- 264 名前:水先案名無い人 mailto:sage [2010/04/10(土) 00:52:59 ID:aeUVqHjzO]
- 「−−−−−−『死ね』」
その瞬間。アウレオルス=イザードの言葉は確かに時間を止めていた。 ただ、死ぬ。 魂、なんてものが本当に存在するなら、そっくり肉体から魂を抜き取られて抜け殻になったように。 姫神は、悲鳴すらあげなかった。 姫神はくしゃくしゃに顔を歪めて笑っていた。 あらかじめ覚悟していた、けれど変えられなかった結末に対する表情だ。 誰にも求められず、最後までモノのように扱われた少女。 そんなものを。黙って見ていることなど、できるはずがなかった。 「な・・・・・・我が金色の錬成を、右手で打ち消しただと?」 錬金術師の目が凍る。 「ありえん、確かに姫神秋沙の死は確定した。その右手、聖域の秘術でも内包するか!」 上条は答えない。 もういい。そんな理屈はどうでもいい。 「『死ね』という命令を右手で打ち殺しただけ」の話なんて、本当にどうでも良い。 ―――これだけは言える。 目の前の錬金術師。否、この『人間』を ―――『上条当麻』は認める訳にはいかない。 「いいぜ、アウレオルス=イザード。テメェが何でも自分の思い通りにできるってなら――」 上条当麻は腕の中の姫神秋沙を、ゆっくりと床へ下ろす。そして立ち上がる。 無音に、けれど触れればそれだけで静電気が弾けそうなほどの怒りを隠しもせずに、 「――――まずは、そのふざけた幻想をぶち殺す・・・・・・ッ!!」 『幻想殺し』(イマジンブレイカー)上条当麻の声で、言った。
|
|