走った痛みに、僕は小さく舌打ちした。 しゃがんだ足先へと、再び転がっていく破片が傷付けた指先に、見る間に血が滲んでくる。 フローリングの床に散らばるガラスの破片と、無残に花弁を散らした花と水、そして、それに紛れるような涙の跡。 さっきまでハルが立っていた場所に、ポツンと残された丸い水滴を、血の滲んだ指先に掬い取ると、苦い痛みが広がる。 バラバラになった花とグラス。 かき集めたって元には戻らないそれは、まるで俺達を表しているみたいだった。 じわじわと足元が崩れるような感覚に、僕は拳を握りしめた。 柔らかな癖のある薄茶の髪も、少女めいた顔も、細く小さな身体も、僕とは真逆なハル。 出会って恋に落ちて、それから二人で重ねた日々が、過去へと流れて朽ちていくような気がする。
- 63 名前:「愛した人」オリジナル 2/3 mailto:sage [2010/03/30(火) 08:41:51 ID:UkRItXIZO]
- 散らばった破片もそのままに、暗鬱とした気持ちのまま僕はソファーに横たわった。
見上げた天井のライトに、キリッと目の奥を苛まれて、その痛みから逃れる為に瞼を閉じる。 浮かんでは消える、過去のハルの優しい笑顔と、見慣れてしまった今の泣き顔。 愛しい気持ちも、やる瀬ない気持ちも、ゴチャゴチャになって傷付け合った心は、もう無理だと告げている。 今の歪んだ関係が一番ハルを傷付けていることが、辛くて苦しい。 たった一言で愛しい人を解放してやれるのだと思えば、この頬を伝っていく涙も他人事のように思える。 もう僕は、ハルへと繋いだ鎖を手放さないといけないのかもしれない。
- 64 名前:「愛した人」オリジナル 3/3-1 mailto:sage [2010/03/30(火) 08:45:15 ID:UkRItXIZO]
- 「……もう、終わりにしよう」
あの激しい喧嘩から数えて5日目の雨の休日。 朝からの憂鬱な天気のせいだけではなく暗転した部屋で、僕はハルに終わりを告げた。 苦い決意を固めて、覚悟も決めて、伝えた別れの言葉の衝撃は、予想以上の痛みで胸を貫く。 大きく見開かれたハルの瞳に映るのは、痛みに歪んだ僕の顔。 微かに震えるその細い肩を見ていることが耐えきれなくて思わず抱きしめた。 この愛しいという気持ちは嘘なんかじゃない。 そう腕の力に込めるけれど、でも、もう戻れない。 掛け違えたボタンを掛け直すには二人でいた時間が経ち過ぎていて、ハルも僕も、充分過ぎるくらい互いに傷付け合って、僕らの心は傷だらけだった。 「……わかった」 そう言って、そっと僕の胸を押し返すハルの、冷たい指先が痛い。 サイズの合わない、肩の位置が落ちた僕のTシャツを着たハルが、僅かな温もりを残して僕の腕から離れていく。 「……俺、ショウの事、すごく好きだったんだ」 狭い部屋からすぐの玄関で、独り言みたいにハルが呟く。 「さよなら、ショウ」 こちらを振り返ったらしいハルの姿は、見れない、見てはいけない。 ただハッキリと残された別れの言葉だけが、残響として耳に届く。 半身をもがれたような痛みに、僕は立ち尽くすしかなかった。
- 65 名前:「愛した人」オリジナル 3/3-2 mailto:sage [2010/03/30(火) 08:46:30 ID:UkRItXIZO]
- どのくらいそうしていたろう。
外の雨が止んで、カーテンの間から陽の光が滲んできた。 生まれ変わって、またキミと出会えたら…、そんな女々しい事を考えながら、ハルのいない玄関へ、ようやく顔を向ける。 さよなら、愛しい人。 もう振り向かないで、歩き出して。 声にならない願いを噛み締めて、僕はカーテンを開き、眩しい光の洪水を部屋へと招き入れた。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 最後、2つ分けになってしまいました 不手際ですみません
- 66 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/03/31(水) 01:27:01 ID:qg0+bxs50]
- >>53
誰か分かって萌えてしまった…!ゼブラこの野郎;;orz;; 私にとってはGJです、有難う!お疲れ様でした!
- 67 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/03/31(水) 19:33:54 ID:qs4PquP8O]
- >>35
GJ!甘い雰囲気にニヤニヤさせてもらいました
- 68 名前:僕の恋人。1/6 mailto:sage [2010/04/01(木) 00:24:14 ID:A59Vdd9K0]
- 先日発売された、まぜこいホットドッグの坂風です。
萌えーてなって勢いで書いた。楽しかった。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 真夜中。突然の訪問に目呆け眼を擦りながら部屋に招き入れて茶を出した僕に、風間さんは朗らかに告げた。 「驚かないで聞いて欲しい。実は、デキちゃったみたいなんだ」 「…………はあ」 驚くというより、呆れた。 何がデキたのかと聞くほど野暮ではないけど、だからって信じれる話しじゃない。 あからさまに胡乱な顔をしているだろう僕にニコニコと笑いかける風間さんは、一体何を考えているんだろう。 前々から、少し…いや、大分、変わった人だと思っていた。付き合うようになって、少しはわかった気になっていた けど、やっぱり、変な人だ。 寝起きで跳ねてる後ろ髪を撫で付けながら、なんて言おうか考えていて。ふと、気付いた。 時計を見れば、時刻は0時を過ぎていた。そう、つまり、今日はもう4月1日。 エイプリルフール、だ。 「………」 気付いたそれに、僕はなんだか酷く疲れた気分で床に転がった。 うとうとしていた所を起こされて、こんな真夜中に何の用事かとほんの少し緊張もしていたのに。 ああ、眠気が戻ってきた。いっそこのまま寝てしまおうか。 「坂上君、キミ、その態度はないだろう。そりゃあ混乱する気持ちもわからなくはないが、これは現実だ。二人の 将来もかかってるんだから、ちゃんと起きて考えたまえよ」 フローリングの床にべたりと張り付いたまま身動きしない僕に風間さんの声がかかる。 そうですね、現実ですね。いっそ夢オチならよかったですよ。 というか、どうせつくならもっとちゃんと、一瞬でも信じるような嘘を用意して欲しいと思うのは僕の我侭でしょう か。それとも、聞いた瞬間に笑うべきでしたか? だったら僕のリアクション間違いですね、すみません。 謝るんで、今の所は帰っていただけないでしょうか。明日また会いましょう。その時にはちゃんとリアクションしますんで、今はこのまま寝させてください。
- 69 名前:僕の恋人。2/6 mailto:sage [2010/04/01(木) 00:25:13 ID:A59Vdd9K0]
- 「……坂上君?」
黙ったまま床に寝転がっていると、膝を引き摺って近寄った風間さんが僕の肩を揺さぶる。 閉じた目もそのままで無視していると、また、名前を呼ばれた。 その声がなんだか弱弱しく聞こえて、そぅっと、薄目を開ける。 「ねぇ、ちょっと…」 風間さんは、凄く困った顔をしていた。途方にくれた、でもいい。 …寂しそうだとか、泣きそう、でも、いい。 「………さかがみくん」 ぽつりと、もう一度。呟くように僕の名を呼んでから、風間さんの手が肩から離れていく。 このまま行かせちゃいけない。 がばりと起き上がって、引きかけた腕を掴む。驚いた顔で僕を見る風間さんをそのまま強引に引っ張って、一緒に床 に転がった。 二人分の体重の乗った勢いでいい音をたてて打ち付けた後頭部が痛い。我慢だ。 「さ、坂上君…?」 胸元に顔を押し付けられたまま、風間さんが戸惑った声で僕の名を呼ぶ。 背中に腕を回してぎゅうと抱きしめたら、少しの間があって、僕の背中にも腕が回った。 ちらりと見れば耳まで真っ赤にした風間さんが僕の胸に顔を埋めている。 僕は、幸せ者だ。 好きな人が傍にいてくれて、抱きしめれば返してくれる。そりゃちょっと変わった人だけど、それも知っていて好き になったんだから、嫌だとは思わない。 困った人だなと思う事もあるけど、嫌いになんてなれない。むしろ、そんな所が可愛かったりもする。 たとえば、今とかも。
- 70 名前:僕の恋人。3/6 mailto:sage [2010/04/01(木) 00:25:56 ID:A59Vdd9K0]
- こんな夜中に訪ねてくるだなんて、きっと、一番に嘘をつこうだなんて思い立ったんだろう。
そうしてどんな嘘なら僕が驚くか考えて、どんな嘘をついて信じさせるか考えて、色々色々考えて、それで、どこか で方向を間違えたんだ。 どこでどうしたらそんな方向にいくのか不思議だけど、風間さんだから、まぁしょうがない。 きっと風間さんが知ったら憮然とするだろう理由で納得して、僕はくすくすと小さく笑う。 「…なに笑ってるのさ」 「別に、なにもありませんよ」 納得いかないのだろう風間さんは少しだけ唇を尖らせて、それに僕はまた笑う。 ああ、ああ、本当に、もう。 「………それで、キミはどうしたい?」 「え?」 「…………」 まだ続ける気らしい。あのまま済し崩しにすればいいのに、妙な所で律儀な人だ。 だけど、呆れるにしろ笑うにしろ、なんだか今更だ。それに今の僕なら、他の反応もできる。 「……いや、いい。なんだかおかしな空気にしちゃったね。もう止めようか、こんなはな」 「嬉しいです」 努めて明るく早口で言ってた風間さんにかぶせて、口を開く。 僕の言葉に風間さんは一瞬ぽかんとした顔を見せて、それから、疑わしそうな表情で僕を見た。 「ホントにぃ?」 「ええ、もちろん。風間さんに似てて欲しいなぁ、そうしたらきっと可愛いですよ」 頭の中で風間さんをそのまま小さくした男の子と、少し柔らかい感じにした女の子を想像する。 うん。凄く可愛い。これで性格が僕みたいに普通だったら、人生勝ったも同然じゃないだろうか。 見た目が全てとは言わないけど、見た目も大切だ。中身は育てる方にかかってるから、僕が頑張ろう。
