[表示 : 全て 最新50 1-99 101- bbspinkのread.cgiへ] 2chのread.cgiへ]
Update time : 12/18 01:25 / Filesize : 108 KB / Number-of Response : 185
[このスレッドの書き込みを削除する]
[+板 最近立ったスレ&熱いスレ一覧 : +板 最近立ったスレ/記者別一覧] [類似スレッド一覧]


↑キャッシュ検索、類似スレ動作を修正しました、ご迷惑をお掛けしました

右塔フ菓子20



1 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー [2013/09/09(月) 08:50:51.22 0]
このスレ内で語られる内容は完全なフィクションです。
実在の個人及び団体とは一切関係ありません。

 ∩ ∩
(`皿´) <なんだよwおいでw
./σ ヽσ  
(し′/し′
.\\\
 。\\\
 +///+ 
゚///+゚。
(_)_)゚

2 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/09(月) 11:05:46.13 0]
>>1乙!
ありがとう!

3 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/09(月) 11:10:15.49 0]
いちおつ!
[=.・з・](*´・ω・)ミ*`_ゝ´彡<新スレ祝いに…
つギネス マルボロ プリン

4 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/09(月) 23:50:18.26 O]
19が1000まで埋まった! めでたいめでたい! [=.・з・]人(*`皿´)ノ

5 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/10(火) 17:14:28.74 0]
新スレって久しぶりすぎてなんか新鮮w
よかったねアベくん

6 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/10(火) 21:17:19.27 0]
新スレ記念に。
―――――――――――――――――――――――――――――
 毒々しい血の色よりもそれを連想させるこっくりとした赤色、そのマニキュ
アを丁寧に短い爪に塗っていく。
 彼の大きな手を取って、長い指の切り揃えられた爪は、たちまち知らない誰
かの顔になってしまう。似合わねえよ、と露骨に眉を寄せて嫌そうに吐き捨て
る彼も、まあそう言わないで、とやさしげな声をかける俺も、今夜は酔ってい
る。
 ただ、飲んでいた場所はふたり別々だった。
 そして彼は俺の知らない香水の匂いをさせている。
「お前のが似合うって」
「アベ君塗るの下手くそそうだからダメ」
「オレの指、ささくれてんじゃん。ウエノの指の方が断然キレイだって」
 俺のアベ君はどこもかしこもキレイだよ、と言ってみれば、猫の目で薄く笑
った。
 真夜中。
 月の光もどこかへ消えた夜。
 いつものように酔って俺の家の玄関を叩いたアベ君は笑っていた。どこぞで
飲んでいたらしい、酔っ払いらしく名前も知らないような女を食ったらしい。
 女って勝手に濡れるから楽でいいな、と無邪気に感心していた。
 まあねえ、と答えた俺も今夜は女を抱いていた、確かに男とは違うやわらか
さで、鳴けよ、なんて言わなくても勝手に鳴いてこちらの劣情をそそってくれ
た。
 アベ君のポケットには女がマーキングのためにでも忍ばせたのか、銀のリッ
プケースに入った口紅。
 うちの絨毯の上には、同じく女が落として行ったと思われる真っ赤なマニキ
ュア。
 人間のメスは縄張り意識が強いのかねえ、なんて笑って、そしてアベ君の手
を引いた。マニキュアを塗りたかったのは、多分それが似合わない彼に安心し
たかったから。
 彼が、女の代わりでないことを、確認したかったから。

7 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/10(火) 21:31:19.70 0]
 ヒゲなんだからさ、と文句を言う俺を無視して、アベ君は嬉々としてこちら
の唇に口紅を塗る。
「似合ないも甚だしいって」
「本当に似合わない……あ、はみ出した」
「はみ出させんなよ……」
 これ、さっきあんたが抱いた女のなんだろう? そんな女と間接キスかよ嫌
だなあ。そう言ってみれば、アベ君ははたりとまばたきをして俺の目を見る。
視線が絡んで、それは空気の密度でも濃くしてしまうのかそれとも逆なのか、
ひどく息苦しくさせる。
「勝手に間接キスなんてしてんなよ」
「や、ちょっと待てって、アベ君がさせてんだって」
「ダメ。ウエノはオレの」
 カン、と乾いた音がした。アベ君が口紅を投げ捨てたのだと、視線で追って
ようやく知った。なにしてんの、と笑おうとしたのに、真っ赤な爪の手が伸び
てきて俺の頬と顎の部分を包んでしまったからできなかった、彼の影が落とさ
れて唇が奪われる。舐められる。
 強引に割り込んできた舌が、アルコールの匂いのする息を絡める。出口を捜
して滅茶苦茶に暴れる獣みたいに、アベ君の舌が俺の口内を犯す。舌が絡むど
ころの騒ぎじゃない、暴動だ。小さな暴動。でも確実に息は上がる。
「ちょっ、待っ……」
「待たない」
「アベ君、」
 唇は離されたけれど、額に額が押し当てられた。微かに引っ掛かる視界の隅
で、彼が俺の目を覗き込んでいる。乱暴に唇が拭われた。彼の手に、かすれた
血のように移るルージュ。それは、真紅。

8 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/10(火) 21:54:04.20 O]
二塔…!

9 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/10(火) 22:17:34.05 0]
「女なんか、抱くなよ」
「それはこっちの、セリフ」
「オレはいいの、ただの発散だから」
「俺だって発散だっての」
「オレで発散すりゃいいじゃん」
「……アベ君、無茶苦茶言ってんの分かってる?」
 分かってない、と拗ねたような声をしていたのは気のせいだろうか。
 じゃあする? と聞いてみる。
 他の女と間接キスしたお前なんて、と彼が目を細める。
 マニキュアの持ち主の方とは直接関わったのに、そっちはどうでもいいらし
い。変な思考。分かる気はするけれど。だって、時々、それはほんの時々だけ
ど、直接キスするよりアベ君の飲み残しのビールに口をつけたときの方がはる
かにときめく、そんなときが俺にだってある。

 黒いシャツのボタンをはずして、白い肌に指を走らせる。
 右胸、乳首のわずかずれた下に気胸の手術痕はある。それは微かに盛り上が
っていてつるりとした手触りをしている。
 そちらを撫でている振りをして、指の腹をすべらせたかのようにして突起を
刺激する。
「あ……っ、」
 こぼれた声が甘くて、俺の頬は持ち上がる。にやけてしまうのは、どうやっ
たって女達にはアベ君のこんな声を出させられないと知っているからだ。
 ああ。
 俺も嫉妬してるんだ。
 自分のことは棚に上げて、彼が女を抱いたということに。
 男と女では身体が違う、そもそも受け入れるものとぶちこむものなのだから、
磁石の同じ極同士が引きつけ合って求め合いくっつくなんてこと自体がおかし
な話だ。

10 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/10(火) 22:59:46.25 0]
 だけど俺達は惹き合う。
 それは男とか女とか、入れ物としての身体を越えてしまったところで。
 アベフトシという魂を。
 ウエノコウジという魂が。
 シャツを首から引き抜くように脱いで投げ捨てた。そのままの勢いでアベ君
のベルトに手をかける。タイトな革パンの前はもうきつそうに張り詰めている。
 解放されれば楽だろうに、彼はいつもそこで恥じらう。外見に似合わず。そ
して俺は嗜虐と愛しさとが混ざって、アベ君を滅茶苦茶にしてしまいたくなる。
うんとやさしくしてやりたくなる。
 オレばっか攻めてんなよ、と彼の手が伸ばされる。
 寝ようとしていたから灰色のジャージ姿だった、だからスウェットはゴムで
簡単に引きずり下ろされてしまう。
「あ、勃ってる」
「勃ってるに決まってんだろ」
「やったんじゃないのかよ」
「女?」
 そう、とアベ君が小さく頷いた。赤い彼の爪がボクサーパンツ越しに俺を撫
でる。硬くなったものの輪郭をなぞって、少しずつ力を入れる。
 鼻から甘い声と息が抜けた。
 彼の手。
 彼の指。
 けれどいつもと違う、毒々しい色を爪に纏っただけなのに、それは知らない
誰かの手になる。よく知る動きをなぞっても。それは興奮と共に小さな恐怖も
連れてくる。
 子ヤギを誘い出すために、母親の声を真似た狼。
 これは本当のお母さん?
 これは、本当の、君?
 間違えないと心に誓っても、騙される現実はある、愛されていると、愛して
いるとそれが同じだけの力で引き合っていると、釣り合っていると、信じてい
るのがもしも自分だけだったらどうしよう。
 アベ君の手が。
 俺を追い詰めようとして焦れる。下着に手をかけて。引きずり下ろそうとす
る。



11 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/10(火) 23:15:40.87 0]
「待てって、」
「待たない」
「なんか……そんな爪してると、アベ君じゃないみたいで変」
「お前が塗ったんだろうが」
 くつくつと喉の奥で笑う彼の顔を見る。
 キスをねだったわけじゃないのに、唇が。ゆるりと触れる。
「俺、まだ口紅、ついてる?」
「ついてない、もうお前はお前の唇の色、してる」
「アベ君」
「なんだよ」
「抱かせて」
 じゃあ今やってんのはなんなんだよ、と軽口をたたくその唇を塞いで舌を差
し入れる、ベッドの上で身を返してアベ君を組み敷く。はだけたシャツから覗
く肌にくちづけを落とす、軽く開いて吸いついて、小さな面積できつく痕を残
す。赤紫色の小花が、白い肌に散る。
 左手で彼の腕を押さえつけて、右手で先ほど緩めた下半身、布のすべてを潜
り込んで直に触れる。色付いた息が、彼から洩れる。それが、俺を高ぶらせる。
 触って。
 握り込んだ熱の重量。
 確かにここにあるという存在感の誇示。
「ウエ、ノ……!」
 ゆるゆると扱けばアベ君が切なそうに身をよじる。
 張り詰めたそれは何もかもを狭く感じさせて、解放されたくて仕方ないとで
もいうように俺の手の中で脈打つ。すでに滴りそうな、ぬめり気のある液体が
俺の手の中で卑猥な音を立てる手助けをする。
「脱がせる? 手でする? 口でする?」
 意地悪い声をわざと作れば、彼は俺の手を振りほどいて両手を伸ばしてくる。
俺の首に絡めて、もっと、とねだる。
「気持ち、い……い……」
「このまま一回イっとく?」
 やだ、とアベ君が首を横に振ったから、俺は彼のものを握る手に力を加えた。
親指の腹で強めに撫で上げる。アベ君の口から意味のある言葉はもうこぼれて
こない。ああ、と深い溜息のように、淡く色づいた欲情がそのまま落ちる。

12 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/11(水) 19:18:40.10 0]
 肌を重ねて。
 体温を共有し合う。
 元々の温度は違うはずなのに、それはいつしか混ざり合う。
「あっ、……あっ、く、ウ、ウエ……ああっ、ウエ、ノ……!」
「イって」
「や……やめ、あっ、……いや、だっ……エノ……っ、」
「アベ君……おかしくなって、イって」
 頭を真っ白にして、俺のこと以外考えられないようになって。
 意識も飛ばして、俺のことだけ欲しがって。
 俺の。
 俺の、どうしても一番、好きな人。
 他に女を抱いても満たされない想いが、まだ交わってもいないというのにこ
の人に触れるだけで埋められていく。
 それがなにか間違っていることなのだというのなら、俺は正しいことなんて
なにひとつ知らないままでいい。
「アベ君……」
 俺は彼の耳元に唇を落とす。
 くちづけの雨を降らせる。
 彼の手の甲にかすれて残る真紅に、俺は嫉妬している。あれを消してしまい
たい。この手に触れていいのは俺だけだ。この指が触れるのは、俺と彼の大切
なギターだけだ。他のものはなにも。なにも、触れさせたくない。
 追い詰めているのにアベ君は荒い息のまま俺の頬を両手で包んだ。
「ウエノ……」
 なに泣きそうな顔してんだよ。彼は途切らせながらの言葉をこちらに向けて
微笑む。
 そして、熱い息のまま俺の唇を、奪った。
――――――――――――――――――――――――――――――
お粗末さまでした、お付き合いありがうございます。

13 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/13(金) 11:58:30.78 0]
乙!ありがとう!
カラダ的にはウエアベなのに、精神的にアベウエな感じがすごく好きだ

14 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/15(日) 12:59:58.08 0]
過疎っているうちに。なんかいつも[=.・з・]が乙女でごめんなさい
そしてエロくもなくてごめんなさい
――――――――――――――――――――――――――――――――
 桃を食おうと言い出したのはどちらからでもなかったけれど、台所で熟れて
やわらかな香りを放つ白い肌を見ていたら考える前に手が伸びていた。
 絡まり合った後のけだるげな腕にナイフと白桃、アベ君はソファの上で黒い
ボクサーパンツだけ身につけてだらりと仰向けになっている。
 似たような格好で咥え煙草、俺は自分の匂いでもありアベ君の匂いでもある
紫色に透ける白い煙を唇の端からこぼす。
 なに、といつもより細められた視線が向けられて。
「痴情の縺れによる殺人ごっこ?」
「嫌だねえ、アベ君と刺し違えるの」
 桃食う? と聞けば、ぼんやりとしたまばたきの後で彼が小さく頷いた。
 長々と寝そべるアベ君の脚は見事にはみ出していて、俺は彼の腰の上にまた
がる。
「重くない?」
「誰が? 羽みたいに軽い」
「嘘吐け」
 はは、と笑われて、騎乗位みたいだと言われた。
「たまにはウエノに突っ込みたい」
「いいけど、アベ君強引そうだから」
「いや?」
「俺のがテクニシャン」
「言ってろよ」
 彼がやわらかく笑うのは、多分少し眠いせいだ。

15 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/15(日) 13:21:41.14 0]
 桃の割れ目に沿ってナイフを入れる。
 くし形に切って、皮をはぐように剥く。灰皿を寄せて皮を落とすと、甘い香
りが漂う。
「灰、落とすなよ」
「うん。口開けて」
 素直に開けられたアベ君の口へ、桃の一切れを落とす。ナイフに乗せたまま
すべらせたので、彼の目が少しだけ真剣になるのがおかしい。
「美味い?」
「甘い」
 彼の手が伸びて、白い指が俺の唇からタバコを奪った。ひと口吸ってから、
眉を寄せる。そのまま灰皿の方へ見当をつけたらしく、投げ込んだ。
 俺はそれをまた取り上げて、ガラスの底面に押しつける。
「どうしたの」
「桃が甘かったから、タバコが不味い」
「口直しする?」
 うん、とアベ君は再び口を開ける。
 まだ桃は剥けていなかったので、俺は身体を折りたたんで彼の唇にくちづけ
る。
「……そうくるか」
「待ってよ、今剥くから」
 すぐに身体を起こしたのは、刃物が危ないからだ。ナイフを持つ方の肘でソ
ファを押して、桃を持つ腕でバランスを取って。
 次を剥けば、雛のように口を開ける。
 俺は次々に果肉を種の部分から切り離していく。皮を剥く。
 甘い香りが広がって、空間を侵食する。俺の手はべたつく桃の汁で汚れる、
腕をとどまらなかったそれが伝う。
「そんなに美味い?」
「喉が渇いてたのかもな」
「そんなに鳴いたっけ」
「そんなに鳴かされたよ」
 お前に。
 アベ君が目を細める。彼の形いい、少し尖った鼻を見ていたら、なんだかた
まらなくなって自分の腕を近付けた。

16 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/15(日) 13:52:31.90 0]
「なに」
「匂い」
「ああ、桃の」
「美味そう?」
「うん?」
「俺も、美味そう?」
 美味そうだよ。
 彼はそう言ってナイフを握ったままの俺の手首を取る。寄せられて、舌が伸
ばされる。
 赤く尖らせた舌が、俺の腕を。舐める。
「……甘い?」
「ウエノの味がする」
「桃の汁だよ」
「ウエノの肌の、味がする」
 いいな、と俺は答える。
 俺にも味あわせて。
 俺には、あんたの肌のがいい。

