- 1 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 [NG NG.net]
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かつて芥川龍之介も「蜘蛛の糸」という Webに溺れた青年と 1本のイエローケーブルを題材にした名作を残したが 我らUNIX屋も次世代に残る長短編を残そうではありませんか 過去の名作文庫(前スレ) IP パケット − はるかなる旅 pc.2ch.net/test/read.cgi/unix/1005373223/ UNIXにまつわる創作、ノンフィクション、 論文を発表するスレッドです リレー作成、解説、批評なんでもあり
- 249 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 mailto:sage [NG NG.net]
- >>237
激ワタ。巧いねぇ。
- 250 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 mailto:sage [NG NG.net]
- >>237
これはレベルが高い
- 251 名前:名無しさん@Emacs mailto:sage [NG NG.net]
- \documentclass[twocolumn]{tarticle}
\usepackage{picinpar,fancybox} \textwidth=22zw \thispagestyle{empty} \begin{document} \begin{window}[0,l,{% \begin{minipage}<y>[c]{8zw}\ovalbox{\Large{天声人語}}\end{minipage}},{}] >>237 \end{window} \end{document}
- 252 名前:247 mailto:sage [NG NG.net]
- ちょっとだけ変更
>>237 の文の段落末の'。'を削除して、 空行を▼にすると完成 あとは platex にかければ ok \documentclass[landscape]{tarticle} \usepackage{picinpar,fancybox} \textwidth=11zw \parskip0pt \raggedbottom \thispagestyle{empty} \renewcommand{\baselinestretch}{0.8} \begin{document} \setlength{\columnseprule}{0.4pt} \begin{window}[0,l,{% \begin{minipage}<y>[c]{6zw}\ovalbox{\large{天声人語}}\end{minipage}},{}] ここに >>237 の文をいれる \end{window} \end{document}
- 253 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 mailto:sage [NG NG.net]
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「CTスキャナーに使われているワークステーション」 ある日の事だった。僕は何時ものごとくコンピュータに向かっていた所、 家の電話が鳴った。家の者が話をし終えてからしばらくして、私の部屋のドア がノックされた。 「病院から今電話があって付き添いが必要だって」母が部屋のドアを半分開き ながら、コンピュータに向かっている私にそう呟いた。 「夜中も病院にいなくちゃいけないのかな?」私がそう尋ねると、母はドクター がそう言っているのだと言った。 「今日は親戚の人が付き添ってくれるって言ってるのよ」 「−−−じゃあ、明日の夜中は誰が行くかは・・・」 「そう。まだ誰が行くか分からないの」 「じゃあ、僕が行こうか?僕なら構わないよ。夜中なら何時も起きてるし慣れてる から」 家の者が数ヶ月前に具合が悪くなり入院しているのだ。 私は、特に大切な用事がある訳では分かったので直ぐにOKした。
- 254 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 mailto:sage [NG NG.net]
- 次の日、夕方に少しだけ仮眠をとってから午後10時過ぎに家を出た。
病院に着くと、何時もの騒がしさはなく、ロビーは静まり返っている。 警備員の人と軽く話しをした後、薄暗く明かりが照らされている廊下を歩きながら 病室に向かって歩いていった。 病室では家族の者が酸素マスクをしてベッドに横たわっていた。見るからに息を するのが苦しそうだ。 深夜でも看護婦は24時間体制で患者を見ている。5階にある病棟には他にも 病室があり、手術をしたばかりの患者が寝ているそうだ。 いつだったか、夜の10時に見掛けた看護婦さんが朝8時か9時位に病室を 訪れた時、まだ仕事をしているところを見た事があったが、12時間も仕事 をしているのではないかと思う。そんな看護婦さんが今日は二人いる。 40−50代の人と20代の、どちらも女性の人だ。
