わたしが新しい技術の創造にかかわったときから、わたしはその倫理的な側面について ずっと考えてきた。しかしわたしたちが21世紀に直面するであろう危機がこれほど大きいという ことをわたしが真剣に心配するようになったのは、ほんの 1998年の秋である。 わたしは最初の不安がやってきたときのことを覚えている。それは Ray Kurzweil と 会ったときだった。かれは視覚障害者のための最初の文章読み上げ機械や、その他多くの すばらしいものを発明してきた人物だ。
Ray とわたしは、ともにジョージ・ギルダーの Telecosm カンファレンスでの講演者だった。 2人のセッションが終わったあと、わたしはそのホテルのバーで偶然かれと会ったのである。 そのときわたしはバークレーの哲学者で意識の問題について研究している John Searle (訳注:「中国人の部屋」などで有名) と一緒にすわっていた。わたしたちが話しているうちに Ray が近づいてきて、その日ずっとわたしにとり憑くことになった、あの話題を 話し始めたのだった。