 包丁は持たない、と言うアベ君に、剥いた最後の桃のひと欠片を渡した。口
に入れてやらなかったので、意図を察したのだろう。俺がナイフと種をテーブ
ルに乗せ終わるのを待って、こちらの口に近付ける。
「あーん、ウエノ」
「あーん、って。なんかな」
「ウエノっぽい?」
「俺?」
「ウエノはいつも、オレをそんな感じで甘やかす、」
 ……気がする。
 アベ君の語尾は桃の香りがする。
 口の中に常温の桃がすべり込む。甘い香りが鼻に抜ける。アベ君の指をその
まま舐めた。軽く歯を立てると、彼は笑った。
「オレは食えないよ」
「食っちゃいたいほど可愛いよ」
「や、オレは可愛くないだろう」
そんなこともないんだけれど。俺の目にはこの細く黒い、長身の男が可愛く
て仕方なく映る。
「じゃあ、食いたくなるほど好き」
 どっちの意味でだよ、とアベ君が言う。
 どっちの意味でもだよ、と俺は答える。

17 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/15(日) 15:52:08.24 0]
 彼は俺の桃に濡れた手を取って、丁寧に舐めていく。伸ばされた舌の、ぬる
りとした感触。この舌が俺の口の中で暴れたり、俺のものにおずおずと絡んだ
り、喘いで軽く開いた口からそっと覗いたりする。それを、俺はよく知ってい
る。
 同じように、アベ君が、俺の舌がどれほど丁寧に彼を味わっているのか、い
つも、いつも、細胞に染み込ませるように記憶したがっているのかを、知って
いればいい。知らなくても、いい。多分、知らないだろう。
 愛されることに溺れて欲しい、ゼリーの海でもがいても沈んでいくしかない
ように、俺の愛で溺れて。窒息して。俺がいなければ生きていけないくらい、
沈み込んで、呼吸も忘れるくらい。溺れて、溺れて、溺れて。
 なんて。
 言わない。
 俺はけして言わない。
 それは誰にも秘密の欲望、口にしてしまえば格好悪くなる、俺は大好きで大
切な彼に逃げ場をきちんと与えてあげたい、這いつくばってまですがりつきた
い俺の気持ちは、それはまた別の問題で。
 もしも彼が俺以外の誰かを愛することがあるのなら、いつだって鳥かごの鍵
は開けておいてやりたいと思う。
 それがただのやせ我慢であっても。
 恰好つけた負け犬の強がりであっても。
 俺は。
 俺、は。
「ウエノ?」
「……あ、」
「なにぼけっとしてんだよ、オレの舌使いはそんなに上手いかよ」
「ああ、うん、上手い。上手いよ」
「……ムカつくなあ、お前。くそう、桃の汁結構べたつくもんだな、どうする、
もう一回、」
「もう一回、する?」
「……なんでそうなるんだよ、シャワー浴びるかって話だっての」
 浴びる。
 言いながら俺はアベ君の腕を取る。
 桃の香りがする指を丁寧に舐めてやる。人差し指、第二関節の辺りにくちづ
けて、舌を這わせる。親指を、アベ君のものでもしゃぶるかのように音を立て
て口の中で弄ぶ。

18 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/15(日) 16:28:44.70 0]
「……やめろよ」
「その気になるから?」
「……なんかお前、泣きそうだから」
「泣き……そう?」
 桃が甘すぎたな、とアベ君が小さくあくびをした。
 甘すぎたから、きっとなんだか泣きたくなったんだろ。
「そんなもん?」
「そんなもん。やっぱシャワー面倒」
「うん」
「舐めて」
「え?」
「ウエノが舐めて、全部キレイにして。オレ、そんで寝る」
 人の家のソファだと思って、べたつくのなんてどうでもいいんだろうと言っ
てやったら、猫みたいな顔をして笑った。口角が上がる、機嫌がいいときにだ
け見せる、目尻の下がった猫。
「ウエノ」
「なに」
「好きだ」
「……なに、」
「桃が甘かったから口がすべった」
 俺はアベ君の手を取って指を絡ませる。舐めてやんないといけないのはオレ
の方だったか、とおどける彼の、その唇にくちづけを落とす。
 俺も好き。
 あんたのことが。
 俺も、好き。
 桃の香りが空間を満たす、俺とアベ君の間の空気はきっと薄ピンクのそれに
染まってしまって甘くべとつく。
 うん、と。
 頷いて、俺がもしも泣きそうだとしたらそれはあんたを好き過ぎるせいだよ、
という言葉を口にしないまま、ただもっと深くくちづけた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
お粗末さまでした。

19 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/17(火) 17:00:30.31 0]
おつ!桃食べたくなった!

20 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/19(木) 20:45:59.77 0]
本日中秋の名月ですね。ってことで。
――――――――――――――――――――――――――――
 月がオレを追いかけてくるから。
 だったら逆に月を追いかけてやろうと。
 そう思ってただ夜を歩いた、明るすぎる月光が星達を巻き込んで見えないは
ずの雲のふちなんかを白く浮かび上がらせている、暗闇ではない夜を。
 あの浮かび上がる雲のふちを見ていると、小さな頃作ってもらったホットケ
ーキを思い出す。店で出てくるようなふっくらしたものではなく、母親が小麦
粉と砂糖と卵と牛乳あたりを適当に混ぜてフライパンで焼いたやつ。焦がした
バターでふちがカリカリになる、あの薄っぺらい甘さの。
 月の野郎を追いかけていたのにオレの足はなぜだか知っている通りを歩いて、
気がつけば茶色い髪をした男が住むよく知ったマンション前に出る。
 なんだよそれは、と思うのに月は冷たく笑って、つかまえてごらんよ、とで
も言うように空の高いところに引っかかっている。だからオレも高いところに
行かなきゃならない気がして、階段を上った。

「……で? 月についてきたら俺んとこに着いたって?」
 なんだよそれ、と呆れた口調ながらも唇が持ち上がってしまっているウエノ
がオレを招き入れる。
 日中雨がすごかったからね、と奴が言う。
「随分涼しくなっちゃってるから、ビールじゃなくてコーヒーでも淹れたげよ
っか」
 オレはなにやら注ぐような手付きをしたウエノの手首を黙って握った。
「アベ君?」
「……むかつくから」
「なにが?」
「あれ、取ってくれよ」
 空いている手の人差し指でくっきりと指した満月に近い月。
 無理難題を言っているのは百も承知で、ただなんだかこのままだとオレがウ
エノに会いたかっただけみたいになっているのがどこか腹立たしくて、それで
そんな我儘を言ってみる。



21 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/19(木) 21:08:55.48 0]
 月? 
 ウエノはさすがに困ったような声を上げて、そしてオレの溜飲を軽く下げさ
せる。
 こいつにもできないことがあるんだ。 
 あんたの我儘は何でも叶えてあげたいんだよ、なんていつでも余裕のある笑
顔しか見せないこいつにも。
 オレばっかりが好きみたいで時々苦しくなる、オレばっかりが甘やかされて
いるのはこっちがウエノを好き過ぎてギリギリだからじゃないかといつでも思
わされる。
 好き、の度合いが高ければ高いほど胸が痛むのは、きっと第三者にはっきり
と恋人として紹介し合えない仲だからなのかもしれない。
 だって、口に出さなかった片想いはどこへ行く?
 秘密の恋人同士が誰も関係を知らないままふたりの仲を冷やしてしまったら、
そこにあったはずの恋はなかったものになってしまわないか?
 存在しているのに、存在しないもの。
 誰かが知っていてくれなければ、当事者同士が忘れようと心に決めた時点で
薄れて消えてしまう恋。あったのに、なかったことになってしまう、それが。
 怖い?
 怖い。
 保障がないということが。
 こんなに心細いとは知らなかった。
 たとえば茶色い枠のただの紙切れだとか。金ばかり掛かるアホみたいなお披
露目式だとか。
 
「アベ君?」
「……いや、悪い、なんかちょっと考えすぎっていうか、ここんとこ上手く眠
れてなくて、頭悪くなってんだ」
「あ、ねえ、月欲しいんだろ? ちょっとおいで」
 は? と聞き返したオレの手を引いて、ウエノは流しに向かう。何事かと思
っていれば、でかい鍋を取り出して水を張った。
「はいよ、悪いけどベランダの鍵開けてくんない?」
「……は?」
 分からないながらも言われたとおりにしたら、今度は外に出ろと言われた。
それも素直に従うと、ウエノも続いてベランダの外へ出る。

22 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/19(木) 21:49:23.77 0]
「こっちじゃないな」
「おい」
「ちょっとアベ君そっち寄って」
「なにしてんだよ」
「いいから、あ、よしよし、ほら鍋覗いてみ?」
 言われて素直に覗いてみる。小さく波打つぎざぎざした水面に、ゆらりとゆ
らいで月が。浮かぶ。
「あ、」
「さ、お月さん捕まえたから、あとはアベ君が好きにしな」
「……なんだよ、お前」
「うん?」
「くそう、なんだよ、もう、なんなんだよ!」
 アベ君? とウエノの不思議そうな、それでいて恐る恐るといった感じの声
がオレの名を呼ぶ。
 もう月なんて要らねえ、と言ってみれば、拗ねているだけだと分かっている
だろうにウエノはベランダの柵越しに鍋の水を一度にこぼした。
「……あ、」
 少し遅れて、ばしゃり、という音が聞こえる。
「はいよ、お月さん逃がした。寒いから中入るか、コーヒー淹れるからさ。ア
ベ君眠れないんだったら泊まっていきなよ。俺、アベ君の睡眠導入剤だからな」
 水滴の滴る、ひっくり返したままの鍋の底をぽんぽんと叩いて、ウエノは室
内にオレを促す。絶対に自分から先に入ったりしない。絶対オレを優先する。 
 ごめん、と小さな小さな声で言って、俺はウエノのシャツの裾を掴んだ。
「どうしたの」
「……ごめん」
「月は要らなかった?」
「……月なんて、どうでも良かった、オレ、お前に会いたかった」
 うん、とウエノが頷くと同時に鍋は落とされて、そして奴の腕は伸びてきて
オレのことを抱きしめる。ガランガラン、クワンクワンクワン、と鍋が苛立っ
た音を引きずって立てる。

23 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/19(木) 23:37:35.86 0]
「……会いたかった」
「いつだって会いにくれば良いじゃん」
「でも、オレばっかお前の家に来てて、なんか、オレばっか、お前のこと、好
きみたいで、」
 言葉が頭を経由しないで勝手にこぼれる、そのせいかなんだか涙腺がじわり
と緩められて視界がにじみはじめる。なに言ってんの、オレ。なに女みたいな
こと口にしちゃってんの。
 恥ずかしくなって逃げようと思ったけど、ウエノの腕は簡単にオレを放して
くれたりしない。どうせ逃げられないなら、とオレはウエノの背中に手を回し
た。ぎゅっ、と力を込めて、奴の首筋に自分の顔を押し付ける。体重を、かけ
る。
「アベ君、好きだよ?」
 知ってる。
 お前がオレのこと、好きでいてくれるのは知ってる。でも、それってどれぐ
らいの「好き」? そんなことを聞いてみてしまいたくなるくらい、オレはウ
エノが好きで仕方ないってことなんだろうか。眠れない夜の半分はお前のせい
だよと言ってみてもいいものだろうか。
「……アベ君?」
「うるせえ」
 もっと。もっとうるさくして欲しい。もっと、もっと、好きだとずっと、言
い続けて欲しい。
「……泊まってく」
「うん、俺アベ君寝かしたげるから」
 不意にウエノの腕が緩んだから、オレは顔を顔を上げた。ウエノの首筋に頬
を押し当てるために軽く曲げていた膝も伸ばそうとしたけれど、それは叶わな
かった。
 奴が、くちづけてきたから。
「……アベ君、」 
 唇に触れて、触れて、ただ触れるだけの繰り返し、その合間にウエノはオレ
の名前を呼ぶ。
 うん、と返事をしながら、オレは目を閉じた。
 ああそうだ、後でウエノにホットケーキでも焼いてもらうことにしよう。
 今日の月みたいに丸いやつ。そしてふたりで食うんだ。
 どんな味がしてもオレは甘いって言うことに決めた、それでもう一回ウエノ
がキスしてくれるのを待っていた。

24 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/20(金) 03:03:49.44 0]
お粗末さまでした。アベ君もお月見したかねー。

25 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/25(水) 14:21:59.87 0]
ありがとう〜かわいかった!

26 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/25(水) 19:43:19.25 0]
過去のssの影響もあるかもだけど、アベと月ってイメージが重なるんだよなあ

27 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/26(木) 14:52:01.66 0]
磔磔のDVD出たねえ!! アベ、もっと笑ってくれててもいいんだよ・・・

28 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/26(木) 18:23:33.77 0]
磔磔のDVD家に届いたんだけど、なんだか見るのこわいんだよね
フトツは笑ってないの?
かっこいい?かわいい?エロい?

29 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/26(木) 21:45:30.87 O]
フトシ格好いいよ! でも怒ってるみたいな顔のが多い気がする…
エラさんがベースキスしたりにこにこしてる場面が多い気がするから、対比の問題なんかな…

30 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/26(木) 22:45:34.14 0]
わりと挑戦的な表情が多かったね
ただ自分は色気的には
汗もかかずにギター弾いてる

胸元のボタン開いた

アンコールで腕捲り
の過程でやられた…
フトツ胸板薄すぎ…orz



31 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/27(金) 08:58:35.39 0]
ああもう、本当にあの腕まくりは・・・!
最初から半袖なのより萌えるのはなんでだろう、フトシ可愛いよ
開いたシャツから覗く胸元、チラリズムだよ、フトシ・・・!

ラストツアーだからなのか、気のせいなのか、淋しい感じの
顔にも見えるのが、萌えるんだけど切ないよ、フトシ・・・

32 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/27(金) 13:03:05.22 0]
腕まくりはヤバいよ!
ほっそい腕なのに、ギターを弾くためだけにある筋肉の盛り上がりなんか確認しちゃうともう…!

33 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/27(金) 15:31:02.15 0]
そ、そんな細いけど筋肉のある素敵な腕で、
誰にすがりつくんだいフトツ…!

34 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/09/29(日) 16:46:01.80 O]
黒ワイシャツのボタン外した胸元の蒼白い絶対領域プライスレス

35 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/03(木) 15:31:16.16 0]
SHIBUYA RIOT今日からですね! アベくーん、会いに行くからねー!

36 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/04(金) 10:46:16.15 0]
SHIBUYA RIOT初日行ってきた
展示物の写真撮影OKだったんだが
後で撮った写真見たらフトツ関連の写真がすごく多くて
我ながら好きだなあと笑ってしまった
YOYOGIの映像がずっと流れてたんだけど
あの時のアベくんほんと格好いいな〜

37 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/04(金) 11:33:39.93 0]
>>36さん
展示物撮影OKなんですか!
嬉しい情報をありがとうございます!

うわーい来週行けそうだから、田舎からのこのこ出かけるw
ラグランとか欲しいけど、サイズは小さめなんだろうか、
大きいんだろうか…あー、楽しみ!