- 71 名前:僕の恋人。4/6 mailto:sage [2010/04/01(木) 00:26:27 ID:A59Vdd9K0]
- 想像している内に、なんだか楽しくなってきた。
この若さでパパは困る気もするけど、子供の幼稚園だとか小学校だとかで若いパパと評判になるのも悪くはない。 そうしたら、隣にいる風間さんはなんて噂されるんだろう。子供とそっくりだからって、ママには見えないし。あれ 、ひょっとして僕がママ扱い? いやでも、その頃には僕だって背も伸びて男らしくなってる筈だから大丈夫だ、き っと。 小さくてもいいから一軒家に住んで、家族四人、楽しく仲良く幸せに暮らすんだ。 その内、長男は独立して家を出て、長女は結婚……嫌だ、誰が嫁になんてやるもんか。ずっと家にいればいい。 「っ、は…あははははははっ」 「!」 大きな笑い声で我に返った。 しまった。すっかり入り込んで、何時の間にか口に出していた。 痛々しい妄想を聞かれ大笑いされた恥ずかしさに、顔が真っ赤になるのがわかる。 「そ、そんな笑わなくてもいいでしょう!?」 元々は風間さんが言い出した事なのに、なんだか理不尽だ。 怒鳴る僕に風間さんは「ごめんごめん」と思ってもないんだろう軽さで答えて、笑い涙を拭ってる。 重ねて文句を言ってやろうと口を開きかけた僕は、出かかった言葉を喉で止めた。 目の前、風間さんが笑う。 その顔はとても楽しそうで、嬉しそうで。幸せそうだった。 「でもね、ボクに似ればそりゃ可愛いだろうけど、キミに似た子も勝ち組だと思うよ」 伸びてきた手が僕の頬を撫でる。 犬や猫を撫でるような気安い仕草で撫でながら、風間さんは目を細めて笑う。 それは本当に楽しそうで、嬉しそうで、幸せそうで。 この人は僕の事を好きなんだって、そう、感じさせてくれる笑顔だった。
- 72 名前:僕の恋人。5/6 mailto:sage [2010/04/01(木) 00:27:30 ID:A59Vdd9K0]
- 「…え、あ、あれっ?」
腰に腕を回して強く引き寄せると、パジャマ代わりのスエットは布越しに確かな熱を風間さんに伝えた。 慌てた様子で僕から離れようとする風間さんの足に足を絡ませて抵抗を封じながら、僕は思う。 この人は、本当に。 なんて可愛くて、愛らしくて、いとおしい人なんだろう。 数日後。 春休みは塾通いなんてクラスメートもいるけど、特にレベルの高い大学を目指すでもなく成績が悪いわけでもない僕 は、ほぼ毎日、風間さんと会っている。 今日もまた、何をするでもなくぶらぶらと街を歩いて、今は公園のベンチで一休みしている所だ。 「喉が渇かない? 坂上君、キミちょっとさっきの自販機で買っておいでよ」 「さっきって、入り口じゃないですか…通った時に言ってくださいよ」 ぶつぶつ言いながら、ベンチから腰を浮かす。風間さんと付き合いだしてから、僕のサイフには小銭が増えた。 「コーラでいいですよね」 「いや、オレンジジュースにしようかな」 あれ、珍しい。…あれ? そういえば、最近の風間さんはコーラを飲んでない気がする。 缶やペットボトルよりビンの方が美味しいと拘りまで持っている人なのに、どうしたんだろう。 「炭酸の飲みすぎで胃の調子でも悪くしましたか?」 「なに言ってるのさ。まあボクも飲みたいのは山々だけど、糖類をあまり摂るのはよくないって聞くからね。でも 、好きな物を我慢するのもストレスで良くないって言うだろう? ねぇ、どっちがマシだと思う?」 「…………えっと」
- 73 名前:僕の恋人。6/6 [2010/04/01(木) 00:28:13 ID:A59Vdd9K0]
- 何に、とは愚問なんだろうか。
いつもの調子で言いながら、そのくせ、ほんの少し頬を染めて照れくさそうに僕を見る風間さんは、そういえば最近 、少しだけお腹周りがふっくらしてきた気がする。 太りましたか、なんて、失礼すぎて言えないし、元々痩せてる人だから気にはしなかったんだけど、もしかして。 いやでも、まさか。だって、あれは。そんなこと、あるわけ。 「そうだ。ネットで調べてみればいい。坂上君、キミの家にパソコンあったよね。後でお邪魔するよ」 だから今の所はオレンジジュースね、と付け加える風間さんに、だったら僕の家に向かいながらジュースを買えばい いんじゃないかと思いながら、それでも言えなくて、「はい」とその場を後にした。 ちらと振り返れば、木陰にあるベンチに腰掛けたままの風間さんが小さく手を振る。早くいけ、の動作にも見えるけ ど、気のせいだ。 そうだ。気のせいだ。糖類控えてる人が太るだなんて、そんな。こうして遠目で見ると全体的にラインが柔らかくな ってるように見えるのだって、きっと、気のせいに違いない。 だって、ある筈がないじゃないか。そうだよ、だって僕らは男同士なんだから。いくら風間さんが変わった人だから って……あ、でも、風間さんは………月…、いやいや、だからって、そんなこと……。 「……いや、ないよ。ない。ないない。あは、は…ははははは……」 渇いた笑いを溢す僕を、頭上の昼月が静かに照らしていた。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! スンバなら卵くらい産めるんじゃないかと思う。ありがとうございました。
- 74 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/04/01(木) 00:29:02 ID:A59Vdd9K0]
- すみません、最後ageちゃいました…
- 75 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/04/01(木) 00:59:41 ID:k3Xj1z0R0]
- >>74
萌えましたGJ! 坂風ルートをちょうど今日クリアしてときめいていたので嬉しい 萌えをありがとうございます
- 76 名前:涙のプリンスメロン 1/7 mailto:sage [2010/04/01(木) 01:53:43 ID:CTSHm5dm0]
- 誰得な生モノ。
美知ーと事務所の元先輩バンドのG 元先輩バンドのGのブログにあった写真から妄想捏造w どマイナーすぎてごめんなさい。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 授業が終わり、俺は足取りも重く次の目的地へと向かう。 何年ぶりだろうか。無意識に足はあの場所へと進む。 迷うことなく、身体が覚えている。いや、まだほんの数年だ、通っていた年月には及ばない。 レコーディングが嫌なわけではない。 一つのバンドに縛られることなく、色んなミュージシャンとセッション出来るこんな機会は嬉しいのだ。 このレコーディングに俺を呼んでくれた彼に不満があるわけでもない。 一呼吸して、俺は目の前の建物を見上げた。 ただこの場所が、まだ苦しい。 意を決して中へと入る。 懐かしい光景が目の前に広がる。自分の知っている頃と変わらない。 それが嬉しいような気持ちと、ずっと日常だった場所から突如放り出された疎外感が同時にやってきた。 ぶるりと身を震わせる。こんな感傷にひたる為にここへ来たわけではないのに。
- 77 名前:涙のプリンスメロン 2/7 mailto:sage [2010/04/01(木) 01:54:44 ID:CTSHm5dm0]
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ぐるりと周囲を見渡して、目的のスタジオを目指した。 そう言えば彼はこの秋からのドラマにレギュラー出演していたことを俺は思いだした。 人気のドラマで、しかも主役の相棒役だ。きっと撮影で忙しいはずだった。 今日のようなバックのレコーディングに彼が来るなんてないだろう。 そう思い至り、俺は少し気が楽になった。彼に問題は無い。 しかし、今はまだどう接していいのか分からない。 俺を呼んでくれた彼のことだから、何も気にせずに普通に接すればいいと分かっているのだけれど、 それでも何となく事務所の関係者とはまだ気まずさを感じる。 これは俺の内の問題。 すれ違うスタッフに挨拶をしながら、スタジオの中に入った。 入った瞬間に俺の目に飛び込んできたのは、眩いばかりの笑顔を浮かべ手を振っている彼……追河くんだった。 「おはようございます。今日はよろしくお願いします」 礼儀正しく、俺よりも先に彼が挨拶をする。 「あ……。おはようございます。こちらこそよろしくお願いします」 慌てて俺も挨拶をした。なんか恰好悪い。
- 78 名前:涙のプリンスメロン 3/7 mailto:sage [2010/04/01(木) 01:55:27 ID:CTSHm5dm0]
