- 286 名前:竹郷 ◆dx03TDrXVVl0 mailto:sage [2017/06/21(水) 06:57:12.70 ID:Ko9ADdzk.net]
- 「なら、早々に立ち去ることね。彼は複雑な事情を抱えているから。尾行している
んでしょ。貴方、彼に気づかれているわよ」 またしても予想外の質問だった。気づかれないつもりだったのに、さすが敏感な のは彼の今までの努力の賜物なのだろうか。ここまできたら、もう何も考えず 「番長・・・いえ、あの生徒はここで何を」 「ただの治療よ」 妖艶な彼女は席から立ち上がり、何をするかと思えば窓を開け、煙草を吸い始め た。こんな先生がいるとは、私は呆気に取られた。そして治療が嘘なのは一目で わかった。私は質問を続けた。 「貴方は、彼に何かしたんですか」 彼女は返事をせず、黙っている。私は罰を受けた気持ちになり、眩暈をした仕草を 咄嗟にしてしまった。意を決した彼女は 「貴方、そんなに気になるのなら言っとくよ」 「はい」 「彼の・・・弱みを握っているのよ」 「弱み・・・?」 私は怪訝な表情を浮かべた。
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