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ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart21



1 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 10:07:50 ID:jJYcB7hW]

守りたいから私は飛ぶ!!パンツじゃないから恥ずかしくないもん!

●スタッフ
監督・アニメキャラデザイン:高村和宏     キャラクターデザイン原案:島田フミカネ
シリーズ構成:ストライカーユニット        助監督:八谷賢一
世界観設定・軍事考証:鈴木貴昭        メカデザイン・メカ総作監:寺尾洋之
キャラクター総作監:山川宏治・平田雄三   美術監督:小倉宏昌(小倉工房)
美術設定:松本浩樹(スタジオイースター)    カラーデザイン:甲斐けいこ・池田ひとみ
3D監督:下山博嗣                  撮影監督:江間常高
編集:三嶋章紀                   音響監督:吉田知弘
音響制作:楽音舎                  音楽:長岡成貢
音楽制作:コロムビアミュージックエンタテインメント
アニメーション制作:GONZO
原作:島田フミカネ&Projekt Kagonish(プロイエクト カーゴニッシュ)

●キャスト
宮藤芳佳(みやふじ よしか):福圓美里     坂本美緒(さかもと みお):千葉紗子
ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ:田中理恵   リネット・ビショップ:名塚佳織
ペリーヌ・クロステルマン:沢城みゆき      エーリカ・ハルトマン:野川さくら
ゲルトルート・バルクホルン:園崎未恵     フランチェスカ・ルッキーニ:斎藤千和
シャーロット・E・イェーガー:小清水亜美    エイラ・イルマタル・ユーティライネン:仲井絵里香
サーニャ・V・リトヴャク:門脇舞以

●放送局
※放送は終了しました

●関連サイト
公式サイト:s-witch.cute.or.jp/
まとめwiki:www37.atwiki.jp/strike_witches/
人物呼称表:www37.atwiki.jp/strike_witches/pages/50.html
百合SSまとめサイト:lilystrikewitches.web.fc2.com/

●次スレ
次スレは>>970or480KB超を目安に、臨機応変に立てて下さい。
必要な事前準備等があれば、>>920or450KB超を目安にして下さい。

●前スレ
ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart20
babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1233735979/

2 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 10:10:05 ID:jJYcB7hW]

Q.○○書いたんですけど投下してもいいですか?

A.どうぞ、ぜひ投下してください。
条件は「ストライクウィッチーズ」関連であること、
「百合」であることの二つのみです。
ジャンル、エロの有無、本編にないカップリングなどに関係なく、
このスレの住人はおいしく頂いております。
妄想だとか落書きだとか気にせずとにかく投下してみましょう。

ただし、SS専用スレではないので20レスを超えるような長編は事前に断りがあると吉です。

3 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 10:11:55 ID:jJYcB7hW]

──リレーSSの手引き──

★基本ルール
○始める時は、リレーSSであることを宣言する。
○続ける人は宣言は不要だが、一行目に継承元の安価をつける。
○ただし、結末を書く場合は「次で終わっていいですか?」と訊いておく。
○継承先は指定できない。誰かが早い者勝ちで続きを書く。
○ただし自分自身の続きは書かない。最低2人は挟んでから。
○2レス以上にまたがらない。1レスでクールに。
○重複したら先に書いた方を優先する。
○作者名は名前欄に入れる。名無し希望は未入力でも可。
○リレー進行中は他のリレーは開始しない。
○もちろん普通のSSは、リレーの状況に関わらずどんどん投下してください。

★本文と書式
○語り手や文調はできるだけ継承する。唐突な視点変更は避ける。
○誤解を招きやすいため、科白にはキャラの名前をつける。(例:芳佳「おっぱい」)
○後に文が続く事を意識して、できるだけ色々な取り方ができる終わり方にする。
○「駄文失礼〜」「お目汚し〜」等の前書きやあとがきはナンセンスなので付けない。

★心構えと方針
○無理して面白くしようとしない。ナチュラルに妄想を爆発させるべし。
○不本意なカプの流れになっても泣かない。むしろ目覚めるべし。
○展開を強要したり口を挟まない。流れに身を委ねるべし。
○なかなか続きが来なくても焦らない。気長に有志を待つべし。
○多少の誤字脱字、設定違反、日本語おかしい文章には目を瞑る。スルーすべし。
○参加者はみな平等。新兵もエースもリレー主も一切特権はない。仲良くすべし。
○男はいらねえんだよ!ふたなりネタも自重すべし。

4 名前:zet4j65z mailto:sage [2009/02/12(木) 11:10:45 ID:R+spmISn]
>>1乙です
帰宅したら新スレたってるなんてGJすぎ!
SSの方は手直ししてたら20kb超えちゃったw
でも先に謝って置きます。
ごめんなさい。
本当にごめんなさい。
大事なことなので2度言いました。
9か10レスになります。

●ブリタニア19XX ブリタニア陸軍歩兵戦闘装甲歩行脚 Mk.V

 奇妙な状況だった。
 休暇を貰い、北アフリカからブリタニアへと一時帰郷していた私マイルズと指揮下の第4戦車旅団C中隊に対し、突然の命令が下ったのだ。
 命令の内容はドーバーへ向かい、現地での指示に従う事。
 これは理不尽な話だった。
 激化する戦線を支える為に在任期間を超えて戦闘を継続していた我々がやっと手に入れた休暇だというのに、降って沸いた突然の任務でフイにされてはたまらない。
 勿論私個人的にはネウロイとの戦闘を継続する事に異論はないし、命令を拒否するつもりも無い。
 しかし、傷つき疲れた部下たちのことを考えるととても素直に命令を受諾する気にはなれなかった。
 伝令より命令を受け取った私は船着場で隊員を待機させ、すぐさま上級司令部へと向かう。
 そこへ肩を怒らせ、勢い込んで執務室へと乗り込んだ私は肩透かしを食らう事になった。
 どうやら今回の命令は戦闘作戦ではなくて半ば慰問のような任務らしく、命の危険は基本的には無いらしい。
 しかも、この任務に従事する時間に関しては部隊全体の北アフリカ駐留の日数に加算して勤務内容を評価されるといったオマケ付き。
 また、人数も中隊全員ではなく数人が参加できれば問題ないとも伝えられた上で、現地司令からは伝えるべき情報の全てが命令書に明記されなかった件を謝罪されてしまった。
 その真摯な態度に私も熱くなってしまったことを謝罪し、直ちに待機中の中隊員の下へと取って返した。

「……と、いういわけなんだけど、私以外に志願者は?」

 聞いてみると既に家族や友人たちに帰宅の連絡をとっている人間が多く、ドーバーに向かうのは私と小隊員2名だけとなった。
 個人的には安心できるいつものメンバーといった所だ。

「なんかいつものメンバーだねぇ、たいちょー」

 コードC-3rd、年下で中隊のムードメーカーである人懐っこい彼女の嬉しそうな声が響く。

「そうですね……でも、いまいち腑に落ちない部分もありますよね……」

 コードC-2nd、私の副官を勤めてくれている眼鏡とアップした髪型がトレードマークな彼女の冷静な意見。

「いいじゃないいいじゃない。ブリタニア本土なわけだし、命の危険無しで皆の分までおきゅーりょー増えてはっぴーじゃん」
「それはそうなんですけど、どうにもそこまで楽観できなくて……」
「ま、とりあえず行ってみましょう。正式な命令ですし、ね」
「うんっ」
「了解です」

 そして我々は、鉄道にてドーバーへの道を急いだ。
 一等室での鉄道の旅は快適な上に途中ネウロイの空襲警報も無かったおかげで定時には到着する事ができた。
 駅から軍へと連絡をすると、軍用のトラックが私たち3人を迎えに来た。
 トラックに揺られる事数時間。
 日が落ち、暗くなる頃に到着したその場所はどう見ても演習場だった。
 訝しげな視線で辺りを見回しているとカールスラント空軍の制服に身を包んだまだ小さな少女が現われた。


5 名前:zet4j65z mailto:sage [2009/02/12(木) 11:11:37 ID:R+spmISn]

「王立陸軍第四戦車旅団C中隊ご一行様であられますか?」
「はい、指揮官のマイルズです」
「これは失礼致しました少佐殿っ! 自分はカールスラント空軍131先行実験隊ハルプ所属のヘルマ=レンナルツ曹長であります!」

 どうやら到着を待っていたにもかかわらず私服姿の我々が当のC中隊の面々だと確信が持てなかったための行動だろう。
 少女は教本にでてくるような、こちらが恐縮してしまうようなびしっとした敬礼を行い、謝罪と共に自己紹介。
 こちらもそれには返礼を返し、各々簡単な自己紹介を行う。
 しかしここでカールスラントの人間が出てくるとは……今回の件は多国籍部隊である第501統合戦闘航空団絡みなのだろうか?

「宿舎にご案内いたします。少佐殿」
「あの、ヘルマさん。同じ軍人同士とはいえ所属は違うし、今は見ての通り軍務についているわけではないですから、余り堅苦しい態度は止めにしませんか?」
「あ、ありがたいおことばですっ! し、しかし気を悪くされては申し訳ありませんが……その、性分ですので、もうしわけないですっ」
「そう、わかりました。でもこちらからはヘルマさんという呼び方で良いですか? 何か愛称があるのでしたらそちらでお呼びしますけど」
「はいっ! 隊内ではレン、と呼ばれておりますっ!」
「ではレン、案内をお願いします」

 伝統ある王立陸軍でもこの年齢でここまでお堅い子はいないんじゃないかしら……なんて思いながら彼女の後ろをついて歩く。
 本当はここでの任務が一体どういう内容なのか聞いておきたかったのだけれど、なんとなくこの子に質問しても疲れそうなので止めておく事にした。
 佐官とい事で私は個室、部下二人は相部屋が用意されていて、案内されたその部屋はこんな軍施設にもかかわらず意外と清潔感漂う広くていい部屋だった。
 というのはアフリカでのテント暮らしの長かった私の主観的感想で、もしかすると大した部屋ではないのかもしれない。
 本音を言うとアフリカでの暮らしと同じく3人で相部屋の方が寂しくなくて良かった、と思うのは贅沢な悩みなのだろうか?
 戦場が恋しいというのは何か間違っている気がするけれど、がらんとした部屋、広々としたベッドに一人眠るよりも、狭い野戦テントで3人肌を合わせ砂漠の寒い夜を過ごした日々の方が温かみがあった気がした。
 中々寝付けず、よっぽど二人の部屋を訪ねようかとも思ったが、一応佐官という階級を拝命しているという自尊心もあってギリギリの一線を保っていた。
 そんな時に、コンコンとノック。
 扉をあけると、相部屋だったはずの二人だった。
 C-2ndは笑みを浮かべつつもちょっと作ったような困った顔、C-3rdは満面の笑みで部屋に入ってくる。

「どうかしましたか?」

 大体状況は読み取れたけど、隊長としてのギリギリの尊厳を保ちつつ質問……でもちょっと声が上擦っちゃったかも。

「い、いえ……この子が……」
「わたしもふくちょーも、たいちょーの体温が恋しくなっちゃったの〜」
「あ、こ、こら……この子ってば……その、わたしは……」
「どうもこのベッドは私一人には大きすぎて落ち着かなくて……折角ですから3人で寝ませんか?」
「うんっ」
「あ、こらっ……」

 ベッドに飛び込むC-3rdを嗜めようとする副長のC-3rdを制して、手を伸ばす。

「ね、あなたも」
「はい、では御言葉に甘えまして……」

 彼女も、少し頬を染め、おずおずとベッドに入ってくる。
 そして私たちは、3人で心穏やかな夜をすごした。

 …………。
 朝、どうやら従兵役が与えられているらしいレンの挨拶によって起床。
 その脚で食堂へ向かい、用意されていた食事を摂った。


6 名前:zet4j65z mailto:sage [2009/02/12(木) 11:12:09 ID:R+spmISn]
 久しぶりに味わう見事なブリタニアの朝の食事だった。
 他国の連中……特にロマーニャ出身の兵からはかなり不評が出ていたブリタニア料理ではあったが、本国で、しかもしっかりとした人間がつくればとても美味しいのだ。
 出来ればこの朝食をアフリカで文句を行っていた連中に食べさせてやりたい。
 
