- 992 名前:続き mailto:sage [2010/09/22(水) 16:32:23 発信元:118.20.42.17 ]
- 497 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2010/07/20(火) 01:53:01 ID:Fbf6rP4H
僕が実家に戻ると、あんなに厳しく大きかった祖父は一回り小さくなっていた。 「最期は家の畳の上で。」そう言った祖父の周りには、医者と、父、母、姉、僕。 そして枕元には祖母が、ずっと祖父の手を握っていた。 医者が祖父を診断し、「もう・・・」と父に耳打ちをし、父は小さく頷いた。 祖父が視線を送り、祖母が微笑んで頷く。「すぐに、追いかけますから。」 祖母の言葉に祖父は頷き、最期に家族が一度も聞いたことがない言葉を口にした。 こんなんでどうでしょう 「ありがとう。」 平静を装っていた父も、うなだれて嗚咽を漏らした。僕も、声を上げて泣いた。 ああ、これが本当に最期なんだ。そう思うと、止まらなかった。母も、姉も、祖母も。 みんなで泣いた。くしゃくしゃの祖母の目のしわを伝ったひとしずくが、祖父の 手の甲に落ちた。その瞬間だった。 祖父の乳首から光が溢れ、屋根を突き破って天空高くへと7色のビームが打ち上げられた。 父と僕はその余りの威力と美しさに、あっけに取られて天井に開いた穴から夜空を見上げていた。 祖母が微笑み、つぶやく。 「真面目な人やったから・・・」 祖父の死顔は、安らかだった。
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