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集中していた神経を和らげる為に俺は喫煙室で煙草を吸っていた。 俺のレコーディングは一曲のみで、さほど問題もなく終わった。 改めて追河くんのアーティストとしての意識に驚かされ、いい刺激を受けた。 楽しいレコーディングだった。 ぼんやりと煙草を吸いながら、俺は何故か追河くんと初めて会った時のことを思い出していた。 22歳でバンドに加入した俺は他のメンバーとの年齢差もあって、王子と呼ばれていた。 中学や高校で全くもてることに縁のなかった俺なのに、本当は自分のギターに注目してほしいと思っているのに、 バンド内ではアイドルっぽい扱い。 見た目にも年齢的にも、何より結婚もしたのにこれでいいのだろうかと思い続けていた頃に彼が現れた。 新人アーティストとしてデビューが決まったと、事務所で初顔合わせをした。 事務所の女性スタッフが「彼は王子様キャラで売ってるんです」と楽しそうに言った。 確かに整った顔立ちと立ち居振る舞いは王子様だなと俺は妙に納得した。 彼は俺たちメンバーの一人一人に挨拶をし、俺の前に立った時に隣に居たブッチャーが余計なことを言った。 「こいつはうちの王子や」と。 俺なんか比べ物にならないくらい王子様らしい追河くんを前に、よくそんなことが言えるなと、 俺はブッチャーを横目で睨みつけた。 が、ブッチャーは気にすることなく他のメンバーに「なあ?」と同意を求めていた。 目の前の追河くんは気にすることもなく、キラキラとした笑顔で「宜しくお願いします」とお辞儀をした。 初めて会った時から彼の笑顔はキラキラしていたなぁと思いだした。
- 79 名前:涙のプリンスメロン 4/7 mailto:sage [2010/04/01(木) 01:56:14 ID:CTSHm5dm0]
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次に思いだすのは、対バンと称したゲストに彼を呼んだ俺たちのライブだ。 「正装してきました」と言って現れた姿はオスカルのような格好だった。 数年前に事務所の女性スタッフから「弐市山さん、王子なんだからこれくらいの恰好しませんか?」と 見せられた写真そのままの衣装だ。当然、俺が着るよりも、数倍も似合っていた。 あの時のスタッフの押しの強さに負けなくてよかったとしみじみ思った瞬間だった。 ふと視線を感じて、視線を出入口に向けると、追河くんが立っていた。 「少しいいですか?」 「あ、うん……」 手にはコーヒーだろうか、カップを2つもっていた。 「すいません。コーヒーを持ってきたんですけど、声掛けそびれて冷めちゃいました」 「ただ煙草吸ってただけだよ」 そう言って、短くなった煙草を灰皿でもみ消した。 「ブラックで良かったですか?」 「うん」 カップを受け取ろうとすると、彼の手が一瞬止まった。そしてテーブルの上にカップを置いた。 気がつくと追河くんの顔が近くにあった。ああ綺麗な顔だなぁとぼんやり思っていると、唇に軽いキスをされていた。 艶やかな唇が離れてくのが見えた。 追河くんは小首を傾げて「リアクション薄いなぁ」と呟く。
- 80 名前:涙のプリンスメロン 5/7 mailto:sage [2010/04/01(木) 01:56:49 ID:CTSHm5dm0]
-
「驚かないんですね」 「あぁ……。ほら、うちにキス魔がいたからね」 ここ暫くは会っていない男を思い浮かべる。 「端元さん?」 「そう。どこでも構わずしてくるの。ラスベガスのホテルでもさぁ……ロビーでみんな見てるのにお構いなしでするんだよ。まいっちゃうよね」 FCの企画でラスベガスに行った時のことを思い出して話した。 「でも端元さんは、弐市山さん限定のキス魔って聞きましたよ」 「何それ。キス魔でも何でもないじゃん。誰が言ったの?」 どこからそんな話がまわったのかと笑った。 「やっと笑ってくれましたね」 そう言って追河くんはにこにこと笑っていた。 「え?」 「もしかして、今日ここに来るの嫌だったかなって思ってました」 その言葉にどきりとした。そして本当にそう思っていたことを少し恥じた。 「でもこの曲はどうしても弐市山さんにお願いしたかったんです。弐市山さんに嫌われてもね……」 「嫌うわけないだろ」 きっと彼も色々と考えたんだろう。俺たちの問題を、関係のない彼にまで押し付けている。 関係ないどころか、今も事務所に在籍している彼にとっては迷惑かもしれないのに。 俺と事務所が和解済みでも、波紋は広がったままだ。 「弐市山さん」 不意に顎を掴まれ、また追河くんの顔が近くに見えた。 ……今度はさっきよりも深く。キスをされた。するりと舌が滑り込んでくる。不思議とそれを拒もうという気は起きなかった。 頭のどこかで、追河くんってこんなキスするんだなぁとか、そんなことに感心していた。
- 81 名前:涙のプリンスメロン 6/7 mailto:sage [2010/04/01(木) 01:57:37 ID:CTSHm5dm0]
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「こんなおじさんとキスして嬉しいかなぁ……」 キスから解放された後で、小さく呟いた。 「そうでもないですよ。……って、僕も同じ40代ですけど」 「ええっ……40っていつの間に? あ、あれ? もしかして最近誕生日だった?」 かつて、俺たちのFCスタッフは追河くんも担当していた。そのスタッフから教えられた彼の誕生日はつい先日だったはずだ。 「はい。つい最近40になりました」 とても40歳とは思えない笑顔だった。 「40になりたてと、もうすぐ50の40代は全然違うよ」 「同じですよ。だから、今のキスは誕生日プレゼントってことで……」 ふふっと彼が微笑んだ。なんでこんな彼が俺とキスして楽しいのか分からないよ。 「これを機会に、僕もキス魔に立候補していいですか?」 「何言ってるんだよ。……あ、そうだ。俺ブログやっててさ、一緒に写メ撮っていい?」 「いいですよ」 思いっきり話題を逸らした俺に何かを言うでもなく、追河くんは近くのスタッフに俺の携帯を渡して写真を撮ってもらった。 「ありがとう。ブログに載せるけどいい?」 「弐市山さんのブログっていつも大御所ばかりなのに、僕でいいんですか?」 「駄目なわけないだろう。あ、そう言えばドラマみてるよ」 「ありがとうございます」 「だから今日は撮影で来ないかと思ってたよ。撮影忙しいんじゃないの?」 「どんなに忙しくても、自分のアルバムですからね」 さっきよりも普通に会話が出来ていると自分でも感じていた。変に気負う事も必要ないと分かったからだろうか。 こんな俺よりも彼の方がどう接するべきかを心得ている。 それからしばらく2人で話をした。今日のレコーディングのこと、彼のドラマの撮影のこと。
- 82 名前:涙のプリンスメロン 7/7 mailto:sage [2010/04/01(木) 01:58:34 ID:CTSHm5dm0]
-
「それじゃ、俺は帰るよ」 「今日はありがとうございました」 「こっちこそ、ありがとう。楽しかった」 素直にそう言えた。 「弐市山さん」 「ん?」 「……また、あの頃みたいに一緒にやれたらいいですね」 あの頃と言うのは初めて一緒にライブをやった時のことだろう。 「そうだね」 空中分解したバンドが元に戻るとは思えないけれど。それでも彼の気持ちは嬉しかった。 重い足取りで通った光景は、軽くなった気分と足取りで見る光景は全くの正反対に見えた。 まるであの頃と変わらない気分で、この道を歩いてる。 今日は不思議な日だった。 普段はあえて思い出さないようにしているあの頃のことをすんなりと思い出し、それを懐かしいとさえ思う事が出来た。 あんなにも重く考えていたことがバカバカしく思えてくる。 来てよかった。レコーディングも楽しかったし。こんなことなら、あのキスは安いものだと言ってもいい。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 1枚の写真でここまで捏造出来る自分テラバカスw
- 83 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/04/01(木) 03:46:23 ID:v1NAe1fY0]
- >>82
うお!未知ーナマモノきたあああw ブログ写真探しに飛んでいきましたよ! キスされる未知ーはよく見てきたけど、する側は新鮮でした。姐さんGJ!
- 84 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/04/01(木) 10:34:42 ID:hmfqU+poO]
- >>82
未知ーのナマモノは初体験だ! どうもありがとうございます!!
- 85 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/04/02(金) 00:53:04 ID:z1SNM0Ex0]
- >>25
遅レスだけど萌えました 荷野未屋と香罪さんのやり取りがたまらんです!
- 86 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/04/02(金) 01:17:22 ID:ETn/Aey/0]
- >>25
当時規制で書き込めなかった…。今更ですが私もGJと言いたい! 二人のキャッキャぶりが好きだったんで萌え転がりました 心の潤いをありがとう!
- 87 名前:ピンポン 矢印の行方 1/9 mailto:sage [2010/04/03(土) 00:07:19 ID:lWJv/Zo10]
- 規制解除やっとキター!