「これほんと美味しいね〜」
「ええ、本当に……」
「出来れば作った人にお会いしたいのですが、よろしいでしょうか?」

 背後で直立不動の姿勢を保っていたレンに振り返って確認する。

「はっ、ただ今御呼び致しますっ!」

 あいかわらず堅苦しい行動。微笑ましくもありはするんだけれど、もうちょっとフランクでないとこちらも肩がこってしまいそう。

「あの子ほんと堅苦しいね。カールスラントの堅物だねっ」
「ですが軍機を護るという点では非常に評価できると思います」
「でもずっとあんなにしてたら肩凝っちゃうって〜……たいちょーもそう思うでしょ」
「まぁ、こうしたプライベートに近い状態ではもう少し緩めてもらった方がいい気はしますね」
 
 会話をして待つ事数分、レンが戻ってきた。
 後ろからは一人のブリタニア人らしきエプロンをつけた少女がついてきている。どうやらその少女が料理人らしい。
 ライトブラウンのお下げ髪と、年齢不相応の大き目のバストが眩しい美少女だ。
 てっきり年配の女性を想像していたのでちょっと驚いていたら緊張した面持ちで少女が挨拶してきた。

「も、申し訳ございませんっ。お口に合わなかったでしょうかっ」
「え……あ、いや、そういうわけじゃなくてお礼が言いたかったんですよ」
「え、お礼ですか?」
「はい。こんなに美味しい祖国の料理をご馳走してくれてありがとう、って」
「え!? わ、わたしてっきり……」

 ほっとした表情の料理人の少女と、無表情ともいえるすまし顔のレン。
 一瞬で状況を把握する。
 どうやらレンがあのお堅い調子で私が呼び出していると言う事象のみを伝え、結果彼女の態度からこの同胞の少女はてっきり叱られるものと勘違いしてこちらにやってきた。
 確かに、レンに「ブリタニア陸軍の少佐がお呼びだ」とでも言われれば年若い少女は萎縮してしまって当然だろう。
 ロマーニャ人と肩を並べる時には便利な少佐という階級も、こうして仲間内で団欒を得たい時などは非常に邪魔になってしまうようだ。

「ありがとうねっ」
「ありがとうございます」

 部下二人も口々に礼を言う。
 料理を美味しいといわれたのがよほど嬉しかったのかとても感激して目に涙まで浮かべていた。

「いえ、私のお料理を美味しいって思っていただいてありがとうございます」

 少女からは逆にお礼の言葉が出てきてしまった。
 こういった心からの言葉は直接こちらの心にも響く。
 そして、心から思う。
 戦ってきて、戦い抜いてよかったと。
 私と仲間たちとの北アフリカでの苦労が、間接的にでもこうやって本国の平和な暮らしを護る事につながっているという事に。
 こうした少女たちのを守れている事に。


7 名前:zet4j65z mailto:sage [2009/02/12(木) 11:12:58 ID:R+spmISn]
「こちらこそあらためて、美味しい食事をありがとう。わざわざ呼び寄せてしまってごめんなさいね」
「あ……いえっ、そんな事っ……私こそ直接呼び寄せてお礼を言ってもらえるなんて、本当に嬉しくて……」

 お互いお礼を言い続けたら収拾がつかなくなりそうだったので私はただ握手を求め、彼女が応じた事で食卓の一幕は過ぎていった。
 唯一つ、握手の時に違和感を感じた。
 後で副長の手を握らせてもらって確信した。
 彼女の手の違和感。
 それは銃を扱い慣れた者特有のタコの感触だった

 食事後一休みしていると、レンがやってきた。
 彼女に任務について質問しようと思ったら先に話しかけられてしまった。

「そろそろ時間となりますので、ハンガーへ案内いたします」
「ねぇ、そろそろ任務について教えてもらえないでしょうか?」
「そうですね、慰問のようなものと聞いてはいるんですが」
「命に危険は無いんだよね」
「はい、これから皆様には、模擬戦に参加して頂きます」
「模擬戦?」
「はい」

 会話するうちに、あっという間にハンガーの扉の前まで到着する。

「自分も参加予定で準備がありますので、これにて失礼させて頂きます。詳しくはハンガーにて装備を整えた上で昨日の到着した場所、隊舎前までお越しください」

 レンは一方的にそう告げると姿を消してしまった。

「模擬戦って、今更何なのかなぁ」
「新兵相手の訓練とかでしょうか? 楽な内容なので慰問のようなもの、とか……」

 口々に観想を口にするが、いまいちその想像に自信が持てない。

「とりあえず、正式に通達された任務ではあります。色々と不明点はありますが、もしも内容に問題があると判断した場合は私の方からこれから顔を合わせるであろう今回の責任者の方とお話をつけます」
「うんっ、さっすがたいちょー。頼りにしてるよっ」
「申し訳ありませんがお願いいたします」

 ハンガーの中にはブリタニア製の歩行脚、歩兵戦闘装甲歩行脚Mk.Vがラックに固定されていた。
 北アフリカでも別の部隊が使用していた陸戦型ストライカーユニットで、私たちが永く愛用していたマチルダUよりも少し性能は低いが生産性が良く配備数は多い。
 レンドリースでオラーシャ方面にも送られている扱いやすいストライカーだ。
 勿論我々の中隊でも使用した事があるのでそんなに不慣れな品物ではないのだけれど……でも、なんでまたこのユニットが?
 3人とも疑問を払拭できず、無言のままにストライカーを装着する。
 出力的には少々頼りなくはあるけど、ストライカーとの一体感を得るだけで気分が高揚するのを感じた。
 左右二人も装着を完了し、動作用の装軌機動システムの試運転を行っている。
 私も試運転を開始。
 整備状態は悪くない……どころかほぼ完璧といえた。
 砂を噛んでいない心地よい装軌起動システムの音がハンガー内に響く。

「動作がすなお〜」
「ええ、軽くていいですね」


8 名前:zet4j65z mailto:sage [2009/02/12(木) 11:13:33 ID:R+spmISn]
 多分工場出荷後に慣らしだけを十分に行ったものなのだろう。
 初々しい上に絶好調。旧式でアンダーパワーとはいえこんなストライカーを操れるというだけでここに来た甲斐があったといえるかもしれない。
 みれば部下二人もはしゃぎ気味だ。

「では、いきましょうか」
「はいっ」

 私の声に、二人の返事が重なる。
 我々C中隊第一小隊3名は、意気揚々とハンガーを後にした。

 果たして、集合場所へと辿り付いた我々はその場の雰囲気に圧倒され、先ほどまでの高揚した気分など一瞬で吹き飛んでいた。
 隊舎前の広場には、空戦用のストライカーユニットを装着したウィッチたちが整列していたのだが、問題はそのメンバーだった。
 その内容はドーバーに展開する第501統合戦闘航空団+αというそうそうたる面々だ。
 現在世界でもネウロイの撃墜数ナンバー1と2のゲルトルート・バルクホルン大尉とエーリカ・ハルトマン中尉。
 優れた指揮能力を持ち、自らも100機以上の撃墜数を誇るミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐。
 北欧スオムスの無傷のエース、エイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉。
 扶桑の欧州派遣軍として大戦初期から活躍するサムライ、ミオ・サカモト少佐。
 ガリアの誇るトップエースで固有攻撃魔法として電撃能力を持つペリーヌ・クロステルマン中尉。
 ロマーニャの天才ウィッチ、空のファンタジスタ、フランチェスカ・ルッキーニ少尉。
 オラーシャ出身の夜戦のエキスパート、サーニャ・リトヴャク中尉。
 リベリオン出身で加速の固有魔法を持つシャーロット・イエーガー大尉。
 地元501以外からはやはり欧州戦線で活躍したリバウの貴婦人、ジュンコ・タケイ少佐。
 カールスラント夜戦のエキスパート、ハイデマリー・シュナウファー大尉。
 その他にも写真で見た事のあるような面々が揃っていた。
 正直なところマルセイユとケイ・カトーを中心として北アフリカに展開する統合戦闘団「アフリカ」の面々が霞んでしまうような陣容だ。
 そんな中、意外な事に先ほどの料理人のブリタニアの少女も混ざっていた。
 彼女もウィッチならば手のタコも合点がいく。
 そのお下げの少女と並んで扶桑人らしいサカモト少佐と同じストライカーユニットをつけた少女や私たちの案内役を勤めたレン、ヘルマ・レンナルツも混ざっていた。
 特にレンのストライカーはカールスラント製ではあるらしいのだが見た事の無いユニットだ。新型なのだろうか?
 
「お初にお目にかかります、マイルズ少佐。北アフリカでの活躍はかねがね伺っております」

 そんなメンバーの中、最上位の階級を持つヴィルケ中佐が前に出て握手を求めてきた。

「え、ええ……こちらこそ高名なドーバーの501隊と顔を合わせる事ができて光栄です」
「ありがとうございます」

 握手をし、挨拶。
 しかしわからない。
 模擬戦といっていたけれど、これから一体何が始まるのだろうか?

 パンッ、と手を打つ音が響く。

「ハイ注目! って……はるか上の階級の人たちが私の号令で注目してくれるってのは気分イイね〜」

 見ると、ブリタニア人らしき女性――料理を作ってくれた少女に良く似ている、姉妹だろうか?――が一段高い台の上から皆に呼びかけていた。

「とりあえず、ここにいる方々の総意ってことで私が仕切らせてもらうわねっ」
『ハイッ』


9 名前:zet4j65z mailto:sage [2009/02/12(木) 11:14:38 ID:R+spmISn]
 航空ウィッチたちが一斉に返事をする。
 この期に及んでまだ状況が飲み込めない。

「じゃあ第一回、チキチキバレ……」
「ちょ、ちょっと待ってください! これから一体何が始まるんですかっ!?」

 勢いとその場のノリで進行しそうになった状況を遮って質問を投げる。

「え? 伝えてなかったっけ?」
「全然何も聞いてません。ただ半ば慰問のような生命の危険の無い任務という事で了解してここにつれてこられたんですっ」
「あー、ごめん。確かにちゃんと伝わってなかったかも……私はウィルマ・ビショップ。エクスウィッチよ。今回の一件に関して司会進行と審判長を任されてるわ」
「はい、それで私たちは何をすればいいんでしょうか? 何故名だたるエースたちがこんなにも並んでいるんです?」
「ええと、あなたたちは的というか何と言うか……鬼ごっこで追いかけられる側、かなぁ」
「ちょっと! それは聞き捨てなりません! 戦地から一時休暇を与えられて本国へ戻ったと思ったら、イキナリ的になれですって!? 同じブリタニアのウィッチとしてその様な事を我々に押し付けて恥ずかしくないのですか!!」
「マイルズ少佐、少し、よろしいでしょうか?」

 そこに割って入るものがいた。ヴィルケ中佐だ。

「細かい事情に関しましては私の方から説明いたします。よろしいでしょうか? 少佐」

 至って真面目で冷静な中佐の様子に誤記を荒げた自分を恥、一つ深呼吸してから少佐の言葉に耳を傾ける。

「はい、では説明をお願いします」
「我々第501統合戦闘航空団は鉄の結束にて結ばれております。しかし、何度かその結束が崩壊の危機に瀕した事があります」
「結束崩壊の、危機……?」

 優れたチームワークを持った少数精鋭の部隊……それが各地に結成されている統合戦闘団であったはずだ。
 その結束に崩壊の危機が訪れる事があったという。
 それが由々しき事態だという事は一瞬で理解できた。
 そしてどうやらこの模擬戦がその鍵を握っているという事も容易に想像できる。
 模擬戦、確かに命の危険は無いかもしれないが、未だ全貌が見えていない。
 とはいえこの一件は自分の思った以上に困難な任務である可能性が高い。
 確かにこんな大きなものに関わるのなら、我々部隊の給料も奮発されるはずだ。

