- 148 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/24(水) 05:23:14 0]
- 「おにぎり食いたい。おにぎり。」
気持ち良く酔っ払って馴染みの店を出た明け方、家へと向かうアタシの足を一時停止させる一本の電話。 久しぶりに聞くその声は、こちらと同じ様に機嫌良く酔っていた。 「持って来てよ。家にいるから」 「え、いいけど、これから飯炊かなきゃなんないから遅くなるよ?」 「いいよいいよ、待ってる」 「わかった。じゃあ後で」 はいはーい、と一旦別れを告げて携帯をポケットに押し込み、再び歩き出して数メートルが過ぎた頃、 開口一番『おにぎり食いたい』って何よ、と、思い返してそう呟いたアタシの顔には、誰かが見てたらきっと指さして笑われちゃうであろう程に満面の笑み。 久しぶり、とか元気?とか、そういった類の言葉よりまず「おにぎり」。 どんだけ腹減ってんだ、と言うかその前にこっちが寝てるかもとか考えなかったのか、と思いつつも、 「おにぎり」でコンビニよりもまず先にアタシを思い浮かべるあの人、 を思い浮かべて、気分は増々良くなる一方。 人に必要とされるのは嬉しい。相手があの人なら尚更。 例えおにぎり要員だとしても、だ。 「…かつお節あったべか」 アタシはおにぎり要員としての使命を果たすべく、コンクリートをバタバタと蹴り返して家路を急いだ。 ------------------------------ 終
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