38 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/04(金) 20:33:46.38 0]
渋谷暴動2日目行ってきた
今日の上映コーナーはデビュー2ヶ月目と97年のライブ映像だったよ
何度来ても楽しめるように日替わりか数本ローテーションなのかも
短髪でキレキレな演奏かつ脚蹴り上げたりアクション大目なフトシ可愛かった

39 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/04(金) 20:57:30.40 0]
RIOT高松でもやるらしいね

40 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/04(金) 21:28:33.81 O]
今日行ってきた!
アベのアンプセッティングは本番もあれなのかな?
それにしても5号機綺麗なままだった

会報読めると思ってなかったしひよこ時期が拝めてよかった!
年賀状…!
上演も若いフトツの笑顔がたまらんかったです



41 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/05(土) 15:33:25.30 0]
>>37
二日目の昼過ぎに行ったらラグランはSサイズしか残ってなかった。
サイトのグッズ情報ではS/M/Lと書かれてるけど、実際はXS/S/M。
Sだと156cm細身の私にはぶかぶか、萌え袖になるから諦めたよ…
最近の商魂逞しさからすると会期終了後に通販しそうな気がするから期待してる

42 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/05(土) 18:19:55.93 0]
>>37>>41
今日行った友人によるとラグラン完売だそうだ
再販希望しとくか

43 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/05(土) 22:46:16.04 O]
店員さんに聞いたらいつになるか分からないけどTシャツは再入荷するから大丈夫
電話で問い合わせてくれれば取り置きは出来ないけど確認は出来るよ

44 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/08(火) 11:37:56.79 0]
ふおおおお、みんなRIOT行ってんのねー
田舎暮らしには羨ましい…
ああどうかやっと行ける体育の日にはTシャツ再入荷してますように!
どうでもいいけど、「体育の日」ってミッシェルに似合わんなーw
あ、でもキュウちゃんとかラグビー部か
フトツも野球やってたんだもんなぁ

45 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/09(水) 18:31:33.59 0]
自分東京なのにすっかり出遅れてる!
週末行くけど混んでるかな

最近TVでいっぱいミセル特集やってて当然すべて見てるけど、
あれから10年も経ったんだと思うとしみじみしちゃう
でもフトツ愛は何も変わってない(キリッ

46 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/11(金) 01:37:52.21 O]
10年前の今日だね
でもなんにも終わってないよ
なんにも変わってない
フトシ、愛してるよ
ずっと大好きだよ

47 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/12(土) 11:40:02.88 0]
昨日はラスヘブ観てめそめそ泣いてしまったよフトシー

48 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/12(土) 15:34:27.21 O]
ラスヘブ開幕前のドキュメント映像よかった〜
フトツは美人だなぁ

49 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/16(水) 09:18:45.52 0]
やっとRIOT行ってきたよー、うっはー、フトシ! 
美人フトシ写真とかでいっぱいいたけど、やっぱ
ギターばっかに目が奪われた

50 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/20(日) 00:40:30.70 O]
今日でRIOTも最終日か…
行ける方、フトシに愛を叫んできてね!



51 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/22(火) 14:47:58.46 0]
(`皿´;)<キュウのスネアヘッド、誰だよ盗んでった奴・・・
(´・ω・)<返してもきゅ・・・

52 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/22(火) 15:58:10.59 0]
ほんとひどい事するヤツいるよなあ…
自分はアンプの上にパラパラ置いてあったドクロのピックが欲しくてたまらんかった!

53 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/23(水) 11:55:26.34 0]
自分もあの髑髏ピック欲しかった! 空気を読まず投下ですみません。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ライブ後の興奮冷めやらぬ、余韻と呼ぶにはあまりにもねっとりと熱すぎる
空気を引きずったままのアベ君が、俺を便所に引っ張り込んだ。
 汗だくで肌に張り付いた黒いシャツもそのままに、ほとんど放り込まれるよ
うに個室へ突っ込まれて後ろ手に鍵を閉められる。怒ったような顔をして、ア
ベ君の第二ボタンまでしか外されていないはずのシャツは肩がずれて鎖骨の終
わりが覗いていた。
 立ち昇るのは、目に見える熱気。それは汗で濡れている肌から白く昇る。
 アベ君の目がぎらぎらとした光を放つ。そのくせ、潤んで細められるのだ。
まっすぐに見つめられて、俺は思わずへその上までボタンを外していたシャツ
をかき合わせようとした。
 のに。
 その手はアベ君によって払われる。
「なに、すんだよっ、」
「――ウエノ、」
 首を竦めたくなるような低く艶のある声。それは威圧ではなく、腰の辺りに
熱を集めてしまう、耳障りのいい声で。
「――ウエノ、」
「なんだよ、着替えてもないだろ、なにしてんだよ、ほら、楽屋、」
「やだ」
「やだ、って、なにがだよ。ほら、――ちょっ、なにしてんの!」
 結局開いたままになっているシャツに、右手をそろりと進入させてアベ君が
一歩踏み出す。狭い個室の中で、俺は後ずさりしようとして叶わなかった。ふ
たを閉めてあった便器にかかとをぶつけ、そのまま尻もちをつくように腰掛け
る形になる。
 俺が座り込んだので、彼の手はそのまま胸を撫で上げる恰好になった。胸の
突起にギターを弾く硬い指先がかすめて、つい息が漏れてしまう。

54 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/23(水) 12:02:24.81 0]
「――っく、」
「ウエノ、」
 アベ君が俺の前で片膝をついた。
 なにしてんだよ便所だぞおい、の声が出せなかったのは、そのままアベ君が
抱きついてきたからだ。はだけている肌の、汗をかいて濡れているのも構わず
唇をつけてきて、舐める。
「ちょっ、」
「ウエノ、」
「アベ君、なにしてんだって、」
「――ウエノ、」
「俺の名前安売りすんなよ、アベ君?」
「もう、オレ――」
 無理、とアベ君が顔を上げた。視線がぶつかって、うるんだ瞳が欲望の深さ
を色で示している。発情しているオスの、けれど誘っているメスの、顔。
「欲しくてたまんない、」
「アベ君……?」
 あ、と思ったときには、残りふたつのボタンがシャツを思い切り左右に引っ
張られたことによって千切れて飛んだ。便所のタイルに、かつん、と微かな音
をさせて、それはどこかへ転がったらしい。
「ダメ、もう我慢ならねえ、なんか分かんない、ウエノ、オレ身体が、」
 熱い。
 かすれる声は色づいていて、どうしようもない艶を含む。
 伸び上がるようにして彼は俺の唇を奪う。触れたと認識する前にこじ開けら
れて、口内をアベ君の長い舌が暴れる。吐く息も、吸う息もすべて奪い尽くす。
「アベ……、」
 鼻で呼吸をすればいいと気付いたからといって、酸欠に喘ぐ肺をなだめるた
めに切り替えるには遅すぎて、俺は夢中でアベ君の身体を押しやって離そうと
していた。空気が欲しくて内臓が悲鳴を上げる。キスのひとつで。肺が、心臓
が、普段意識した事もない臓器が自分の存在を声高に主張する。
「離し……、」
 人工物の甘ったるい金木犀の匂い。
 芳香剤の、毒々しい香り。

55 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/23(水) 14:43:20.79 0]
 ち、と小さく舌打ちされて唇は離された、薄い唇は歪められていて、苦しそ
うに眉が寄せられている。上気した肌。汗をかいているのに、べとつくことは
なく、それはただ水を浴びただけのように感じる彼の肌が不思議で。そんなこ
とを思っている余裕は、ないはずなのに。
「ウエノ、」
 そういえばこの人はなんで今日のライブであんなに興奮していたんだろう。
 インストアの、客席はやたらと近く、ハコは小さすぎて熱すぎた。俺がベー
スのネックを舐めたり腰を揺らすのは普段のパフォーマンスとしても、どちら
かといえば激しくてもそういった色気を出す役割ではない彼までも、ひどく艶
かしい顔で、身体で、挑発するというよりは明らかに誘っているような動きを
していた気がする。
 ちらりと横目で見ただけでそれだったのだから、演奏中ずっと発情していた
のかもしれない。
 発情。
 ああ。
 この人は発情しているのか。
「アベ君、もしかして――、」
 言葉の先を待たないうちにアベ君は俺のはだけた胸にむしゃぶりつく。ざら
りと乳首を舐めて、前歯で軽く噛んで、唇を押し当てて、吸う。強く。
「ちょっ……あっ、」
 吸いながらもすりつぶすようにギリギリと胸の突起は噛み締められて、痛み
と快楽を交替させるかのような強弱をつけられるから、俺から甘い声だけが漏
れた。
 脇腹に触れた手はすぐに背中へと回され、確かめるように撫でられる。背骨
に沿って撫で上げられ、また下がる、ぞくぞくと肌があわ立つ。
「ウエノ、ウエノ、ウエノ……、」
 切羽詰った声。
 ふと顔を上げた彼の、さっきよりもっと濡れた目が俺を下から覗き込む。
「突っ込んでくれよ……、」
「なんでそんなに発情してんの」
「分かんねえ……、」
 自分でシャツのボタンを外そうとして、汗を吸った生地はボタンホールをき
つくしているらしく、アベ君が焦れたような手付きになる。それを制して、俺
は便器から立ち上がり、彼のことも立たせてボタンへと手を伸ばした。

56 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/23(水) 15:04:15.88 0]
「こんなとこで?」
 濡れてもまだ涼しい印象を与える、黒い髪を揺らして彼が頷く。
「あいつらなにしてんだ、って、チバもキュウもスタッフもみんな捜してるか
もよ?」
「我慢、できねえんだよ……!」
「アベ君はどうしてそんなに可愛いことを言うの」
「可愛いとかそんなこと、」
 言うんじゃねえ、と焦れたように叫ぼうとしたのだろう、その口を俺は自分
の唇でふさいでしまう。

 膝の辺りまで下着ごとズボンを下ろして、便器のふたの冷たさを尻で感じて
いた。
 俺の股間に顔を埋めて、アベ君が俺のものを口内で弄んでいる。いや、弄ぶ
という余裕のあるものではなさそうだ。サオの部分を下から上へと舐め上げて、
根元を握り込んで扱く。なぶられているのは俺なのに、アベ君から甘い息はこ
ぼれる。
 潤滑油代わりにためられた唾液が、じゅるり、ぐじゅりと湿って濁った音を
立てる。くびれに軽く歯を立てられて、唇が先端を包み込む。次の瞬間、ずる
りと奥まで咥え込まれて、俺の腰が揺れる。
「……汗くさいだろ」
 アベ君が俺を咥えたまま首を横に振った。
「しょっぱくねえ?」
 ふるりと、また。
「俺もしてあげようか」
 反射のように首を横に振ろうとしていた彼が、動きを止めて顔を上げる。
 自分より若干とはいえ背の高い男に、今日はなぜだか見上げられてばかりい
る。
 今度は小さく頷かれたから、立って、と言ってやる。素直に言うことを聞く
彼の、ベルトに手をかけてバックルを外す、もう布越しにも大きくなっている
のがはっきりと分かるアベ君のもの、その輪郭を強くなぞるように刺激すれば、
途端に大きく息を吐かれた。

57 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/23(水) 15:23:54.11 0]
「触っただけなのに?」
「ダメ、」
「しかもまだ、直接じゃないのに?」
「ウエノ、オレ、」
「舐めてやるから、自分で下ろしな?」
 見上げる形になった彼は俺を見ずに視線を床の辺りに落とした。朱の走る頬
は、恥ずかしがっているのか欲情のためなのか、その両方なのか。
 長い指が震えるようにチャックを下ろして、乱暴な手付きで下着ごと太もも
の辺りまで引きずり下ろす。すでに腹へとつきそうなほど勃ち上がっている彼
のものに手をかければ、その身体が大きく跳ねるようにびくつく。腰を抱いて
逃げるのを許さず、俺はアベ君の陰茎を口に含んだ。
 顔を前後に動かして、唇をすぼめて、途中サオにやわらかく歯を立てる。奥
歯で噛むように。
「あっ、……あっ、く、……ウエ、ノ、……ん、」
「声出すなよ、聞こえたらまずいから」
 わざと意地悪く言えば、きっと唇を噛み締めたのだろう、荒い息遣いに変わ
ってそれは狭い個室を充満させた。
 本当は彼の色づいた声が好きなんだけど。
 ああ、こんなところじゃなくて、せめてベッドの上だったら。俺の部屋でも、
ホテルでもなんでもいいけど。そうしたら、好きなだけ鳴かせてやれるのに。
「んっ、んっ……んっ、」
 我慢ならなくなったのか、アベ君が自分から腰を振り出す。口の中で硬さが
増す、なぶっているのはこちらだというのに、犯されている気分になる、それ
が俺を興奮させる。
「アベ君は淫乱な腰つきするねえ」
 根元を握り込んで口を離すと、や、とアベ君の声が降った。
 やめないで、なのか。そんなことを言うな、という抗議なのか。
「イキたい?」
「分かん、ね……、」
「どうして、自分のことでしょ?」
「分かん、ねえ、ウエノ、身体……身体熱くて……、」
「口でイク?」

58 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/23(水) 18:44:22.10 0]
 見上げればアベ君が首をゆるゆると横に振るのが見える。強めに扱きながら、
それでも速度を緩めてイケないように意地悪していたはずなのに。
「あっ、ウエノ、だ、だめだっ、ウエノ――!」
 自分から腰を振るスピードを上げてしまったアベ君が、俺の肩に手を置いて
吠える。力を込められて、爪でも立てられているんじゃないかと思うような痛
みに気を取られる間もなく、彼が達した。
 思わず目を閉じるのとそう変わらないタイミングで、口の辺りに生ぬるいも
のがぶちまけられる。
「……まさかの顔射」
笑ってやろうとしたのに、瞼を透かせて影が落ちてきた。
肩に置かれた手はそのままに、アベ君が顔を近づけてくる。薄目を開けて見
れば、彼が赤い舌を伸ばしているのが見える。
「……アベ君?」
 口元を舐めて。
 頬を舐めて。
 猫みたいに、猫が腹を空かせてミルクの匂いがする人間の指を舐めるみたい
に。 
 アベ君が、自分の放ったものを、俺の顔を汚した自分のものを、舐め取る。
「なにして、」
「ウエノ……悪い、」
「悪い、って、そんなんいいよ、便所なんだからティッシュあるし、って、お
い、」
 青臭いどろりとした液体を舐めて、それは美味くもないんだろう、アベ君が
時折眉を寄せる。舐めて、顔を離して。また近付いて、舌を伸ばして。俺はほ
ぼ無意識に手を伸ばして、アベ君の頬に触れる。
「どうしたの」
「ウエノ……、」
「まだ足りない?」
 足りない、と小さな声が返った。まだ、まだ全然足りない。首を横に振りな
がら、アベ君の目がますます潤む。強烈な光を放っているはずなのに、それは
水に映る月のように揺らめく。
「……美味くないだろ、ザーメンなんて」
「ウエノはいつも飲んでんじゃん、」
「お肌のためですから」
「……マジで?」
「あ、冗談だからそんなマジな顔しないで。……おいで」
 熱が収まんないの、と聞けば、揺れるように頷く。

59 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/23(水) 20:08:29.10 0]
 唇を開いて、喘ぐように息をして。 
 身体なんてまだ繋いでもいないのに。
 彼のものになんて、今は触れていないのに。
 明らかに熱を放つ視線で、アベ君は俺を見る。欲情した男の、欲しがって身
悶える目を間近で覗き込む。深い色。切り裂いたような細い彼の目が、溺れて
いる。目尻を染めて、どうしようもなく溺れている、それを俺はこれからもっ
と深いところに沈めようとしている。
「おいで」
 腕を広げれば細い身体が待ち焦がれていたとでもいうように飛び込んできた。
それをきつく抱きしめてやる。髪に手を突っ込んで、ぐしゃぐしゃにかき混ぜ
て、耳にかじりつく。
そんなに欲情してたの。
そんなに俺が欲しかったの。
着替えるのも待ち切れないくらいに。
 耳元で囁けば、欲しがっているくせに逃げようとするからそれを阻む。
「男なんて一旦出しちまえば大抵落ち着いちまうもんなのに。アベ君、まだま
だ足りないの」
「足り、ない……」
「突っ込まれたい?」
「欲しい……」
「俺に突っ込まれて、あんあん言いたいんだ?」
「こ、声なんて、」
「腰」
 揺れてるよ。
 言いながら首筋に顔を落として舌でラインに沿って舐める。アベ君の身体が
跳ねる。歯を立てて、きつく吸おうとしてやめた。まさかここで痕をつけたら、
どこでなにをしていたんだと言われてしまう。
「――ウエノ、」
 噛めよ、と言われたけれど、できないよ、と自分でもひどくやさしいと思え
るような声で返した。それだけでアベ君は俺の背に回した腕に力を込めてくる。
ぎゅうぎゅうと抱きついてきて、俺を窒息させようとでもするかのように。