「はい」
「それは一体……」

 ヴィルケ中佐が頷き、そこへさらに追求する。
 ごくり、と緊張に生唾を飲み込む。
 背後より伝わってくる気配から、部下2名も同じ様な心境なのだろうという事が容易に伺えた。

「各年中行事です」
「はぁ!?」

 意味が解らない。
 聞き間違えたのだろうか?
 重要な事だ、ここは聞き返すべきだろう。

「もう一度お願いします」


10 名前:zet4j65z mailto:sage [2009/02/12(木) 11:15:35 ID:R+spmISn]
「はい、各年中行事です」

 ?????
 わけがわからない……改めて質問してみよう。

「それは……具体的に言うと?」
「ええ、ハロウィン、サトゥルヌス祭、ニューイヤー……様々な事があると思います」

 至って真面目な様子を崩さないヴィルケ中佐。

「今回は特に、その中でも最大のものと思われる聖バレンタインの祭礼を前にしています」
「は、はぁ……」
「強すぎる結束は、時に強すぎるが故に脆くも砕け散ります」
「そ、それで……?」
「ついては、バレンタインイベントにて贈り物を渡す権利を、今回計画した模擬戦での勝利者のみに与えようと考えております」
「そーなんですか……」

 えっと……つまり……多分だけど、この人たちは誰が誰に渡すとか、そういうので競争になって混乱が起こって大変だから予めイベントに参加できる人間を限定する……ってことでおk?
 上記のような思考を、なるべく言葉を整えてヴィルケ中佐への質問として口にする。
 正直上官に対する口調ではなくなってた気はするのだけど何だかあんまり記憶に無い。
 でもって返って来た答えは、「その通りです」

「皆が平等な条件の下、本気で取り組む為に戦地帰りの精鋭陸戦ウィッチとしてあなた方を招待させていただきました」

 あ〜……アホらしくなってきた……。
 何でまたこの中佐はこんなしょーも無い事を真面目に語っているんだか……って言うかお願い、夢なら醒めて。

「納得してくれたんなら続きは私が引き継ぐわね。ルールは簡単。マイルズ隊が逃げて、航空隊がそれを攻撃する。
 制限時間は15分。航空隊は皆それぞれ別の色のペイント弾を持ってるから、時間が終了した所でマイルズ隊への命中数の多い子が勝ち。
 同数の場合はより致命箇所に近い場所にペイント弾を当てた人が勝利。でも、マイルズ隊もやられてばっかりじゃ面白くないでしょ。
 だから同じくペイント弾での反撃はアリで、航空隊の方はマイルズ隊の攻撃を受けたら即失格よ。
 あと、ハンデとして航空隊は装弾数9発のハンドガンで、マイルズ隊は弾奏交換アリのMG42を使用。何か質問は?」

 ウィルマと名乗ったエクスウィッチの説明がどこか遠い場所から響いている気がした。
 ルール説明に続いて参加する隊員の紹介を行う間、振り返るとうちの隊員二人はお互いの頬をつねっていた。
 見習って私もつねってみる。
 痛い。
 どうやら夢ではないようだ。
 改めて前を見据える。
 見れば航空隊のウィッチたちは皆真剣な目で何かを呟いていた。

 ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ。
「美緒、美緒……絶対に勝利して、贈り物を貴女に……むしろ私を貴女に送ってしまうわ! ジュンコなんかには負けないわ」

 ゲルトルート・バルクホルン。
「妹、妹、いもうと……ふふふふふ……全てに……全てを……」

 エーリカ・ハルトマン。
「この機会にこそトゥルーデに私だけを見てもらうっ!」




11 名前:zet4j65z mailto:sage [2009/02/12(木) 11:16:04 ID:R+spmISn]
 エイラ・イルマタル・ユーティライネン。
「サーニャ、サーニャ、サーニャ、サーニャ、サーニャ、サーニャ……」

 ミオ・サカモト。
「はっはっは、中々面白い余興ではないか」

 ペリーヌ・クロステルマン。
「少佐、少佐……坂本少佐ぁ。ミーナ隊長にも、ぱっと出の竹井少佐にも、豆狸にも負けませんわっ」

 フランチェスカ・ルッキーニ。
「シャーリーにバースデイとセットで贈り物だよっ!」

 サーニャ・リトヴャク。
「エイラ、芳佳ちゃん……ハイディにも……でも、お世話になってる皆にかな……」

 シャーロット・イェーガー。
「絶対バースデイプレゼントくれるだろうからなぁ……ルッキーニに即お返しだぞっ」

 ジュンコ・タケイ。
「美緒、あなたをあの目狐オバサンには渡さないわよっ!」

 ハイデマリー・シュナウファー。
「サーニャ、サーニャ、サーニャ、サーニャ、サーニャ、サーニャ……」

 ヘルマ・レンアルツ。
「バルクホルン大尉……トルゥーデお姉さまぁ……この思い、絶対に貫くです」

 リネット・ビショップ。
「芳佳ちゃんは、誰にも渡さないんだから……」

 ヨシカ・ミヤフジ。
「リーネちゃん、シャーリーさん、ハイディさん……おっぱい……あ、戦車隊の人もおっきい……」

 …………ぶちん、と私の中で何かが切れた。
 こんな人たちが我がブリタニア本土を護っていたと思うと情けなくなる。
 叶えてやりたい様な微笑ましい願望もあったがこの際あえて無視させてもらいます。
 バレンタイン大いに結構! エースの皆様には盛り上がって頂きたい。
 精鋭を招待? 高評価、ありがたいお話です。
 ですが……。

「お二人とも、闘志は十分ですか?」

 私の、静かな声。

「マム!イエスマム!!」

 二人の揃った返事を聞くだけで私の意志が伝わった事を理解するが、私は口に出して続ける。

「このバカ騒ぎ、地獄のそこまで付き合ってあげましょう」


12 名前:zet4j65z mailto:sage [2009/02/12(木) 11:18:13 ID:R+spmISn]
「マム!イエスマム!!」

 ペイント弾のぎっしり詰まった銃を持ち上げ、腰のラックに弾奏をホールドする。

「彼女ら、既に勝った気でいますが……そうは問屋がおろしません。わかりますね」
「マム!イエスマム!!!」

 北アフリカで愛用していた砂避けのスカーフを締める。

「王立陸軍の最精鋭とも言える我々の実力を以て、死に物狂いで反撃する陸戦部隊の恐ろしさを地に足の着かない浮かれウィッチ共に教育してさしあげましょう」
「マム!イエスマム!!!!」

 ヘルメットを被り、これまた愛用のゴーグルを固定する。

「良いお返事です。今から我々の任務、目的は世界に名だたるエースの鼻っ柱を叩き割る事となります。よろしいですか?」
「マム!イエスマム!!!!!」

 ジャキン、と小気味良い音を立てて初弾を装填。
 装軌起動システムを動作させ、いざ戦地へ。

「では向かいましょう、我々の戦場へ!」
「マイルズ隊も気合十分ねっ! じゃ、第一回、バレンタイン実行件争奪チキチキバレンタインハンター……レディ……ゴー!!!!」

 そして、彼女たちの硝煙に彩られたバレンタインの火蓋が、切って落とされた。

 

 その年、ウィッチーズ基地のバレンタインデーは平穏そのものだったという。


 ブリタニア19XX ブリタニア陸軍歩兵戦闘装甲歩行脚 Mk.V バレンタイン fin


 以上となります。
 そんなわけで四十八手や誕生日ネタでお忙しい職人の方々のために、誠に勝手ながらバレンタインは中止とさせて頂きました。
 皆様安心してバレンタイン以外のSSに集中してください。


 ……ゴメンナサイ。調子に乗りました。
 ふと野上武志のセーラー服と重戦車のバレンタイン神社のことを思い出して勢いで書き始めちゃいました。
 で、ブリタニア戦車ならC中隊だよな、とマイルズ以下二名。
 名前がわかんないんで悲しい限りなんですがマイルズ少佐と同じコマにしょっちゅう登場しているちょっと無邪気っぽい感じの子と眼鏡の人を小隊員という脳内設定で書きました。
 っていうか、眼鏡の人すごく好きなんです。マジで!
 同人誌の続きで名前その他プロフィール出たりしないかなぁ。
 と、いういわけでクロエ&ハイディの続きに集中しま〜。


…………実は帰りの電車の中でこの模擬戦の内容も妄想してたんだが、
キリがなくなりそうなので書くのは自重しとく。

それと、まだ読んでないけど前スレの埋めも乙です!
あとでゆっくり読ませていただきます〜

13 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 11:25:34 ID:kXj5uEdD]
>>1乙ー


なんか新しいネタないかなーと思ってファンブック読んでたら嫌な文字見ちまってテンションめちゃさがった……

あれはやはり芳佳的には初恋になるの??…何だかなあ

まあ声優さんの言ってることだから公式見解じゃないんだろーけどさ、

あーーーーーーーーー

14 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 12:02:32 ID:hL4Ugn8W]
埋め完了したか…? 乙です。
タイミング逃したが前スレ>>477が大好きだー! と叫ばせてくれ。
エイラってこういう奴だなーと激しくうなずいたりw シャーリーの受け止め方がまたね。もうね。
冒頭のシャーリーと7/8のエイラが空を飛んだときの回想が特に好きだ。すばらしい話が読めてよかったよ。

15 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 12:04:24 ID:Fzo+FeAj]
前スレ埋めてきましたー
いかに自分が普段冗長な文章を書いてるか身に染みた…

>>12
初っ端から大作GJ!いつも思うんですが時代とか資料とかの考証がしっかりしてて凄いなあ
硬派だけど読みやすくて説得力のある文章マジ尊敬します
それにしても501航空団はお気楽すぎる・・・w

16 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 12:14:31 ID:Fzo+FeAj]
メモ帳から感想をピペすらちゃんとできない俺は無能
前スレ>>520
GJ!でも男塾だと桃も塾長ももっさんぽいよね…w
出てきた時は強キャラ臭してた虎丸が転げ落ちるように噛ませになった時は吹いたなーw

17 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 12:37:16 ID:Fzo+FeAj]
何度も申し訳ない…前スレ>>527の6行目頭の「文字通り」要らないです
それと>>1乙も忘れてた…。感想下さった方もありがとうございます…ROMります

18 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 13:09:10 ID:gOymaBkS]
>>13
どういうこと?

19 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 13:20:29 ID:dj4a9Z36]
夜中の時点ではまだ余裕があったのに昼間来たら
午前中で次スレに移っていて驚いた
ここのSSの投下率高過ぎ

20 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 13:54:49 ID:kXj5uEdD]
>>18
いや芳佳のキャラ設定のとこの声優インタビューみたいなところで福圓さんがそんなふうに答えてたってことさ



21 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 15:35:08 ID:7gmoBEIe]
>>1
乙です。
一度は過疎ってるとか言われてましたけど、良作の大量投下でまた加速してきましたね。
自分も頑張って追い付かないとw

前スレ>>510
GJ! ペリーヌかっこよすぎて惚れました!

>>12
GJ! やはり501でバレンタインデーをやるとなると、これぐらいしないと
収拾付きそうにないですねw
しかし、部隊内の色恋沙汰に他の部隊のエース巻き込むってw

22 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 15:35:49 ID:5ncVYKNK]
前すれ>>510です。レスくださった方々、ありがとうございます。
また今回もくどくどしくなってしまいました。もういっそ開き直るべきか。
よくよく見たら48手に「プロポーズ」という項目はないもよう。嘘吐きましたごめんなさい…

前スレ>>520>>527そして当スレ>>12にGJ!
職人たちがいかにしてイチャデレさせようか企んでいるところにVD中止という発想の転換はさすがだと思いますw
豪華すぎるメンツに吹いたw
あらためてGJ!

23 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 17:07:20 ID:VcMLtHU7]
可愛すぎる・・・
ttp://up2.viploader.net/pic2/src/viploaderf149670.jpg

24 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 17:44:11 ID:no6bhxKl]
前スレちょうど501 KB で止まってるナ・・・

25 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 20:09:33 ID:ZckxxT+F]
>>24
もしかして前スレ埋まってない?

