- 629 名前:名無しさんが転んだ! [2011/11/01(火) 22:02:59.91 ID:CTKJmarL.net]
- 歳取ってからできた子供だっただけに私の息子に対する愛情は本当に目の中に入れても痛くないという表現がぴったりの溺愛と言えるものでした。
毎日の成長が嬉しくて初めて立ち上がった日、言葉を話した日、全てを鮮明に覚えています。家内と共に西武ドームまで来て、 その日に打った選手を見ては一生懸命その名前を覚えていました。 息子は中でもその姿の美しさからナカジが一番のお気に入りで、ナカジが沢山打った日はいつも以上に喜んでくれました。 しかし、そんな幸せな日々も長くは続きませんでした。息子が風邪で倒れ、悪い事にその菌が脳にまわってしまったのです。 日々衰弱してゆく息子。私は息子の入院の費用を稼ぐためにも西武ドームへ行って、そして戻ると病院に駆けつける毎日でした。 息子は朦朧とする意識の中、言いました。「大きくなったら僕も西武ドームでパパと一緒に西武を応援するんだ」私は息子の小さな手を 握りうなずくことしかできませんでした。 そして運命の日がやって来ました。 いつものように病院に駆けつけると家内が真っ青な顔で言いました。「意識が戻らなくなった」昼からずっと昏睡状態で意識が戻らないのです。 私は息子の手を握り繰り返しその名前を叫びました。それは奇跡なのでしょう。ぴくりと手が動きうっすらと目を開けたのです。そしてか細い声で言いました。 「ナ、ナカジは?ナカジは、う、打ったの??」 私は言いました 「ああ。ナカジが打ったよ。今年一番の大量得点だ」 息子はそれを聞くとにっこりと笑い、そして目を閉じました。そしてその目は二度と開くことはありませんでした。 今でもナカジが大当たりの日にはあの日の事を思い出します。 息子はきっと私を待ちきれなくて今頃天国の西武ドームで沢山の選手を応援していることでしょう。 元気でやってるかい?そちらのドームにもナカジはいるかい?
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