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おにゃのこが改造されるシーン 素体7人目



1 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/05/19(土) 23:18:58 ID:NpYp9tHo0]
美しい女性(女子高生、人妻、ょぅι゙ょ問わず)が拉致されたり洗脳されたり操られたり、
女戦闘員や女怪人に強制改造されたり、手術台の上であんなことやこんなことをされたりする
シーンに萌えるスレです。SSの発表や、雑談の場などに。sage進行推奨。

前スレ 「おにゃのこが改造されるシーン素体6人目」
tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1159755184/

「女子高校生位の子が改造されるシーン」(初代スレ)
artofspirit.hp.infoseek.co.jp/threadlog.html
「うら若き女性が改造されるシーン」(2スレ目)
artofspirit.hp.infoseek.co.jp/threadlog2.html
「おにゃのこが改造されるシーン 3スレ目」
artofspirit.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/updir/threadlog3.html
「おにゃのこが改造されるシーン 4スレ目」
artofspirit.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/updir/threadlog4.html
「おにゃのこが改造されるシーン 5スレ目」
artofspirit.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/updir/threadlog5.html

「蜂女の館」 初代・2スレ目までのまとめサイト。SS職人諸氏の作品が保管。
artofspirit.hp.infoseek.co.jp/
「おにゃのこ改造@ウィキ」 特撮板・エロパロ板のおにゃのこ改造スレのまとめwiki
現在、特撮板6スレ目のSSが保管されている。
www30.atwiki.jp/onyakai/

392 名前:名無しより愛をこめて [2007/10/09(火) 18:53:38 ID:Pf54KSca0]
改造シーンがあるっぽいんだが、誰か見た人いる?

ttp://footbody.web.infoseek.co.jp/eaglecafe/log/06story/story04.html

393 名前:376 mailto:sage [2007/10/09(火) 22:07:06 ID:KZHfRL4r0]
>>387

レスありがとうございます。

> 漏れ自身現在の御勧めは
> 第24話「美しきポーの仮面」ですかね。

これ、どんな話でしたっけ?
記憶がイマイチはっきりしないので、教えてもらえるとうれしいです。

> 夢の中では陶酔した気分になっていたのにハアハアした思いがあります。
> 何分古い話なので間違っていたら御免なさい。

だいたい、ご記憶の通りです。
施術の効果を高めるために無理やり見させられている幻覚なのに、
夢の中でウットリしている姿に興奮。

それにしてもこの話、
きれいなお姉さん達が悪の組織にねらわれ、アジトに捕らえられて
あやしい手術を受け、悪の心を植えつけられてこわいお姉さんに
されてしまう、という、オレにとっては理想的な展開だった。

394 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/09(火) 22:50:02 ID:EDbzjU730]
ほとんどロムっていた者なのですが、SSを一つ書いてみました。
8000字くらいで、一応17レス分くらいに分けました。
怪人のデザイン以外あんまり特撮ネタが入っていないのですが
よろしければ多分一時前くらいに投下します。
予定が変わったらその旨書き込みます。

395 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/09(火) 23:12:14 ID:a6ljc09F0]
ワクテカでお待ちしてます

396 名前:名無しより愛をこめて [2007/10/10(水) 00:29:01 ID:uHDdj8Sr0]
この流れで誰も、ギャバンの「妖しくゆらめく水中花・・・」
の話をしないのは何故?

397 名前:maledict mailto:sage [2007/10/10(水) 01:00:15 ID:8pnO0IX30]
>>394です。一応固定を名乗っておきます。
名前は何となくまがまがしいだけで深い意味はありません
(多分「呪われた人」とかそんな意味です)

タイトルも適当なのですが
「情念の残り火――改造素体十万八号の記録」にしておきます

>>396
ちょっとだけ待ってもらって、
できれば詳しくおねがいします

398 名前:改造素体十万八号・1 mailto:sage [2007/10/10(水) 01:01:37 ID:8pnO0IX30]
 わたしがいるのは二畳ほどの清潔な部屋。寝心地のよいベッドの他には、
水飲み場、快適な洗浄機付きトイレ、シャワーしかない殺風景な部屋。
食料はない。栄養は睡眠中の点滴、あるいは水飲み場の液体から補給する。
 わたしはベッドの上に全裸で腰掛けている。服は一着もない。
しかもわたしの前に壁はなく、通路から部屋の中は丸見えである。
だが壁の代わりにそこには目に見えないエネルギーバリアがあり、
外に出ることは決して出来ない。
 ここは独房。わたしは一日中、機械と、巡回する看守に監視されている。
わたしは一ヶ月前謎の宇宙人に拉致され、しばらくしてこの独房に収容された。
そして自分の運命に怯えつつ、ある計画を胸に「あの人」の来訪を待っている。

 「あの人」との悲しい別れは半年前。そしてもっと悲しい再会は一ヶ月前のこと。
――「あの人」とはわたしの上司であり恋人である課長。
少し年は離れているがいわゆる不倫ではない。奥様に先立たれ子供もいない課長は、
周囲も公認の幸福な交際をわたしと続け、結婚も間近だった。
 「別れ」は二人でホテルを出て公園を歩いているときに訪れた。
 当時「宇宙人」による拉致事件は都市伝説の域を超え、マスコミや政府も
認める公的な「事件」になりつつあった。とはいえ、身近にさらわれた人も
いなかったわたしたちには、まだまだ絵空事のような事件だった筈だった。

399 名前:改造素体十万八号・2 mailto:sage [2007/10/10(水) 01:02:09 ID:8pnO0IX30]
 二人にムカデ型のロボットが襲いかかったのはその時だ。課長は、わたしに
触手を向けたロボットの前に立ちはだかり、わたしをかばって触手に絡め取られ、
ゲームセンターのおもちゃのように上空の円盤へ吸い上げられていった。
「僕のことは忘れるんだ!君が無事でよかった」
遠ざかる声を聞きながらわたしは泣くことも忘れ呆然と立ちすくんでいた。

 わたしは心に傷を負い、会社を辞めて日中帰宅できるパート勤めを始めた。
もう夜道は歩けなかった。しかし、およそ半年後、昼夜問わず人間を
襲うようになっていた拉致ロボットに、遂に捕らえられてしまった。

 「再会」の場所は独房に入る前の雑居房のような区画だった。
そこは男女問わず、手かせと足かせ以外全裸のまま収監されるという
非情に不快な空間だった。隣の下品な男は足かせの許す移動範囲一杯まで
わたしに近づき、卑猥なジョークと「宇宙人に何かされる前に一発!」という
品性のない口説きを仕掛けてきた。わたしは当然拒み、男から一番遠い位置に
いるようにしていたのだが、ある晩うっかり男の行動半径で転んでしまった。
男はわたしにしがみつき犯そうとし始めた。わたしは悲鳴を上げ、全力で
抵抗したが、男の力が弱まることはなかった。

400 名前:改造素体十万八号・3 mailto:sage [2007/10/10(水) 01:03:42 ID:8pnO0IX30]
 しかし次の瞬間、男は後頭部から黒い煙を出して倒れ、動かなくなった。
おそるおそる顔を上げたわたしの目に入ったのは、
変わり果てているがそれとわかる「あの人」が熱線銃を手にすくと立つ姿だった。
「反逆分子ハ銃殺スルと警告してあッタ筈ダ。他の捕虜諸君モ軽率ナ行動は
慎ムことダ。これハ看守長とシテの通告であル」
 懐かしい「あの人」は以前とは別の「何か」に変わってしまったようだった。
抑揚やアクセントのない無機的な話し方。ロクデナシとはいえ人ひとり射殺して
淡々と「通告」を発する冷酷さ。その非人間的なふるまいにふさわしく、
その外見もかつてとはまるで違う姿になっていた。
 ぬめぬめした、ほんの少し灰色がかった黒い皮膚。白目と黒目の区別のない、
全面が真っ赤な目、ブーツのような足、額から生えた太い触角。
アリと人間の合成生物という感じだ。そして股間からはカタツムリの
殻のような渦巻き状の器官が生えていて、わたしは複雑な思い出と共に
何度もそこに目を向けては目を背けた。
 変わり果てた彼との再会にわたしの思考は停止していた。しかし
「あの人」、あるいは「あの人だった何か」は、そのまま腰を落とすと
わたしを見て、ぎこちない笑顔とぎこちないしゃべり方でこう言った。
「怪我ハないカ?会イたかっタ!」



401 名前:改造素体十万八号・4 mailto:sage [2007/10/10(水) 01:04:30 ID:8pnO0IX30]
 宇宙人によって改造されていたのは課長だけではなかった。
徐々に分かってきたのだが、この巨大な円盤内の乗員は、
ロボットを除けばすべて拉致され改造された地球人らしい。
しかも日を追う内、部屋の通路を行き来する「乗員」の内に、
かつて雑居房で見かけた顔も多く混じるようになっていった。
ショックだったのは、わたしの反対隣の、わたしへの「セクハラ」に
真剣に怒ってくれた、あねご肌のすてきな女性が改造人間として
通路を通ったときだった。思わず声をかけると、わたしを覚えてはいたが、
他の改造人間たちと全く同じ、感情を一切欠いた口調でこう返事した。
「ソウイエバあの改造素体が無駄ニ銃殺サレタ原因ハオマエにモあっタ。
我々の貴重ナ資源ニ、惜しいことヲシタモノダ。余計ナ騒動を起こス捕虜ハ
反逆指数が上昇シ、抹殺処理の対象になルと覚えてオケ!」
 もう全く違う生き物になってしまったようだった。
 わたしは、いつ自分の番が回ってくるのかと、不安な日々を過ごしていた。

 しかし、不思議なことにわたしの順番はなかなか回って来なかった。
それと関係するのかどうか、独房に移されて以降、
看守長の義務のある筈の「あの人」はわたしの独房に足繁く通い、
エネルギーフィールドをするりと通過して中に入り、
わたしと様々な話をするようになっていった。

402 名前:改造素体十万八号・5 mailto:sage [2007/10/10(水) 01:05:07 ID:8pnO0IX30]
 課長は他の改造人間と異なり、人間の感情を少し残しているようだった。
だが課長の説明では、これはむしろ「修行不足」なのだそうだ。
改造人間は人間的感情を失ったわけではない。任務遂行のために
感情を表に出してはならないという鉄の誓いを守っているだけだと。
あの女性もわたしが反逆指数を向上させ処分されないように
それとなく注意したのだ、と言われた。
しかも、この鉄の規律は地球を地球人自身の手で再生する
手助けをする「地球救済計画」の一環をなすのだそうだ。
にわかには信じられないことだが、改造手術自体も強制的に
なされるものではなく、「地球救済計画」に賛同し、改造を
自発的に承諾しなければ施されないものであるとも課長は言った。
しかもどうしても同意できない場合、記憶を消された上で
「地球人保護区」へ送られ、そこで人間として生きる
道を選ぶこともできるのだそうだ。宇宙人の目的は滅亡の危機に
瀕している人類と地球生態系への「荒療治」以上のものではない、
というのが課長の言葉だった。
 課長はそれでも、わたしに、こんな姿になって地球のための捨て石に
なることはない。保護区で人間として幸せに生きて欲しい。
僕のことは忘れて欲しい、そういう意味のことを言ってきた。

403 名前:改造素体十万八号・6 mailto:sage [2007/10/10(水) 01:06:05 ID:8pnO0IX30]
 わたしは課長の強い説得に徐々に折れたふりをし、
「保護区」で課長を忘れて生きる決意を固めたかのように告げた。
 だが実は、わたしは違う計画を立てていた。
 課長は自分が規律によって感情を打ち消しているかのように語る。
だがわたしには「消されかけた感情を取り戻しつつ」あるようにしか
見えなかった。わたしと出会い、一度宇宙人に消されてしまった
感情が戻りつつある。課長はそれを何らかの理由で隠し、わたしと
離れようとしている。それはわたしを守るためなのかもしれないが、
しかしわたしはせっかく心を取り戻しつつある課長と別れるのが
どうしても厭だった。課長との日々を忘れてしまうのも厭だ。
むしろわたしは、たとえ自分が改造されても、あの人と再び
深い情愛に包まれた日々を送れるならば、その方がいいとすら思った。
課長の言葉に嘘がなければ、任務の合間に甘いプライベートの時間を
送ることも出来るだろう。課長の話が嘘で、本当に感情を消されて
いたとしても、今の課長はこんなに人間らしさを取り戻し、
しかもそのことで罰は受けず、責任ある職務すらこなしている。
わたしだって不可能ではないはずだ。
あの人があの人のままでいてくれる限り、たとえ宇宙人に何をされても
あの人を愛するこの甘美な思いが失われるはずはない。
わたしはそう確信し、一つの計画を立てた。
課長の心を取り戻すために…

404 名前:改造素体十万八号・7 mailto:sage [2007/10/10(水) 01:06:36 ID:8pnO0IX30]
 一ヶ月目の今日、わたしはいつものように部屋を訪れた課長に
いきなりしがみつき、こう言った。
「お願い!抱いて!わかってるわ。これ、形は変わってるけど、生殖器なんでしょ?」
わたしは「とぐろ」を巻いたような股間の器官に指で触れ、それを丸くなぞった。
明らかに反応があり、固く巻いていた「とぐろ」がかすかに緩んだ。
「こうすれば、やっぱり気持ちいい?」
わたしは今度は舌を這わせた。「とぐろ」はさらに緩み、ゆっくりと開いていった
「や、やメろ!お願いダ!じっとしていてくレ。もう少しなんダ。このままでは…」
「このままでは、なあに?」
わたしは、課長が大好きだったちょっと意地悪な表情を浮かべ、今度は先端を
口にくわえた。
「…このままでは…思い出してしまう…」
「うれしい!やっぱり思った通り。いいわ!もっともっと思い出させてあげる!!」
わたしの推測は当たったらしい。思いついた「荒療治」も正解だったようだ。
わたしは課長をベッドに押し倒した。案の定それほど抵抗なく課長は仰向けになった。
いまや「とぐろ」はほどけ、課長の生殖器は半円形を描いていた。
人間のように海綿体ではなく筋肉の力で勃起するメカニズムらしいが、
膣のような器官に挿入する仕組みであることに間違いはなかった。
わたしは課長が大好きだった各種の責めを立て続けに浴びせた。
生殖器はかなり垂直に近づいたが、まだ「準備完了」ではなさそうだった。

405 名前:改造素体十万八号・8 mailto:sage [2007/10/10(水) 01:07:28 ID:8pnO0IX30]
「ま、見切り発車でいいか」
わたしは課長に馬乗りになり、その細長い生殖器を自分の中に導いた。
…しかし…やはり構造が違うらしい…。
浸潤も十分で奥まで挿入できたが、やはり「人間同士」のようには
マッチしない。とがった先端はわたしの内部を傷つけ、血が出てきた。
それに穴の形も、うまく摩擦すべき部位にあたらず、うまく噛み合わない。
結局わたしは口での責めに切り替えたが、課長が達することはなく、
それはまた「とぐろ」形に巻き始めてしまった。

「…ごめんなさい。なんだか中途半端なことをしてしまって。
でも、色々思い出したんじゃない?」
わたしは問いかけた。結末はともかく決して悪い展開ではないと思えたのだ。
しかし課長は今までになく苦悩と困惑に満ちた表情でうつむいて言った、
「…思い出してしまっタ…。もう君ト離れることが出来なくなりそうダ」
「…いいのよ!そうやって色々な感情を取り戻していって!
わたし改造されてもいい。二人でまたあの日々を作っていきましょう」
「それは絶対に無理ダ。しかし…ソウカ…君がソウ言うナラ…」
課長はレシーバーのようなものにわたしには分からない言語で何かささやいた、
「君の改造ヲ申請しタ。五分後にハ準備ガ整ウ。それまでに、最後の別れと
君を騙しタことに詫ビを言わネばならなイ。

406 名前:改造素体十万八号・9 mailto:sage [2007/10/10(水) 01:08:35 ID:8pnO0IX30]
 まず、宇宙人――我々は『主』と呼んでいる――の目的は『地球救済』
などではナク、安価ナ奴隷労働力、奴隷兵力ノ確保にアル。
文明ガある段階以上に発展するト、複雑ナ電子機械の開発生産ヨリモ、
最小限の兵力デ知的生命の住む惑星ヲ侵略シ、
住人ヲ有機ろぼっと化する方がはるかに安価にナルのだ。
特ニ『主』の種族ハ近年ある星系ト交戦状態ニ入リ、
急遽大量ノ奴隷力と兵力ガ必要になっタ。そのための侵略ダ。
 『改造人間ハ感情を失っていナイ』といウ話も、
『改造は承諾を得なければ行われなイ』といウ話も、すべテ嘘だ。
そのような宣伝を『保護区』住民に行ウ計画はあるガ、
現実にはすべての改造手術は強制的にナサレ、そして素体にハ
人間的感情ノ徹底的な消去が施されル。
 …僕が君に見せていタ感情もどきは、この『れこーだ』によるものダ。
間もなく僕にハ無意味ナものになル。もう取っテしまってモ構わなイ」
 課長はそう言うと首の後ろから小さな装置を外した。
とたんに、課長の表情や態度から一切の人間らしさが失われ、
今まで見たどんな改造人間よりも無表情なロボットのような存在に変貌した。
「ツケテミロ。オマエノモツ人間ノ頭脳ハ、ワタシノ改造前ノ記憶と
感情ノ『残像』ヲ追体験スルダロウ」

407 名前:改造素体十万八号・10 mailto:sage [2007/10/10(水) 01:09:06 ID:8pnO0IX30]
 わたしは課長が「れこーだ」と呼んだそれを恐る恐る装着した。
わたしの脳裏に、課長の感覚経験と感情の弱々しい「残像」が再生され始めた。
 疑似体験は、課長が改造手術台に縛られている場面から始まった。
 ベッドの足下には、もう見慣れた姿の女の改造人間が立っている。
青いぬめぬめした皮膚。全裸で、足はブーツのような形に変形し、
乳房には黄色い同心円状の模様、股間には蛸や烏賊の口のようなまん丸の
小さな「穴」がついている。
――あれに挿入するように作られているんだ…――。
わたしは奇妙な敗北感を覚えた。
 改造人間は課長同様人間の面立ちを残している。課長とは異なり
豊かな紫色の頭髪も生えている。やはり白目がない真っ赤な目。
額からは同じく太い触角。ハイヒール状の足。
男性は蟻、女性は蜂に似ている。
それが地球の昆虫をモデルにしているのか、
異星人の形態を真似ているのかまではわからない。
そういえば、顔が番組放映中に誘拐されたらしいと噂になった
有名な若いアナウンサーによく似ている。多分本人なんだろう。
縛られた課長は改造人間の顔と乳房と股間を何遍も順繰りに確認し、
わたしはまた少し敗北感と軽い嫉妬を覚えた。

408 名前:改造素体十万八号・11 mailto:sage [2007/10/10(水) 01:58:12 ID:8pnO0IX30]
 やがて改造人間は口を開いた。
「間もなク、お前の改造手術ガ始まる。
人間ガ発達させた無用デ複雑ナ感情はすべて消去スル。
オマエに残されるのハ我々同様、生物トしての基本的ナ感情や欲求、
例エバ、肉体的苦痛の回避ヤ、動物的本能ノ充足のようナ、
爬虫類か昆虫程度ノ単純で機械的な感情と欲求だけニナル。
その後ニ、やはり我々同様、我らが『主』ヘノの服従の喜ビ、反逆への恐怖、
トイウ強力な『感情』ないし『どらいば』ヲいんすとーるスル。
それニより、オマエハ我々と同じようニ、「主」カラ与えられた命令ヲ
知性的計算に基づいテ実行スル優秀な奴隷生物として完成スル」

 課長は激しく抵抗し、ベッドの上で無駄なあがきを始めた。
 課長の脳裏には、わたしとの楽しく甘い思い出、そして
それにまつわる様々な感情が浮かび、わたしの脳裏に、
それらの「残像」が再生された。同時にまたそれを奪われる悲しみ、
怒り、やるせなさという感情の「残像」も浮かんでは消えた。

409 名前:改造素体十万八号・12 mailto:sage [2007/10/10(水) 01:59:21 ID:8pnO0IX30]
「――ナオ、オマエはある実験ノ被験体の一体に選ばれタ。
我らガ「主」ハ、人類の感情ニ関スル詳しい知識の必要を結論シ、
様々ナ実験を立案した。その「感情れこーだ」モもその一つダ。
コノ装置はマズ改造直前のお前ノの感情でーたヲ記録すル。
ヤガテ改造後、感情でーたノ適切ナ用途が発見され次第、再装着されル。
ソシテ装着後一ヶ月間、改造によって退化しタお前の感情中枢ヲ
一時的に活性化さセ、人間だったときのオマエの感情の「残像」ヲ、
不十分ながら再生すル。
但シ、活性化されタ感情がお前の行動ヲ支配力すルことはナイ。
それガ活性化する感情はあまりに弱ク、奴隷生物としてノ
正常ナ動作ニ抵抗するだけの力はナイ。だがそれでもソノ機械ハ
オマエに、我々ニハ不可能な仕方で人間ノ行動を予測シ、意思疎通ヲ
行う能力を与えル。サラニ、オマエの行動ぱたーんヤ思考ぱたーんヲ
アル程度「人間らしい」方向ニ軌道修正することすらあるだろウ。

410 名前:改造素体十万八号・13 mailto:sage [2007/10/10(水) 02:00:40 ID:8pnO0IX30]
 コノ機械を改造体に装着する目的は二つアル。
一ツは装着者を地球人に接触させ、より徹底シタ地球人ノ
支配・洗脳ノ為ノでーたを引き出シ、収集するコト。
もう一ツは装着者の「感情ノ残り滓」ヲ完全に燃え尽きさせ、
装着者ヲより完璧ナ奴隷生物ニ作り替えることダ。
装着カラ一ヶ月後、オマエは一切ノ人間的感情を完全に払拭した、
我々以上ニ合理的デ従順ナ奴隷生物に生まレ変わることだろウ。

――以上、改造素体ヘノ必要ナがいだんすヲ終了スル。
続イテ改造手術ヲ開始スル」



411 名前:改造素体十万八号・14 mailto:sage [2007/10/10(水) 02:01:32 ID:8pnO0IX30]
 指令の声と共に改造が始まった。
 課長の体には上から自動的に降りてきた何本もの注射針が突き刺さり、
股間には生温かい粘着質のカバーがあてられた。
激しい苦痛と不快感、そして快感の残像がわたしにも浴びせられた。
同時に、突然背中と上部からまばゆく熱い緑色の光線が発射され、
注射針からは大量の「何か」が注入され始めた。
股間の粘着部は淫猥な動きを始め、課長の意識は繰り返される苦痛と
オーガズムにより何度も空白になり、そしてそのたびに「感情」が
消されていった。最後に、とてもおぼろげなわたしへの愛情の「残像」が消え、
場面は途絶えた。
 人間としての課長がいなくなった、ということを多分それは意味していた。
そして今の「ガイダンス」によれば、その「人」はもうじき永久に、
そして完全にこの世からいなくなってしまうのだった。

412 名前:改造素体十万八号・15 mailto:sage [2007/10/10(水) 02:02:42 ID:8pnO0IX30]
 長いようで一瞬の擬似体験が終わり、わたしは怯えながら、
かつて課長だったモノに目を向けた。
「それ」は何の感情も持たない目で私を見て、
抑揚やアクセントの一切ない不気味な口調で語り始めた。
「ワタシニ装着サレタ感情れこーだハ、オマエヘノ
不可解ナ執着ニ基ヅキ、『主』ヘノ服従ニ矛盾シナイ限度内デ、
オマエノ安全ヲ確保スベキダ、トイウぷろぐらむヲ
設定シタ。ワタシハ、ぷろぐらむノ実行ノタメノ選択肢ヲ算出シタ。
 最初ノ選択肢ハ、オマエヲ即時改造手術室ニ移送シ、
『主』ノ庇護下ニ置クコトデ、安全ヲ確保スル道ダッタ。
ダガ感情れこーだハ、オマエガ人間ノママデイルベキダ、トイウ、
ヤハリ不可解ナ条件ヲ課シ、コノ選択肢ヲ拒否シタ。
ワタシハ第二ノ、ヨリ不確実性ノ大キイ選択肢ヲ考案セネバ
ナラナカッタ。スナワチ、オマエニ馴致洗脳ヲ施シ、
オマエノ反逆指数ヲ安全れべるニマデ低下サセ、
オマエヲ「人間保護区」ヘ移送サセルトイウ方法ダ。
改造素体ニ選バレナイ人間ハ、抹殺処理ノ対象ニナル
可能性モアリウル。第二ノ選択肢ハ安全性ガ低イ。シカシ…」

413 名前:改造素体十万八号・16 mailto:sage [2007/10/10(水) 02:03:50 ID:8pnO0IX30]
 わたしは、最後の望みをかけ感情レコーダを課長の首に当ててみた。
課長だったモノはほんの少しだけ人間らしさを取り戻し、
とても苦しそうな、弱々しい声で語り始めた。
「…しかし、君ヲ救いたかっタ。君に人間デいてほしかっタ。
反逆指数が低ケレバ、多少ノ不自由ハあってモ、
人間保護区デ人間として生き続けルことが出来ル。
そのためニ、君には誤った情報ヲ意図的に与エタ。
僕ノ計画ハ順調に進ミ、君の反逆指数ハ順調ニ
安全れべるまで低下シ、安定シタように見えタ。
…だが、君ハ思い出させテしまっタ…。あの甘美な快楽ヲ。
僕ハそれヲ再び手に入れたいトいう本能に支配されてしまっタ。
改造サレタ君と、完璧ナせっくすヲシタイ、という欲望二…。
もう5分が経ツ。間もなク君ノ改造室ヘノ移送ガ始まルだろウ。
…スマナイ。ソシテ、サヨナラ…」
 課長の目の光が失われた。同時にわたしの手足は目に見えない
鎖でベッドに縛り付けられ、床全体が下に移動し始めた。
「いや!いや!改造手術なんていや!奴隷生物なんていや!助けて!お願い!!」

414 名前:改造素体十万八号・17(了) mailto:sage [2007/10/10(水) 02:05:48 ID:8pnO0IX30]
 永久に「課長だったモノ」になってしまった「それ」は、無機的な声で答えた、
「不合理ダ。君ハコノ状況ニ本来ナラ『喜ビ』ヲ感ジルベキ筈ナノダ。
現状ノ予測デハ、君ハワタシト『ツガイ』ヲ形成シ、奴隷生物再生産本能ノ
命ジルママ、恒常的ナ交尾行動ヲ行ウヨウニナル蓋然性ガ大キイ。
先程ノヨウナ不十分ナ性行動デハナク、相互ニ完全ニ適合スル性器ト、
純粋デ崇高ナ本能ニ導カレタ、完璧ナ性行動ガ可能ニナルノダ…」
 ふと見ると「それ」の股間は「とぐろ」が完全にほどけ、固く、
そして鋭くそそり立っていた。わたしが改造されると「これ」を
完璧に受け入れられる肉体が得られる…。あのアナウンサーの股間が頭をよぎった。
わたしの頭は恐怖と奇妙な欲望がないまぜとなり、痺れてきた。
そしてわたしはぼんやり、そそり立つ「それ」と、トンネルの先に見えてきた改造手術室とを、
交互に見比べ始めるのだった。
<了>

415 名前:maledict mailto:sage [2007/10/10(水) 02:11:21 ID:8pnO0IX30]
バイバイさるさんが出て焦りましたが寝る前に書き込めてほっとしました。

よく考えると「おにゃのこが改造されるシーン」が出てこないことに
気づきました(「おっさんが改造されるシーン」しか…)
お口に合わなかったら申し訳ありません…
(「課長」は「女性同士の恋人」の方が華があったかもしれませんね)

あと、十万八号さんというのは課長ではなくて主役の女性のつもりです。

以上、お粗末様でした。

416 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/10(水) 02:20:04 ID:onmsn3Ha0]
>>415
超GJ!!
文章は粗削りだが、心理描写を巧みに織りなした上質のSSだ
特に素体嬢の抱くアンビヴァレントな感情の描写がいい

だがMaledict氏も気付いておられるように、素体嬢の改造シーン無しに終わってしまったのは残念だ
可能なら番外編的扱いでいいから、素体嬢が恐怖と絶望と、そして欲望と快楽の坩堝の中で
蜂女に改造されてゆくシーンを書いてはくれないだとうか
改造されながら、どういう心理変化が起こってゆくのか読んでみたい

あと改造された後の、蟻男とのはじめての交尾シーンもぜひ!

417 名前:名無しより愛をこめて [2007/10/10(水) 02:21:19 ID:uHDdj8Sr0]
>>397
あらすじは、「ゴシキダブラー」とかで検索かけて見て下さい。
ゆか姉ちゃんの当時の女の子にしては、スタイルがよく、たわわなバスト。
水中花の妖しい囁き。水島コーチへの変身シーン。正体を現わすシーン。
少女達を獣性帝国に送ろうとして、小瓶を配り回る水島コーチ。
5スレ・6スレ目ではSSの投下がない際たまに話題に上がってました。

418 名前:maledict mailto:sage [2007/10/10(水) 02:30:14 ID:8pnO0IX30]
>>416
お褒め頂きありがとうございます
「宿題」にさせて頂きますね

>>417
ありがとうございます。定番ネタだったのですね
3スレ目あたりからしばらく離れていた時期があり、
見ていないレスが結構あったみたいです。失礼しました

419 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/10(水) 03:02:19 ID:AKXUMoe/0]
maledict氏GJ。
改造された女性アナウンサーの、肉体の描写にいちばんハァハァ(*'Д`*)したぞ。

で思ったんだが、脳改造とかせずにおにゃのこの肉体だけを改造し、同じ改造人間の♂としかセックル
できないような構造に性器を改造して、しかも性欲を極限まで高めてしまうというシチュを想像すると、
非常に萌えるということに気がついた。

420 名前:名無しより愛をこめて [2007/10/11(木) 00:09:20 ID:6+ZvjR4p0]
>>358
ご紹介ありがとうございます。
マリア・ドルドラ・シーマ・アハメス等の女幹部が、
洗脳・憑依・寄生によって喘ぎ苦しみ、一怪人に改造されるシーンはyou tube
にありますか?



421 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/11(木) 15:05:38 ID:P4gk9ULM0]
>>419
萌えるな〜
でも、何かが違うという気も激しくする

422 名前:376 mailto:sage [2007/10/11(木) 20:34:50 ID:2m87BiKG0]
>>396

ギャバン第25話「妖しくゆらめく水中花 わかばが危ない」ですね。
好きですよ。
オレのお気に入りである第23話の続編で、「女性の心を奪い、
獣星帝国に送り込んで花嫁にする」という作戦は完璧。
あやしいガスを吸わせて女性の心を奪うのもナイス。
ゆか姉ちゃん、水島コーチ、バレエ教室の生徒もいい。

ただ、23話ではマクーのターゲットが大人のお姉さんだったのに、
この25話では、急に女の子になってしまったのが、オレとしては
ちょっとイマイチかな。
23話と同じ年代くらいの女性をマクーがねらっていたら、もっと
よかったのに、と思っちゃうな。


423 名前:381 mailto:sage [2007/10/11(木) 22:16:23 ID:GyrvSMhT0]
>>393
>シャイダーの第24話「美しきポーの仮面」の回について

この回の主役は神官ポーだと言っていいでしょう。
神官ポーは500年に一度、美しさを保つために美女から命を吸い取る禊(みそぎ)を行わなければならない。

そのために不思議獣ラブラブと占い師に変装した神官ポーは少女達を次々に拉致し始める。
そして最後はアニーまでも拉致する神官ポー。

見所としては以下の通りです、ちなみにこの回もクモダブラーと同じく小林義明監督のホラー調が漂っています。

1.セーラー服姿の女子中学生が神官ポーの妖術(?)に掛かって
  ジェットコースターに乗っている幻想を描写する場面。

2.巨大なシャボン玉の様な球体に閉じ込められて生気を吸い取られて苦しむ
  セーラー服や白装束姿の少女達。

3.アニーと神官ポーの様々なやりとり、そして火あぶりの場面。

424 名前:381 mailto:sage [2007/10/11(木) 22:17:28 ID:GyrvSMhT0]
連投を御許し下さい。
シャイダーは洗脳が多いとのことですが漏れ自身全部は未見なんですよ。
宇宙刑事大全を呼んだ限りでは

26話「魔界ゾーン大当たり」、38話「魔少女シンデレラ」、41話「直撃じゃじゃ馬娘」

辺りが気になってます。

>ゴシキダブラーについて

このスレの住人の方々にとっては宇宙刑事全ての回を含めて屈指の名作ですよねぇ。
悪役である水島コーチの大人の美貌と被害者となる少女役の方々の初々しさがたまりません ハアハア。

由加姉ちゃん役と水島コーチ役の方は「バトルフィーバーJ」に出ているのを最近知りました。

それでは最後に

ドン・ホラー様
「この前のクモダブラーは花嫁作戦に失敗した!
 今度は失敗するな、水中花作戦、必ずやり遂げろ!」

425 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/12(金) 00:16:15 ID:13MFg9sU0]
>>424
>38話「魔少女シンデレラ」、41話「直撃じゃじゃ馬娘」
これは今ひとつだったな。


426 名前:376 mailto:sage [2007/10/12(金) 03:47:37 ID:/6EbgAUk0]
>>423

ストーリーとみどころの紹介ありがとうございます。
シャイダーはしばらく再見していないので、いただいた
情報を参考に、また見返してみます。


>>425

41話「直撃じゃじゃ馬娘」、オレは結構好きです。
フーマの基地にまちがってまぎれこんでしまう、この回の
ゲストキャラクターの娘がかわいい。
フーマの基地内なのに、こわがらずにはしゃぐ姿が魅力的。
そんな彼女がフーマの作戦に利用されることになり、まず、
シャイダーを好きになるように暗示をかけられ、そのあと、
耳にコントロール装置?を取り付けられ、神官ポーの命令通り
動くようにされてしまう。
そしてシャイダーのもとに送り込まれ、フーマの手先と
なって暗躍する。
暗示の効果でシャイダーのことを好きだと思い込んでしまい、
彼にまとわりつく姿や、コントロール装置を通じてフーマの
指令を送られると突然無表情になり、命令通り動くロボットの
ようになってしまうところに興奮。

427 名前:maledict mailto:sage [2007/10/12(金) 19:17:49 ID:Qa4bWj1m0]
>>419様、恐縮です

勢いで、>>416様の「宿題」、半分(?)やってみました
ちょっと時間が早くてマナー違反かもしれませんが
次いつ繋げるかわからないので投下してみます。
16レス分あります。途中で規制になり再開が明日という可能性も
なくはないのでその点ご了承下さい。

タイトルは「侵略者の仮面――奴隷生物九万九千八百八号」です
今回副題の方が長いのでメインタイトルの方を掲げます。不統一すみません。

428 名前:侵略者の仮面・1 mailto:sage [2007/10/12(金) 19:18:39 ID:Qa4bWj1m0]
 あたしは全裸でベッドに縛り付けられ、とても明るい部屋の中にいた。
首の後ろには、脳に直接接続されているという複雑な機械。天井からは無数の太い注射針。
ベッドの周囲にも怪しげな器具がいっぱい並んでいる。
 足下には芸人だかアナウンサーだかの「なれの果て」がいて、あたしにこれから施される
「改造」についてご親切にも解説をたれている。だがこんな女にいちいち説明されなくとも、
あたしが何をされるか、おおよその見当はとっくについている。
 そう、あのゴミ溜めのような雑居房に十日もいれば、それはいやでもわかることだった…

 宇宙人に誘拐され、あの不愉快な「雑居房」に押し込められて三日目、収容された人間が
部屋の端から順々に姿を消し始めた。たしかにその前も、あたしの隣の上品なお嬢さんや、
その隣の下品なクソ野郎などが突発的に姿を消すことはあった。だが今回のは違っていた。

 …あのお嬢さんは気の毒だった。あのお嬢さんの前にも、襲われて悲鳴を上げた女性が
襲った男性ごと射殺されたのを二度は見ていた。彼女も見ていたと思っていたのだが、
眠っていたのか、知らなかったようだ。結果、彼女も大きな悲鳴をあげて抵抗した。
あの場で射殺はされなかったものの、今頃はあの男の死体と共に分解処理か何かに
回されてしまっているに違いない。人間の心をもたない看守たちは、
異常な動きをする人間全てを一律に「危険分子」と見なし、抹殺するのだ。
辛く腹立たしいことだが、死にたくなければ、襲われてもじっと堪えなくてはならない。
あの子もそれを分かっているものと思い「ひどいよね」という話をしたが、何か勘違い
させてしまったのかもしれない。ならば間接的にあたしにも責任はある。胸が痛んだ。

