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『読みました』報告・国内編Part.4



1 名前:名無しのオプ [2007/01/27(土) 12:53:42 ID:BgfVgGNL]
国内ミステリーの読了報告、感想などお寄せ下さい。

【前スレ】
『読みました』報告・国内編Part.3
book4.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1138283365/l50
『読みました』報告・国内編Part.2
book3.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1097703488/
『読みました』報告・国内篇
book3.2ch.net/test/read.cgi/mystery/984575251/

なお海外作品は、海外編のスレッドにお願いします。
『読みました』報告・海外編Part.3
book4.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1141910665/l50

709 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/10/28(日) 09:44:37 ID:ciAD5U5G]
>>708
魔神が言うならわかるがなw
まあ同じことか。

710 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/10/28(日) 10:44:29 ID:rakUaLR4]
また自演かよ
誰も信じないっての
何年経ったら気づくんだよアホ

711 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/10/28(日) 16:46:03 ID:hBccYyzO]
>>709
“あれ”は本をミステリーとして読んでいるわけでもなければ
ミステリーとして評価しているわけでもないしな。
「ミステリアス」だからミステリー
「サスペンス」があるからミステリーというレベルの
薄っぺらい見方しかしていないしw

712 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/10/28(日) 19:28:59 ID:YBodR8Gt]
 || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
 || ○荒らしは放置が一番キライ。荒らしは常に誰かの反応を待っています。
 || ○放置された荒らしは煽りや自作自演であなたのレスを誘います。
 ||  ノセられてレスしたらその時点であなたの負け。
 || ○反撃は荒らしの滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。荒らしにエサを
 ||  与えないで下さい。                  ΛΛ
 || ○枯死するまで孤独に暴れさせておいて   \ (゚ー゚*) キホン。
 ||  ゴミが溜まったら削除が一番です。       ⊂⊂ |
 ||___ ∧ ∧__∧ ∧__ ∧ ∧_      | ̄ ̄ ̄ ̄|
      (  ∧ ∧__ (   ∧ ∧__(   ∧ ∧     ̄ ̄ ̄
    〜(_(  ∧ ∧_ (  ∧ ∧_ (  ∧ ∧  は〜い、先生。
      〜(_(   ,,)〜(_(   ,,)〜(_(   ,,)
        〜(___ノ  〜(___ノ   〜(___ノ


713 名前: ◆XjFtIkbasQ mailto:sage [2007/10/29(月) 16:31:29 ID:i6NPGPo1]
山口芳宏『雲上都市の大冒険』(2007、東京創元社)【6点】

二十数年前から地下牢に幽閉され脱獄・復讐を予言していた座吾朗。
彼が密室状態の牢獄から消失し、東北の鉱山都市に連続殺人事件が。
現場に残された血染めの文字の意味は? 第17回鮎川哲也賞受賞作。

探偵役が2人出てくるが、義手探偵の奇矯キャラは定型だがまずまず
成功しており、彼の出てくるパートは楽しい。冒頭のわらしべ部分は
笑った。しかしもう一人の探偵のパートになると展開も退屈になる。
出版に当たって大幅に削ったらしいが、それでも冗長と感じる。

去年の受賞作に較べれば本格ミステリではあるが、小説としての
面白さは一歩も二歩も譲る。ただ、消失トリック・ロジックは
捨て推理を含めて及第点。開き直ったエピローグはいっそすがすがしい。
もっとも2300円という値段分の価値があるとは残念ながら言えないが・・

714 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/01(木) 16:16:35 ID:k52zSl6U]
西澤保彦『スコッチ・ゲーム』(1998→2002、角川文庫)【7点】

名門高校の寮で発生した連続女子高生殺人事件。事件の渦中で
目撃された謎の人物はウィスキーを川に流し、空瓶を洗浄して
その場を立ち去った。その行動の意味は? そして犯人は誰なのか?

匠千暁シリーズ第四弾。タカチが高校時代の事件を追憶し、それを
解決しようとする結構。ミステリ的な大技はないが、あいかわらず大小の
伏線の張り方は巧みかつ周到。ただ、頻出する「人間論」みたいなのは
シリーズ読者以外は楽しめなさそう。

もっとも文庫版解説者のようなミーハー的文章は、いくらシリーズ読者でも
辟易。……と思うのは自分がオッサンだからでしょうか。

715 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/01(木) 17:42:25 ID:u+Fum8pC]
>>714
> ただ、頻出する「人間論」みたいなのはシリーズ読者以外は楽しめなさそう。

シリーズ読者だけど楽しめないよ。
男の幼児性以外ないのか!?(それ以外も出てくるけどw)と言いたい。
あとタカチに対する過剰なマンセーも引く。

716 名前: ◆XjFtIkbasQ mailto:sage [2007/11/01(木) 18:30:17 ID:k52zSl6U]
篠田節子『夏の災厄』(1995→1998、文春文庫)【7点】

都心より50キロ離れた埼玉県昭川市。夏を迎えようとする時期に、
一部区域だけに突如として日本脳炎らしき患者が頻発した。緩やかに
広がる被害。原因らしき原因も不明のまま、本格的な夏が近づいていた・・

登場人物の多くは、小市民的公務員ばかりで、できることには限界がある。
その制約の中で新型脳炎の原因を探り、保身を考えながらも奮闘する姿は
読み応えがある(海外のアレはどうかと思うが)。多分作者の経歴とも
関係するのかもしれない。

ただ意図的に「ヒーロー」を造らなかったせいか、同じトーンで物語が
進んでいき、起伏に若干乏しいのが残念。オカモノアラガイとか
気色悪い生物の描写も印象的で、ラストもなかなか。

>>715 うーん、自分はまだ我慢できる、かな。

717 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/03(土) 06:41:23 ID:pH1N6M/9]
『ハッピーエンドにさよならを』 歌野晶午

本格ミステリではない(と思われる)短編集。
タイトルに相応しいのは掌編3つ。
こういう掌編を集めて1冊にしたらもっとよかった。
いや飽きるか。

ベストは「玉川上死」見え見えとか言うなw
次点に狂った動機が見所の「防疫」
押し付けがましい善意の気持悪さが見事な「尊厳、死」

ホームレスとか学歴社会とか教育ママとか
そういう嫌な題材を嫌な感じに、時に滑稽に。
上手に書くなぁ。



718 名前:名無しのオプ mailto:sage 被害者が犬 [2007/11/05(月) 13:51:19 ID:rfGV9SbA]
『消失!』 中西智明 文庫

再読。前に読んだのは4年前くらい。
メル欄って作品としか記憶してなかったが
それを意識しながら文章を拾っていくととてもにやにやできた。
これは凄いわ。

新作頼みますよ、まじで。


719 名前:名無しのオプ [2007/11/09(金) 19:52:08 ID:NDTlOWO5]
詠坂雄二「リロ・グラ・シスタ」カッパノべルズ
綾辻行人が推薦文でかなり褒めてるんだけど俺は途中で仕掛けがわかってし
まった。ミステリーを読み慣れてる人ならたいてい分かると思うぞ。
まあ死体を屋上に移動させた理由などはそれなりに考えられているので読ん
で損したという気はしないので、ニ作目に期待だな。

