- 273 名前:132人目の素数さん [2022/04/12(火) 16:35:08.17 ID:QwXooT/Y.net]
- >>259
つづき P20 位相曲面の場合、 §2.3 で解説した普遍被覆のような(一般には無限次の)被覆等、様々 な被覆が存在するわけだが、 多項式で定義される「代数的な世界」に留まろうとすると、 有限次の被覆しか扱うことができない。 つまり、代数曲線 X によって定まる位相曲面の(連結な)有限次被覆は、元の X と同様、 代数曲線として自然に定義されるが、無限次被覆については同様な性質は成立しない。 代数曲線 X の有限次の被覆が代数的に定義されるということは、 §2.3 で取り上げた「副 有限基本群」 ‘πb1(?)’ は X によって定まる位相曲面に対して定義でき、しかもそれを、 ある代数曲線の族に出てくる それぞれの代数曲線の(有限な!)被覆変換群たちの成す 系の逆極限として扱うことができる ということである。この副有限基本群を π^1(X) と表すことにする。 次に、X が数体 F 上で定義されているとしよう。すると、先程の「代数曲線の族」に 登場する各々の代数曲線たちも、(F 上で定義されるとは限らないが)F の適切な有限次拡 大(⊆ Q)の上で定義されることは簡単に示せる。従って、F の絶対ガロア群 GF を、こ れらの代数曲線の定義方程式たちにあらわれる係数たち(= Q の元!)に作用させること によって、GF を上述の「代数曲線の族」に作用させることができる(図8を参照)。 副有限基本群 πb1(X) は、厳密にいうと内部自己同型を除いてしか定義されないものなの で、このような GF の「外作用」(outer action) によって ρX : GF → Out(πb1(X)) のような形の自然な準同型=「外部表現」(outer representation) が定まる。この GF の πb1(X) への外作用は、 数体の数論(= GF)と位相曲面の位相幾何(=副有限基本群 πb1(X))という、 一見全く異質な二種類の数学的構造を関連付ける 重要な研究対象である。 つづく
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