26 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 20:10:17 ID:nds7LU5D]
けど書けない

27 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 20:34:31 ID:WNFcJbIO]
>>12 GJ!
しかしバレンタイン中止…(・ω・`)
ちょっとゴミ箱に捨ててくる

28 名前:12 mailto:sage [2009/02/12(木) 20:46:37 ID:eRePtSXb]
レスありがとです。
読み返したら誤字が酷すぎて文を誉められるのがはずかちい……。
確認してるつもりなんだけどなぁ。

そんなわけで、職人の方々のバレンタインwktkして待ってます〜

29 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 21:12:26 ID:69yoqD1v]
普通の流れで投下するの恥ずかしいから埋め狙ってたのに…
何故か501kbでもう書き込めませんね…

30 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 21:43:04 ID:ZckxxT+F]
スレって500KBで制限かかるんじゃないの?



31 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 21:51:56 ID:9gBdp1Po]
そのはずだよ。自分は501kbで埋まる度にニヤニヤしてる。

それはそうと>>12GJ!
マイルズ少佐メインでしかもオールキャラなんて嬉しすぎるw

32 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 22:28:54 ID:UuveCinN]
埋めなんてもったいない
こっちで存分に書いてくれ

33 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 22:29:12 ID:R7WwMEEL]
>>23
エイラ視点ですね

34 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 22:40:11 ID:ZckxxT+F]
保管庫さんいつも更新おつかれさまです

35 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 23:00:42 ID:pKiltBoq]
>>23 >>33
ヘタレなエイラさんはここまでのシチュになってもサーニャさんに触れることが出来無そうw。
正座したまま一夜過ごすで終わりそうだ。

36 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/12(木) 23:54:26 ID:ZckxxT+F]
シャーリーって「〜なんだぜ!」って言うっけ
今秘め声が貸し出し中で確認できないのでお知恵を拝借したい

37 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 00:06:52 ID:W+MhiE7B]
イェーガー大尉、竹井少尉、誕生日おめでとうございます。
で、SS一番乗りはどなたが来るのかしらwktk。

>>36
言わなかった気がする。〜だろ、とか〜さ、っていうのがデフォじゃないかな。

38 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 00:08:41 ID:nQZS1/jO]
>>37
ありがd。男口調じゃなくて姉御口調だね
ってゲェー!誕生日じゃん!どうしよ・・・

39 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 00:10:36 ID:wtrDRAVr]
そっか今日シャーリーと竹井さんの誕生日か
そしておそらくシャーリー×竹井さんの誕生日になる日か

40 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 00:15:52 ID:PfRYxVbe]
シャーリーと竹井さんは流石に無理なんじゃないかと
とか思うけど此処の人達ならやってくれる。そんな希がする。



41 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 00:19:47 ID:ry+ECHnI]
トゥルーデ「リベリアン、誕生日おめでと。一応これはプレゼントだ。」

42 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 00:21:56 ID:WcvWAJY7]
保管庫60000突破おめでとう!
切り番狙ってたが風呂出たらもう超えてたorz

43 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 00:26:25 ID:PfRYxVbe]
>>41
ゲルトがするプレゼントってどんなのですかね?

44 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 00:33:06 ID:7ApQk3JN]
ヴルストとかね

45 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 00:51:23 ID:dbSsETQ1]
シャーリー誕生日おめでとう!
ってことで誕生日一発目行きます!!

46 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 00:54:07 ID:dbSsETQ1]
最近501基地のキッチンは慌ただしい
理由は言わずもがな、日に日に近付くバレンタインに向けて皆がチョコレートを作っているからである
私は機械に関しては事それなりに長けているつもりだが
料理、特にお菓子作りにおいてはさっぱりなので貰う側だ

少しは女らしく、おいしいチョコレートを作って皆にふるまってやったり
ルッキーニにしこたま愛を込めた特別甘いやつをこしらえてやりたいとも思うのだが
そもそもあたしはそんなキャラでもないし、いまさら芳佳やリーネに習うのもこっぱずかしいから
結局皆が頑張ってチョコレートを作る様を、したり顔をしながらのんきに眺め、時に茶々を入れて楽しむのである
我ながらひねくれているとは思うがこれが中々楽しい
エーリカとルッキーニがペリーヌのチョコの中に何かをぶち込んだ数秒後にチョコが爆発して、電撃が基地内を飛び交ったり
エイラの口元に付いたチョコをサーニャが舐めてエイラがぶっ倒れたりとなにせいろいろなことがあって、退屈しないのだ
片付けが始まる頃にはいつもやんちゃ組、特に芳佳とルッキーニの体や口はチョコまみれになっていた

そんなこんなでいよいよバレンタインデー前日、昼とも夕方とも言いにくい時間帯
特にドタバタもないままチョコの仕上げも終わったらしく、皆いつもより早く片付けを始めたので、
私は軽く片付けの手伝いをしてから自室へ戻ろうと廊下を歩いていた

すると廊下の向こうからとことこと走ってくる人が見える
両手を上げて、かわいらしい笑顔に揺れるツインテール
その姿は紛い無く愛すべきルッキーニだ

47 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 00:56:09 ID:dbSsETQ1]
おそらくあのまま私に抱き着いてくるつもりなのだろうと、ふっと受け止める姿勢を取る
思った通り彼女は私の胸に飛び込んできた
愛情たっぷりに抱きしめてやろうとくっと力を込めようとした、その時
彼女の顔はくっと持ち上がり、私の顔に急接近、そのまま私の唇を奪う
更に次の瞬間、私の唇を彼女の舌がこじ開け、そこから何かどろりとしたものが流れ込んできたのだ
「んむっ!んんん・・・」

流石の私もこれには驚かされたが、流れ込んできたものはすぐにわかった
口に広がる香ばしいカカオの香と甘いミルクの味・・チョコレートだ

実際には数秒だがずっと長く感じられた甘い甘い口づけが終わり、彼女の顔が離れる
開口一番、弾けるような笑顔で彼女は言った

「はい!!!バレンタインと誕生日だよシャーリー!!ちょっとフライング気味だけど!」

ああ・・・バレンタインに気を取られてすっかり忘れてたよ・・・
今日は私の誕生日だったのだ、バレンタインの前日の誕生日にチョコ入りのキスとはまあ
流石ロマーニャ娘というべくか・・・凝ったことを考えるな、こんなに小さくてかわいい子供なのに
「今からシャーリーの誕生日会の準備が始まるからしばらく食堂は入っちゃ駄目だかんね!!今夜はパーティーだよ!」

なるほど、早めにチョコ作りを切り上げたのもそういうわけか・・・ホントにあいつらはいいやつらだな全く・・

「本っ当にありがとうなルッキーニ、うれしいよホントに」

目尻に貯まった涙がばれないように彼女を抱きしめる、チョコが服に付いてしまったが気にしない

48 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 00:59:06 ID:dbSsETQ1]
「えへへ・・・シャーリーが喜んでくれたならよかったあ、芳佳といっぱいいーっぱい練習したんだから」
「・・・え?まじ?」
「だってシャーリーとするときうまくいかなかったら恥ずかしいもん・・・恥ずかしかったけどね、へへ」
「それじゃあ、片付けの時に芳佳とルッキーニの口元が特に汚れてたのって・・・」
「そっ!!そゆこと〜!」

それを聞いた私はすぐにルッキーニを抱き上げ自分の部屋へと連れ込み、ベッドの上に乗せた

「ひゃ、ひゃあ!どしたのシャーリー?」

まさかあの甘美な口づけを、芳佳があたしの何倍もの回数味わっていただなんて!!
あんまりあたしは嫉妬とかする質じゃあないつもりだが、ルッキーニのこととなると話は別だ!!許せん!
さて、芳佳にどうやって仕返ししてやろうか・・・と私は思慮を巡らせる・・・
ええい思いつかん!!もういい!!今は自分を愛してくれている彼女にこっちも全力で愛するだけだ!!
ベッドの上にちょこんと乗っていたルッキーニを押し倒し、問う

「誕生日会まではまだ時間、あるんだよな?ルッキーニ」
「あ、あるけど、わたしもみんなと一緒に準備しなきゃ・・・それにまだ、心の準備も・・・」
「ルッキーニ、大好きだ。愛してる」

私はそう言って彼女の唇を唇で塞ぎ、貪るようにキスをし、情事に耽った

これで、芳佳の5倍はルッキーニとキスしたかな?


おわり

49 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 01:02:40 ID:dbSsETQ1]
oh...改行ミスりまくり!誕生日一発目を狙った結果がこれだよ!

とりあえずシャッキーニ分増えろー増えろーもっと増えろー増えてくださいお願いします
誕生日おめでとうシャーリー!!竹井さん!!
他の作者様の誕生日SSを心待ちにしておきます!!

50 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 01:05:55 ID:PfRYxVbe]
>>49
素晴らしい。素晴らしいですよ。素晴らしいです!
チョコレートの口移しとかもうね…。gjとしか言いようがない!

さて今日はどれくらい投下されるのかwktkが止まらない…。



51 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 01:06:31 ID:7c5oNoqm]
ロマーニャ娘おそろしあ

52 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 01:21:55 ID:dbSsETQ1]
>>48の3行目の「恥ずかしいもん」を「いやだもん」に訂正していただけるとありがたいです
他にもいろいろ訂正したいけどとにかくここを

ああ・・・昨夜23時半から急いで書き始めて本当に推敲その他一切無しに投下したもんだから粗がいろんなところに・・・恥ずかしい
では今度こそさよなら、皆様のSS、妄想、心待ちにしております

53 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 01:54:08 ID:pSQgZ+6C]
誕生日のお祝いに身体を要求されるお姉ちゃんマダ?
誕生日のお祝いに身体を要求されるもっちゃんマダ?

54 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 02:51:33 ID:UvphfINY]
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
新スレおめでとうございます。相変わらず流れが速い!
職人の皆様超絶GJ!
そして遅くなりましたがOsqVefuY様とzet4j65z様、30機撃墜達成おめでとうございます!
今後も更なるご活躍を期待しております〜。

そして本日、シャーリーと竹井醇子大尉誕生日おめ!
そう言えば今日は「13日の金曜日」ですね。何か起きたりするんでしょうか?w


さて、そんなバースデーな流れを全く読まずに四十八手投下します。
お題通りか、かな〜り微妙ですが、美緒×ミーナで。

55 名前:第30手「睦言・近距離で」 mailto:sage [2009/02/13(金) 02:54:40 ID:UvphfINY]
思い出す、あの日の出来事。パ・ド・カレーからの撤退と損失。ダイナモ作戦。
ミーナの大切な人を永遠に失い、彼女に唯一残された一着のドレス。
真紅に染まるシルクは、かのひとの血か涙か、ミーナ自身の“血の涙”か。

