- 1 名前:冷やし飴 ★ [2017/12/17(日) 12:24:58.70 ID:CAP_USER9.net]
- ■“マイルド化する絵本”への警鐘 過激表現から“逃げない”編集者の想いとは?
昨今、絵本業界では、過激な表現をやわらかにした「マイルド絵本」が多くなっているという。おばあさんが狸に殺されない『かちかちやま』。最後は鬼と仲良くなる『ももたろう』。悪さをしたオオカミが子ブタから報復されない『三匹の子ブタ』など、最後は仲良く大団円という誰も傷つかない内容がそれだ。一方で、マイルド化への“アンチテーゼ”かのように、昔ながらの絵本表現を重視している出版社もある。そこで、過激な表現をあえて残す絵本編集者に、その“編集意図”と“子どもたちへの想”いを聞いた。 ■「命がけの生活」があることを絵本から学んでほしい 岩崎書店が出版する昔話「いまむかしえほん」シリーズ『かちかち山』(文:広松由希子 絵:あべ弘士)では、狸に殺されて婆汁にされるおばあさん、その狸に仕返しをするおじいさんといった、昔と変わらない『かちかちやま』が描かれている。その点について岩崎書店絵本編集・河本祐里さんに話を聞くと「昔ながらというよりは再話を収録した原典に準じています。決して殺伐としたシーンを際立たせたいわけではなく、『かちかち山』ではこのシーンがキモであり、“狸と人との命がけの戦い”を表現するうえで絶対にハズせない箇所なんです」と説明する。狸がおばあさんを殺す場面だけを切り取れば確かに残酷だが、読み進めれば、おじいさんも狸を殺して狸汁にしようとしている。つまり、おじいさんも貧しい村で生きるために必死、狸も生きるために必死、こうした“命がけの生活”がある、ということを子どもたちに知ってもらいたいのだと河本さんは話す。 昔から英米で親しまれている伝承童謡『マザー・グース』にも残酷な話はたくさんあるが、東西を問わず昔話に過激な表現が見られるのは、社会の厳しさ、人間関係の複雑さ、善悪、または社会への風刺であり、そうした“教訓”を子どもに伝えるため。河本さんは「人生の厳しさを伝えるキモとなる箇所は、ちゃんと残すようにしている」と絵本制作の心構えを強調する。 ■パパの“新しいカノジョ”と子どもの関係を絵本で表現 『ももたろう』や『かさじぞう』などおなじみの日本昔話を出版する一方で、岩崎書店では“表現”において常に新しいことにチャレンジしてきたという。1980年に出版された『はれときどきぶた』(作・絵:矢玉四郎)も、『これは児童文学ではない』と賛否両論があったようだ。当時、学校の先生も親も漫画を否定していた時代であり、そんな中で「漫画家による児童書」を出すことはまさに挑戦だった。そんな、“新しい表現に対して寛容”な社風の元、河本さんは翻訳絵本『パパのカノジョは』(作:ジャニス・レヴィ 絵:クリス・モンロー)に取り組む。ちなみに、欧米の絵本は日本よりも歴史があり、出版点数も日本の比ではないとのこと。その中で厳選されて日本に入ってくるだけに、非常にレベルの高い絵本が多いのだとか。 「この絵本は、パパの“新しいカノジョ”について娘があれこれ考える話です。パパに新しいカノジョが出来て、最初は戸惑いながらも徐々にカノジョとの関係が変わっていく…子どもは親や大人に何を望んでいるのか、どんな視点で見ているのか、家族の新しい形が描かれています」と河本さん。しかし、翻訳出版したのは15年前であり、タイトル含め社内でも意見が分かれたとのこと。「親の離婚、新しいカノジョ、そうした家族の問題を超えて人間としての心の繋がりを描いたとても良い内容なんです。でもタイトルだけを見て『なぜ不倫の本を出すのか』とか様々な反応がありました」と述懐する。 厚生労働省によると、平成27年の婚姻件数63万5000組に対して離婚件数は22万5000組。約3組に1組の割合で離婚している時代の世相もあり、昨今は“離婚の話”に対して社会も寛容だが、15年前は相当風当たりが強かったとのこと。しかし、現在は両親ともに男性であったり養子の話とか、さらに新しい家族の形を描いた絵本も欧米で出てきており、いずれ日本でも出版されていくだろうと話す。 https://www.oricon.co.jp/special/50535/ ※続きます
|
|