- 736 名前:132人目の素数さん [2012/07/26(木) 01:49:07.64 ]
- n-1次の多項式はn個の値を代入することで係数を特定できるというのはよく知られた事実だが、これを証明しようと愚直にn元の連立方程式を解くのは得策ではない。
しかし線型写像の概念を用いることによってこの命題に簡明な証明を与えることができる。その方法は以下の通りである。 まずn個の互いに異なる複素数x[1],…x[n]を取り固定する。高々n-1次多項式全体の空間からn次元数ベクトル空間への線型写像φをφ(F)=(F(x[1]),…,F(x[n]))で定める。 もしφ(F)=0となったとすると因数定理によりF(x)は(x-x[1])…(x-x[n])で割り切れるがFの次数はn-1以下なのでF=0となる。 ところで線型写像の核が0のみから成ればそれは単射であり特に次元定理より有限次元線型空間間の線型写像では単射と全射は同じことであった。 したがって与えられたb[1],…b[n]に対してF(x[1])=b[1],…,F(x[n])=b[n]を満たすFがただひとつ対応する。 これで証明は終わりである。この証明は具体的な計算に拠らずとも線型写像の基本的な性質さえ知っていれば思い描くことができる点で優れている。
|

|