244 名前:現代数学の系譜 古典ガロア理論を読む mailto:sage [2017/06/26(月) 22:44:29.61 ID:fEMhvHu0.net] >>222 つづき 以上のをまとめると,以下の「事象の公理」になる.今までは故意にΩ が有限集合の場合を考えてきたが, Ω が無限の時には以下のように考える. 定義1.1.3 (事象の公理=可測空間,無限でもいけるバージョン) Sample Space Ω が与えられたとき,Ω の事象 の集まりとは,以下を満たすΩ の部分集合の集まり(部分集合族)F のことである. 1. F ∋ Φ 2. E ∈ F ならばE^c ∈ F 3. E1,E2,E3, . . . ∈ F に対し,∪{i=1〜∞}Ei ∈ F ・F はΩ のσ-field と呼ばれる. ・このバージョンになると,もはや「Ω の全ての部分集合を事象と認める」とは言っていない事に注意.事象 と認めるのはΩ のσ-field F の元になっているような,特別な部分集合だけである.このような特別の部分 集合にのみ,確率を割り振るのである(以下参照). 1.2 数学における確率 これからいよいよ,「確率」を割り振っていこう. 数学ではある意味で「天下りに」確率を定める.標本空間が有限集合の場合から始めよう.標本空間Ω = {e1, e2, . . . , eN} を考える(ej が根元事象). 根元事象の起こり易さpj (j = 1, 2, . . .,N)をすべて与えれば確率が決まったと言えるのではないか? では,この根元事象の確率pj はどんな性質を満たすべきだろうか?まず,これは確率だから0 と1 の間にない といけない.更に,Ω そのものというのは全事象だからこの確率は1 であるべし.要するに 0 ? pj ? 1, Σ{j=1〜N} pj = 1 (1.2.1) であればよい,ということになる.そして,根元でない事象E = {e1, e2, e3, . . . , en} については, (E の確率)= Σ{j=1〜n} pj (1.2.2) となるはずである. (ただし,標本空間が有限の場合).要するに ? sample space Ω 上に根元事象の確率pj を(1.2.1) を満たす形で与え, ? 根元事象でない一般の事象E の確率を(1.2.2) で計算する. つづく