60 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/23(水) 20:53:30.92 0]
「痛いって、」
「オレ、ウエノのものにしてもらえないの?」
「……は?」
「オレにマーキングすんの、いやだ?」
 子供みたいな声。
 なんなのこの人は、あんな挑発的なギターを弾いたりするくせに、取材でも
平気で嘘ついたりしてしれっとした顔してたりするのに、なんでこんなに俺に
対してだけいっぱいいっぱいなの。余裕がないの。なんなの、この可愛い人は。
 胸にあたたかいものが満ちてあふれる。
 だから俺の余裕も削られる。
 アベ君の欲望が触れ合っている肌から染み込んできて俺にも火をつけてしま
うから。
「……ぶち込んでいい?」
 俺のものが、触られてもいないのに強度を増したのを、自分でも恥ずかしい
くらいに分かってしまって、つい苦笑が漏れる。

 便器のふたに手をつかせて、足首まで着ていたものを下ろして。
 獣の体勢を取らせたアベ君の薄い尻の肉を割り開いて、潤滑油代わりになる
ものがなにもないので俺は顔を埋める。唾液くらいしかないのだから、それな
ら舐めればいいのだ。
 さっきのアベ君のを奴が舐めないでいてくれれば、使えたのに。
 そう思わないでもないけれど、でもあれはあれで随分と興奮させてくれるも
のだった。俺ですら、自分の放出したものなんて舐めたことがない。相手に飲
み込ませた後でキスをして、自分の味を知ったことくらいならあるけれど。
「ウエノ、あっ、……やっ、」
「ほら、逃げんなよ、濡らしとかないと切れて痛いのはアベ君だよ?」
 自分から濡れることはけしてない身体なのだから。
 なんでこんな面倒くさい身体を持ちながら、俺達は繋がりたくて仕方ないん
だろう。バカみたいだ。女が相手の方がよっぽど楽だ。なのに、求め合う。呼
吸をしないと死んでしまうのと同じで、俺にはアベ君が必要で、アベ君は俺を
欲しがって。



61 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/23(水) 21:35:28.54 0]
 口の中で唾液をためて、舌先に乗せてアベ君のひくつく穴に塗り込む。もう
何度も俺のものを受け入れてきたそこは、きれいな形と色をしている。けれど
俺は俺のものを受け入れて中に出された後の、閉じ切れなくてひくひくと喘ぐ
口のようにうごめいているのを見るのが、本当は一番好きだ。
 バカみたいにずるずる濡らしてから、俺はアベ君のシャツをめくる。白い肌
にくちづけて、覆いかぶさって、自分のものを握る。先走りが指先をぬるつか
せる。経験の足りない、セックスに焦っている若造みたいな自分に笑う。その
ぬめりも指先に移して、アベ君の尻の穴に塗り込む。それだけでもう彼が甘い
声を上げるから、俺は人差し指をゆるりとめり込ませる。
「あっ、……あ、あうっ、……うっ、」
「力抜いて、そう、いいこだから」
「あっ、ウエノ……、」
「まだ指一本だよ? 俺の、そこまで細くないよ?」
「し、知って、」
 る、の言葉と共に吐かれた息に合わせて、指を付け根まで押し込んだ。細い
身体が跳ねる。中をかき回して、ゆるりと捜して、アベ君のいいところを確か
めるように触れれば、さっきより濃さを増したピンク色の声が彼の唇を割る。
「ウエノっ、ウエノ、ああ――っ」
 切羽詰った甘い声。欲しい欲しいとねだって揺れる腰。
「欲しいの?」
「欲し、い、」
「まだ慣れてないでしょ」
「早、く……!」
 ふと手を回してみれば、触れた彼の陰茎がはちきれそうなほど硬くなってい
る。握り込んでゆるゆると扱けば、嫌がるように首は振られる。
「や……だ……、」
「なんで? 気持ち良くない?」
「も……入れて……」
 そんな女みたいなことを言ってアベ君が誘う。首をひねって俺を見て、早く、
早く、とかすれた声でねだる。

62 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/23(水) 22:00:06.30 0]
「なんでそんなに欲しがるの?」
「い、一緒に、イキた……、」
「さっき出したばっかなのに、もうアベ君イっちゃいそうなの?」
 がくがくと頷く彼が可愛くて。
 言うことを、なんでも叶えてあげたくなるから。
「……もっと指で慣らさなくていい?」
「い、いい……」
 ちょうだい、なんて、欲情した潤む目で懇願されたら、誰が我慢できるって
いうんだろう。
 俺は彼の背にくちづけを落としながら、自分の陰茎に手を添えて腰を突き進
める。出口でしかない、本来なら受け入れるはずでない穴を指先で開いておい
てから、自分のものをゆるりと沈める。
「あっ、――ああっ!」
「息、吐いてアベ君、」
「――ノ、ウエノ……!」
 熱い内壁が俺を絡め取る、自然と顔が歪むのは一気に背中を快感が突き抜け
るからだ。
「キツ……、」
 相変わらずの狭さに俺の唇が自然と微笑みの形を作る。ひくつく彼の陰茎に
刺激を与えつつ、俺は腰を振る。進めて、引いて。ぶつけて、逃げて。肉体の
ぶつかり合う音が、彼を、俺を、高ぶらせていく。息が荒くなる。痺れる甘さ
が末端神経まで余さず走る。
 アベ君。
 あんたの気持ちいいところ、俺は全部知りたい。
「だ、ああっ、ダメ……力、入んな……、」
 アベ君が便器の上に崩れた。
 だらしない嬌声が漏れて、慌てたように自分の指を噛むから、俺はそっとそ
れを外させる。代わりに俺の手首を口にさせる。
 大事なあんたの指を、こんなことでダメにしたら俺はどうすればいいの。
 でもアベ君はそうすると俺の手首を噛めないのだ。微かに歯を立てるくらい
で。俺の皮膚なんか、肉なんか、血なんか、身体なんか、いくらでもくれてや
るのに。気にせず喘いでくれればいいのに。噛んでくれればいいのに。

63 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/23(水) 22:30:48.51 0]
「あ、ん……、んんっ、うっ……!」
 代わりに俺の手を握って、アベ君は腰を振る。力の入らない指先が、俺の手
にすがるように絡むのがいじらしくて可愛らしくて。
「……家帰ったら、もっとうんと可愛がってあげるから」
 こんなとこでごめんね、と言ってから、俺が連れ込んだわけじゃないのを思
い出した。でももうそれはどうでもいい話だ、アベ君の発情は俺にも移ってし
まったのだから。
 揺れる腰を抱きたかったけれど、片腕はアベ君に貸しているしもうひとつの
手はアベ君のものを扱いているしで叶わなかったから、それは今夜のお楽しみ
ということにしておこう。
「俺、腕長くて良かったなあ……」
「んっ、……な、に……あ、ああ……」
 意味が分かったらしいアベ君が、荒い呼吸の合間で笑う。途切れ途切れなが
らも、言ってろバーカ、の言葉をもらったので、俺はにっこり微笑んで激しく
腰を進めた。
 もう、アベ君の口からは熱い色をした、声すら失くした喘ぐような息しか漏
れてこなくなった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
お粗末さまでした。お付き合いいただき、ありがとうございます。

64 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/24(木) 00:58:59.31 0]
職人おつおつ!
少し前によく投下してくれた人だよね
襲い受けフトツたまらんよフトツ

65 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/10/30(水) 18:19:10.20 0]
わ〜 なんてエロ可愛いんだフトツ
ありがとう職人タン

66 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/11/14(木) 16:25:37.97 0]
ドクロのピックといえば、演奏の途中とか曲の間でピックを咥えたりすることあるでしょ
フトツのあの仕草好きだな

67 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/11/15(金) 13:21:34.83 0]
いろんなものをくわえるお口ですね

68 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/11/16(土) 09:08:11.55 0]
いろんなもの…いろんな人の…もの…
フトシー!!

69 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/11/16(土) 09:43:47.69 O]
フトシのフトシは…誰が…?

フトシー!

70 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/11/16(土) 10:34:38.98 0]
フトシのフトシは、あの人とか、この人とか、やたらと上手な人とか
舐めるだけで上手にしゃぶれないあの人とか、寸止めしてばっかでフトシ
鳴かせちゃうあの人とか…

フトシー!
身体もつー!? 大丈夫ー!? …顔がにやけるね!



71 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/11/16(土) 13:23:05.34 I]
気持ちはわかるが落ち着けw

72 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/11/17(日) 21:55:26.89 0]
(*`皿´*)<もうアゴが疲れた

73 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/11/19(火) 11:13:42.73 0]
[=.・з・]<俺のだけじゃないんだ・・・

74 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/11/20(水) 18:53:06.46 O]
(;皿;)真ん中に泣けるオレがいた…

75 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/12/01(日) 22:38:13.15 O]
ロデタンのフトツは何故かすごくビッチに見える

76 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/12/09(月) 15:12:43.56 0]
さーっ、アベ誕までいよいよあと一週間!

77 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/12/12(木) 23:40:05.55 O]
もうすぐお誕生日だね、誕生日の日くらいこっち戻っておいで[=.・з・]ね。

78 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/12/16(月) 00:04:07.58 0]
アベくんお誕生日おめでとう!
マルボロとギネスで乾杯だ〜

79 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/12/16(月) 00:46:58.75 0]
アベくんお誕生日おめでとう〜!
ギネス買ってこなくっちゃ

80 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/12/16(月) 00:59:00.01 O]
お誕生日おめでとう! 47歳なんておっさんのはずなのに、いつまでもアベ君は格好いいままだよ! おめでとう! 早くこっちに帰っておいで…



81 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/12/16(月) 15:17:03.97 0]
おめでとう、フトツ、おめでとう!
ケーキとギネスで乾杯するぞーっ!

82 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/12/17(火) 09:32:59.89 0]
昨夜のねとらじ動画放送のフトツが凄すぎた

(`皿´)「俺らホモですからね」
ミ`<_´彡「ゲイって言ってください」
(`皿´)「全員がその時の気分でいろんな組み合わせのカップルで、
だから全員兄弟」

フトツ冗談とはいえ地上波でそんな事言っちゃっていいの!?って吃驚
したよwww

83 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/12/17(火) 22:54:50.30 i]
何それステキ(*´Д`)ハァハァ

84 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/12/17(火) 23:20:12.33 O]
その時の気分で…フトシのビッチ発言…でも許されちゃうのはフトシだから!

85 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/12/25(水) 09:07:04.18 0]
★:゚*☆※>o(`皿´)>o Merry*Christmas o<(`皿´)o<※☆:゚*★

86 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2013/12/31(火) 22:04:07.60 O]
アベ君、今年も一年、あなたに萌えさせていただきました。来年もよろしくね。ずっと好きだわ、フトシ万歳! よいお年を!

87 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/01/01(水) 00:19:24.86 0]
あけましておめでとうー、フトシー!!
今年、年男だね!!

88 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/01/18(土) 22:16:09.70 0]
久しぶりに過去スレ読み返してて、萌え萌えしとる
やっぱウエアベが好きじゃ

89 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/01/21(火) 00:32:12.34 0]
節分には帰ってくるんじゃよ、フトツ・・・

90 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/01/21(火) 01:10:29.79 0]
鬼さんこちら



91 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/01/21(火) 11:52:14.37 0]
|`皿´)<どっかで・・・手、鳴らしてる・・・呼ばれてる?

92 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/01/22(水) 15:07:32.61 0]
殻付きピーナツ撒いておびき寄せて、
バターピーナツとギネスでも用意しとくか、鬼いさん

93 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/02/03(月) 18:24:00.73 0]
夜中に突然豆が食いたくなっちゃたりするじゃん?
何かピーナッツとか欲する時があるじゃん(笑)。

94 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/02/03(月) 19:57:33.44 O]
さー、豆まくからフトシ降ってこい!

95 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/02/08(土) 00:51:06.07 O]
フトシ降ってきた?

96 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/02/11(火) 20:25:04.96 O]
そろそろいい加減にアベに会いたい

97 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/02/12(水) 21:29:18.14 0]
あそこに立ってる黒っぽい電柱。
その横にもう1本電柱立ってるじゃん? あれがアベくん。

98 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/02/13(木) 22:35:07.04 O]
[=.・з・]<…アベくん、電柱に寄り添ってないで、明日バレンタインだからチョコあげるよ
ほら、おいで?

99 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/02/15(土) 18:58:50.90 0]
つ■ こうやってチョコ出すと……片っぽの電柱が動いたじゃん?
あのゆらゆら揺れてるほうがアベくん。

100 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/02/16(日) 13:44:45.25 0]
ミ*`_ゝ´彡<む、麦チョコ、でも、う、動くかな・・・



101 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/02/16(日) 20:28:05.16 0]
(`皿´;)<みんなバレンタイン当日にチョコくれよ・・・

102 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/03/03(月) 15:32:08.11 0]
雛祭りだけど、アベくん白酒飲めたっけ?
日本酒は苦手だったよね?

103 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/03/04(火) 21:24:21.65 O]
(`皿´)

104 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/03/12(水) 22:15:23.80 O]
(*`皿´*)

105 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/03/15(土) 09:41:15.33 0]
アベ君はホワイトデー、ちゃんと返した?

106 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:abe [2014/03/17(月) 01:29:26.60 O]
ペンキ屋のSSをお返ししたいんだけど、いかんせん文才が無くて‥‥orz

導入だけ投下して希望があった場合のみ続き書きますです







―――現場に到着して車から降りるとひんやりとした風が頬をかすめ、
見上げれば雲ひとつない青空が広がっていた‥‥
あの日も丁度同じような秋晴れの澄んだ朝だった‥‥

それを自らの手で真っ黒に塗りつぶして‥‥‥


―――ガッシャーンッ!!
「おい、ちゃんと持ってろよ!あぁ‥ズボンがドロドロじゃねえかよ‥‥」
同僚の声で我に返った時には、ペンキのバケツがひっくり返って辺り一面を黒く汚していた。
「すまねぇ!自分で片しとくから‥‥」

俺にはもう白く塗り替えることの出来ない過去がある

107 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/03/17(月) 22:17:42.87 0]
(*`皿´*)ノシ<読みたいっ!

108 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/03/18(火) 18:10:03.96 0]
何なのこの胸がザワつく感じの導入部…
続きを、続きをください!

109 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/03/19(水) 00:57:41.87 O]
「すまねぇ!」でうっかりハチベエ的なアベを想像してしまったが読みたいです!