720 名前: ◆XjFtIkbasQ mailto:sage [2007/11/09(金) 20:40:28 ID:qMqwNvAC]
高野和明『K・Nの悲劇』(2003→2006、講談社文庫)【8点】

新妻である果波の妊娠に戸惑う売れっ子ライター夏樹修平。
一度は堕胎を決心するが、それ以来妻にはもうひとつの人格が宿った。
精神障害なのか超常現象なのか戸惑う修平は、その「人格」の正体を
突き止めるために、医師磯貝とともに調査を開始するが・・・

道具立ては決して新奇でも派手でもないが、うるさくない程度の薀蓄と
確かな筆致とが、物語をサスペンス豊かなものとしており、何気ない
ホラー風描写にぞくぞくさせられる。物語がどのように着地するのかは
なかなか底を見せないが、ラストの展開は個人的には不満。
女性に堕胎させたことのある男性は怖くて読めないような・・・

721 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/09(金) 22:12:00 ID:4V5ExSn8]
>>719
理由ってなんだっけ。事件の動機はおぼえてるんだけど。

722 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/10(土) 00:34:50 ID:tTSxgX4z]
藤原伊織スレが落ちてしまった‥。

『名残り火』読了。
「てのひら〜」からしばらく経っているんだけど、こんなに凶暴な男だったかとビックリ。
今まではあまり気にせずに読んできたんだけど、『遊戯』と今作と割と続けて読んだせいか、「おじさんのファンタジー」みたいなのをかなり強く感じました。
新たに発生する人間関係が、「釣りバカ」みたいな世界観と大して変わらない気がして、何となくそういうとこが残念だった。
まぁ暴力的に暴走する感じは好きな方だけど、他がね‥。
おかしいなぁ、私は藤原伊織大好きだったハズなのに。
私が変わったのか、藤原伊織が変わったのか。
でもこれで本当にお別れかと思うと寂しいです、くすん。

723 名前:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w [2007/11/10(土) 17:02:19 ID:IjTaK5jq]
明野照葉『骨肉』を読んだ。
ミステリ作家による普通小説は、その人物描写等に薄さを感じさせるものが多いが、
本作は例外中の例外。
早期退職した父と3人の娘、ここに妹と称される女の子が現れて大騒動となる。
正直言うて、ストーリーに新奇なものはないが、悪人と言えるキャラは皆無であるにも
かかわらず(善人と言えるキャラもいないが)、家族の和解へという安易な展開にしない
ビターなストーリーが面白い。
昼ドラか深夜ドラマの素材として好適かと思う。

724 名前:あぼーん mailto:あぼーん [あぼーん]
あぼーん

725 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/10(土) 23:24:42 ID:/cRr7yvS]
>>724
ネタバレ氏ね

726 名前:読後感 ◆VkkhTVc0Ug mailto:sage [2007/11/11(日) 13:22:15 ID:PbAsbtjb]
「椿姫を見ませんか」森雅裕(講談社)

ヒロインとしてオペラ公演を間近に控えた芸大生が毒殺された。
その場に居合わせた同級生の音彦は生前被害者から頼られて
いたこともあり事件に興味を持つようになる。さらに彼女の葬式で
知り合った少年を親友尋深と共に匿ったことから彼らは
事件の元凶となった幻の名画を巡る因縁に巻き込まれて行く――。

えへへへ、僕こういうの好きぃ。
主役コンビは「悪い金田一と美雪」って感じで、憧れるなあこういう関係。
同期の東野も学園もの書いてるけど、彼にはにはこういう
イーブンな男女関係は描けないでしょうね。例えるなら
ひがしのりは「スミス夫妻」で森雅裕は「新婚道中記」って感じ。

ミステリーとしてはいわゆる「崩した本格」というタイプかな。
ぶっちゃけプロットは大したことないけど伏線の張り方が自然で巧い。

森雅裕……癖になるかも!?

727 名前:あぼーん mailto:あぼーん [あぼーん]
あぼーん



728 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/11(日) 13:39:27 ID:Svrypuwj]
727、お前w

729 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/11(日) 13:43:01 ID:5KoG9PWx]
叙述だ、だけじゃネタバレにはならんよ。
叙述専門に書く某作家がいるだろう。当然その作品は叙述だと心得て読むわけよ。

730 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/11(日) 13:47:09 ID:PwUlHL88]
それって凄い特殊な例じゃん
普通は叙述ってわかるだけで充分ネタバレだろ

731 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/11(日) 13:51:58 ID:5KoG9PWx]
新本格以降、広い意味で叙述に入る・叙述的要素がある、そういう作品がむしろ主流ともいえるので、
現在のミステリーを読む時は叙述ではないかと疑って読む心構えもいるしね。

732 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/11(日) 13:57:28 ID:PwUlHL88]
だからさ、叙述だって知ったらその心構えも糞もなくなるだろ
推理の幅もかなり狭まるわけだし

733 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/11(日) 14:17:22 ID:U9GV6qpH]
>>727
小説の楽しみ方を知らないだけだ>多分そう言われるだろうと予想してた。
でもね、今回はミステリを楽しもうと思って読んだんだ。>>731のような経緯は
知らなかったんだ。
私の立ち位置から言わせてもらえば、叙述トリックのミステリは「推理小説の雰囲気がする小説」だ。
まあ、こっちが勝手にミステリに対して、思い違いをしてただけといわれればそのとおりだし、
こんな言い分はとっくに、盛んにしてるんだと想像するけど。
ネタバレはスマン。
本格推理とやらを捜してみるは。




734 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/11(日) 15:56:46 ID:SwYz59Fm]
>>733
じゃ、削除依頼だしてね。ネタバレはNG行為だから。

735 名前:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w [2007/11/11(日) 16:52:21 ID:jBcSaRMq]
山崎豊子『華麗なる一族』を再読。
物語展開のキーとなる鉄平出生の秘密というミステリ性も加味された
刊行当時は大ベストセラー、映画化もされ、最近ではキムタコ主演のテレビドラマが
ヒットした言わずと知れたとでも称すべき作であるが、
官庁再編により大蔵省が財務省と金融検査庁に分割され、3大メガバンク誕生で
金融再編が終着点を迎えたかに見える現在からみれば、当時は斬新な発想だったと
しても小が大を食う銀行間競争も金融昔話と化した感はあり、風俗等の時代設定の
古さも目立つ。
執拗に描かれる万俵大介の妻妾同居・同衾生活は、今読んでも言い知れぬおぞましさが
あり、この点につき普遍性が感じられるのは面白いものがある。

736 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/11(日) 18:17:34 ID:5KoG9PWx]
昔の小説の風俗描写が古いって、そんなこと言ってもしょうもないじゃないか。
逆に昔の風俗が活写されていて興味深いと受け止めるべきだろう。

737 名前:あぼーん mailto:あぼーん [あぼーん]
あぼーん



738 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/11(日) 21:12:20 ID:1Mc3foiq]
「星降り山荘の殺人」倉地淳
犯人には驚かされし楽しめた。
だけどネタ晴らしのあとの展開がつまらない火サスみたいだったのが残念。