月も隠れ、珍しく雨風が強いその日の晩。
美緒はミーナの部屋に居た。平静を装いつつも、内心気が気ではなかった。
ドレスを抱きしめ、涙するミーナ。傍らの机上に置かれた、一挺の拳銃。
以前、銃口を向けられた記憶が甦る。
但し、今回の危機は、美緒自身にではなく、ミーナその人に向けて感じ取っていた。
軍人であり武人である美緒ならではの、勘か、それとも。
思い切って近付く。ミーナが拳銃に手を伸ばす前に、ドレス毎、腕を組み伏せる格好で後ろから抱きしめる。
何か言いたげなミーナを制し、美緒は名を呼んだ。
「ミーナ」
「……」
「お前の大切な人……その身が叶わずとも、無事ミーナを始め多くの人員が撤退出来た。お前もこうして隊で指揮を執っている。
どれほど泉下で喜ばれていることか」
「あの作戦のせいで、私は。……私はっ!」
「ミーナ」
声が震えている。四年と言う月日ですら、ミーナの傷を癒やす事は出来なかった。
深々と刺さり、常に疼く棘の如く。
だが棘はいつか抜かなければならない。そうすれば出血もするだろう。もしかしたら止まらないかも知れない。
それでも、決断は必要だ。今がまさにその時。
美緒は、ふうとひとつゆっくり息を吐くと、ミーナに囁いた。
「お前には、大切な仲間、家族が居る。そしてこれからも、必要だ」
「……」
「“崇高な犠牲”となってネウロイの前に散るか、生きながらえて祖国奪還の鬼神と化した己を見つけるか」
ミーナは黙ったまま、美緒の言葉を聞いている。
「私には、どちらも出来ない。お前の思い人や、ミーナの様には」
抱きしめる力を緩め、ミーナの顔を目の前に持ってくる。
すすり泣く声は途切れたが、彼女の瞳は潤み、今にも溢れそう。
「だから、私はお前の求めるものになろう」
「美緒、それって……」
「起きた事をただ悔やむだけでは、心は癒されず救われない。時にはあえて忘れ前を向き未来を眺める事も、必要だ」
「でも、貴方は」
「ミーナの為になら、私は……」
ドレスが床に落ちる。腕が美緒の肩にかかり、彼女を“絡め取る”。
美緒は何も言えなかった。ミーナはただひたすらに美緒の名を呼び、彼女を求めた。
雷鳴が窓を通して二人を一瞬照らす。稲妻の光は立て続けに二度落ち、ふたりの姿をストロボみたいに浮かび立たせ、消す。
今夜は荒れそうだ。何もかも。
涙を流しながら求めてくるミーナを優しく抱きしめ、撫でながら、美緒はベッドに沈む。
ミーナと共に。
口吻も酷く乱暴で、身体の扱いも荒い。でも良かった。それでミーナの心に、一筋の光でも見えたのなら。
止まぬ雨無し、明けぬ夜は無し、とは扶桑の言い伝え。
願わくば、ミーナにも。
心の安寧のもととなれば、良いのだが。美緒はそう願い、ミーナを抱きしめた。

end

----

以上です。
やや重い雰囲気ですが、たまには良いかな〜と。
個人的に好みの某ドラマ+某映画の展開がちょい混ざってますがキニシナイ!

ではまた〜。

56 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 03:56:27 ID:UvphfINY]
間を置かずにmxTTnzhmでございます。
竹井大尉(コミック版2巻設定)誕生日記念にひとつどうぞ。
四十八手でいきます。

57 名前:第18手「熱いまなざし・お互いに見つめあう」 01/02 mailto:sage [2009/02/13(金) 03:58:11 ID:UvphfINY]
珍しく501に来客だ。出迎えてみて美緒は驚いた。なんと、同僚の竹井醇子大尉だった。確か504に配属された筈だが……。
「久し振り、美緒♪ 元気してた?」
「ああ、見ての通りだ。醇子は?」
「私も見ての通り」
久々の再会に、醇子はうきうきモードだ。早速ミーティングルームに誘われ、話に花が咲く。
「相変わらずだな」
「美緒も相変わらずね」
ふっと笑みをこぼす二人。
横でにこにこと二人のやり取りを聞いているミーナ。しかし何故か笑みがおかしく、トゥルーデとエーリカは微かな異変に気付いた。
「ミーナ、どうかしたか?」
「いいえぇ。坂本少佐も嬉しいでしょうね。祖国の同僚が訪ねて来る事は」
「そりゃそうだろうな。……おい宮藤」
トゥルーデは美緒の脇で同じく談笑する芳佳に声を掛けた。
「はい、何でしょう?」
「少佐と竹井大尉は何を話しておられるのだ? お前達の会話が扶桑語だから、私達にはいまいち分からん」
「ああ、ええっとですねえ。……何から話して良いのやら」
「何でも良いよん」
少し興味有り、と言った感じのエーリカ。
「訓練の事とか、最近軍の情報誌に同僚の方の武勲が載ったとか、昔の思い出話とか」
「なるほど」
「私も話聞きたいけど、何やら二人で盛り上がってるわね」
はっはっはと美緒の豪快な笑いも聞こえる。一方の醇子も頬に手をやり、くすくす笑っている。
「宮藤さんも元気そうで何よりだわ」
「あっ、ありがとうございます」
「ここでは私がみっちり鍛えてるからな」
「あんまりしごいちゃダメよ?」
「大丈夫だ。愛情さえ有れば大丈夫だ」
またも豪快に笑う美緒。苦笑いする醇子と芳佳。内心ひとり気が気でないミーナ。
「ところでどうだ、504の方は」
「まあまあってとこね。日々の戦いは厳しいけど、幸いな事に隊の士気も待遇も悪くはないわね」
「そうか、なら良かった、と言って良いのか? ところで……どうして501(ここ)に? ここまで来るのに随分と大変だったろう」
「今回たまたまロンドンの海軍連絡所に用事が有ったの。あと作戦行動中の軍艦がブリタニア行きでね、ちょっと乗せて貰ったのよ」
「成る程な。まさか戦場のど真ん中を飛んで来れる筈もないしなあ」
「無茶いわないでよ美緒」
笑い合うふたり。
「あの……お茶をお入れしました。グリーンティーです。お砂糖は入れないんですよね?」
リーネが慣れない手つきでお茶を煎れてきた。
「おお、すまんなリーネ。砂糖は要らんぞ」
「あら、有り難うね」
「リーネちゃん、言ってくれれば私がやったのに」
「芳佳ちゃん、話に夢中で悪いかと思ったから」
「ごめんね」
「宮藤さんもすっかり隊に溶け込んでるわね。良かったわ」
テーブルに置かれた湯飲みとカップ。ふと、同じ湯飲みに手が伸び、触れ合った。
肌が触れ合った二人……美緒と醇子は、はたと目が合った。
じっとお互いを見つめあう。無言で数秒、ときが流れる。
ミーナには、それが熱いまなざしに見えて、今にもどうにかしたい気持ちを抑えるので精一杯。
「それ」「これ」
二人の言葉が重なった。
「やだ、これ扶桑海軍の湯飲みじゃない。何でここにあるのよ」
醇子が苦笑いして言葉を続ける。
「美緒、これ使い続けてるの?」
「悪いか?」
「私もついつい手が伸びちゃったじゃない」
「と言う事は、醇子も使ってるって事だよな?」
「そうよ。使い易いし、馴染んでるからね」
「だよな」
またも二人揃って笑う。
トゥルーデとエーリカはミーナに書類が届いたのを良いことに、肩をがっしり掴んでミーティングルームから移動させた。
これ以上見ていたらミーナが暴発しかねない。それは即ち国際問題となる。

58 名前:第18手「熱いまなざし・お互いに見つめあう」 02/02 mailto:sage [2009/02/13(金) 04:00:44 ID:UvphfINY]
帰り際、美緒は醇子に包みを渡した。
「これは?」
「私の湯飲みだ。これは予備だからまだ新品だ。帰りの道中で使うと良い。ちょっとした誕生日祝いだ」
「ありがとう、美緒。私の誕生日覚えててくれたんだ」
「当たり前だ。大切な同僚だからな。ただ、ブリタニアの土産と言っても私には分からんが」
「これで十分よ」
迎えの車が到着した。醇子は鞄を持って後部座席に乗り込むと、手を振った。
「また会えるのを楽しみにしてるわ、美緒」
「私もだ、醇子。……頑張れよ」
「貴方も。美緒。じゃあね」
車がゆっくりと走り出し、一路ロンドンへと向かった。
美緒と芳佳は静かに見送った。
「相変わらずだな、醇子は」
「竹井大尉、お元気そうでしたね。きっと大丈夫ですよ」
「ああ。そうに違いない」
自分の事の様に大きく頷く美緒。

基地に帰るなり、ミーナが物凄い剣幕で駆け寄って来た。
芳佳は空気を察してリーネの元へと走って逃げた。
美緒は何の事かさっぱり分からぬまま、ミーナに腕を掴まれ、部屋に引きずり込まれ、ばたんとドアが閉められた。
美緒がミーナの部屋から出てきたのは、翌日のこと……。

end

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以上です。
竹井大尉誕生日記念にひとつ。これは美緒×醇子で……いいのかなあ?
コミック版(2巻)とアニメ版の設定が混ざってますが、
その辺は適当にお願いします……。

ではまた〜。

59 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 04:32:10 ID:LfzTJ2Ua]
もっさん好きとしてはGJとしか言いようがない、どうも有り難う。

竹井さんはもっと色んなSSに登場すべきだと思うんだ。

60 名前:6Qn3fxtl mailto:sage [2009/02/13(金) 04:47:59 ID:t16lXAhG]
シャーリーの誕生日間違えてたぁ!!
なぜか19日だと思い込んでて、そのためのネタも温めてたのに……。
仕方がないので急いで仕上げました。
チェックはしたつもりですけど、もし変なところがあったら教えてください。
シャーリー×ルッキーニで、3レス使います。




61 名前:大人になっても 1/3 mailto:sage [2009/02/13(金) 04:48:45 ID:t16lXAhG]
「シャーリーさん、お誕生日おめでとうございます」
「おめでとうございます、シャーリーさん」
ラウンジに呼ばれた私は、みんなの笑顔とクラッカーの嵐に迎えられた。
いつ準備したのか知らないけど、ラウンジは紙テープや風船で
綺麗に飾りつけられている。
リベリオン人として、こういうパーティー会場を見ると思わず興奮してしまう。
原隊にいたときは仲間の誕生日に祝砲がわりの大砲ぶっ放したっけ。
打った奴らと一緒に営倉送りになったのも今じゃいい思い出だ。
みんなに促されてテーブルに付くと、目の前には大きなケーキ。
リーネのお手製かな。こいつ、戦うのはダメだけど、
こういうことは本当に上手だからうらやましい。
私なんかはストライカーいじるしか能がないからね。
リーネが慣れた手付きでケーキを切りわけている最中に部屋を
ちょっと見まわして、私は嫌な違和感と胸騒ぎを感じた。
あいつがいない。
パーティーをやってて、ケーキがあって、みんなが集まるところに
あいつがいないなんて、今まで1度もありえなかったことだ。
今朝は元気そうだったのに、なんで?
「おめでとうな、リベリオン」
そんなことを考えていた私に声を掛けてきたのは、
あのお堅いカールスラント軍人だった。
「ありがとう。堅物でもこういう会には出るんだね」
「隊員の誕生日を祝うのも、副官の努めだ」
「義務で祝われてもあんまり嬉しくないんだけど」
あいかわらず堅いなぁ、堅物は。
堅いうえに口下手なんだから救いようがないよ。
「ところで、ルッキーニ見なかった?」
「ルッキーニか。そういえば見てないな」
カールスラント人でもルッキーニがいないのは不思議に思うんだね。
やっぱり、この場にルッキーニがいないってのはそのぐらい異常なことなんだ。
「ルッキーニちゃんなら部屋にいますよ」
宮藤が割りこんできて、私にケーキを渡した。
「部屋に?」
「声は掛けたんですけど、出たくないって。具合でも悪いのかな」
「そうか……」
元気が取りえみたいなルッキーニにしちゃ珍しいな。
朝は元気そうだったから余計に不安だ。
「みんな、悪い。ちょっと様子見てくるよ。
  リーネ、ルッキーニの分のケーキ……」
「はい、バルクホルンさん。ちゃんと用意してありますよ」
あらためて私がいうまでもなく、リーネはちゃんとルッキーニの分を
用意しておいてくれたみたいだ。本当、気がきく奴だな。
「ありがとう。悪いけどちょっと行ってくるよ」
「あ、待って」
ルッキーニの分だけ持って席を立った私に、リーネが私の分のお皿を渡した。
あんまり怒らないであげてくださいね、ってどういう意味なんだ? リーネ。


62 名前:大人になっても 2/3 mailto:sage [2009/02/13(金) 04:49:13 ID:t16lXAhG]
「ルッキーニ、入るぞ」
ノックをして部屋に入ってみたけど、中には誰もいなかった。
具合が悪いというから部屋にいると思ったんだけどな。
ひょっとしたら、悪いのは身体の具合じゃないのかもしれない。
それだったら、ルッキーニがいるのはあそこしかない――。