110 名前:106 mailto:sage [2014/03/19(水) 21:05:58.37 O]
遅くなってすまねぇw
まさか反応があるとは‥‥azs!
拙い文(しかも長くなりそう)で見づらいですがそこら辺は勘弁してください


――゛ミッシェルガンエレファント″
俺はこのバンドに心底惚れ込んでいたし、メンバーである事に強く誇りを持っていた。
もちろんこれからもずっと魂の全てを捧げるつもりでいたが

俺の気持ちとは裏腹に、チバはメンバーを避けるようになりついにその言葉を知らされた‥‥

゛解散″

けれどもそれは自分で仕向けた事でもあったのだ。
初めてチバと出会った時から、地を割るような強烈な歌声、否応無しに頭から離れない歌詞には衝撃を受け続けた。
まさに俺の理想のロックンローラー‥‥



111 名前:106 mailto:sage [2014/03/19(水) 21:09:11.72 O]
――今までもこれからもいちメンバーとして尊敬し接してゆく‥‥はずだった。

なのにいつしか自分の気持ちに違和感を覚えるようになった。


あの鋭い目で俺を見つめて欲しい。
俺より一回り小さくて華奢な体を抱き締めてみたい。
そしてあの薄い唇を‥‥
俺はそれから男に惚れてしまった気持ちに嘘をつき続けた。しかしバンドという心の開放と魂のぶつけ合いの場で、日々胸の苦しみに襲われ張り裂けてしまいそうだった。
本当の気持ちを隠せば隠すほどぶっきらぼうになる。それがボタンの掛け違いを産みバンドの亀裂が生まれた。

俺もメンバーも限界だった。

112 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/03/20(木) 07:38:52.51 0]
wktk

113 名前:106 mailto:sage [2014/03/24(月) 14:47:06.31 O]
――秋晴れの雲ひとつない澄んだ青色の広がっていた日に俺達は最後のライブをした。

混沌の中悲しむ間も無く、気が付けばいつも通りのライブ‥‥
轟くドラム、荒ぶるベース、耳を劈くボーカル、そして俺がギターを弾く。

たったそれだけの為に全速力で駆け抜けてきた俺たちの青春が゛世界の終わり″でとうとう幕を閉じた。

ステージを去っても鳴り止まない温かい拍手は、心なしか嘘をつき続けた俺を肯定してくれたような気がした。


――それからしばらくはギターを弾いていたが、気持ちには折り合いがつかず、
ミッシェルを解散させてしまったけじめとして、家族とは離れ音楽への情熱を一切廃するためにギターも辞めた。

久々に地元に戻って、実家から程近い昔の友人の元を20年振りに尋ねた。
そこの工務店で住み込みで塗装を手伝うことになり、
もうメンバーとの接点は完全に無くなる‥‥はずだった。

114 名前:106 mailto:sage [2014/03/24(月) 14:49:45.26 O]
――今日は散々な一日だった。
空を見上げたばかりに余計な事を思い出して‥‥
ペンキはひっくり返すわ、同僚に何を聞かれても上の空だわで仕事どころではなく、なんだか気疲れもしてしまった。

真っ黒に汚れた作業着を身に纏い車に乗り込むなり、親方である友人に声をかけられた。

「さっき事務から電話あって、ウエノさんってのが尋ねてきたみたいだけどさ、確かバンドの人だよね?」

‥‥なんでウエノが?特に誰にも今の仕事を教えていないのに、わざわざ調べてやってきたのだろうか‥‥

「明後日までいるっていうから呑みにでも行ったらどうだ?
明日雨だし、作業も捗らないだろうから休みにしてやるよ」

果たしてギターを辞めた今の俺が、合わせる顔なんて‥‥
ただウエノは同郷という事もあってか元々気の合う奴だし、
昔を懐かしみなんとなく、久し振りに合いたいけど‥‥

そんな心の葛藤をよそに携帯を持った手が、
独りでに事務員へ電話をかけていた。

115 名前:106 mailto:sage [2014/03/24(月) 14:51:21.48 O]
――「‥‥はい、じゃあ代わりますね。」

「‥‥もしもし、アベ君?突然押しかけちゃってごめん。」

このちょっと鼻声の艶のある声は‥‥

電話越しにあの軟らかい髪を白魚のような指でかきあげながら、
ふっくらとした唇で滑らかに俺を呼び
喜ぶウエノが見て取れるように分かった。


――ウエノは忙しい間を縫って、
なんとか二日間の休日を作って広島にやって来たのだと言う。
そして俺に会いたかったからと付け足した。

せっかくの帰省なのにわざわざ俺だけのために‥‥
何かよっぽどの理由があるのだろうか?

ミッシェルの解散を誰よりも悲しんだウエノの事だから、
もしかしたら俺の事を憎んで復讐するのかもしれない。

でも、だからこそ、今、あの時の全てを打ち明けなければ、
俺は一生後悔するだろう‥‥

期は熟し葛藤は弾け飛んだ。

そして翌日の正午、地元のお好み焼き屋で会う約束をした。

116 名前:106 mailto:sage [2014/03/25(火) 22:16:28.77 O]
――親方の言う通り、今日は朝から冷たい雨が降っていた。

ここ最近は上下スウェットしか着てなかったから、
服選びにはだいぶ時間を要してしまった。

もはやタンスの肥やしと化した四本の、
お気に入りの皮パンを手に取ると一本はカビていた。

‥‥だいふ時間が経ってしまったんだな。

そんな感傷に浸っていると、もうとっくに家を出る時間になっていたので
結局一番手前にあったシャツと、
ワンウォッシュのデニムに着替えて慌てて家を飛び出した。


――傘を差し待ち合わせの場所に立っていると、
遠くからちょっと猫背なあの長細いシルエットが
肩をグイグイ言わせながらこちらにやってきた。
「ウエノ!」

フリーになって色々苦労しているのだろうか。
以前のレーベルの人間から毎月大量に送られてくる雑誌やらで、
精力的に活動しているウエノを
必ずと言ってもいいくらい目にしていたが、
久々に見た実物はそれよりか少し痩せて見えた。

「アベ君!相変わらずデカいね〜」

でも俺を呼ぶその声は、あの頃と全く変わっていなかった。

117 名前:106 mailto:sage [2014/03/25(火) 23:48:42.79 O]
――心を塗り固めていた黒いペンキが、パリパリと渇いた音を立てながら
少しずつ外側から剥れてゆく。

ウエノが手を差し延べてきたので、握手をしようとしたが一瞬ためらった。
塗装の仕事で手袋をしているものの、指先が知らぬ間にペンキで汚れてしまう。
爪の間に入ろうものなら、どんなに洗っても絶対に落ちやしない。
こんな手で握手をするのが情けなく思えたが、
ウエノは構わずにペンキの染みついた俺の手をとって、ニコニコと笑った。

「随分また垢抜けちゃって‥‥やっぱり若い嫁さん貰うと気ぃ使うよな。」
「いやいや。そんなんじゃ‥‥いやぁアベ君、元気そうで良かったよ。
なんかちょっとこんがりしたような‥‥」

そこで会話が途切れて、それ以上俺を追及する事はしなかった。

ウエノの目には今の俺がよっぽど哀れに映っているのだろうか?

――雨が酷くなってきたので、会話もそこそこに店へと入った‥‥
俺が幼少の頃からやっている、寂れたお好み焼き屋。
家族以外を連れてきたのはウエノが初めてだ。

118 名前:106 mailto:sage [2014/03/26(水) 06:57:07.55 O]
――「おばちゃん!座敷空いてる?いつものやつとビールね。」
すっかり腰の曲がったおかみさんが、階段をよたよた昇りながら2階へ通してくれた。

料理が来るまでにと、ウエノのグラスにビールを注ごうとしたが、手で遮られた。

「今晩帰るからさ‥‥明日は朝一からリハあるし、遠慮しとく。」

「そうか‥忙しいもんな。」

‥‥そしてまた沈黙。気まずい時間が流れる。

そこへお好み焼きが運ばれてきた。
懐かしいソースの香り。
「どうぞごゆっくり。」
おかみさんが襖を閉めるとウエノが口を開いた。


――「アベ君に見て欲しくてさ。
俺がベース弾いてるのを見て、
アベ君がまたギター弾きたいと思うんじゃないかって‥‥」
「心配してたんだよ。ライブも見に来てくれないしさ‥
だから俺、死にもの狂いで仕事したよ。正直やりたくない事もあったけど。」
「でも沢山バンドやってれば、何かしら記事になるでしょ?
ただアベ君の目に留まりたくて、それだけを励みに頑張ってきたんだよ。」

ウエノの長年の想いが堰を切って、止めどなく溢れ出てくる。

119 名前:106 mailto:sage [2014/03/26(水) 12:15:06.07 O]
――「アベ君、もう自分を責めないでよ。悪いのは俺なんだ‥」
「そんな‥何も責めてなんか‥‥」

駄目だ、覚悟は決めているはずなのに、いざこの話になると
頭の中が真っ白になって今にも逃げ出したくなる。
でももう打ち明けるしかない。動揺を隠そうと、とりあえず自分のグラスにビールを注いでウエノの様子を伺った。

「俺チバを‥チバに酷いことを‥‥」
ウエノの声が震えている。

゛アベ君の事が好きだったんだ″

思考が完全に停止して、グラスからビールが溢れた。


――ウエノは嗚咽していた。
そしてしばらくして落ち着くと、その全てを語り始めた。

アメリカツアーから帰ってきたあたりから、俺のチバに対する感情にウエノは気付いていたらしい。
しかしチバは結婚し守るべき家庭を持った。

その事実に焦躁し苦しむ俺を見ているうちに
ウエノの感情の糸が切れて、非のないチバを叱咤したというのだ。

長めのオフの最中に二人で殴り合いの喧嘩にまで発展し、
チバに拳をぶつけた瞬間、自分の気持ちに気が付いたのだと‥

120 名前:106 mailto:sage [2014/03/26(水) 15:57:05.16 O]
――チバは酷く傷付き、解散という悲しい選択をした。
キュウ曰く、チバは今でもその後悔に苛まれ、口を割ればまたミッシェルをやりたいと嘆いているらしい。

「俺もあれから家庭を持って、今はチバの気持ちが良く分かるよ‥
多分どうかしてた。」
「同じ弦楽器でさ、地元近いし。背も同じくらいで‥‥
俺が勝手に運命を感じていただけなんだ。
片想いなんてそんなもんじゃん。」

表情こそ笑っているものの、その言葉のひとつひとつが鈍器のような
おぞましさで俺を打ちのめす。

こうして埋めた覚えのないタイムカプセルが次々と掘り起こされたが、不思議とウエノを責める気持ちにはなれなかった。
俺なんかよりもウエノのほうが、よっぽど苦しんでいたのだ。


――特に打ち明わせた訳でもないのに、同じタイミングでジャンプして
俺がソロを弾けば負けじとベースをぶつけてくる。
ライブではいつも本能のままに髪を振り乱し、腰を揺らし、マイクを咥える‥‥

俺とそんな結末を迎えたいという悲痛な気持ちの表れだったのだろうか?
ずっと近くにいたのに、何故もっと早く気が付かなかったのだろう?



121 名前:106 mailto:sage [2014/03/26(水) 17:54:06.03 O]
――「もういい‥」
俺は柄にも合わず声を出して泣いた。
チバと決別し、キュウにも打ち明けらない孤独の中で、
それでも俺を励まそうとするこの男を俺は許すべきだ。

「さぁさぁ食べよう。冷めてるけど‥
おばちゃんのお好み焼き、旨いんだよ。」

鼻が詰まって味も何も分からなかったが、二人で泣きながらお好み焼きを食べた。

「これ食べたらスタジオに入ろう。」


――俺が高校時代に通ってた音楽スタジオ。
当時のバイト君が今はオーナーになっていた。
しかし挨拶もそこそこに、楽器を借りて部屋へと入る。

時間は三時間‥俺達はパンクの名曲を片っ端から弾いた。
以前はミッシェルのリハーサルで指慣らしで弾いていた曲だ。

会わなかった時間をモロともせず、音はグルーヴを成し
目を閉じればそこにいるはずのないキュウとチバが思い浮かぶ。

部屋に入ってから二時間くらい経った頃に
特別好きな曲ではないが、あの二人に絶賛された事のある
゛スメルズライク・ティーンスピリット″
のイントロを何気なく弾いてみたら、ウエノが怪訝そうな顔をしてベースを置いた。

122 名前:106 mailto:sage [2014/03/26(水) 19:49:29.05 O]
――「なんかイマイチだなぁ‥」

温厚なはずのウエノの、そんな態度を初めて見た。

「ニルバーナはそんなに綺麗に弾くもんじゃ無えもん‥‥全然駄目。
やっぱり。アベ君は‥アベ君にしか弾けない曲があるでしょ?」

ふと部屋の鏡に写る自分を見ると、ミッシェルの頃とは別の自分がいた。

伸び過ぎた髪、日焼けした顔、汚れの染みた指‥‥
俺は唖然とした。

そして今朝急いでいて気が付かなかったのだろうか、
シャツのボタンが掛け間違っていた‥‥

こんなの、俺じゃない‥!

ボタンを掛け直していたら、後ろから白い両腕が絡まってきた。


――「アベ君‥‥俺はやっぱり、
ミッシェルでギターを弾いてるアベ君がいいよ!」

「‥今からでも遅くないかな?俺、またやり直せるかな?」
俺は縋るように問い掛ける。

「大丈夫。何度でもやり直せるよ。生きてる限りは‥‥皆もきっとアベ君の事を待ってる。」

それを聞いた瞬間‥
俺はギターを、ボリュームを落とすのも忘れて床に置くと
ウエノをきつく抱き締めていた。

123 名前:106 mailto:sage [2014/03/26(水) 21:16:52.93 O]
――「ウエノ‥‥‥っ」
名前を呼ぶと同時に、柔らかい唇が合わさって
言葉が遮られた。感情をねじこむようにきつく、きつく‥‥

そしてハウリングを起こしたギターが、徐々に悲鳴をあげ始める。

ウエノの心の中でもこんな音が、ずっと鳴っていたのだろうか‥

「ウエノ‥‥ごめんな。気付いてあげられなくて、
俺の事ずっと想ってくれて‥‥ありがとうな。」

「いいよ‥‥アベ君‥‥」

そう言ってウエノは俺の背中を優しく擦った。言葉にせずともウエノが今何を望んでいるのかを察した。


――ウエノの長年の想いを受け入れる時が来た。

ウエノのネルシャツを脱がし、タンクトップの中の白い柔肌をゆっくりなぞる。
同時に俺の掛け違えていたボタンが外されていった。

ベースのネックのように俺の首に縋りついて、下から上へと舌を這わす‥‥
鎖骨、首筋、喉、頬、耳元‥‥
ピチャピチャといやらしい音を立てながらそれを繰り返す。

あまりの気持ち良さに
膝がガクガクと震え出すと、ウエノは俺の手をとってベースアンプのほうにいざなった。

124 名前:106 mailto:sage [2014/03/26(水) 22:39:34.71 O]
――大きいアンペグのスピーカーへ抱きつくように寄り掛かると、
ウエノは背後から俺のベルトに手をかけて、カチャカチャと音を立てながら外した。

デニムを下までゆっくり降ろし、内ももを濡れた舌でじっとりと舐め回す。
同時に右手が、ボクサーパンツの上から俺のものを、まるで羽でなぞるかように
そっと、そっと触れてきた。
もっと早く‥‥力強く‥‥と腰が勝手に動いてしまう。

先走りで、だんだん布の滑りが悪くなってきた所でウエノはパンツに手をかけて降ろした。
鏡を見ると立ち上がった俺のものを右手で扱いながら、汚い所へ今にも顔を埋めようとするウエノが写っている。

「あっ!そんなの‥‥駄目‥‥!」
でもウエノは蕾にまで舌を這わせ、ねっとりと味わうようにそこをなぶった。
味わった事のない快感に、喜びと得体のしれない恐怖心がせめぎ合って、どんどん鼓動が高まっていく。

息が荒くなり体がびくり!と反応すると、ウエノも吐息を漏らしてびくりと背筋を痙攣させた。
そしてゆっくりと長い指を入れてきた。
抱かれているのは俺のほうなのに、それ以上にこわ張って敏感に反応している‥

125 名前:106 mailto:sage [2014/03/26(水) 23:54:04.60 O]
――俺よりも上手で、大胆なように振る舞っているが、
実はウエノの方が不安を感じているのだろうか?
俺は振り返ると、膝立ちのウエノに手を差し延べて立ち上がるよう促した。

「ウエノ‥‥ウエノが欲しいよ‥‥」

黒のスキニーデニムをパンツごと降ろすと、
白くてすらりとした長い脚が露わになった。
顔を背けて恥じらうウエノの手を握りながら、口だけでものを扱った。

グジュ‥グジュ‥

部屋にいやらしい音が響きわたる。
ガリガリに痩せてる俺と同じくらい細い指で、
握った手を握り返してきた。しかもものすごい力で‥‥

悩ましくため息を漏らして‥本当は声を出したいだろうに。
もっと俺に構わず激しく腰を振りたいだろうに‥‥‥

俺は余裕のなくなってきたウエノを早く迎え入れる為の準備をした。
先程指を遠慮がちに入れられた程度では、そこはまだ解きほぐれていなかった。

自分で指を二本入れて、押し広げては抜き差しをくり返す。
痛みにじんわりと汗が浮かんだが、不安を煽らないように上目遣いでウエノを促した。

「‥アベく‥ん、あっ‥‥もうそろそろ、良いかな‥」

126 名前:106 mailto:sage [2014/03/27(木) 08:31:35.30 O]
――俺は自らドラムセットの置いてある、
小上がりの所で四つん這いになった。
何も恐れなくていい‥ライブの時みたいに全力でぶつかって来いよ‥‥そう目で鼓舞した。