739 名前:名無しのオプ [2007/11/12(月) 02:57:39 ID:yS49OpCa]
乾くるみ「イニシエーション・ラブ」
単行本 原書房(2004)/文庫 文春(2007)

中途で「あ、アレなんだろうな」と気付いた。
文庫で読んだんだが、帯がいかんわ。

740 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/12(月) 11:21:06 ID:EJpiP4qq]
イニシエーションと聞くとどうも違うことを思い出す……

741 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/14(水) 16:11:46 ID:jWdwSp/3]
中野順一「セカンド・サイト」(文春文庫)

デビュー作。
ミスフロから出る新作と主人公が同じみたいなのと、粗筋が気になったんで買ってみた。
どうも音楽やってる主人公、ってものに弱いんだよなあと再確認。
超能力の類がちょっとだけ(飽くまでちょっと)絡むってのも好きみたいだ。
文章も読み易かったし楽しめたので、新作も買うことにした。

しかし、たった一行読み飛ばしただけで主人公の年が辻褄合わなくなってしまって
ちょっと混乱してしまった。
我ながら間抜けだ…

742 名前:書斎魔神 [2007/11/17(土) 22:09:34 ID:sa5qlxNN]
立花隆『ぼくの血となり肉となった500冊そして血にも肉にもならなかった100冊』
久我勝利『読んでから死ね!名著名作』の読書本2冊を一気読みしてみた。
前者は、雑誌連載をまとめたものということもあって、少し古いものが多いせいか
筆者が読みたいと思うような本はほとんど紹介されておらず、
(笠原和夫『映画はやくざなり』、西成活裕『渋滞学』ぐらいか)
後者に関しても、『それから』『幽霊』『白痴』『金閣寺』『嵐が丘』『渋江抽斎』
『黒死館殺人事件』等を二回以上読んだという著者とは気が合いそうもない。
(ブログに詳しいが、上記作品はいずれも私が読むのに難渋したか、
評価していない作なのである)
しかしながら、同じ読書人同士(同志か(w )、お互いに合い通じるものはあろう、
タカシ、クーちゃん、書斎氏と呼び合いながら、一献の機会を持ちたい気はしている。

743 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/17(土) 22:12:32 ID:AjFN64lx]
叙述トリックというのがどんなものなのか分からないので教えてください。


744 名前:名無しのオプ [2007/11/17(土) 22:55:00 ID:VAdzMZbE]
>>743
AさんとBさんがいました



745 名前:名無しのオプ [2007/11/17(土) 23:06:28 ID:AjFN64lx]
>>744
いわゆる映像化不可能といわれてる奴と考えていいですか。


746 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/17(土) 23:15:54 ID:m3WY95oJ]
作者が読者に対して仕掛けるトリック。
人物の性別誤認とか。

中町信・折原一とか。ほかにもいっぱいいるけど、
叙述とばらしていいのはこの二人の作品だけ。

747 名前:名無しのオプ [2007/11/17(土) 23:18:57 ID:AjFN64lx]
>>746
ありがとうございます!
ところで、どうしてその二人のはばらしてもいいのかな?もっとすごい
仕掛けがあるからとか?




748 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/17(土) 23:19:16 ID:c71W7R8E]
海外作家だけどクリスティも叙述トリックが多いな。

749 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/18(日) 00:14:26 ID:ZSwIIzat]
>>747
叙述トリックの説明に関しては746の通りだが、誰の作品なら
バラして良いか悪いかなんてのは全くの主観だから鵜呑みにしないように。

750 名前: ◆XjFtIkbasQ mailto:sage [2007/11/18(日) 10:11:17 ID:htrXxjfU]
西澤保彦『依存』(2000→2003、幻冬舎)【7点】

タック&タカチのシリーズ第五弾。いつものメンバーで大学教授の
自宅に遊びに行ったタックは、教授の後妻が母の美弥子であることを
知り驚愕する。美弥子の真意とは?

これまでのシリーズでは影の薄いウサコ視点で、正直前半は文体が合わない。
飲み仲間の周囲で起こる「奇妙な出来事」に関するいつものディスカッショッン
推理も真相も正直感心できない。シリーズ読者だから物語の展開は気になったが、
ミステリとしては【6点】くらい。本作だけ読んでもあまり楽しめない。

751 名前: ◆XjFtIkbasQ mailto:sage [2007/11/18(日) 10:20:01 ID:htrXxjfU]
西澤保彦『謎亭論処 匠千暁の事件簿』(祥伝社、2001)【6.5点】

タック&タカチのシリーズ短篇集。大学生時代・社会人時代のボアン、
タック、タカチ、ウサコが登場するのでシリーズ読者としては愉しんだが、
ミステリのネタとしては【6点】。いつも以上のこじつけが目につく。

一番驚いたのはウサコの現在。『メフィスト』掲載時に読んだことを
思い出したが、シリーズ読者でもなかったあのころは、
「なんじゃ、このミステリは」と思ったことであるよ。





752 名前:名無しのオプ [2007/11/18(日) 15:46:37 ID:qoSH99Wp]
我孫子武丸「殺戮にいたる病」 
単行本 講談社(1992)/文庫 講談社(1996) 

グロテスクとされる描写は別に気にならなかった。
まあキッチリ騙されたけど。

とりあえず初心者の私としては、『マジで「やられた!」ミステリ』スレの
テンプレ作品を順次あたってみようと思っているんだけれど、
全部読んだらある程度は「耐性」がついてひっかかりにくくなるのかな?

753 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/18(日) 15:52:39 ID:u4XMUYQy]
そりゃそうだ

754 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/18(日) 15:54:45 ID:KNkTD+Dx]
>>752
ひっかかりにくくなるというよりは、その手の作品に食傷気味になりくだらなく思えてくる。
個人的偏見だがw

755 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/18(日) 18:03:40 ID:JVO70YXk]
やられた!スレと初心者スレのテンプレ作品を交互に読むべし
重複してるのもあるがな・・・

756 名前:書斎魔神 [2007/11/18(日) 21:36:41 ID:2s1YAiVL]
『岡本綺堂随筆集』を読んだ。
『半七捕物帳』や怪奇小説、『修善寺物語』『番町皿屋敷』等の戯曲を読んだイメージ
では、淡々としてクールな感さえ受ける作者だが、意外にウエットでエモーショナルな
面が感じられる随筆が多く収められており意外であった。
(左足の1本を失った蟹に対する自身の共感を綴った「蟹」、仏における戦場見学を
通して現地の人々への作者の思いを描く『ランス紀行』、亡き甥への想いを句に託した
『叔父と甥と』等々)
句を嗜む著者の随筆だけあって花鳥風月に関する文章も多く、私事に関するものも
あるが、やはり筆の冴えを見せるのは、怪談・奇談を語るエピにおいてかと思う。
何か裏がありそうだが奇談のままに終わる『狐妖』(随筆『二階から』の一編)、
小品ながらリアルな恐怖感が溢れ、綺堂怪談中でも屈指と推す声もある
『怪談』(『御堀端三題』より)、そして『温泉雑記』にある厠の怪談、
作者の見聞である心中があった部屋の怪異談等々、
非常に短いながらも日支の妖怪比較論考『妖怪漫談』も面白い。
そして、最早『奇談』の段階に達しているとも言い得る『拷問の話』は、
江戸牢内における拷問の実態もわかる迫力満点の読物である。