広い格納庫のすみ、私のストライカーの前に見慣れた小さな子猫がいた。
「やっぱりここだったんだ」
「シャーリー……」
なぜだかちっちゃくなっているルッキーニのとなりに腰を下ろす。
「どうしたんだ? なにか嫌なことでもあったのか」
「なんでもない……」
私の顔も見ずにルッキーニが答える。
「そっか。じゃ、ラウンジ行こうよ。みんなが待ってる」
「やだ。行かない」
「どうして」
「やだやだ! 絶対行かないんだから!」
「ルッキーニ、どうしたんだよ」
「やだ! 絶対行かない!
  シャーリーの誕生パーティーなんて絶対行かない!!」
そういってルッキーニは大声で泣きだしてしまった。


「ルッキーニ、どうしたんだい。何があった?」
ぐずるルッキーニを抱き、優しく頭を撫でてやる。
「……シャーリーの誕生パーティーなんてやだ。
  シャーリーの誕生日なんてやだ」
「どうして?」
「だって、シャーリーが大人になっちゃうもん」
「大人に?」
ルッキーニは小さくうなずく。
「だって、誕生日が来たら、シャーリー、大人になっちゃうもん。
  大人になったら私みたいな子供なんかと遊んでくれなくなるもん……」
ルッキーニの目にはまた涙がたまってくる。
「嫌なの! シャーリーがどっか行っちゃうのなんて絶対嫌なの!
  ずっとずっとシャーリーと一緒にいたいの!
  ずっとずっと遊んでもらいたいの!」
そういってルッキーニはまた泣きだしてしまう。
あぁ。いくらロマーニャの天才ウィッチだって、いくら少尉だって、
この子はまだ12歳の女の子でしかないんだ――。


63 名前:大人になっても 3/3 mailto:sage [2009/02/13(金) 04:49:48 ID:t16lXAhG]
「バカだな、ルッキーニ。誰が、私がどっか行っちゃうなんて行ったんだ?」
「だって……」
「私はどこにも行かないよ。大人になっても、おばあちゃんになっても、
  ずっとルッキーニのそばにいる。ずっとルッキーニと一緒に遊ぶ」
「シャーリー……」
「この戦いが終わって、ウィッチじゃなくなって軍隊をやめても、
  私はずっとルッキーニのそばにいる。ずっと、ずっと」
気がつけば、私の目にも涙がたまりはじめていた。
大きな体して情けないなぁ、私は。
「ルッキーニこそ、私が大人になっても、おばあちゃんになっても、
  一緒にいてくれるか?」
「いる! ずっとずっと一緒にいる! 大人になっても、おばあちゃんになっても、
  ずっとずっとシャーリーと一緒にいる! 大好きなシャーリーと一緒にいる!」
ルッキーニは私に抱きついて顔をぺろぺろとなめてくる。
今泣いたカラスがもう笑うってのはこういうことを言うのかな。
あぁ、もう。そんなに舐められたらもうみんなのところに行けないじゃないか。

まったく、本当にこいつは。
いつでもすごくお子様で。みんなを振り回して。自分勝手なことばかりして。
そして、自分で勝手に悩んで……。
でも、そんな君が、すごく可愛らしくて愛おしいんだよ。
そうだろ、私の大事なガッティーノ ――。

Fin.

64 名前:6Qn3fxtl mailto:sage [2009/02/13(金) 04:51:26 ID:t16lXAhG]
以上です。

>>49
GJ! これはいい ルッキーニですね!
芳佳とルッキーニの練習風景もちょっと見てみたいかもw

>>55
GJ!  落ち着いた雰囲気のいい作品です。

>>59
竹井さんと美緒との間に流れる空気がとても丁寧に表現された良作だと思います。
でも、ミーナはあいかわらず暴走要員なんですねw

65 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 07:25:28 ID:Q9VNNm1i]
エイラがシャーリーから13日の金曜日のことを聞いてルッキーニとかやんちゃ組に
さも恐く語ってあげたらたまたまサーニャが聞いてて泣き出してオロオロするという電波がやってきた

66 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 07:53:51 ID:W+MhiE7B]
お前ら飛ばしすぎwwまあ昼間は何もないだろうけど。
>>49 >>55 >>58 >>64GJ!!どいつもこいつもニヤニヤさせやがって……!!

>>65
残念なことに44年2月13日は日曜、45年同日は火曜だな。こっちの話だからわからんけど。
44年で13日が金曜なのは10月だけかな。

67 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 08:11:54 ID:H0h73nEF]
投下が凄まじくて一本一本にレスしてる暇ないけど、職人さんみんな乙です

68 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 09:29:52 ID:0o+AI27T]
シャーリー×醇子と聞いて二人の共通点を考えてみた。
・いつも笑顔
・物事に大雑把
・放任主義(フランカ、芳佳)
・おっぱ

あれ?意外といけるんじゃね?

69 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 11:13:28 ID:onrm4QeH]
スピード狂のシャーリーはヘルマのジェットストライカーに興味津々のはず
ヘルマと仲良くなって遊んでくれなくなったシャーリーにむくれるルッキまだー?

70 名前:zet4j65z mailto:sage [2009/02/13(金) 11:28:10 ID:wkkIUQ4j]
>>27
捨てちゃイヤー><

>>54
ありがとうございます〜。やっと30の勲章げとできました。
レアな醇子さんネタ乙です^^GJ

シャーリーの誕生日ネタもみなさんGJです。
ついでに>>69って「初めてジェット機を見た時どうしたかって?撃ち落したよ」って事ですね。わかります。
つまるところやっぱりシャーリーはロ(ry


っていうか、今日辺り一ヶ月前から消息を絶っているじっちゃんがひょっこりと帰ってきそうな気がしてるんだが……ムリカナ?



71 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 12:35:26 ID:CXDQz5lS]
『醇子』って字と海軍士官服の色とおっぱな感じから乳牛(ホルスタイン)を思い出す。
シャーリーはジャージー(ジャージも着てたし)

72 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 16:46:18 ID:9trZ/DUT]
みなさまGJです。とても一本一本に感想つけれない。
>>54見て初めて30機撃墜知りました。どうもありがとうございます。
あんなんが30本目とかいいのでしょうか?
つかたしか、保管庫立ったときはじっちゃんと同じ本数だったはずですが、
いつの間にかすごいことになってるという。まあ自分的には、30本でも出来すぎなくらいなんですが。
じっちゃん、近頃お見かけしませんが、今日はきっと現れてくれるはず!信じてる!

そんなわけでOsqVefuYです。流れにのって自分もSS投下します。
シャッキーニです。たまにはガチめに書きました。
タイトルは「死んじゃう病」です。
長いです。すいません。7レスの予定。

73 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 16:48:11 ID:9trZ/DUT]
 ルッキーニに避けられてる気がする。
 それはここ数日のことで、ホントのところはどうなのかはわかんない。
 ただあたしがそんな気がするってだけで、それは単なる思い違いなのかもしれない。
 まあ別にどうでもいいさ。
 それであたしがどうなるってわけでもないし……たぶん。

 ルッキーニがなにをやっているのかは知らない。
 なにやらこそこそとあわただしいってことだけはわかる。
 何度と訊いてみたって、その度に「ないしょ」とはぐらかされてしまう。
 秘密のひとつやふたつくらいあって当然だよなと、あたしは過ぎた追及はしなかった。
 あたしだって、そういうのに心当たりがないってわけじゃないし。
 でも――せめてあたしにくらい、教えてくれたっていいのにさ。

 ルッキーニとは(他のみんなともだけど)なにかを約束しあった仲ってわけじゃない。
 別にそういう特別な間柄ってわけでもない。
 ただいっしょにいるのがとても自然なことで、気を使ったりなんかする必要なんてなくて、
 それはそう、あたりまえなことだったんだ。
 とっても“あたりまえ”。それ以上の言葉はいらない。
 ルッキーニはあたしにくっついては離れない、
 ついてくるなと言ったって(そんなこと言ったことないけど)ついてくる、そんな子だ。
 なつかれてるとでも言った方がいいか。いつの間にかすっかりそうなっていた。
 いっしょになってバカやって、いっしょになって怒られて、
 緊張感の足りないやつらだと嫌味を言われようと、そんなことはぜんぜん気にならない。
 いや本当は、少しは気にした方がいいんだけど。
 傍目に見ればアンバランスなふたりなんだろうな。あたしとルッキーニって。
 けどあたしはルッキーニのことを、まるで相棒のように感じていた。
 それはあたしにとって、とても不思議なことだ。
 それまでは誰かをこんなに近いなんてこと、思ったことなかったから。

 ルッキーニはどうだろう?
 ふと、そんな考えが頭をよぎった。
 あたしのこと、どんなふうに思ってるんだろ?
 おんなじように思ってくれてるのなら、それは素直に嬉しい。とっても嬉しい。
 そうだったらいいな。訊いたことないからわかんないや。
 でも、あたしがそう思ってるからって、ルッキーニだってそうだとは限らないよな。
 実際は、あたしが一方的に錯覚してるだけかもしれない――
 あー、やめやめ。
 以上、ルッキーニの話はおしまい。

74 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 16:51:32 ID:9trZ/DUT]
 スピードに恋をした。あたしの初恋だった。
 今でも恋している。現在進行形。その気持ちは一向に色褪せない。むしろ強くなる一方。
 それの前ではもう他のものなんて見えない。視界に入らない。
 そんなわけで、今日も今日とてストライカーのセッティングだ。
 一度いじくりはじめれば空腹や睡魔さえ忘れて没頭できる。
 際限ない、試行錯誤の繰り返し。
 あたしのなかの、あたしであるゆえんと言えるもの。
 ――そのはずなのに。
 一向に集中できない。今日のあたしはなんだかヘンだ。
 どうしてルッキーニの顔が、頭のなかをちらつくんだろう?

 ルッキーニはどうしようもない問題児で、ここに配属されたのもそれが原因らしい。
 なんでもお母さんのことを恋しがって、しょっちゅう脱走を繰り返してたとか。
 ホームシックってやつ。まだちびっこだったんだから(今でもそうだけど)、当然だよな。
 つまり、ここに来たのは厄介ばらいみたいなもんだったとか。

 あたしだって似たようなもんだ。理由は違うけど、やっぱり厄介ばらいみたいなもんだ。
 別にそのことを恨むとか、そんな気持ちはぜんぜんないけど。
 やることだけやって、それ以上は手が伸びない。それがあたしの性分だ。
 その手はいつも、やりたいことの方に伸びる。
 ウィッチに志願した理由だって、みんなに比べたらヨコシマなもんだし、
 規律とか規則とか、そんなのはがらじゃない。
 お国のためなんて言葉はなんだそりゃって言いたくなるし、
 まかりなりにも軍人であるはずの自分に、どこか斜めに構えてしまうところがあたしにはある。
 使命とかいうのとも縁遠い(もちろんそんな気持ちがぜんぜんないってわけではないけど)。
 それはあの堅物が言うように、あたしが個人主義者のリベリアンだからなのかもしれない。
 まあ、あの絵に描いたようなカールスラント軍人に言われた義理じゃないけど。
 国にいたときはそんなこと考えたこともなかったけど、
 ここに来てからは、それにたびたび頭をめぐらせることがある。

 だからなのか、あたしは思うんだ。
 あたしたちがこうしてつるんでいるのも、それは似た者同士だからなのかも。
 引きよせあってしまって、そうして出会ってしまった。
 それをあたしは、とても幸運なことだと思う。

 出会った日のことは今でもしっかり覚えている。
 あいつったら、ストライカー履いてロマーニャまで帰ろうとするんだからな。
 たまたまあたしがハンガーにいてそれを止めなかったら、いったいどんなことになってたやら。
 それがいつからだろう?
 相変わらず問題行動は多いし、訓練はサボるし、問題児であることは変わらないんだけど、
 ルッキーニがもうお母さんのところに帰ろうとしなくなったのは。
 寂しい顔をすることがなくなったのは。
 基地中に秘密の隠れ家を作るようになったのは。

