- 27 名前:現代数学の系譜11 ガロア理論を読む mailto:sage [2016/12/30(金) 19:42:46.74 ID:zFouRTR2.net]
- >>25 つづき
「∞は記号といっても、実無限の記号だ」 「すると、n→∞も実無限の記号なの?」 「いいや、違う」 「ええ?」 ミサさんはびっくりしました。 「∞を言葉に直すと、『無限大』になる。しかし、n→∞を言葉に直すと、『nを無限大に近づける』にならずに、『nを無限に大きくする』になる」 「n→∞は∞を含んでいるのに、これを言葉になおすと∞が消えてしまうの?」 「そうさ。記号では無限大を含んでいるのに、それを言葉に変換すると無限大が消えるのさ。つまり、実無限が可能無限に変化したのさ」 ∞は、実無限の記号である。 n→∞は、可能無限の記号である。 「なるほど、実無限の記号を一部だけ使いながら、思考からは実無限をみごとに消し去ったのね」 「昔の人は、このような巧みな技を使っていたのさ。たぶん、無意識的だと思うよ」 何という巧妙な思考でしょう。ミサさんは改めて、昔の人たちの数学の技を見直しました。 「ちなみに、n→∞という記号の組み合わせが分解できないことは知っているか?」 「分解できるわよ。nと→と∞にね」 「nは自然数で、∞は無限大だ。では→はどんな論理記号なのだ?」 「A→Bという論理式と違うわね」 「もちろん違う。n→∞を『nならば∞である』と読む人はいないだろう。これは∞を含んでいるけれども、分解できない記号さ」 「つまり、記号の組み合わせの形をしているけれども、形式上の組み合わせにすぎないのね」 「そうさ」 「それならば、サクくん。limから切り離すこともおかしいわ」 「どうしてだ?」 「lim という記号は、これ1個だけで意味上の最小単位 n→∞ でしょう。これを分解することはできないはずよ」 痛いところを突かれたサクくんでした。 (引用終り)
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