- 289 名前:まい×舞 10 mailto:age [2009/11/08(日) 01:43:51 ID:AFvry4U/]
- もう一人の自分がウサギの耳飾りを頭に着ける。蹂躙された舞の冷え切った胸になにか
懐かしく暖かい感情が広がるが、自分を覆う悪魔の影に途端に安堵の思いは凍り付く。 頭上で揺れる記憶の入り口は、この狂気の宴の前に無防備にさらされてしまった。 汚された剣士の乱れた髪の上にふわふわと揺れる白いウサギの耳は、 少女の中から引きずり出された最期の価値あるものに他ならない。 無力と化した自分にこの大切な想いを守る術は、無い。 「かわいいね。うん、やっぱり今の舞にもお似合いだね。 じゃあ、 ぜんぶ、ぜんぶ、傷つけてあげるね…舞。二度とわたしから逃げ出さないように…」 心の中の幼い自分がびくんと震える。舞の意識に埋もれていた楽しかった記憶が色鮮やかに蘇る。 それを踏みにじられる悲壮感に、舞は身も心も子供に戻ってしまったかのようにしゃくり上げ、 首を嫌々と振り乱す。その度にゆさゆさと悲しげにウサギの耳が揺れ舞った。 「…嫌だ…嫌だっ、ううぅ、お願い、…それだけは…」
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