 きっと新しい居場所を見つけられたんだな。この基地のなかに。
 この基地がルッキーニにとっての居場所になればいい。そう思う。
 そのためなら、あたしはなんだって提供してあげる。
 まあ、配属されたのはあたしの方が後なんだけど。
 まだ来たての、右も左もわからないあたしを案内してくれたんだよな、あいつ。
 この基地ではあたしの方が先輩なんだからね、とか言っちゃって。
 あの時のあいつ、可愛かったなぁ。
 ……なに考えてんだろ、あたし。
 以上、今度こそルッキーニの話はおしまい。

75 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 16:56:34 ID:9trZ/DUT]
 孤高とかそんなの気取ってるわけじゃないけど、ひとりの時間は嫌いじゃない。
 作業にも集中できるしね。
 それにしても、今日はやけに静かだな。
 あー、あたししかいないんだから当然か。
「あいつ、今なにやってんだろ?」
 ぽつり、そんな言葉が口から漏れる。
「あー、やめだ、やめ」
 今日のあたしはやっぱりおかしい。
 お腹がすいた。食堂に行こう。きっと晩ごはんの残りでもあるだろう。

 もうとうに夕食を済ませたので、食堂には誰もいない。
 けれど、厨房にだけ電気がついている。
 誰かいるんだろうか? あたしは目をやった。
 そこにいたのは、こないだ入ってきたばかりの女の子だった。リーネだ。
 なにか作っているらしい。なにやら甘い匂いがしている。
 リーネ、そう名前を呼ぼうとして――

「ねー、リーネ」

 そう、声がした。それはあたしの声じゃない。
 それを聞いて、あたしはつい、身を隠してしまった。
 誰だかわかった。聞き違えるはずがない。それはルッキーニだった。

 なにやらふたりはお菓子を作っているらしい。
 まあルッキーニといえば、足を引っぱってると言った方が正しいんだけど。
 分量は適当だし、ボウルはひっくり返すし、なんか爆発させてるし、
 これじゃ手伝ってんだか、邪魔してるんだかわからない。
 けどリーネは怒ったりしない。
 あたしはまだあんまよく知らないけど、きっととってもいい子なんだと思う。
 いかにも女の子って感じで、軍人なんて似合わない……
 って、これじゃ褒めてることにはならないな。
 まあとにかく、いい子なんだと思う。

 あたしはその場にじっとひそめて、動けなかった。
 もう呼びかけようという気は失せていた。
 ちょこんと顔だけ出して、その様子をうかがうだけ。
 なにやってんだ、あたしは。あたしはこんな女だったか?
 あたしは何度も何度も、自分に向けて言い聞かせる。
 でもやっぱり、声をかけることはできなかった。
 だって料理なんてろくすっぽできないし、なにか役に立てるってわけじゃない。
 ハンガーからそのまま来たもんだから、今のあたしはオイルの臭いだってするし。
 これじゃ場違いだよなぁ。そんなことを思う。
 けど、それでも、ちょっと通りかかった素振りで話しかけてやりゃいいじゃないか。
 なに作ってんの? 味見ならまかせて。そう言ってやりゃあいい。
 普段のあたしならたぶんそうしているはずだ。
 なのに……
 今はそれができない。
 今日のあたしはやっぱりどうかしている。

 なんでなにもできないんだろう?
 どうしてこんなに遠いんだろう?
 物陰に隠れたまま、もう動けない。引き返すこともできない。
 ぽつんとそこにいるだけ。あたしひとり。
 厨房のふたりは和気あいあいとしている。まるで姉妹みたいに、あたしの目にふたりは映る。
 なんでだかわかってしまった。
 あそこはあたしの入りこむ場所じゃないんだ。
 だってその光景が、なんだかとっても楽しそうに見えたから……

76 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 17:00:08 ID:9trZ/DUT]
「胸ならあたしの方がおっきいのに……」
 ぽつり口から出た言葉にびっくりした。自分で言ったはずなのに。
「なに言ってんだろ、あたし」
 これじゃまるで……
 それに続く言葉に気づいてしまうと、ぎょっとした。
 あたしは自分が、まるで別の生き物になってしまった感覚にやられた。
 こんなこと思うの、はじめてだった。
 もしかして、今あたしは嫉妬してるのか……?

 なに考えてんだよ、あたしは。
 あたしがあたしのやりたいようにするように、
 ルッキーニだってルッキーニのやりたいようにすればいい。
 あたしが縛れることじゃない。そのはずだ。そんな仲ってわけでもない。
 そのはずなのに――
 なんだろう、この気持ち。
 胸がざわざわして、どうにも落ち着かない。

 けどルッキーニのやつ、あたしにべったりだったくせして。
 あたしはそう思い直すことにした。そう思わないと、どうにかなりそうだった。
 そりゃあたしは、お菓子なんて作ったことないけど。
 きっとこのところあたしに冷たいのは、こうしてリーネといっしょだったからなんだろう。
 でもだからって、別に内緒にすることもないのに。
 もう胸触らせたり、胸に顔うずめさせたりしてやらないんだからな、絶対。
 ……いや、やっぱりそれはナシ。ときどきはそうさせてやろう。
 遠くからあたしの名前呼んで、ルッキーニが走ってくるんだ。
 するとあたしはこういうふうに手を広げて、そっと抱きしめてやる。
 柔らかい感触があたしの胸のなかに――あった。
 幻覚? じゃない。感覚だから幻痛、ってそれも違う?
 かと思えば、そうでもない。

「いっ、いきなりなにをしますの!?」

 と、その柔らかいのは言った。
 ルッキーニ――じゃない。
 なんだペリーヌか。
 って、この状況はまずい。びっくりしたのはわかるけど、そんな大きな声出すなよ。
 あたしは鼻の前に人差し指を立てて、しーっとやった。
「……なにをしてますの?」
 すると今度は小声で、ペリーヌは訊いてくる。結構イイヤツだ。
「そっちこそ」
 あたしは返す言葉につまって、とりあえずそう言う。
 ペリーヌはしゃがみこんでなにかを拾っている。
 びっくりした拍子に落したんだな。あたしもそれを手伝ってやる。
「チョコレート?」
 と、それを手にあたし。床にはたくさんのチョコレートが散らばっていた。
「ええ。だって明日は――」
 いぶかしげるあたしに、ペリーヌは教えてくれた。
 そういえば明日はそんな日なのか。あたしには縁のない話だったから、頭のなかにはなかった。
「ふぅん。坂本少佐にあげるんだ」
「こ、これはただ、日ごろの感謝の気持ちを……別に、その、つまり……」
 あたふたとあわてふためくペリーヌ。
 これで隠してるつもりなんだから、おかしいよな。
 それに結構可愛いとこあるよな。口が裂けても本人には言ってやらないけど。

77 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 17:02:22 ID:9trZ/DUT]
 ペリーヌは逃げるようにここから立ち去ってしまった。
 けれどあたしはまだ、その場から動けなかった。
 なんであたし、こんなことしてるんだろ?
 バカみたいだ。いや、バカなのか? バカなんだろうな。
 あー、ルッキーニったら見ちゃいられないんだから。
 リーネもよくつき合えるよなぁ。
 あーあ、あたしも帰ろっかな。帰ろっと。
 ようやく思い立って、あたしが重い腰をようやくあげようとしたそのとき――
 ルッキーニの、声がした。

「シャーリー、喜んでくれるかな」

 えっ、と思わずあたしの口からこぼれて出た。
 だって思いもよらない言葉だったから。
 そういえばさっき、ペリーヌが言ってたよな。
 そうか、明日は――
 なんだ。なにしてんのかと思えば、あたしへのプレゼント作ってくれてたのか。
 それで「ないしょ」って。
 きっとびっくりさせたかったんだろうな。
 まあ、もう存分に、びっくりもあたふたもきゅんきゅんもしちゃったけど。

「きっと喜んでくれるよ」
「そうかなぁ」
「実は私ね、はじめて会ったときはシャーリーさんってちょっと怖い人だと思ってたの」
 そんなふうに思われてたのか。
 そういえばリーネって、あたしに怯えてるようなとこあったよなぁ。
「でもね、ルッキーニちゃんの話を聞いてると、なんだかそうじゃないってわかったの」
 ルッキーニのやつ、いったいどんな話をしたんだろ。まあ、誤解がとけたようでなによりだ。
「だから、大丈夫」
「うん。でも、シャーリーってね……」
 そうしてルッキーニは、あたしのした違反や失敗の話をしだす。尾ひれまでつけて。
 あたしは悪口を言われてるはずなのに、そんなことは気にならなかった。
 楽しそうにルッキーニは話す。それを聞いて、リーネはくすくす笑う。

「本当にルッキーニちゃんはシャーリーさんのことが好きなんだね」
 おいおい、なんてこと言い出すんだよ、リーネ。
「うん、大好き」
 それでルッキーニのやつ、屈託なくうなずいちゃうんだから。
 大好き、って…………。

 あたしはどうしようもない幸せ者だ。
 すっかり気持ちが舞いあがっちゃって、重かったはずの腰も、すっかり軽くなっちゃってて、
 このまま厨房まで走っていって、ルッキーニのこと抱きしめてやりたくなった。
 でもそれは野暮だよな。今じゃなくたっていいや。
 うん、そうだ。気分がいいからお風呂に行こう。
 そうしてあとはぐっすり眠って、楽しいはずの明日を待とう。

78 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 17:04:34 ID:9trZ/DUT]
 コンコン、とドアをノックする音がした。
 あたしは寝ようとベッドに寝転がっていたけど、目は覚めていた。
 気持ちが舞いあがったまま、とても寝つけやしなかったから。
「シャーリー」
 と、さらにあたしの名前を呼ぶ声。ルッキーニだ。
 あたしは部屋の電気をつけて、ドアへ向かった。
 まだ夜は明けちゃいない。あたしは時計を見やった。
 フライングだ。ほんの何分かだけど。時計はもうすぐ12時を指そうとしているところだった。
 ルッキーニのやつ、いつもならとっくに寝ている時間のはずなのに。
 きっと気持ちがせって、まっさきに来たんだな。せっかちなやつだな。別にいいけど。
 ドアノブに手をかけると、ルッキーニの声が聞こえた。間にあった、って。
 間にあった? どういうことだ?
 あたしに言ってるふうではない。ひとりごとだろうか。
 まあいい――あたしはドアを開けた。
 すると、パンッという爆発音。クラッカーだ。それに――

「シャーリー、誕生日おめでとう!」

 誕生日……!?
 そうだ、まだ今日は2月13日――あたしの誕生日じゃないか。

「どうかしたの?」
 あっけにとられていたあたしに、ルッキーニは訊いてくる。
「ああ、いや、ええっと……」
「もしかして忘れてたの?」
 あたしは返す言葉がなかった。
 すっかり忘れてました。それどころじゃありませんでした。
「教えてくれればよかったのに」
「だって、びっくりさせたかったんだもん」
 ルッキーニはそう言うと、足元に置いていた紙袋をあたしへと差し出した。
「はい、あたしからの誕生日プレゼント」

 あたしはルッキーニを部屋へと招き入れた。
 まめに片づけるようにはしてるけど、なにせ物が多いせいでちょっと散らかっている。
 あたしはベッドに腰をおろした。ルッキーニにはソファを勧めたけど、あたしの隣に並んで座った。
「中、見ていい?」
 手にした紙袋を膝の上に、あたしは確認した。
「うん」
 そうしてあたしは、ごそごそとそれを取り出した。
 それがあたしの目に映る。
 それはチョコレートではなかった。そうじゃなくって――

「ウサギ?」

 それはウサギのかたちをしたケーキだった。
 まわりにクリームを塗りたくって、目にはイチゴがふたつ。
 長い耳がよくできてる。まるっこくて、ちょっと不格好でもある。でも、可愛い。
「うん。シャーリーってなんだかウサギっぽいし」
 ルッキーニはそう言ってはにかむ。
 まあたしかに、あたしの使い魔はウサギなんだけど。
 でも、それだけじゃない。これはありのままのあたし自身でもある。
 どうしようもなく寂しがり屋の、まっしろでちっぽけなウサギ。それがあたしなんだ。