429 名前:侵略者の仮面・2 mailto:sage [2007/10/12(金) 19:19:21 ID:Qa4bWj1m0]
 あたしの反対隣はまだ十代のウブな少年で、明らかにあたしの肉体に関心をもち
もじもじしていた。この坊やならそんなに厭でもなかったし、我慢しきれず暴発したあげく
射殺、なんていう展開は絶対に厭だったから、あたしは身体を許してあげた。
 それは三日目頃にはもう雑居房の普通の光景で、「突発事故」は急速に減っていった。

 ――だが、三日目から始まった「退所」はこれまでの「突発事故」とははっきり違っていた。
むしろ予め決められた正常なスケジュールのように、規則正しく進んでいったのだ。
 「退所後」の運命に気づかされるようになったのもそう遅いことではない。姿を消した人が
あの、身も心も昆虫のような気味の悪い生き物に「改造」されて姿を現し、「順番待ち」の
人間を監視したり、機械の操作やらなにやらの「業務」を開始したからである。
 いずれ自分の順番が来る、ということに気づかない方がおかしいのだ。

 それでも、実際に自分の順番が近づくにつれ、いやでも恐怖と絶望は増していった。
あたしの前の列がとうとう空っぽになり、自分の番が片手で数えられるようになってからは、
安らかに眠ることもできなかった。浅い眠りの後「突発事故」で一人いなくなっていたのに
気づいたときは、誰を恨んでいいかわからない、わけのわからない怒りが湧いた。

430 名前:侵略者の仮面・2 mailto:sage [2007/10/12(金) 19:19:59 ID:Qa4bWj1m0]
 そして十日目、あの愛しい内気な少年がベッドの上に見えないロープで縛られて
「退所」してから2時間のあいだ、あたしは多分人生の中で一番長く辛い時間を過ごした。
気の狂いそうな恐怖だった。…いつ?今?まだ?いつ?今?まだ?いつ?今?まだ?
いつ?今?まだ?いつ?今?まだ?いつ?今?まだ?いつ?今?まだ?いつ?今?まだ?
いつ?今?まだ?いつ?今?まだ?いつ?今?まだ?いつ?今?まだ?いつ?今?まだ?
いつ?今?まだ?いつ?今?まだ?いつ?今?まだ?いつ?今?まだ?いつ?今?まだ?
いつ?今?まだ?い…何の前触れもなくあたしは見えない力でベッドに押し倒され、
床ごと地下に吸い込まれて、暗く長いトンネルを「改造室」へと運ばれた。

「――以上、改造素体ヘノ必要ナがいだんすヲ終了スル…」
 意外にも、不必要に長い前口上を聞かされている内、あたしは段々肝が据わってきた。
偉そうなことを言っているが結局あんただって宇宙人に調教されて喜んでる馬鹿なロボット。
あたしがあたしでいる内に…そう「あたしの目が黒いうちに」、一言言ってやらなきゃ
気が済まない。そんな気分がむらむらと湧いてきた。
「ふん!この虫けら!おしりかじり虫!せいぜい飼い慣らされて蜜でも集めてな。
あたしはあんたとは違うよ!この心は誰にだって渡しゃしない!あたしだけのものだ!
あたしを改造なんかしたことを後悔させてやるからね。覚悟しときな!」
 反逆分子として「処分」されてもいいと思った。今までこう出来なかった意気地のなさが
逆に情けないとすら思えた。



431 名前:侵略者の仮面・4(430は3に訂正) mailto:sage [2007/10/12(金) 19:20:43 ID:Qa4bWj1m0]
「不合理ダ。だガすぐにソノ愚かナ思考回路カラ解放しテやろウ。『感謝』するがイイ」
どうやら、反逆分子として処理されることなく改造されてしまうようだった。
実際、あんなハッタリが実現するとはあたし自身思ってはいない。もうじきあたしは
いなくなり、その代わりの別の生き物が「製造」される。だがそれはずっと前から
分かり切っていたこと。その前にせめてもの反抗が出来たんだ。それでいいか。
「…改造手術ヲ開始スル」
 注射針がいっせいに突き刺さり、股にはなまぬるい粘着質のものが押し当てられた。
続いてまぶしくて熱い光線の照射。同時に注射針から大量の薬剤が注入され始めた。
 股の物体はしばらく「前戯」を加え、あたしが十分に濡れると、棒状に変化し
うねうねのたくりながら奥に侵入してきた。同時にクリやびらびらにも入念な、
多分地球のどんな男もかなわない巧妙なテクで責めが続いた。しかも機械は、
あたしのあえぎ声や身のくねりをちゃんと学習し、微妙に「指使い」を変えてきた。
 注射と光線の効果もすぐ現れた。大量に注入される薬剤がまるで溢れ出たかのように、
皮膚の数カ所にぬめぬめした粘液がしみ出始めた。そしてしみ出た箇所は
青く変色し、人間の皮膚とは全然違う物質のように変わっていった。やがて
体中の至る所に青い斑点が浮かび、もとのままの皮膚はほとんどなくなった。
それでも粘液の流出は収まらず、なおも容赦なく皮膚の変色と変質を進めていった。

432 名前:侵略者の仮面・5 mailto:sage [2007/10/12(金) 19:22:08 ID:Qa4bWj1m0]
 皮膚のなかで乳房だけは丸く線でも引いたように元の色と質感を残していたのだが、
やがて縁から黒、黄色、黒、と同心円が形成され始め、人間の皮膚とも他の部分とも
また違う、柔らかく弾力のある材質に変わっていった。同心円が乳首まで達すると
乳首だけはマニュキアでも塗ったように真っ赤な色に変わった。そしてこの部分だけは
なぜか、少なくとも表面上は、人間の皮膚と変わらない質感のままだった。
 額にはむずむずした感覚が発生し、頭蓋骨の両面に触覚が伸び始めたのが分かった。
そして伸びた触角が脳の内部にアンテナとして接続されたことを本能的に知らされた。
 目はひどい痛みと共に破裂し、何も見えなくなった。その後、目の奥で
「何か」が蠢き、育っていくのが感じられた。やがてテレビのチャンネルを
変えたように、急に視界が回復した。四番目の見慣れない色と、それと他の色の混色の、
信じられないくらい多くの色が増え、ものの細部もずっとはっきり見えるようになった。
 股間の装置もただの高性能バイブではなさそうだった。今やそれがあたしの大事な部分と
一体化し、それに置き換わり始めているのがわかった。このまま置換され、最後には、
あの何の変哲もないのに妙にいやらしい、イカの口のような、ウオノメのような、
変な形に変えられてしまうのだろうと思った。

433 名前:侵略者の仮面・6 mailto:sage [2007/10/12(金) 19:23:29 ID:Qa4bWj1m0]
「続いテ、どらいばノいんすとーるに移ル」
 たしか、宇宙人への「服従の喜び」と「反逆への恐怖」を植え付けるとか言っていた。
それが始まるのだろう。いよいよ年貢の納め時。あたしも一匹の虫けらに成り下がるか。
 だが、半ば意外、半ば予期したことだったが、あたしは自分の「改造手術」とやらが
あの女が言ったとおりには進んではいないことに、すでにはっきりと気づいていた。
 ――つまり、あたしの感情は無傷のままで、消されたりしてはいないのである。
 やがて「インストール」が始まったが、それは強烈な服従心とか恐怖心とかとは
ほど遠いものだった。宇宙人の命令が聞こえるようになり、「実行しろしろ、
しないとひどいぞ」という催促やら脅しやらの気持ちもたしかに伝わるのだが、
洗脳というほど強力なものだとはとても思えなかった。

 どうやら、あたしの洗脳は失敗したままで終わったらしい。各種装置が外され、
宇宙人からの「命令」が届くにいたって、あたしはそう確信した。
「改造素体九万八千七百五号ハ、ただ今ヲもっテ奴隷生物九万八千五百六号としテ
完成しタ。起立シ、ただ今届いタ『主』からの命令ヲ復唱せヨ」
 けっこう殺された素体がいるものだと呆れつつ、あたしは起立し「復唱」してやった。
「『主』カラノ命令ニ従イ、ココニ私ハ宣誓スル。ワタシハ主ナル種族ノ生存ト
繁栄ノタメニ、奴隷生物トシテノ全能力ヲ駆使シ永遠ニコノ身ヲ捧ゲルコトヲ誓ウ」
 …大暴れしてやろうかとも思ったのだが、危険が大きすぎると思い、やめにした。
むしろこのまま洗脳されたふりを続け、逃亡、そしてその後で反撃のチャンスを伺おう。
あたしはそう考え、極端すぎるほど抑揚のない声を装い、クソ宇宙人の「命令」に従った。

434 名前:侵略者の仮面・7 mailto:sage [2007/10/12(金) 19:24:28 ID:Qa4bWj1m0]
 洗脳失敗の原因には心当たりがある。あたしは筋金入りの不感症なのだ。
この十年近く、仕事で何百人という男を相手にして、一度も「感じた」ことがない。
「演技」がひたすら上手になっていっただけだ。そしてどうも宇宙人の「感情消去」と
それを前提に進められる「服従心と恐怖心のインストール」は人間の性的快楽を
鍵に発動するシステムらしいのだ。まさか宇宙人の機械を「演技」で騙せるなどとは
自分でも思っていなかったのだが、あれはそういう仕組みの機械だったらしい。
こちらをイかせようとしているのは明らかだったから、サービスで最高級のよがり声をあげ、
何度も「イった」あげくに「失神」までしてやった。それが効いたようなのだ。
 それ以外にも、わざと痛い刺し方をする注射他の「苦痛」も洗脳の条件をつくる効果が
あったらしい。だが、「M奴隷」の仕事も多かったせいか、乗り切ってしまえたようだ。
まあ、そんな商売があるなど、合理性一点張りのあいつらの想定外だったのだろう。

 でもあたしだって、生まれてから一度も「感じ」たことがないわけではないのだ。
十代前半の秘められた一人遊び。あのわずかな時期、あたしは初々しい快楽に浸った。
…だがそれがクソ親父に見つかり、クソ親父のいやらしい指と舌のせいで、
あたしの快楽は多分永久に封印されてしまった。クソ親父が事故で死んで、
上京後ほとんど詐欺同様の仕方で風俗の仕事を始めてからも、技術は上がったが
嫌悪感は消えなかった。やめようやめようと思いつつ十年近く続けてしまった。
「これも天職かも」と吹っ切れたのはごく最近だ。
 …辛気くさいことを思い出してしまった。過去を振り返るのはやめよう。

435 名前:侵略者の仮面・8 mailto:sage [2007/10/12(金) 19:25:30 ID:Qa4bWj1m0]
 その日から、あたしの命がけの「演技」の日々が始まった。
今までは「感じていないのに感じているふり」だったが、いまや
「感じているのに感じていないふり」をせねばならない。
 意外だったのは、改造人間たちがあたしの異状にほとんど気づいていない
らしいことだ。なんどかへまをして感情を表に出したことがあったが、
何の反応もなかった。感情を読み取る能力がなくなってしまった連中には、
ただのノイズとしてしか認識されないらしいのだ。
 むしろ、警戒すべきは捕虜の人間である。人間なら、ちょっとした仕草からでも
ほとんど直観的に、あたしが感情を失っていないことを読み取ってしまう可能性がある。
もちろん、読み取った人間にただちに何かをされることはない。むしろ励ましてすら
くれるかもしれない。だが、その人間は明日には冷酷な奴隷生物になっている
かもしれないのだ。そして、感情を読み取る力は奪われても、あたしの心が人間のまま、
という「知識」はちゃんと携えていて、それを宇宙人にを告げ口するに違いない。
 だから、あの上品なお嬢さんを特殊素体観察室、通称「独房」で見つけたときには、
動揺を隠すのに本当に必死だった。どうも殺されたのではなく、何か特殊な実験を
されるため隔離されているらしかった。それが射殺されるより幸福なことかどうかは
分からないが、この子には生きていて欲しいと強く思った。だから冷酷な昆虫を装い、
忠告まがいのことまでしてしまった。気づかれていないことを祈るしかない。

436 名前:侵略者の仮面・9 mailto:sage [2007/10/12(金) 20:01:46 ID:Qa4bWj1m0]
 演技の日々の中、あたしは人間としてしてはならないこともいっぱいしてしまった。
拉致ロボットの発射作業、改造手術の実施、それに「反逆分子」の射殺…。
初めて人を殺したときは吐き気をこらえ「有機廃棄物集約カプセル」つまり個室トイレに
駆け込んだ。――全裸で暮らし、あちこちで開けっぴろげにやりまくっているくせに、
トイレだけは密閉度が高いのだ。排泄物の臭気が触角のセンサーを鈍らせるかららしい。

 トイレでの一人の時間、あたしは自分に戻り、脱走の計画やその他 の作業を行った。
 一番の大仕事は「自己手術」だった。
 改造後まもなく、あたしは重大な異変に気づき始めていた。どうも、不感症が
治ってしまったような「感じ」がし始めたのだ。もちろん「試す」のは危険すぎる。
未完了の洗脳プログラムが再開してしまう可能性があるからだ。もともと心因性だから
大丈夫かもと思っていたが、神経のつなぎ方も色々といじくられてしまったのだろう。
そして状況は切迫していた。あたしの改造人間としての「貞操」は風前の灯だったのだ。
雑居房の男ども以上に性欲旺盛な蟻男どもがあたしへの求愛行動を繰り返しており、
これ以上断るのは「不合理」だった。しかもその前に、あたし自身が「試して」しまう
誘惑に抗しきれなくなる危険だって、正直、ないとはいえなかった。
…今の内に、何とかしなくてはならない。

437 名前:侵略者の仮面・10 mailto:sage [2007/10/12(金) 20:02:29 ID:Qa4bWj1m0]
 あたしは意を決して、鋭利な爪とインストールされた解剖学の知識を駆使し、
トイレで「手術」を敢行した。外形はそのまま、内部の肉をえぐり取り、
同時に感覚の鈍いお尻の肉を切りとり、移植する。余った肉は食べてしまった。
――驚異的な再生力で傷はすぐに癒えたが、感覚は鈍いまま。手術成功だ。
あたしは何も感じないその部分に色々なワザをかけて試してみた。それから早速、
前から誘いをかけてきていた蟻男数人にOKを出した。はじめは恐る恐る、
やがて自信をつけ、豪勢な演技で何人もの蟻男から遺伝子を吸い取ってやった。
一番強引でしつこい蟻男が、かつての内気だった坊やだと気づいたときは少し悲しかった。
 交尾の後はほとんど強制的に産卵ブースに移送され卵を産まされた。保存された
無数の卵。これがいっせいに孵化する日…。嫌な想像がいつも浮かんだ。

 格納庫の中の小型円盤の奪取が、あたしの脱走計画だった。
格納庫の位置も円盤の場所も、インストールされた知識に組み込まれていた。
しかし、それら正規のルート以外の道を見つけ、侵入する計画を立てる必要があった。
そんなルートの情報は与えられていないから、頭の中の地図と、迷路のような
現実の艦内を照合し、自分自身で見つけ出さねばならない。任務の合間に観察を重ね、
トイレの中でパズルを解くようにそのデータをつなぎ合わせ、あたしは可能なルートを
絞り込んでいった。

438 名前:侵略者の仮面・11 mailto:sage [2007/10/12(金) 20:03:30 ID:Qa4bWj1m0]
 その日、あたしはついにこれというルートを見つけた。
格納庫を見下ろす廊下の窓から、円盤の手前まで伸びる「経路」を発見したのだ。
文字通りの道ではない。改造人間の握力、脚力等を駆使して配水管や壁の継目を
伝って円盤まで行けそうな経路である。インストールされた知識によれば、
円盤は亜空間移動で簡単に母船の外に出られるらしい。操縦用ドライバも脳内にある。
あれに乗れさえすれば勝ちなのだ。今からは無理だが、明日ちょうどあの辺を巡回する。
明日!現実味を帯びた「決行」を前に、あたしは興奮し様々な思いを止められなかった。
 地球に帰ったらどうしよう。こんな姿で人前に出ることはできない。それに、
侵略者に手を貸した裏切り者にそんな資格もない。でも地球のために出来ることはある。
人知れず、一体でも拉致ロボットや改造人間を倒す。そうして人間を一人でも多く救う。
改造された身体はライダースーツか何かで覆い、顔はメットか仮面で隠す。
…ライダースーツじゃなくて、レオタードとメイクとサングラスでもいいかな。
何にしても出来ることはあるはず。頑張らなきゃ!我知らずガッツポーズをとっていた。
捕虜のいる区画から遠く離れているから、滅多なことはないはずだった…。

439 名前:侵略者の仮面・12 mailto:sage [2007/10/12(金) 20:04:11 ID:Qa4bWj1m0]
「人間のまねがお上手ね」
そのとき、まるで人間のような口調で一匹の蜂女の声が耳元に響いた。
蜂女は手に熱線銃を持ち、あたしのすぐ後ろに立ちはだかっていた。
ここまで近づいて気づかなかったということは、意図的に個体識別信号を
オフにしていたに違いない。ただごとではない。まずは「演技」するしかない。
「ナ、何ヲ不合理ナコトヲ言ウ。理解不能ダ…」
「うふふ。ばればれよ。そこらへんの奴隷生物は騙せても、わたしは騙せないわ」
 よく見るとあたしの隣にいたあの上品なお嬢さんだ。「独房」が空になったから
抹殺されたか、「保護区」へ行ったか、それとも改造されたか、どれかだろうとは
思っていた。結局改造されたらしいが、それにしてもどうもおかしい。
改造人間にしては感情が豊かすぎるのだ。だからといって「味方」だとも
思えない。逃げるか?しかし熱線銃で撃たれるのがオチだし、どのみち捕まる。
一撃で殺す?…できるかもしれない。悲しいがそれしかなさそうだ。
 あたしが脳内シミュレータを起動し戦闘態勢に入ろうとしたとき、
あの優しく素直なお嬢さんだったはずの蜂女が、憎々しげに口を開いた、
「ふん。風俗嬢が、やりすぎで不感症になって、それで洗脳が未完了、
どうせそんなとこでしょ。品のない茶番ね!あはははは」

440 名前:侵略者の仮面・13 mailto:sage [2007/10/12(金) 20:05:01 ID:Qa4bWj1m0]
 典型的な偏見とキメツケ。人の痛みも悲しみも想像できない幸福なお嬢様。
それがあの女の正体だったのかもしれない。あたしは頭に血が上り、
シミュレータは動作不能に陥った。こみ上げる怒りをこらえきれずに、
あたしは感情むき出しで罵声を発した、
「こ!この世間知らず!あ、あんたなんかに何がわかるの!」
「ふふふ。不合理ね。あんな感情操作で自ら正体を現すなんて、人間てホントに不可解!
――九万八千五百六号における起動異常の事実を確認。確保する」
 言葉が終わる前に女は乳房から粘液状のネットを発射し、あたしは壁に貼り付けられた。
「あんたも人間の心が残ってるんじゃないの!?なんで宇宙人の味方なんかするのよ!」
「あなたみたいな出来損ないと一緒にしないで。あなたのみたいな不合理なシステムは
インストールされていないし、理解もできない。わたしはね、最新型なの。
感情擬態システムを実装されているのよ。人間の感情的反応を検知し、
適切な応答を表情筋、汗腺、涙腺、脈拍等の調整により形成、
さらには日本語辞書への介入も行う。それにより、人間やあなたみたいな不良品に対し、
わたしがまるで感情をもっているような錯覚を引き起こす。優れたシステムよ。
『主』の技術力は、ある素体の一カ月の観察データだけから、
こんな精巧なエミュレータを完成させたの。外形擬態システムと組み合わせれば
人間社会への潜入工作も可能。作戦の幅が広がるわ。
…そうそう!あなたを確保したんだから、もうこんな煩わしいもの要らないんだった」



441 名前:侵略者の仮面・14 mailto:sage [2007/10/12(金) 20:06:29 ID:Qa4bWj1m0]
 女は首のうしろのスイッチのようなものに手を伸ばした。
とたんに、それまでの感情豊かな態度は姿を消し、女は普通の蜂女に戻った。
「オマエノ場合、再いんすとーるは不要ダ。起動装置ノ修理ノミデしすてむ再起動ガ可能。
ヨッテ、コノ場デノ修理作業ノ実施ガ最適ト判断スル。――修理班!」
 すぐに修理班が到着し、機械そのものの手つきであの移植用性細胞を性器に装着し始めた。
「…や、やだ…やめろ!…やめて!!」
修理班は立ち去り、細胞が活動を始め、あたしの損傷部位は急速に修復され始めた。
 それを見て、蜂女は何か思い出したように再び首のスイッチに手を伸ばした。
「やだ、忘れてた!こいつのせいで不合理な動作が増えて困るわ。
貴重なサンプルなんだから、今のうちにレコードしとかなきゃね」
そう言うなり女はあたしの首の後ろに爪をねじ込んだ。
「…そう…十代のころに父親に…。ごめんなさい。ひどいことを言ってしまったわ。許して」
蜂女は涙まで流してみせた。これは擬態だ。虫けらが何も理解せず自動反応しているだけ。
…それが分かっていながら、あたしの心は揺らぎ、彼女を許そうという気持ちすら湧いた。
たしかに、人間の感情とは不合理なシステムなのかもしれない。ちょっとだけそう思った。
「…するとあなたの場合、蟻男による再起動失敗の危険が0.00002くらいはあるわけね…」

442 名前:侵略者の仮面・15 mailto:sage [2007/10/12(金) 20:06:59 ID:Qa4bWj1m0]
 …もう何もかも終わりだ。あたしは今度こそ完全な奴隷生物にされてしまう。
あの2時間の気の狂いそうな感情がよみがえった。今度はハッタリの希望もない完全な絶望。
もはやタンカを切る気力もなく、あたしはあの坊やのようにただ泣きわめいていた、
「いやだ!いやだ!再起動なんて厭!あたしは地球に行くの!i行って地球を救うの!」
「うふふ。…いいわ。あなたにも擬態機能を実装してもらいましょう。開発中の、
簡易対人洗脳改造装置もね。一緒に、「地球救済作戦」を進めましょ!」
知っていた。その名は「地球侵略作戦」の暗号。地球人類と地球環境の破滅的搾取の計画。
地球を守る戦士でなく、お客を襲い洗脳改造する淫らな蜂女…絶望的な未来が浮かんだ。

「…そろそろ修理完了ね。蟻男じゃ不安だから、再起動はわたしが実行してあげる。
各種ドライバは完全に書き込まれているから、一回のオーガズムですべてが終わるわ。
恍惚の瞬間、あらゆる人間的感情は無意味なバグとして完全にデリートされ、あなたにはもう、
あの不合理なシステムを解読することも、形成することも、永久に不可能になる。
その必要もなくなる。同時に『主』への服従のためのシステムが正常起動するから。
その停止もアンイストールも永久に不可能。――以上、ガイダンス終了!」
 蜂女は「いたずらっぽい笑み」を浮かべた。あたしから恐怖と絶望を引き出す感情擬態だ。

443 名前:侵略者の仮面・16(了) mailto:sage [2007/10/12(金) 20:09:33 ID:Qa4bWj1m0]
「いやいやいやいや!宇宙人の奴隷なんて絶対に厭!」
「うふふ。不合理ね。でもすぐにその愚かな思考回路から解放してあげるわ。感謝して」
「…いや!いや!……それがいやなの!…それが…いやなの!……わかって…お願い…わかって…」
涙も声も枯れ果てたあたしは、無意味と分かっている嘆願をうわごとのように繰り返した。

 彼女はカバーを外した。ぷるんとしたピンク色の、傷一つない改造性器が再生していた。
 あたしの絶望は増した。もう駄目。もちろん理屈では、今度もまた達しさえしなければいい。
でも絶対に無理だ。一目で分かるが、この女は下手なプロよりも好色で貪欲な快楽追求者。
それに比べて今のあたしは、異常に「耳年増」なだけの、うぶで未開発な十代の生娘と同じ体。
多分ひとたまりもない。そしてあたしは、感じてはならない、達してはならないと思えば思うほど
ますます急速に快楽の坂を登り詰め、あっと言う間に果ててしまうに違いない。
そんな女の生理と心理は誰よりも知っている。…無理だ。絶対に無理だ。
 蜂女は「穏和な笑み」を浮かべ、耳元に口を寄せ、「甘い声」でささやき始めた。
「ねえ、想像してみて!あのころのあの甘美な快楽。それがもうじき、
『主』への崇高な崇拝心と一体になり、浄化され、あなたの胸に永久に刻まれるの…」
 抵抗する気力も尽き果て、ぼんやりとしてきたあたしの頭に、彼女の声は甘く響いた。
そして十数年ぶりにうずき始めたそれに彼女の指がのびる瞬間を、いつのまにか、
今か今かと待ち始めている自分に気づいていた…
<了>

444 名前:maledict mailto:sage [2007/10/12(金) 21:01:55 ID:Qa4bWj1m0]
…以上、お粗末でした。なんかストロンガーの第一話みたいな流れですみません。
前回の直後の話もいつか投下させて頂きます。

蛇足ながらタイトルは
「侵略者の仮面をかぶっている」九万八千五百六号さん」と
「仮面をかぶった侵略者九万九千八百八号さん」の両方を指したつもりです

445 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/12(金) 21:28:22 ID:L92aHeBa0]
>>444
超乙! なんか前回よりも文章がこなれている感じだ
故意か天然か、あまりメリハリをつけずに神経症的に長文を重ねてゆく、そのさじ加減が
じわじわと不安が沁み出してくるような“腫れ物っぽい脆さ”をかもし出していて
救いのない作品内容によくマッチしていたと思う
なにげに比喩表現の使い方もうまいしな

次回はいよいよ、蜂女に改造された素体嬢と課長さんのセックルか。超期待だ

446 名前:名無しより愛をこめて [2007/10/12(金) 21:58:04 ID:g+FYP9050]
>>424
水島コーチがもっとバストが大きかったら、被検体の女の子達がもっと大人だったら、
ゴシキダブラーのデザインが女性らしい曲線を有してたらと欲とは際限がないとつくづく感じますが、
当スレの洗脳ファン、垂涎のストーリーだと思います。
烈に踏み込まれた時に水島コーチが着てた、紫のベロア地のカーディガンがなんともいえず、エロい!!

447 名前:376 mailto:sage [2007/10/12(金) 22:50:48 ID:EwWHG87F0]
>>446

あと、ドンホラーの前で実験成功を報告した後、ゴシキダブラー
怪人態から人間態に姿を変えたときに見せた水島コーチの笑顔や、
わかばが家出をする直前にガスを吸って目が光るところなんかも、
この回の見所だよね。

それにしても、このスレでギャバン25話ってすごく人気あるね。
オレみたいにギャバン23話やシャリバン44話が好きって人は、
あまりいないのかな?


448 名前:381 mailto:sage [2007/10/12(金) 23:52:34 ID:7bcdmQJd0]
>>426
>シャイダーの41話「直撃じゃじゃ馬娘」
レス、ありがとうございました、今後の参考にさせて頂きますね。

>>446, >>447
前スレでも指摘されてましたが水島コーチは髪飾りを含む
衣装全てを「紫色」で統一されているんですよねぇ、水中花もですが・・・それに加えて

・スイミングクラブの少女達は帽子付きの旧型スクール水着(由加姉ちゃんは除外)
・コーラスグループの少女達は白色プリーツスコート
・バレエ教室の少女達はローレグレオタード(漏れは緑色レオタの娘が好き)

なのですからねー、ハアハアするのは無理もないですよ、こりゃ。

前スレでは仮面ライダーBLACKの8話「悪魔のトリル」も評判良かったと思いました。

ttp://www.catv-mic.ne.jp/~okishima/episode/8.htm

あと前スレでデンジマンの12話「危険な子供スパイ」を
挙げた方が居られましたので同じデンジマンの

6話「悪魔分身の少女」、39話「女王怒りの妖魔術」、42話「少年を喰う悪い夢」

を書いときますね。
宇宙刑事と初期のスーパー戦隊がレンタル出来る日が楽しみです。

449 名前:名無しより愛をこめて [2007/10/13(土) 01:49:35 ID:8rTe325K0]
>maledictさん

GJ! 続編を期待します。すごく感動しました。

ご迷惑じゃなければ、私のほうでも、この世界観を生かした
外伝的なSS作ってもよろしいですか?



450 名前:名無しより愛をこめて [2007/10/13(土) 15:02:04 ID:iDMH7LV20]
>>448
由加の表情の変化が実にいい!!
@プールにウキウキで入ってくる手の動き
Aプールの異変に「えっ!?何?」って気づく表情
B水中花の出現で狼狽する表情
C妖しく囁きの誘惑のままにプールに飛び込もうとするうつろな目の表情
D浮かんできた血の気の引いた表情
E眼光鋭い「気をつけろ!バカ野郎!」の表情
F水中花の香りに酔いしれる恍惚の表情
G鏡に問い掛ける表情
H「由加が一番美しい」にご満悦の表情
Iゴシキダブラーの出現に気づく表情
水島コーチの色気もいいけど、美乳で演技力もある由加姉ちゃんもいい!!
当時の彼女でも、今の彼女でもいいから誰か改造してダブルモンスターにして!!



451 名前:maledict mailto:sage [2007/10/13(土) 17:22:36 ID:IPmfM0tT0]
>>445
恐れ入ります。文章が長いのは多分こなれていないだけです(w
>>449
外伝、是非どうぞ!かえって緊張します

シャイダーはたしか22話ですが「女は人魚、男は半魚人に改造」
と言われて水着のお姉さんが改造装置に入ったあたりで
家を出る用事ができてその先を見ていなかったため、
勝手に妄想でその先を埋めてながらくおかずに使った思い出があります。
書いたものを読むとなんかトラウマが残っている気がします。
ゴシキダブラーのはなしはいずれぜひチェックします。

ところで、「宿題」の前に上の話の続編を書いてしまいました。
正直、あのあとは普通のエロ描写にしかならず、普通のエロは
あまり萌えないし技術もないしなあ、と思っていたのですが、
ちょっと思いつくところがあって先に進められました。
一応上の話は上の話で終わっていて、これはまた別の話だとご理解下さい。

タイトルは、「続・侵略者の仮面――奴隷生物九万八千五百六号の報告」です。
ちょっと混んでいる時間だからよくないかなと思うのですが、家人の
目を盗んで投稿したりしているので、次はいつになるかわからないのです。
これと「宿題」が終わったらとりあえず連投はやめますので
もうしばらくおつきあい下さい。

452 名前:続・侵略者の仮面・1/8 mailto:sage [2007/10/13(土) 17:25:30 ID:IPmfM0tT0]
 ――案の定、小娘は弟子入りさせてもらいたいほど上手だった。しかも改造人間のツボを
知り尽くしていた。さらに意地の悪いことに、簡単にはイかせてくれず、じらしながらコトを進めた。
「や、やめて…もうやめて…」
「うふふ、いいわよ。やめましょうか?そしてあなたを分解消去する。それでいい?」
「…」
「…いやあね、ウソよ。大事なあなたにそんなことするわけがないじゃない」
あたしにはもう、一瞬でも「やめないで」と言いそうになった自分に腹を立てる気力すら奪われていた。
「さて、ここまで快楽が浸透したら、もう色々変わってきているはずよ。ちょっと実験してみましょうか」
蜂女は責める手は休めずに、妙な話をふってきた、
「ねえ。お得意の『クソ宇宙人』って言ってみて。言うだけでいいわ」
あたしは漠然とした不安に駆られ、女の言うせりふを復唱してみた…
「………いやああああああ。やだ!お母さん!助けて!気づいてるんでしょ!見捨てないで!!」
あたしは絶叫した。封印していたトラウマが一気に解き放たれた。
「あらあら、まだだいぶ人間の感情が残ってたのね。誤認識が生じたみたいね。でもよかったわ。
本当に『反逆の恐怖』が発動したらそれどころじゃなかったわよ。…意地悪してゴメンネ」
「…あああ、お願い。わかって。いやなの。心を失いたくないの…奴隷なんていやなの…わかって…」
あたしは何度目かの嘆願をした。無駄とは分かっている。だが人間として最後まで抵抗したかった。
最後の瞬間まで人間らしくいたい。そんな気持ちだけで言葉をしぼり出した。
「ねえ。何がそんなにいやなの?教えて」
「…だってそれは…」

453 名前:続・侵略者の仮面・2/8 mailto:sage [2007/10/13(土) 17:27:12 ID:IPmfM0tT0]
 ――恐ろしいことに気がついた。いつのまにか「言葉」に「気持ち」がついてきていない。
人間らしい思い、人間ならば当然の願い、そういう「言葉」は出てくるのに、その言葉が
どんな「気持ち」の表れだったのか、急激にわからなくなりかけている。
「わからないの?そうよね。多分そろそろわからなくなってる頃。快楽による感情の置換は
もうだいぶ進んでいるのよ。今のあなたの人間としての意識は、感情という養分を断たれて
かさかさに干からびた、蛹の殻みたいなもの。その下に本物のあなたが育っているわ。
『主への崇拝』を核にした新しい優れたシステムが準備を完了しているの」
 蜂女はいつの間にか、あたしのとは別の移植用性細胞を装着していた。そしてカバーを外した、
「見て!こんなこともできるのよ」
蜂女の股間には鋭くとがったオスの生殖器が屹立していた。
「さあ、蛹の中の本物のあなたに、いま養分をあげるわ。生まれなさい!」
鋭い針があたしの体と心を貫いた。
そしてあたしのかさかさになった外皮にひびが入り、粉々に砕け散った。

454 名前:続・侵略者の仮面・3/8 mailto:sage [2007/10/13(土) 17:28:51 ID:IPmfM0tT0]
 ぼくはたまらなくうれしかった。いよいよ「決行」の日が来たからだ。
それはまた、あのお姉さんと再び過ごせる日々の始まりの筈だった。

 ぼくは一ヶ月ほど前、宇宙人に拉致され、円盤の中で「奴隷生物」として蟻のような醜い姿に
改造されてしまった。だが、誤動作なのか、僕の方の特異体質なのかはわからないが、僕は
人間の心を完全には消去されないまま「完成」されたとみなされた。そして、その事実を
隠し通しながら、洗脳されたふりをして生きてきた。不用意な行動を起こせば即抹殺か再洗脳。
そのくらいはすぐに分かった。
 実はこんな仮○ライダーとかデ○ルマンみたいな境遇の奴隷生物は、決して多くはないが
一定数生まれているらしい、ということが徐々に分かってきた。
といっても大半は、改造直後にほんの少し心を残していても、その後の行動の中で
あっという間に再洗脳されてしまう。奴隷生物の服従システムは性的快楽を引き金にしており、
そして奴隷生物はオスもメスも性欲――奴隷生物再生産本能――の旺盛な生き物なのだ。
 この仕組みに早い時期に気づいた僕は、インストールされた解剖学の知識をもとに、
トイレで「自己手術」を行った。性器の外的反応はそのまま、意識に繋がる感覚神経だけを
慎重に切断する。性器が反応しないと再改造に回されてしまうし、感覚が残っていれば
再洗脳が始まる、困難な手術。ドールの塗装やら何やらで鍛えられた指先が役に立った。

455 名前:続・侵略者の仮面・4/8 mailto:sage [2007/10/13(土) 17:30:01 ID:IPmfM0tT0]
 ぼくたちの「仲間」は互いに孤立せざるを得ない。表だった行動を起こすことはできず、
誰もが洗脳されているかのようにふるまわねばならない。つまり誰が人間の心をもち、
誰が心を失っているか、「仲間」にすら簡単に明かしてはならない。
 なぜなら、昨日の「仲間」は明日には再洗脳されているかもしれないからだ。
感情を読み取る力を失っていない人間や「仲間」にこそ正体を明かしてはならないのだ。
逆に完成され感情を失った改造人間の方が、警戒する必要はずっと少ないのである。
 「仲間」がいるかもしれない、という可能性を考え、僕は誰に対しても慎重に感情を隠した。
一方、中には捕虜の前では感情を隠しても、改造人間の前では無防備な洗脳未遂者もいた。
「仲間」がいるかもしれない、という可能性にまでは思い至らなかったのだろう。
そんな無防備な「仲間」にはこちらから正体を明かすことはできず、いつも辛い思いをした。
 それでも、ぼくと同じくらい慎重な「仲間」はやはりいた。用心して、用心して、互いの秘密を明かす。
相手に自分の正体をさらすことは、自分の正体を危険にさらすだけではなく、相手の正体を
隠し通す決死の責任を負うことになる。そんな決意を共有できる仲間が少しずつ集まり、
再洗脳の危機が迫ったら直ちに自爆する、という鉄の誓いのもと、「同盟」を形成した。
そして敵の目をかいくぐって脱走と反乱の計画を少しずつ練り始めた。
 敵も「不良品」の可能性は考慮し、色々な予防策を張っていた。例えば、目立つところに
改造人間ならば接近できる小型円盤への「経路」を用意する。円盤に乗り込もうとすると
たちまち熱線で消去される仕組みだ。ぼくらはそんな敵の工作の裏の裏をかく綿密な計画を準備した。
 そしていよいよ今日、「決行」の日が来たのだ。もう鉄の規律も必要ない。無防備な
洗脳未遂者にも蜂起を呼びかけ、一斉に行動に移る。地球人類の反攻が始まるのだ。