ピンポン ドラチャイ 56-429 56-448 56-456 57-19 の続き |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 孔文革は辻堂学院高校卓球部の生徒達と一緒に、小田急線の新宿駅地下ホームで、急行を待っていた。 都内の姉妹校と交流試合をした帰りだった。 孔が辻堂学院を卒業し、卓球部のコーチになって、2年半近くが過ぎようとしていた。 全体的にスタミナ不足が目に付く。ラリーに持ち込まれると、小さなミスで得点を奪われる。練習メニューの立て直しをしなくてはならない。 まずは何よりも走り込みだろう。 生徒達はさばさばしたものだ。雑談で盛り上がっている。 さばさばしてるのも問題なんだけどな。 頭の中で練習メニューを組み立てていると、生徒の一人が「ねーねー、コーチ」と話しかけてきた。 「あそこの人、K大の風間さんじゃね?」 「え?」 孔が振り向くと、柱の向こうに風間竜一が立っていた。同じ急行を待っているのだろう。 「ほんとだー」 「え、なになに、誰だって?」 「かっけぇなー、俺、ファンなんだよね」 生徒達の視線に気がついたのか、風間が顔を向けた。 孔の姿を認め、一瞬驚きに目を見開いて、笑顔になる。 そう言えば前にも、こう言う顔を見たことがあったな、と思い出す。風間はロマンスカーに乗っていて、孔は反対側のホームにいた。 「孔!」 「風間」 孔が手を上げると、生徒が「えー、コーチ知り合い?」と大袈裟に驚いた。 「まあね」 「あ、俺知ってる。同学年だったんよね?」 「うん」 「えーマジマジ? コーチすごいじゃん」
- 88 名前:ピンポン 矢印の行方 2/9 mailto:sage [2010/04/03(土) 00:08:09 ID:lWJv/Zo10]
- 同学年ということのなにがすごいと言うのか、生徒達が口々に言うのをドアを開けた急行に押し込み、自分も荷物を抱え直して電車に乗り込む。
風間が隣のドアから入り、荷物を網棚に乗せ、こちらを待つように見た。 近づいて自分の荷物も隣に乗せ、吊り革につかまる。 「すごい、偶然ね」 「本当だな」 生徒達はひとかたまりになって、こちらを気にする様子だったが、自分たちとは一線を画する存在と見たのか、それ以上は話しかけてこなかった。 あいつらでも遠慮するんだな、と孔は少しおかしくなる。 「辻堂の生徒か?」 「うん、今日、試合あたのよ」 「勝ったか」 「負けたよ。試合、少ない、だめね。練習、たくさん。試合も、たくさん。まだまだ全然。経験、不足」 「確かにその通りだな。相手と対峙することで体が覚えるものがある。…元気そうでなによりだ」 「元気よ。風間、前、ロマンスカー、乗てたね?」 「ああ。やはりあれは孔だったか」 「びくりしたよ」 「私もだ」 星野を空港に見送りに行ってから、どのくらい経ったのだったか。 「髪、伸ばしたね」 「ああ」 「いいね」 「そうストレートに言われると照れる」 「そう? 似合うよ」 風間は黙って微笑んだ。 孔の心臓が少しばかり、どきりと跳ねる。
- 89 名前:ピンポン 矢印の行方 3/9 mailto:sage [2010/04/03(土) 00:09:36 ID:lWJv/Zo10]
- 「孔はこれから何か用事があるのか」
「学校行って、荷物取てきて、帰て、ご飯たべて、お風呂はいて、寝るよ」 シンプルな孔の生活に、風間は笑って頷いた。 「彼らは?」 「藤沢、着いたら解散」 「そうか。ではどうだ、食事でも一緒に。私は海王に用事があるのだが、すぐ終わる」 「ん。いいよ。なに食べる」 「藤沢にうまい定食屋がある。7時に駅で待ち合わせではどうだ」 いいよ。孔は窓の外を見ながら答えた。 なんだろう。風間の目を見ながら話していると、顔に血が上るような感じがする。 「念のため、携帯電話の番号を教えておこう」 「あ、私も、持てるよ」 携帯の番号を交換すると、後は近況報告のような会話になった。 今は辻堂のコーチのみか、と言う風間の問いに、「午前中、2時まで、スポーツセンター。遅番もある。それから、辻堂で、コーチ」と簡潔に答える。 「そうか、スポーツセンターか」 「楽しいよ。いろんな人、くる。卓球、台、たくさんあるからね、週2回、センターの教室でも、教えてる。あと、ジム。トレーナーも少しやる」 辻堂を卒業後、生徒達の授業が終わるまでの空いた時間を就労に当てることにした。 経済的にも自立を迫られ、藁にもすがる思いで受けた民間のスポーツセンターの面接が合格した。 後に聞くところによれば、辻堂の卓球部顧問の口添えがあったらしい。 「名門の名を復活させるために」が口癖の、卓球を何も知らない名前だけのただのおっさんだと思っていたのに、孔の卒業後について一番やきもきしていたのは顧問だった。 当時はさしたる感慨もなかったが、今は感謝以外に言葉が見つからない。 そんな経緯があって、もう2年以上、スポーツセンターの職員と、辻堂学院卓球部コーチの二足のわらじを履いていることになる。 本当に、時間なんてあっという間に過ぎるものだな。孔は思う。 会ってみればまた車の中と変わらずに会話が続く。 そう言えば、風間は俺のアパートの場所は知ってるけど、電話番号も住所も知らなかったんだな。 俺に至っては、向こうの連絡先を何一つ知らなかったわけだ。 別方向を向いて進んでいたベクトルが、気まぐれを起こし交差する。 交差した後は、また別の方向に進むのだろうか?
- 90 名前:ピンポン 矢印の行方 4/9 mailto:sage [2010/04/03(土) 00:10:49 ID:lWJv/Zo10]
- 風間がうまいと言っていた定食屋は、本当にうまかった。
定食屋なだけあって、安くて量がたっぷりしていて、満足感がある。 炊き立ての白米、餃子、豆腐とわかめのみそ汁に、小鉢、漬物。風間は生姜焼き定食を頼んでいた。 餃子はちゃんと皮を練っているのだろうか。厚く、もちもちして、上海で食べるのと大差ない、と思う。 自分のように日本で暮らす中国人が作っているのかもしれない。 餃子と言わず、焼鍋とでもしてくれたらもっといいのに。 「おいしかた」 「海王の連中と試合帰りによく食べにきた。高校生の財布でも苦しくならないのがいい。それに、うまい」 孔が笑うのを見て、風間が怪訝な顔をした。 「なんだ」 「風間も、高校生、だたんだなあ、って」 「高校生だったではないか。試合しただろう」 「したけど、高校生には見えなかたよ」 「そんなことはないだろう」 本気でそう思うのなら、風間はちょっと変わってる。 「ぎょうざ、おいしかたよ」 「だろう? ちょっと本格的だろう」 風間はこれを俺に食べさせたくて連れてきたのか。 孔はポケットに入っていたガムを口に放り込むと、風間にも一つ渡した。 「これから、どする?」 「そうだな」 「今度こそ、風間、うちきて、お茶、のむ?」 「路上駐車を気にする必要もないしな。邪魔させてもらうか」 二人で顔を見合わせて、笑う。 自分の言っていることが相手に素直に伝わるというのは嬉しいことだ。 言葉は、日本に残ると決める以前から、コーチに強制的に日本語の学校に通わされていた。 そのせいあって、話す、聞くは日本に来た当初より格段によくなった。 けれど、それだけではないなにかが風間との間にある。 それが心地いい。 腹ごなしに孔のアパートまで、二人は連れ立って歩いた。 肩や腕のぶつからない間隔を開けて、並んで歩く。 照れ臭いような気持ちがするのはどうしてだろう。
- 91 名前:ピンポン 矢印の行方 5/9 mailto:sage [2010/04/03(土) 00:11:46 ID:lWJv/Zo10]
- 結局二人が飲んだのは、お茶ではなく、酒だった。
数日前に木村や山田が遊びに来て酒盛りをして行った際に置いていった焼酎や日本酒が、部屋の隅に並んでいたのだ。 「旨そうなのが置いてあるな」 と言う風間に、それじゃ、とスナック菓子とつまみを出し、焼酎を出した。 「それ、瓶、いいでしょう」 『百年の孤独』と言う名前のその焼酎は、前に店頭で見て、名前に惹かれ、瓶に惹かれた。値段を見て諦めたのだが、家が酒屋を営む辻堂の同級生が、半分しかないけど飲もうぜ、と酒盛りの時に持ってきたのだった。 「名前がいいな」 「ね。私もいい、思う。友達、くれた。『まぁわん』もある」 「まーわん?」 「これ」 孔が台所から持ってきた瓶のラベルには、『魔王』と骨太な筆文字で書かれていた。 「まおうか。成程。百年の孤独は中国語で何と言う」 「『ばいにぃぁん・ぐどぅ』。それ、すごぉい高いから、ひとりで飲めー、友達、言う」 「私が飲んでは申し訳ないようだな」 「風間と飲むから、おいしいのよ。ひとりで酒、まずい。私、飲まないよ」 「では遠慮なく戴こう」 「うん」
- 92 名前:ピンポン 矢印の行方 6/9 mailto:sage [2010/04/03(土) 00:12:55 ID:lWJv/Zo10]
- 風間と向いあって飲む酒は、木村や他の辻堂卒業生とわぁわぁと飲む酒とはまた別な味がした。
