- 700 名前:デフォルトの名無しさん mailto:sage [2010/04/04(日) 03:12:48 ]
- 「これは文系のセンスで書かれたコンパイラの本です。」
--中田氏推薦の言葉はこの一文から始まる。 この言葉に魅力を感じつつ、実際に購入して読んでみたが、 読み進むにつれ、この言葉の皮相さがだんだんと理解されてる ことになる。 どうやら、ここで言う「文系のセンス」とは、 1.「ストーリー仕立て」でとっつきやす「そうな」文章、 2.全編を通して出てくるリンゴの比喩 主としてこのことを指しているようだ。 しかし、まったくもって残念ながら、 1.は決して名文とはいえない拙い言い回しが散見されるところどころ設定に無理がある稚拙な「ストーリー」であり、 2.はかならずしも的を得た比喩とはいいがたい代物で読み進めるにあたってかえって理解の邪魔になるといったものだ。 とりわけ2.を称揚しているかにも見える「推薦の言葉」は少なからぬ問題を孕んでさえいると思う。 比喩において、喩えられる対象と喩えそのものにおいては、 互いの概念の抽象度合い(というか抽象化のレベル)がきちんと符合しているべきである。しかしながら本書においては、そのレベルがまちまち、バラバラであり、必ずしも適切な比喩でないものが実に多い。 読み進むにつれ、拙い比喩表現を「文系のセンス」などと言ってしまう無神経な理系の教授と、「文系の持ち味を生かした」と悦に入っている無神経な文型の学生。どうしてもそういう印象がもたれてならないのだ。 本来よい比喩のための「センス」に文系も理系もないのであり、あるのは明晰な概念把握、適切な抽象化、適切な想像力これらに関する「センス」があいまってはじめてよい比喩表現が可能になるのだと思う。 そしてよい比喩表現だけが、複雑な物事を理解する助けとなるのである。 「ただ単にたとえればいいってもんじゃないんだ!」と声を大にして言いたい。
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