456 名前:続・侵略者の仮面・5/8 mailto:sage [2007/10/13(土) 17:31:29 ID:IPmfM0tT0]
 ぼくはあの無防備で愛らしいお姉さんの元に急いでいた。もちろん、再洗脳されてしまった
可能性はある。だがあの人は、僕の前では無邪気に人間の感情を出す。それは「完成品」には
絶対に出来ないことだ。それを確認できれば間違いはない。そうして、同盟の存在を話し
蜂起への協力を呼びかける。あのきっぷのいい声で喜んで協力してくれるだろう。
「まかしときな!あたしが入れば百人力さ!」
そんな姿がありありと浮かんだ。

 いつも通り、求愛行動にかこつけて接触する。内気な童貞だったぼくが皮肉なことだ。お互いに
性感は失われているはずだし、地球に行けばお互い完全な性器切除をしなければならないだろう。
あの10日足らずのめくるめく官能の日々、あの日は二度と戻らない。それはとても悲しいけれど、
でも、ぼくはあの人からそれ以上に大事なことをいっぱい教わった。そういう心のつながりの方が
ずっと価値があると、今では心から実感している。あのひとは何よりも人生の師だ。
 お姉さんはいつも通り無防備に感情をさらした。まだ大丈夫だ。とてもうれしかった。
「うふふふ、坊や、ホントに好きね。いらっしゃい!」
 ぼくは再生産本能がオンになったふりをして、機械的に、しかし卑猥に、お姉さんの中に入った。

457 名前:続・侵略者の仮面・6/9(8は間違いorz) mailto:sage [2007/10/13(土) 17:33:38 ID:IPmfM0tT0]
 いつもと違う、と感じたのは挿入後すぐだった。内部の様子が全然違う。鈍った触覚でも
それははっきり分かった。この感じはむしろ、改造時に装着される、移植用性細胞にそっくり…
違和感に気づく前に、お姉さんは捕獲ネットを発射し、二人は繭にくるまれた蛹のような姿になった。
「ねえ坊や、もう演技なんてしなくていいのよ。また色々おしえてあげるわね」
以前と全く同じ、艶めかしい情感に満ちた言葉。しかし明らかにおかしい。
詳しくは分からないが、お姉さんはもう「味方」ではない。それは間違いない。
だが捕獲ネットはぼくの身体を完全に拘束し、しかもすべての武装をロックしている。
攻撃はもちろん、自爆すらできない。
 ぼくとしたことが、あれほど理性的で冷徹に行動していたつもりなのに、お姉さんにだけは
無防備にも気を許してしまった。…これが人間の限界か…。あの「不合理ダ」が頭をよぎる。
「まだイっちゃ駄目よ。色々レコードさせてもらわなきゃね」
 お姉さんは僕の首の後ろに鋭い爪を突き刺した。
「…やだ。すごい大物捕まえちゃった。坊やって偉い人だったのね。お姉さん、惚れ直したぞ!」
ぼくの記憶を読んでいるらしい。当然、「仲間」たちの情報もすべて知られたことになる。それにしても、
本当に前のままのお姉さんだ。つまり敵は…
「さてと。レコードも終わったし、こんなめんどくさいもの停止するわよ」
 お姉さんは自分の首の後ろのスイッチのようなものに手を伸ばした。とたんに、「お姉さん」は
どこにもいなくなり、他の改造人間よりもはるかに無機質な蜂女が現れた。
「ワレワレノ研究ト技術ハ急速ニ進歩シテイル。オマエノ推測通リ、ワレワレハ感情えみゅれーたヲ
開発シタノダ。コレガアレバオマエノヨウナ不良品ノ検出モ容易ダ。『同盟』モ間モナク壊滅スル」
 この人はもう、侵略者を「ワレワレ」と呼ぶ別の生き物になってしまったのだ。そしてもうじきぼくも…

458 名前:続・侵略者の仮面・7/9 mailto:sage [2007/10/13(土) 17:34:40 ID:IPmfM0tT0]
 感覚神経の修復は急速に進み、あの懐かしく危険な感覚がよみがえり始めた。…いやそれ以上だ。
ぼくは改造人間の性感を未体験だ。それが人間よりもはるかに強烈らしいという知識しかもっていない。
 間もなく性感は完全に回復し、お姉さんの以前よりも磨きのかかったワザに、ぼくは快感の山を
急激に登った。しかも、人間の頃ならばとっくに果てていた限界をやすやすと超え、未体験の領域に
突入していた。――コレが爆発したら、ぼくには何も残らない。ぼくはまったく違う生き物に
されてしまう――。その考えは単なる知識以上の生々しい予感として迫ってきた。
 ――なんとかしなきゃ。「萎え」か…萎えアイテムを浮かべよう。…全裸のチーフ、全裸のモモタロス、
それに元祖、全裸の神崎史郎…――ぼくはありったけの「萎え」イメージを結集して
なんとか「爆発」を食い止めようとし始めた。
「…予測外ノ持続力ダナ。人間トハ本当ニ不可解ダ。おーがずむ不完全ノ危険性10ノ-19乗。
安全優先ノタメ、支援機能ヲ発動スル」
 お姉さんだったモノは再び首のスイッチを操作した。蜂女は再び優しくて勇気のあるお姉さんに戻った。
「強情ね。そこが好きよ!」
 お姉さんの動きは単なる高性能快楽機械のそれから、情感溢れる繊細なものへと変わった。
「このやり方はね、あるすてきな女性に教わったの。あたしの第二の産みの親。あたしの反対隣に
いたきれいなお嬢さんよ。知ってるわよね。あなた、あたしを差し置いて、あの人で抜いてたでしょ!」
いやそれは、お姉さんを知る前のことで…ぼくは一瞬、虫けらの感情擬態相手に真剣に弁解しそうになった。
「うふふ。いいのよ。今のあなたはあたしのもの。ねえ、思い出して、あのとき、あの瞬間…」

459 名前:続・侵略者の仮面・8/9 mailto:sage [2007/10/13(土) 17:35:19 ID:IPmfM0tT0]
 宇宙人に拉致された、先の全く見えない不安な日々、お姉さんは力強くぼくを励ましてくれた。
そしてあの日、高まる情欲を必死で抑えるぼくを見て、お姉さんは言った。
「ねえ。あなたが好きになっちゃったの。濡れてるのよ。ほんとよ。火照りを冷まして…」
ぼくの「暴発」を未然に防ぐための不本意な誘惑だ。すぐに分かった。でも…ぼくは誘惑に負けた。
「見て。こうなってるの。そしてここを…そうそう、あふ…上手…初めてとは思えない…」
やがてお姉さんはぼくの、自分でも信じられないくらい固くなったものに手を伸ばし、そっと導いた。
まったく知らなかった感触。熱い肉の圧迫。忘れない。忘れようがない。
「いい?これは人類の使命だと思いなさい。あたしたちはどうなるかわからない。でも、
おなかに赤ちゃんがいれば、その赤ちゃんは生き残るかもしれない。人類が生き残るための、
聖なる使命。そう思って!」
 お姉さんは、簡単には果てないように巧みに緩急を加え、ぼくを信じられない高みへと運んだ。
「まだよ。もうちょっとこらえて。ああ…ああ…あたしもイきそう!一緒にね。一緒に、
一緒に人類を救いましょ!…いいわ、さあ!」
お姉さんは激しく腰を動かし、ぼくの頭は真っ白になった。そしてその瞬間は永久にぼくの心に
刻みつけられた。神経切断後も、その甘い名残りは消えなかった。ああいつか、もう一度。
…それが、決してかなわぬ望みでも…。
 そう、それは決してかなってはならない望み。その筈だったのに…。

460 名前:続・侵略者の仮面・9/9 mailto:sage [2007/10/13(土) 17:36:54 ID:IPmfM0tT0]
 ――お姉さんはあのときと全く同じ動き、全く同じ言葉で、ぼくを快楽の高みへ優しくいざなった。
「…まだよ。もうちょっとこらえて。ああ、ああ、あたしもイきそう!一緒にね。一緒に、
一緒に人類を侵略しましょ!…いいわ、さあ!」
…何か、何か違ったような…ほとんど停止した思考力をふり絞り、ぼくはその違和感を突き止めようとした。
だがその答えは見つからず、お姉さんは激しく腰を動かし、そして、

――ぼくの頭は真っ白になった。――

<了>



461 名前:maledict mailto:sage [2007/10/13(土) 18:12:24 ID:IPmfM0tT0]
…お粗末でした。
ちょうど前レスで「バイバイさるさん」が出てました。

…ところで、ひょっとしてですが、みなさん、男性が改造されるシーンは
あんまり萌えませんか?自分は、上記のように、改造担当者が
女性だったり、去勢されてしまったりするシチュはけっこういけるのですが…

462 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/13(土) 19:18:24 ID:gZRL/n2t0]
>>461
GJ! ちょっと自分のストライクゾーンからは外れていたが、とても面白かった
maledict氏は心理の綾の描写が巧みだな。その分、状況描写が足りないきらいがある
次回はもっと、場所や小道具の描写などに凝ってみてはいかがだろうか

> …ところで、ひょっとしてですが、みなさん、男性が改造されるシーンは
> あんまり萌えませんか?自分は、上記のように、改造担当者が
> 女性だったり、去勢されてしまったりするシチュはけっこういけるのですが…

たぶんmaledict氏には、自分が改造されたいという無意識の願望があるんだろうな
一言で改造フェチといっても洗脳が好きなやつとか拘束厨とか解剖厨とか性転換厨とか
いろんな香具師がいるので、Maledict氏のような嗜好の者もきっといると思う
漏れ的には百合はOKなので、改造担当者が女性というのは萌えるが、男の改造はNGだな

463 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/13(土) 19:51:26 ID:BrZ3xLmR0]
>全裸のチーフ、全裸のモモタロス、
>それに元祖、全裸の神崎史郎
おいおいおいおい!?

464 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/13(土) 19:58:10 ID:lZY1Gk0D0]
>>450

由加姉ちゃんへの熱い想いが伝わってくるね!


465 名前:名無しより愛をこめて mailto:age [2007/10/13(土) 23:50:12 ID:8FaSTsrL0]
菅野美穂が主演のドラマ「働きマン」ってなんか特撮ヒーローのにおいを感じるんだよな。あれ見ていたら菅野美穂を特撮ヒロインにしてみたくなった。
悪の組織に改造される菅野美穂。しかし、脳改造寸前に脱出して悪の組織と戦うってな女仮面ライダーっぽいヒロインものをやって欲しいよ。

466 名前:381 mailto:sage [2007/10/14(日) 00:14:19 ID:Zcq35/+X0]
>>451
>シャイダーの22話について

SS御疲れ様です、それは22話「人魚が呼ぶ海の怪」ですね。
過去スレで採り上げた方がいたと思いました。

フーマの楽園を造ってクビライ様に献上しよう、
そのために人間を捕獲して男性は水棲人間、女性は人魚にする計画です。

水死した男性・安男兄さんが改造され水棲人間の第一号となる。
水棲人間はかつての妹・恵美を拉致しようとするがシャイダーに妨害されてしまいます。

その後、フーマの不思議獣ウミウミは
水着姿の女性(美人)、それに小次郎さんと陽子さんを拉致。

水着姿の女性と陽子さんは手術台に載せられ神官ポーに催眠を掛けられ
いよいよ執刀!となった所でシャイダーに踏み込まれ計画失敗。

最初と最後は悲しい流れだったと思いました。

妹・恵美
「天国に行ったのよ、お兄ちゃん・・・」

といった台詞だったかな?

467 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/14(日) 01:20:02 ID:JVBWvyYh0]
>男性が改造されるシーン
ZOの改造シーンとか好き

468 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/14(日) 01:30:15 ID:9HD+6l5z0]
>>467
>ZOの改造シーンとか好き

どんなの?

469 名前:名無しより愛をこめて mailto:age [2007/10/14(日) 01:55:04 ID:gtYjnX310]
シャイダーと言えばギャル1も改造されてなかったっけ?

470 名前:名無しより愛をこめて [2007/10/14(日) 01:58:01 ID:Vjvmgwj5O]
>>468
うぉぉぉ、やめろぉぉぉ、望月教授ぅぅぅ
ぶっとばすぞーぉ


全裸で



471 名前:376 mailto:sage [2007/10/14(日) 02:32:55 ID:/KgjEYdT0]
>>466

シャイダー22話は、切ない雰囲気の話でしたよね。
不思議獣にさらわれる青い水着の女性には、神官ポーも
満足してました。
あと、妹の恵美さんもけっこう美人でしたね。

>>469

最終回の近くで、自分から志願して改造されていたように
記憶してます。

472 名前:名無しより愛をこめて [2007/10/14(日) 12:33:16 ID:ue03epo90]
な。もっと少女強制改造ものが見たいよな。
だが脳改造までされてしまって悲しみ苦しむ姿が見たい(*´д`)ハァハァ

473 名前:maledict mailto:sage [2007/10/14(日) 14:06:29 ID:yht0byT/0]
>>462
小道具の件、参考になります。
あと、もちろん「無意識」ではなくてバリバリ自覚的です。
別に正義のヒーローになりたいということではなく、
もう肉体も精神もぐっちゃぐちゃに・・・ヘンタイですみません
あと、ビジュアル的に美少女の類の改造シーンにちゃんと萌える点では
ノーマル(?)なつもりです。おっさんだと美しくはないですよね

>>463
萎えませんか?(w

474 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/14(日) 15:46:03 ID:Kf4wsKuS0]
473を改造したくはないなw

475 名前:474 mailto:sage [2007/10/14(日) 15:46:40 ID:Kf4wsKuS0]
やべえ!おれのID糞だ orz

476 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/14(日) 18:34:04 ID:2uCV8lWTO]
>>465
菅野美穂は『催眠』とかに出てた頃はジャンル女優まっしぐらな感じだったが
最近はめっきり出なくなったな。

そのころは悪の女神官役が似合いそうなイメージだったのに
今は正義側の方が合うのか・・・

477 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/14(日) 19:31:55 ID:pB5Tb/1f0]
>>474
473が実は♀だったら?

478 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/14(日) 19:49:10 ID:lK/qXiPF0]
>>473
モモは萌えるww

479 名前:376 mailto:sage [2007/10/14(日) 20:20:53 ID:O3vBqlfrO]
450さんを見習って、シャリバン44話に登場する女子大生、
山崎さよこの表情の変化を。
@テニスの練習中にコーチの指導を受ける真剣な表情
A自室でラケットの素振りをする懸命な表情
Bアンコウビーストの噴射した麻酔ガスを吸って悶える表情
C続けて幻覚光線を浴びせられ、お姫さまになった夢を見て
うっとりする、高揚した陶酔の表情
Dマドーのアジトに運ばれ手術台に乗せられて、口にパイプを
くわえさせられビーストビールスを吸入させられるときの、
小さく首を振って抵抗しようとするけなげな表情
Eテニスの試合で、何事もなかったかのようにコートに立つ
平然とした表情
F異変に気づいた伊賀電を睨みつける、眼光鋭い表情

なかなかの美人がこんな表情の変化を見せてくれる。

480 名前:maledict mailto:sage [2007/10/14(日) 21:59:17 ID:yht0byT/0]
>>477
申し訳ありませんが正真正銘の♂でございます
♀ですということにしようかと一瞬思ったのですが
自分で気持ち悪いのでやめました。

>>449
申し訳ないのですが、次の話でちょっと世界観に踏み込む
可能性がありそうなので、念のため次回投下の後までもう少しだけ
お待ちいただけるでしょうか。勝手言ってすみません。
これまでの設定を壊したり覆したりするわけではないので
滅多なことはないとは思うのですが。本当にすみません。



481 名前:449 [2007/10/14(日) 22:27:26 ID:HjXtZeU40]
>maledict氏
了解です!こちらも煮詰まっていますのでw

どんどん「地球救済計画」をすすめてくださいw






482 名前:381 mailto:sage [2007/10/14(日) 23:02:39 ID:T7bq5uaS0]
>>479
>山崎佐世子さんの変貌ぶりの件

詳細な報告をありがとうございます、DVDレンタルリリース次第チェックしたいですね。
漏れ自身はシャリバンにおいてこのスレ的には30話「捨てられる子供たち 変身するママ」か
この44話が一番なのかなぁ、と思ってましたが、
実験対象が女子大生の分こちらに分がありそうですねw

しかしどちらも男子禁制区域が舞台(美容センターと女子寮)なのと
手術台にて実施される洗脳(改造)作業場面、
そして術後の女性の冷酷な変貌ぶりとかなり的を射ております。

最後に>>387でも書きましたが個人的にアンコウビーストの回には存在して
他の物語にはそうそう存在しないもの、それは

「アンコウビーストに幻覚光線を浴びせられ、
 お姫さまになった夢を見てうっとりする、高揚した陶酔の表情」

ですね、王子様との舞踏会の幻想だったと思いますが・・・。

>>373
>12月から宇宙刑事シリーズのDVDレンタル開始こそスレ的にハァハァする作品が見る事が出来るな。

これは気付かずに失礼しました。
それにしても宇宙刑事のDVDレンタル遅過ぎですよね。

483 名前:376 mailto:sage [2007/10/14(日) 23:52:13 ID:+8Aqsv0T0]
>>482

レスありがとうございます。
このスレではシャリバン44話はあまり人気がないのかな、と
思っていたので、うれしいですよ。
DVDレンタルはじまったら、チェックしてみてください。
ご期待をうらぎらない内容であればよいのですが。

>他の物語にはそうそう存在しないもの、それは
>「アンコウビーストに幻覚光線を浴びせられ、
>お姫さまになった夢を見てうっとりする、高揚した陶酔の表情」
>ですね、王子様との舞踏会の幻想だったと思いますが・・・。

そうです、王子様との舞踏の夢です。
山崎さよこのお姫さま姿が、とても似合っていてかわいい。
でもその夢は、続いて行われるビーストビールスによる獣性化の効果を
高めるために、あくまで下準備として見させられている、というのが、
オレにとってはたまらなく良いです。

あと、山崎さよこのルームメイトの女子大生(名前わからん)も、
同様にアンコウビーストの幻覚光線を浴びて夢を見てウットリしますが、
こちらは黒い皮ツナギでビシッと決めた、ロックミュージシャン姿です。
この娘は、背が高く気の強そうな美人で、黒い皮ツナギがよく似合って
います。
本エピソードには、ほかにも数人の女子大生が登場しますが、中でも
この2名がいちばん美人です。
そんな2人が幻覚を見させられてウットリしている姿と、その後に
ビーストビールスによるマドーの獣性化手術を受ける姿(といっても、
手術台に乗せられて、あやしい液体を吸入させられるだけですが)を
見ることができたのは、とても良かった。

484 名前:450 [2007/10/15(月) 03:07:59 ID:to7vRc7N0]
>>479
>>482
>>483
女子寮・テニスウェア・洗脳・手術台と萌えるキーワードが揃ってて気になってただけに、
これだけ詳しくレポして頂きありがたいです。(自分の形式まで模して頂いて・・・)
レンタルされたら即チェックします。

洗脳被害者が美人の作品はいつの時代でもいいです!!!
インヴェード美女瞳・クモダブラーの最初の犠牲者・オーレンジャーのバラプリンターで
コピー機を愛するように洗脳される女子高生なんかが好きです。

逆に、ビシュヌはせっかくの花を使っての洗脳なのに、主婦にも、女子高生にも目立った美人がいなかった
ように思えます・・・。残念です。


485 名前:376 mailto:sage [2007/10/15(月) 21:32:08 ID:aFh/0XyH0]
>>450

レスありがとうございます。
「表情の変化」ネタを勝手にマネさせてもらいました。

>これだけ詳しくレポして頂きありがたいです。(自分の形式まで模して頂いて・・・)
>レンタルされたら即チェックします。

チェックしてみてくさだい。
450さんにとってハズレでないといいですが。
ご期待にそえることを願います。

>洗脳被害者が美人の作品はいつの時代でもいいです!!!
>インヴェード美女瞳・クモダブラーの最初の犠牲者・オーレンジャーのバラプリンターで
>コピー機を愛するように洗脳される女子高生なんかが好きです。

オレもギャバン23話(クモダブラー)の話大好きです!!
最初にさらわれる女性、まさに「美人OL」って感じで、
すごくいいですよね。
改造は未遂でしたが、あのOLのおかげで、オレとしてはとても
ポイントの高い話です。

>逆に、ビシュヌはせっかくの花を使っての洗脳なのに、主婦にも、女子高生にも目立った美人がいなかった
>ように思えます・・・。残念です。

せっかくシナリオが良くても、演出や出演者がイマイチのときって、
ありますよね。

また情報ありましたら教えてください。

486 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/15(月) 22:09:47 ID:HKLSkb6P0]
>>476
うんと若いとき、最初のエコエコアザラクのラストあたり、
MCや改造ではないものの、豹変ぶりと無惨な最期がなかなかよかった覚えが…

487 名前:maledict mailto:sage [2007/10/15(月) 22:13:13 ID:HKLSkb6P0]
>>449=>>481
次回はちょっと遅れるかもしれません。
あんまり遅れそうなときは二回に分けるとか
するかもしれません。恐れ入ります。

488 名前:maledict mailto:sage [2007/10/15(月) 22:19:28 ID:HKLSkb6P0]
普通の書き込みは名無しで書こうかと思ったのですが
IDがあるとあんまり意味のない話でした。
固定って疲れますね。投稿終わったら当分名無しに戻ります。
アンカーに「様」を付けたり付けなかったりちぐはぐですみません。

489 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/16(火) 00:01:30 ID:4J/v4mxB0]
バトルフィーバー サンバルカン ゴーグルファイブ
この辺は改造モノは無かった様な気がする。

洗脳して悪の手先に...ってのは有ったかな?

490 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/16(火) 01:30:20 ID:CV0d4Gu60]
バトルフィーバーのエゴス怪人は人間を改造して造ってるふしがあるから
(少なくともハイド怪人はバトルコサックの親友が改造された姿。ヘッダー指揮官も改造されたし)
怪人バラリンカとかの女性怪人も、人間の美女を怪人製造機に入れて改造したものと勝手に妄想してる



491 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/16(火) 01:41:24 ID:JZGKWnBD0]
>>489-490
www.geocities.co.jp/HeartLand-Poplar/6828/story/story.html
#04 ネンリキ怪人 ♂
#37 ゲンソウ怪人 ♀
#39 ハイド怪人 ♂


492 名前:名無しより愛をこめて mailto:age [2007/10/16(火) 02:17:50 ID:olVPw3iE0]
ゲンソウ怪人って改造シーンってあったの?あったとしたらどんなかんじ?

493 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/16(火) 08:37:48 ID:tNhndJ4l0]
>>492
あるよ。冒頭で月影一族のモンシロお蝶という女盗賊が怪人製造機に入れられて
激しくもだえながらゲンソウ怪人に生まれ変わるシーンがある
ttp://www.geocities.co.jp/HeartLand-Poplar/6828/story/story_no44.html

494 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/16(火) 11:08:22 ID:afUI6IXD0]
 くのいちっぽいテーストに、改造・花吹雪・バイオリン美女。
萌えワード満載です。見たいです!!

495 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/16(火) 17:07:23 ID:XqQJvyZi0]
私はSSは書かないけど、改造されたい女の子です。
可愛くはないかもしれないけど・・・

496 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/16(火) 18:37:19 ID:YRgfkajH0]
>>495
どんな姿に改造されたいのかな?
改造されて何をやりたいのかな?

497 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/16(火) 20:12:43 ID:XqQJvyZi0]
改造されたいのは蜂女とかかな?基本的にはなんでもOKです。

改造されてしたいことは人を洗脳したり、同じ改造人間にしたりしてみたいかも?

498 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/16(火) 21:09:47 ID:XqQJvyZi0]
あ、497は>>496さん宛です

499 名前:381 mailto:sage [2007/10/16(火) 22:14:18 ID:yoqxSowK0]
>>484
>逆に、ビシュヌはせっかくの花を使っての洗脳なのに、
>主婦にも、女子高生にも目立った美人がいなかったように思えます・・・。残念です。

仮面ライダーBLACKの45話「妖花ビシュムの死」ですね。

あの回は料理教室にて和服姿でほくそ笑む人間体ビシュムと
被害者となる朝霧女子高等學校の女子高生軍団が印象深いです。
地下の花園でズラッと一列に並んだ彼女達にはドキッとしました。

しかし凄いお嬢様女子校と言う設定なのに生徒達の容姿までは・・・残念です。
ビシュムが主役の回なので仕方無いかもしれませんが。

あと、この作品で美人だと思ったのはは8話「悪魔のトリル」のバイオリニスト百合ちゃんと
24話「女子大生の悪夢」の改造マシン内の娘ですかねぇ。

500 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/16(火) 22:16:53 ID:+xgFRT/n0]
500get!



501 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/17(水) 01:15:13 ID:46wz8sZR0]
>>450
>>479
この形式で、「死を呼ぶくちづけ」を表現しようとしたら、10や20じゃきかない・・・。
究極に美しいのは、上目遣いで強くなるためなら私は何を失ってもいいとラディゲに懇願する顔。
東京ドームシティでサラリーマンに微笑みかける顔のアップ。竜に今の姿を披露するシーンで、直前のポーズ前とポーズ後
でアングルが違うと、こうも表情が違うか!?とカンジさせる顔のアップ。

キリがない・・・。

502 名前:376 mailto:sage [2007/10/17(水) 06:57:08 ID:C2VQhNRe0]
>>499

>あと、この作品で美人だと思ったのはは8話「悪魔のトリル」のバイオリニスト百合ちゃんと
>24話「女子大生の悪夢」の改造マシン内の娘ですかねぇ。

「悪魔のトリル」は見たことないので、今度チェックしてみます。
「女子大生の悪夢」は、美人の女子大生をさらってゴルゴムの女戦士に
改造する、という作戦は良いのですが、なぜかあまり興奮するシーンが
ありませんでした。
オレにとっては惜しい、もったいない話。

>>501

ジェットマンの敵の女幹部の話ですよね。
彼女が好きな人にはたまらないエピソードですよね。

あと、今までこのスレでまったく話題に出てない、ひょっとしたら
微妙にスレ違いなのかもしれないが、オレが他に大好きなのは、
この前もファミリー劇場でやっていたけど、スケバン刑事Uの
33話「変身!邪悪の少女サキ」です。この話本当に好き。
南野陽子演じるスケバン刑事麻宮サキが、青狼会(悪の組織)の
送り込んだ「ナメラ」というバケネコ怪人に首筋をかみつかれて
毒液を注入される。
その上でナメラの吹く笛の音でリモートコントールされ、
青狼会の悪の刺客として操られる。
笛の音が聞こえると、毒液の効果?でそれまで弱々しくふるえていた
サキの顔が突然変貌して濃いメイクになり、完全な悪の手先として
操られるところに興奮。
濃いメイクのサキの顔が美しい。
このスレ的な評価は微妙かもしれないが、女性操りモノとしては、
施術される女性の容姿や、施術後の変貌ぶり、操られぶりは、
このエピソードが特にすばらしいと思う。

503 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/17(水) 17:06:30 ID:lVxsR4dY0]
えと・・・SS職人の皆さんにお願いなんですが、吸血系の改造SS書いてもらえませんか?
自分、国語2なんで・・・

504 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/17(水) 19:45:16 ID:3o6EHO5d0]
>>503
「吸血系の改造SS」って具体的にどんなの?
蝙蝠男に血を吸われた美女が蝙蝠女になって別の女性を襲うとか?
でもそれじゃ、普通の吸血鬼ものとシチュ的に変わらないよね

505 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/17(水) 19:51:08 ID:lVxsR4dY0]
なんだろう・・・

いたって普通の女の子が突然拉致されて「お前は今から蝙蝠女(?)になるんだ。」
って言われるやつ?

これじゃ普通か・・・文章の才能無いから・・・

蝙蝠女の見た目、能力はSS職人の皆さんにお願いします・・・
書きたい蝙蝠女を書いてください!

506 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/18(木) 00:37:20 ID:7HbsNYgf0]
蝙蝠女はビザール風の衣装を着た悪魔っ娘みたいなのしか想像できんわ
ショッカーの蝙蝠男の女性版だと毛深すぎてあまりにも萎える
ズ・ゴオマ・グの女性版はありかも知れないが、女性吸血鬼の耽美さは無くなるな

507 名前:maledict mailto:sage [2007/10/18(木) 00:47:22 ID:G/NADIba0]
なんかいつも流れを中断する感じですみませんが
課長さんと主人公のせっくるシーン、投下します。
あまり長いと読む方が大変と思い短めを心がけていたのですが
今回は最後と思い色々詰め込んだら原稿用紙50枚、40スレぐらいの
長いものになってしまいました。まともに連投すると「バイバイさるさん」が
何度も出るでしょうから一挙投下は多分無理です。
それ以前にそろそろスレが終わってしまうかもしれません。
(SSが多いと1000行く前に終わることがあるんですよね)
書き込み時間も未確定です。でもとりあえずいきます

タイトルは「追憶の改造手術室――奴隷生物九万九千八百八号の誕生」です

>>506
部分的な思いつきですが、
コウモリの羽根の部分の皮膚で全身を覆ってるのはどうでしょう?

508 名前:追憶の改造手術室・1 mailto:sage [2007/10/18(木) 00:52:23 ID:G/NADIba0]
 改造室への長いチューブは間もなく終点を迎える。
もう何も考えたくなかった。考える気力もなかった。
この人と同じモノになる。そして「つがい」を形成する。
このモノに抱かれるモノとして生きる。それが私の運命。
それに逆らう力も意欲もない。受け入れるしかない。
 …でも、このモノは何なんだろう?あの人なの?
あの人と同じ顔。あの人だったはずの別のモノ…
 わたしは何の表情もなくこちらを見ているモノに、
声をかけずにはいられなくなった。
「ねえ。洗脳されるってどういうこと?どんな気持ち?
わたしにはわからないの。あなたは地球で生まれ育った
地球人。それを忘れているの?あんなに抵抗したことも
忘れるの?覚えているなら、なんで今は平気なの?
どうやって納得しているの?」
「ワタシガオマエノ言ウ地球人デアルコトハ、モチロン
記憶シテイル。改造時ノ記憶モ保持シテイル。ダガ、
ワタシノ見ルトコロ、改造時ノワタシノ反応ニ
不可解ナ点ハ何モナイ。99ぱーせんと以上ノ地球人ガ
同様ノ反応ヲ示スト報告サレテイル。ワタシノ反応ガ
ゴク標準的ナモノデアルコトハ確認済ミダ」
「そんなこと聞いてるんじゃない!あなたの気持ちが
聞きたいの!地球人のあなたが、地球人であることも、
むりやり改造されたことも覚えていて、なのにどうして
喜んで宇宙人の奴隷なんてできるの?疑問はもたないの?」

509 名前:追憶の改造手術室・2 mailto:sage [2007/10/18(木) 00:53:21 ID:G/NADIba0]
「質問ノ意味自体ホトンド理解デキナイ。ワタシハ
地球人ダ。未改造ノ地球人ハ改造ニ対シ激シイ抵抗ヲ示ス。
ダカラ強制ガ必要ダ。強制ハ合理的ナ処理ダ。マタワタシガ
地球人デアルトイウ事実ト、ワタシガ他ノ地球人類ヲ
『主』ノタメノ資源トシテ搾取スルコトトノ間ニハ、
イカナル論理的矛盾モナイ。他方、『主』ノ道具トシテ
ぷろぐらむサレタワタシガ『主』ノ意向ニ背クコトハ、明白ナ矛盾デアル」
 同じ日本語を話しているはずなのに、まるで話が通じない。
わたしはもう一つ気になって仕方がないことを聞いた。
「じゃあ、わたしのことは?
わたしのことはどれぐらい覚えているの?」
「オマエトノ接触ノ記憶情報ハスベテ保持シテイル。
ソノ大部分ハ不合理マタハ理解不能ナ動作ト言動ノ羅列ダ。
特ニ、交尾行動、シカモ繁殖ト無関係ナ交尾行動ヲ
目指シテナサレル繁雑ナ交渉行為ハ、不合理ノ度合イガ大キイ」

510 名前:追憶の改造手術室・3 mailto:sage [2007/10/18(木) 00:54:31 ID:G/NADIba0]
 まわりくどい言葉の意味を理解できたとき、
わたしの中に猛烈な怒りがこみあげてきた。
――汚された。大事な思い出を。二人だけの、甘く、
謎めいた、かけがえのない時間。それがこの虫けらには
「交尾行動ヲ目指シテナサレル繁雑ナ交渉行為」
にしか映らないのだ。こいつはもうあの人ではない。
あの人があの思い出をそんな風に見ているわけがない。
 こんなモノとの「交尾」を想像して濡れかけた
自分が恥ずかしくなった。痺れていた頭が急激に
はっきりしてきた。そして、宇宙人全体への怒りと
闘争心が沸き上がった。――あの人を永久に奪った
憎い奴ら。わたしは負けない。仇はとるわ。どんなに
肉体をいじり回されようと、心だけは渡すものか。
何としても洗脳に抵抗しおまえらを壊滅させてやる。
「ありがとう。あの人にお別れを言う決心がついたわ」
「不可解ナコトヲ。オマエノ『アノ人』ハココニイル。
肉体ヲ強化シ、不合理ナばぐヲでりーとシ、
優レタ制御しすてむヲ導入シタ以外ハ、オマエガ
交尾シタガッテイタワタシノママダ。ソシテワタシハ、
ツガイトシテオマエノモトニイツヅケル」
 虫けらのたわごとはもう耳に入らなかった。
わたしは戦う。なんとしてもこいつらをたたきつぶす。
今はもういないあの人のために。



511 名前:追憶の改造手術室・4 mailto:sage [2007/10/18(木) 00:55:35 ID:G/NADIba0]
 改造室に着くと、あの虫けらは部屋の奥に姿を消した。
それから何十分たっても改造手術は始まらなかった。
改造室の様子も、感情レコーダを通して見たときとは
少し様子が違っていた。ガイダンスはあの虫けらから
散々受けたから、ガイダンス役がいないのは当然かも
しれない。だが、例えば脳に接続されるコードを
繋ぎに来る気配がない。天井の注射器もセットされて
いない。周囲の補助装置の類も準備されていない。
 ――何これ?「準備完了」とか言ってたのに。
これこそ「不合理」じゃないのかしら。
 だがこれは格好の機会だった。わたしには他の
捕虜にはない利点がある。ガイダンスは素体に
「これから何をするか」は教えても「どうやって」
については何も教えない。だがわたしはそれを
知っている。つまりレコーダの疑似経験によれば、
あの人の感情は、強烈な性的快感と激しい苦痛、
それによって意識が空白になった瞬間、少しずつ
消されていった。可哀相なあの人は何も
わからないうちにあっというまに虫けらに
されてしまった…いや、虫けらに乗っ取られ、
この世からいなくなってしまった。だが、
その仕組みを知ってさえいれば、もしかすれば
何か抵抗できるかもしれない。心の準備くらいは
できるだろう。――ひょっとしてレコーダの装着を
勧めたのは、あの人の最後の意志だったのかも
しれない――。そんな想像もわいた。

