- 362 名前:132人目の素数さん [2021/11/14(日) 20:42:10.02 ID:LFoQx2jW.net]
- 「実無限」と「可能無限」
まあ、これでも https://mathsoc.jp/publication/tushin/2104/2016sunada.pdf 数学の発展と展望? 明治大学総合数理学部 砂田 利一 ?この文章は 2016 年 9 月 19 日に関西大学で行った日本数学会 70 周年記念講演に基づいている. 2 無限の概念 ここで,カントルの理論の背景にある,無限概念についての歴史を振り返ろう.集合 論を「血と肉」としている我々数学者にとって,今更「無限」についての特別な感興が 呼び起こされることはほとんどない.すなわち,それほど現代数学は集合概念に依存し, 初めから概念が用意されていたかの如く,我々は無限というものに慣れ親しんでいるの である.しかし,無限概念に対する数学者と哲学者の態度には,時代に応じた違いが見ら れる.一言で言えば,古代ギリシャの伝統を引き継いだヨーロッパの文化的環境が,(時 代は移るものの)無限に関する考察を深化させ,最終的にはカントルの理論に至ったのである. 無限を最初に扱ったのは,古代ギリシャのアナクシマンドロス(前 610 頃?前 546 頃) である.彼は「アペイロン」(限りがない)という概念を導入し,それを万物の根源(ア ルケー)とした.その後アナクサゴラス(前 510 頃?前 428 頃)により「無限大,無限小」 について語られたが,19 世紀後半まで歴史の中で大きな影響を与えたのはアリストテレ ス(前 384?前 355)である.彼は,無限には「実無限」と「可能無限」の 2 種類があっ て,可能無限は認められるが,実無限は存在しないと考えた.カントルの集合論は,ま さにアリストテレスに対するアンチテーゼなのである. 念のため,「実無限」と「可能無限」の意味を与えておく. 可能無限:無限を把握出来るのは,限りがないということを確認する操作が 存在していることだけで,無限全体というのは認識出来ないとする立場 実無限:無限の対象の全体性を把握して,無限が実際に存在しているとする立場 つづく
|

|