それに応えてウエノがまた蕾に指を入れる。
唾液でたっぷり濡らしてから、俺に塗り付けるようにしてそれを繰り返し‥‥

いつしか痛みは快感へ変わっていた。
一番感じる所に触れた瞬間に指が抜かれてウエノのものが入ってきた。

「んぐ‥‥‥っ!」

薄い肉の壁をウエノが掻き分けて入ってきた。
でも先程までの遠慮はもう無い。
鏡には本能のままに髪を振り乱し、腰を揺らすウエノが写っていた。

指とは比にならないそれがギチギチと、音が出そうなぐらい擦り合わさって鼻の奥がつんと痛む。
歯を食いしばってうっすらと滲む涙を、悟られまいと必死に耐えていたら、
ウエノの指が無理矢理口に入ってきた。


――駄目、噛んじゃうよ‥‥大事な指が‥‥怪我するって‥‥‥‥あぁ!
気付いた時には、口の中いっぱいに錆びた鉄のような味が広がっていた。
しかも何故か背中が濡れている‥‥

127 名前:106 mailto:sage [2014/03/27(木) 11:50:45.25 O]
――ウエノの涙だった。
「ごめん‥しんどいでしょ‥‥」
そう言って泣きながら俺の背中に顔を埋めていた。

「ウエノ‥‥俺はうれしいんだよ?やっと本当の事が分かって、俺はウエノが好きになった。
だから俺を信じて‥‥もっと激しくして、なぁ?もう我慢すんな。」

正直本音とは言い切れない。バンドを解散させてしまった罪滅ぼしの気持ちがある。でも俺のせいでこれ以上ウエノが涙を流すのは耐えられない。
するとウエノのものが抜かれて、俺を仰向けにさせた。
そして唇を重ねながら、また俺の中に入ってきた。

入り口がまだピリピリ痛むが、確実に奥のほうで、少しずつ快感が押し寄せてきた。

「アベ君‥っ、好きだ‥‥アベ君‥‥」
ウエノが本気でぶつかってきた。


――じゃあ俺はその倍ぶつかっていこう。
惰性で始めてもそれが本物になる事だってあるだろう。
またギターを弾いて、かっこいいレコードを作って、熱いライブをするんだ。
そしたらまた、いつかウエノと、キュウと、チバと‥‥分かり合える時が来るだろう。
どれだけ時間がかかっても俺はやり遂げる。
俺はギターを弾くんだ!

128 名前:106 mailto:sage [2014/03/27(木) 19:03:45.69 O]
――「俺は‥お、れにしか弾けない‥ギターを弾くから」
「うん‥‥」
「だからまたい‥っしょに、ベースを弾いて‥?」
「うん‥‥」
「キュウと‥チバも、絶対‥」
「うん‥‥」

ウエノが手で俺を扱いながら、腰を激しく打ち付けて
やがて一緒に果てた。

渇いて少し剥げた黒いペンキの上に白のペンキが、ぽたぽたとこぼれて広がってゆく。


――部屋の入り口のランプが点滅してる。
あと10分で片付けをしないと‥‥

急いで服を着てノイズが鳴り続けてたギターを拾った。

外に出るともう雨は弱まっていた。冷えきった空気にウエノが思わず身震いする。
「ウエノ‥ありがとうな。」
俺はがっちりと肩を抱いて、別れのキスをするとウエノは優しく微笑みを浮かべた。

もう俺達の意志は揺るがない。どこにいても気持ちは同じ方向を向いている。

すぐにオーナーに呼んで貰ったタクシーが来て、ウエノはまた東京へと旅立った。

――おわり

129 名前:106 おまけ mailto:sage [2014/03/28(金) 05:30:23.93 O]
規制やらで投下速度がだいぶ遅くなってすまんかったです‥‥
しかもこれが処女作だったもので、まとまってないし、エロスが足りないしw
今は反省してます‥

お詫びに神様に妙に気に入られてしまった鬼様の話をどぞ


――ある夏の日、俺は自転車に乗って家路へと向かっていた。
川沿いの道を走っていると、目の前をシャム猫が横切った。
「っぶねーっ!」
慌てて急ブレーキをかけると耳元で誰かが囁いた。
゛突き刺されよ″
しかし振り向いても誰もいない‥気のせいだろうか?

胸騒ぎがする。なんだか自転車にうまく乗れない。
ボケっと信号待ちをしていると、悪ガキたちがキャキャー言いながら小石を投げ付けてきた。
「うるさい!しばくぞボケ、コラァ!」
子供たちが一目散に逃げていった。

突然開放されたプラズマみたいな雷が鳴って、激しい雨が降ってきた。
二人乗りのハーレーが、家の前の交差点の角を曲がり切れずに転倒した。
後ろに乗っていた女が泥だらけになっている。
怪我は無さそうだから、起こすのを手伝ってすぐに家の中に入った。
誰も居ない部屋‥またあの声が聞こえてきた。

130 名前:106 おまけラスト mailto:sage [2014/03/28(金) 11:22:38.18 O]
気味が悪い‥
濡れた服を脱いでタオルで髪を拭いてると、
風も無いのに棚から何かが落ちた。

ギターポリッシュの細いスプレー缶‥
拾った途端あの声がした。
゛突き刺されよ″

すると手が勝手に、缶を唇にあてがった。
「うわぁ!」
突然の出来事に驚いて、開いた口に缶が無理矢理入ってきた。


゛突き刺されよメタリック″
という叫び声とともに、缶が俺の蕾の中に侵入してきた。
自らを扱きあげる右手だけでなく、背中まで貫くように犯す左手も、全部頭をかち割るような声に支配されている。

「痛ってぇーっ!やめろぉぉぉっ!」
しかし意に反して自らはいやらしく湿って、硬く立ち上がっている。
右手がギターを弾くよりも早く動いた。
「あぁっ!駄目!イクーっ!」
俺は叫びながら果てた。

だけどまだ容赦してくれない。
混濁する意識の中、右手は既に放出した俺を更に扱い続け、
腰から下が缶にかじりつくように動く。
俺は泣きながら撒き散らすと意識をトばした。

――青白い缶に付いた血はピンク色に滲み、
赤みのかかった月が、数日後に太陽を掴む事を知らせていた。



131 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/03/30(日) 18:02:55.61 0]
太陽を掴むって……

132 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/03/30(日) 21:23:02.52 O]
うん…ちょっと…ねぇ…

133 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/03/31(月) 19:49:33.87 0]
ハッピーエンドになりますように

134 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/04/01(火) 01:11:45.41 O]
おまけラストって書いてあるけど、これで終了?続く?

135 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/04/01(火) 18:03:24.35 0]
本当だラストってあるね
終わりか…

136 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/04/04(金) 21:53:08.06 0]
ぶった切りですみません、昔書いた達アベとか投稿させていただいても
よろしいでしょうか? パソコンから出てきたもので。
メンバー以外との絡みが苦手な方はすみません、スルーしてください。
********************************
 付き合っていただとか、彼氏だったことがあるとか、そういう関係じゃない。
 ただ昔、よくつるんでいた連中のひとりで、お互いそんな認識程度で、音楽
で食っていけるようになってからは向こうが先輩だってこともあってメンバー
も懐いてたりして、オレとしては自然と周囲に溶け込んでいて、いるのが当た
り前の人だって思ってるくらいで。
 セックスしたとかそういうのは遊びでもないけど本気でもない、そこにたま
たまタイミングよくいたから、っていうのが向こうの考えていることだろうし、
オレだって似たような感覚で、だから別に。
 真剣な関係とか。
 そういうんじゃ。
 なくて。
 多分言ってみれば、時々ある種の女がどことなく自慢気に口にするあれ、肉
体関係を伴う男女間の友情、みたいなのの、男同士バージョンみたいなもので、
そんなことをつらつらと考えている時点で本当のところはそういうんじゃない
んだろうけど、深く考えると知りたくなかった自分の心を掘り返してしまいそ
うで。
 やめておく。
 それは、生きてきた経験上それなりの賢明な選択だと。

137 名前:136続き mailto:sage [2014/04/05(土) 00:36:25.96 0]
「なん」
「うん?」
「ぼうっとしちょうが」
「オレ?」
 おみゃあでなくて他に誰が、と笑うライオンみたいな口元で。ずっと、知り
合ったときからこの人は肉食獣みたいな顔をしていた、髪形が変わったり刺青
が増えることはあっても、猫科の動物を思わせる口元と大きくてまっすぐで心
臓でもえぐってしまうんじゃないかと思うような、光線によく似た視線を放つ
目は変わらない。
「そげなことなかけん」
「ほんなことあるよ」
 ライオンが目を細めた。目尻にしわが寄って、それでも少しやさしい表情に
なる。
「頭」
「うん?」
「金色にしたん」
「ああ。青の生地でスーツ作ったんで、そんじゃったら金の頭もええじゃろっ
て、思うて、」
「ヒヨコみてえ」
「……似合わん?」
「似合っとる似合っとる」
 可愛えで大丈夫だがや、と手招きされた。布団の上。オレのアパートなのに
どうしてこの人は我が物顔で存在してるんだろうと、不思議に思わないでもな
いけどまあそういう人なのだから仕方ない。
 さっきだって勝手に冷蔵庫からビールを取り出して、手土産だと持ってきた
のは日本酒でオレは飲めないと言うのにちっとも聞かず、コップを探し出して
きたと思ったら注いで飲んでいた。 

138 名前:136続き mailto:sage [2014/04/05(土) 02:41:33.78 0]
 ああそうか。
 酒のせいなのか。 
「なんよ」
「あんたの、」
「俺の?」
「目んとこ、赤い」
 目尻の、切れ長な皮膚の薄いところ。ふん、と向こうは鼻を鳴らして、ペン
キでもついてると言われたかのようにこぶしでごしごしとこする。
「そがんことしても消えんじゃろ」
 酒に酔ってるんだから。
 オレが笑ったら気に入らなかったのかなんなのか、さっさとこっち来んかい、
と唸られた。

 ぐわ、と口を大きく開けて、思わず噛まれるのかと目を閉じた、けれど感じ
たのは唇にぬるついた当たりだった。
 雰囲気もなにもあったものじゃなく、舌はすぐに口内へ侵入してきて暴れま
わる。頬の内側をなぶられ、こっちの縮こまった舌はあっという間に見つけ出
されて引きずられ、絡まされ、唾液ごと吸い尽くされて。
 下唇を甘噛みではなく本気で噛まれて、声が出た。手も出たけれど、叩いた
胸は厚すぎてびくともしなかった。
 この人に勝てるのなんて、結局オレには身長くらいしかないのだ。
 腕力でも年でも、我儘にも思われがちなマイペースさも。
 奪い尽すくちづけの合間にどうにか息をする、あふ、と酸素の足りない肺が
悲鳴を上げる前に吐息が漏れて、その隙間で空気を慌てて吸い込む。
「キレイな肌しとる」
 やっと解放されて、肩で息をしていたら笑われた。
 首筋が撫でられる。硬い指先は輪郭を確かめるように、胸の方へと下ろされ
る。

139 名前:136続き mailto:sage [2014/04/05(土) 04:56:21.08 0]
「あんたの色ついた刺青のが、」
「こんなん人工物だで、おみゃあの天然もんのが価値はある」
 価値とかそういう問題じゃないだろう、と笑った口元に指は触れてきた。
 またくちづけられるのかと目を閉じかけたけど、その手は顎先に落ちる。つ
るりと撫でて。なに、と見つめれば、子猫みたいな顔しとる、と言われる。
 子猫。
 オレを子猫なんて言えるのは、この男だけだ。
 自分が猫の親玉みたいなライオン顔をしているせいだ、きっと。
「猫はもっと可愛いじゃろ」
 オレはトカゲ顔じゃし、と言ってみたけれど、トカゲなん抱く気にならん、
と鼻で笑われた。
 よく笑う男だ。
 でも目は鋭いままで、触れることができたのなら火傷させられるだろう光を
湛えている。
「トカゲなんよりもっと可愛えで、安心し」
「オレなんかつかまえて、可愛いっていうのはあんただけだ」
「可愛えもん可愛え言うてなにが悪い、照れてるんか」
 着ていた服は全部脱がされていた。裏返しのまま、部屋のあちこちに放られ
ている。せめてシャツはあっち、ジーンズはこっち、でなくて、同じところに
投げてくれればいいものを。 
 肩を押されて布団の上に倒される。すぐに圧し掛かられて、肩口に噛みつか
れた。大きな口を開けてがぶがぶと齧りつくので、そう痛くはないがそれでも
歯は当たる。

140 名前:136続き mailto:sage [2014/04/05(土) 12:56:25.55 0]
 なにするん、と言ってみれば、悪戯めいた上目遣いで顔を見られる。
 舐められて。
 胸の飾りに指が伸びる。
「あっ、」
「感じるようになってきたんか」
 厚い手が肌をまさぐる。乳首をいじるのとは違う手が、脇腹をしつこいくら
いに撫でるから。
「やっ、あ、」
 体温を吸う。オレの肌が、相手の熱を。
 オレのことは裸にしておいて、向こうはまだベルトのひとつも外していない。
それが、なんだか悔しくて。バックルに手を伸ばそうとしたら、肩を押された。
体重をかけられる。それだけではない力で、骨がみしりと押さえつけられる。
「焦らんでええがな」
 喉仏に喰らい付かれて、吸われる。喉を圧迫する暗い苦しさが息をつまらせ
る。けれどそれが目的ではないとばかりに、唇は胸へと移動してきた。
 乳首をひとつ舐めて。
 歯が、立てられる。
「やっ、あああああっ、」
 噛まれて、顔をそのまま引かれて。千切れる、千切れる、と叫ぶオレの声が
いつもより甲高く自分の耳に届く。痛みを与えた箇所に、奴は舌を伸ばして大
きく舐めた。視界がゆがむのは、涙がにじんだせいだろう。
「痛いか」
 顔が寄せられて、目尻をべろりと舐められる。
 眉を寄せて、眉間のしわを見られたらしい、そこを指でなぞられた。



141 名前:136続き mailto:sage [2014/04/05(土) 16:51:11.36 0]
「ヒヨコ」
「ヒヨコじゃねえよ」
「そうやね、ピヨピヨじゃなくてもっとええ声で鳴きゃあええが」
 カナリアみたいに鳴いてみい、と掴まれた陰茎は勃ち上がりかけていたんだ
ろう。刺激が与えられて一気に血が集中する。
「やああっ、」
「ええ声出しい、て」
 やわらかく握られて、上下に扱かれる。
 先端部分、親指の腹で押してるんだろうか、鈴口に指がすべらされて背中に
痺れるような電気が走る。
 裏筋をごしごしとこすられて。カリの部分を三本ほどの指で小刻みに刺激さ
れて。
「あっ、やっ、ああっ、あ、んっ、うっ、」
「鳴け鳴け」
「んっ、あっ、ああっ!」
 言われて普段なら唇を噛むところだけど、素直に声を解放する。下半身で集
中させないといけないだろう血が、余るのか逆流するのか、頬骨のところがひ
どく熱い。
 オレは手で鼻から上を包むように覆う。
 やわらかな暗闇が落ちてきて、意識が肌を鋭くさせる。
 扱かれて。
 自分の身体の一部が、強度を増していくのが見なくても触らなくても分かる。
 腰が揺れて。
 腰骨を体温の高い手がぐっと押さえる、抑えられると途端に身体中の熱がう
ねる。行き場を求めて。

