- 537 名前:名無しさん@八周年 [2008/04/12(土) 19:24:03 ID:zBrRk9T20]
- ■中国では人体も薬■
中国医学で最も権威ある書物とされているのは、明時代の1578年に執筆 された『本草綱目』である。「本草」とは基本的に薬用になる植物をさすが、 薬とされる範囲は、鉱物や動物にも及ぶ。 そして、最後に出てくるのはなんと「人部」、すなわち人体を薬剤として扱う章である。 そこでは、髪の毛、尿、唾、汗、骨、生殖器、肝臓などの効用が細かく書かれ、 たとえば「瘧(おこり、マラリア)は、生の人の肝臓1個を陰干しにして、 その青い部分が効く」などと説かれている。 この「医食同源」の概念は、専門の医学書だけではなく、広く一般庶民の生活にも 浸透している。昔から子供向けの教科書として使われていた『二十四孝』は、 24種類の親孝行の例を示したもので、その一つに「割股療親」がある。 子供が自分の太ももをえぐって、病気の親に食べさせて、療養することを、 親孝行として勧めているのである。 「医食同源」の考えは近代になっても根強く残っていた。日露戦争中に日本に留学し、 その後作家として活躍した魯迅の作品 『薬』の中には、女性革命家が公開処刑 される際に、民衆が手に手に饅頭を持って集まる、というシーンが出てくる。 処刑された瞬間に吹き出る血を、饅頭に染みこませて食べる。 新鮮な血は体によいという「医食同源」の発想である。
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