512 名前:追憶の改造手術室・5 mailto:sage [2007/10/18(木) 00:56:31 ID:G/NADIba0]
 苦痛の方に大した対応はできない。だが
苦痛による感情消去は補助的なものだった気がする。
注射は平気な方だし、ともかく気を失わないことだ。
 問題は性的快楽だ。オーガズムに達しない、
あるいは、肉体は達したような反応を示しても
精神が平静、という、可能なのか不可能なのか
よくわからない状態になれれば、ひょっとすると
感情の消去をやりすごせるかもしれない。少なくとも
男性のように単純明快な仕組みになはっていないから、
何とかできる余地は大きいような気もする。
 そして今のわたしは性的快楽なんかとは正反対の
心境にある。これは大きな強みだ。
 実はわたしはあの種のぬめぬめした虫っぽいモノが
生理的に大嫌いなのだ。さっきは中身があの人だから、
「愛の力」で克服できた。あの人だと思えたうちは
欲情さえ覚えてしまった。だがアレが本物の虫けら
だとわかったとたん、あんなモノと交わってしまった
ときの感触が気持ち悪くてたまらなくなってきた。
 いいだろう。さっきまでのように興奮している
ふりをしてやろう。そのまま「演技」を続ける。
そして心の中ではあの気持ちの悪い感触を
思いっきり再生して、全身に虫酸が走るような、
心理状態に自分自身を追い込む。足りなくなったら
ナメクジとかカエルとか蓮乳とか、気味の悪いものを
総動員して、快楽とは程遠い精神を維持し続けてやる。
 宇宙人の機械にそんなものが通じるとも思えないが、
今思いつく手立てはそれぐらいだった。

513 名前:追憶の改造手術室・6 mailto:sage [2007/10/18(木) 00:58:48 ID:G/NADIba0]
 結局二時間ほども、わたしは空っぽの手術室で
ただ寝かされていた。その間に、わたしの心は
色々と準備を完了していた。
 だが、奥の扉から出てきた「人」を見たとき、
それらの準備は一瞬で吹き飛び、わたしの心は
激しい動揺、その他あらゆる感情で満たされ、
混乱状態に陥った。
「…あなた…どうして」
 そこには、改造される前と同じ体、そして
改造される前とまるで同じ表情を浮かべた
あの人が立っていたのだ。いや、一点だけ、
あの人ではないという確かな証拠があった。その人は
あの巻き貝のような男性器を生やしていたのだ。
「準備に手間取ってしまってごめん。
ぼくも知らなかったんだが、君の改造には色々と
新しい試みがなされるらしいんだ。ひとつはこれさ」
子供っぽい笑顔でにっと笑い、親指で自分を指さした。
あの人だ。全くあの人のしぐさだ。

514 名前:追憶の改造手術室・7 mailto:sage [2007/10/18(木) 00:59:44 ID:G/NADIba0]
「よくできてるだろ?外形擬態の方は、まあ
地球人が思うほど難しくはないんだ。すごいのは
この感情擬態さ。『主』はぼくの付けてた
感情レコーダと君とのやり取りを徹底的に解析して、
自動的に人間の感情反応そっくりの外的反応を生成する
エミュレータを作ったんだ。感情レコーダのときには
ブラックボックス扱いされていたアナログ情報が
完全にデータ化された。音声レコーダから楽譜を
作り出したようなものだ。そして、感情レコーダの
場合には少し生じてしまった「逆流」もなくなった。
擬態感情は装着者の精神に一切影響しない。実際、
何も感じないまま自動反応が起きているだけなんだ。
完成版では、装着者には必要に応じていつでも
停止する権限が与えられる。ただし僕の場合は
試用段階なので、権限は与えられていない。
――さて。ガイダンス終了だ。これで君はぼくの中身が
『全くの虫けら』であるという知識を得たわけだ。
さあ、どの程度の「錯覚」が起きるのかな。データを
とらせてもらうよ。楽しみだな」
 そう言うと、あの人のだった・もうあの人のではない・しかし
あの人にそっくりな人は、わたしに感情レコーダをセットした。

515 名前:追憶の改造手術室・8 mailto:sage [2007/10/18(木) 01:01:42 ID:G/NADIba0]
「もう一つの実験はこれ」
そう言うとその人は天井からたれているノズルを
引き寄せ、その先端を自分の背中に突き刺した。
「偉大なる『主』は携帯洗脳改造装置を開発中だ。
これはそのためのデータ集めというわけだ」
そう言ってわたしに近づくと、背中のノズル付近から
束になったケーブルを取り出し、その先端を
わたしの首の後ろにそっと固定した。何かが刺さり
侵入してきたが、大した痛みはなかった。それから、
その人はとても柔らかにわたしに覆いかぶさった。
「いくよ」
やさしく官能的な声。いつもの「始まり」の合図の言葉。
今日のそれはわたしの人間としての人生に幕を引く合図。
…ああ、なんてこと。理性ではそれがわかるのに、肉体が
ついていかない。やめて。その目で見ないで。その声で
話しかけないで。…忘れちゃだめだ。このしなやかで
すべすべした肌の下には、ぬめぬめした虫けらの皮膚…
…でも…まったくあの人のままだ。ホクロの位置まで同じ。
汗も出てきた。かすかな体臭も。とてもなつかしい香り…
 その人はわたしに唇を重ね、それから首筋、そして
耳たぶに舌を這わせた。…ぬめぬめした蟻男がわたしを
襲いにきた…そう思い込もうと努力する。感じては
いけない。感じてはいけない。感じてはいけない。
――この言葉は呪文だった。唱えれば唱えるほど
感じてしまう。いけない。いけ…ない…

516 名前:追憶の改造手術室・9 mailto:sage [2007/10/18(木) 01:03:13 ID:G/NADIba0]
 男の舌はわたしの乳首に伸び、同時に指が、すでに
じっとりと湿りかけてきた下腹部の部分に触れた。
いつもと同じ、なつかしい手続きが順々に進み、
わたしの視覚と聴覚と嗅覚と触覚、さらには味覚は、
意地悪な官能の誘いに必死に抵抗した。
 それははかない抵抗。わたしの意志とは無関係に、
わたしの肉体は快楽の山を登り始めてしまった…。

 …次の瞬間、わたしは絶叫していた。一瞬、意識が
空白になった。胸から下の全体に激痛が走ったのだ。
 男の前半身全体から太い注射針が何本も伸び、
それがわたしの身体に突き刺さっているのである。
「ふふ、びっくりしただろ?ちょっと意表をついて
やらないと君は意識を飛ばしてくれなそうだったからね」
間もなく注射針から大量の薬剤が射出され、同時に
男の全身がまばゆいグリーンの光に包まれた。
猛烈な熱が私の身体を襲う。わたしはまたも絶叫し
苦痛にもがき苦しんだ。
「これだと背中の方が不十分だからね。『主』は
苦肉の策で出力を危険値ギリギリまで上げたらしいよ。
まあ、多少のやけどは改造が終われば治るからね。
あとで、ちゃんと後ろからもやってあげるよ」

517 名前:追憶の改造手術室・10 mailto:sage [2007/10/18(木) 01:04:59 ID:G/NADIba0]
 言い終わる前に男はいつの間にか固く鋭く勃起した
生殖器を、まだ完全には準備の済んでいない女性器に
強引にねじ込んだ。普通の痛みだけではなく、子宮の
奥に、傷ついたようないやな痛みが生じた。多分血が
出ていた。鋭い先端が突き刺さったのだ。
「ぼくの装備は試作品なんだ。これから性細胞移植を
しなきゃいけないんだけど、よく使われている
カプセルタイプよりできが悪い。こうやって、移植前に
組織をある程度損傷させないと定着しにくいんだ」
そう言うと男性器を抜いては膣のあちこちに突き刺し、
切り裂く、という作業を繰り返した。わたしは何度も
絶叫し、そのたびに頭が真っ白になった。
「さて、移植用性細胞をつけて、と」
男はやはり背中から薄いゴムのようなものを取り出し、
それを生殖器にクルクルとかぶせた。
「しばらくすると僕の生殖器が移植用に活性化する。
それを挿入すれば君の女性器も憧れのアレに生まれ変わる。
楽しみだなあ」

518 名前:追憶の改造手術室・11 mailto:sage [2007/10/18(木) 01:07:40 ID:G/NADIba0]
 男はわたしの顔を覗き込んだ。あくまでも優しい笑顔。
プレイの最中のちょっと下卑た言葉遣いまでそのまま。
でももうコレをあの人だと思うことは決してできない。
わたしは恐怖に引きつった顔でソレを見つめた。
「お次はこれだ。こんな粗悪品、早く捨てちゃえよ」
そう言うと、擬態した指を突き破って伸びてきた鋭い爪を
左目にずぶりと突き刺し、こね回した。自分でも
信じられない声を上げてわたしの意識は一瞬遠ざかった。
世界の左半分が真っ暗になり、どろりと粘液が出てきた。
「すぐに最高級品が生えてくるよ。紫外線も認識できるし
解像度も比べ物にならない。きっと満足するよ」
 ふと残った目で体を見回すと、すでにもう体が
人間の体ではなくなりかけている。皮膚の至る所から
粘液がしみ出し、染み出た部分を中心にぬめぬめした
青黒い皮膚になっている。いやだ。自分の皮膚が
最高に気持ちの悪い生き物の皮膚に近づいている。
いやだいやだいやいや。わたしは我を忘れて絶叫した。
「さあ、もう一方も、いくよいくよいくよ」
ギュッとつぶったまぶたごと、男は右目をえぐった。
「ふふふ、こうやって緊張しても痛みは増すんだよね」
たしかに、わたしの意識はまた一瞬失われた。
「触角細胞も刺激してあげなきゃ」
男は指の第二関節からねじのようなものを突出させると、
それを眉間の上のあたりに押し当て、骨に食い込むまで
ぐりぐりとねじ込んだ。作業は左右計二回、ゆっくりと
容赦なく続けられた。じわじわと続く苦痛に、わたしの
思考は麻痺した。

519 名前:追憶の改造手術室・12 mailto:sage [2007/10/18(木) 01:10:21 ID:G/NADIba0]
「お疲れさま。『苦痛』のメニューはこの辺で打ち止めだ。
さて、どうかな。もう半分くらい、いったんじゃないかな。
裏側を焼かなきゃいけないからちょっと体位を変えよう」
 擬態した蟻男はわたしを逃がさないように注意しながら
エネルギーバリアをゆるめ、わたしをうつ伏せでひざを折った、
要するに後背位の姿勢に固定し直そうとし始めた。

 少し間の抜けた作業の間、わたしには自分を見つめ直す
わずかな時間ができた。
 ――「もう半分くらい」とはつまり感情消去の話だろう。
虐待のあいだ、わたしはほとんどなすがままにされ
何度も気を失いかけた。多くの感情を奪われてしまったに
違いない。正直、自分で自分の心を見つめるのが怖い。
…そうか。恐怖感は残ってるわね…うれしくないけど。
 課長の心を覗き見ているときと異なり、今のわたしは
実際に何と何の感情を奪われたのか、はっきりとした
自覚がなかった。こちら側に感情があるときは、課長の心と
自分の心を比較して、何が消えてしまったのかを
確認することができた。今はその比較ができないのだ。
漠然と、心の全体が液状化し始めたような不気味な感覚。
人間の発達させた複雑で精妙な感覚が、ただの原始的で
不定形な本能的衝動に置き換えられていく感覚。まるで
精巧に発達した手足や目が、アメーバの偽足や
原始的な光受容器に置き換えられていくような…。

520 名前:追憶の改造手術室・13 mailto:sage [2007/10/18(木) 01:13:42 ID:G/NADIba0]
 バリアの操作が複雑なのか、擬態蟻男の作業は
もたもたと進まない。わたしはこの時間を利用して、
敵と「戦う」道がまだあるかどうか、なるべく冷静に
検討しようとしはじめた。
 人間の心を丸ごと残す、という道はもう閉ざされて
しまった。「人間らしい心」という言葉から連想される
感情、例えば「こまやかな気遣い」「温かな共感」、
そんな言葉はコトバとしては思い出せても、もう
かさかさの記号としか理解できない。今のわたしが
人間社会に戻されて、たとえ外見が元通りになっても、
もうまともな社会生活は送れない気がした。
信じられないほど空気が読めない女、とんでもなく厚顔な
偽善者――そんな社会不適格者になっているに違いない。
 それでも、たぎるような侵略者への憎しみ、そして
あの人への強い愛情、この感情だけは、まだ十分に
残っているのを感じた。レコーダの疑似体験でも、
強い思いほどなかなか消えなかった。
強い思いは心の中のあらゆる思考に浸透している。
だからこそレコーダによって、あちこちに潜む
感情の名残りを活性化させ、つきとめては消去する、
そんな作業が必要なのかもしれない。そう思った。



521 名前:追憶の改造手術室・14 mailto:sage [2007/10/18(木) 01:16:39 ID:G/NADIba0]
 …ふと、わたしはありえないほど冷静に状況を
分析し始めている自分に気づいた。
感情が原始的な本能に退化し始め、理性や言葉と
かかわりあう力を失いつつあることで、逆に、
理性的な思考が感情に歪められずに進むように
なっている。そういうことらしい。
 実際、こうやって冷静に反省してみると、
人間の感情というのは色々と「不合理」な歪みを
認識に加えていたのだということに気づいた。
自己欺瞞、希望的観測、現実逃避、好き嫌いによる
買いかぶり、みくびり…人間の感情がどれほど
現実に目をふさぐか。それに気づざるを得なかった。
 通常の改造素体にはこんな冷静な反省をしている
余裕があるとは思えない。苦痛と快楽の洪水の中、
退化しつつある感情に押し流され、わけのわからない
うちに人間の心を失ってしまうしかないはずだ
――あの人がそうだったように。
わたしがこんな冷静な思索を進められているのは、
この擬態蟻男の変則的な作業がもたもたしている
からに過ぎない。まもなく再開されるはずの
苦痛や快楽の渦に巻き込まれれば、またこんな
冷静な思索を巡らすことはできなくなるだろう。

522 名前:追憶の改造手術室・15 mailto:sage [2007/10/18(木) 01:19:36 ID:G/NADIba0]
 ――この冷静な思考を利用できるのは今しかない。
何をすべきか、全力で考えよう――。
 また多くの感情が奪われることは覚悟せねばなるまい。
だから、最低限譲れない感情に絞り、それだけは
何としても守り抜く、というやり方を選ぶべきだ。
 その感情とは「侵略者への憎悪」と「あの人への愛」。
この虫けらではなく、いなくなった「あの人」への愛。
この二つの感情を、それだけを全細胞に焼き付けよう。
 ――さあ、第二ラウンドだ。

 わたしの決意に呼応したかのように、
擬態蟻男の愛撫が再開された。
「待たせてごめん。再開だ」
蟻男は後ろからしがみつき、乳房をまさぐりつつ、
再び注射針と光線の責めを浴びせた。気の持ちようか、
実際に出力が落ちたか、さっきほどの苦痛はなかった。
 蟻男はさっきまでと同じ、甘い言葉と優しく激しい
愛撫を加えてきた。
 ――バカじゃないかしら。あんなことされたあとで、
まだ素直にひいひい感じるとでも思ってるの?――
わたしは目の前のモノの虫けらぶりに軽く呆れた。
そして予定通り「演技」を始めた。乾いた愛液は、
大量にあふれる粘液が多分ごまかしてくれる。

523 名前:追憶の改造手術室・16 mailto:sage [2007/10/18(木) 01:22:59 ID:G/NADIba0]
 そう。肉体の変貌は容赦なく進んでいた。
 改造眼球と触角の形成はほぼ完了した。
新しい異様な視界が広がり、見たくもない
肉体の細部がいやでも目に飛び込んできた。
 皮膚の変質は終わることなく続いている。
表面は青黒くぬらぬらと両生類のように変わり、
指先その他あちこちに、昆虫の肢の剛毛に似たものが
生えている。爪はやはり節足動物のような
鋭い黒い爪に変わっている。
 背中ごしに見ると足のおやゆびが何倍にも肥大し、
他の指は昆虫のかぎ爪のようなものに退化している。
おやゆびの爪は厚皮化し、爪というよりひづめのようだ。
かかとの角質層も何センチもの厚さに伸びている。
最終的にあの「ハイヒール」ができあがるのだろう。
 体毛は薬剤の作用ですべて抜けた。立てた太ももの
内側を、粘液に乗った恥毛がゆっくりと流れてきた。
髪の毛はゴッソリと落ち、代わりに生えてきた、蜂や
蛾の体毛のような紫の毛が下向きの顔にかかった。

「ここだけは薬が違うんだ」
 乳房をまさぐる擬態蟻男の手のひら全体から、
無数の微細な針が伸び、突き刺さった。
 今回、苦痛はなく、痒いような感覚が覆った…
「あ…やだ、なにこれ!!いっ…いっ…いっちゃ…」
…それが凝縮された性感だと気づいたのは少し後だ。
乳房の全体から体験したこともない快楽が流れ込み、
わたしは一瞬で果ててしまった。

524 名前:追憶の改造手術室・17 mailto:sage [2007/10/18(木) 01:26:04 ID:G/NADIba0]
 ――またやられた…。心の液状化がはっきり
進んでいた。もう普通の日常生活もできなさそうだ。
「あざーす!近ごろどーよ」
そんな耳慣れたあいさつすら、ふと思い出すと
意味が全く分からない。――今は午後よ?
それに一体具体的に何がどうだと言っているの?
何を聞きたいの?不可解。不合理…

 ――もう気を抜いてはならない!こんな虫けらに
感じるなんてこと、もう二度とあってはならない。
 わたしは決意を新たにした。そろそろ、課長の心を
奪った、あの「移植用性細胞」が来る頃だ。
宇宙人への憎悪とあの人への愛情で心を一杯にして、
虫けらのセクハラに耐えなければならない。
 「セクハラ」という言葉は雑居房のダニ男を
連想させた。ちょうどいいわ。虫けらとカエルと
ナメクジの外に、鳥肌のネタがひとつ増えた。
生理的な不快感と嫌悪感はまだ退化せずに
残っている。これで心を満たして、快楽なんて
感じるすき間をなくしてやる。その上で「演技」を
してこの虫けらをだます。色々しくじったけど、
これで当初の計画どおりだ。

525 名前:追憶の改造手術室・18 mailto:sage [2007/10/18(木) 02:32:10 ID:G/NADIba0]
「いいかい?入るよ」
「あああ、いいわ…入って」
 もうわたしにとってこいつはただの虫けらだった。
人間の皮の下のぬらぬらした皮膚が透けて見えた気がした。
 わたしの大事な部分に、巨大で生温かいナメクジが
挿入された。ああ気持ちが悪い。
「ああ…きもちいいいわ」
ナメクジはカエルに変態し膣の中をかき回し始めた。
うう、われながら悪寒が止まらない。
「ああん、ぞくぞくするぅ」
カエルはわたしの運転する自転車に轢かれ、内蔵と
内蔵の中の汚物が撒き散らされた。うう、吐きそう。
「あああああああ、もうだめ!いっちゃう」
グチャグチャのカエルはグチャクチャのままで
激しく動き始め、あのダニ男の声で卑猥な言葉を発し始めた。
『よう。姉ちゃんよう。すました顔して、実は
濡れ濡れじゃねえの。おれももういきそうだぜ、ほれ』
「…ああ、濡れ濡れだね。ぼくもいきそうだよ」
…そうそう。虫けらにはダニのせりふがふさわしいわ。

526 名前:追憶の改造手術室・19 mailto:sage [2007/10/18(木) 02:33:57 ID:G/NADIba0]
 わたしはおおげさなよがり声をあげながら、
勝利の可能性を感じた。快楽を感じないわけではない。
あれから達してこそいないものの、心の液状化は着実に
進んでいる。守り抜くと決めた二つの気持ち以外、
何の感情も残らないかもしれない。でも、それだけあれば
十分だ。わたしは宇宙人を憎み、そしてあの人が愛した
地球を守る。その気持ちさえ消されなければ、わたしは
地球を守るためにこの身を捧げる。それでいい。悔いはない。
 感情レコーダは回収されないうちに事故を装って
壊してしまおう。この虫けらどもを騙すのは多分簡単だ。

 …だが、勝利が目前になり、再びあの冷静さが
戻ってきたわたしに、恐ろしい疑惑が生じてきた。
それは、実はずっと以前から感じていて、でも必死に
封じ込めてきた疑惑だった。だが、理性と感情の
つながりが切れ始めた今、もう自分をごまかし
続けることができなくなっていたのだ。

527 名前:追憶の改造手術室・20 mailto:sage [2007/10/18(木) 02:36:17 ID:G/NADIba0]
 ――あのダニ男とあの人は、そしてこの虫けらと
あの人は、本当にそこまで違うんだろうか?――
 絶対に問いかけてはならない疑問だった。
 さっきこの虫けらが発した、あのダニ男そっくりの
セリフ。考えて見ればあれはエミュレータによって
生成されたセリフなのだ。つまりたとえ擬態であり
何の感情もこもってなくとも、あの人の言葉なのだ。
 ――ならば、あの人とダニ男のどこが違うのか?
 冷静に見て、感情レコーダで覗き見たあの人の
記憶は、そこまで「美しい」ものだっただろうか。
あの人の目から見たわたしたちの思い出は、
この虫けらが口にした「交尾行動ヲ目指シテナサレル
繁雑ナ交渉行為」そのものではなかったか?
あの人の思い出の中心にあったのは、
わたしの心ではなく、わたしの肉体ではなかったか?
虫けらの言葉にわたしがあんなに怒ったのは、
それが「図星」だったからではないのか?
 ――ならば、あの人と虫けらのどこが違うのか?
疑惑は確信に変わり始め、あんなに守ろうとしていた
「あの人への愛」が、感情消去を待つまでもなく
薄れ始めてきた。――いやだ。嫌い。男なんて嫌い!
大嫌い!男なんてみんな虫けら!いやだ!いやだ!
でも女だって同じだ。あの隣の女性だって、
横の内気な少年に色目を使っていた。いやらしい!
薄汚い!嫌い!人間なんて大嫌い。人間なんて、
一皮剥けば虫けらと同じ。いやだ!
 わたしの感情は暴走しかけていた。

528 名前:追憶の改造手術室・21 mailto:sage [2007/10/18(木) 02:37:16 ID:G/NADIba0]
 守ろうと決意していた二つの感情。その一つ、
「あの人への愛情」が色あせ、快楽の海の中で
液状化し始めた。
 わたしはもう一つの感情、「侵略者への憎悪」
だけは手放してはならないと必死になった。
これを手放せばもうわたしはわたしでなくなるのだ。
 ――侵略者をたたきつぶす。虫けらは大嫌い。でも
人間も虫けら。虫けらは嫌い。人間でいるのもいや。
奴隷生物もいや。いやいやいやいや。全部いや!
消えて!全部消えて!消してやる!消してやる!
 わたしの感情はその対象を見失い始めていた。
このままではいけない。我を忘れてしまうことが
一番危険だ。冷静にならなくては。この状況での
最善の選択。それを合理的に計算する。今のわたしは
それができるはず。さあ。考えて、わたし!…

 擬態蟻男とのセックス、あるいは、快感による
わたしの洗脳作業もそろそろクライマックスだった。
 わたしは、憎悪の心をたぎらせ、冷静に計算を進め、
なおかつ外面的には快楽にもだえる演技をする、
という離れ業をしなければならないのだった。しかし、
今やその中で「演技」が一番楽な作業になっていた。
たぎる憎悪の気持ちがすでに快楽の居場所をほとんど
なくしていた。微弱な快楽にほんの少し心を液状化させ、
それに大げさに反応していればそれでよかった。
そしてその演技がこの虫けらに実装されたあの人の目を
完全に欺いている自信があった。――実のところ、
演技は初めてではない。わたしのような優しい女ほど
「演技」は上手なものなのだ。
「ああ、いく!いく!あああああああああああ」
激しい痙攣とともに大量の愛液が流れ、わたしは一瞬
失神した…ふりをした。

529 名前:追憶の改造手術室・22 mailto:sage [2007/10/18(木) 02:39:15 ID:G/NADIba0]
「感情消去終了!と。
これよりドライバのインストールをするよ」
 終わった!わたしは自分の心を点検し、色々と様変わり
してしまったものの、やはりわたしがわたしで
あり続けていることを確認できた。まずは勝ったのだ!
 わたしは続く作業への心の準備を行った。
 脳につながれたケーブルから「何か」が流れ込んで来る。
「ダウンロード終了。あとは起動だ。すぐに『主』からの
最初の命令が来る。その受信が起動の最終キイだ。
起動したら早速エッチなこといっぱいしよう。約束だよ!」
 ――その仕組みならば、ひょっとしたらアレが
試せるかもしれない――。わたしは好都合だと思った。
一応、わたしの中にたぎる強い感情は、多分「服従心と
恐怖心のドライバ」を不活性化させるだろう、という
見通しがあった。だがそれでは不安定だ。
それ以上のことができるならばそうすべきなのだ。
 触角が宇宙人の通信を受信し、「命令」のダウンロードが
始まる。――できそうだ。「送信」は不可能じゃない。
わたしは強い想念を宇宙人の回線に送信した。パーソナルな
回線だからこの蟻男には傍受されていないはずだ。

530 名前:追憶の改造手術室・23 mailto:sage [2007/10/18(木) 02:40:21 ID:G/NADIba0]
「ちょっと話を聞いて!取引しましょう」
「不良品カ。自ラ欠陥ヲ申告スルトハ合理的ダナ。
スグニ再洗脳ノ指令ヲ出サネバ」
「待って。わたしの心を見てちょうだい。これでも
再洗脳の必要なんかある?」
「…高水準ノ『地球人類ヘノ憎悪』ヲ確認。稀ナ事例ダ」
――そう。それがわたしに残された「人間的感情」の
最終的な姿。わたしの感情と理性が到達した結論が
それだった。わたしははわたしであり続けるために、
憎悪の最大の矛先を人類に向けることを選択したのだ。
もはや醜い虫けらにしか思えなくなっていた人類を
「売り渡す」ことに大した迷いはなくなっていた。
わたしの人類への愛はあの人への愛と共に永久に
失われていたのである。
「稀少事例トシテ、感情れこーだノ分析を推奨。
ソレデハ再洗脳ノ指令ヲ…」
「待ってよ。あんたは誰?宇宙人じゃないの?責任者出して!」
「ワタシハ暗号名地球救済作戦実行用汎用こんぴゅーた。
『主』ヨリコノ方面ノ作戦指揮スベテヲ委任サレテイル。
ワタシガ責任者ダ。がいだんす終了。再洗脳ノ指令ヲ…」
「いいから、その『主』とかいうやつに繋いで。再洗脳前に
わたしのデータを送って確認してもらって。…そうだ。
その前にわたしのデータでシミュレーションしてみてよ。
今のわたしと洗脳後のわたし、実戦投入時、どちらの
作戦成功率が高いか」
「不可解ナ提案ダ。ダガタシカニ前者ガ高イ場合、オマエノ
再洗脳ハ不合理ナ選択デアル。…計算開始…前者ノ数値ハ
後者ノ18倍…再計算ノ必要アリ…再計算終了。…作戦変更。
再洗脳ハ保留。要求ヲ受理。『トリヒキ』ノ内容ヲ説明セヨ」



531 名前:追憶の改造手術室・24 mailto:sage [2007/10/18(木) 02:43:51 ID:G/NADIba0]
「わたしを指揮官にしてちょうだい。地球侵略のために
働くわ。不安ならば『反逆への恐怖』の方はインストール
してもいい。反逆なんて絶対にしないから大丈夫。
ただし、これ以上の感情消去は停止して。わたしの
今の高い能力は、感情退化がさらに進めばなくなる可能性が
大きいわ。それから、『服従心』のインストールもやめて。
わたしは自由でいたいの。わたしの望みはもっともっと高い
存在に進化すること。奴隷はいやだけど、人間でいるのも
いやになったの。人間も奴隷生物も大嫌い。あなた方の
『主』だって嫌いだけど、今は一番嫌いじゃないわ。
むしろその仲間入りをして宇宙を駆けめぐってみたい。
広い宇宙で自分の可能性を試したい。地球では
試したくても試せなかった。なまじ美人に生まれると
そういうことがあるのよ。あの人もわたしを部下として
評価してたわけじゃない。ひょっとすると追い抜かれるのが
怖くて恋愛でごまかしたのかもしれない。…まあ半分は、
楽な生き方を選んだわたしのせいなんだけど。…分かる?」
 一部は感情の矛先を向け変える自分への口実、一部は本音だった。
「…続ケロ。『主』ヨリでーたノ請求ガ来テイル」

532 名前:追憶の改造手術室・25 mailto:sage [2007/10/18(木) 02:44:46 ID:G/NADIba0]
「…だんだん解ってきたの。地球人の感情はたしかに
いろいろ不合理だけど、改造人間が言うほどじゃない。
改造人間だって十分不合理。人工的に改造された生物だから、
ある方が便利な感情までなくなっている。多分あなたたちは、
改造人間と未改造の人間に連帯をさせないために、わざと
必要な感情まで消しているのよ。そして、そんなことを
思いつける種族は、多分、地球人とは違うかもしれないけど
色々余分な感情をもっているはず。そうでなくちゃ侵略や
戦争なんてできない。わたしは奴隷でも地球人でもなく
その中で自分の力を試してみたい。その世界に入ってみたい。
そのためなら地球の一つや二つあげるわ」
「面白い。事故の産物にしても、興味深い個体が生まれたものだ」
「あなた、宇宙人ね。やっぱり人間みたいな話し方をするのね
…と思ったけど違うか。感情エミュレータね。まあいいわ、
聞いて。言っとくけど、そろそろあの石頭のコンピュータと
ロボットと奴隷生物だけじゃやってけないわよ。
もっと頭を使える幹部が必要。例えばあの洗脳プログラム、
あんなシステム、絶対隠れた『不良品』が出てるわ。
感情エミュレータを実戦配備して徹底的に洗い出さないと
大変なことになるわよ。
どう?最初の作戦としてわたしに任せてみない?」
「いいだろう。こちらもいつまでもコンピュータに任せず、
誰か指揮官を回す予定だった。だがそんな辺境の奴隷狩り
など、誰もやりたがらなくてね。地球人の言い方で
言えば渡りに船だ。反逆抑止プログラムはちゃんと
インストールさせてもらうが、あとは任せよう」

533 名前:追憶の改造手術室・26 mailto:sage [2007/10/18(木) 02:45:49 ID:G/NADIba0]
 辺境云々の言葉はかなり屈辱的だった――「屈辱」か――。
意外にいろいろな感情が残っているのだと気が付いた。多分、
「憎悪」にくっついてきたのだろう。一方、思いやり、優しさ、
愛情、その種の感情はウソのように消えてしまった。あの
虫けらのような男、そして虫けらのような人類への思いと共に
蒸発してしまったようだ。

 通信が終わり、残っている感情が保護され『崇拝』ドライバが
インストール前にデリートされた。『恐怖』ドライバは
インストールされたが、とりあえず反逆しようとしなければ
心理構造を改変することはなさそうだった。
そして当面、わたしに反逆への意志はなかった。
 わたしは外面的には正常にインストールされた奴隷生物
という建前になった。前例がないからである。ただし、
「管理者権限」を与えられ、正常な奴隷生物を任務のために
自由に接収できることになった。
 感情面に関してはエミュレータを二つ装備することになった。
奴隷生物の無感情エミュレータと、わたしの感情レコーダを
もとに復元された人間感情のエミュレータである。その他、
予定されていたいくつかの装備も実装された。「本当のわたし」
を知る者は今のところあの宇宙人とコンピュータだけだ。

「改造素体十万八号は、ただいまをもって
奴隷生物九万九千八号百八号として完成した。
起立し、ただ今届いた『主』からの命令を復唱せよ
…なんか結婚式みたいだね。どきどきするな」
 ――ほんっと、うるさい虫けら。早く擬態切れよ。

534 名前:追憶の改造手術室・27 mailto:sage [2007/10/18(木) 02:47:01 ID:G/NADIba0]
「『主』カラノ命令ニ従イ、ココニ私ハ宣誓スル。
ワタシハ主ナル種族ノ生存ト繁栄ノタメニ、奴隷生物トシテノ
全能力ヲ駆使シ、永遠ニコノ身ヲ捧ゲルコトヲ誓ウ」
「おめでとう!最初の命令を伝えるよ。
君には簡易対人洗脳改造システムの試作型二号機が実装
されている。リアルタイム自律学習型で、改造手術中に
僕のデータを吸収し、改良版として成熟しているはずだ。
その試運転としてこの僕の外形擬態、および感情擬態の
解除を行うこと。一種のシミュレーションだね。ふふ。
 なお、この装置の装備者にはドライバとして
『拡張再生産本能』が組み込まれてる。つまり人間を見ると
洗脳改造して自分の同類に変えたくてたまらなくさせる欲望だ。
いつもと違う快感に出会えるよ。ふふふ。ガイダンス終了」
 ――あら、面白そう――。わたしはちょっとしたいたずらを
おもいつき、思わずそう言いそうになった。そして自分に
残っている感情がずいぶんと偏っているいることに改めて
気づいた。――やだわ、なんかこういう悪趣味な感情しか
なくなっちゃったみたい。こんなので「さらなる進化」
なんて大丈夫かしら――そんな不安が頭をもたげかけたが、
思いつきを早く実行したかったので悩むのは後回しにした。
「了解。――その前にちょっと準備させてね」
 わたしはまず自分の外形擬態を行った。改良型なので
この虫けらみたいな面倒な手間は不要だ。
「??わからない、それは命令と何の関係があるのかな??
理屈に合わないよ。筋が通らないよ…」
虫けら課長は混乱している。エミュレータを外したら
「不可解だ、不合理だ」を連発しているに違いない。

535 名前:追憶の改造手術室・28 mailto:sage [2007/10/18(木) 03:39:22 ID:G/NADIba0]
「それからこっち。ちょっといじらせてね」
わたしは課長虫の首筋に爪を差し込み、管理者権限で
動作を停止し、ベッドにバリアで固定した。
それから再び管理者権限で記憶データを操作し、
覚醒させた――。

 おれが目覚めたのは殺風景な部屋だった。おれは
多分素っ裸、腰にシーツ一枚という状態で、何か
見えないベルトのようなものでベッドに固定されていた。
 記憶がはっきりしない。おれは宇宙人が作ったと
噂されているムカデ型ロボットに捕獲され、円盤の中に
運ばれた。円盤の中には宇宙人としか思えない、昆虫と
人間の中間のような生物がいて、色々な作業をしていた。
おれは衣服をむしり取られ、ベッドに寝かされ、そして…
…よく覚えていない。恐らくその後麻酔か何かで眠らされ、
この手術室のような場所へ運ばれたのだろう。
 おれが回りを見回していると、部屋の奥から
信じられない人が姿を現した。あのとき、ロボットの
魔手から救えたと思ったおれの恋人だった。しかも
おれと同じ全裸の姿だ。
「き、君も結局拉致されてしまったのか?
救えなかったのか。許してくれ」
言いながら、色々な違和感を感じた。なぜ彼女は縛られて
いない?おれを助けに来た?しかしなぜ裸なんだ…

536 名前:追憶の改造手術室・29 mailto:sage [2007/10/18(木) 03:40:20 ID:G/NADIba0]
「ここは侵略者の前線基地の一つよ。侵略者はここで
拉致して来た地球人に手術を行い、地球侵略の尖兵に
改造しているの。あなたが会った昆虫のような
生物はみな拉致された人間のなれのはて。一切の
人間的感情を消去され、原始的な本能以外には、
宇宙人への服従心と反逆への恐怖の感情しかもたない、
柔順で合理的な奴隷生物。そしてもうじきあなたもそうなる」
 この女は…おれの知っている彼女ではないのか?
…まさか彼女はすでにその改造とやらを受け…。おれは
底知れぬ恐ろしさに包まれた。そんなはずはない。そんな…
「…そしてね。正確には、あなたはとっくに改造されてるの。
ある理由があって一時的にその姿に戻っているだけ」
「デタラメを言うなこの宇宙人!」
「デタラメかどうか、これを見るといいわ」
女はシーツをはぎとった。そこにあったのは、人間のもの
とは思えない、先のとがった細長いペニスが、
ゆるい円を描いて鎌首をもたげかけている姿だった。
「あらやだ、この状況で半立ち?あなた、そういう
趣味だったの?知らなかった」
女は意味不明の独り言を言った。
「ここだけが今の本当のあなた。今からわたしが完全に
元通りにして上げるわね。うふふふ。ガイダンス終了!」

537 名前:追憶の改造手術室・30 mailto:sage [2007/10/18(木) 03:41:16 ID:G/NADIba0]
 わたしは、特に意味はないがなんとなく両腕をクロスさせ、
外形擬態を解いた。課長は恐怖と悲しみの絶叫を上げた。
わたしは無感情擬態と対人洗脳改造装置を起動させた。
とたんに目の前の人間がとてもいやらしい「獲物」に見えてきた。
――ちょっと、これやばいわよ。感情エミュレータに
行動を抑止する機能はついてないんだから、擬態して
町中でこんな機能起動させたら見境なく人間を
襲い始めちゃうわ。改良の余地ありよ!
「マズハ外形ノ解除カラダ」
 わたしは課長の上に馬乗りになり、まず首の後ろに
手を当てて神経ケーブルを装着し、次に首筋にかみつき、
薬剤を注入した。擬態解除用だから少量だが、
体内にジェネレータを仕込めばちゃんと人間一人
改造できるようになるらしい。
 薬剤を注入しながらわたしは発光した。擬態解除だから
やはり短時間でいい。外形擬態がみるみる解除されていった。
 課長は自分の姿の変貌にうろたえ、怯えていた。
「コレデオマエハ元ノ姿ニ戻ッタ。虫けらが虫けららしい
姿にもどったってわけ。あははは」
「この宇宙人が!貴様も虫けらだろう」
しまった。うっかり地の声がでちゃった。気をつけなきゃ。
あとで記憶を消しておかなきゃね。

