- 83 名前:こてはん [2021/07/05(月) 00:51:45.95 ID:YSXeFos4.net]
- ガレー船徒刑囚の回想 ジャン・マルテーユ著 岩波書店
5 イギリス軍船との死闘 p156-157 より ・・・わたしの方は、自分が負傷しているのも知らず、まったく痛くもないので 、仲間にいった。 「おい、起きろ。もう、危険はないよ。」 しかし、全然返事はなかった。腰掛のトルコ人は、かつてトルコ近衛兵であり、 これまで一度も恐怖をいだいたことがないと自慢していたのに、ほかの連中と同 じように伏せているので、わたしは冷やかし口調でいった。 「おい。イズーツ。初めて怖がったな。しっかりしろ。起きろよ。」 わたしはそういいながら、助け起こそうとして、かれの腕を掴んだ。しかし、恐 ろしいことだった。今でも、それを思い出すと身が震える。彼の腕は胴体から離 れて、わたしの手の中にあったのである。わたしはぞっとして、その腕をあのあ われな男の胴体に放り返した。・・・・・ その後の著者は大変な苦労を経験したが、英国で保護され幸福を得た。 その英国においてすら、同じように他の宗派に迫害を加えることになるのが・・・・ なにか、この著者の人生の流れは聖書の楽園への道に似ているような気もする。 >聖書は真理の書物だと信じてます そうだね。おれもそう思うよ。聖書がなきゃ、死んでたかもしんない。
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