- 84 名前: グラフィックデザイナー(dion軍) [2010/08/15(日) 03:39:58.55 ID:Qt4KB3+aP BE:2387196285-2BP(3334)]
- sssp://img.2ch.net/ico/o_anime_pugi.gif
(省略)悲観的なビジョンで彩られている世界観です。 あえて、楽観的な気分を排除した舞台から、物語をスタートさせました。 そこにいる14歳の少年は、他人との接触をこわがっています。 その好意を無駄だとし、自分を理解してもらおうという努力を放棄し、閉じた世界で生きようとしています。 父親に捨てられたと感じたことから、自分はいらない人間なんだと一方的に思い込み、かといって自殺もできない、臆病な少年です。 そこにいる29歳の女性は、他人とに接触を可能な限り軽くしています。 表層的なつきあいの中に逃げることで、自分を守って来ています。 二人とも、傷つくことが極端にこわいのです。 二人とも、いわゆる、物語の主人公としては積極さに欠け、不適当だと思われます。 だが、あえて彼らを主人公としました。 「生きていくことは、変化していくことだ」と云われます。 私はこの物語が終局を迎えた時、世界も、彼らも、変わっていて欲しい、という願いを込めて、この作品を始めました。 それが、私の正直な『気分』だったからです。 『新世紀 エヴァンゲリオン』には、4年間壊れたまま何もできなかった自分の、全てがこめられています。 4年間逃げ出したまま、ただ死んでいないだけだった自分が、ただひとつ 『逃げちゃダメだ』 の思いから再び始めた作品です。 自分の気分というものをフィルムに定着させてみたい、と感じ、考えた作品です。 それが、無謀で傲慢で困難な行為だとは知っています。 だが、目指したのです。結果はわかりません。 まだ、自分の中でこの物語は終息していないからです。 シンジ、ミサト、レイはどうなるのか、どこへいくのか、わかりません。 スタッフの思いがどこへいくのか、まだわからないからです。無責任だとは、感じます。 だがしかし、我々と作品世界のシンクロを目指した以上、当たり前のことなのです。 『それすらも構造である』 というリスクを背負ってでも、今はこの方法論で作るしかないのです。 私たちの『オリジナル』は、その場所にしかないのですから…… 1995 7/17 雨とくもりの日に スタジオにて 庵野秀明
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