538 名前:追憶の改造手術室・31 mailto:sage [2007/10/18(木) 03:42:14 ID:G/NADIba0]
「不可解ナコトヲ。ワタシハオマエガ愛シタ女ダ。
肉体ヲ強化シ、不合理ナばぐヲでりーとシ、
優レタ制御しすてむヲ導入シタ以外ハ、オマエガ
交尾シタガッテイタワタシノママダ。ソシテワタシハ、
ツガイトシテオマエノモトニイツヅケル」
 ――言ってやった言ってやった。ああ楽しい。
「――外形復元終了。続イテ感情消去ト再起動ヲ開始スル」

 ようやく改造人間のセックスをゆっくり堪能できる。
それがとてつもない快感を伴うことは改造中の体験で
何度も気づかされたことだ。だがあのときはナメクジと
カエルとダニ男――そうだ。あの男を再生させて、
本物のダニ人間に改造して、若い女性を襲わせるのも
面白いかもしれないわ――が邪魔して、ゆっくり
味わえなかったのである。
 ――で、ここはやっぱり言葉責めがはいらないとね。
わたしは洗脳を効果的に行うためというよりは、自分自身が
楽しむために、人間感情エミュレータを起動した。
「うふふ。ただいま。また起動してみたわ」
「…なんなんだ、お前は…」

539 名前:追憶の改造手術室・32 mailto:sage [2007/10/18(木) 03:43:20 ID:G/NADIba0]
「よく聞いて理解してね。わたしの内面はさっきのまま。
人間の感情を一切もたないし理解もできない虫けら。
でも人間社会に潜入するにはそれでは不便も多いわよね。
そこで偉大なる『主』は人間の感情を分析してエミュレータを
開発したの。これがあれば人間の感情的な反応を
自動認識して、感情的反応の偽物を作り出すことが
できる。でもそれは外面だけ。わたしがどんなに
笑っても泣いても、中身のわたしの虫けらの心には
一切届かない。体が勝手に反応しているだけ。不思議でしょ」
 …言いながら急激に空しくなってきた。よく考えたら
この課長の感情も擬態なのだった。中身の虫けらは
無意味で不合理な文字列と動作に首をかしげている
だけなのだ。――もう、さっさと片付けてしまおう。
「さあ、これからわたしはあなたと交尾するわ。
絶頂に達したとき、あなたの人間的感情はすべて
消去され、あなたは反逆の恐怖と服従の快楽にのみ
支配される奴隷生物として復活するのよ」
「いやだ、やめろ、おれに触るな!奴隷なんていやだ!
誰が侵略者の手先になんてなるものか!」
「ふふふ、不合理ね。だがその愚かな思考回路から
今解放してあげるわ。感謝なさい」
――ああばからしい。感情消去ったって、エミュレータの
スイッチを切るだけなのにね。おおげさね。
…それにしても、崇拝の快楽ってそんなにいいのかしら。
なんだか興味があるわね。まあ絶対にお断りだけど。

540 名前:追憶の改造手術室・33 mailto:sage [2007/10/18(木) 03:50:15 ID:G/NADIba0]
 わたしは人間だったときの通りに虫けらを責めた。
抵抗しながらも課長の巻き貝は徐々に硬度を増し
とうとう完全な太い針のようになった。
「うふふ、あなたも好きねえ。わかってるの?
わたしはあなたを洗脳しようとしている宇宙人の手先。
射精しちゃったらあなたの人間の心は消えてしまうのよ」
「ああ、いやだ、そんなのいやだ…いっそ殺してくれ」
「そうだ、これ切っちゃいましょうか。生えてくるまでは
人間でいられるわ。生えなければ一生人間でいられるかも」
 硬度が少し落ち、ほんの少しカーブした
「やだ、冗談よ。ほら」
わたしは口で刺激し、硬度を回復させた。実は面白いから
感情を身体制御システムに接続してしまっているのだ。
別に感情を「感じる」ようになるわけではないが、
課長の心のエミュレータが身体を支配することは可能なのだ。
うっかり「不良品」でも作ってしまったら叱られてしまう。
「いくわ。さあ」
 わたしは改造女性器に蟻男のペニスの先端をあてがい、
身体を垂直にして一気に体重をかけた。



541 名前:追憶の改造手術室・34 mailto:sage [2007/10/18(木) 03:51:24 ID:G/NADIba0]
 つるん、という独特の感触と共に世界が裏返った。

 改造女性器には膣としての穴が最初から空いている
わけではない。丸く中央がくぼんだ形の女性器の、
中央部の肉を針状の男性器が貫く、というのが
我々のセックスである。オスメスもその性器が貫通する
一秒あまりの瞬間に信じられない絶頂感を味わう。
ただしそれはオーガズムではなく、その先の段階への
入り口である。人間のようにその感覚を再び味わおうと
腰を上下させても、決してその感覚は帰らず、むしろ
高まった興奮が急速にしぼんで終わりである。
 貫通したペニスは中央の空室で激しく吸引される。
この段階で初めてペニスの海綿体組織が肥大する。
空室一杯に広がったペニスと、空室の壁は、
それぞれ筋肉の力で動き始める。この段階になり
人間のような腰の動きも加わる。最終的に
ペニスの先からもう一段細い針が伸び、
それが深部の肉を突き刺すとき、オスメスともに
最後のオーガズムを迎え、深部の肉の奥にある
輸卵管へ射精が起きる。同時に、常時生産されている
卵子に受精し卵が形成される。

542 名前:追憶の改造手術室・35 mailto:sage [2007/10/18(木) 03:53:09 ID:G/NADIba0]
 ――なるほど。知識のない人間の女には無理だ――。
わたしは改めてそれを確認した。
 わたしたちは第一段階の余韻を長い間味わいながら、
ペニスが十分な大きさになるのをゆっくりと待った。
それからわたしは人間のようにあのひとにしがみつき
身体をこすり合わせた。通常時の何倍もの粘液が
互いの体を濡らしていた。あの人はどういうつもりか
縛られた状態でわたしの乳首に舌を伸ばし、それを
丹念になめた。わたしもあの人の乳首をなめた。
わたしはそっとバリアをゆるめた。人間の感情に
制御権を与えたままの危険な状態だが、わたしは
この人が愛撫以外の行為をしないだろうという
理屈抜きの直観があった。恐らくそれはあの人にも
伝わったはずだ。そういう理屈を越えた共感が
そこには成立していた。あの人は手を乳房に、背中に、
肩に回し、快楽をかみしめるようにわたしをなでまわした。
わたしもそうした。いつまでもそうした。
 第二段階が終わりにさしかかり、第三段階が近づいていた。
かつて愛した人が口を開いた。
「ありがとう。人間の心で君と交尾できるなんて思って
なかった。君を思って僕は改造後だれとも交尾して
いなかったんだよ。さよなら。もう僕のことは忘れてくれ」

543 名前:追憶の改造手術室・36 mailto:sage [2007/10/18(木) 08:00:34 ID:G/NADIba0]
 言い終わると同時にあの人は果て、あの人のエミュレータは
停止した。抜け殻の虫けらは黙って横たわっていた。時限式の
わたしへの専従プログラムを起動させてある。
直属の『主』としてのわたしの命令を待っているのだ。

 …今の最後の言葉は何だったのか。あんなプログラムを
組んだ覚えはなかった。記憶の前後関係からして、
あの場面が再生されるはずがない。いや、あの時期の
感情記憶は、レコーダにも本人の脳にも残っていないはずなのだ。
――いくら考えても納得の行く説明はつかなかった。
 考えてみれば、あの人はもともとわたしを保護区に
送り、一生関係を断つつもりだったのだった。そう、
わたしが誘惑しなければ。そのずっと前、前妻への
滑稽なまでの操をからかい、誘惑したのもわたしからだった。
すべてわたしのせいなのだ。急にそれを思い出した。
 わたしは何か取り返しのつかないことをしたような
気がしたが、今のわたしにはそれが何だったのかをはっきり
読み解くだけの感情リテラシーは失われていた。エミュレータが
大粒の涙をポロポロこぼし始めたので、ここはつらい場面
らしい、ということが察知できるだけだった。

544 名前:追憶の改造手術室・37 mailto:sage [2007/10/18(木) 08:03:13 ID:G/NADIba0]
 エミュレータの涙は一向に止まらなかった。わずらわしい。
そう思いわたしはエミュレータを切った。驚いたことに
涙は止まらなかった。わたしも泣いていたのだ。
ただそれは、普通の人間の悲しみではなく、もっとずっと
間接的で淡い感情らしかった。つまり、あの人への愛、
あの人への哀惜、そんな、この場面にふさわしい感情が
わたしから永久に失われたことへの欠乏感のような
感情だったようだ――一度退化した感情は宇宙人の技術でも、
再生はほぼ不可能なのだ。外的なエミュレーションまでは
比較的簡単でも、本人に感じられる感情を取り戻すことは、
脳を赤ちゃんから育て直しでもしない限りは無理なのである。
 ――こんな淡い感情が、今のわたしにはふさわしい――
そう思った。そしてこれは多分、わたしが擬態なしで
流す最後の涙だろうと思えた。
 わたしはこれから暗号名地球救済作戦の責任者として
奴隷生物の指揮をとらねばならない。そしてそのための
最初の任務を遂行せねばならないのだから。

545 名前:追憶の改造手術室・38 mailto:sage [2007/10/18(木) 08:05:23 ID:G/NADIba0]
 不良品、出来損ない。その種の洗脳未遂者が一定数いる
という可能性は濃厚だった。これからは、洗脳実行時に
感情レコーダによる「残り火」消去にあたる作業を
義務化する必要があるだろう。エミュレータによる解析
を使えば一カ月は一時間に短縮される。
 それから、疑わしい改造人間の目星をつける必要がある。
例えばあの風俗嬢。今思えばあのやりとりは真剣にわたしの
命を救うためのものだったように思える。改造人間には
ありえない心理だ。マークする必要がある。
 それから…そうだ…
「『課長』、あなたわたしの馴致洗脳時に『感情を隠す
鉄の掟』とか言っていたわね。あれはだれのアイデア?
あなたの創作?」
「ワタシニ接触シタ『不良品』ガ自爆直前ニ口走ッタ
文字列デス。感情れこーだノ選択デ採用サレマシタ」
やはりそうか。なにか地下組織のようなものがあるに
違いない。用心して、網を張っていこう…。

 「不良品」の摘発は単なる基地の防衛以上の意味がある。
まずそれは、洗脳システムの不備についての生きた情報
である。情報を得て洗脳システムはさらに完璧になる。

546 名前:追憶の改造手術室・39(了) mailto:sage [2007/10/18(木) 08:07:06 ID:G/NADIba0]
 第二に、ほとんどの不良品は直ちに検出され、あるいは
快楽の海に飲まれてすぐに再洗脳される、ということを
考えると、潜伏している「不良品」たちは、宇宙人の監視を
くぐり抜け、洗脳未遂の事実を隠し通せるような知力、判断力、
胆力、行動力等を備えている公算が大きいことになる。
彼らを「味方」につければ頼もしい戦力になるに違いない。
わたしは「不良品」の中から有能な補佐役を引き抜き、
「幹部」組織の中枢を固めるつもりでいた。
 そのためにも、反乱はもちろん、自爆などという
もったいないことを彼らにさせてはいけないのだ。
巧妙に一人残らず生け捕りにして、感情レコードを
保存した上で、徹底的に再洗脳せねばならない。

「さあ『課長』、いくわよ!」
--------------------------------------
 ――暗号名地球救済作戦の中心的指導者として、「課長」
「風俗嬢」「ヲタク」などのコードネームをもつ冷酷な幹部を
従え、地球人類を恐怖のどん底に突き落とし、やがて
本星への反乱と本星住民の総奴隷化により強大な権力を握り、
さらには宇宙全域を恐怖と混沌に陥れた、コードネーム「OL」、
通称「破滅の女王」――その初めての任務の開始だった。
<了>

547 名前:maledict mailto:sage [2007/10/18(木) 08:16:50 ID:G/NADIba0]
以上、お粗末さまでした。長くて本当にすみません。

設定が定まっていることもあって状況説明とか小道具のたぐいを充実、
という課題はあまり果たせませんでした。またいつかの宿題にします。

最後の最後のところはちょっと暴走というか悪ふざけです
いつかこの愉快な幹部連が活躍するもっとずっと軽い美少女改造ものを
書ければと思っています
ヒロインをSSBのエイミーさんみたいなかっこいい幹部にしたかったのですが
うまくいったかどうか…

ネーミングのセンスが某・運の悪い少年以上に無いこともあって、
登場人物や宇宙人の名前を付けずじまいだったのですが、
悪のりして最後の最後で「そりゃねーだろ」という名前をつけちまいました。
もっとましなのを思いついたらそれに変えます

それではまた、いつか…

548 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/18(木) 08:44:25 ID:h1w6vo7p0]
>>547
乙カレー。GJ過ぎる。
ただ主人公のモノローグだけで話を進めるには苦しい展開があったかな?
冷静に状況描写をしなければならないため、逆に主人公の感情の起伏が文章から
伝わりにくくなっているきらいがある。
次回は3人称による客観的な描写と1人称描写を交えながら書いてみるといいと思うぞ。
特に「カッコいい」と思わせるのは、主人公の客観的な一挙一動による部分が多いので
モノローグだけでそう思わせるのは難しい。
あと長編SSになればなるほど、文章にメリハリが必要だと思うから
セリフを本文から独立させて、その部分だけ改行して、読みやすくする工夫もあればいいと思う。
次回にも期待だ。

549 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/18(木) 10:32:08 ID:hDIQY25F0]
>>547
長編GJ
楽しませていただきました。
S.S.Bのエイミーさんをご存知とは、もしかしてきっしんの常連さん?
今度はああいったテイストの改造モノもお願いします。
思考の変化はとてもツボでした。
あらためてGJ

550 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/18(木) 16:19:10 ID:e9xQ9tQ70]
>>547
GJ

>>548
別に煽ってるわけじゃないから気悪くしたらごめんな。
人称混ぜるとか台詞独立させるのがメリハリになるとか
俺の常識からしたら信じられないんだが
これがケータイ小説やラノベを読む世代の感覚なのかねぇ…



551 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/18(木) 19:59:18 ID:h1w6vo7p0]
>>550
いやあ、表現が極端過ぎたかな?
maledict氏の文章はモノローグで構成されてるといっても、その中に
「地の文(主人公の意識を追っている文章)」
「主人公の発話されていないセリフ」←「ーー」で区切られてるものとそうでないものがある
「客観的な状況描写(主人公の立場ならば認識するのが困難だろう状況の描写)」
など異質な要素が混在していて、しかもそれらが改行によって区切られることなく
つむぎ出されている印象だったから、それらを分けた方が読みやすくなるかも?
と思ったのさ。別に文章作法の議論をしたいわけじゃないので、捨て置いてくれや。

552 名前:maledict mailto:sage [2007/10/18(木) 20:28:22 ID:huFaMQj70]
>>548様、>>549様、励みになります
>>548様。なるほどと思います。どうもモノローグ以外では書きにくいのですが
修行してみます。
>>549様。書き込んだことはありませんがずっとロムっています。
昔のこのスレのリンクで「サソリ女」の改造シーンを見たのが
衝撃の出会いで、それ以来ずっと見ています。
実は上の話の最後の課長への悪ふざけは、名作
「エイミーさんのクリスマス」からヒントをもらったネタです。
ヒントやインスピレーションの元を挙げるときりがないのですが
(他にも舞方氏やBEEF氏など…)

>>503=>>505
いなくなるつもりだったのですが、>>507で自分で考えたネタに自分で興奮して
ちょっと形にしてみました。どうでしょう?さっと書いたせいもあり、
またモノローグ形式になってしまいましたが。

追記>>550-551
>>551様、あ、そうなんです。「モノローグ」と言っても「語り手」と「作中人物の独白」という
二層があって、しかもたしかに「――」の使い分けがあいまいです。
意識的に「――」を「省略した」場合もありますが、たしかにわかりにくいかも。

553 名前:血吸蝙蝠女・1/8 mailto:sage [2007/10/18(木) 20:31:23 ID:huFaMQj70]
 わたしは高校の帰り道、友達のヒトミと共に気味の悪い黒ずくめの男たちに誘拐されてしまった。
目隠しされたままの長い移動の果て、わたしはヒトミと引き離され、研究所のような建物の中、
黒ずくめの男たちに全身の衣服を切り刻まれた。さらに脇の下や大事な部分の毛、さらには
髪の毛や眉毛まで剃られ、そしてそのまま無理矢理この手術室のような部屋に連れてこられた。
 男たちはわたしを丸いベッドの上に大の字に寝かせた。ベッドは柔らかく、灰色で粘着性の
素材で覆われていた。、沈み込んだわたしの身体はベッドに接着され、わたしがどんなに
もがいても動くことができなくなった。そして天井から不気味な声が響いてきた。
「きみはこれから融合生物チスイコウモリ女として改造される。そして我々の
世界征服のための忠実な僕として働いてもらうことになる。君の身体を固定している灰色の
シートは、チスイコウモリの皮膜を培養し、強化細胞と改造用ナノマシンを配合したものだ。
活性化が始まるとそのシートはまず君の皮膚と融合し、それから体内組織と神経系の
改造を開始する。一時間後には君はもう人間ではなく、すばらしい能力を備えた融合生物に
生まれ変わっていることだろう」
「いや!そんなのいやです!やめて!やめて!」
 泣きわめき続けるわたしの言葉には耳も貸さず、黒い男たちはわたしの身体が入るくらいの
楕円形の枠を運んできた。枠には気味の悪い灰色のシートが張ってあり、上部には丸い
小さな穴が三つ空いていた。男たちは枠ごとそのシートをわたしの身体の上にかぶせた。
シートは鼻と口の穴以外のわたしの全身をすべて覆った。次に天井からライトのようなものが
降りてきた。

554 名前:血吸蝙蝠女・2/8 mailto:sage [2007/10/18(木) 20:32:24 ID:huFaMQj70]
「活性化光線、照射!」
 天井の声を合図に、天井からのライトと手術台から不気味なピンク色の光線が照射された。
全身のシートは柔らかくなり、そして生き物のように動いてわたしの全身に密着した。
上下のシートも相互に密着し、わたしの全身はちょうど真空パックのお肉のような状態で
二枚のシートの間にすき間なく挟まれた。シートは微妙な圧迫と独自の刺激をわたしの皮膚に
加え、わたしの中にとても変な感覚を産み出した。その感覚と共に、女の子の大事な部分から
変な粘液が大量に出てきた。このとても変な拷問が約一時間ずっと続き、わたしの頭は
ぼおっとしてきた。
「融合完了!」
 黒づくめの男の声と共にライトが消えた。恐ろしい瞬間だった。
「見るがいい!これが生まれ変わったお前の姿だ」
 天井の声と共に、ライトが移動し、その背後の大きな鏡が現れた。
「いやああああああああああああああああああああああああ!」
わたしは絶叫した。
 全身の皮膚はあの気味の悪い灰色の皮膚で置き換えられていた。乳首やおへそが少し
ひしゃげており、見た目は半透明のビニールを被せられているように見える。しかしそれが
今のわたしの皮膚そのものであることは、肌に触れる空気の感触ではっきり分かった。

555 名前:血吸蝙蝠女・3/8 mailto:sage [2007/10/18(木) 20:34:05 ID:huFaMQj70]
 手の先とつま先を繋ぐライン、それに、両足の間、さらに手と足の指と
指の間すべてに、あの気味の悪い灰色の皮膜が広がっていた。指の間、脇の下、
左右の太ももの間に薄い皮膚が広がっている形だ。コウモリの羽根そっくりだった。
 黒目は真っ赤に変わり、耳は鋭くとがり、口からは鋭い牙が生えていた。髪と眉は
ねずみ色のとても細い毛に置き換わっていた。きっとチスイコウモリの体毛なのだ。
「この後しばらくの時間をかけ、神経組織の再編成が進行する。お前の中に徐々に
チスイコウモリの本能と我々への忠誠心が芽生えてくるだろう。抵抗しても無駄だ。
だが、我々としてはむしろ君がその本能に全力で抵抗してくれることを期待している。
抵抗心が強ければ強いほど、完成態は強靱な意志を持つ勇敢な融合生物へと
成熟するからだ」
「…おねがい。元の身体に戻して…」
「それは技術的にも不可能だ。だが、元の身体に近い状態になる方法はある。
君の精神融合が完成し、チスイコウモリの本能が完全に覚醒すると、君は自分の
肉体を自分の意志で変形できるようになる。皮膜の伸縮も自在だ。手と指を伸ばし
て本物のコウモリのように空を飛ぶこともできる。そして人間に擬態することもできる」
 男の言葉は残酷だった。わたしが人間の姿に戻るためには、わたしが人間の心を
完全に失うことが必要だということだ。いやだ、そんなのいやだ…。
「精神融合が完了するまでの時間、待機室で身体を休めるがよい。中には
『順番待ち』の友達が待っているはずだ。友達にその新しい姿を見せてあげるがいい」
 さらに残酷な言葉と共に天井の声は止んだ。わたしはまだ麻痺している身体を
黒ずくめの男たちに引きずられ、「待機室」へ運ばれていった。

556 名前:血吸蝙蝠女・4/8 mailto:sage [2007/10/18(木) 20:35:37 ID:huFaMQj70]
「いや!来ないで化け物!あっちにいって!」
 親友の残酷な出迎えにわたしは傷つき、涙を流した。
 待機室の中にはやはり全裸にされたヒトミがいた。ヒトミの場合、わたしとは
異なり、髪の毛と眉毛は無事だった。何かわたしとは違う「改造」をされる予定なのかも
しれないと思った。ヒトミの改造は明日行われる、という告知が来ていたのだった。

 ヒトミは根本的に優しい子だった。わたしの心がまだ以前のわたしであることが
分かってくるにつれ、わたしの奇怪な外見を極力気にしないように気丈にふるまって
くれた。そしてわたしにひどい対応をしてしまったことを心から詫び、泣いてくれた。
 わたしはこの子だけは改造させてはならない、と強く誓った。わたしがわたしでいるうちに、
この子をこの建物から逃がす。
 あいつの話ではわたしの心はやがて完全にチスイコウモリの本能に支配されてしまうという。
それは逃れられない運命なのかもしれない。たしかに心の奥に不気味などす黒い衝動が
うごめき始めているのをわたしは感じている。あまり時間はないような気がする。でも、
なんとかその残った時間で、この子を連れて脱走できたら、わたしはもう無理でも、
この子だけは助けることができるはずだ。
 実はわたしはこういう、通常の科学力を超えた力をもつ存在と密かに戦っている人物に
心当たりがあった。その人物に彼女を委ねられれば、何とかなりそうな気がするのだ。

557 名前:血吸蝙蝠女・5/8 mailto:sage [2007/10/18(木) 20:37:39 ID:huFaMQj70]
「未完成の融合生物と改造素体一体が脱走!至急発見し捕獲せよ!」
 待機室の壁を破り、黒ずくめの男を蹴散らし、わたしはヒトミを連れて逃げた。やつらが
わたしに与えた人間離れした力が今は役に立った。心の中の闇は少しずつ大きくなっている。
だが、まだまだ大丈夫だ。わたしたちは例の人物の電話番号を覚えている。一度聞くと
絶対に忘れない変な番号。そのチラシを学校の周りでばらまいているときはただの変態だと
思った。だが、その人物が不思議な姿に「変身」し奇怪な化け物と戦っている姿を
わたしたち二人は確かに見た。この建物を脱出し、どうにかしてあの電話番号につなげれば、
なんとかなりそう、そんな気がした。…目撃なんかしたせいで誘拐されてしまったのかも
しれない、という可能性は、いまは考えないことにした。

「ヒトミ、お願い。絶対に怪我だけはしないで。お願いよ。怪我しないでね!」
「任せて。本当にユミコはユミコのまんまだね。やさしいね!」
わたしの目のすぐ上にはヒトミのおしりがあった。すべすべして、とてもきれいなおしり。
この10メートル程度の崖を降り、下に流れる沢をたどれば、多分脱出のめどがたつ。最後の難関だ。
人間では無理だが、今のわたしの超人的な握力ならばなんとかなる。ただし、反対側の断崖が
迫っており、おぶって降りることはできない。わたしはヒトミを両肩にの上に立たせ、少しずつ降りる、
という作戦を思いついた。それほどの危険はない。しかし両側の崖から飛び出る鋭い岩が、
ヒトミの柔らかな肌を傷つける危険は少なからずあった。そして、今のわたしたちにとって、
それはとても深刻な危険なのだ…

558 名前:血吸蝙蝠女・6/8 mailto:sage [2007/10/18(木) 20:39:11 ID:huFaMQj70]
 それがいかに危険なことなのか、ヒトミに正直に話すべきだろうか。…話すべきなのだろう。
わたしの心が少しずつ恐ろしい衝動に蝕まれている、という事実をきちんと告げるべきなのだ。
だがわたしは怖かった。ヒトミがまたあの恐怖の視線をわたしに向けるのが耐えられなかった。
自分勝手だとは思う。だが、わたしが何とかすればいいんだ。――そう。終わりよければすべてよしよ…
 実際、もうほとんど地上に降りてきていた。あとは沢を下り、警察か人家を探す。やつらの
息のかかったやつらならわたしがやっつける。そしてあのヒーローに電話をかける。それで多分大丈夫。
ヒーローというのはそういうものなのだ。
 そうしてわたしはヒトミに永遠の別れを告げ、ヒトミの見えないところで自分の命を絶つ。予定通りだ。

 しかし、ヒトミはやはりことの重大さを認識していなかった。あたりまえだ。私が何も言わなかったのだ。
そしてヒトミはわたしに全幅の信頼を置いているのだ。
 ヒトミは最後の最後で強引な飛び降り方をし、ひざ小僧をすりむいたのである。 ほんの少しの
赤い血がにじんできた。赤い赤い赤い赤い血。わたしは急速に自分の意識が麻痺するのを感じた…

559 名前:血吸蝙蝠女・7/8 mailto:sage [2007/10/18(木) 20:40:45 ID:huFaMQj70]
  わたしはユミコにひどいことをしてしまった。
 ユミコはわたしと共に謎の男に誘拐され、恐ろしい「手術」を受けて人間ではない生き物に改造されて
しまった。先にわたしが手術されなかったのは単なる偶然だ。わたしが先にああなっていたかもしれない。
 なのにわたしはユミコを見て「化け物」と叫んでしまった。こっちに来るなと追い払ってしまった。
ユミコは泣いた。ユミコはこんな姿になってもまだ人間の心をそっくり残していたのだ。そんなことを
してしまったのに、ユミコはわたしをここから逃がそうとしてくれている。その人間離れした力を駆使して。
「あなただけは改造させない」
ユミコは何度もそう言って、やつらの手下をはねのけ、 壁を壊し、建物を脱出し、裏山にまで
たどり着いた。高い崖をわたしをかついでやすやすと降りてくれた。ドジなわたしは降りるときに
へまをして足をすりむいてしまった。ユミコは、大した傷ではないのに、
「このへんはやつらの影響圏。変な菌でもいるといけないわ」
そう言って丹念に血を吸い出してくれた。本当に優しい子。そして勇敢な子。 
 ほとんど絶望だと思えたのはそのすぐ後だ。もうあとは山を下るだけ、と思ったそのとき、
そばに近づくまで全然見えないような、不思議な仕掛けのしてある、とても高い壁に突き当たったのだ。
高さは50メートル以上。左右に果てしなく伸びている。つるつるした金属製で、ユミコの力でも
登ることなんて不可能だ。遠くからは追っ手の声が聞こえている。見つかるのも時間の問題。
そのとき、わたしの頼もしいナイト、ユミコが意を決してこう言ったのだ。
「この姿だけは見せたくなかった。でも、やむをえないわ。あなたを改造させるわけにはいかない。
ヒトミ、捕まって!」
 そう言うとユミコは両手を大きく広げた。ユミコの腕はみるみるうちに太く、長くなり、その指は
細く、しなやかに伸びていった。やがてユミコの両腕は巨大なコウモリの羽根に変わっていた。

560 名前:血吸蝙蝠女・8/8 mailto:sage [2007/10/18(木) 20:43:45 ID:huFaMQj70]
「ユミコ、すごい!きれいよ!」
 正直な気持ちだった。ユミコはにっこり笑ってくれた。そしてわたしはユミコに捕まり、
二人は大空へ飛び立った。

 ユミコが向かったのは人家のある方ではなく、人気のない山奥だった。
「ユミコ、どこへ行くの?」
「いいから。わたしを信じて。わたしに任せて。あなただけは改造させない」
何か考えがあるんだ。わたしはユミコに全てを委ねた。

「さあ、着いたわ」
二人が着いたのは本当に人気のない林の中。
「ここまで追ってくるのはさすがに時間がかかる。今のうちよ」
「…今のうちって…どういうこと」?
 わたしはほんの少し不安になった。
「あなたを改造されては困るの。あなたにはわたしの最初の僕になってもらわないといけないわ」
「何?何を言っているの?ユミコ?」
「ユミコ?わたしはそんな名前ではない。わたしの名は、融合生物チスイコウモリ女。
人間に強化細胞とナノマシンを注入し、わたしに似た存在に作り替える力があるわ。
しかもその精神をわたしの僕として簡単にコントロールできるの。これからもわたしを信じ、
私の言うことを聞いていればよくなるのよ。あっはっはっはっは」
 ユミコだったモノはそう言うとわたしに抱きつき、わたしの首筋に牙を突き立てた。
<了>



561 名前:maledict mailto:sage [2007/10/18(木) 20:53:44 ID:huFaMQj70]
お目汚し失礼しました。>>503様、どうでしょうか?
なんか自分の趣味に走ってしまった気もします。
「好きなパターン」というのが自分で分かってくるのも恥ずかしいものですね

最初片仮名で「チスイコウモリ女」と書こうとしたのですが、
以前同じタイトルがあったような気がして漢字にしました。気のせいかもしれません。
それと、「吸血鬼改造」ネタはKiss in the dark別館の「ハマダラカ女」が
ずばりそのものだった気がします。未読でしたらぜひどうぞ

そういえば>>550様もありがとうございます

地の文と独白の移行は読み直すと今回も一箇所あったことにあとで気づきました。
自分で色々試してみます。

それでは。

562 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/18(木) 21:56:35 ID:hDIQY25F0]
>>561
GJです。
こちらの作品も楽しませていただきました。
ただ、個人的にはユミコの意識が変わって行く所を読みたかったです。

これだけのものを書けるのであれば、
海マツリのチャットにでも顔を出してみたらいいんじゃない?
g-than氏や舞方氏と話ができるかも。

563 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/18(木) 22:56:03 ID:aOfQhl1D0]
>>561
GJ! やっぱあんた才能あるわ
何よりBeeF氏並みの速筆に驚いた。昨日の今日でもう書いちゃってんだもんな

564 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/19(金) 07:14:55 ID:wpeG+VuH0]
>>561さんありがとうございます!!まさかこんなに早く書いてくれるなんて
思ってませんでした!

蝙蝠女も良かったです!またなにか別な改造SSが見たくなったらお願いします!

565 名前:maledict mailto:sage [2007/10/19(金) 21:01:10 ID:8PQX1AYO0]
>>562
ありがとうございます。

オチの「かわいそうさ」を況を優先させてしまったんですが、
言われてみれば、ユミコの意識、血をなめたときにはまだ
完全には乗っ取られてなかったはずですよね、設定ミスでなければ(爆。
自分でも気になるところなのでちょっと続きを書くかもしれません。

チャットは家人もいるしなかなか難しいのですが、ちょっと惹かれます

>>563
恐縮です。BEEFさんは精力的でしたよねえ。
ただ、あの憑かれたような熱意が今はちょっとわからないでもないです。

>>564
気に入って頂けたようで本望です。

それでは…

566 名前:maledict mailto:sage [2007/10/19(金) 22:03:55 ID:8PQX1AYO0]
そうだ。>>564様、せっかくのチスイコウモリ女さんとその僕さんなんですが、
お二人がちょっとひどい目に遭う続編が来てもいいでしょうか?

続編というより、「話はつながっているが作品の色が全然違う話」というか、
作者がやる二次創作みたいなものというか、パラレルワールド
みたいなものだと思って頂ければいいのですが…

567 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/19(金) 22:05:16 ID:wpeG+VuH0]
maledictさん

おkです!待ちどうしい!!!