757 名前:名無しのオプ [2007/11/19(月) 22:46:03 ID:8RCooSGy]
ドグラマグラを多感な時期に、読み終わったら精神障害になるという
帯の文句につられてドキドキしながら読んだが、全然頭に残ってない。
残ってないことが、障害を受けたということなのか。ノルウェイの森が爆発的に
ヒットしてるときに読んだときと全く同じ反応なのだ。どうも、自分は
心の病に頼るお話が苦手みたいだ。



758 名前:名無しのオプ [2007/11/20(火) 11:55:25 ID:I8KMm0f8]
ネウロ新OP2万HITw
お前らもっと見ろww
www.nicovideo.jp/watch/sm1522043

759 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/21(水) 00:32:25 ID:zxeKPekF]
■■■書斎ミス住警報発令中■■■
書斎は現在、全ての書き込みに対して
挑発的なレスを返してくる模様です。
ミス住の目的は、皆さんの感情を弄び、
板を機能不全に陥れて自己満足に浸る事にあります。
書斎の煽りに乗ってはいけません。
ミス住にマトモな返答を期待してはいけません。
■ただひたすらに無視し続けて下さい■
ひとりでも反応すれば、書斎は大喜びで更に挑発してきます。
煽り耐性の無い方は、当分の間書き込みを控えて下さい。
ミス住撃退には、皆さんのチームワークが、何よりも大切です。
ご協力よろしくお願い致します。
★★★基本に戻ろう★★★
★ 書斎は、放置されるのが一番キライ!
 → ウザイと思ったらそのまま放置!
★ 放置されたミス住は寂しくなって、煽りや自作自演であなたのレスを誘います!
 → 釣られてレスしたらその時点であなたの負け!
★ 反撃は書斎の滋養にして栄養であり、ミス住が最も喜ぶことです!
 → 書斎にエサを与えないで下さい
★そんなミス住を見かけたら、
 → 同情と哀れみの気持ちを込めて華麗に放置スルーしてあげましょう。


760 名前:読後感 ◆VkkhTVc0Ug mailto:sage [2007/11/22(木) 14:01:33 ID:nTnGqSox]
「警官の血」佐々木譲(新潮社)

昭和二十三年春、安城清二は警官になった。生活の安定、ただ
それだけのために。やがて彼は駐在警官となりある事件に遭遇する。
その事件こそが、始まりだった――。

普段ならまず手に取らない様なものをこのミス1位らしいというだけで
読みました。そんな自分が好きなんです。
そういや昔「アトレイデスの血」(未読)という小説がありましたな。

閑話休題。最初は単に日常を追ってるだけっていう感じで、
起こる事件も並列的で処理に至るプロセスも半ば流れ作業化しており
入り込めませんでした。中学生を標的にしているかの様な文章も
マイナスで。
ただ二部以降からは大分躍動感がまして少しずつ楽しくなりました。
でもラストで明かされる真相は引っ張り過ぎだし、半分後付けめいた
要素もあり違和感が残りました。

結局大河小説、年代記としての面白さ以上のものは読み取れず、
求めて読む程のものでは無いとの感想に至りました。
最小公倍数的な1位ということかな。まあ去年よりはマシですが。

761 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/22(木) 16:01:14 ID:o8//+U4s]
このミスが出た最初の頃はガイドブックとして良かったんだけど
今はあれや類書はミステリーをつまらなくさせてる元凶だね
少なくともあれらに影響される国産ミステリーはもうダメ

762 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/22(木) 16:32:41 ID:i2TuaOTf]
たいしたミステリ理解者だ……

763 名前: ◆XjFtIkbasQ mailto:sage [2007/11/22(木) 20:02:50 ID:z22/vNaE]
西澤保彦『解体諸因』(1995→1997、講談社文庫)【7点】

タック&タカチのシリーズ。死体の解体をテーマとした連作短篇集。
作者のデビュー作ということもあり、推理「小説」という点では
ぎこちないが、ロジック&トリックは豪快。
現在の作者にリライトしてほしいようなネタも多い。

登場人物の設定がけっこう変わっているが、まあご愛嬌。
最終章がもう少していねいに説明・解体されていればと、
ちょっと惜しい気がする。

764 名前: ◆XjFtIkbasQ mailto:sage [2007/11/24(土) 00:16:38 ID:Q7M4808n]
西澤保彦『黒の貴婦人』(2003→2005、幻冬舎文庫)【7点】

タック&タカチのシリーズ短篇集。短篇4+中篇1。
ミステリ小説としての出来は、正直普通。
「まあ、そういう解釈もできるけどね」というのが感想。

だけどキャラクター小説としては続きがおおいに気になる。
そういう意味では『依存』に続く長篇に期待したい。
これでシリーズの既刊分は全部読んだことになるが、
実に楽しい読書だった。

765 名前: ◆XjFtIkbasQ mailto:sage [2007/11/24(土) 00:42:04 ID:Q7M4808n]
高木彬光『人形はなぜ殺される(新装版)』
        (1955→2006、光文社文庫)【7点】

説明無用の古典的名作を初読み。
すでにメイントリックについては後発某作家の某作品を読んでいたので、
その点での驚きはなかった。大仰な言い回しは鼻につくものの、
解説を寄せている二階堂黎人などに較べると、物語の展開は速い。

古きよき時代の本格物で、こういう雰囲気は好き。
併録の短篇「罪なき罪人」「蛇の環」は標準作。

766 名前:書斎魔神 [2007/11/24(土) 10:43:33 ID:Ay2RLgCU]
十河進(そごうすすむ)『映画がなければ生きていけない1999−2002』を
読んだ。
メルマガの連載を収録した上下2段組・600頁近いエッセイ集である。
ミステリ(取り上げる作品を見ると著者はハードボイルド、冒険小説好き)、
映画、軽音楽(ジャズ中心)等の話題が満載で、著者の主観に走り過ぎたような記述も
多いのが気にはかかるものの、大部のわりには気軽読めるものに仕上がっている。
しかし、私自身はスーパー・サスペンスとして評価する『天国と地獄』を低評価、
弱者蔑視の観点があると断定する著者とは個人的には仲良くなれそうもなさそうである。
(あの作は、山崎努の犯人、仲代達矢の警部等、若き日の名優たちの極端に走ったキャラ
が魅力なのである)
しかしながら、単なる作品評等にとどまらない『私』を起点とした書き口は、
美化されたように感じる部分があるものの、面白くもある。
(一例を挙げれば、『クージョ』の原作にも映画にも論考せず、
ジョギング中に犬に襲撃されたエピを語る等)

767 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/11/24(土) 11:17:39 ID:ObDr/b+Z]
真性包茎w早く病院で剥いてもらえw



768 名前: ◆XjFtIkbasQ mailto:sage [2007/11/26(月) 02:56:13 ID:7SMBYk08]
『密室殺人事件』(1994、角川文庫)【7.5点】

広い意味での密室をテーマとしたアンソロジー。阿刀田高・折原一・
栗本薫・黒崎緑・清水義範・法月綸太郎・羽場博行・連城三紀彦の
短篇を収録するが、バラエティに富んでいておもしろい。