- 255 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 mailto:sage [NG NG.net]
- 「○○さんちょっと我慢してねー」といいながら手際よく作業を進める若い
看護婦の姿を見ながら私は椅子に座っていた。今時の女性らしく髪を茶髪に染めて いるし、制服を着ていなければごく普通のお嬢さんという感じなのだ。だが、やる事 見る事、私には全く分からない事をする。 血圧を測ったり、点滴を交換したり、喉に痰が詰まった所鼻からチューブを差込 んで掃除をする事などをいとも簡単にやってしまう。喉からチューブを差し込まれ るのは患者としても苦しいのだろう、正直見ていて顔が歪む。 非常に辛い心境になる。 私などは血液を見ても血の気が引く思いなのだが、この看護婦のお嬢さんはそうした 事をいとも簡単にやってのけてしまうのである。私はこの若い看護婦にある意味尊敬の 念を持って彼女を見守っていた。 深夜2時ごろになり、何か飲み物が欲しくなり病室を後にしてロビーへと向かった 深夜の病院というものは、ちまたで語り継がれているような怪しい雰囲気という 印象は感じなかった。私が鈍感なせいもあるのかもしれない。 一階にあるロビーへ向かい自動販売機のところで一休みをしているとき、ふと私の心に ふつふつと沸き上がる疑問があった。 「・・・病院内はどうなっているのだろう・・・」 この病院は救急車両などで患者が搬送されてくるためか深夜でも明かりがある場所 が多く、また警備員も24時間体制である。深夜2時過、歩く私の靴音がかすかに 廊下に響きわたる音を耳にしながら、病室に向かう途中、深夜の病院の見学をする事に 決めた。別に恐くはなかった。ただ何となく見てみたかったのだ。
- 256 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 mailto:sage [NG NG.net]
- 薄明かりの廊下を歩いていると、廊下の壁にポスターが貼ってある事に気づいた。
読んでみるとCTスキャナーやMRI、数種類のX線撮像装置や内視鏡などの医療機器の 簡単な説明書きが書かれてある。私は以前Linuxなどの可視化ソフトを試した事が ある。この時MRIの断層写真を見て非常に興奮した事を憶えていたが、実際の医療現場 では見た事が無かった。 廊下を歩いていくと、深夜にも関わらずおきている患者さんがいる。眠れないの であろうか、女性が子供を抱いている所に遭遇したりもした。 ある階の廊下の突き当たりには手術室があった。窓越しに中を覗いてみると深夜 にも関わらず明かりがついていて、心電図計が何台も設置されており、テレビドラマ などでも見られるような大きめな白黒レントゲン写真が、明るく光っている大きな 壁のような所に貼り付けられたままになっている。 手術室に入ったすぐの場所は機械が置いてあったり、会議が出来るようになって おり、その部屋からまた更に奥の所にかなり大きな手術室が2つある様子である。 入り口がほんの少し覗く事ができたが、ドアやスリッパや白衣などが置いてあり 衛生的に厳重な場所である様子が伺えた。
- 257 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 mailto:sage [NG NG.net]
- 時折、手術室に設置してある心電図計の中の一台の波形に乱れが生じて、波形がマイナス
方向に大きく触れ、機械がアラーム音を鳴らして赤いランプが点滅しているのが分かった。 遠くから波形を見ていると心電図の波形が明らかに途切れ途切れなのがわかる。リズミ カルな波形をしておらず、一定でない。どこかの病室と無線LANで繋がっている のだろうが、心電図がいよいよ変になるとそれと呼応してアラーム音も周期が 早くなり、ポーン、ポーンからポンポンポンと如何にも緊急事態が迫っているというリズム になるのである。 「おい、だいじょうぶかよ」 私は独りつぶやき、周りを見回したが人が見当たらない。当直の人はいるのだろうが 私一人というのは心細い。 私はこれを見て血の気が引くというか、何とも言えない気持ちになった。という のも私が心電図計と似ている機械であるオシロスコープを使う場合、対象は電子機器 などの”機械”を対象としているからである。 心電図計が人の命に直結している事を考えると、今まで機械を相手に波形を見ていた 私にとっては冷や汗が出てくる思いがするのである。
- 258 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 mailto:sage [NG NG.net]
- 私にはどうする事も出来ない話だが、心臓の鼓動の一喜一憂を気にしながら、
