- 153 名前:名無しさん@恐縮です [2022/08/07(日) 11:56:02.19 ID:ko/W4hNE0.net]
- 出世のためにエリスを棄てたんじゃない。
はなからエリスを棄てる気はなかった。 だが、彼の「弱き心」のため、相沢の自分に対する真摯な忠告に、否とは言えなかった。 そして、相沢はそのことを勝手に大臣に報告した。 いまさら大臣には相沢の言ったことは嘘だとは言えない。 だから豊太郎は苦悩するしかなかった。 豊太郎が意識不明の間に、相沢謙吉がやってきて、事の真相をエリ スに告げ、それを聞いたエリスが発狂する。 だから豊太郎が意識を取り戻したときには、すでにエリスは精神に異常を来していた。 相沢謙吉に対する恨みは、すべてが自分のあずかり知らないところで起こってしまったという恨みでもある。 それが舞姫の末尾の「されど我脳裡に一点の彼を憎むこゝろ今日までも残れりけり」
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