- 127 名前:山師さん mailto:sage [2021/09/24(金) 15:27:18.56 ID:3/53cJ3Z.net]
- 20××年。俗にインバ部落と呼ばれている集落へ、私は足を踏み入れた。
ダブルインバースで大損を出し、家も車も手放した者たちが固まって住む貧民街だ。 住民たちが「部室」と読んでいる掘立小屋跡周囲の道端にポスターの類らしきものが落ちている。 拾ってみると もう褐色になりかけており、ところどころ千切れている。紙を翻してみると、表にはこう書いてあった。 「3000きったらインバ。みんな知ってるね?」 実は、この銘柄にはきつい減価がある。みなそれを知りながら、束の間の栄光を求めて買い漁った時代があった。 集落の古老は目の焦点がぶれている顔で、早口でまくしたてる。 「こんなインチキ相場、いつまでも続くもんじゃないんですよ!」 彼はもう数十年、これが口癖なのだそうだ。 (終)
|
![](http://yomi.mobi/qr.gif)
|