冷や汗を拭いながらその場をそろりと後にした。血の気が引く思いだった。 深夜の病院の廊下を歩いていると、ガラスで中を覗く事は出来るが、明かりが ともっていないので様子をうかがう事ができない場所もある。 見た所、そこはMRI室の様子だ。 ふらふらと歩いてそうした部屋が何に使われているのかを見ようとしていると、 出入り口の様な場所に出くわした。 大きな病院ではあちこちに出入り口があるのだろう。あまり明るくないその場所を 見回っていると、横に小さなドアが設置されている。取っ手の所に霊安室への通路 と書いてある。どうやら霊安室というものはこの病院では他の建物にある様子だ。 「ああ、ここから行くんだ」 ふと言葉が出た。恐らく他の人ならあまり近寄らないのだろう、ましてや深夜になど 行かないだろうが、私はそう恐くはなかった。 ある意味、人生というものの縮図のようなものが病院で見られた、という気持ちで いたのである。
- 259 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 mailto:sage [NG NG.net]
- 何度か病院を尋ね、苦しんでいる人をじかに見ると、健康である事、ただそれだけなの
に、とてもかけがえの無い事のように見えた。 病院から帰る道すがら、目にする人々の表情を目に焼き付けるのである。私が病気 で苦しんでいる訳ではないのだが、何となくそうしたかった。 真剣な顔、笑顔の表情、普通に携帯をしながら歩いている人、家のドアを 開けたりする何気ないしぐさや若い人が自転車に乗っている所やコンビニの前で 地面に座って何かを話している茶髪の若者、仕事で忙しそうな車の運転手など、 普段気づく事の無い、何気ない事なのに私にはそれがとても素晴らしい事なのだ というように見えた。それすら出来ない人々がいるのだ。 私が何度か病院で目にした人、そういう人を目にする事がなければ、その差を理解する 事は出来なかったのかもしれない。 「彼らはその大切さに気づいているだろうか。私が見た病院での事は、人がいつか 誰しもが必ず通る道なのだろうか・・・」ふと、そう心の中で思った。
- 260 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 mailto:sage [NG NG.net]
- そんな事を考えながら誰もいない薄暗い深夜2時過ぎの病院の廊下を歩いていると
誰もいないはずなのに、使用中という赤いランプがともっている部屋があった。 壁に張ってある札を見てみると、放射能でおなじみのあの奇妙なマークと、 CTスキャン室と書かれてある札の様なものがあった。 深夜にもかかわらず、使用中であるのは変だと思ったが、ドアが明けっ放しになっていた ので中を覗くと、空調設備の低い動作音が聞こえてきて、廊下より涼しい空気を肌に 微かに感じた。人の気配はないようだ。 私は以前にLinux版のIDLを触った事もあり、コンピュータや技術などを 医学の方面で利用する事に興味が涌いていた。私はこの分野は専門ではない ので素人程度の知識しかないのであるが、MRIの仕組みや画像処理の方法や 新しいアイデアなどを得意げに書いているホームページを夢中になって読んでいた 時期がある。難しい数式や物理の話題があり、私には理解する事は難しいなぁ、 とその時感じていてそれっきりであった。 私は誰もいないCTスキャン室の前の廊下に立ちすくみ、中を無性に見て みたくなり、いてもたってもいられなくなってきた。 どの様な機械で、どうやって断層写真を得るのか、大型の機械で、しかも現場で 活躍しているその機械はどの様な構成になっているのか気になって仕方なかった のである。 しかし、警備員が時々見回りに来るはずだし、あまり変な事をしていると 大変な事になってしまう。 辺りを見回してみて、誰も来る様子が無いようだし、ちょっと部屋を覗く程度 ならば大丈夫だろうと思い、しばらく考えた末、忍び足でそおっと中に入ってみる 事にした。
- 261 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 mailto:sage [NG NG.net]
- CT室に入ると中は涼しく、丁度コンピュータの動作音と同じ音がしていて、
機械は動作中であった。微かにコンピュータの独特の匂いがする。 コントロール室と大型の機械が設置されている部屋の二つに別れており、 それぞれがかなり大きなドアで仕切られていた。恐らく不要なX線を外部に 漏らさないよう遮蔽するためであろうと思われた。 コントロールルームには、やはりというか当然のごとくコンピュータが設置 されている。 「何処かで見たようなデザインだなぁ・・・あっ、これはSUNのワークステーション だ、でも何故かロゴがGEになってる」 良く見るとそれはSUNのUNIXワークステーションである。 このワークステーションに17インチくらいの高解像度モニターと大容量 外部記憶装置が
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