142 名前:136続き mailto:sage [2014/04/05(土) 17:13:32.85 0]
「ああっ、ああああっ、あうっ、」
 ぬるりとした感触が突然オレのものを覆った。口に入れられたらしい、絡ま
る舌が手のときよりもっとねっとりと、隙間なくうごめいて追い込んでくる。
「やっ、やだっ、て、ああっ、」
「気持ちええなら黙っとき」
「だ、黙っといたら、つまらん言うじゃろ、」
「はは、は、そりゃそうだがや」
 口を離されると空気を冷たく感じる。根元を握り、先端部分に口をつけてし
ゃべるのはわざとだ、だから向こうが声を出すたびに微かな刺激を与えられて、
それが。むずがゆくて物足りなくて、思わず腰が揺れる。
「オレも、あんたの、する……」
「いい、いい、せんでええて」
「させろよ、」
「可愛い顔で鳴いとりゃええで」
 言われてまた顔が落とされる、強く吸引しながらぐちゅりと湿った音をさせ
て唇で扱かれ、舌で刺激されて、オレは喘ぐ。

 上になり、と促されて。
 もう随分と後ろの穴はほぐされていた、でも自分から進んで男のものを受け
入れるのと向こうから押し込まれるのでは心構えのようなものが違う。
「腰振って、ええ声で鳴き」
 オレは首を横に振って嫌がる。
 入れられるのはいい。でも自分からというのは嫌だ。

143 名前:136続き mailto:sage [2014/04/05(土) 17:58:52.14 0]
「我儘言わんと」 
「嫌じゃ」
「なしてほんなこと言うん?」
「……は、ずか、」 
 恥ずかしいから、と素直に言いそうになって慌て口を閉じた。
 けれど相手には伝わってしまったらしい、にやにやと笑いながらオレの頭を
刺青のあるがっちりとした胸に抱く。
「おみゃあは」
「……なんだよ」
「でら可愛え子だがや」
「こ、こがなでっかい男つかまえて言うことじゃないじゃろ、て、わあっ、」
 耳の辺りをガッとつかまれて顔を引き剥がされる、驚いている暇も与えられ
ず唇が重ねられて、舌が割り込んできて無茶苦茶に暴れたと思ったらそのまま
前のめりに倒された。布団からはみ出た頭をしたたかに打って、思わず瞼の裏
にちらちらと星が飛ぶのを見たのもつかの間、膝が割られる。
「ちょっ、ちょっと、待っ……!」
「誰が待つか、ええ加減にせえよ」
 突っ込まれたい顔しとるに、と言われて、どんな顔だよそれ、と思う。
 大きく脚を開かれて、Mの字になった膝を押し上げられる。胸につくくらい
にされて、息苦しくてオレはまた首を振った。けどそんなことで手加減してく
れる相手じゃない。尻の双璧を広げられて、熱いものが押し当てられる。
 押し当てられるだけで済まないのは当たり前で、少し前まで指でゆるめられ
ていたそこは、きつい圧迫感と本来異物が侵入してくることのない違和感で、
知らずのうちにオレを震わせる。下唇を噛みかけたら、向こうが顔を寄せてき
た。舌を伸ばして、オレの唇を舐める。

144 名前:136続き mailto:sage [2014/04/05(土) 19:29:54.78 0]
「力、抜き」
「無、理……」
「ちっとも慣れんのな」
「慣れて、たまる、か――つっ、」
 吐き出した言葉と共に息を出し切った、そこを狙われて相手の硬く硬く起立
したものは根元までをオレの中に埋める。
「は――っ、」
「こん中はさすがに熱い」
 痛みだけを感じないようにとの配慮なのか、男の手はオレのものをすぐに握
って扱く。ゆるゆると腰を進めながら。やがてそれはどちらも加速して、オレ
を追い詰める。
 舌をだらりと垂らす犬のように。
 荒い呼吸が、空間を満たす。
「やっ、あっ、ああっ、あ、う、ううっ、う、」
 はっ、はっ、はっ、と。熱い呼吸が目に見えたなら、それはどんな色をして
いるんだろう。逆手に布団を握り締めて、オレは視線を揺らす。口を浅く開い
た。呼吸をするためと。
「なん」
 こちらの意図に気付いた男が薄い微笑みを浮かべて顔を近付けてくる。
 キスを。
 内臓を、後ろから突き上げてくる内臓を吸い取るような、荒々しいくちづけ
を。望んでいるのはオレで。
「あっ、あっあああっ、ん、ぐっ、う、う、うあっ、ああ――っ!」
 打ちつけられる肉体が、それこそ肉と肉がぶつかる音、としか形容できない
音を立てる。生きたままの獲物の、腹を食い破るライオン。血の匂いは甘いだ
ろうか、その温度は生ぬるいのだろうか、オレをむさぼって追い込んで詰め寄
って、逃げたい気持ちともっととねだりたい心とが複雑に絡まって膨れ上がる。

145 名前:136続き mailto:sage [2014/04/05(土) 23:39:53.03 0]
助けて、と口にしながら腰を動かして押し付ける、痛い、と叫びながらオレは
肌に食い込むあの人の牙を焦がれるほど望んでいる。
 どうせなら、絶頂で息の根を止められたい。
 いつも、交わるたびに思う。
 愛だとか恋だとか、そういうものとは遠く離れたところにある関係なのに、
今死んだら気持ちいいままなんだろうと思える瞬間が毎回ある。
「やっ、あっ、も、もっと、」
「もっと、なんだがや」
「つ、突いて、よ、ごして、」
「汚れたいんか」
 オレはがくがくと首を縦に振る。
 汚れたい。汚されたい。染められたい。腹の中に何度も何度も白濁した体液
を流し込まれたい、オレという入れ物を満たして欲しい、気持ちいいばかりで
なにも考えられなくさせて欲しい。
 オレのものはずっと強い刺激を与えられ続けていて、それは感覚が麻痺して
しまいそうなくらいだったせいなのか、いきなりピークを迎えた。
「あっ、」
「うん?」
 びくびくと身体が跳ねて、それはもう本当にいきなり。大きな波にさらわれ
るのと同じ感覚で、うねる快感に全身を持って行かれる。
 達して、放出して。
 それは勢い良く飛んで、相手の胸元を汚した。ように、見えた。
「見、んで……、」
 突然のことに自分でも驚いて、すぐに急激な恥ずかしさに襲われる。
 両腕を顔の前で組んで、腕に頬の熱を吸い取らせる。

146 名前:136続き mailto:sage [2014/04/06(日) 01:20:36.82 0]
 その腕を掴まれた。
「やっ、だっ、」
「顔、見せ」
「い、やっ、あっ、ああっ、」
 強い力で腕は剥がされ、腰はさらに速度を進めて打ちつけられ、オレは解か
れた手をそのまま相手に伸ばしてしまう。二の腕にすがりつくようにして。首
を横に振って。顔を背けて。
 見ないで、見ないで、なんて女みたいな細い声を上げて。
「可愛え奴」
 掴んだ二の腕に、爪を立ててしまうくらいの力を込めたのに。男の硬い筋肉
はびくともせずに、オレの手をそのままにしてこちらの腰をガッと引き寄せた。
 もう自分の声が自分のものに聞こえない。
 あられもない嬌声でしかない。
 涎を垂らさんばかりの、快楽を求める声。射精したばかりの、身体を包み込
むだるさも拭い去るように、まだ奥へ、もっと奥へ、と男はオレを追い上げる。
「やあっ、あああ、あ――っ、」
「中で、」
「出して、出して、いい、から、」
 うねるような熱の塊が、胸の少し下辺りでとどまっている。
 それを解放して欲しくて、オレは叫ぶように喘ぐ。
 声をかすれさせて、息を吐き出し切ったところで男が大きく身震いをした。
打ちつけられていた腰が、そのまま止まる。んん、と言葉のようなものが発せ
られた気がしたけれど、定かではない。
「あっ、」
 声を漏らしたのはオレの方で、相手の二の腕を掴んでいた手をようやく離し
て布団の上に落とした。向こうの肌に、指の赤い痕がくっきりと残っているの
が見える。

147 名前:136続き mailto:sage [2014/04/06(日) 01:38:30.56 0]
 肩で息をして。
 相手がなにを見ているのかと思って、それが知りたくて顔を見た。
 ライオンの目はこちらを見たまま、ほんの少しだけ細められていて、オレは
まさか自分が見られているとは想像もしていなかったから慌ててしまい、けれ
ど絡んだ視線を解けないままでいた。だから、男の瞳には動揺しているオレが、
ずっと映っていた。

 重いやろう、と言われて、首を横に振る。
 オレの上に覆いかぶさって、それでも男は脚だの腕だのをそっと外して、す
べての体重がかからないようにしてくれている。
「なん」
「なにが」
「人の顔ばっかよう見て」
 なんでもないけん、と言った唇を脇から寄せられて、ひょっとこみたいな口
にさせられる。やめい、と腕を上げると、相手はくつくつと笑った。
「ふん詰まりみたいな顔しとるがよ」
「してない」
「言いたいことでもあるんと違うか」
 言いたいこと。
 言いたい、こと。
 オレとあんたは、なに?
「うん?」
「オレと、あんた、の、その……なんで?」
「なにが」
「どうして、オレを抱く?」
 おみゃあが可愛い顔しとるで。
 男は簡潔に言うと、そんなこと聞きたかったんか、と呆れたような口調にな
る。

148 名前:136続き mailto:sage [2014/04/06(日) 07:50:57.12 0]
「女みたいなこと聞くでにゃあよ」
 女みたい、でカチンときたのは確かだったけど、そうかもしれない、とも思
った。
「不満か」
「……別に」
「すねんな、可愛え顔がゆがむで」
「だから、」
「知らん、俺も知らん、おみゃあが他に行きたいとこがあったら行きゃあいい
で。止めん」
「好きじゃ、ないから?」
 そんな言葉が自分からこぼれて驚いた。
 言葉なんて不確定なものを欲しがる人間ではなかったはずなのに。
 どうして。
 所有されないという不安なんて、別に。
 そんな、ものは。
 それこそが、自由であって。
「なんよ」
「分からん……」
 オレは自分の身体が感じている男の重みを信じたい。信じたい? 
「オレなんかより大事なもんが、あんたにはいっぱいあんだろ?」
 束縛なんて、されたくないのに。
「なんで泣くが」
「泣いてなんか、」
「ない言うんならそれでええやが、おみゃあは笑っとる方が可愛えし、ええ声
で鳴いとるばっかでおり」
 なんだよその勝手な押し付けは、と怒っていいのか笑っていいのか分からな
いまま、頬を撫でられる。顔が寄せられて、唇が奪われる、思考がさらわれる。

149 名前:136続き mailto:sage [2014/04/06(日) 08:37:24.78 0]
 惚れた腫れたがなくてもおみゃあに情はあるで、と言われたような気がする
けど、酸欠の脳が聞きそびれたか都合のいいように聞き変えただけの言葉かも
しれない。
 男の手がオレの脇腹を撫でた。
 もう一度混ざりたい、の意味だと知っているオレは腕を伸ばして、相手の背
に回した。強く力を込めて。抱きしめると、男が笑う、だからオレも微かに笑
ってみせた、すぐにそんな余裕は蹴散らされてしまうと知っていながら。
***********************************
お粗末さまでした、お付き合いありがとうございました。
嘘っこ名古屋弁と広島弁で申し訳ない!
ご当地の方が見ていらしたら、「嘘っこだ!」と思っても
怒らないでいただけると嬉しいですw

150 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/04/07(月) 00:34:01.25 O]
(*゜Д゜)
達アベだ…達アベだ…達アベだ…!達アベだー!┗(T◇T)┛



151 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/04/08(火) 19:08:59.73 0]
久しぶりの達アベ!
萌えたよありがとう

152 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/05/16(金) 22:27:11.50 O]
アベくーん!

153 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/05/21(水) 13:55:10.27 0]
(`皿´) <呼んだ?

154 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/05/23(金) 12:59:40.56 0]
呼んだーっ、アベくーん!

155 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/06/01(日) 20:07:36.32 O]
Birthdayの初日観に帰ってきてたかしらね、アベくん

156 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/06/19(木) 10:41:29.41 0]
アベに会いたいよー

157 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/07/03(木) 22:16:38.95 0]
七夕には帰ってくるかな、アベくん
あ、チバの誕生日には帰ってくるか?!

158 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/07/19(土) 09:43:06.41 0]
ああ、もうすぐ22日だ
今年もいろいろイベントやるみたいだね、アベくん

159 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/07/22(火) 21:34:29.23 0]
(`皿´)ノ

160 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/07/22(火) 21:51:13.84 0]
お帰りアベくん
一杯どうぞ
つギネス



161 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/07/22(火) 22:38:40.56 i]
プリンもあるよ

162 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/07/24(木) 23:43:11.73 0]
(`皿´)みんな覚えててくれたんだな・・・

163 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/08/05(火) 09:54:56.85 0]
3日にWOWOW観れた人達、アベくんたくさん映ってたってね!
吉川さん、アベくんとのライブの映像、DVDにしてくんないかなー

164 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/08/07(木) 10:14:31.84 0]
人がいないようなので、スレ汚し。猫耳注意です。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
 次の店に行く、って言って肩組んでチバとアベ君が夜の街に消えたのが二時
間ほど前。ウエノはどうする、って聞かれたけど、珍しくキュウが眠そうだっ
たから、俺も付き合ってホテルに戻ってた。同室だから、俺が酔っ払って帰っ
てくると起こしたりして可哀想だし。
 でも部屋に帰るなりころんと寝てしまったキュウとは違って、別に眠くもな
かった俺は備え付けの冷蔵庫から取り出したビールを飲んで、ぼんやりと時間
を潰していた。
 楽しいけど、楽しいけどうちのバンド、ツアー本数すげえ多いよな。楽しい
けど。日本中ぐるぐるライブハウス回って、なんかもう旅の音楽隊みたい。音
楽隊、って可愛いもんでもないけど。がなる凶暴なカナリアと鬼のギターとか
いるしな。北見の大砲とか、エロ王子とかな。俺かよ。ベース抱きしめて腰振
ったくらいで、ちょっとエロい顔してベースにちゅーしたくらいで、人をエロ
扱いすんなっての。酔っ払って、ちょっと全裸で雑誌関係の人のコート羽織っ
たりしてるだけじゃん。お、考えてみればエロいか? 変態か?
 ってぼうっと考えながら薄いレースのカーテンの向こう、夜の街がネオンを
またたかせるのをビール飲みながら見てた。
 そんとき、部屋の電話が鳴って。
 びくっとして、キュウが起きる! と思って慌てて受話器に飛びついて。なん
だよ誰だよ、って出ると、回線の向こうから焦ったようなチバの声が響いた。

165 名前:164続き mailto:sage [2014/08/07(木) 10:29:03.20 0]
『っ、コウジ君?』
「はいはい、コウジ君ですよ」
『ちょっ、た、助けて!』
「なんだよ、酔ったアベ君にでも襲われたか?」
 はははは見境ねえなあ、って笑ったのに、そんなんじゃない、って怒られる。
『お、襲われた方がまだマシだって!』
「……はあ? おいおい、なにしてんだよお前ら」
『いいから、こ、こっちの部屋、来てくれよ!』
 わああああアベ君! と悲鳴が上がって電話は切れた。おいおい、なにしてん
だよマジで。
 飲みかけのビールをテーブルに置いて、俺はキュウを起こさないようにそっ
と部屋を出る。アベ君とチバの部屋は隣で、一応ノックをしたけど返事はなか
った。入るぞ、と声をかけてドアノブを回す。鍵はかかってなかった。
「いつ帰ってきたんだよ、って、なにがあっ……うわあああああ?」
「あっ、コウジ君っ、助けてっ!」
 乱れたシャツの前をかき合わせて、顔に薄い引っかき傷を二本ほど作って、
チバが泣きそうな顔で飛びついてくる。なんだよやっぱアベ君に襲われたんじ
ゃん、って思って部屋の奥に目を向けて、俺は絶句した。
 ベッドの上で膝立ちになって、脇の壁をばりばりと引っかいている背の高い
黒尽くめの男が。その尻に、黒く長い尻尾。その頭に、尖がった黒くなめらか
そうな手触りの耳が。