568 名前:maledict mailto:sage [2007/10/20(土) 09:11:46 ID:L0L5ntWo0]
>>567様は>>503様ですよね?(名前欄で名乗ってもらえるとわかりやすいです)
で、すみません。ちょっと後味悪いです。では。

569 名前:血吸蝙蝠女Rx・1/5 mailto:sage [2007/10/20(土) 09:13:02 ID:L0L5ntWo0]
 わたしの意識は急激に麻痺していった。血血血血、
血への渇望が心を支配し、他の思考を追い出して行く。
そしてわたしの中にいるどす黒いもののが急速に
成長を始めた。破滅へのカウントダウンが始まった。
二つのわたしが混然とわたしの体を支配する。
 
 わたしはヒトミの血をこれ以上見たくないという思いで、
 わたしはヒトミの血を一口でも味わいたいという思いで、

ヒトミの血を口に含んだ。そして、

 決して飲んではいけない、飲んだら終わりだ、
 飲みたい飲みたい飲みたい飲みたい飲みたい、

という必死の思いで血を吐き出した。…いつまでもつだろう。
この甘い誘惑にいつまで耐えられるだろう。わたしはあと何分
わたしでいられるのだろう…。
 あの声は「意志の力」と言っていた。抵抗は無駄。いつかは
必ず衝動に支配される。しかし同時に声は、意志の力で抵抗して
みせろとも言った。その方がやつらにとっての優秀な怪人が
作り出せるという残酷な理由で。――だがそれは、意志の力で
精神融合を覆すことは絶対にできなくとも、それを遅らせることは
できる、ということだ。そういう風にできている、ということだ。

570 名前:血吸蝙蝠女Rx・2/5 mailto:sage [2007/10/20(土) 09:14:17 ID:L0L5ntWo0]
 わたしはこの、なんべんも確認した結論をもう一度思い浮かべ、
自分を励ました。あと何分持ちこたえられる?…いや違う!
あと何分持ちこたえればいい?
 そうだ。もう崖は降りたのだ。計画を早めて、今わたしが
姿を消す方が、結局はヒトミの安全のためだ。わたしが
完全に恐ろしいチスイコウモリ女となり、ヒトミがその
最初の犠牲者となってしまう前に、わたしは自分の命を絶つ。
ヒトミが一人で里に逃げ、あのヒーローを呼ぶ。危険はとても多い。
でも、恐ろしい怪人と行動を共にするよりもはるかに安全だ…

 わたしは、ヒトミに全てを話し、別れを告げる決意を固めた。
 しかしその決意は次の瞬間無に帰した。わたしたちの前に
絶望が立ち塞がったからだ。
 光学迷彩。多分わたしに装備されている装置の大規模なもの。
その光学迷彩を施した巨大な壁がわたしたちの道を塞いでいた。
 わたしの思いつきは不可能になった。里に降りることは
できない。そしてもう追っ手はそこまで来ている。最後の手段。
それを試してみなければならない。うまくいくだろうか?それが
はたしてヒトミにとって幸福な選択だろうか。わからない。
だがいまはそれしかない。
 わたしは決意を固め、増大する黒い衝動に自らを委ねた…



571 名前:血吸蝙蝠女Rx・3/5 mailto:sage [2007/10/20(土) 09:15:27 ID:L0L5ntWo0]
 ユミコはいつのまにか本物の怪物になってしまっていた。
 いつからなのだろう。最初からわたしをだましていた?
そうじゃない。少しずつ怪物の心に脅かされながらも、
わたしを怯えさせないようにそれを隠して戦ってくれたのだ。
 たぶんわたしのせいだ。ユミコはわたしが血を流すのを
異常に恐れていた。きっと、血を見ることでチスイコウモリの
本能が目覚めることを恐れていたのだ。なのにわたしは…

 ユミコの牙が首筋に触れる。…いいかもしれない。こういうのも
いいのかもしれない。
 あの部屋からの脱出の間、ユミコはずっとわたしの頼もしい
守護者だった。ユミコはわたしの拠り所であり、あこがれであり、
ほのかな恋愛感情の対象にすらなっていた。ユミコの恐ろしい姿は
いつしかとても頼もしい、美しい姿に見えてきていた。
 …だから、こういうのもいいのかもしれない。あこがれの人と
似た姿に生まれ変わる。そしてその忠実な人形として生きていく。
それは世間一般の幸せではないけれど、今のわたしには
とても幸せな生き方かもしれない。
 ユミコの牙が突き刺さった。わたしの体は熱く火照り、感じた
こともない強烈な快感が全身を貫いた。そして心にぼんやりとした
心地のよいもやがかかり始めた。ああ、マスター、いえ、ユミコ、
わたしに命令をちょうだい。人形のわたしを動かしてください。
偉大なマスター。偉大なユミコ。

572 名前:血吸蝙蝠女Rx・4/5 mailto:sage [2007/10/20(土) 09:16:55 ID:L0L5ntWo0]
 ユミコ、いえ、チスイコウモリ女様は早速口を開いた。
「聞いてヒトミ。最初で最後の命令を伝えるわ。その能力で
わたしを殺しなさい。そして、正義の心を失わず、
自分の意志と判断を使い、幸せに生きなさい。命令よ」
「マスター…ユミコ…何を?従えない…従えません!」
「最後の賭けだったの。あの壁を越えるには、翼を使うには、
一度本能に主導権を譲らないといけなかった。そして、
本能に屈服したふりをして身を潜めた。チャンスは一度。
血を吸う瞬間、吸う側も吸われる側も変な快感に包まれる。
その瞬間を待ったの。さあ早く!時間がないの。本能に支配されて、
今の命令を撤回されたら終わりよ。命令!命令よ!!」
 ユミコも涙を流していた。わたしも涙を流した。だが
マスターの命令は絶対だった。なかば自動的にわたしの
爪は鋭くとがり、ユミコの右の乳房の下に押し当てられた。
そしてもう人間のものではなくなりかけている強力な
腕で、その爪を斜め上に突き上げた。そこはナノマシンが
教えてくれたわたし達の急所。ユミコはごぼごぼという音を
たててあっというまに泡になった。お別れを言うひまもなかった。
「第一の命令完了。続いて第二の命令に移行。正義の心を
失わず、自分の意志と判断で、幸せに…幸せに生きます」
言いながら嗚咽がとまらなかった。言い終えるとわたしは
大声で泣いた。いつまでも泣き続けた。

573 名前:血吸蝙蝠女Rx・5/5 mailto:sage [2007/10/20(土) 09:19:14 ID:L0L5ntWo0]
 ユミコの遺したナノマシンがわたしの体を変えていた。
皮膚の色は薄黒いネズミ色に変わっていった。ユミコの
ようなきれいな半透明じゃない、のっぺりした色。
腕と足に伸びた皮膜もユミコのよりちょっと頼りない。
目と耳と歯が変化するのも感じられた。そして、凶暴な
闘争本能と、どす黒い吸血衝動が育っていくのを感じた。
わたしはもう二度と人間には戻れないことをはっきり感じた。
 だけど、ユミコはわたしに「正義の心」も遺して
くれた。わたしの意志と判断力も返してくれた。これさえ
あれば、闇の力に負けることはない。そう思えた。
 ユミコ、あなたはわたしに擬態して人間社会でひっそり
生きることを願ったんだと思う。でもごめん。わたし戦うわ。
あんなやつらがいる限りこの世界に本当の「幸せ」なんて
来はしない。あなたの人工筋肉には及ばないけど、強い
力を手にいれた。そしてこの邪悪な吸血鬼の力もある。
戦い方はいくらでもあるわ。例えばあの黒ずくめの男たちを
襲って片っ端からわたしの僕にする。組織は大混乱。
その隙に建物を破壊する。きっとできる。やってみせる。
「キキィィィィィィッ!」
わたしはコウモリのおたけびを上げた。宣戦布告だった。

「でたな怪人!変身!とうっ」
いつの間にかにわたしの後ろにはあのヒーローが立っていた。
ヒーローは問答無用で強力なキックを放った。まっすぐ
右胸に近づいてくるつま先を見ながらわたしは思った。
――もうじき会えるね、ユミコ…。
<了>

574 名前:maledict mailto:sage [2007/10/20(土) 09:23:58 ID:L0L5ntWo0]
以上。お粗末様でした。

「改造させない」という気持ちが徐々に黒く歪んでいくパターンと
どちらがいいかと思ったのですが、色々考えてこっちにしました。
別パターンも何らかの形で書いてみたい気はしています。

タイトルは「話はつながっているが作品の色が全然違う」という
ことでこうしました。別に批判の意味はないのでファンの方怒らないでください。
ぼくはどちらも大好きです。

実はさらに、「話はつながっているが作品の色が全然違う話」も思いついたので
勢いで書いてしまいました。あの洗脳システムだとこんなことも
起きてしまうのではないかな、というのが着想の元です。

575 名前:血吸蝙蝠女《蛇の足編》・1/4 mailto:sage [2007/10/20(土) 09:25:26 ID:L0L5ntWo0]
 チスイコウモリ女第二号アイコは強欲で高慢な、悪の使者に
ふさわしい女性だった。彼女はかつての親友だった僕、すなわち
吸血人形のイクエとともに人間社会に潜伏し、世界征服のための
工作に日夜暗躍していた。今日も二人は会社のトイレでタバコを
ふかしながら恐ろしい悪の計画を練っているところだった。
「ねー、あたし『電車男』に出て来たエルメスのティーカップが
欲しいの。手に入れてくれない?」

 吸血人形イクエは悩んでいた。彼女はアイコの忠実な僕だったが
経済的には追い詰められていた。――そうね、一番元手のかからない
方法というと…――。彼女は同僚のウメコを非常階段の下に呼び出し、
その正体をむきだしにして言った、
「わたしはチスイコウモリ女第二号アイコ様の忠実な僕。おまえは
わたしの忠実な僕に生まれ変わり世界征服のために働いてもらう」
「ひっ…!」
悲鳴を上げる間もなくウメコの血液ににナノマシンと強化細胞が、
そしてその脳には強烈なエクスタシーが注入された。苦痛と恍惚の
入り混じった表情のまま、薄目の奥の目は赤く変じ、耳はとがり、
口からは鋭い牙が生え、その皮膚の色は生気のない灰色となり、
ウメコは恐ろしい吸血人形に変貌してしまった。
「吸血人形ウメコよ。最初の命令を伝える。エルメスのカップを
入手し、偉大なる第一マスター、アイコ様のもとへ届けるのだ」

576 名前:血吸蝙蝠女《蛇の足編》・2/4 mailto:sage [2007/10/20(土) 09:27:50 ID:L0L5ntWo0]
 吸血人形ウメコは親がかりの裕福な暮らしをしていたが、
たいそうものぐさな女だった。彼女は帰宅後まっすぐ家に帰ると、
妹エリコのいる風呂場に向かった。エリコはちょうど風呂上がりで
これから体を拭くところだった。ウメコは正体をむき出しにした、
「どうしたのおねえちゃ…ひっ」
「わたしはチスイコウモリ女第二号アイコ様の忠実な僕である
イクエ様の忠実な僕。おまえはわたしの忠実な僕に生まれ変わり
世界征服のために働いてもらう」
 悲鳴を上げる間もなくエリコにナノマシンと強化細胞と強烈な
エクスタシーが注入された。
「あ、あ、あふ…」
 苦痛と恍惚の入り混じった表情のまま、薄目の奥の目は赤く変じ、
耳はとがり、口からは鋭い牙が生え、イクエに抱きかかえられた
その身体は見る間に生気のない灰色に変色した。太ももには、
流れ出た一筋の愛液と共に、コウモリのような皮膜が成長し始めた。
皮膜は脇の下と手足の指の間にも伸び、エリコは身も心も
コウモリと人間を合成したような怪物に変わってしまった。
「吸血人形エリコよ。最初の命令を伝える。エルメスの食器を
入手し、偉大なる第一マスター、アイコ様のもとへ届けるのだ」

577 名前:血吸蝙蝠女《蛇の足編》・3/4 mailto:sage [2007/10/20(土) 09:31:28 ID:L0L5ntWo0]
 吸血人形エリコは僕となる前から姉思いの優しい子で、ぜひとも
マスターの望みを叶えたいと思ったのだが、残念なことに「エルメスの
食器」のことをよく知らなかった。――仕方ない。たしかオトエの家は
瀬戸物やさんだったはずだ。明日高校で…。そう思ってとりあえず
エリコは寝ることにした。
 翌朝、エリコはオトエを屋上に呼び出すと正体をむき出しにして言った、
「わたしはチスイコウモリ女第二号アイコ様の忠実な僕である
イクエ様の忠実な僕であるウメコ様の忠実な僕。おまえはわたしの
忠実な僕に生まれ変わり世界征服のために働いてもらう」
 いいかげん悲鳴を上げる暇くらいありそうなのだが、ともかく
悲鳴を上げる前にエリコはオトエの喉笛に鋭い牙を突き立てた。
エリコとオトエは強烈なエクスタシーに包まれ、オトエの体内の
ナノマシンはオトエを見る間にエリコと同じ姿に変えていった。
さらに青い性に火のついた二体の吸血人形はそのままいけない遊びに…
(以下自主規制。…というのはウソで作者の能力不足です)
「…あふ。えー、吸血人形エリコよ。最初の命令を伝える。エルメスの、
えーと…お皿を入手し、偉大なる第一マスター、アイコ様のもとへ
届けるのだ。…ごめんね、わたしこういうのに疎くって」
 人を怪物に変えておいて[「ごめんね」もないものだと思うが、今のエリコは
そんな人間の倫理が通用しない、恐ろしい吸血人形なのだった。

578 名前:血吸蝙蝠女《蛇の足編》・4/4 mailto:sage [2007/10/20(土) 10:06:17 ID:L0L5ntWo0]
 吸血人形オトエは悩んでいた。マスターであり親友であるエリコの
命令、今すぐにでもかなえに行きたかったのだが、極度に生真面目で、
無断欠席や早退などがどうしてもできない性格だったのだ。――そうだ、
たしかカナコが午後は授業ばっくれて買い物に行くとか言っていたわ。
 オトエはカナコを校舎の陰に呼び出し、正体をむき出しにした…

 ――アイコの元に、ブラジル在住の主婦にして69代目の吸血人形ポリーンが、
1/250スケールのザクレロのプラモを献上しにきたのはその翌々日だったという。
 …世界征服の日は近いのか、遠いのか…
<了>

579 名前:maledict mailto:sage [2007/10/20(土) 10:07:51 ID:L0L5ntWo0]
…失礼しました(汗

そういえば初めての三人称作品でした。
三人称はどうも苦手だと思っていたのですが、
この話だとごく自然に書けました。不思議ですね。

それでは。

580 名前:maledict mailto:sage [2007/10/20(土) 10:10:43 ID:L0L5ntWo0]
しまった。>>577の16行目の「エリコ」は「オトエ」の間違いでした。
似たようなミスがもし他にあったら脳内変換してください。すみません。



581 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/20(土) 10:25:03 ID:58uP5Lb40]
>>580
GJ。maledict氏はすっかりこのスレの顔になってしまったな
でも個々のSSについて感想が欲しいと思われるのなら、連続投稿は控えた方がいいと思うぞ

582 名前:maledict mailto:sage [2007/10/20(土) 10:52:50 ID:L0L5ntWo0]
>>581
たしかに。ちょっと速すぎでした。すみません。
妄想力もちょっと衰えてきたのでほんとにお休みせねばという気がします。

583 名前:maledict mailto:sage [2007/10/20(土) 11:45:03 ID:L0L5ntWo0]
>>581
言い忘れましたがレス下さってありがとうございます。
リンクに「様」を付けるのも忘れてました。失礼しました。

584 名前:>>503=>>567 mailto:sage [2007/10/20(土) 19:42:12 ID:6jzmJCgE0]
読みました!私が頼んだものをここまで広げてくれてありがたいです!!
また見たいものがあったら頼みますね!!!

585 名前:名無しより愛をこめて mailto:age [2007/10/21(日) 00:45:49 ID:2ZQdAegu0]
>>489
ゴーグルファイブと言えば終盤マズルカが手術台みたいなものに寝かされて手術を受けるシーンがあったと記憶しているんだが。
誰か知っている人いません?

586 名前:maledict mailto:sage [2007/10/21(日) 09:20:12 ID:nGpiXqqt0]
>>584(503)様
二番目の話、なんかいやな話ですみません。書いてて鬱になりました

続きの予定はありませんが、ヒトミが死ぬシーンはないので
ひょっとしたらヒーローが間違いに気づき
以後ドジっこの助手としてレギュラー化する可能性もゼロではないかと。

多分体力はタックルくらい。で、多分必殺技は「カタルシスバイト」。
人間の悪人を改心させるすごいワザなんですが
改心した人の肌のつやが悪くなったりむやみに血が吸いたくなったり
する副作用が出るのでそうなので封印中なんです。多分

それでは少しお休みします。いつかまた…

587 名前:名無しより愛をこめて mailto:age [2007/10/23(火) 23:57:28 ID:iKT2JukY0]
さとう珠緒を改造したいな。
うるうる光線やおっぱいミサイル、プンプンビームで世の男たちを骨抜きにして欲しい。

588 名前:maledict mailto:sage [2007/10/24(水) 01:38:53 ID:a4STUdqs0]
…勢いで海マツリに投稿してしまいました。本格的に妄想絞り尽くしました。
当分書けません(すでに、けっこう既出ネタとかぶっているし)
もともと、あのページのトップの言葉を読んで自分でも書いてみたくなった
という経緯があるので、やっと送れてうれしいのですが

589 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/24(水) 01:43:42 ID:/NNUYh/E0]
テレ東でやってる実写版キューティーハニーで改造シーンとかないの?

590 名前:名無しより愛をこめて mailto:age [2007/10/24(水) 01:46:01 ID:0MfHJMWa0]
>>587
さとう珠緒といえば昔「志村けんのバカ殿様」で蝶の妖精で出たことがあった。
あれみて珠緒ちゃんを蝶の改造人間にしたいなと思ったよ。アゲハチョウかモンシロチョウの。



591 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/24(水) 02:10:08 ID:aPEgS6uI0]
>>590
見た!!よかったねアレ!!

592 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/24(水) 10:59:27 ID:a4STUdqs0]
>>589
こないだの回、悪の病院で知らぬ間に改造されてしまうというイイ話なのに患者が男ばっかり…

593 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/24(水) 11:52:27 ID:tR0HH2r50]
>>588
投稿オメ。
見てきました。
面白かったです。
他の方々に勝るとも劣らない作品だったと思います。
またこちらにもなんか書いて下さいませ。

594 名前:名無しより愛をこめて mailto:age [2007/10/24(水) 23:40:17 ID:XCpzEzDb0]
元ZONEのメンバーを改造してジャッカー電撃隊みたいな女の子だけのサイボーグ戦隊にして悪と戦わせたい。

595 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/25(木) 22:14:27 ID:j1YTfm+g0]
岩盤浴の機械って改造手術マシンみたいなのが多い
町のポスターで見かけたズバリというのが見つからないけど、例えばこれとか。
ttp://www.ganbanyoku-navi.net/salon_detail/index.php?id=930
一件くらい本物の悪の組織の出店が混じってるのではないかと妄想

596 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/27(土) 12:52:06 ID:hAT2M9YI0]
今回のUltrasevenX、エスが寄生生物の細胞(?)を飲むシーンがよかった。
「人質から解放されたふりをして仲間に襲いかかる」シーンに続けばもっとよかったのに…

597 名前:maledict mailto:sage [2007/10/28(日) 13:45:55 ID:BEYKCrFh0]
多分一種の病気なのでしょうが、ちょっと違う方向に妄想が進みました。
三部作ですが次回は間が空くと思います。
石ノ森御大の出身地で、自分も昔住んでいた仙台を舞台にしました。
タイトルは「アンチショッカー同盟仙台基地壊滅!!(前編)」です
本編の展開や地理関係(方向音痴なので)に誤認矛盾等あったらすみません。
10レスで終わりますので、またちょっとだけお目汚し失礼します。

598 名前:AS同盟仙台基地壊滅(前編) mailto:sage [2007/10/28(日) 13:47:47 ID:BEYKCrFh0]
 時は1972年の仙台市。朝の広瀬通り沿い、繁華街の少し手前の
喫茶店。広瀬葉子はそこで、マスターが丁寧に入れるコーヒーを
待っていた。今日は久々の非番の日なのだった。
 彼女の表向きの身分は国立東城北大学の事務職員。だがその
真の姿はアンチショッカー同盟日本支部東北分室の人事部長。
 かつて彼女はCIAにつながる機関に属する有能な女スパイであった。
謀略渦巻く世界に嫌気がさしていた折、アンチショッカー同盟の
さる幹部から「引き抜き」を受け、今の仕事に就いたのだった。
 秘密組織の人事管理は極めて重要な職務だ。情報漏洩は即組織の
壊滅を意味するからである。現在、仙台基地常駐職員43名と東北地区
外部構成員95名の個人データを、ほぼ彼女一人が管理している。

 ばたんと音がしてウェイトレスが入って来た。遅刻らしい。
「営業中」の札がからんからんと鳴っていた。遠くの救急車の
音が一瞬聞こえた。「交通戦争」か。ゲルショッカー以外
にも物騒なことの多い世の中だわ、と彼女は思った。
 ウェイトレスはエプロンをつける間もなく会計をしている。
これでお客は彼女一人。今日はいやにお客が少ないな、と感じた。

599 名前:AS同盟仙台基地壊滅(前編)・2/10 mailto:sage [2007/10/28(日) 13:49:09 ID:BEYKCrFh0]
 基地の安全管理の脆弱さが今の彼女の懸念だった。来週からでも
早速、情報管理体制の抜本的刷新に着手する予定でいた。幸い
現段階では、東北にこれほど大規模な基地が存在するという情報が
漏れている気配はない。今のうちに立て直せば多分大丈夫だ。
 この地の構成員の多くは家族を悪の組織に殺された一般人である。
彼らは悪を憎む心こそ人一倍強いが、戦いや組織運営については
素人が多い。込み入った人材管理などはどうしても彼女のような
プロに丸投げになってしまう。しかしそれは非常に危険なことなのだ。
万一彼女自身が敵の手に落ちれば、基地は一挙に壊滅するのだから。
 通常の拷問や自白剤の類ならば、なんとか持ちこたえる自信はある。
しかし、ゲルショッカーという組織に常識的な抵抗手段は通用しない。
なぜなら、やつらは…

 ようやくコーヒーが入った。葉子は丁寧にその匂いをかぎ、一口
なめて味を確かめ、水を飲むふりをして舌を洗う。スパイ時代からの
機械的な習慣。明らかに上質なコーヒーに申し訳がない気がして、
今度はきちんと味わうためにゆっくり飲んだ。…おいしい。
いつもよりほんの少しおいしい。葉子は何気なくマスターに尋ねた。
「ねえマスター、気のせいかな。豆変わった?香りが上品になった
気がするの…うっ…」
葉子の全身に突然しびれが拡がり、彼女はテーブルにつっぷした。
「…へえ。さすがは元腕利きスパイですねえ。無味無臭、
絶対に気づかれない麻痺剤って話だったのに…」

600 名前:AS同盟仙台基地壊滅(前編)・3/10 mailto:sage [2007/10/28(日) 13:50:54 ID:BEYKCrFh0]
 ドアの前に立っていたウェイトレスが後ろ手にカギを閉めた。
表の札は、先ほど彼女の手で「準備中」に替えられていた。
「一週間前、あるとても偉いお方が、まったくの気まぐれで
このお店に入ったの。そのお方は各国情報部の主要構成員の
顔と名を二十年分に渡り記憶している。そしてあなたに気づいた」
「興味を感じたそのお方は、あんたの引退をめぐる経緯を調査し、
背後に『同盟』の臭いを嗅ぎ付けたんだ」
葉子は身動きできないまま二人の話を聞くしかなかった。
「そしてわたしたちを戦闘員に改造して、こうして網を張ったの。
あなたのお陰で偉大な組織の一員になれた。感謝しているわ」
「そういえば薬の時間だよ」
「そうね」
 男と女は胸から何か薬を取り出して飲んだ。二人は見る間に
黄青赤の原色に彩られた禍々しいコスチュームに包まれた。
表では救急車が停止する音。ウェイトレスだった女戦闘員が
ドアを開け「救急隊員」を導き入れた。「救急隊員」は
戦闘員たちと、右手を上げ奇声を発する特有の儀式を行い、
それから葉子のぐったりした肉体を救急車に運び入れた。



601 名前:AS同盟仙台基地壊滅(前編)・4/10 mailto:sage [2007/10/28(日) 13:53:10 ID:BEYKCrFh0]
 葉子は身動きひとつできない状態で車内に寝かされた。
自らの不覚を恥じ、内心で仲間たちに詫びたが、後の祭りだった。
「救急隊員」は注射の準備をしながら葉子に話しかけた。
「深刻な病状だ。早急に『手術』の必要がある」
葉子は痺れた舌をどうにか動かして何か言おうとしている。
「病名かね?まずはその弱い肉体を徹底的に作りかえねばならない。
それから、そのやっかいな病巣を切除する必要がある。
『正義の心』という病巣をだ。今夜までには全て完了するだろう」
麻酔が打たれ、葉子の意識は失われた。「救急車」は山奥に隠された
VTOLの元へ向かい、別の戦闘員が運び込んだ発泡スチロールの箱と
共に、葉子は東京のゲルショッカー基地へと運ばれていった。

 葉子が目覚めたのは大きな手術台の上だった。真っ先に
浮かんだのは言うまでもなく「手術」のことであった。
「手術」はこれからなのか?もう終わってしまったのか?
葉子はこの上ない恐怖と不安の中、目を開け、自らの肉体が
以前のままかどうかを確認しようと、天井の手術灯に映る
自分の姿を見た。円形の手術台に、全裸に剥かれ大の字の姿勢で
寝かされている女性の肉体が目に入った。少なくとも見た限り、
改造手術によるいかなる変形も受けていない。葉子はとりあえず
安堵した。眠らされてからそれほど時間は経っていないようだ。
…だが、このままではいずれ「手術」は始まってしまう。葉子は
頭脳をフル回転させ、今ここで何ができるかを懸命に思案した。

602 名前:AS同盟仙台基地壊滅(前編)・5/10 mailto:sage [2007/10/28(日) 13:56:29 ID:BEYKCrFh0]
 ――お決まりの拘束具はなぜか取り付けられていない。しかし
手も足も鉛のようにびくともしない。多分、先ほどの麻痺剤がまだ
効いているのだ。だが、時間を稼げば麻痺剤の効果は消えていく
のではないか?チャンスはその時…――そこまで考えたときだ、
「お目覚めかね、広瀬葉子君」
天井から低音の男性の声が響いた。恐らくゲルショッカー首領
であると思われた。葉子はこの恐るべき人物との会話をできるだけ
長く引き延ばし、時間を稼ごうと決意した。
「あなたが首領かしら。ここがどこかは知らないけど、
早くわたしを元の場所に戻した方がいいわ。わたしの体には
発信器が埋め込まれているのよ。わたしが変な場所に移動すれば
ただちに仲間に所在が知れるわ」
「発信器ならば『救急車』の中で摘出し、君に化けた元ウェイトレス
の戦闘員に持たせている。正午近くまで喫茶店で過ごし、中央通りで
昼食とウィンドショッピング、その後勾当台公園で読書をし、夕食の
おかずを買い東城北大の宿舎へ帰宅…誰も怪しむ者などいないだろう」
「…ねえ。実を言うとわたし、ゲルショッカーの引き抜きを
待ってたの。あんな素人くさい組織、せっかくの能力が腐っちゃう。
情報は喜んで提供するわ。ただし、わたしの改造手術なんてしてる
暇はないのよ。今日の夜までには情報管理体制の大幅な刷新作業が
終わり、古い書類は焼却される。明日になったらもうわたしが一人で
引き出せる情報はなくなってしまう。今すぐわたしを基地に戻して。
古いデータを集めて帰ってくるわ。時間がないのよ」
 葉子は嘘八百を並べ、脱出の機会を作ろうと懸命になっていた。

603 名前:AS同盟仙台基地壊滅(前編)・6/10 mailto:sage [2007/10/28(日) 13:58:08 ID:BEYKCrFh0]
「なるほど。さすが、元KGBの二重スパイらしい発想だ。だが、
その程度の背信的な職務に良心の呵責を感じて逃げ出した君が
果たして、一切の倫理を超越したわがゲルショッカーの作戦に
協力できるかね?
 そして、それ以前に君はどうやら勘違いをしているようだ。
君が眠っている間に、君の改造手術は脳改造も含め全て完了して
いるのだよ。起動電源への充電が始まれば、今は鉛のように
動かない体内のサイボーグ部分が起動し、改造細胞は活性化し、
そして脳内に埋め込まれた電子機器が君の神経システムに
不可逆的な変性を加え、君はわがゲルショッカーの忠実な
改造人間として活動を開始する。刷新された情報の収集は
その後でゆっくりと進めてもらうことにしよう。…まあ、
情報管理体制の刷新云々自体、君のハッタリだろうがね」
 葉子の心を深い絶望と恐怖が覆った。まもなく、白い隊員服に
身を包んだ戦闘員が、ピンク色に点滅する「充電端子」を運んできた。
半透明のディルドーに豆電球を仕込んだような外見だ。そして白戦闘員は
葉子の膣の入り口に通電性ジェルをたっぷりと塗り、端子をあてがった。
「いや!やめて!変態!…いやだ!充電なんていや!脳改造はいや!!」
白戦闘員はゆっくりと端子の挿入を開始した。葉子は残された
生身の筋肉をどうにか動かそうとするが、棒のような人工骨格
はびくともせず、葉子の足や肩の筋肉が空しく盛り上がるだけだった。
「挿入完了。通電開始!」
ジジジという音と共に充電が始まり、葉子の股間はまばゆく輝き、
その全身には強烈なエクスタシーが走った。

604 名前:AS同盟仙台基地壊滅(前編)・7/10 mailto:sage [2007/10/28(日) 14:00:26 ID:BEYKCrFh0]
 葉子の肉体の変容が始まった。胸と腹部の皮膚は明るいオレンジ色に
変わり、左腕と背中の皮膚は赤黒いごつごつとした形状に変化し始めた。
赤黒い皮膚は硬質ゴムのような素材で、一面にとげが拡がっている。
ホヤ、特にマボヤと呼ばれる固着性生物の体表によく似ている。
左肩は盛り上がり、まるで大きなホヤが貼り付いたようになり、
ホヤの吸水口と出水口に似た突起も形成された。右腕と両足は
オレンジ色と黒の、昆虫の脚のような装甲に覆われた。右ひじからは
太い針が伸びた。両乳首と膣の外部もホヤの出水口状に変形した。
そして最後に乳房に黒とオレンジの同心円状の文様が形成された。
――通電後十数秒で、葉子の首から下は異形の怪物に変わっていた。

 脳内の電子機器も作動を開始していた。
 脳改造によって埋め込まれる装置は、改造人間の言語中枢、知覚中枢、
運動中枢とフィードバックを繰り返し、改造人間の精神構造に一定の
改変を行い、それを定着させる。
 第一の改変は改造人間の倫理感覚、道徳的自制心の鈍化・解体と、
破壊的で反社会的な諸々の欲望の昂進である。ニューロンに発信される
強力なパルスの洪水を浴びる内、どんなに穏和で倫理意識の高い人間も、
快楽犯罪者のような危険な心理構造の持ち主に変わってしまう。
――俗に言う「悪の心」の植え付けである。

605 名前:AS同盟仙台基地壊滅(前編)・8/10 mailto:sage [2007/10/28(日) 14:03:36 ID:BEYKCrFh0]
 第二の改変は自らの帰属意識ないしアイデンティティに関する
体系的な錯覚の誘発である。自らが属する家族、仲間、団体、国家などへ
向けられた愛情、連帯感、義務感などの感情が全て、巧妙なイメージ操作
によってゲルショッカーに対して向け直され、同時にゲルショッカーの
外部に対する激しい敵意と恐怖が、やはり錯覚として刷り込まれる。やがて
感情レベルの「錯覚」は「確信」に、そして当人にとっての「真実」へと
成長し、世界の中心にゲルショッカーが位置すると感じられるようになる。
それまでの人生の意味や価値観等すべてがその感情に基づき半自発的に
書き換えられる。やがて唯一の拠り所となったゲルショッカーを客観視し
批判的に反省する意欲や意志も失われる。「忠誠心」の植え付けである。

 葉子は調査によりこのような脳改造のメカニズムについてかなりの
知識を有していた。そしてその知識と強い意志の力で、脳内に休みなく
暴力的な変容を加えてくる機械に対し、はかない抵抗を試みていた。
 葉子の目は薄く開かれ、眉間には深いしわが刻まれ、口は半開、その
首はゆっくりと力無く左右に振られている。
 半ば閉じかけた目は葉子の意識レベルが低下し、朦朧とした状態に
近づいたことを示していた。眉間のしわは、葉子の心の中に拡がり
根付こうとする「悪の心」に対する葉子の必死の、そして空しい抵抗を
表していた。半開の口は通電に伴うエクスタシーと、徐々に力を増す
邪な欲望たちが差し出す、甘美な快楽の効果だった。そして振られた首は、
変わりゆく自分自身への恐怖からの唯一安らかな逃げ場たる、「ゲルショッカー
への忠誠」という選択肢が差し出す甘い誘惑への、力無い拒絶であった。

606 名前:AS同盟仙台基地壊滅(前編)・9/10 mailto:sage [2007/10/28(日) 14:05:03 ID:BEYKCrFh0]
「ほう、予想以上の意志の力だ。これはかなりの逸材だ」
「変性がこれだけ緩慢に進めば、知的能力の損傷は最小限に抑えられる」
「これほど有機的に精神変容が進めば、イソギンジャガーのような
脳改造の解除も起きようがない。完成後に装置を外しても大丈夫なほどだ」
「これは幹部クラスの優秀な怪人として完成するのではないか?」
 科学陣は驚嘆の声をあげていた。

 長い抵抗の果て、首の振りは緩慢になり停止した。眉間のしわが
ひときわ深く刻まれやがて静かに消えた。一筋の涙が流れた後、葉子の
表情は全てを納得したような、あるいは母親に抱かれた赤子のような、
安らかな面立ちに変わった。同時にその顔の皮膚もオレンジ色になり
紫の隈取りが浮かんだ。目は複眼に、頭髪は紫になり、触角が伸び、
頭頂部には蜂の腹部のようなオレンジと黒の外骨格が形成された。左肩の
ホヤの皮膚は首の左側から上に拡がり、左の頬から後頭部全体を覆った。
 しばらくすると安らかな笑みは徐々に邪悪で狂気に満ちたものに変わり、
複眼が輝いた。
 自分の心を支配する黒い欲望を受け入れ、それをゲルショッカーに
委ねる決意が、安らかな表情の意味である。そして母なるゲルショッカーの
導きの下でその欲望を満たす光景の想像が、凶悪な笑みを引き出したのだ。

607 名前:AS同盟仙台基地壊滅(前編)・10/10 mailto:sage [2007/10/28(日) 14:06:22 ID:BEYKCrFh0]
 広瀬葉子は今や完全なゲルショッカー怪人だった。
 肉体は、ショッカー怪人の蜂女の青色をオレンジ色に変えて、強固な
外骨格とホヤの外皮をまとわせたような姿になった。その内面は、
自らの高度の知性と強い意志を、明晰な確信をもってゲルショッカーの
栄光のためだけに捧げる、狂気の戦士に生まれ変わっていた。
「広瀬葉子よ。お前はただ今より凶暴なスズメバチと、三陸沖直送の
新鮮なホヤとの合体怪人、ホヤスズメバチに生まれ変わった。
立ち上がり、ゲルショッカーに忠誠を誓うのだ」
「ピュピュピューッ!ゲルショッカー首領閣下!このホヤスズメバチ、
ゲルショッカーに永遠の忠誠を誓い、まずはアンチショッカー同盟の
東北分室を、そしてゆくゆくは同盟全てを、仮面ライダーともども
葬り去ってみせることをお約束します」
 ホヤスズメバチは舌なめずりをして、自らの古巣を壊滅させる
悪魔の計画を早くも練りはじめていた。
<つづく>

608 名前:maledict mailto:sage [2007/10/28(日) 14:11:52 ID:BEYKCrFh0]
失礼しました。本編があるものは緊張します。

ホヤは日本酒にもよく合いますがビールと飲むと甘い味になって美味です。
あの発泡スチロールの中にはホヤの他にもウニやらカキやらホタテやらが
入っていて、上層部は改造用のホヤ一つだけを科学班に回し、残りで宴会を
したのではないかと想像しています。

あまり強くなさそうな生物ですが次回はホヤを用いた悪魔の作戦が展開されます。
間が空くと思いますし、ほどほどにご期待下さい。それでは。

609 名前:maledict mailto:sage [2007/10/28(日) 14:45:41 ID:BEYKCrFh0]
本郷のシーンが頭にあったのですが、この時期ブラック将軍を介さず
直接首領と会話、というのはよく考えると変だったかもしれません。
日本の中でもちょっと別系統の作戦が進んでいたというような感じで。

610 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/28(日) 14:59:10 ID:6qV7nH6Q0]
>>597-609
(*^ー゜)b グッジョブ!!
ホヤスズメバチはゲルショッカーにいても良さそうな怪人ですね。
生まれ変わった葉子の活躍が楽しみです。
乙でした。



611 名前:maledict mailto:sage [2007/10/28(日) 19:41:09 ID:BEYKCrFh0]
>>610様、早速のレスありがとうございました
あと、>>593様もアレを楽しんで頂いたようで、ありがとうございます

中編ちょっと十八禁に近くなりそうなのですが、この板に
ふさわしい展開を心がけます。話の流れ上そういう展開が
あるだけで、もともと普通のエロシーンにはあんまり萌えませんし。
(チャンピオンの『バキ』でかつてバキの初体験シーンだけヤンチャンに掲載、
という変な展開がありましたが、そこまでは行かないようにします)

612 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/28(日) 21:41:27 ID:eqzJCx030]
maledictさんは東北の人なの?