正直なところ、まだ酒の味の良し悪しはわからない。飲むという行為が楽しいのだ。 酔うだけなら、缶ビールで十分だ。 風間にその焼酎を出したのは、名前が、海王時代の風間を連想させたからだった。 アパートの壁に背を預けて、つまみを噛りながら、ゆっくりと酒を口にする。 風間は孔のベッドにもたれていた。 窓の外からは、ふざけながら大声をあげ歩く若い男たちの声に、はしゃぐ女の子の声が交じって聞こえる。 気持ち良く、酔いが回る。 二人はぽつりぽつりと会話を交わした。 孔は弱くはないが、強くもない。 軽い酩酊を覚えて風間を見ると、ほとんど変わらない様子で焼酎を口に運んでいる。 酒を飲んでいると、咽喉が渇く。孔は少し前、冷蔵庫にあったウーロン茶を出した。 そのコップとペットボトルが汗をかいている。 孔はコップに付いた水滴を、爪でなぞった。 大きくなった水滴が、ガラスの表面を伝って落ちた。 その様子を見ていた風間が、自分もウーロン茶を口にした。 「冷たいものを飲むと、咽喉が渇いていたことに気がつくな」 「風間て、おもしろい、ねぇ」 「そうか?」 「私知ってる、日本人、誰とも風間、ちがう」 「そうか」 「うん」 沈黙が流れる。居心地のいい沈黙である。黙っていることに不安を覚えない。 孔は幸せだった。
- 93 名前:ピンポン 矢印の行方 7/9 mailto:sage [2010/04/03(土) 00:13:51 ID:lWJv/Zo10]
- 風間が腕時計を見た。
「時間を忘れていた。そろそろお暇しよう。終電が無くなる」 「え、あ、うん」 立ち上がりながら手にしていたコップをテーブルに置こうとして、孔は手を滑らせた。 「おっ」 「あ、ごめん、なさい」 風間のTシャツが濡れた。タオルを探して手渡すと、風間は軽く拭いて、 「着替えがある」 と、濡れたTシャツを脱いだ。 脱いだものを丸めて側に置き、スポーツバッグの中をさぐるのに、風間の背中が孔に向けられた。 バッグの口からラケットの柄が見える。孔は微笑んで、ふと、風間の背中に視線を移した。 孔の息が止まった。 風間の肩甲骨の辺りに、赤い痕が走っている。誰かが、背中を掻き抱いた痕に見える。 …女が、いるのだ。 風間のような男に、いないほうがおかしい。 冷水を浴びたように、酔いが一気に冷めた。孔の顔がこわばる。 「…それ」 「ん?」 「かのじょ、か?」 「なんだ?」 「せなか」 風間は一瞬けげんそうな顔をした。そして背中という言葉に思い当たったらしく、苦笑いを浮かべた。スポーツバッグから出したTシャツを着込む。 「彼女ではない」 「おんなだ」 「女ではあるが、恋人ではない」 「風間は、好きでないの人、寝るか」
- 94 名前:ピンポン 矢印の行方 8/9 mailto:sage [2010/04/03(土) 00:14:59 ID:lWJv/Zo10]
- 孔の胃の上辺りがきゅっと縮み、怒りが首をもたげた。
「好きではないわけではない。ただ、恋人とは言わんと考えている」 「わからない」 「そういう関係もある。何を怒っている」 なぜ怒っているのか、孔は自分でもわからなかった。風間の女関係が孔に関係するはずもない。はずもないのだ。 息を吐く。 「…わからない」 少し前まで孔は幸せな気持ちでいっぱいだった。それがぺしゃんこにつぶれて、惨めな気持ちでいっぱいになっている。 こんな気持ちでさようならするのは嫌だ、と孔は思った。しかし孔には今の自分の心のうちを表すすべがなかった。 風間が立ち上がり、荷物をまとめ、肩にかけた。孔ものろのろと風間の後について玄関まで出る。 「すまなかったな」 「…なぜ、風間あやまる」 「怒らせたようだ」 「怒てないよ」 風間は、そうか、ならいい、と呟いて、アパートのドアを開けた。孔もサンダルを履いて、外に出る。 「かざま」 風間が振り向く。 「…また」 「また」 「駅、わかる?」 「ああ、大丈夫だ」 「…バイバイ」 風間は笑みを浮かべ手を振って、歩き出した。 孔は少しの間その後ろ姿を見送っていたが、途中で耐えきれなくなって中へ戻った。 ドアを閉めて部屋に入ると、風間のいた気配が色濃く残っていた。 それだけに、一人になったことが孔をうちのめす。 胸が苦しい。 片付けをする気になれず、ベッドに横になって目をつぶると、涙がこぼれた。 泣くなんて、もうずっとなかったのに。 どうして俺は泣いているんだ。 孔はシーツに顔を埋め、泣き声を噛み殺した。泣いている自分を認めたくなかった。 泣いている自分が信じられなかった。
- 95 名前:ピンポン 矢印の行方 9/9 mailto:sage [2010/04/03(土) 00:15:41 ID:lWJv/Zo10]
- そうか。俺は、風間のことが好きなのか。
噛み殺した泣き声が嗚咽に変わって、ようやく孔は自分の気持ちに気がついた。 あの怒りは、嫉妬だったのか。 風間に抱かれる女がいることに。 気がついたところで救いがあるわけではない。 むしろ、気がつかなければよかったのだ。 孤独なのは風間ではない。俺だ。 交差したベクトルは、やはりまた別の方向へと進むのだ。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
- 96 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/04/03(土) 00:36:40 ID:ANtFtA1PO]
- >>87
続きktkr! ありがとう、姐さん またこの先を待ってるよ!
- 97 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/04/03(土) 01:52:53 ID:JrchocVqO]
- >>87
なんてもどかしい…!そして相変わらず孔のたどたどしさが愛らしい 続き楽しみにしてるよ
- 98 名前:ピンポン そしてまた太陽が昇る 1/3 mailto:sage [2010/04/03(土) 22:48:40 ID:lWJv/Zo10]
- 投下される方がいらっしゃらないようなので、またちょっとスレお借りします
規制続きなんでしょうか… ピンポン ドラチャイ 56-429 56-448 56-456 57-19 57-87 の続き |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 夕暮れの薄暗い部屋の中、ベッドの上で胡座をかいた風間は、手の中で携帯電話を玩んでいた。 傍からは瞑想中にも見えただろう。 後頭部を壁に軽く預け、静かな呼吸だけが続いている。 風間は今、自分の中で一つ決着を付けたところだった。 体が満たされる瞬間、精神の一部も満たされる。 全てではないところがおもしろい、と風間はいつも自嘲気味に考える。 満たされる部分、それは大概気がつかないところにあるものだ。 餓えていたことに、満たされてから気がつくのだ。 そしてその満たされた部分がまた、飢えた部分を刺激して、怒りにも似た飢餓感はもっと強くなる。 何か満たされないものを抱えて、それが何かもわからずに、餓えている。 時折会って、お互いの飢餓を満たすために屠りあい、別れる。 二人の間にあるものは、愛でも情でもない。 女との、恋人とは言わぬ、この関係を何と表すのか風間竜一には見当がつかない。
- 99 名前:ピンポン そしてまた太陽が昇る 2/3 mailto:sage [2010/04/03(土) 22:50:37 ID:lWJv/Zo10]
- 星野を見送りに行った空港からの帰り、孔を車に乗せてアパートまで送ったことがあった。
しばらくしてから女に会った時、女は少しばかり目を細めて風間を見、 風間君…好きな人が出来たでしょう と言った。 そんな人はいない、と風間は答えた。 女は笑って、 風間君って時々40歳くらいのおじさまなんじゃないかと思うことがあるんだけど、かと思うとやっぱり20歳そこそこの男の子なのよね… と、吸っていた煙草を揉み消した。 風間が孔と偶然に再会し、孔のアパートで酒を飲んだ夜、風間の背中には前の晩に女が付けた爪の跡があった。 風間はその時ひどく乾いていた。 孔を車で送ってから、風間に常につきまとっていた餓えと乾きは強くなったようだった。 怒りと、焦りと、もどかしい感情が風間を支配していた。 行為に表れたのだろう。そのため、爪を立てられたのだ。 孔と飲むのは楽しかった。 正直に言えば、孔と居ること自体が楽しかった。 昂揚したような、どこか興奮しているような、感じたことのない感情が風間に襲いかかる。 自分を律しながら、孔との時間を楽しんだ。孔も楽しそうだった。 一変したのは、濡れたTシャツを着替えようとして、風間が孔に背中を向けた瞬間だった。 空気が変化したのが気配でわかった。 「せなか」 と言われて、前の晩に女と会ったことを思い出した。 「かのじょか」 と問われて、恋人ではない、と答えた。 女との関係を説明する気はなかったし、実際、説明のしようがなかった。 恋人ということにしておけば孔は納得したのだろうが、それは風間の中の実直さが許さなかった。 孔はきっと誤解しただろう。不実な関係を楽しむ男と思っただろう。 それはそれでいい。
