- 120 名前:現代数学の系譜11 ガロア理論を読む mailto:sage [2016/12/31(土) 14:19:50.51 ID:VK/jj9Lp.net]
- >>108 つづき
私はたびたび、コールマンの優れた洞察に興味を引かれました。そうした洞察 は、彼から聞かされなければ耳にすることもなかったでしょうし、よしんば耳にす ることがあったとしても、もっとずっと後になっていたでしょう。多くの場合、彼 の洞察は、相対論的量子物理学に関する数学の基本的概念や、他の数学の分野と相 対論的量子物理学の関係に関するものでした。私のその後の研究に重要な意味を持 つテーマも多くあったのですが、コールマンから教えてもらうまでまったく思いも よらないことでした。初めて聞いた時はそれほどよくわかったとは言えない状態で したが、幸いにも、後に役立つ程度には覚えていました。ここで、コールマンが私 に教えてくれた洞察の一例をご紹介しましょう。それはもともと、旧ソビエトの数 学者、アルベルト・シュワルツが述べたことなのですが、標準模型について物理学 者がもたらした驚くべき成果には、実は、マイケル・アティヤとイサドール・シン ガーが発表した「指数定理」に由来するものがあるということです。実はこの定理 は、20世紀の数学におけるきわめて重要な定理なのですが、私には初耳でしたし、 指数という概念も、さらにはアティヤやシンガーという名前も聞いたことがありま せんでした。 ここでお話ししておかなければならないのは、17世紀、18世紀、それに19世紀の 大半でさえ、数学者は同時に物理学者でもあるのが普通だったのに、ところが20 世紀になると、数学と物理学という2 つの学問は別々の道を歩むようになったよ うです。その原因は、数学の分野における数々の進歩により、物理学との距離が離 れていったからだと思われます。しかしそれ以外にも、1930年頃から、物理学の研 究が、相対論的量子場理論など数学的解釈がきわめて難しいと思われる方向に向 かったことが挙げられます。 つづく
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