- 346 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2007/08/06(月) 22:13:25 ID:M0e0wjki0]
- この中庭の女って美魚だよね?何してるのか分かる?
クドが指し示す中庭のその先に、ひとりの女の子が立っていた。 【理樹】「ふつうの…生徒みたいに思えるけど」 別段おかしいところはない。 【クド】「そうなんですけど…でも、ほら」 女の子は見ていると不意に数歩だけ歩いた。そのまままた動かなくなる。 【クド】「動いてます」 そりゃ動くだろう、生きてるんだから、と僕は思った。 …が、クドが言いたいのはそういうことではないらしい。 【クド】「ふぅむ」【クド】「直枝さん、ちょっと持っててください」 【理樹】「いいけど、クド?」 クドから飲みかけの紙パックを受け取る。クドはパタパタと上靴を鳴らしながら彼女のほうへ向かっていった。 【理樹】「…? まさか、何をしてるのか訊きにいったのかな…」 好奇心旺盛なのも困ったものだなぁ、と僕は苦笑した。クドはいつもの身振り手振りで話をしているようだ。 二言三言交わしたあと、クドは頷いている。 【クド】「すみません、直枝さん」 クドがまたパタパタと上靴を鳴らして戻ってきた。 【理樹】「何訊いてたの?」 【クド】「面白いもの、踏めますか、って」 【理樹】「…踏む? 踏むって?」 【クド】「影踏みです、影踏み。影踏みしてるのかなーと、思って」 クドは自分の影を示しながら言った。 【理樹】「…昼間から影踏み遊びをしてるって変な人だよ、それは」 【クド】「ですかー…それはそれで風流だと思うんですけど」 風流って…。 【理樹】「返事はなんて?」 【クド】「『影踏みなんかしてない』ってお答えでした」
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