馬鹿馬鹿しい清水「モルグ街の殺人」、
設定はおもしろいが硬質な文章で損してる羽場「虚像の殺意」、
大胆な真相で意表をつく阿刀田「天国に一番近いプール」が印象深い。

769 名前:名無しのオプ mailto:sage 叙述形式によって時間錯誤を起こしてのなんたら先行法 [2007/11/26(月) 13:33:47 ID:/NUSnem3]
『スノーバウンド@札幌連続殺人事件』 平石貴樹

はてなの感想を一通り回ってみたら
地味言われすぎでワロタw
僕の感想も同じだ。地味なのだ。
色々とやっているんだけど、地味な印象は拭えない。
メル欄とかもう少し見せ方変えれば華になるのに。

奥付見ると、06年11月15日になってるので
本ミス08の対象なんだよね。
ギリギリ20位以内に滑り込む事はありそう。
本格好きなら地味とか言いつつも嫌いになれない作品かと思う。

770 名前:あぼーん mailto:あぼーん [あぼーん]
あぼーん

771 名前:読後感 ◆VkkhTVc0Ug mailto:sage [2007/11/28(水) 02:44:08 ID:iwJ3LCTX]
「桜子は帰ってきたか」麗羅(文藝春秋)

弁護士の久能真人は東北へ巡礼に出た祖父が自殺を遂げたとの
知らせを受ける。当初は何の疑いも抱かなかった真人だったが、
十三回忌法要にやって来た朝鮮人呉の話を聞いたことから
祖父は殺害されたのではないかと思い始める……。

久々某スレからのセレクト。
中国から出稼ぎに来て歌舞伎町で働きながら書きました。嘘です。
つまりそれぐらい期待外れでした。しょっばなは中々良い感じ
だったのですが、事件が発生した後は何やら類型的な流れに
陥った臭いがしまして「こりゃ危ないぞ。ああなるかも」
と思っていたら何と、「ああ」までも到達せずに終りました。

本作は本格と言うより私立探偵小説(ハードじゃないハードボイルド
みたいなもの)ですが、それはまだしも無駄な道具立てもあったりして
どうもわざわざ読む価値は無かった様です。

772 名前: ◆XjFtIkbasQ mailto:sage [2007/11/29(木) 03:27:27 ID:NDEfEo4B]
真保裕一『発火点』(2002→2005、講談社文庫)【7.5点】

父を殺害した沼田が仮出所したことを知る杉本。9年前の事件以来、
はじめて故郷の西伊豆に帰り真相を探ろうとする。被害者の息子として
生きてきた21歳の杉本が知る沼田の動機とは?

真保作品の中では評価の低い本作。序盤〜中盤の杉本のダメっぷりは
いちどに一章読み進めるのがせいぜいだが、中盤以降はかなり読ませる。
展開は地味で、爽快感とは無縁のストーリーだが、これも作風か。

ラストに賛否はあるだろうが、個人的には「ほっ」とした。

773 名前:読後感 ◆VkkhTVc0Ug mailto:sage [2007/11/30(金) 14:40:44 ID:hLdUEwsz]
「シオンの娘に告げよ」典厩五郎(立風書房)

戦後間もないGHQ支配下の日本。
石川県で起きた老人の不審死を追う刑事黒崎はその裏に
国家権力の影を見て独自に調査を進める。
所変わって東京では映画会社に勤めている木暮が社長と共に
莫大な融資を約した相手と面会していた。その正体に驚いたのも束の間、
彼から巨大なダイアモンドを預かり鑑定に持ち込んだ木暮は
逮捕されてしまう。
騒動の背後に見え隠れするM資金の謎とは?

某スレからのセレクト。面白かった〜。エンタメ読んだって感じ。
こんなの独力じゃまず行き着かない。大元帥に敬礼! テンキュー。

荒唐無稽に過ぎず、かと言って地味でもなく、プロットも錯綜しているが
読みやすく、骨の髄までまでサプライズが施されている。
加えて、主人公のサイドストーリーも盛り込み内容十分。

日本に大したものがないと言った「沈底魚」の作者はこれを読んで
いなかったのではないか。当時の評価が気になる。ベストテン入り
してもおかしくないと思う。

追伸 この作者は以前真田幸村の何とかってトンデモIF小説を
読んだ切りだったがこんな作品があれならもっと読んでみよう!
……とはならないのが小生の賢いところ。一期一会で満足しとかないと
不幸になる予感がする。

774 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/12/01(土) 11:50:11 ID:lY64CtB6]
北山猛邦 『クロック城』殺人事件

十一人委員会やSEEMは全く出てくる必要がない。終焉の世界やら、ゲシュタルトの設定が活かされていない。
人物像や背景が描ききれていない。消化不良のトリックなど不満は多いが、頭部を持ち去った理由で救われたかな。

775 名前:書斎魔神 [2007/12/01(土) 15:03:42 ID:8zQbFAKw]
ミステリファンなら読み落とせないと思われる手練れの書き手によるエッセイ集を
2冊読んだ。
『田中小実昌エッセイ・コレクション3 映画』と
『小説は電車で読もう 植草甚一スクラップ・ブック32』である
前者は、昭和の荷風(?)とでも称すべき筆者(一応、直木賞作家だし)が
東京の町を筆頭に、滞在先の海外でも映画を見まくりまくる、映画放浪記的作。
自己の感覚で話題の大作(当時)や名作を、あっさりと『いも』と断定してゆく
筆致が面白い。
ただし、内容的には映画評ではなくして、私的映画&映画館(今は亡きもの多数)所感
といった風のものであり、これが肩が凝らずまた良し。
後者は、70年代の粋な趣味人による今や死語と化した中間小説評を纏めたものであり、
池波正太郎、松本清張、山田風太郎、新田次郎、筒井康隆、小松左京、笹沢左保、
鮎川哲也、都筑道夫、結城昌治等々、このメンツが毎月小説雑誌にがんがん新作を発表
していた70年代前半の時代の凄さをあらためて感じさせるものがある。
岡本吉古、河野典生等の当時はメジャーでありながら、今では全くと言ってよいくらい
読まれなくなってしまった作家の名が見られるのもある意味で感慨深い。
(知名度は健在だが、藤本義一や野坂昭如も同様か、とにかく70年代はがんがん
書いている)
思うに、J・Jはホームビデオが普及する80年代さえ見ずして逝き、
コミさんも21世紀の本格的なネット時代を知らずして逝った・・・
この2人の著作を見ると、今は粋な仕事人&趣味人が死滅した時代という感を強く抱いた。
余談ながら、
永嶺重敏『東大生はどんな本を読んできたか 本郷・駒場の読書生活130年』も読んだ。
本書中のミステリ関連の話題で面白いのは、東大の学生生活実態調査における好きな作家
の項目で、80年代にJDが調査対象(JDのみ、あるいは男女)になった年度には、
アガサ・クリスティーの名が挙がっており、
そして、2000年の調査ではアガサの名が消え、宮部みゆきが登場していることで
ある。90年代にみゆきが世界的なミステリの女王であるアガサに取って代わったという
事実が読み取れる。
これは東大生に限らない一般的な傾向ではなかろうか。

776 名前: ◆XjFtIkbasQ mailto:sage [2007/12/01(土) 19:22:43 ID:Vn7S7ZIj]
西澤保彦『完全無欠の名探偵』(1995→1998、講談社文庫)【6点】

他人の深層心理に働きかけ、饒舌にさせる特殊能力を持つ山吹みはる。
大富豪の依頼を受けて孫娘りんのお目付け役として短大の事務員となる。
りんが高知で就職したのはなぜなのか。またその周辺の事件の真相は?