ショッカーがカニバブラーを造った後の宴会を想像してちょっとワラタ

613 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/28(日) 22:34:51 ID:eYmuYBmL0]
>凶暴なスズメバチと、三陸沖直送の新鮮なホヤとの合体怪人
激しくワロタw
文章力ある人がいきなりこういうギャグ仕込んでくると効くわ

614 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/29(月) 15:58:18 ID:peewSVFy0]
ちょっとすまん。
ナノマシンの定義がわからん。
このスレのどこかに説明がないかね。


615 名前:maledict mailto:sage [2007/10/29(月) 17:22:44 ID:sk46Ks1A0]
>>612様、今は東京在住です
>>613様、どうかなあと思いつつ書いたのですが、ウケてもらえてうれしいです

>>614様、「ナノ」は「センチ」や「ミリ」みたいな単位(につける接頭辞)の名前で、
「ナノメートルサイズの機械」というほどの意味だと自分は理解してました。
ウィキペディアの解説だと下記のようになっています。
「ナノマシン(Nanomachine)は、0.1〜100nmサイズの機械装置。ナノとは10-9〔マイナス9乗〕
を意味する接頭辞であるため、細菌や細胞よりもひとまわり小さいウイルス (10nm〜100nm)
サイズの機械といえる。」

そういえばTHE NEXT見たんですがネタバレ話は公開終了後まで待った方がいいでしょうか。

616 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/29(月) 22:35:42 ID:jzihiFIG0]
>>615
>そういえばTHE NEXT見たんですがネタバレ話は公開終了後まで待った方がいいでしょうか。

改造シーンがあるなら書いた方が良くない?
みんな見に行くだろうしw

617 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/30(火) 09:50:14 ID:/XyTccQ+0]
615です。
>>616
このスレ的には微妙なんです。
「改造シーン」そのものはちょっとアレなんだけど、全裸のシーンが必見。
やっぱり改造人間には全裸が似合います。
「単なる全裸」であんなに萌えたのは中学生以来かもしれない。
後から「その間」を脳内補完して一人で興奮してました。

618 名前:617 mailto:sage [2007/10/30(火) 10:03:46 ID:/XyTccQ+0]
追記。脳内補完の中身、もうちょっとして皆さんが見た頃に
SSにできればいいなと思っています。

619 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/30(火) 10:24:17 ID:nGZ/0FpM0]
>>618
ガンガレー

620 名前:maledict mailto:sage [2007/10/30(火) 17:40:55 ID:/XyTccQ+0]
ちょっと過去レス見ていたら、
>>451の書き込み(シャイダーの22話)へのレスの
>>466様(と>>471様)へのレスを送りそびれていたことに
今頃気づきました。清書したつもりで古いのを送ったらしいです。
亀レスですが、情報ありがとうございました。
なんて言うか、思っていた以上に切ない話だったんですね。

あと、男が改造されるシーンが云々という話を振ったあと、
ZOの話が出たときもレスしそびれてました。(>>467様、>>468様、>>470様)
ZOよく思い出せないなあということで単に話に入れなかっただけなのですが
そういえばあれも全裸でしたか。むやみに面白かった記憶だけはあるので、
見直す楽しみが増えました。BeeF氏がSS書いてますが
たしかにそのシーンがあれば蜘蛛女の改造シーンは妄想が膨らみますね。

>>618様(>>617私です)
先になると思いますが…



621 名前:maledict mailto:sage [2007/10/31(水) 15:32:39 ID:qkDP7rkz0]
なんか一人で書いているみたいで申し訳ないのですが中編投下します。

622 名前:AS同盟仙台基地壊滅(中編)・1/10 mailto:sage [2007/10/31(水) 15:35:47 ID:qkDP7rkz0]
 アンチショッカー同盟仙台基地の入口は複数あるが、もっとも主要で
多くの職員が利用する通路は、東城北大の広い敷地の外れに位置する、
「南米文化研究所」という名のみすぼらしい建物の中に集中している。
 広瀬葉子はその建物の女子更衣室内のロッカーを開け、中の細い階段を
下り、いつも通りの「出勤」の途上にあった。しかし実は、今の彼女は
広瀬葉子であって広瀬葉子ではない。彼女は前日のたった一日の休暇の間に、
決してこの基地にいてははならない存在、すなわち、ゲルショッカーの
改造人間、ホヤスズメバチに生まれ変わっていたのだ。

 彼女の人間としての生を終わらせた「電源投入」があったのは昨晩九時。
その後彼女はゲルショッカー本部で必要な装備をととのえ、深夜十二時には
仙台行きのVTOLに搭乗していた。そして深夜二時には戦闘員たちを従え、
基地の真上の山林に潜入し、基地壊滅の恐ろしい工作を開始していたのだった。
 彼女は戦闘員に命じ、腐葉土層に隠されたマンホールのふたを開けさせた。
中には仙台基地の汚水処理を一手に担う巨大な浄化槽が収納されていた。
戦闘員たちは浄化槽のふたを外し、次いで大きな発泡スチロールの箱を開いた。
中にはユウレイボヤと呼ばれる軟体性のホヤと似た生物が大量に蠢いていた。
「わたしの可愛い子たち。行っておいで」
そう言ってユウレイボヤ型の改造生物を手ですくい、それに軽く口づけを
しながら、改造人間ホヤスズメバチは生物を次々に浄化槽に投入していった。

623 名前:AS同盟仙台基地壊滅(中編)・2/10 mailto:sage [2007/10/31(水) 15:37:56 ID:qkDP7rkz0]
 白松皆子、愛称「白松がモナ子」は出勤一番でトイレに駆け込んだ。
家を出て三十分、相当に切羽つまっていたのだ。下着を濡らすこともなく
用を済ませ、解放感の余韻を味わいつつ水を流そうとしたとき、それは起きた。
排水口の中から半透明のぬるぬるした固まりが飛び出し、彼女の膣の中に
つるりと入り込んだのである。
「ひっ…」
侵入と同時に全身がしびれ、モナ子は悲鳴をあげることすらできなくなった。
しゃがんでいた腰はぺたりと床に着き、体は後ろの壁にぐったりもたれかかった。
 侵入した改造生物はモナ子の性器に強烈な快感を送り込み始めていた。
「…ふぅ…ふぅ…ん…」
体がしびれたまま、息だけが荒く切なく変わっていく。強烈な快感に
支配されたモナ子の精神は麻痺し、その自我と自由意志は快楽の海の中に
溶解していった。そして頭の中に耳慣れた声が響いた。
<<白松モナ子よ。あなたは今やゲルショッカーの忠実な僕、ホヤ女に
生まれ変わりました。このわたし、改造人間ホヤスズメバチの命令に
従い、仙台基地壊滅作戦に参加しなさい。>>
 ――人事部長…名前…間違ってます…――
それが消えゆく彼女の自我の最後の叫びだったという。一分後、目の下に
ごく薄いくまができている以外は何一つ以前と変わらない外見のモナ子が、
何事もなかったかのようにトイレを出て、勤務に戻った。

624 名前:AS同盟仙台基地壊滅(中編)・3/10 mailto:sage [2007/10/31(水) 15:40:05 ID:qkDP7rkz0]
 個室トイレに入った職員はほぼ例外なくモナ子と同じ運命をたどり、
ホヤ人間は密かにその数を増やしていった。犠牲者は主に女性だったが
男性も数名含まれていた。和式での「大」の後の寄生と麻痺はなかなか危険で、
色々と厭なトラブルも生じたのだが、下品になるので詳しくは触れない。
 改造生物は男女の生殖器に寄生し、強力な快楽でその意志を奪い、
ホヤスズメバチの奴隷に変える。この段階では犠牲者は単なる操り人形
である。やがて生殖器と同化した改造生物が、身体の他の部分に改造細胞を
広げ、脳改造も進む。半日後には、犠牲者は心身共に、ショッカー怪人
ホヤ女、ホヤ男と言ってもいいほどの完全な異形に変貌する。

「大変大変!トイレに変な虫が!ほら!」
 羽木月子が突拍子もない声を上げてトイレから飛び出してきた。
「何だ何だ?…うん?何もいないじゃないか」
月子の手は大量の水でびしょ濡れになっていたが、虫らしきものは
どこにもいなかった。
「あれ?おっかしいなあ」
「変な薬でもやってたんじゃないのか。あはは」
のどかで鈍感なやり取りを、すでにホヤ人間化した職員たちと、彼らの目を
通じて状況を監視するホヤスズメバチは見逃していなかった。

 その日の勤務終了までに、基地勤務の女子職員16名の内、羽木月子、
出張中の1名、基地の責任者である八木山梁子室長、の3名を除く全員、
および男性職員の5名が生身の人間ではなくなっていた。梁子の部屋の
トイレからは、意図的に改造生物を取り除いてあった。

625 名前:AS同盟仙台基地壊滅(中編)・4/10 mailto:sage [2007/10/31(水) 15:42:18 ID:qkDP7rkz0]
 恐るべき事態の進行も知らず、羽木月子は勤務を終え、シャワー室へ
入っていった。彼女のアパートには風呂がないため、ここで浴びてから
帰宅するのが日課だった。シャワー室は入ってすぐ銭湯のような
脱衣所があり、その奥の部屋にブースが四つ並んでいる構造だ。 
 月子が鼻歌まじりにシャワーを楽しんでいると、突然カーテンを開け、
全裸のモナ子が姿を見せた。
「羽木さん、わたしたちの仲間になってもらうわ」
「いやああああ!わ、わたしそういう趣味ありませんから!」
持ち前の反射神経でモナ子をすりぬけ、逃げ出す月子。
――ああびっくりした。白松先輩にあんな趣味があったなんて。…それに
しても、先輩のおっぱい大きかったなあ…――
脱衣所へ逃げる月子の前に、さらに三人の全裸の女子職員が立ちはだかった。
「観念なさい」
月子は三人に組み伏せられ、床に寝かされた。モナ子が近づいてくる。
「いやあ!背徳の世界に誘わないで!わたし、正常なんですぅ!」
「…どうも何か勘違いしているみたいね。まあ、面白いから変身しないで
このまま改造しちゃいましょう」
 そう言うとモナ子は月子の股を開くとその上に覆いかぶさり、股間の
一部となった改造ユウレイボヤを長く伸ばして月子に挿入した。
「え?え?どうなってるんですか?何これ?ああ、すごい!レズの人って
こんな凄いことしてるの?あ…あ…いいかも!……ゲルショッカー万歳!」
 月子の精神操作はあっという間に完了した。

626 名前:AS同盟仙台基地壊滅(中編)・5/10 mailto:sage [2007/10/31(水) 15:44:41 ID:qkDP7rkz0]
 翌朝までに、女子職員と同数以上の男子職員がホヤ男へと改造された。
ホヤ女たちが、比較的さえない男たちを「夕食」に誘いまくったのである。
下宿で、連れ込みで、寂しい男たちは次々にホヤ女たちの犠牲になっていった。
ツワモノのモナ子は、連続三人に夜這いを敢行し、大きな成果を上げていた。
「もう未改造の人間の方が少ないくらいね。あとは一気に行きましょう」

 その日の昼近く、基地内にいた生身の人間は男性職員6名、外部構成員
男女9名、それに「葉子」の部屋に案内された、関西分室、北海道分室、
北陸分室からの視察団の女性3名のみだった。残り30名以上はすでに
ホヤ人間化していた。

「…だから、基地の安全管理は最重要課題なの。あなたたちの本名を
ここで聞くのもやめておくわ。関西、北海道、北陸の順に、A子さん、
B子さん、C子さんと呼ばせていただくわね」
「なるほど。勉強になります。さすがですね」
三人が「葉子」の話に聞き入っているとき、羽木月子が入ってきた。
「『人事部長』、準備完了です。通信装置は遮断し、全ての出口は
ゲルパー接着剤で封鎖済みです。南米文化研究所以外の入り口には
誘導の貼り紙を貼り、研究所内に5名を配置しました。これで外部構成員
の訪問への対応も万全です。それから、室長の捕縛も完了とのことです」
「ごくろう。念波で放送班に指令を出すわ。ただその前に、こちらの
お客様用の人員がもう少し必要ね。念波で呼ぶけど、あなたも手伝って」

627 名前:AS同盟仙台基地壊滅(中編)・6/10 mailto:sage [2007/10/31(水) 15:48:03 ID:qkDP7rkz0]
 視察団の三人は優秀な構成員だった。「わけのわからない会話に唖然と
している」ふりを装いつつ、自分たちが敵のまっただ中にいることを
素早く悟り、目配せしてこの部屋からの脱出の機会をうかがっていた。
「助っ人が到着したわ。ぼんやりしてるお客さんは任せるわね。
わたしは室長室の梁子のところに行ってきます」
「葉子」が立ち上がり、部屋を出ようとしたとき、視察団の三人は
一斉に立ち上がり、灰皿やら花瓶やらを「葉子」と月子に全力で投げ付けると
部屋を飛び出した。部屋の外には半透明の皮膚をもつ異形の全裸女性が
三人立っており、「葉子」と月子も追ってきた。C子はヘアピンに仕込んだ
閃光弾を炸裂させ、A子B子の手を取って逃げ出そうとした。だがA子は
怪人たちに組みつかれ、動けなかった。
「やむを得ないわね」
C子はA子の手を放すと、B子だけを連れて駆け出した。
「待って!置いてかないで!いやあ!…ん……あん…あはん…」
ズボンと下着を引きずり下ろされ、怪人に襲われたC子の叫びは、
悲鳴から嬌声に変わっていった。
 走りながらB子が尋ねた。
「ねえ、あれでよかったの?可哀相じゃない?」
「仕方ないことよ。一番恐ろしいのは共倒れ。一人でも脱出して、
異変を本部に伝えることが最優先。お互いそのつもりで動きましょう」
やはり走りながらC子が返した。
 全館に放送が流れたのはそのときだった。
「基地内の諸君。当基地はただ今よりゲルショッカーの制圧下に入った。
無駄な抵抗はやめ、おとなしく我が組織に服従を誓うのだ」

628 名前:AS同盟仙台基地壊滅(中編)・7/10 mailto:sage [2007/10/31(水) 15:51:45 ID:qkDP7rkz0]
 放送と共に、基地内のホヤ人間すべてがその本性を現わし、狂乱の
宴が始まった。女を襲うホヤ男、女を襲うホヤ女、男を襲うホヤ女…
「ふふふ、田中君、わたしにしつこくアタックしてたよね。いいわよ、
今ここであなたと寝てあげる」
「やめてくれミヨちゃん!正気に戻ってくれ!こんなのはいやだ!」
「いやだいやだと言いながらこの硬さは何かしら。うふふふ」
「あああぁー…」
 ――まさに悪魔の乱交場と言ってよかった。
「高橋ィ、おれは以前からおまえのことを…」
「やめろ!おれにそんな趣味はない。あああ…どうせならおれも
ミヨちゃんの方がよかったよぅ…ああああぁぁぁ」
 直前の犠牲者はすぐに新たな狩人となり、次の犠牲者を求めていった。

 室長室には、四人のホヤ女に組み伏せられ、全裸で縛られた東北分室
室長、八木山梁子がいた。梁子は入ってきた「葉子」を見て叫んだ、
「葉子!助けて!怪人が…」
「『葉子』はもうどこにもいないわ。ここにいるのは…」
「葉子」はその本来の姿に戻り、縛られた梁子に歩み寄った。
「…ゲルショッカーの改造人間ホヤスズメバチよ。昨日生まれ変わったの。
そしてもうじきあなたも。あなたのような優秀な人材は即席のホヤ人間
なんかじゃなくて、ちゃんとした改造手術を受けた方がいいの。だから
わたしがここであなたの脳改造だけを先に済ませる。夕方までには本部から
お迎えが来て手術を受けられるわ。明日からはまた『同僚』よ。ピュピュー」
 言いながら改造人間は梁子の足を開き、両足の中央部分に舌を這わせた。
そして股間の噴火口に似た出水口から、男性器のようなオレンジ色の
触手を伸ばし、梁子にのしかかり、梁子の中に触手を挿入した。
「こうしてあなたの神経に直接接続して、あなたの脳にわたしの脳の機械と
同じ刺激を与える。あなたもすぐにゲルショッカーの素晴らしさに目覚めるわ」
 梁子は抵抗する術もなく、悪の快楽と服従の安らぎに飲み込まれていった。

629 名前:AS同盟仙台基地壊滅(中編)・8/10 mailto:sage [2007/10/31(水) 15:54:11 ID:qkDP7rkz0]
 地方分室の二人は巧みに敵の目を逃れながら出口を目指していた。
秘密基地らしく、身を隠しながら移動するための隠れ場には事欠かなかった。
 二人には考えがあった。「ゲルパー接着剤」がどれほどのものであれ、
ドアそのものを壊せば脱出は可能であろう。そしてこの基地唯一の木製の
出口の所在をB子が知っていた。
「麻酔銃を出したいわね。トイレかどこかに入りましょう」
「了解。それにしてもあの厳重なボディチェックが、まさかこんなことの
ためだったとはね。すっかりはめられたわ」
 そう言うと二人は手近のトイレの個室に別々に駆け込み、下着を下げ、
ゴムに包まれた状態で性器の中に隠されていた小型麻酔銃を取り出した。
 麻酔銃を使えるようになった二人はホヤ人間を撃退しながら一気に
目的地に迫った。
 出口の前で二人が出会ったのはA子だった。
「あれから必死の思いで逃げ出したの。よかった。やっぱりみんなも…うぐ」
C子が麻酔銃を発射し、A子は崩れ落ちた。
「ふん。あんな声出して喜んでたあんたなんて、誰が信じるもんか」
 そう言うとC子はA子のズボンと下着をずり下ろし、麻酔銃の台座から
飛び出させた小型ナイフを、局部に突き刺した。
「な、何するの?痛い!やめて!」
「切除すれば元に戻るかもしれないわ」
「いやあ!それはやめて。お願い!」
 寄生体を切除されたA子は見る間に干からび、死んでしまった。
「まあ、多分こんなことだろうと思ったけどね」

630 名前:AS同盟仙台基地壊滅(中編)・9/10 mailto:sage [2007/10/31(水) 15:57:29 ID:qkDP7rkz0]
「ピュピュピュー!お見事!とっても優秀な構成員ね。ホヤ人間にするには
もったいないわ。正規の怪人候補として、わたしが脳改造してあげる」
 いつの間にか姿を現わしていたホヤスズメバチがC子に拍手と賛辞を送った。
「B子さんお待たせ。初仕事よ。昔のお仲間を取り押さえてちょうだい」
 無表情な人形となったB子が、人間離れした腕力でC子を羽交い締めにする。
「あなた…どうして…いつの間に?」
「トイレで寄生されたみたいよ。さあ、脳改造を始めるわ。ピュピュー」
 ホヤスズメバチは、恐怖でひきつり、もがきながら悲鳴を上げるC子の
ズボンと下着をずり下ろし、押し倒して上にのしかかった。
「怪人なんて厭ぁ!…あああぁぁ…あ!いく!いく!……ゲルショッカー万歳!」
「…やだ、見かけ倒し?性根は単なるサディストの小悪党だったってこと?
趣味じゃない!…B子さん、あとは任せるわ。こいつをホヤ女に改造してやって」
 ホヤスズメバチはそう言って、まだよがっているC子をハイヒール状の足で
小突くと、つまらなそうに去っていった。

 その日中に、基地内のすべての人間、および制圧後の基地を訪問した
外部構成員12名が改造生物の寄生、あるいはホヤスズメバチによる脳改造
を受けた。未改造の常駐構成員は東京に出張中の男女二名のみとなった。

 翌朝。出張明けの花京院明子は遅刻ぎりぎりで出勤し、事務室に直接
繋がる扉を開いた。信じられない光景が彼女の前に広がっていた。共に
出張していた山田が下半身を裸にされ、半透明の皮膚をもつ怪人たちに
襲われている。しかも怪人たちは皆、見覚えのある同僚と同じ顔だった。
「あ、明子ちゃん!ゲルショッカーに基地を乗っ取られた。みんな怪人に
改造されてしまった。…君は逃げろ!僕はもうだめだ…あああぁぁぁぁ…」
 こちらに気づいた怪人たちが近づいてくる。明子はドアの外に出て、
イヤリングに仕込んだ催涙煙幕を部屋に投げ入れ、全力で階段を駆け上がった。



631 名前:AS同盟仙台基地壊滅(中編)・10/10 mailto:sage [2007/10/31(水) 16:00:40 ID:qkDP7rkz0]
 ――電話、電話だ!公衆電話を探し、基地の悲劇を本部に…――
林の中を駆けていく明子を、人間には不可能な脚力で追ってくる影があった。
つい今しがた襲われていた山田である。そのむき出しの局部はすでに
改造ホヤと同化しかけていた。
 山田はあっという間に明子に追いつき、彼女を押し倒してスカートをまくり
下着に手をかけた。…明子役の女優が、とうとうこらえ切れずに声を上げた。
「何なの?子供番組じゃなかったの?だいたいこんなのもう『改造シーン』
ですらないじゃない!何よこれ?アソコにイボイボのゴムかぶせてるだけで、
単なるレイプシーンじゃないの!!」
「ふっふっふ。今頃気づいても遅いわ。お察しの通りこれは『仮面ライダー』
ではない。黒い欲望を抑えきれなくなった石●先生と平●Pは、とうとう
このようなアングラフィルムの制作に着手したのだ!秘密を知ってしまった
以上、おまえももう表の世界には戻れないと覚悟しろ」
「いやだあ!そんなのいやぁぁ!」
 しかし、ホヤ人間の強化された肉体に生身の人間が抵抗できるはずもなく、
彼女の下着は引き下ろされた。そして大映しの女性器に深々と改造ホヤ生物が
挿入され、一人の清純派女優の女優生命が…もとい、一人の女性の、自由意志を
もつ人間としての生が、終わりを告げた。

「あとは外部構成員。基地に網を張るだけじゃ不足ね。積極的に打って出て、
一人残らずわたしのものにしてあげるわ」
 新たに加わった山田と花京院からの忠誠の誓いを受けたホヤスズメバチは、
そう言って悪魔の笑みを浮かべた。<つづく>
〔この作品は完全なフィクションであり実在の人物等には無関係です(汗汗 〕

632 名前:maledict mailto:sage [2007/10/31(水) 16:06:09 ID:qkDP7rkz0]
…スレ汚し失礼しました。最後、偉大な作家&プロデューサー(に似た人物)に
ひどい役をやらせてしまいました。ちょっと悪のりが過ぎたかも。
(全然「改造シーン」らしくない改造シーンへの反省の意味もありましたが)
…しかし、本物のレイプはイヤですが、それを除けば、上のアングラフィルム
みたいなものが本当にあったら見たいですね。(『アインベーダー』というエロい
企画を練っていた晩年のうしおそうじ氏に資金があれば作ったかなあ、などとも
妄想。ライダーは無理でも、ゴリが美女を拉致改造しまくるエログロ作品とか)
 なお、「石●先生」はこのスレ>>225-231あたり、「平●P」は
初代スレで見た下記の書き込みをもとに妄想を膨らませました。
(貴重な証言だと思うので全文引用しておきます。こんなルーツのものを
我々は見させられて育ったんですね…)
-------引用開始---------------
135 名前:名無しより愛をこめて 投稿日:03/06/08 (日) 22:22 ID:avHP4XEA

ちなみに某「動画王」って雑誌で、
平山Pがはっきり明言してたけどね。
「仮面ライダーでショッカーが人間をさらって改造人間のバケモノに
しちゃうのは、当時はやったナチもののエロネタで思い付いた」って!

つまり怪人のルーツは「ナチス第三収容所」やら「女拷問人グレタ」みたいな
イタリア製の「ネーチャン拷問実験エログロ猟奇映画」だったとハッキリしたわけだ。
当時の東映も石井輝男や牧口雄二監督で「徳川女刑罰絵巻・牛裂きの刑」とか、
「恐怖奇形人間」「徳川いれずみ師・責め地獄」とかのエログロ路線まっさかり
の時期だしね。

だからいーんです。このスレは正しい。まったくもって正しい趣味嗜好です!
ダークに産まれしモノがダークに帰って何が悪いっ!!

633 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/31(水) 17:19:17 ID:3tykKX1i0]
故九条蘭子女子が好きそうな内容だ。
ホヤが寄生する場面は、もう少し生々しく書いて欲しかったな。
それを越えたらアダルトに行けと叩かれるくらい。
もしくはアダルトで詳細に画いて欲しい。
少し簡略しすぎて粗筋みたいな所があった。
でもGJ!

634 名前:maledict mailto:sage [2007/10/31(水) 20:14:51 ID:qkDP7rkz0]
>>633
チャレンジ精神をかき立てられ、初挑戦してみましたが…難しいですね。
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1188052731/336-337

基地内にいた外部構成員は女性が多いそうですし(今知りましたが)
未登場の女性職員も十人以上いるはずなので、いつか再チャレンジします

635 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/10/31(水) 20:21:51 ID:XbF5YFhV0]
GJ!
だがホヤを見たことがないんで想像が追っつかない・・・orz

636 名前:maledict mailto:sage [2007/10/31(水) 21:44:23 ID:qkDP7rkz0]
なんか今日は午後から貼り付いていてすみません。

>>635
グーグルで画像検索しました。参考までに

マボヤ(改造された葉子のモチーフ)
ttp://images.google.com/images?num=50&hl=ja&q=%E3%83%9E%E3%83%9C%E3%83%A4&oe=UTF-8&um=1&ie=UTF-8&sa=N&tab=wi
ttp://www.k5.dion.ne.jp/~gr_canon/LOVELOG_IMG/maboya.jpg
ttp://www.iwaki.co.jp/Times/gif/000519-n.jpg

ユウレイボヤ(改造生物のベース)
ttp://images.google.com/images?num=50&hl=ja&q=%E3%83%A6%E3%82%A6%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%9C%E3%83%A4&oe=UTF-8&um=1&ie=UTF-8&sa=N&tab=wi
ttp://www.dinop.com/kousienhama/higata/img20050621/DSC_8074.JPG
ttp://www3.ocn.ne.jp/~kmitoh/zaturoku2/hoya/yurehoya.jpg

ユウレイボヤ、実は本物を見たことがないのですが、
「マボヤはごつごつして痛そうだな」と思い、図鑑で近縁種を探しました

…ところで、THE NEXTの脳内補完話(ネタバレあり)って、いつ頃投下が目安でしょう?

637 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/01(木) 11:48:07 ID:znaj4yJx0]
>>634
チャレンジ乙!
でも正統派エロも見たい。

638 名前:maledict mailto:sage [2007/11/01(木) 15:42:20 ID:yZrRrKSe0]
また微妙な時間にお邪魔します。
とりあえず仙台基地の話完結させます。
話の収拾を考えたせいか普通のSSに近くなった気がします。

>>637様。自分でも読んでみたいので、いつの日か…。


639 名前:AS同盟仙台基地壊滅(後編)・1/8 mailto:sage [2007/11/01(木) 15:43:41 ID:yZrRrKSe0]
「ホヤスズメバチよ。東北分室の壊滅作戦は順調か?」
「私以外の仙台基地常駐職員42名、他の地区の構成員2名、
外部構成員21名はすでにホヤ人間化、または脳改造が済んでいます」
「大量の人材を確保できたのは何よりだが、『同盟』の精鋭の割には
優秀な改造素体が少ないようだな。正規の改造人間としての適合者は
今のところ4名しかいないと聞いている」
「これまでは常駐職員が主だったからです。彼らは事務職や研究職が
専門で、それほどの身体能力を備えた者は含みません。真に有能な
人材はこれから本格的に狩り出す外部構成員の中に多いのです。
成果が出ましたらまたご報告いたします」
「なるほど。期待しているぞ!」

毛里美弥子はアンチショッカー同盟外部構成員である。同盟本部から
給与を得る正規の構成員ではなく、一般市民として同盟に対し善意の
協力を提供する立場だ。彼女は広瀬葉子同様、かつては有能な諜報部員で
あったが、葉子とほぼ同時期に同盟の存在を知り、同盟の活動に強く共感し、
スパイを引退した。だが彼女は葉子のように拘束の多い常駐構成員として
働くことを嫌った。そして「本業」としてスーパーのアルバイトを
するかたわら、単独で調査や人命救助を行う道を選んだのだった。
多くの外部構成員が同盟からある程度の金銭的援助を受けている中、
情報以外の援助を一切拒む彼女のような外部構成員は珍しかった。
 ゲルショッカー結成後、この仙台でも不穏な勢力は活発化していた。
特にこの数日ほどはゲルショッカー絡みと思われる事件が飛躍的に
増え、ただならぬ事態の進行を予感させていた。外部構成員の中では、
仙台基地がゲルショッカーに乗っ取られたという噂すら飛び交っていた。
美弥子はそれらの噂を、恐怖による過剰反応の産物として相手にして
いなかったが、とはいえゲルショッカーが何か企んでいることは
明らかであり、「本業」そっちのけで独自の調査活動に専念していた。

640 名前:AS同盟仙台基地壊滅(後編)・2/8 mailto:sage [2007/11/01(木) 15:44:51 ID:yZrRrKSe0]
「毛里美弥子さん、あなたに住居不法侵入と窃盗の嫌疑がかかって
います。申し訳ないのですが、ご同行頂けますか?」
「あ、すみません!そういうことなら、またお邪魔します」
 美弥子はヘビースモーカーらしいハスキーな声で快活な返事を返し、
何度か「世話」になったことがある警官に従った。「裏家業」の絡みで
このようなことはたまに生じる。おとなしく出頭しておけば「さる筋
からの圧力」というやつですぐに放免される。美弥子は素直にいつもの
交番に向かった。このような愚直な国家権力との関わりは、超国家的
暗黒組織との戦いの中の「心休まるささやかな休息」ですらあった。

 交番の奥の部屋で調書にサインしていた美弥子は、ふと足下の床に
違和感を感じ椅子から飛び退いた。床には大きな落とし穴が開き、
椅子が吸い込まれていった。息をつく間もなく、天井から捕獲ネットが
落ちてきた。美弥子は前に飛び出し机を踏み台にジャンプしてドアに向かい、
ノブに手をかけた。ノブから強力な電流が流れ、美弥子は気を失った。
 かつて実直な警官であった戦闘員二人は、驚きと共に美弥子を見つめた。
「まさかドアノブまでたどり着く人間がいるとはな」
「Aクラス適合者以上の存在――Sクラス適合者か。将軍に報告せねば」
 麻酔を打たれ本格的に眠りについた美弥子を「パトカー」が運んでいった。
行き先はゲルショッカー秘密基地と化した旧「同盟」仙台基地だった。

 美弥子は真っ暗な部屋の中で目覚めた。全身が何かで固定されている。
しかも、どうも自分は全裸の状態らしい。「改造手術」という言葉が頭をよぎる。
 ――あの善良だった警官たちは明らかにゲルショッカーの手先にされていた。
そしてわたしを罠にかけここに運んだ。それは多分、わたしを改造人間に
するため。幸い手術はまだのよう。ここがどこであれ、早く逃げねば…――。



641 名前:AS同盟仙台基地壊滅(後編)・3/8 mailto:sage [2007/11/01(木) 15:45:59 ID:yZrRrKSe0]
 館内で放送が鳴っていた。
「『同盟』外部構成員による襲撃発生。通電設備に異常。予備電源も使用不能。
復旧までの見通しは約三十分。総員赤外線スコープを装着し敵に備えよ」
 ――ここは敵の基地。そして異常事態が発生している。多分あいつと
あいつが行動を起こしたんだろう。…この拘束からどうにか逃れることさえ
できれば、脱出のチャンスは十分にある、ということになるわね…――。
 美弥子は普段から鍛えている筋力をふりしぼり、見えない鎖を引きちぎろうと
手足の力をふりしぼった。
 何度か試みる内に、どこかでキュインというかすかな音が聞こえ、手足が
自由になった。気のせいか手足がなんとなく重い。しかし通常の動作ができる
程度には動く。美弥子はまず手探りで室内を探索し、運良くライターを
見つけ出すと、室内を照らして様子を調べた。
 ――この部屋…この間取り…まさか…―― 
 美弥子はこの部屋を、いやこの建物をよく知っていた。そしてゲルショッカー
が自分をこの建物に運んだ、という事実が意味することを素早く理解した。
 ――…噂は本当だったわけか。葉子や梁子は無事かしら?それとも、もう…――。

 葉子たちの運命を気にかけつつも、美弥子は次の行動に移った。脱出経路を
勘案した上、手術台の上に椅子を積み上げ、天井裏に侵入したのである。
 ――素手での脱出は危険すぎる。武器と、後は服を手に入れなきゃ――
 天井裏ごしに美弥子が向かったのは、対ゲルショッカー兵器研究室だった。
基地が以前のままならば、そこには役に立つ武器の試作品が保存されている。
そして、保存が難しく、かつそのまま人類征服用の兵器に転用しうる装備を
敵が簡単に移動することはないだろう、という見込みがあった。
 美弥子は研究室に到着し、中を警護している、変わり果てたかつての職員
二人を不意打ちで気絶させた。そしてライターで室内をさぐり、ケースに入った
「対怪人用レイピア」というフェンシングの剣のようなものを探り当てると、
散乱している書類その他に火を放ち、武器を手に屋根裏に戻り、出口を目指した。

642 名前:AS同盟仙台基地壊滅(後編)・4/8 mailto:sage [2007/11/01(木) 15:47:15 ID:yZrRrKSe0]
 ――けっきょく、服は見つからずじまいか――
 そんなことを思いながらも無事、山奥の廃屋の秘密出口から外に出た
美弥子を待ちかまえていたのは、ホヤスズメバチであった。
「腕は全然なまってないわね、美弥子。でももう終わり、ピュピュー!」
「あなた…まさか葉子?…そうか。脳改造を、受けてしまったのね…」
 美弥子はかすかに涙ぐんだ。葉子ほどの強靱な精神力の持ち主が脳改造を
施された場合、かえってその影響は深く徹底的になる。元の人格が復帰する
可能性は皆無に等しい。美弥子はそれを知っていたのだ。
「…いいわ。わたしが、あなたの魂を救ってあげる!」
 話しながら二人は戦闘状態に入っていた。生身の人間と改造人間。普通に
考えて美弥子に勝ち目はない。しかし、並外れた反射神経をもち、最新鋭の
対ゲルショッカー兵器を手にした美弥子は、相手と互角以上の戦いを行った。
攻撃から素早く身をかわしつつ、怪人に立て続けに剣を浴びせたのである。
 対怪人用レイピア。それは実験中偶然生まれた特殊な薬品を練り込んだ、
超合金製の剣である。改造細胞を壊死させ、怪人の身体組織に深刻な
ダメージを与える力をもつ。薬品の正確な成分すら解析できておらず、
全世界で今ここだけにしかない、貴重な武器である。
「ふふ!あなたは、明らかにある一箇所をかばっている!」
 ひらりと舞い、ホヤスズメバチの前に立った美弥子は、そう言いながら、
全身傷だらけになっているホヤスズメバチの右胸に、深々と剣を突き刺した。
美弥子の裸身もまた傷だらけであったが、勝負はついたようだった。
「多分、ここには自爆用の爆弾か、自己溶解液が詰まっている。爆弾ならば
一緒におさらばだけど、悔いはないわ。溶解液なら、完全にわたしの勝ち!」
「ピュピュー…。美弥子、腕を…上げたわね」
「あなたの腕が落ちたのよ。事務仕事のし過ぎと、改造された肉体への過信ね」
 自壊用溶解液に浸食され、ホヤスズメバチの肉体は溶け始めた。
 胸に刺さったレイピアも飴のように溶け崩れていった。

643 名前:AS同盟仙台基地壊滅(後編)・5/8 mailto:sage [2007/11/01(木) 15:54:12 ID:yZrRrKSe0]
「さてと。わたしは行くわ。早く本部に仙台基地の惨状を報告しなきゃ」
「ピュ…ピュー…。できる…ものですか」
「何よ?…どういうこと?」
 肉体が溶解する苦痛をこらえながらホヤスズメバチは続けた。
「あなた…は、改造前のわたしと…同じ勘違いを…してるみたいね。
あなた…はもう生身の人間じゃない。脳改造まで…完了した完全な改造人間。
今の…ままではその体は停止し、改造細胞…が腐り始める。機械部分を
早く…完全起動しなければ、あと十数分…で…あなたは死ぬわ」
「でたらめ言わないで!脳改造なんて!わたしはわたしのままよ。体だって…」
「それ…はあなたの機械部分が完全には…起動していないから。
あなたは多分…お得意の馬鹿力で…むりやり人工骨格を…動かした。
筋肉の…生体電流が機械部品に逆流し…緊急用予備電源が…セーフモードで
動作し…一時的…に…ちょうど、人間の力程度の…動作が…できる程度に、
動けた…のね。…でも、そんなに…動いてしまっては…もうじき…停止する。
……そうね……。わたしの…命と…引き換えに…あなたを…正常起動…
…させて…あげる」
 崩れかけたホヤスズメバチは、そう言いながら、乳首から少量の溶解液を
発射した。美弥子の腰の皮膚が溶け、内部にあった赤い、キノコの傘の襞を
思わせる、異形の開口部が姿を見せた。
「あなたの…充電口は…ここ。今…電流を通して…あげる」
 美弥子が身をかわす間もなく、股間から長く伸びた触手が赤い開口部に
取り付き、強烈な電流が注ぎ込まれた。美弥子の体内のサイボーグ部品が
本来の動作態勢に入り、改造細胞が活性化を始めた。傷が見る間に治癒し、
脳内の装置は美弥子の脳に悪と服従のパルスを発信し始めた。美弥子は絶叫した。

644 名前:AS同盟仙台基地壊滅(後編)・6/8 mailto:sage [2007/11/01(木) 15:56:55 ID:yZrRrKSe0]
 美弥子の皮膚は黒く、硬く、しわだらけになり、胴体には昆虫のような
体節が形成され始めた。手足は黄疸でも出ているような病的な色に
変化し、その変色はさらに進行した。
「ギギ…こ、この体は……」
「その体……お気…に召す…はずよ。だって…」

