- 834 名前:文責・名無しさん mailto:sage [2023/08/16(水) 11:14:43.14 ID:gQm8Tk340.net]
- 各地に被害をもたらす台風7号のニュースに、5年前の出来事を重ねている。強い風に流されたタンカーが、関西国際空港の連絡橋に衝突した事故である。折からの台風21号のしわざで、関空と陸上をつなぐ橋は不通となった。
▼空港に多くの人が取り残される中で、中国メディアは相次ぎ報じた。「中国の駐大阪総領事館がバス15台を緊急手配し、中国人を優先して救出した」。冷静に考えれば、うろんな話である。一般車両は橋を渡れない。どんな手品を使ったのか、と。 ▼後にフェイクニュースと分かる美談は、本当の標的である台湾世論を揺さぶった。「なぜ救出に行かない」とメディアから非難の十字砲火を浴びたのが、台北駐大阪経済文化弁事処である。ネット上には数千件の批判投稿があふれ、当時の処長、蘇啓誠(そけいせい)氏は自殺に追い込まれた。 ▼偽情報で世論を操る「認知戦」は、陸海空と宇宙、サイバー領域に次ぐ「第6の戦場」といわれる。全ての情報に「中国発」「ロシア発」などのただし書きがあれば用心もできる。噓の多くはしかし、それと分からぬ装いでネット上を歩いている。 ▼関空での救出バスが「自分は中国人だと認識する」のを条件に台湾の旅客を乗せた―との情報も流れた。むろん噓だが、人の柔弱な部分をターゲットにする点で、わなの看破は容易でない。来年1月には総統選がある。台湾をにらむ目が、日本をもにらんでいることを忘れまい。 ▼偽情報に踊らされぬ免疫の獲得は、わが国にとっても焦眉の急だろう。中国軍のハッカーが日本の防衛ネットワークに侵入していたと米紙が報じたのは、つい先日のこと。認知戦で敵が狙うのは、国のシステムよりセキュリティーの甘い、われわれの頭の中である。
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