みはるが出会う人物の周辺の「小さな事件」がどんどん積み重なって、
ひとつの事象を描き出す構成だが、必要以上に人物を登場させたため、
複雑すぎる内容となっている。まだまだ習作の域を出ていない。
やりたかったことはわかるんだけど・・・


777 名前:読後感 ◆VkkhTVc0Ug mailto:sage [2007/12/01(土) 23:56:38 ID:nK9X/+CU]
「銃とチョコレート」乙一(講談社)

貧しい移民の息子リンツは父と買い物をしたついでに聖書を手に入れる。
家に帰ってから、本の中に地図が挟まっているのを見付けたリンツは
ふとしたことからそれが世間を騒がせ続けている怪盗の物だと悟り、
怪盗を追う探偵ロイズに知らせるのだが……。

叢書一売れたとか。ラノベオタが半分アニオタが半分か。しかし
気持悪い絵だ。全員イッてる。

ストーリーは読ませた。年末のベスト予想でグリフィンと比較され
のりりんシンパの気があった自分はペッって感じだったけど
読後の感想は児童書としては本作が上かなと思った。全体のバランスが
良く、主人公に感情移入しやすいから。グリフィンの方は
単一な意味でのストーリー性がおざなりかな。
その代わりミステリーとしてはグリフィンが上。本作には狭義の
謎や謎解きがほとんど無いから。それにキャラクターがやや雑な印象。

追伸 残りでは菊地秀行が楽しみだなぁ。もし本作が菊地作なら
きっと彼女はあのシーンであいつに……ウヒヒ。



778 名前:書斎魔神 [2007/12/02(日) 12:07:03 ID:HQ+ylbHI]
松本清張『野盗伝奇』を読んだ。
主君の命による暗殺に成功しながらも冷遇された信州高島藩士秋月伊助は野盗の群へ身を
投じ大暴れ。
主人公伊助はイケメンではあるものの、時代小説にありがちな爽やかな正義感ではなく、
野心的で斜に構えたところもある癖があるキャラ設定にしたのは面白かったのだが、
後半は単純なヒーロー化してしまうのが残念だし、それ以上に御都合主義連発の展開は
しょうもない。
野盗に関する歴史的考察、甲州の山岳地帯を舞台にしているため丁寧な情景描写等の
作品の装飾部分は読ませるものがあるだけに、肝心のストーリーの短絡さが惜しまれる。

779 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/12/02(日) 12:14:12 ID:e+Vdi8O8]
>>778
あれは深く考えず男装の美少女藤乃に萌えるのが、現代における正しい読み方。

780 名前:書斎魔神 [2007/12/03(月) 19:38:14 ID:p64dJF70]
小林信彦「袋小路の休日」を読んだ。
ミステリにも縁が深い著者の作品集である。純文学苦手なミスヲタにもお薦め。
収録作品中では、博文館の伝説の編集者を描いた「隅の老人」はミステリファンなら
必読だ。
「根岸映画村」の松竹からATGへ移った不遇な映画監督(うるさ方の会長というのは
城戸四郎だろうが)、「自由業者」のDJ出身の放送作家兼タレントとは、それぞれ
誰がモデルか推理してみるのも一興かと思う。


781 名前:支  [2007/12/03(月) 20:15:28 ID:rA5khDTJ]
ミス板の住人が読まないような本を推す、書斎さんの慧眼には頭が下がります。
なるべく他人から突っ込まれないようにするには、このようなセレクトになるのですね。
さすがです。書斎さん。

782 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/12/03(月) 21:18:35 ID:MHpl3Qtq]
他人から突っ込まれるのが、怖くてしょうがない、童貞書斎(しかも包茎)w

783 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/12/03(月) 22:46:46 ID:H3cuuEWU]
結局「だから?」というレス内容だしw

784 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/12/03(月) 23:32:18 ID:WO9Vy5As]
書斎は感想文を書き込むより、まず日本語を勉強しましょうw

785 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/12/04(火) 09:47:50 ID:5XFnPVeC]
『たったひとつの』 斎藤肇 

第2回本格ミステリ大賞の候補となった作品。
8つからなる連作短編集。と言ってしまっていいのかな。
ひねくれてた。とてもひねくれてた。
7つ目の短編のノリで自作解説を200頁くらい書いて
文庫化してほしい。


786 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/12/04(火) 10:34:08 ID:tg4l3oF9]
鯨統一郎『まんだら探偵空海 いろは歌に暗号(かくしごと)』 祥伝社 2004年

タイトルだと、弘法大師空海が作ったとの伝説がある「いろは歌」の秘密を解く話のようにとれるが、
内容は「薬子の変」の一部始終を描いた歴史小説風ミステリー。
空海がこの事件に巻き込まれつつ、その真相を解き意外な首謀者を指摘する。
といっても特に驚くほどのものでもない。
最大のトリックは山を消し去るというものだが、これも種明かしされれば
ああそうなの、って感じ。
で、この著者のいつものように文章が生硬、性描写が妙に露骨。
空海の人物像も、異能の持ち主だがもっさりした田舎坊主というキャラクターで、
個人的には空海=スタイリストというイメージがあるので、すごく違和感を感じた。
まあ暇がある人は読んでみたらいい。

787 名前:読後感 ◆VkkhTVc0Ug mailto:sage [2007/12/05(水) 02:07:44 ID:biuQdr2X]
「隠蔽捜査」今野敏(新潮社)

相次ぐ殺人事件の対応に追われていた警察庁のエリート官僚竜崎は、
浪人生の息子が自室でヘロインを吸っているのを発見する。
自身のキャリアや家族の将来に及ぼす影響を思い動揺する竜崎。
そんな中、浮かび上がって来た殺人事件の容疑者は警察全体を
揺るがしかねない人物だった……。

「警官の血」以来警察小説は不安だったが、さくさく読めた。
こっちのがエンタメ度高いみたい。権力者が主役だから
話が動き安いというかね。主人公の造形も気に入った。こういう
ヒーローは今リアルで必要だよね。某防衛省OBを重ね合わせて
みたりしたw

ただ、終盤に入るにつれ少しあざとさを感じる様になった。
御用小説というと言い過ぎだけど金シール貼ってても違和感ない感じ。
続編も読む予定だが主人公が変わらないか心配。



788 名前:注! ルールに変更点があります mailto:sage [2007/12/06(木) 01:37:19 ID:IQ440aV+]
現在、「2chが選ぶこのミステリーがすごい!2008」の投票を行っています
こちらに投票お願いします 

2chが選ぶこのミステリーがすごい!
love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1166286465/129-