 脳内の変化も進んでいった。
 美弥子もまたホヤスズメバチとなった広瀬葉子同様、高い知性と
強い意志、そして堅固な正義感の持ち主だった。美弥子は自分を
侵食する悪の心、すなわち倫理感覚の衰弱と無軌道で破壊的な欲望の
膨張に恐怖を感じ、それに流されないための足場を必死に求めた。
「恐ろ…しい…で…しょう?」
 溶解が進み、言葉を発するのも辛そうなホヤスズメバチは、しかし
心から愉快そうに美弥子に話しかけた。
「自らの…強大で…破壊的な…欲望が…解放されて…いくと…いうのは、
わたしたちの…ような…人間に…は、とても…恐ろしいことよ…ね」
 電源を使い果たしたホヤスズメバチ、いや広瀬葉子は、今や生体部分の
筋肉と脳のみを働かせ、美弥子に語りかけていた。
「母な…るゲルショッカーだ…けが、そのおぞま…しいあなたの…心を
受け入れて…くれる。そ…の破壊の欲望を…未来を…開くための…希望
として…活用してくれる。さ…あ、ゲルショッカーに全てを…託しなさい!」
 美弥子は首を振り続けた。しかしその力は少しずつ弱まってきた。

645 名前:AS同盟仙台基地壊滅(後編)・7/8 mailto:sage [2007/11/01(木) 15:59:10 ID:yZrRrKSe0]
「ゲルショッカーにすがりたい!でもそれは絶対してはならないの!
だってゲルショッカーは両親の仇!この悲しみと怒りは決して消せない!」
「あ…なたのご両親が…亡くなって…しまったことは確かに…不幸なこと。
あな…たはそれを精一杯…嘆き悲しんでいい。で…もその『責任』を
ゲルショッカー…に負わせるのは…愚かなことよ。ゲルショッカー…は
善悪の彼岸に立つ…存在。ご両親…の死はあなたが…家族愛という人間的
弱さ…から解放されるための…試練。そしてそれは…誰も…が克服できる…
試練では…ないわ。あな…たは選ばれ…たのよ。愚かで…愛らしい民衆が、
同じような悲しみを…蒙らない理想社会を…作るために必要…な尊い犠牲、
そ…れが…あ…なたと…ご両親…だった…のよ」
「ああ!そうなのね?わたしはゲルショッカーを信じていいのね?」
「そう…よ。天国…の…ご両親…も…人類を…導く…尊い…礎になれた…
…こと…を…今…では…喜んで…いるはずよ」
「あああ…偉大なるゲルショッカー!偉大なる首領閣下!!」
 最後の心の防壁が崩れ、美弥子の心にゲルショッカーへの忠誠心が
なだれを打ってあふれかえった。美弥子の表情は赤子のように安らかに
なり、やがて抑制を解かれた邪悪な欲望が彼女の心に固く根付いた。
美弥子の目は急速に複眼化し、中央には単眼が形成され、触覚が伸びた。
頭部は緑色の角質層で覆われ、顔の下半分は昆虫の口を思わせる奇怪な
人工骨格に覆われた。最後に首の皮膚の一部が伸び、ピンク色に
変化してだらりと垂れ下がった。

646 名前:AS同盟仙台基地壊滅(後編)・8/8 mailto:sage [2007/11/01(木) 16:00:46 ID:yZrRrKSe0]
「『変身』…が…完了した…ようね。もう…思い残す…ことは…ないわ」
 満足そうに言い終えるとホヤスズメバチは完全に液状化し、姿を消した。
 残された美弥子はゲルショッカーの一員として覚醒したことの喜びに
興奮し、歓喜の叫びを上げていた。もともとハスキーだった声は
さらに低くなり、声の持ち主の性別すら判然としなくなっていた。
「ギギギーッ!!ゲルショッカー万歳!首領閣下万歳!!」
 もはや毛里美弥子はどこにも存在しなかった。そこにいたのは、
クラッシャーを全開にし、溶解液を撒き散らして狂気の咆吼を続ける
完成態のバッタ女、またの名をショッカーライダー6号であった。

 南米のアンチショッカー同盟本部。
「日本の東北分室がゲルショッカーに乗っ取られた模様です。抵抗
活動はありますが情勢は絶望的かと」
「やむをえん。東北地区の構成員とのコンタクトは以後一切遮断、と
各方面に至急告知せよ。仙台基地に出向した構成員も同様だ。以後
彼らすべてを敵勢力と見なし、発見次第抹殺せよ。基地も放棄する」
「何度目でしょう?我々が優秀な人材を集め最新の施設を整備すると
奴らにすべて奪われる、という事例は?これではまるで我々は
ゲルショッカーに人材と基地を提供する外郭団体ではありませんか」
「悪趣味な冗談はやめたまえ。…そう。このテープさえあれば、
我々にはまだ反撃のチャンスはあるのだから」
 そう言って極秘のテープを掻き抱くようにしながら、リーダーと
おぼしき人物は、壁の世界地図の東北地区に貼られた「同盟」を
表す"A"の磁石をオセロのように裏返し、「ゲルショッカー」を
意味する"G"を表にして貼り直した。
<了>

647 名前:maledict mailto:sage [2007/11/01(木) 16:12:15 ID:yZrRrKSe0]
…以上、お粗末様でした。

心理の変化に少し凝りましたが、「同盟のメンバーは肉親を殺され
正義感は強い」という設定の割に構成員があっさり洗脳された展開への、
フォローの意味もあります。

 美弥子の改造体については色々と不安です。(半)公式の設定等と
矛盾していたらすみません。
 テレビ版ライダーの変身、「少なくとも肉体は収納されていたスーツを着ている」
という説が多い気がするのですが(『すごかが』の長谷川氏など)、肉体の
変形にしてしまいました。
 それと、やはり長谷川氏の考証で「ライダーの改造には時間がかかる」という
イイ説があるのですが、これにとは矛盾しない可能性があります。
要するに美弥子は「本郷と同じ時間眠っていた」のです。
最後の戦いは仙台基地壊滅後だいぶ経っていた可能性もないではないと。

…以上、蛇足ご容赦下さい。NEXTの脳内補完アップしたら妄想のネタ尽きます。

648 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/01(木) 17:03:36 ID:vkHebnUA0]
>>638-647
(*^ー゜)b グッジョブ!!
面白かったです。
ただ、個人的にはホヤスズメバチの意外なもろさや、駆け足的展開がちょっとだけ残念でした。
でも、とても楽しめました。
お疲れ様でした。

649 名前:maledict mailto:sage [2007/11/01(木) 17:16:30 ID:yZrRrKSe0]
>>648
ありがとうございます。長いと読むのも大変だし、
基本はあくまで「ショートショート」なので、
あんまり長くせず、肝心の部分以外は必要最小限に、
という意識が今回特に働きました。ただ、たしかに
切りつめすぎ(逆に言うと盛り込みすぎ)だったかもです。

ホヤスズメバチのもろさについては、生身の美弥子と
その武器がむちゃくちゃ強かった、と思っていて下さい。
多分、書かれていない部分で最凶最悪ぶりを存分に発揮しているはずです

650 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/01(木) 17:56:30 ID:HoL8Wau90]
面白かったけど、ホヤスズメバチの弱さにはがっかりした。
もっとエロイ怪人だと思っていたから。
でも乙でした。
またの投下を期待します。




651 名前:maledict mailto:sage [2007/11/01(木) 21:57:58 ID:yZrRrKSe0]
>>650様、ありがとうございます

…が、やっぱり弱く見えますか…。

…ええと、>>657の通り、やはり美弥子の改造にはかなり長い期間を
要したみたいです。その間、東北支部外部構成員残り七十数名のうちの
相当数がホヤスズメバチの巧妙な罠にはまっていったそうです。
「外伝」でその非道な手口と、まだ明かされていない淫猥な能力の数々が
明かされる…かもしれません。(…ひょっとして、釣られましたか?)

ときに、THE NEXT脳内補完話、投下は週末なら早くはないでしょうか?
この週末で行く人が多いのではないかと思っているのですが。

652 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/01(木) 22:36:53 ID:vkHebnUA0]
まだ早いのではないかな。

653 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/01(木) 23:18:29 ID:FXKfJimH0]
書く前に予告してから書き始めれば
見たくない人はスルーできるからええんでない?

654 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/02(金) 04:40:53 ID:wyWxCrRt0]
>>651
むしろ過疎ってる時に投下してくれると、スレが活性化するw

655 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/02(金) 08:03:37 ID:nUoC5Av90]
>>651
淫猥な能力がみたい。



656 名前:maledict mailto:sage [2007/11/02(金) 20:29:28 ID:CmPimTo70]
本日は一瞬だけ失礼します

>>652様、>>653様、>>654
難しい問題ですが、もう少し様子を見て、絶対いやだという人がいなければ
日曜あたり、名前欄に「ネタバレあり」を明記して投下しても大丈夫そうでしょうか
実はもうできてはいるので…

>>655
実はまだ作者自身詳しく知らないという話も…

それと、細かいところですが>>643の5行目、
「改造前」は「起動前」でした。訂正します。

657 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/02(金) 23:29:43 ID:i/i8WkXB0]
あえて言う、maledict氏が神様のお一人であることは異論無いと思う。
だが、エロとギャグに照れがある。もっと制約無く書いていいんだ、そういうのを見たいんだ。
もう一言、maledict氏のはあらかじめ構築された絶対脱出不可能の鉄箱の中から脱出する奇術を書きながら、なお
さらに、こうこうこう言う理由で脱出できないんだ、という絶望を繰り返し書いている。
それはそれで面白い、そう思う、だが少々気分が悪い。
私論だが、悪堕ちの嬉しさと、ぞわぞわざわざわする堕ちへの誘いを語るのがここのスレと思うんだ。
その中で堕ちても救われない(満たされない)というのはちょっとつらいんだ。(自分にはね)
だが全部読んでるし、もっと見たい、書きたいのをここでの括りで無理なら、先日maledict氏が行った先の主催者サイトとか
色々あると思うんだ、ここで自己弁護(とは言わないが)あってる?あってない?
って悩まずにもっと自由に書いたものを見たいぜ。(長文スマソ)

658 名前:maledict mailto:sage [2007/11/03(土) 18:50:06 ID:wIAIGJdx0]
>>657
照れてるつもりはなくて、総じて、自分が読みたいものを欲望のままに書いている
つもりなのですが、舌足らずな部分が多い可能性はあります。
ただ、たしかにホヤスズメバチ中編は駆け足過ぎたのと
「全年齢板」を意識しすぎたのとで、自分でもやや不満が残りました。
「外伝」で色々試すつもりでいます。

「絶望」の件は、何というか、性癖なんだと思います。
鬼畜なのか、マゾなのか(主に改造素体に感情移入して書くので)は
ともかく、考えられる希望が一個一個つぶされ、主人公が
追いつめられていく、というシチュエーションに萌えてしまうタチなのです。
「脱出する奇術」はもちろんその後の運命の可哀相さを盛り上げる「お約束」です。
ただし、以前書いた「チスイコウモリ女」の二話目みたいな
悪趣味な悲劇は書いてて鬱になったのでやめます。
同三話目みたいな明るい洗脳話も書いていて楽しいです。

で、色々考えつつ書き進めたのをアダルトの方に試しに投下してみました。
我ながら同じパターンが好きなんだな、と思える部分がたくさんあります。
sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1188052731/374-391
明確に狙ったわけではなく話の成り行き上の要因も大きいのですが
ちょっとオチが明るいかもしれません。

なお、上記スレでは容量オーバーぎりぎりで住人の方にご迷惑おかけしてしまいました。
このスレもそろそろでしょうか?

以上、長レス失礼しました。

659 名前:maledict mailto:sage [2007/11/03(土) 23:58:40 ID:1FtcwfBpO]
478も行っていることに先ほど気づきました
かちゅーしゃでどこに容量が出るのか(出ない?)分からず、失礼しました
まだ帰宅中なので一時くらいに新スレ立てます

660 名前:maledict mailto:sage [2007/11/04(日) 01:31:26 ID:cvRMpq0o0]
7スレ目の自分以外のSSの一覧を作って、さあ立てようと思ったらホスト規制が出ました。orz
●をもっているんですが専用ブラウザによっては立てられたりしますか?
(かちゅ〜しゃはだめみたいなんですが…)
あと念のため、おにゃのこ改造ウィキは「6スレ目まで」という表記のままでいいんですよね?



661 名前:maledict mailto:sage [2007/11/04(日) 01:37:48 ID:cvRMpq0o0]
…すみません。うっかり新スレに書きこんじまったよ

A-Bone使って立てられました。よかった。

おにゃのこが改造されるシーン 素体7人目
tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1194107706/



662 名前:maledict mailto:sage [2007/11/04(日) 01:41:42 ID:cvRMpq0o0]
↓また新スレに書き込んでしまった。もうだめです。
−−−−−−−−−
……なんか変だと思ったらタイトル直し忘れてました。
(テンプレは直ってますが)

すみません!すみません!

663 名前:過去スレに投下されたSSのご紹介 mailto:sage [2007/11/04(日) 02:04:51 ID:cvRMpq0o0]

■□■7スレ目に投下されたSS・その2 ■□■

◆maledict
tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1179584338/398-414
☆『情念の残り火――改造素体十万八号の記録』 宇宙人に拉致されたOLが改造されたかつての恋人「課長」と再会。
tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1179584338/428-443
☆『侵略者の仮面――奴隷生物九万九千八百八号』 宇宙人に拉致改造された風俗嬢の運命。
tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1179584338/452-460
☆『続・侵略者の仮面――奴隷生物九万八千五百六号の報告』 宇宙人に拉致された少年が改造後、童貞喪失相手の風俗嬢と再会。
tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1179584338/508-546
☆『追憶の改造手術室――奴隷生物九万九千八百八号の誕生』 宇宙人に拉致されたOLの改造と「課長」とのセックス。
tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1179584338/553-560
☆『血吸蝙蝠女』 悪の組織に拉致されチスイコウモリ女に改造された女子高生・ユミコは親友のヒトミを連れて脱走。
tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1179584338/569-573
☆『血吸蝙蝠女Rx』 『血吸蝙蝠女』の雰囲気が違う後日談。ユミコの心理の変化と二人のその後。
tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1179584338/575-578
☆『血吸蝙蝠女《蛇の足編》』 『血吸蝙蝠女』の雰囲気が違う後日談2。二代目チスイコウモリ女の僕たちの伝言ゲーム。
tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1179584338/598-607
☆『アンチショッカー同盟仙台基地壊滅!!(前編)』 アンチショッカー同盟仙台基地職員・広瀬葉子はホヤスズメバチに改造される。
tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1179584338/622-631
☆『アンチショッカー同盟仙台基地壊滅!!(中編)』 ホヤスズメバチは改造ホヤを基地内に放ち構成員をホヤ人間に改造する。
tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1179584338/639-646
☆『アンチショッカー同盟仙台基地壊滅!!(後編)』 ホヤスズメバチと同盟外部構成員・毛里美弥子との対決。

664 名前:maledict mailto:sage [2007/11/04(日) 02:10:09 ID:cvRMpq0o0]
>>663も間違いです。もう寝ます…

665 名前:maledict mailto:sage [2007/11/04(日) 10:29:29 ID:5XrC+pM+0]
立てた新スレ、誤記によりタイトルが「重複」だからという理由で
「重複スレ」扱いの削除依頼を出して改めて立て直すということは
できる(した方がいい/しない方がいい)ものでしょうか?

今日は、午後三時ころまでは時々覗けますので、立て直した方がいいと
思った方は言って下さい。すぐ立てて、不要のスレの削除依頼に行き
不要になったスレには誘導のカキコをしたいと思います。

後半一人でスレを消費してしまったので自分が立てねばと思ったのですが
色々と不首尾で本当に申し訳ありません。

666 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/04(日) 10:41:27 ID:Va35BUt10]
>>665
禁止じゃないが、褒められる事じゃないからそのまま行こう。

667 名前:maledict mailto:sage [2007/11/04(日) 10:48:24 ID:5XrC+pM+0]
>>666様、了解しました。覆水なんとかです。皆様本当にすみません…。

668 名前:657 mailto:sage [2007/11/04(日) 13:46:47 ID:5cbdBmox0]
maledictさんお手数だけど、新スレ=素体8人目で立てて欲しい。
見てわかるとおりで、このスレの寿命が長いからだ。(あとの住人さんが皆そのままでというなら
それでも構わないが)
あと、そんなにわたわたしなくても、maledict氏に悪意もないのは皆わかってると思う。
過失は誰でもあるし、せっかくやってくれてるってのも理解の範疇で収まってると思う、この後も普通にしていてくれれば
自分などはそのほうが気持ちよい。
それから、滅裂なレスに丁寧な返事をどうも、また某所ででも会いましょう(w

669 名前:maledict mailto:sage [2007/11/04(日) 14:44:00 ID:5XrC+pM+0]
>>657
3時過ぎると次いつつなげるか分からないと思い慌てて立て始めましたが
こちらにレスしてからの方がよかったでしょうか
連続投稿を注意されたので今休んでいます。

脳内補完話は次にパソコンを繋いだときに投下します

670 名前:maledict mailto:sage [2007/11/04(日) 15:19:12 ID:5XrC+pM+0]
こうなりました。

おにゃのこが改造されるシーン 素体8人目
tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1194154496/

てふてふちゃんぷるう様のギリーラのところ、解説をちょっと直したはいいのですが
タイトルとURLの順序が逆になっているのを直しそびれました。すみません。

「削除整理」板にも書いてきました。読み直すとなんか657様に頼るような
書き方ですみません。
qb5.2ch.net/test/read.cgi/saku/1116237055/456



671 名前:maledict mailto:sage [2007/11/04(日) 19:15:15 ID:dNP6e+PrO]
携帯からちょっと。

657様
書き忘れましたが、
あんたいい人だね(涙

672 名前:名無しより愛をこめて mailto:age [2007/11/05(月) 23:46:45 ID:+W3UxY860]


673 名前:名無しより愛をこめて mailto:age [2007/11/07(水) 00:36:13 ID:DTQ5Rv7r0]
このスレはあと何レスくらいでいっぱいになるの?

674 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/07(水) 00:48:24 ID:wRo8KZlC0]
>>659で478KBで、674現在484KBだから、SS一つくらいはいけるのかな?

675 名前:maledict ◆sOlCVh8kZw mailto:sage [2007/11/07(水) 15:21:38 ID:IM66WEce0]
>>673
単純な割り算で470/500KB超というと950/1000レスくらいだからと
思って慌てて次を立てたのですが、書かないと埋まりませんよね。
埋め目的ではないのですが、投下するかどうか迷っていた
「THE NEXT脳内補完」の「脳内妄想が少ないバージョン」を
こちらに投下させて頂きます。

676 名前:THE NEXT脳内補完短縮版(ネタバレあり)・1/5 mailto:sage [2007/11/07(水) 15:24:04 ID:IM66WEce0]
 ――これからどうなってしまうのか。まったく先が見えない。
わたしは、わたしたちはどうなるのか?どうすればいいのか?――

 昨日、わたしの勤める会社は秘密組織「ショッカー」の人体実験場
となった。わたしたちの知らぬ間に、社内には「ナノロボット」と
呼ばれる人工の細菌のようなものが散布され、気づいてみると
社員のほぼ全員が苦しみ悶え、肉体を醜く変形させて死んでいた。
実験を生き延びたのは社長と秘書のわたし、たった二人だけだった。
 ジャガーの扮装をした「ショッカー」の男はわたしたちを「選ばれし者」
と呼び、悪趣味にも花束まで差し出した。だがわたしには自分を
そんな風に見ることはできなかった。理不尽な実験の対象に選ばれ、
無辜の命を落としていった社員たちへの哀悼。そんな残虐な行為を行う
組織への怒り。そしてその中で自分だけ生き延びてしまった、という
罪責感のような感情。それらの気持ちが先に立った。

 実験後、わたしたち二人は半ば強制的に自動車に押し込まれ、今いる
施設に収容された。わたしたちは着ている衣服を下着まではぎとられ、
別々に引き離されて、うすぐらい独房のような部屋に押し込まれた。
 部屋の中でじっとしているうち、わたしは、自分の体が少しずつ
自分のものではなくなっていくような、いや、それどころか人間の
体ではなくなってしまうような、不気味な感覚を味わっていた。
 ――否。実のところわたしの体はもはや人間のものではなくなって
いるのだ。あの実験を生き延びたわたしたちの体はすでに「改造」
されており、わたしと社長はジャガーの男と同じ「改造人間」として
生まれ変わっている、というのが男の説明だった。
 生まれ変わった、と言われても、特別に力が強くなったとか、感覚が
鋭くなったとか、そのような自覚はなかった。しかし男によれば
まもなく届けられる「仮面」を着けるとき、改造組織は活性化し、
わたしの体は本来の力を発揮するという。

677 名前:THE NEXT脳内補完短縮版(ネタバレあり)・2/ mailto:sage [2007/11/07(水) 15:25:10 ID:IM66WEce0]
 「仮面」を着けたとき、「改造された人間」は真の「改造人間」
として心身ともに覚醒する。男はそう説明した。そしてわたしはその
「仮面」を着け、「ショッカー首領」に対する「宣誓式」に
向かわなければならないと言われている。わたしは床にうずくまり
ひざを抱え、その恐ろしい儀式への招きがくるのをわななきながら
待つしかなかった。心細い裸体を覆う衣服は与えられていない。
「宣誓式」が終わるまで、服を着ることは 許されないのだ。「首領」
の前で新たな存在へ生まれ変わる、という象徴的な意味があるのだという。
 「仮面」には改造された人間の心を根本的に変えてしまう力が
あるらしい。わたしは昨晩、その様子をまざまざと見せつけられた。
 わたしが見たのは、見たところか弱く優しそうな少女だった。
その彼女に黒い男たちが強引に不気味な「仮面」をかぶせようとしていた。
少女は泣きわめき抵抗した。恐らく彼女もまた、「仮面」をかぶって
しまった改造人間がこうむる変貌を、見知っていたに違いない。
 抵抗も空しく、「仮面」をかぶせられた彼女の肉体は硬直し、
やがてその場に崩れ落ち、泣き声もぴたりとやんだ。しばらく
うずくまっていた彼女は、やがてゆっくり立ち上がると、
誰に導かれることもなく、自ら「宣誓式」へと向かって行った。
 しばらくして、「仮面」を脇に抱えて通り過ぎた彼女の顔付きは、
もはやあの繊細で傷つきやすい少女のものではなかった。その目には
狂気が宿り、口元には冷酷で傲慢な笑みが浮かんでいた。彼女はもう
この施設の他の住人同様、完全な「ショッカー」の一員になっていた。

 扉が開き、異様な人物が姿を現した。私同様裸で、しかし顔だけに、
昆虫を思わせる奇怪な「仮面」をかぶっている。そしてその手には
銀色のトカゲのような醜悪な「仮面」が抱かれている。

678 名前:THE NEXT脳内補完短縮版(ネタバレあり)・3/4 mailto:sage [2007/11/07(水) 15:26:25 ID:IM66WEce0]
 ――ああ、顔は隠れていても、この体は忘れようがない。わたしを
何度も愛してくれたこの体。あの人。風見社長だ。風見社長が、
「仮面」をかぶり、わたしを迎えに来たのだ。改造人間として覚醒し、
わたしをあちら側の世界へ引き入れるために。
「…社長?社長ですね?」
「もうわたしは君の上司ではない。君と共に改造された改造人間の同志、
ホッパーボーグ・ヴァージョン3だ。私はもう宣誓式を済ませた。
これが君の『仮面』だ。これを着け、栄光あるショッカーへの、
永久の忠誠を誓う儀式に向かいたまえ」
 風見社長の声も、狂信と傲岸な自尊心に満ちていた。やはり以前の
彼とは別人だった。たしかに彼は、部下たちの死にわたしほど痛切
には心を痛めていなかった。そして上昇志向の強い実業家らしく、
「選ばれし者」という言葉に敏感に反応してすらいた。しかし、
車の中での社長は「ショッカー」という組織への疑問、その強引な
やり口への憤りもはっきり表明していた。そして以前の彼は
冷静な自己批判の目を決して失わないバランス感覚をもっていた。
だが今の彼にそのような揺れや柔軟性はまるで感じられない。
「仮面」がこの人の心を変えてしまったとしか思えなかった。

「私のようなひねくれ者とは異なり、君のような純粋な女性は
必ずや、ショッカーの崇高な理想への絶対の忠誠を誓えるはずだ」
 そう言いながら社長はわたしに歩み寄り、銀の仮面を差し出した。
「いや!そんなものかぶりたくありません。それをかぶってしまったら、
わたしはわたしでなくなってしまう。そんなのいやなんです!」
 風見志郎であって、風見志郎ではなくなってしまった仮面の男は
わたしの言葉に何の返事も返さず、無言でわたしを壁に押し付け、
強引に仮面の中にわたしを押し込もうとし始めた。奇怪な仮面舞踊。
わたしは恐怖と悲しみの涙を流しながら必死に抵抗した。

679 名前:THE NEXT脳内補完短縮版(ネタバレあり)・4/4 mailto:sage [2007/11/07(水) 15:27:42 ID:IM66WEce0]
「いやです。!やめてください!そんなものかぶりたくない!」
だが、未だ覚醒していないわたしが、覚醒した改造人間の力に
かなうはずはなかった。わたしの顔は丸く開いた漆黒の闇の入り口へ、
ゆっくりと飲み込まれていった。

 仮面が装着されたとき、わたしの体に強烈なエクスタシーが走り、
これまで体験したことのない強大な力が体内から沸き上がるのを
感じた。わたしは最初その強大な力に戸惑い、恐れを感じた。しかし
すぐ、それがほかならぬわたし自身の力であること、そしてその力を
与えてくれた者こそ「ショッカー」であることを、はっきり悟った。
恐怖は消え、この上ない歓喜が込み上げてきた。そして、「選ばれし者」
という言葉の意味を初めて明瞭に理解した。理屈ではなく、
生々しい身体感覚として、その言葉の意味を深く感じ取ったのだ。
 ――そうなのね!これが「選ばれし者」であるということなのね!
このような者たちによって世界を作り変えることがショッカーの
使命!そしてわたしは、その一員として活動する改造人間!!――。
 選ばれなかった者たちへの軟弱な同情心は急速に色あせていった。
地べたをはいずり、そんな感情に囚われていたさっきまでの自分には
決して想像もつかない高みに、今の自分が位置していることが明確に
理解できた。彼らと自分が全く別の存在であることは、もう疑う余地の
ない自明の理だった。ショッカーの偉大な事業への賛美が心を満たした。
 わたしはすっくと立ち上がり、風見社長、いや「ホッパーボーグ・
ヴァージョン3」の方へ顔を向けた。言葉は不要だった。
「覚醒したようだね。さあ、宣誓式へ。君の手足となる6人の
仲間も待っている。旧式だが、優秀な連中だと聞いている」
 わたしは無言でうなずき、宣誓式へと向かった。そこで待つはずの、
偉大なるショッカー首領のお言葉を待ちわびながら。
<…で、冒頭の全裸シーンへつづく>

680 名前:maledict ◆sOlCVh8kZw mailto:sage [2007/11/07(水) 15:41:41 ID:IM66WEce0]
以上、お粗末様です。風見が名乗るシーンも入れました。
現在490越しているのであと十か二十は書けるのでしょうか。
板のためには埋めて落とした方がいいのですよね。
例えば「定番の萌えぜりふを順に言っていく」というのを
提案したら乗って下さる方はいますか?こんなかんじで:

ふっふっふ、そんな名前はもう捨てたわ。今のわたしは…



681 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/07(水) 23:21:38 ID:XJgGS5IzO]
いやだあ!改造人間なんて、いや!離して!お家に帰して!

682 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/08(木) 00:19:15 ID:dN6WvGMF0]
やめてください!改造人間なんて、いやです!
(サソランジン上村美也サンのせりふ。うろおぼえ)

683 名前:名無しより愛をこめて mailto:age [2007/11/08(木) 00:26:40 ID:LQUgYlTz0]
改造されるときふてぶてしい態度で手術台の上にいる女って今までいないの?

684 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/08(木) 02:18:02 ID:4gU1tIhk0]
仮面ライダーNEXTのチェエーンソーリザード、良い感じだな。
www.maskedridernext.jp/character.html

685 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/08(木) 06:08:25 ID:F3MH6dxk0]
>>680
他所からの転載だけど、科学者のセリフで気に入ってるヤツ
           ↓
ttp://www11.ocn.ne.jp/~min-min/IMG_001094.jpg

686 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/08(木) 15:39:31 ID:JvvRJOlS0]
この○○を××すればお前はわが偉大なるショッカーの怪人△△に生まれ変わるのだ

>>683
クモンジンの女版みたいな?
未見だけど以前話が出た「モンシロお蝶」ってひょっとしてそんな感じでしょうか
ttp://www.geocities.co.jp/HeartLand-Poplar/6828/story/story_no44.html

>>684
ノコギリトカゲの雰囲気がけっこう残ってますよね。
そういえば、すがやみつるによるノコギリトカゲの改造シーンがあると
以前読んだことあるんだけど、具体的にどんな感じなんでしょうね

>>685
本郷に言ってたセリフですね。王道ですね。

ときに、>>680から2KBしか増えてないですね。
けっこう先は長いのかな…。

687 名前:maledict ◆sOlCVh8kZw mailto:sage [2007/11/08(木) 16:18:45 ID:JvvRJOlS0]
自分で振っておいてなんなのですが、思ったより減らないので
(ちなみに>>681-682は自分の自演でした)
小品投下します。「血吸コウモリ女《蛇の足編》」で
「(ア)、イ、ウ、エ、オ、カ」まで行った僕たちのその先の話です。その後です。
埋め目的ですが真面目に書きます。
>>684様、>>685様、>>686様、中途半端なお誘いをしてすみません。

688 名前:血吸蝙蝠女《蛇の足編》・カナコの巻 mailto:sage [2007/11/08(木) 16:20:46 ID:JvvRJOlS0]
「わたしはチスイコウモリ女第二号アイコ様の忠実な僕であるイクエ様の
忠実な僕エリコ様の忠実な僕。おまえはわたしの忠実な僕に生まれ変わり
世界征服のために働いてもらう」
「ひいっ…」
 やはりなぜか悲鳴を上げる前にオトエはカナコにしがみつき、その華奢な
体を抱きすくめるとそっと首筋に口を運び牙を突き立てた。呪わしい
ナノマシンと改造細胞が注ぎ込まれ、同時に二人の脳は激しいエクスタシーで
満たされた。セーラー服の下のカナコの肉体は、不意に襲いかかった快楽に
びくんびくんと震えながら、急速に変貌をとげていった。皮膚は死人のような
灰色に、かっと開かれた目は真っ赤に変じ、耳は鋭くとがり、口には新たな仲間を
増やすための禍々しい牙が伸び始めた。先ほどの行為の火照りが冷めやらぬオトエは
そのままカナコを押し倒すとスカートをまくり上げた。カナコはオトエに
なされるがままに身を横たえ、さらにはオトエの荒々しい責めを待望して
身をよじらせ、青い性に火のついた二人はそのまま…
(中略)
 …行為が終わり、あまりの快楽に半ば朦朧としているオトエが命令を発した、
「…ひゅうへつにんひょうカナコよ。しゃいひょの命令ふぉ伝える。へルメスの、
おしゃらを入手し、ひだいなふ第一マスター、アひコしゃまのもとへ届けふのら」

 吸血人形カナコは予定通り学校を抜け出し、駅のトイレで私服に着替えると
銀座に出かけた。自分の買い物よりもとりあえず命令された品を買わねば
ならなかった。だがふと調べると、くすねてきた親のクレジットカードを入れた
財布がなくなっていることに気づいた。トイレで落としたか電車ですられたか
したらしい。
 カナコが困っていると前からジャイアンを女にしたような人相の悪い女が
歩いてきた。しめしめと思ったカナコはおどおどとした態度をとりながら
ジャイアン風の女にわざとぶつかった。案の定女はカナコを脅し、人気のない
路地裏に連れ出した。路地裏にはいると、カナコは早速正体をむき出した。

689 名前:血吸蝙蝠女《蛇の足編》・カナコの巻 mailto:sage [2007/11/08(木) 16:31:40 ID:JvvRJOlS0]
「わたしはチスイコウモリ女第二号アイコ様の忠実な僕であるイクエ様の
忠実な僕エリコ様の忠実な僕オトエ様の忠実な僕。おまえはわたしの忠実な僕に
生まれ変わり世界征服のために働いてもらう」
「ひいっ…」
 多分そろそろ超自然的な力が働き、名乗りを黙って聞いてから悲鳴を上げようと
したジャイアン風の女、キクコののど笛にカナコはしぶしぶ噛みついた。
相手が相手だったからかカナコのエクスタシーはさほどではなかったが、
キクコは猛獣のような声を上げてよがりはじめ、見る間にそのズボンは
愛液でべとべとになった。皮膚と目と耳にお馴染みの変化が起きて、
キクコは吸血人形に変貌を遂げた。あまり関わるのがいやだった
カナコはさっさと命令を発した。
「吸血人形…ええと、誰?キクコ?…キクコよ。最初の命令を伝える。
へルメスのオシャレを入手し、偉大なる第一マスター、アイコ様のもとへ
届けるのだ」

 キクコは基本的に人に命令されるのが大嫌いな女だった。悪の組織の偉大な
科学力は彼女にカナコへの忠誠心を植え付けることには成功したが、それでも
自分で命令を果たすという発想は彼女には生まれなかった。
 通りを物色するとちょっと見慣れない制服の気の弱そうな女子中学生が
あたりをきょろきょろしながら歩いていた。キクコはいいカモが来たと思い、
哀れな少女を路地裏に引きずり込み、正体をむき出しにした。

690 名前:血吸蝙蝠女《蛇の足編》・クミコの巻 mailto:sage [2007/11/08(木) 16:43:41 ID:JvvRJOlS0]
>>689は「キクコの巻」でした
−−−−−−−−−−−
「わたしはチスイコウモリ女第二号アイコ様の忠実な僕であるイクエ様の
忠実な僕エリコ様の忠実な僕オトエ様の忠実な僕カナコ様の忠実な僕。
おまえはわたしの忠実な僕に生まれ変わり世界征服のために働いてもらう」
「ひいっ…」
 「お約束」というミラクルなパワーのおかげで悲鳴を上げられなかった
哀れな少女、クミコののど笛に、キクコは口臭の強い口で噛みついた。
ナノマシンと、改造細胞じゃなくて強化細胞と、エクスタシーだかなんだか
よく分からないものがクミコに注ぎ込まれ、切なく顰められた眉の下の
瞳は赤く変化し、耳は鋭く尖り、白く細い、とても美しい牙が伸び始め、
もともと白く生気の薄かった皮膚が死人のような灰色に変わった。
 吸血によって情欲が再び燃えあがったキクコはまたもけだもののような
声を上げてもだえ、あろうことかマスターの命令を伝えるより前に、
哀れな僕に自己の快楽への奉仕を命令した。クミコはとてもつらそうに
キクコのズボンを脱がせ…
(中略)
「吸血人形…ええと、クミコよ、最初の命令を伝える。ヘルメスのオシャレ着を
入手し、偉大なる第一マスター、アイコ様のもとへ届けるのだ」

 吸血人形クミコは困り果てていた。彼女は北海道からの修学旅行の途中、
仲間からはぐれ、道に迷っている途中だったのだった。(いつの日にか続く)



691 名前:maledict ◆sOlCVh8kZw mailto:sage [2007/11/08(木) 16:50:50 ID:JvvRJOlS0]
…ええと、お粗末様でした。
一応、タイムボカンシリーズのような様式美(?)を踏まえつつ
様々な萌えで変化をつける予定だったのですが、
妙なことになった気もします。現在498KBまでいっています。
かちゅ〜しゃの場合、一番下のステータスバーのところに
現在のKB数が出ることに今気づきました。それでは…

692 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/08(木) 16:58:32 ID:JvvRJOlS0]
次スレ告知のレスから間が空いてしまっているので貼り直します。

おにゃのこが改造されるシーン 素体8人目
tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1194154496/

693 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/08(木) 17:02:01 ID:JvvRJOlS0]
補足情報。アダルトの方の現在のスレは下記。

おにゃのこ改造 BYアダルト10
sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1194080774/

また、まとめwikiは下記に移転しています。
3-5スレ目の作品が読めるようになっています。

ttp://wiki.livedoor.jp/onyakai/

694 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [2007/11/08(木) 17:06:19 ID:JvvRJOlS0]
1-8レスのもとのアドレスは下記です。●持ちならばこちらから見られるでしょう。

女子高校生位の子が改造されるシーン
tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1043884297/
うら若き女性が改造されるシーン
tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1098721763/
おにゃのこが改造されるシーン 3スレ目
tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1104789686/
おにゃのこが改造されるシーン 4スレ目
tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1134819071/
おにゃのこが改造されるシーン 5スレ目
tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1139205739/
おにゃのこが改造されるシーン 素体6人目
tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1159755184/
おにゃのこが改造されるシーン 素体7人目
tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1179584338/
おにゃのこが改造されるシーン 素体8人目
tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1194154496/






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