- 100 名前:ピンポン そしてまた太陽が昇る 3/3 mailto:sage [2010/04/03(土) 22:52:29 ID:lWJv/Zo10]
- 問題なのは、孔に背中の爪の跡を見られたことが、風間自身に予想外に大きなダメージを与えたことだ。
まるで不貞のあとを見られたような。 孔は久し振りに会った良い友達で、スポーツを介した戦友だ。 浮気と言う表現は現実にそぐわない。 しかし…なぜ、孔を裏切ったような気持ちになるのか。 いや、違う。孔ではない。自分を裏切ったような気持ちが風間を襲うのだ。 風間の中で、答えはもう既にあった。本当は最初からあったのだ。 気がつかないふりをしていただけだ。 孔の気持ちが自分に向くことなど有り得ない。 初めての自分の恋愛は不毛なまま終わるだろう。 まあいい…。自分に正直でないより、ずっといい。 風間は不器用な男だったのだ。 自分が器用な男ではなかったことに、風間は安堵と同時に軽い失望も感じた。 そして、風間はまだ若かったのだ。 驚くほど老成しながらも、未熟な部分があることに、自分でも気がつけない程、まだ若かったのだ。 風間は掌の中の携帯電話を開き、ボタンを押した。 何度かのコールの後、女の声が聞こえる。 風間はゆっくりと口を開いた。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! ようやくそれぞれ自分の気持ちに気が付いたナリ
- 101 名前:薄氷の音1/8 mailto:sage [2010/04/04(日) 01:22:17 ID:nO9YY8fVO]
- |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
タイガードラマの武智(黒)×奈須。本編でほぼモブだったのに夢見すぎてエロがあります。 黒白タケチの関係性が難しく、なんだかわかりにくい話になってしまいました。 雰囲気だけでも伝わってくれれば幸いかと… それは、鈴を振るかのごとく高く澄んだ音だった。 長く尾を引きながら、薄く剥がれ細かく欠けていく音。 『東洋は生きちょります』 それが一際大きくなった瞬間。 耳の奥で反響するそれに、自分の声も聞こえないまま唇だけが動く。 『…涼真は…』 『あやつも』 しかしその音が……不意に止んだ。 それに自分はあぁと思う。 あぁ、とどめだ、と。 しかしそれは初めからわかっていた事だった。 わかっていたから、自分は今目の前にいる男を呼んだのだ。 それでも最後の一欠片で、信じたい気持もあったのだろう。 それが――彼はまだ報告に現れない――その事ですべてを悟らされる。 愚かだと思う。愚かすぎていっそ憐れなほどだ。 いったいこれまで、何度同じような事を繰り返してきたのか。 だから『少し休め』と、自分はもう一つの自我に唇を動かさぬまま呟く。 自由は欲しい。しかしだからと言って完全に消えてなくなられても困るのだ。 だからしばし……眠れ。 告げる言葉と裏腹に、閉じていた目が開く。 光の無い黒い瞳が、前に座す男を映し出していた。
- 102 名前:薄氷の音2/8 mailto:sage [2010/04/04(日) 01:24:32 ID:nO9YY8fVO]
- 奈須進吾。
道場に通う門弟の中でも、抜きん出た体格の良さと武芸の腕を持っている彼とその仲間に、 数日前、自分はある仕事を頼んだ。それは、 藩の参政、芳田東葉の動向を探る事。 それは登城時の道筋や護衛の数。帰城の時間。屋敷への来訪者の詳細。そして、 それと同時に見張らせた阪本涼真の行動。 自分と彼の縁戚関係は周囲には知られている。 それゆえに最初聞かされた時、彼は一瞬怪訝な顔をしてみせた。 しかし腕だけでなく頭も回る男だったのだろう、彼はそれ以上の事は言及せず忠実に任にあたった。 その上での、今の報告。 あの男も、彼も生きている。ならば次に打つ手は、 「手間を取らせてすまんかったな。」 「いえ。」 「何分、自分では動けんかったでの。助かった。」 言いながら無意識のようにその手を頬に触れさせる。 そこには数日前、東葉とその甥によって足蹴にされた際、出来た痣がまだ薄く残っていた。 途端、那須の視線が歪む。 「大丈夫ながですか?」 問われ、静かに微笑した。 「あぁ。腫れは大分と引いた。しかし見栄じゃな。皆の前であのような目にあって、 なんちゃあ頼み事をするにも、収次郎達を頼るのは気が引けた。」 普段、片腕とも言うべき旧知の仲間の名をさらりと出せば、それに奈須の目には瞬間、 微かな喜色が浮かぶ。 「いえ、声をかけてもろうて、嬉しかったがです。」 多勢の中から一人、認められたと言う事実が自尊心をくすぐる。 そしてそれは更なる特別を求めさせる。 「先生は、阪本に何を?」 答えを察っしているだろう上で口にしてくる問い掛け。それに自分は尚も静かに笑ってみせた。 「なんちゃあない事や。」 「しかしあやつはあの東葉を前にして、なんもせずに戻ってきたがです。あれがわしやったら、」 「やめい。」
- 103 名前:薄氷の音3/8 mailto:sage [2010/04/04(日) 01:26:16 ID:nO9YY8fVO]
- 憤る語調を諌めるように、短く強く言う。
それに奈須は一瞬呑まれたような表情を見せたが、それに自分は彼の目の前、一度小さく息をつくと 再び口元に柔らかな笑みを浮かべた。そして、 「……涼真にも出来んかった事じゃ。おまんに無茶はさせられん。」 わざとの名出し。わざとの労り。 その響きが優しげなら優しげなほど、相手の義侠心を煽るのは想定の内の事だった。 「先生!」 座していた間を詰められ、腕を掴まれる。 「望む事を言うてつかぁさい!わしは先生のお役に立ちたいんじゃ!」 握り込んでくる手の強い力。本気の声の響き。 追い込む。あと、もう少し。 「一人では無理じゃ。」 「今回の事に関わった保岡と大居氏にも声を掛けます。」 「事が成れば、おまんらはこの土イ左におられのぉなる。」 「それが先生の、この国の為になるがなら本望ですきに。」 「……いかん、」 微かな沈黙の後の溜息、そして微笑。 やんわりと掴んでくる腕を解こうとする。その気配に奈須は抵抗した。 「先生!」 振り解かれまいとする手が腕を引き寄せようとし、その強い力に体が思わず傾く。 奈須の肩に顔を埋めるような形になる。 触れた場所から伝わる振動で、彼がはっと息を呑むのがわかった。だから、 「……その前に、おまんには今回の礼をせねばならんのう。」 話をはぐらかし、着物越し、その胸に手を置く。 押し返すわけでも縋るわけでもなく、ただ触れ、その目を上げる。 「何か、欲しいもんはあるかえ?」 目を細めて笑いながら、問う。 その答えは……再び深く抱き込んでくる腕の強さで返された。
- 104 名前:薄氷の音4/8 mailto:sage [2010/04/04(日) 01:28:27 ID:nO9YY8fVO]
- 窓辺に座り込み、細く開けた障子戸の隙間からのぞき見た眼下には、夜も更けた頃合いになっても
行き交う人の影が幾つか見て取れた。 賑やかと言う訳ではない。どちらかと言えば密やかな、しかし眠る事のない淫猥な雰囲気が 日が落ちると共に漂い出す町の一角。 しかしそんな界隈の中でも今、自分がいるこの店は比較的まともな店構えをしていた。 あれから数日、落ち合う場所は相手に決めさせた。 果たしてどんな所を指定してくるか。思い、辿りついた場所にあったのは、一見普通の 小料理屋を前面に出した色茶屋だった。 その選択は彼なりの自分に対する配慮だったのだろう。 ふと思い、背後を振り返ろうとする。 しかしその背中にこの時、ふわりと掛けられる羽織の感触があった。 「夜は大分と冷えてきましたきに。」 情事後、眠っているとばかり思っていた男がいつの間にか側近くに来、着物一枚だった この身を心配して労わりの声をかけてくる。 そんな相手に武智はこの時、ゆっくりと視線を巡らせると静かに微笑みかけていた。 「すまんな。」 礼を言いその羽織を引き寄せながら、そのまま後ろにいる彼――奈須の腕の中に凭れかかろうとする。 そのわずかに傾いた体を、彼はしっかりと受け止めてきた。 先刻まで一度深く絡み合っていた肌は、互いの着物越しでもこの時しっとりと纏いつく。 太い腕が体温を分け合うように体を抱き込み、柔らかく引き寄せてくる。 それに武智は逆らわなかった。 むしろ自ら甘えるように首を傾けてその頬をすり寄せようとすれば、その顎に添うように 奈須は手を持ち上げてきた。 柔くなぞり上げ、それは頬のある一点で止まる。 そして小さく呟かれる。 「許せんがです……」 真剣に思いつめたような声。それに武智はふっと口元を緩めた。 「そんな事を言うてくれたは、おまんだけじゃ。」
- 105 名前:薄氷の音5/8 mailto:sage [2010/04/04(日) 01:31:09 ID:nO9YY8fVO]