【以下のルールを守ってください】
・投票スレの>>1-3は無視してください。
・対象作品は奥付表記で2006年11月〜2007年10月の期限内に発行された広義のミステリー作品。
・6作品以内で順位をつけて投票すること。
・必ずしも6作挙げる必要はない。1作でも投票可とするが上記に書いてるように順位はつけること。
・1位=10点、2位=9点〜6位=5点で集計。
・国内作品と海外作品は別々に投票する。
・一行以上の総評必須(ネタバレ禁止)投票スレ>>129の「各作品に一行以上〜」は間違いです
・宝島社の作品は対象内
・投票期間は12月6日〜1月15日まで


今年のこのミス、本ミスなどのランキングです。参考にしてください
国内編 love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1166286465/130-133
海外編 love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1166286465/134-138

789 名前:読後感 ◆VkkhTVc0Ug mailto:sage [2007/12/06(木) 17:06:33 ID:CKzgqbvQ]
「果断 隠蔽捜査2」今野敏(新潮社)

竜崎の署の管内で強盗事件が発生し、その後逮捕を免れた犯人の一人が
人質を取って立て篭ったとの情報が入って来る。竜崎は現場に向かい
ある判断を下すが、それが思わぬ事態を招くことになる。

本当さくさく読めるわ。これはキャラ萌え小説だね。今回は
本格ミステリー的な要素もあるがやっぱり本質は主人公の人間性に
ニラニラすることにあると思う。ただ、少しオールマイティー化してるかも。
懇談会での発言とか現場主義的な心情とか。

ともあれキャラクターに対する愛着が感じられるのは良い点だと思う。
決して浅いまま使い捨てしない所が気に入った。
某時代作家みたいじゃなくて。

追伸 邦彦はもう止めとかんとヤブヘビになりそう
曖昧でばってん でもプリっと小堺キンキン

790 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/12/06(木) 17:10:24 ID:cmmOkTBW]
君とは逆に>>787の作品は主人公始め登場人物のだれにも感情移入できない嫌な人間ばかりで
読み通すのが辛かったよ。

791 名前:名無しのオプ mailto:sage 電話線切断 [2007/12/07(金) 04:18:57 ID:r7lAOdBO]
『乱鴉の島』 有栖川有栖

本ミス07国内1位作品。
うん、1位はどうかと思うけど面白かった。
1位とったせいで不当に評価されてる気がするw

メル欄の理由はよかった。そこから始まる言葉遊びも。
ロジックもよい。が小粒と感じられるかもしれない。
のでもっと衒学趣味抑えて、早く事件起こして欲しかった。

あとがきで作者が言ってる核としたアイデアは面白いと思うが
この方法で提出するのがベストだったのか?という気がする。
このアイデアを隠しながら物語は進むのだが
明かされた時に感心するかと言うと・・・。

なくても別に1冊引っ張れたと思うんだよな、ロジック周りで。
バランス悪くしてるように思える。

792 名前:書斎魔神 [2007/12/08(土) 17:06:40 ID:+HFCcWyf]
『田中小実昌エッセイ・コレクション5 コトバ』を読んだ。
前記した『コレクション3 映画』が案外と面白かったので手にしてみた。
ミステリの翻訳も多い著者だけに、気軽に読める私流翻訳談義や裏話が多く
収録されているものの、コトバというテーマ、本の話題になると映画の話題の時以上に
東大哲学科中退のコミさんのインテリ(御本人はこの呼称を厭うだろうが)らしい一面
がかいま見えて来る。
コトバは単なる伝達手段にあらず、というのがコミさんの基本スタンスであり、
ここから翻訳不可能論という持論にも繋がって来たわけであろう。
しかし、カーター・ブラウン、A・A・フェア、ハドリー・チェイス等々、
コミさんが翻訳し、愛した作家の作品群がほとんど絶版・品切れ状態なのには、
時代の流れを痛切に感じさせるものがある。

793 名前:読後感 ◆VkkhTVc0Ug mailto:sage [2007/12/08(土) 19:50:58 ID:2wUgJMSe]
「あした、カルメン通りで」森雅裕(講談社)

無事に大学を卒業し、北海道で講師をする音彦はオペラ歌手として
3年振りに凱旋帰国を果たした尋深と再会する。彼女は札幌での
公演のためマリア・カラスの再来と言われる歌手らと共に同地に
やって来たのだったが、本番中の楽屋で盗難事件が発生しカラスの
所有物であったという金の十字架が奪われてしまう。二人は
十字架に纏わる因縁を巡るゴタゴタに巻き込まれてゆく。

僕前作はかなり熱狂してたはずなんですけど、今回少し冷めました。
キャラクターのテンション自体は変わってないんですけど、
彼ら成長しちゃったんですね。もう学生じゃないんです。
それなのにあの上から目線と型に嵌った様なメディア・体制批判は
ちょっと頂けません。加えてミステリー分も薄まっている様です。
動機の面で弱いですし、前提が偶然に頼っていますし。

3作目はあまり期待せずに読もう。

794 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/12/08(土) 20:18:18 ID:avOAEhnY]
『きみとぼくの壊れた世界』 西尾維新

初西尾維新。
これは本格ミステリを意識して書かれた作品らしいので読んでみた。
(当方は本格好きー)

ミステリとはあまり関係ない部分での語りを
鬱陶しく感じたり面白く感じたり…。
自分は全体的には楽しめたので幸い。

推理の前提の話し合いが面白い。
これはもしかしたらラノベからのお客様
ミステリにあまり慣れてない人への説明も兼ねていたんだろうか?
後期クイーン問題に触れながら、探偵の役割は法的に犯罪を立証することと定義することで
操られてる奴なんてしったことかと嘯くのは笑ったし見事だ。うわあ……。

トリックは偶然にも予想がついたけど
伏線はしっかり張られてたように思う。

探偵・病院坂はキャラが立っていてよかった。
イラストはどうなんだろうなぁ。プラスに作用してるんだろうか・・・。
妹は必要だったのかな?


きっと作者は僕みたい中途半端なにわかミステリ読みより
ずっとしっかり系統的にミステリも読んできてる人間。
だが、あとがきであるように、飽きてしまった口なんだろう。
そう言わずに年に1作くらいでも本格ミステリにも作品出して欲しい。

同じシリーズの『不気味で素朴な囲われた世界』に期待が高まる。
あとデビュー作にも。

795 名前:名無しのオプ [2007/12/09(日) 00:05:03 ID:C0GQOESF]
読後感うぜー。

796 名前:名無しのオプ [2007/12/09(日) 00:17:41 ID:FpYrdVHo]
読後感よりその上のパクリ野郎がもっとうぜー

797 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/12/09(日) 00:18:40 ID:gua4/QAz]
どっちもうざい



