- 1 名前:本当にあった怖い名無し mailto:sage [2008/03/05(水) 11:57:48 ID:9YXeK+3q0]
- ■注意■
・ネタバレ必須です。 既出上等。 ・知らない人にも内容がわかるように紹介して下さい。(>>2-5あたり参照) ・ageよりsage進行でおながいします。 ・映画や小説、漫画、ネットの噂などのネタやコピぺも可です。 ・1回で投稿しきれない長文は、投稿前にメモ帳でぜんぶの文章を書き終えてから、連続投稿してください。 ・漫画ネタを見たくない人は「漫画」「まんが」「マンガ」「アニメ」をNGワード登録しておくと快適にご覧いただけます。 聞いた後に何となく嫌な気分になったり、切なくてやりきれない夜をすごしてしまったり、 不安に駆られたり、体中がむず痒くなるような話を語り合うスレです。 ★重要! 【次スレは950を踏んだ人が立てて下さい。】 ※950が立てられない場合は早めに申告して下さい。 次スレが無いのに埋める荒らしが居るため、スレ立ては最優先でお願いします。 950を超えたらネタの投下は次スレまで待つぐらいが良いでしょう。 前スレ 後味の悪い話その83 hobby10.2ch.net/test/read.cgi/occult/1203178450/ 過去ログはこちらからどうぞ 「後味の悪い話 まとめサイト」 badaftertaste.web.fc2.com/
- 605 名前:母子像1/2 mailto:sage [2008/03/17(月) 17:59:29 ID:6Umz2BYn0]
- じゃあ筒井康隆の「母子像」
主人公の私は、妻と産まれたばかりの子と、古びた実家で親子3人静かに暮らしていた。 普段は自宅で仕事をしているが、ある日外出した帰り道、露天でサルのおもちゃを赤ん坊にと買う。 ネジを巻くとシンバルを鳴らすもので、一匹だけなぜか白い布地で作られているサルを選んだ。 数日後のある夜、外出から帰宅したが妻子がいない。 待つうち赤ん坊の声がした気がしたが姿は見えない。 そのうちふと数日前の奇妙なことを思い出す。 仕事に行き詰まり一人で寝ていた赤ん坊の様子を気まぐれに見に行ったら右腕の先が無かった。 おどろいて抱き上げようとしたら抵抗感があり、 それでも引っ張っり抱き上げたら無事腕は元に戻っていた。 消えていた右手には白いサルのおもちゃが握られていた。 ふいに廊下でシンバルの音がしたので見に行くと、かすかに赤ん坊の背中が見えた。そして消えてしまった。 妻子の失踪を警察に連絡してから何日か経ったとき、妻子の姿を宙に見た。 思わず妻の名を呼んだが不安げにあたりを見回すだけでこちらの姿は見えないらしく、 再度大声で呼ぶと「あなた」と唇が動きこちらに手を伸ばす仕草をした。 その手をつかみ引っ張ろうとしたとき、赤ん坊が握っているサルがシンバルを鳴らしだした。 そしてあっという間に妻子の姿は消えてしまった、が、サルだけは空中で未だシンバルを鳴らしてい、 それに手を伸ばしたら捕まえることが出来た。 それ以来ずっと私はサルを握っている。これがあれば妻子の世界と繋がれるかもしれない。
- 606 名前:母子像2/2 mailto:sage [2008/03/17(月) 18:00:17 ID:6Umz2BYn0]
- とうとうある日、サルを握っている手が引っ張られる感触があった。
腕を見ると肘あたりまで消えている。そして「あなた」と妻の声がし赤ん坊を抱いた姿が頭上に見えた。 「どこにいるんだ」と問いかけると「わからない。何もかも歪んで見える。あなた、助けて」。 思わずサルを握った右手を差し上げると妻の足らしきものに触れた。 急いでサルを放して両手で引っ張ろうとしたが、ふと不安を感じ、 右手沿いに左手もその空間へ差し入れ、左手だけで思い切り引っ張った。 妻の足が、胴体が、抱かれた赤ん坊がだんだん見えてきて、 私は右腕で妻の体を抱き、さらに左手で引っ張ろうとしたが、もう力が入らない。 あと少しなのにと焦った私はサルを放し両手で妻子を引きずりおろそうとした。 妻子が一気にドサッと落ちてきて、私は急いで二人を見て、絶望の声を上げた。 「早すぎた、サルを放すのが早すぎた」 妻子はともに首から上がなかった。肩の辺りから霞んでしまいその先はなかった。 いま、妻はずっと奥の部屋に赤ん坊を抱いて座っている。 妻に触れることは出来るが会話はできない。 たまに私が赤ん坊を抱こうとすると、こちらが見えない妻は焦って赤ん坊を守ろうとするが 腕をたたくと安心して渡してくれる。 サルの人形はもう現れない。 このあいだ仕事に疲れて夜の庭を硝子越しに見たらそこに妻子の首があった。 眠っている赤ん坊に頬ずりするように目を閉じている妻、その姿は絵画の母子像のようだった。 しかし、落ち着いてから思うのだが、案外と妻はこれでしあわせなのかもしれない。 子を産んでからほとんど外出しなくなり、この古い家でじっと赤ん坊の世話をしていた妻。 アルビノという病気を背負ってで産まれてきた赤ん坊も、 現実社会で生きていくよりはこれでいいのかもしれない。 私が何十年かして死んだ後も、あの二人はこの古い家で、ずっと生きていくのだ。この家のある限り。 長くなってゴメ
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