- 決死の訴えを退けられ、あげく犬猫のごとく痛めつけられ、その際に出来たこの顔の痣から、
あの時門弟達は皆、まるで腫れ物に触れないでおこうとするかのように目を背けた。 それは新入りの者達から、古くからつきあいのある者達に至るまで。 もっともその中には、驚きのあまりこの痣自体目に入っていないかのような者もいたが…… 脳裏に浮かびかけたその者の顔を、武智はしかしこの時、すぐに打ち消すように意識を触れてくる 手の方に集中させる。 優しい手はただそれだけでひどく肌になじむ。 それはそれだけこの身が、まるで渇いた砂のように労わりに飢えていた事を意味していた。 幼い頃からもう気が遠くなるほどの長い間、この身はずっと我慢に我慢を重ね、耐える事を覚え、 それでも期待をすれば裏切られ、与えられる事を望んでも奪われ続けるばかりで。 そしてそんな重なる痛みと共に、心は荒んで、荒んで…… 「なぁ…」 視線を落としたまま、抑揚の無い呟きが零れる。 「おまんは、心が削られる音っちゅうもんを知っちょるか?」 急に耳に届いたそんな言葉の意味を、奈須はこの時はかりかねたようだった。 えっ?とばかりにわずかに姿勢が正され、その顔が武智の表情を覗き込もうとしてくる。 それを武智は戯れるように微かに首を振りながら拒んだ。 それでも呟きだけは零れ続ける。 「最初は何の音かわかっちょらんかった。それは高く澄んだ音で、鈴でも振るかのように か細く長く後を引く……たまに聞く分だけなら綺麗だとも思えたんじゃがな。あまりに 鳴り続けられると、神経をやられる。」 絶えることなく耳の奥で響き続ける音に侵され、苛まれてゆく。 長じるにつれ酷くなっていたその現象から解放されたのは、彼が側にいた時だけだった。 考えまいとする矢先から浮かび上がってくる一人の男の面影に、武智はこの時たまらず苦笑する。 唯一の光。唯一の救い。しかし皮肉なものだとも思う。 その男が結局は、自分の中に一番大きな音を立てていったのだから。 あれ以来、もう音は聞こえない。 だからもう……いらない。
- 106 名前:薄氷の音6/8 mailto:sage [2010/04/04(日) 01:32:48 ID:nO9YY8fVO]
- 「先生?」
心配そうに呼びかけてくる声。それに合わせるように武智はこの時顔と共に手を差し伸ばした。 頬に触れてくる手に、自分のそれを重ね合わせる。 相手など、選ばなければいくらでもいるのだ。 それが例え行きずりだろうと、今宵限りの者だろうと…… 「なんちゃあない。それより、もうええがか?」 だから滑るように口にする、誘いの呼び水。 「せめてもの餞別じゃ。好きにしてくれたらええ。」 事が成った後、彼が徴収へ落ち伸びる手配はすべて自分が整えた。 この時勢、これが終生の別れになるかもしれない事は双方口にしないまま理解している。 それゆえの衝動。 不意に膝裏に腕を差し込まれ、座り込んでいた場所から抱き上げられようとする。 力強い腕の、しかしその行為を武智は刹那制した。 途端、怪訝にひそめられる奈須の眉根。 それを見て取りながら、武智は少しだけ可笑しげに笑ってみせる。 そして視線を外さぬまま、この時伸ばした指先。 それはコトリと小さな音を立てて、細く開いていた障子を後ろ手に閉めていた。
- 107 名前:薄氷の音7/8 mailto:sage [2010/04/04(日) 01:35:56 ID:nO9YY8fVO]
- すでに寝乱れていた布団の上に運ばれて、貪るように始められる二度目の情交。
余裕を失くしたような奈須の荒々しい求めにも、武智の体はすぐに慣れ溶けた。 物心ついた頃からもう何度、意思に反して踏みにじられ苦痛しか感じなかった行為も、自ら 受け入れてしまえば、そこにあったのは果てのない悦楽だった。 首筋を辿り下りていく唇に胸の尖りを捉えられ、念入りに舌を絡められれば、そこから生まれる ジリジリとした昏い熱に無意識に指先が伸びる。 胸元に伏せられる男の髪に手をやって、弄るようにその首や肩を撫で下ろし、その上に早うと せがむように爪を立てる。 それに奈須は応えてきた。 手を掛けた足を持ち上げ、押し開き、あてがってくる。 それに抗う素振りを見せなければ、奈須は一気に彼自身を武智の中に埋めてきた。 すでに猛りきっていた男の欲の圧迫感には、さすがに息が詰まった。 けれど熟れた体に走る痛みはもはやあまり無い。 だから戻す呼吸と共に、武智は自らも動く。それは、罪に蜜を絡めるように。 明かりの落ちた室内に響く、脱ぎきれていない着物の衣擦れと淫らな水の音。 抱き締められ、揺さぶられる度に上げる喘ぎは、塞いでくる手さえなければこの上なく甘く、 淫らがましく己の耳にも届き、それに武智は自らの胸の奥をちりちりと焼く疼きがある事を知る。 回した腕で懸命に男の背に縋りつきながら、それを武智はふと可笑しく思う。 まったく往生際の悪い。 ここまで堕ちて、まだ恥と感じる心があるのか。 認めてしまえば、解放してしまえば、楽になれると言うのに。 たとえば、このように……… 「…やぁ…っ…あぁっ…」 乱れる布団の上、徐々にずり上がっていた体を再び引き戻され、より深くを穿たれる。 途端、跳ねる背と共に悲鳴にも似た声が口をついた。 「やめっ……や…ぁ…」 それまで男のすべてを従順に受け入れていた体が、突如もがく様な仕草を見せる。 けれどそれを、嘘をつけと含み笑う意識があった。ただ、 「……やめ……こわ…い…っ…」 怯えるように切れ切れに零された、その言葉は本当の事だろうとも思う。 もっともそれが理性を失くしかけている男を煽るだけにしかならない事も、自分は知っている。
- 108 名前:薄氷の音8/8 mailto:sage [2010/04/04(日) 01:38:33 ID:nO9YY8fVO]
- 律動が早まる。逃れられず追い込まれる悲鳴が、男の下で徐々に啜り泣く様な吐息に変わってゆく。
それでも、 「…もう……いて…くれ……」 その中でも呟かれた掠れた声の訴えに、肌一枚の下、浮かべていた笑みは明確な失笑となった。 いったいどこまで……お綺麗にお人好しなのか。 しかしその願いを叶えてやる訳にはいかなかった。 どれ程願おうと―――自死など選ばせてなるものか。 この体は自分のものでもあるのだから。 だから、 不意に、それまでなすがままに揺れていた足を、武智は奈須の腰に絡めた。 うねるように二人して昇り詰めるよう、その首筋に腕を回し、引き寄せる。 そして耳朶に這わせた唇で、その時声に出さずに奈須に告げた囁き。それは、 ―――わしの為に、東葉を… 「…殺いて…くれ………」 恍惚とした笑みを浮かべるのと同時に果てた瞬間、聞いたそれは鈴を振るかのごとく 高く澄んだ音だった。 わずかに残っていたそれに罅を走らせ、粉々に砕け散らせた…… 願う冷たい死とは裏腹な熱い欲を身の内に感じながら、武智はこの時あらためて、 人の心とは薄氷が割れるような音を立てて壊れるのだと知っていた。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 白タケチをイジメる黒タケチのイメージは木春屋4十奏の幻惑だったと言ってみる。
- 109 名前:101 mailto:sage [2010/04/04(日) 02:12:59 ID:nO9YY8fVO]
- すみません。今頃カプ表記を間違えた事に気付きました。
武智(黒)×奈須ではなく→奈須×武智(黒)です! 間違えて読んでしまった方がいたら、本当にすみません…
- 110 名前:架空のスタッフ×某テクノなおっさん師匠 1/3 mailto:sage [2010/04/04(日) 20:45:08 ID:bbRAoi3bO]
- 架空のスタッフ×某テクノなおっさん師匠です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! トイレから帰ってきたら、ドアの前で松/村に頭を叩かれた。 「なんだよ」 「お前パソコン開いたままで行っただろ。ヒラ/サワさん読んでるぞ。」 「げ」 俺の暇つぶしの松/村×ヒラ/サワ小説(完結編)を事もあろうに見られた。 ヒラ/サワさんに。 俺が座っていた椅子に座り、足を組みながら堂々と画面を凝視している。 お、俺は…ど、どうしたら… 松/村が顔だけ動かして「行け」と命令してくる。 わかってるよ。こうしてたってしょうがないしな。 でも心の準備ってもんが… ああ、でも見られたもんはしょうがない。 俺のせいだ…。 ドアを開け、恐る恐る近づく。 おい、松/村、お前も入ってこい。いや、入ってきてください。 俺の必死の形相に松/村は呆れて溜息を吐きつつ入ってきてくれた。 しかしいつでも出られるようにドアの前から動かない。くそが。 「あ、あ、あのーー……」 くるっと振り向いたヒラ/サワさんの目力のすごさに後ずさる。 「ほんとすいません!!」 やばい、やっぱり怒ってるよ。やばい。嫌われるのだけは嫌だ…!
