- 174 名前:名無しゲノムのクローンさん [2014/03/13(木) 14:40:22.98 ]
- 60 :名無しさん@13周年@転載禁止:2014/03/13(木) 11:55:52.33 ID:F86hTwXr0
都の西北、早稲田。学生でにぎわう、学究の街だ。 そんな街の路地裏で、今日も小さな店に灯りがともる。 店の名は「スタップ」。 「いらっしゃいませ」 暖簾をくぐると、店の女将、小保方さん(52)が割烹着姿で出迎えてくれた。 「実は、私も昔は研究者だったんですよ」 女将はお燗をつけながら、笑顔で語りだす。 「あの頃は夢がありましたね。自分の研究で世界中を幸せにするんだって」 聞けば、彼女は博士号を持つバリバリの「リケジョ」だそうだ。 専攻は再生医学。日本有数の研究機関で実験三昧の毎日を過ごしていた。 そんな彼女に転機が訪れたのは、30歳の頃。 学会では存在すら疑われていた「万能細胞」なるものの精製に成功したのだ。 発表と同時に話題となり、マスコミにも取り上げられたという。 「でも、それがボタンの掛け違えの始まりでした」 遠い目をする彼女。手に持ったお燗用の三角フラスコがかすかに震える。 発表を急ぐあまり生じた論文上の些細なミス。「神業」なるが故に誰も再現できなかった実験結果。ついには「ねつ造」と決めつけられ、彼女は研究者としての未来を失った。 「だけど、おかげで気づくことができました。名誉や地位なんかよりも大事なものがあるって」 学会から身を引いた彼女が見つけた幸せ。それは一人でも多くの人を笑顔にすること。 そう思って始めたのがこの店だという。 「私にとっては、この店も研究の成果なんですよ」 研究に未練はないのか。そう尋ねた私に小鉢を出しながら彼女は言った。 「だって、この店の食材、全部万能細胞で出来てるんですから」 伸ばしかけた箸が止まる。そんな私をいたずらっぽい目で眺めながら、女将はお猪口代わりのビーカーにお酒を注いでくれた。 (2036年3月13日)
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