798 名前:書斎魔神 [2007/12/09(日) 13:54:32 ID:B+KBu3xU]
中込重明著「落語の種あかし」(岩波書店)を読む。
「落語」そのものを謎解きの対象とした、凡百なミステリよりもはるかに面白い著作
である。
落語には、シナや本邦の民話、読本等を素材にしているものが多いことは良く知られて
いるが、欧州の小説となると「えっ!」とならざるを得ない。
さらには、「怪談乳房榎」のように素になった故事来歴があったとばかり思っていた話が
実は…という次第。
そして、ピカレスク・ストーリーの傑作「黄金餅」に、因果応報となる後篇が
あったのではという話(速記は未発見)も見落せないものがある。
読み易く面白いが、若くして世を去った研究家の豊富で幅広い読書力をベースにした
力作かつ労作であり、私のような落語という大衆文化に興味を持つ知識人には必須の
読物と言い得る。ただし、大量に刊行されている新書ミステリを読む耽ったうえ、
「なんとも凄まじいまでの美少女探偵の推理、最終章で遂にキタ―!」とか、ブックオフで
絶叫しているドキュソなミスヲタには無縁な一書とは言えようかと思う。


799 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/12/09(日) 14:35:28 ID:v8G2xf9Q]
世の中には落語ヲタとでも言うべき連中がいる。
小中学生のころから寿限無を唱え大学の「落研」のようなところに入ってしまう手合だ。
俺はなんか知らんがそういう奴等が嫌いだ。

800 名前:書斎魔神 [2007/12/09(日) 15:37:59 ID:7vONORbQ]
三好徹『砂漠と花と銃弾−自選傑作集』を読んだ。
時代性を感じさせる古い刊行物であり、内容的にも特筆すべき点はないが、
自選傑作集と題されてはいるが、セレクト時点で単行本未収録作品に限定したと
記されており、直木賞受賞作品『聖少女』も天使シリーズ(テレビドラマ化もされた
ヒット作)の傑作『汚れた天使』等も収録されていないが、推せる作品が無いわけでもない。
情勢変化があったとはいえ、今も変わらぬ中東の町の緊張感が伝わって来る表題作
『砂漠と花と銃弾』、初期大藪春彦短編を想起させる雰囲気の『荒野と死と』
(大藪作品ならクライマックスは警官隊と大銃撃戦の流れだろうが、間抜けなラストが
悲し過ぎる・・・)
『作者としては、トリックよりもむしろ気味悪さを狙った』とあり、
これが十分に成功している『煮る』。
この辺の作は面白い。
ただし、横溝御大の『扉の影の女』と同様な脱力感がある『重い悪の荷』、
アイリッシュ風のサスペンスフルな状況設定ながら、ダイヤル式固定電話ネタが
古さを感じさせてしまう『沈黙の証言』は問題無しとは言い得ない。

801 名前:名無しのオプ [2007/12/09(日) 17:10:55 ID:rTe9uefi]
>>799
私もアンチ落語だよ

802 名前:書斎魔神 [2007/12/15(土) 13:43:55 ID:TaMPCJbC]
遠藤周作『侍』を読んだ。
刊行当時から高く評価されベストセラーにもなった『沈黙』『深い河』と並ぶ
遠藤文学の代表作である。
藩主の命を帯び、宣教師に伴われて陸奥の侍たちが海を渡り、遠くローマへまで苦難の
の旅をしてゆく・・・
時代背景を考えればスケールが大きい冒険小説としても読める作である。
(ただし、解説者=カリフォルニア大のゲッセル助教授はこうした読み方のみは
的外れだと苦言を呈している)
いずれにしろ、遠藤文学のメインテーマである人間と信仰の問題を深く抉った作であり、
信仰は個人の心・あり方にその根源を求める作者の思想が鋭く呈示されており、
こういった読み応えあり、かつ、面白い『文学』を手に取ると、
いたずらにミステリを読み耽っている者が痴呆同然に見えて来てしまうのは致し方ない
ことであろうか。
各人、心して読め!

803 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/12/15(土) 14:37:01 ID:80FRuaqz]
>>802
盗用元のURLを記しておいてください。よろしくお願いします。

804 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/12/15(土) 16:08:01 ID:xIbBNgSV]
どうせアマゾンのカスタマーレビューから切り貼りしたんだろ

805 名前:書斎魔神 [2007/12/15(土) 17:55:35 ID:vrDGVSbh]
馬鹿野郎!!!!!!!!!!!!!!

806 名前:名無しのオプ mailto:sage [2007/12/16(日) 19:14:07 ID:RwNThmGk BE:1362242096-2BP(1)]
今更ながらに藤原伊織のテロリストのパラソル読んだ。
泣いた。
作者のご冥福お祈りします…。
変な話だけど、この本を読む前に訃報聞かなくて良かった。
すごくショック受けたと思う。

807 名前: ◆XjFtIkbasQ mailto:sage [2007/12/17(月) 04:09:40 ID:cnpkikii]
関田涙『七人の迷える騎士』(2003、講談社ノベルス)【6点】

学園祭のミスコン当日に発生した連続殺人事件。圧死・刺殺・毒殺・
撲殺された七人の高校生たち。暗躍するスノウ・ホワイトの正体は。
美少女探偵ヴィッキー&弟の誠くんの兄妹が活躍する第二弾。

うーん、初期の新本格の学園物みたい。ミステリーとしてはアンフェアな
気がするし、登場人物もありきたり。ただ、前作の犯行動機にも見られた
ある種の「後味の悪さ」「悪意」は本作でも健在で、結構強い印象を残す。

前作にもあった、不自然な漢語の使用はやめたほうがいいと思う。
聞けば三部作全体に仕掛けがあるらしいので、第三作も読んでみよう。



808 名前:読後感 ◆VkkhTVc0Ug mailto:sage [2007/12/17(月) 16:56:17 ID:M6LFex0x]
「少年たちの密室」古処誠二(講談社)

東海地方を突如襲った大地震。半壊したマンションの地下駐車場に
閉じ込められた7人の高校生と教師。救助を待つ彼等の間には
深刻な亀裂があった。そして一人が暗闇の中で瓦礫に頭を潰されてしまう。
果たして事故か殺人か――。

評判良かったんで期待して読んだけどイマイチだったなぁ。
骨子に対する肉付けが甘いというか、プロットを補強するべき
ロジックが緻密さを欠いている印象。例えば作中でAだからB
という場合にも、ABの関係が必要十分条件足り得ていない様に
感じた。一ヶ所二ヶ所なら珍しくないが全体的にそんなムードが
漂っている様でどうも馴染め無かった。

ドラマ的に見ても登場する高校生達が良く言えば純粋悪く言えば
排他的否定的選民的で感情移入出来ないので“心ふるえる”感動は
味わえ無かった。

この作者現在は本格から離れている様で、それが良いのかも知れない。

809 名前: ◆XjFtIkbasQ mailto:sage [2007/12/19(水) 09:05:00 ID:Y7mE4QSZ]
逢坂剛『猿曳遁兵衛 重蔵始末(三)』
(2004→2007、講談社文庫)【7.5点】

時は寛政、火付盗賊改方の与力・近藤重蔵の連作短篇集第三弾。
表題作は猿遣いが絡んだ武家殺人事件に関連し、10年前に姿を消した
同じ猿遣いの遁兵衛の事件が意外な展開を見せる佳作。

逢坂剛にしては凡作かと思っていたこのシリーズだが、登場人物が
出揃ったこともあり、第三弾でようやく面白くなってきた。ミステリー的な
謎を中心に事件を組み立て、なかなかのツイストを盛り込む作者の腕は流石。
長崎が舞台だという続篇が楽しみ。






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