- 111 名前:架空のスタッフ×某テクノなおっさん師匠 2/3 mailto:sage [2010/04/04(日) 20:46:39 ID:bbRAoi3bO]
- ああなんで最後まで書いちゃったんだろう。
かなりきわどい事もさせちゃったし怒るよそりゃ。 こんな風に見られてるって知ったら俺だって怒るし書いたやつの事嫌いになる。 うわああ嫌だ嫌われたくない!! どうしよう、どうしたら… 「こんなもので」 「はい!すいまs」 「こんなもので私が(ピー)ながら(ピーーー)るとでも?」 「……え?」 なんだって? 今、な、なんだって?そっち? 「……」 にわかに信じがたい事を言われた気がする。 思ってた突っ込みと方向が違う。 やばい、体が動かない。目力がすごすぎてヒラ/サワさんから目も離せない。 俺、丸腰なんだけど。 ヒラ/サワさんは俺を見たまま椅子をくるんと回転させ体ごとこちらを向いた。 椅子に深く腰かけ、足を組んだ膝の上で手も組んで俺を見上げる。 思わずフラフラと近づきそうになった。のに。 「だいたい(ピー)は(ピー)なのだからこんなもんでは私は(ピー)しない。」 近づきそうになった途端、また俺の思考が止まる。
- 112 名前:架空のスタッフ×某テクノなおっさん師匠 3/3 mailto:sage [2010/04/04(日) 20:47:50 ID:bbRAoi3bO]
- 「あ、あ、」
「もっと(ピー)なもので(ズキューン)しても(ピー)だと思わないか?」 あれ?あれ何これ? ヒラ/サワさんなんか笑ってるし。 違う方向からなんかでかい爆弾が落とされてる!あれ? ていうか俺の防空壕の中にヒラ/サワさんが居る!! 「(ピー)というのは、(ピー)であるゆえに、つまり(ピーーーーー)。私を(ピー)たかったら(ピー)くらいしないとダメ。」 長い!!話長いよ!!!助けてーーーーーーーーー!!まつ… あっ松/村が居なくなってる!! 「す、すいま、すいま、」 「わかったら、はいやり直し。」 全選択→del→上書き保存 ああああああ渾身の作が。いや、駄作が…。 「最低限(ピー)するように。でないと(ピー)てやんない。」 席を立ち、静かに自分の作業に戻るヒラ/サワさん。 「おい」 呆然としている俺にいつの間にか帰って来ていたらしい薄情な松/村が話しかけてきた。 「なんか好きな話題だったみたいでよかったな。」 くそが。 俺…いつかヒラ/サワさんを満足させられる日が来るんだろうか。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! たくさんのねつ造がかさんでおります。 読んでくださってありがとうございました。
- 113 名前:ピンポン 恋は思案の外 1/5 mailto:sage [2010/04/04(日) 22:54:05 ID:HM7kvPxB0]
- ピンポン ドラチャイ
56-429 56-448 56-456 57-19 57-87 57-98 の続き じりじりと進んでおります |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 孔が風間と久しぶりに顔を合わせたのは、仕事先のスポーツセンターのジムだった。 交代の時間になり、ファイルを手に取りながらジムを出ようかと歩き出したところで視界の端に存在感のある何かをとらえ、振り向くと、壁際のベンチシートに座って孔を見る風間の姿があった。 「…風間?」 「トレーナー姿も板についているものだな」 風間は、孔のアパートからの帰り際気まずく別れたことなど何もなかったかのように話しかけてくる。 孔の働く姿を見ていたのらしい。気が付かなかった。 「びくりした…いつからいた? トレーニングに来た?」 「ここには今しがただな。隣に、注文していたラケットを受け取りに来たのだが」 「ああ」 スポーツセンターの隣には、スポーツ用品全般を取り扱う大きいショップがある。 「いいトレーニングマシンが入ったと大学で噂で聞いてな。それにここで働いていると言っていただろう。ついでにのぞきに来た」 「新しいのベンチかな。あれ、いいよ。レッグストラッチャーも、新しくなてる」 「ここのジムは孔をトレーナーに指名すれば付いてくれるのか」 「うん、私、その時、空いていれば。来たら、ジムの受付、聞け」 話しながら、先日のことは、風間にとってはなんでもないことだったのだと気が付いた。 顔を合わせづらいと考えていたのは孔だけだったのだ。 「そうしよう。ジムにいる日を教えてくれ」 目を覗き込まれて、孔はごまかすように腕にかけていたジャージの上を羽織った。
- 114 名前:ピンポン 恋は思案の外 2/5 mailto:sage [2010/04/04(日) 22:56:35 ID:HM7kvPxB0]
- 「孔はその色合いが似合うな」
孔が着たのは、黒に鮮やかなオレンジのラインが入ったジャージだ。 オレンジは辻堂学園卓球部カラーで、あればついその色が入っているものを選んでしまう。 そう言うことは女の子に言え、と思う。 「ラケットの受け取り、これから?」 「もう終わった。仕事は終わったのか? この後は辻堂か?」 「ん、昨日土曜で試合あたろぉ、今日は午前中自主練、私休み。今日はジムだけ」 「ちょうどよかった。それならば少し付き合ってくれ」 「どこ?」 「台があるのだろう。新しいラケットの調子を試したい」 「ああ。いいよ」 いいよ。 孔は一度職員ロッカーに戻り、ラケットと球を持つと卓球室へと急いだ。 卓球室には8台の卓球台があり、使用申込書を書いて料金を払えば誰でも使用出来る。 既に着替えてストレッチしていた風間を見つけると、孔の心臓が早くなった。 趣味や、健康づくりのために来ている利用者がほとんどの卓球室の中で、風間の姿は異彩を放つ。 「あら孔さん、こんな時間に珍しい。今日はジムじゃないの?」 「こにちは、ええ、はい、これから、友達に付き合って、打ち合いです」 なじみの利用者に声をかけられ、挨拶を返しながら風間の元へと急ぐと、孔もストレッチで身体をほぐした。 一通り終えると、風間と孔は深緑色の台を挟んで構えた。 「いくぞ」 「うん」 カツッと言う音の、風間のサーブでラリーが始まった。 孔はこの球が走り出す、その一瞬前の緊張感が好きだ。 アドレナリンが身体を駆け巡るのがわかる。 二人の間を、軽い音を立てて白い球が走る。 相手の打ちやすいところへと球を返すラリーは、技術の高いもの同士、互いの息が合うと長い間続けることが出来る。 自分の打つ球が、風間の元へ吸い込まれるように飛び、風間から返ってくる。 辻堂の生徒の相手として打つラリーとはまた違う楽しさ。
- 115 名前:ピンポン 恋は思案の外 3/5 mailto:sage [2010/04/04(日) 22:58:20 ID:HM7kvPxB0]
- 何回ラリーが続いたか、風間が不意に球を見送った。
手を止めて二人のラリーに見入っていた利用者達から、 「ああー」 と言うため息のような声が漏れる。 誰かが気を利かせてロストボールを取りに行くのが目の端に見える。 風間が新しく球を手に取り、構えた瞬間、風間の持つ威圧感がぐっと強くなるのを孔は感じた。 心臓がどくりと跳ね、興奮に肌がざっと粟立つ。 これから始まるのはラリーではない。 風間が真剣勝負を仕掛けてようとしているのを孔は瞬時に理解した。 (来い!) 風間がサーブした瞬間、孔の耳から回りの音が消えた。 「はぁっ!」 どん、と音が聞こえるようなサーブを打ち込まれ、反射的に孔の身体が走る。 飛び、 返し、 打ち込まれ、 拾い、 翻弄され、 翻弄し、 弱点を暴かれ、 暴く。 この狭いコートは、なんと広いのだろうと思う。 この、軽く小さな白い球は、なんと重いのだろうと思う。 孔は風間が、辻堂2年の時に対戦して以来の間に、変化したことを知った。 あの頃の風間のプレーは戦車のようだった。 装甲車を相手にしているようだった。 孔の知らない、風間の中に積み重なった様々な経験が、風間を変えたのだ。 風間はこれからも変っていくだろう。
- 116 名前:ピンポン 恋は思案の外 4/5 mailto:sage [2010/04/04(日) 23:00:07 ID:HM7kvPxB0]
- 白い球を追って、打ち込んで、聞こえるのは、自分と、風間の息づかいのみ。
汗が滴り落ち、床に飛ぶ。 打ち続けるうち、孔はセックスしているかのような感覚にとらわれた。 卓球とはこんな球技だったろうか。 裸に剥かれて、心の奥も剥かれるように感じる、こんなスポーツだっただろうか。 風間はこんなにしなやかでセクシーな男だっただろうか。 これが本当のセックスだったら、俺はとうの昔に射精している。 勃起していないのが不思議なくらいだ。 「10-12! 風間選手!」 コートのエッジに打ち込まれ、興奮した声で点数を告げられると、孔は誰かが審判役を買って出、点数が付けられていたことに気が付いた。 破顔しながら風間が大股に近づいて来、孔に握手を求めた。 孔も笑いながら腕をのばし、握手を交わす。 それから抱き合い、肩を叩いて健闘を称える。 スポーツマンの抱擁。 「孔さん、すごいわねえぇ」 「風間選手のプレーが間近で見られるなんてな」 顔なじみの利用者が次々に声をかけてくる。 「もう終わり?」 「ええ、今日はこれで」 風間が息荒く答え、孔も流れ落ちる汗をタオルで押さえながら、審判をしてくれた男性に礼を伝えた。 利用者たちがわいわいとそれぞれ自分たちの台に戻る。 ストレッチで身体をクールダウンさせると、風間が先に立ち上がり、孔に手を差し出した。 風間の手のひらを握り、立ち上がる。
- 117 名前:ピンポン 恋は思案の外 5/5 mailto:sage [2010/04/04(日) 23:03:06 ID:HM7kvPxB0]
- 「風間、スタイル変ったね」
「そうか。孔は相変わらず燕のようだったな」 「つばめ? 鳥?」 「そうだ。空をすいすいと飛んで、掴まえられない。海王の頃から、孔を見る度そう思っていた」 それはなんだ。真顔で殺し文句か。 照れた顔を見られずにすむよう、まだ汗が出る、と言う風に、孔は頭からタオルをかぶった。 「ラケット、どうだった」 「ああ、なかなかいい」 荷物を持って卓球室を後にしながら、再び風間との距離が近くなったことを孔は何者かに感謝した。 風間。 風間は俺がお前を好きだってこと、知らないだろう。 知らなくってもいい。 俺が知ってる。 「孔、時間があるなら飯を食おう」 「あ、行く行く。でも日誌書くから、ちょと遅くなるよ」 「わかった。待っている」 更衣室に歩き出した風間と別れ、孔は急ぎ足で事務所へと向かう。 泣きたいような、 嬉しいような、 苦しいような、 晴れ晴れとしたような、 何とも言えない気持ちとともに。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
- 118 名前:風と木の名無しさん mailto:sage [2010/04/04(日) 23:36:33 ID:oPCS1IZi0]
- >>113
GJ! ドラチャイにはまりました。 続き待ってます。
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