166 名前:164続き mailto:sage [2014/08/07(木) 10:51:17.25 0]
「なっ、――コ、コスプレ?」
「違う、違うっ、なんか勝手に生えた!」
「生えた、って、ちょっ……、」
 みゃあん、って鳴いて。猫の耳と尻尾を生やしたアベ君が、興味をこちらに
向ける。つり上がった目を細めて、顔を手で撫でている。
「わああっ、も、もうやだあああっ!」
 チバが叫んで。
「ど、どうなってんの、あれ」
「わ、分かんねえ、なんかさっきまで居た店で、アベ君、またたび酒っての飲
んでて、気がついたら、」
「……耳生えてたとか言うんじゃねえだろうな?」
「い、言う……」
 なんだよそりゃ。
 大体、チバが猫になるっつうんなら百歩譲って納得してもいい、でもアベ君
が猫って。猫って、それ。
「……可愛くないことも、ないな」
「コ、コウジ君?」
「あ、いやいや、なに、引っかかれたの?」
「なん、か、遊べっ、ていうみたいに、すぐ飛びついてきて、ふ、服とかに爪、
立てるし、って、わああああっ!」
 ドアの近くで話していたら、アベ君がひらりと飛んだ。四足でびよんっと伸
びるみたいにして駆けてきて、俺に飛び掛る。
「わっ!」
「コウジ君!」
「とりあえずチバ、お前隣の部屋に非難しとけ! キュウが寝てるから起こすな
よ!」

167 名前:164続き mailto:sage [2014/08/07(木) 15:05:04.88 0]
「う、うん、ごめんっ!」
 猫なアベ君を持て余してたんだろう、チバがほっとした顔をしつつも部屋を
飛び出していく。俺の腕の中には、きらっきらした目でごろごろ喉を鳴らして
るアベ君が。
 ごろごろ? 機嫌がいいのか? 飛び掛られたんでしりもちをついた状態で、
とりあえず喉を撫でてみた。
「みゃあううっ」
 喉仏の尖ったところを、なめらかな部分からそっと撫で上げる。きゅんと目
を細めたアベ君が、さっきより大きく喉を鳴らす。
 尻尾がゆらりと揺れて、でもなんだかぎこちない動きだった。見ればスリム
なジーンズに尻尾用の穴が空いているわけなどもちろんなく、それは無理矢理
ウエストの部分からはみ出させているから、そこが圧迫されているらしい。
 これは尻尾痛いだろう、と、なにも考えずに俺はアベ君のベルトを外す。ジ
ーンズのボタンとチャックを解放して、脱がせようとしたら暴れられた。
「なんだよっ、尻尾痛いだろうがっ、言うこと聞けこらっ!」
 長い腕を伸ばして引っかこうとするので、こっちも必死になる。黙るかと思
って尻尾をぎゅっと掴んだら、アベ君が、みゃっ! と跳ねた。眉間にしわが
寄せられる。唸り声を上げる口の形で、歯を見せる、けど。力も抜けたらしい。
ふにゃう、と鳴いて、腰から崩れた。
「ありゃりゃ」
 尻尾は弱点か。

168 名前:164続き mailto:sage [2014/08/07(木) 15:27:49.91 0]
 脱がしにくいジーンズを引っ張って脚を抜く。黒いボクサーパンツと黒いT
シャツ。猫の耳と尻尾。なにこの可愛くてでっかい黒猫。脱力したままなので、
さらさらの髪を撫でてみる。ところでいつまで床の上に転がってんでしょう、
俺達。
 つまむようにして触れた猫の耳は、ビロードの手触りであたたかかった。そ
ういえばさっき握った尻尾だって、ちゃんと血の通った温度があった。
 どうすんだろ。
 この猫耳と尻尾。
 いや、その前にこの人、さっきから猫語しか喋ってない。みゃあみゃあふに
ふに言うだけで、人の理解できる言語を口にしてない。こんなんでギター弾け
んの? いや、無理だろう。まだツアー残ってんのに、どうすんの? 鬼のア
ベならぬ猫のアベ? 鬼神社ならぬ猫神社? うらあああああっ! って叫ぶ
代わりに、うにゃあああああんっ! って叫ぶの? ファンの子、どん引きじ
ゃね?
「……どうすんの、アベ君」
 耳の裏をこりこりとかいてやりながら、胡坐をかいた脚の間にアベ君の頭を
もたせかけて、俺はつい独り言と一緒にため息を吐く。
 猫になるってなんなのさ。
 どうすりゃいいのさ。
 だけど聞いてみたってアベ君はごろごろ言うだけだ。当たり前だ、猫だもん。
 腰が痛くなりそうだからとりあえずベッドに移るか、と言ってみたら、ベッ
ド、の意味は分かったらしい。ぴょんと起きて、自分のテリトリーである方に
そのままの勢いで飛び乗った。と、がさりと音がする。ビニール袋のこすれる
音。

169 名前:164続き mailto:sage [2014/08/07(木) 15:51:24.31 0]
「みゃうっ、みゃうっ、」
「ん、なに?」
 手に取れば、小さなパックの牛乳と。
「おい、これキャットフードじゃねえか……」
 帰り道でこんな猫男を連れながら、チバが買ったんだろうか。でもさすがに
いくら猫耳が生えてるからって、キャットフードは食わせちゃまずいだろ。
「にゃあっ、にゃあっ」
「ん? なに、アベ君牛乳飲むの?」
「みゃあっ、みゃあっ」
「……いつものアベ君の声でにゃあにゃあ鳴かれると、なんか俺、バカにされ
てる気になるんですけど」
 しゃべんなさいよあんた、と頭に手を置いたけど、アベ君は目を細めただけ
だった。
 仕方ないので洗面所から歯磨き用のコップを持ってきて牛乳を注ぐ。
 アベ君に差し出すと、奴はコップを覗き込んでふんふんと匂いを嗅ぎ、みゃ
うみゃう鳴いた。
「飲めない、か。……ですよね、」
 でもホテルになんか皿はないし。灰皿に入れる? いやいや、灰皿に入れた
牛乳なんて舐めさせたら、俺もうなんか変態みたいでしょ。
 困った挙句、仕方ないので人差し指を牛乳に突っ込む。
 その指をアベ君の前に差し出してみた。
「舐めろ。って、なんかそのセリフもちょっとねえ、」
 って、笑ったのに。
 アベ君、俺の肩に手を置いて、首を下げて目を細めて、ぴちゃりと俺の指を
舐める。
 薄い舌が、指の牛乳をキレイにする。

170 名前:164続き mailto:sage [2014/08/07(木) 23:01:47.70 0]
 唇の周りをぺろりと舐めると、俺の目を覗き込んで、みゃう、と鳴いた。
「お、おかわり?」
 変にドキドキするのが隠せなくておろおろする。動揺、ってやつだ。もう一
度同じようにすると、またアベ君が舌を伸ばしてきた。伏せた目で顔を近付け
て指を舐める、って、なんかかなり官能的な状況のような気がすんですけど。
 なんか。
 アベ君が。
 可愛い。
 動揺が一回転してムラムラに変わる、悪戯心もむくむくと湧いて、俺は自分
のシャツを脱ぎ捨てた。ふざけて胸に牛乳を塗ってみる。
「ほらほらアベく……、」
 当たり前みたいに顔は寄せられて、舌が這わされて。
 わっ、なんて倒れそうになるのを、コップを持っているからどうにか踏みと
どまって。
「みゅうううううっ、」
「ア、 アベ君、冗談にしてもまずいだろ……」
 必死で腕を伸ばして、コップをベッドサイドの平らなところに置く。ほぼ同
時に俺はアベ君に押し倒された。もう自由になった尻尾をゆらりと揺らして、
獲物を抑え込む獣の形で俺の上になる。喉に歯を立てられて、かぷかぷと甘噛
みされて。二の腕やら鎖骨やらも噛まれて、そうかと思うと胸を舐める。
「アベ君っ、や、やめっ、」
 乳首を気に入ったのか、それともそこだけぽつっと引っ掛かるのが不思議な
のか、アベ君はその胸の突起ばかりを舐めはじめた。舌を押し付けられて、ぐ
にぐにと刺激されて。舐めるだけで吸ったり噛んだりはしないけど、それがま
たなんだか稚拙なような一所懸命なような、止めさせようにも言葉が伝わらな
いまま、俺の息だけが上がる。



171 名前:164続き mailto:sage [2014/08/07(木) 23:31:43.53 0]
「アベく、ん、も、やめ……っ、」
「みゃあうっ!」
 必死で伸ばした手に、揺れる尻尾が触れた。指先で手繰って、ぎゅっと握り
しめる。握った尻尾を、アベ君のものをこするときみたいに根元から上へと力
をそんなに緩めないままこすり上げた。
 あっという間にアベ君がへにゃりと俺の胸の上に倒れる。
 びくりと背中を震わせて、喘ぐように口を開いている。
 そこに唇を寄せた。重ねて、舌を差し入れる。噛まれるかと覚悟してたけど、
力が抜けているアベ君の舌もくたっと力無くしていて、だから勝手に弄んだ。
吸って、舐めて、甘噛みして。アベ君は肩で息をしている。俺がTシャツの裾
から手を潜り込ませて、乳首をつまんでいるからかもしれない。さっきのお返
しとばかりに、指の腹でつまんで刺激を与える。みゅうっ、みゅうっ、とアベ
君が甘く鳴く。
「……さあ、お返しさせてもらうかんな」
 背中に腕を回して、ごろりと転がった。形勢逆転で、今度はアベ君が俺の下
になる。胸までめくれ上がったTシャツの下、白い肌がほんのりと上気してい
る。下着の上からそっとアベ君のものの輪郭をなぞると、最初はやわらかかっ
たそれもすぐに硬さを増して存在をくっきりとさせはじめた。
 そういえばやわらかいままのアベ君に触るってのも、なんか珍しい話だ。ど
うせなら脱がせてから悪戯してやればよかった、と思っている間にも、アベ君
は息を上げていく。はっ、はっ、と浅い呼吸になって。
「気持ちいいの?」
 聞いたって答えない。
 でも、頬が薔薇色に染まっている。首を横に向けて、シーツを握り締めて。
その格好が可愛くて、俺は下着をずらして勃ち上がっているアベ君のものを躊
躇いもなく口に含んだ。

172 名前:164続き mailto:sage [2014/08/08(金) 09:16:37.16 0]
「みっ、みゃああああああっ!」
 尻の下になった尻尾が、脚の間からちらりと覗いてベッドをパタパタと叩い
ている。でもちょっと強く吸い上げると、すぐにくたりと力を失った。
 顎が上がってる。
 息が苦しそうで。
 でもそれって気持ちいいから苦しいんでしょ、なんて思ってしまう俺は意地
悪くアベ君の根元をぎゅうっと握る。細い肩がしなるように跳ねた。みゅうう
うう、と切ない悲鳴がアベ君から発せられる。カリの部分を舌でぐるりとなぞ
って、奥歯で甘く噛んで、サオの部分はゆるりと握り込んで扱いて。
「みゃうっ……みゃううっ……」
 声を上げ過ぎてかすれたらしい。喉が渇いているんだろうか。
 俺は口だけ離して、手はそのままに、ずり上がってアベ君の胸に自分の胸を
重ねる。さっき置いといた牛乳を口に含んで、そのままくちづけた。少しずつ、
アベ君の口内へ流してやる。
 しかし、牛乳のくちうつしって様になんないのな。なんか、乳くさいし。当
たり前だけど。急いで飲ませても、口の中でちょっとあったまるし。
 酒とか、まだ水だったら絵になるものの。
 牛乳ってなんだかな、と思ったけど、顔を上げたらそうでもなかった。飲み
切れなかった白い液体が、アベ君の唇の端から一筋垂れている。
 とろりとした目で俺を見て、みゃあ、と小さく鳴く。
「もっと?」
 みゃう。
「もっと、どっち?」
 みゃ、う。
「牛乳? それともイかせて欲しい?」
 みゃ……。
 唇からこぼれた牛乳を指先で掬うと、小さく口を開けたアベ君が咥え込む。
目尻がやわらかく色づいて、潤んだ瞳に覗き込んだ俺が揺れる。

173 名前:164続き mailto:sage [2014/08/08(金) 09:47:52.23 0]
「牛乳が良いよな、アベ君、猫だもんな」
 俺はもう一度牛乳を口にすると、そっとその薄い唇に重ねて流し込んでやっ
た。
 シーツを握り締めていたアベ君の手が、ゆるりと持ち上がって俺の首に絡ま
る。みう、と小さく鳴いて、アベ君が頬を寄せてくる。額をぐりぐりと押しつ
けてきて、俺がアベ君のものを強く扱くたびに息を荒くさせる。はあはあと呼
吸を早くして、焦らしても可哀想だからすぐにそのままイかせた。
 イく瞬間、アベ君は目を大きく開いて、声にならない空気の塊を吐いたあと
身体を大きく震わせ、しならせて俺に強く抱きついてきた。
 可愛くて。
 可愛くて。
 猫の耳がぴるりと動いて横を向く。
 尻尾からも力が抜けて、もうシーツを叩く元気もないらしい。
 猫なアベ君をヤっちまうのも一興だけど、これはこれで眺めているだけでも
可愛いなあ、と思いながら、またねだられて牛乳をやった。

174 名前:164続き mailto:sage [2014/08/08(金) 10:15:52.69 0]
 抱きしめてごろごろ言わせながら体温を共有して、気のせいか獣の身だから
なのかいつもよりアベ君の体温は高いようで、抱きしめているうちにとろりと
眠気を誘われる。
 普段は上手く眠れないアベ君も、さすが猫だけあってうつらうつらしていた
から、それもいいかとずっと髪を撫でてやっているうちにいつしか抱き合って
眠っていた。
 次の日、酔いが醒めたら猫の耳も尻尾もキレイになくなっていて、「なんかオ
レの口牛乳くさいけどなんでだ?」と不思議そうなアベ君に叩き起こされるこ
とになるんだけど、猫のまんまでも良かったのにな、と少し残念に思ったのは
内緒の話だ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
お粗末さまでした、お目汚し失礼いたしました。

175 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/09/08(月) 11:30:03.97 I]
猫おおおおお興奮した…
エロいよエロいよお…!もっと書いてほしい!

176 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/09/25(木) 17:42:42.41 0]
昔の猫アベ思い出しましたありがとうございます

177 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/10/23(木) 12:00:48.19 0]
うはー!ありがとうございます!

猫人間ナツカシス

178 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/12/04(木) 22:00:21.13 0]
あらあらあらあらもう冬の星に生まれた誰かさんの誕生月ではないですか

179 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/12/09(火) 15:00:01.93 0]
もうアベ不足で体調不良だよ

180 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/12/11(木) 13:42:56.05 0]
最近某所に上がった画像見て無意識なのかもしれんが
分け目とか長さとか鰓さんの髪型と似せてるのかなあと思ってしまい
そんな好きな人の髪型を真似てくるスットコさんじゃあるまいし…ともだもだしました



181 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/12/15(月) 22:43:21.85 0]
某所って後援会?

182 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/12/16(火) 01:55:22.36 0]
そう
現行スレはスレタイから後援会省かれてるけどそこであがった画像

183 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/12/16(火) 15:35:05.14 0]
あれはいい写真だった・・・
やっぱ持ってたのって関係者だったのかしら

今日はアベフトシ生誕祭!
アベくん、誕生日おめでとう!

184 名前:実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー mailto:sage [2014/12/16(火) 20:58:09.15 0]
ミの頃はチバの髪型と同じだと思った事ある






[ 新着レスの取得/表示 (agate) ] / [ 携帯版 ]

前100 次100 最新50 [ このスレをブックマーク! 携帯に送る ] 2chのread.cgiへ
[+板 最近立ったスレ&熱いスレ一覧 : +板 最近立ったスレ/記者別一覧]( ´∀`)<108KB

read.cgi ver5.27 [feat.BBS2 +1.6] / e.0.2 (02/09/03) / eucaly.net products.
担当:undef