79 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 17:08:19 ID:9trZ/DUT]
 今日一日で、自分の分際をすっかり思い知らされた。
 頭のなかで拒んでいて、今までそれが素直に受け入れられなかった。
 でも、認めてしまえばいい。
 ずうたいばっかでかいくせして、中身はそんなことはない。実は気が小さいのかもしれない。
 なにが個人主義者なものか。ぜんぜんそんなんじゃない。
 誰かのことを思って、すねたり、落ちこんだり、嬉しくなったり、
 これがどうしようもない、あたしそのものなんだから。
 寂しさだけで、きっとあたしは死んでしまう。
 ――まあ、それでもいいさ。
 ルッキーニ、あなたがそばにいてくれるなら。

「ねー、はやく食べて」
 そう言ってルッキーニはあたしを急かす。あたしの顔を見つめてくる。
 フォークは手に取ったものの、あたしはなかなか食べられずにいた。
「なんだか食べちゃうのがもったいなくて」
「せっかくあたしが頑張って作ったのに。リーネに手伝ってもらったんだよ」
 知ってるよ。ふーん、とあたしは返す。
「ねー、シャーリー」
「でも……」
 あたしが一向に踏ん切りがつかないでいると、ルッキーニはあたしからフォークを奪い取る。
 そして、一言。

「ほら、シャーリー。あーんして♪」

 ルッキーニはあたしの口元に、フォークを差し出してくる。
 ちょっぴり照れくさくって、でもめいいっぱい「あーん」と口をあけた。
 そうしてケーキが、あたしの口のなかに入る。
 味はといえば、店で売ってるような上等なのじゃない。
 粉っぽいし、絶対砂糖の分量間違えてる。甘い。甘すぎる。
「どう?」
 おずおずとルッキーニが訊いてくるので、あたしは何度もうなずきながら言ってやった。
「おひしい」

 一口噛みしめると、じわっときた。
 目頭が熱くなっちゃって、どうにもならない。
 ずっと我慢してたのに、もうダメだ。涙腺崩壊。
 感激して涙を流したりなんてしたら、ルッキーニはどう思うだろう。
 恥ずかしいよな。やっぱりまだ知られたくない。
 あたしはたまらず、ルッキーニをぎゅっと抱きしめた。
 ルッキーニの頭をあたしの胸におさめる。
「ちょ、ちょっと。シャーリー!」
 胸のなかで、ルッキーニの頭があばれる。
「あたしにこうされるの、ヤなのか?」
「そうじゃないけど……」
「じゃあ、いいだろ」
「……うんっ」
 離してなんてやるもんか。あたしはさらにぎゅっと、ルッキーニを抱きしめてやる。
 嗚咽まじりに、ありがとう、ありがとう、と何度だって言ってやった。

 相も変わらず、なにかを約束しあった仲でもなく、明日がどうなるかわかるわけでなく――
 まだまだ人生長いもんなぁ。ヤなことやつらいこともいっぱいあるんだろうな。
 でも、きっと大丈夫だから。
 ふたりでなら、なんだってやっていける。楽しいことに変えられる。そんな気がする。
 この“あたりまえ”がいつまでも続くよう、あたしはなんだってするよ。
 だからさ、ルッキーニ。
 来年も、その次の年も、また次の年も、あたしといっしょにいて。
 そうして、またケーキを作ってくれないかな。ルッキーニがお婆ちゃんになっても。
 お婆ちゃんになったあたしが、またこうして抱きしめてあげるから。

80 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 17:09:18 ID:9trZ/DUT]
以上、改行制限かかりまくったorz
というわけでシャーリーお誕生日おめ!中の人ももうすぐお誕生日おめ!
ラブやんのパロなんかも書いたんですが、あまりにアレすぎたのでこっちを。
でもやっぱり、なんだかシャーリーが変態っぽいぞ……?
つかすげえタイトルだな。キルケゴールは関係ないです。



81 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 20:08:56 ID:R4diBrrf]
>>79
ルッキーニに和まされるけど、シャーリーが可愛いwwかわいすぐるww
甘えるシャーリーもいいですねww
じっちゃん帰ってこないかなぁ。俺も待ってるんだ

82 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 20:09:10 ID:0o+AI27T]
>>80
やっぱりあなたの書くSSが一番好きだ!GJ!!
こう、叙述の絡繰りとか、些細な一文一文まで行き届いた表現の繊細さがもうね、素晴らし過ぎる。
シナリオには別段変わった仕掛けがないのにここまでキュンキュンな文章が書けるとかもう一生勝てる気がしないよ。
とにかくGJっした!!

83 名前:ストパン×サンホラ mailto:sage [2009/02/13(金) 21:55:07 ID:0mZz35VX]

「箱庭を騙る檻の中で禁断の胸(器官)に手を加えて
地を這う無能な魔女にでもなった心算なの?」か……

在りし日に咲かせた花弁は 暗闇に散り逝くように凛と
少女の声色で囁く「扶桑へ還りましょう」...

...Love みっちゃん to the "Ark"

監視卿(Watcher)は天を仰ぎ深い溜息を吐く
失った筈の《男性器》(場所)が虚しく疼いた

──ふと彼女が監視鏡(Monitor)の向こうへ視線を戻すと
嗚呼...いつの間にか少女の背後には『眼帯の女』が立っていた──


ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!
出来心だったんですぅ。

84 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 21:59:50 ID:N33wk9Kr]
>>80
>スピードに恋をした。
の一文に俺は恋をした。
いいなあ。きれいな文をきれいに重ねることのできる人ってすげえ…
GJでした!


しかしじっちゃんの存在のでかさは凄まじいぜ…


85 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 22:23:51 ID:RYW0OLDI]
新参が空気読まずに質問だ
じっちゃんって誰だい?

86 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 22:25:28 ID:aQ4KPpce]
じっちゃんはじっちゃんだよ

87 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 23:02:13 ID:W+MhiE7B]
このスレで唯一金柏葉・剣・ダイアモンド付騎士鉄十字勲章を授与された、百合スレに蘇ったルーデル先生のことさ。
勲章については保管庫の作者別一覧参照、彼のシャッキーニ愛の前には誰もがひれ伏すという。

ところでこれは何だ、芳ーニャフラグなのかな?病んデレサーニャ良過ぎる
ttp://hirame.vip2ch.com/up/hirame022244.jpg

88 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 23:05:42 ID:BbItYqBl]
>>87
大阪ww

89 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 23:22:45 ID:wtrDRAVr]
さて明日はついにバレンタインか……


かなりのssの投下率だろーなー
一体何組のカプがでてくるのだろうか今から楽しみだ

90 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 23:30:32 ID:H0h73nEF]
結局キャラソンって一人ずつのとカップル曲だけなんかな
ミニドラマとかはつかない?



91 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/13(金) 23:33:06 ID:jV5iV0x1]
付くらしいよ

92 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 00:23:30 ID:nClfbLhJ]
当然誰からもチョコ貰えなくて泣いた
竹井さんの誕生日SSが少なくて更に泣いた
シャーリーの誕生日SSが予想外に少なくて更に更に泣いた

93 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs mailto:sage [2009/02/14(土) 00:41:38 ID:QFXyyFo9]
そんなあなたに朗報!ここで私が誕生日SSを投下させてもらうぜ!!
全然滑り込めてないけどブリタニアではまだ13日の昼頃だからきっとセーフだよね!!

まさかのシャーリー×美緒、プラス醇子×美緒で3レスばかし。
「Make me Happy,Make me Joke.」です。

*

あたしには秘密がある。あの日からずっと、誰にも言えずに胸の奥にしまい込んで隠し通してきた想いが。
この想いは叶わない。だから持っていても邪魔なだけ。
そんな当たり前のことはわかっているけど、それでも捨てられないのは多分、
心のどこかでまだ諦め切れていないからなんだろう。

いつか国に帰って普通の生活に戻れば、そのうちこんな感情は綺麗サッパリ忘れちまうに違いない。

そう思っていたっていうのに。

────────

何日か前から竹井大尉という人が基地に来ている。
どうしてロマーニャの統合戦闘航空団の人間がこんなところにいるのかは知らないが、
まあ坂本少佐も去年突然扶桑に行って帰ってきたりしているし、珍しいことじゃないのかもしれない。
だが問題はその竹井大尉だ。彼女ときたら、基地にやってくるなり坂本少佐にベタベタし始めたのだ。
最初は任務で同行しているのかと思ったが、すぐにおかしいことに気付いた。
まず、しきりに腕を組みたがる。肩に頬を擦り寄せて、まるで恋人気取りだ。
それに他の隊員に対する態度と坂本少佐に向けるそれが、明らかに別物だ。
前にあたしが廊下で出くわした時は、あの憎たらしい愛想笑いで
「おはようございます、イェーガー大尉」とだけ言って一瞥もくれずに立ち去ったクセに、
坂本少佐に出会った時は思い切り舞い上がった調子で喜色満面のハグと来やがる。
しかもあのいけ好かない扶桑語。母音の多い言葉なのはわかってるが、
それにしたってあの間の伸びようはどこからどう見ても媚びを売る喋り方だろう。
とか何とか考えている間にも、他の隊員たちの目の前で朝っぱらからサラダの食べさせっこだ。
させっこというか竹井大尉が一方的に食べさせているだけだけど、
それにしたってあの鼻持ちならない「はい、あーん」というのはそろそろ我慢の限界だ。

食後の僅かな隙を突いて、一人になった竹井大尉にあたしはさりげなく詰め寄った。

「なあ、扶桑の大尉さんよお。」
「何かしら?」
「坂本少佐とどういう関係なのか知らないけど、あんまり目立つことしないでくれよ。
 あんなにいちゃいちゃしてたらその、何だ、まずいだろ。色々と。
 こっちは13歳の子供まで抱えてんだ。少しは自重してくれ。」
「……。」

竹井大尉は聞いてるんだか聞いてないんだかわからないような顔でふんふんと頷くと、
とんでもない一撃を言い放ってきた。

「あなた、美緒の事が好きなの?」

なんつー非常識な洞察力だよ。

94 名前:「Make me Happy,Make me Joke.」 ◆YFbTwHJXPs mailto:sage [2009/02/14(土) 00:44:24 ID:QFXyyFo9]
「そんな話はしてないっての。あたしも隊の中じゃ一応上の立場だからさ、こういう役が回ってくるわけよ。
 仮にも余所の隊の責任者代理にうちの隊長が自ら厳重注意なんてのはよろしくないってんで、
 こうしてふたつみっつ下のあたしがご指名ってわけ。わかる?
 これ以上うちの風紀を乱されると困るんだよ。自分の勝手でやってることなら尚更な。」
「あらあら、やっぱり怒られちゃったわね。」

悪びれる様子もなくウフフ笑いを返してくるこいつはもしかしてあたしにブン殴って欲しいんだろうか。
よっぽど怒鳴りつけてやろうかと思ったがあたしは一応温和なヤツということで通しているのでやめておく。
「怒ると怖い」なんてナンセンスなレッテルを貼られるのは御免だしな。

「……とにかく、見苦しいから必要以上にベタベタしないでくれ。みんなウンザリしてるんだ。それだけ。」
「Kuso namaiki na Riberian ga, Watashi no jama shinai de yo ne.」
「何だって?」
「独り言よ。わかったわ。どうせもうすぐ帰るし、大人しくするわ。」

ああ、そりゃいいことを聞いたよ。これ以上あたしがモヤモヤしないうちに、早くどこにでも帰ってくれ。

────────

コトが起きたのはその日の夕方だった。坂本少佐に「ちょっと」の一言で呼び出された私は、
肌寒い廊下で司令室へ向かうエレベーターを待っていた。
ただでさえテンションの下がるシチュエーションだってのに、
何でよりによってまたこいつと鉢合わせしなきゃいけないんだ。

「あら、あなたも司令室に?」
「……そうだけど。」

こんなやつとエレベーターに乗り合わせなきゃならないとは、今日はついてないな。
もちろんそんな思考はおくびにも出さず、なんでもない風を装うのが大人ってもんだけどさ。
仕方ないので意識を逸らすために階層表示だけをじっと睨む。ええい、遅い。

「ねえ、イェーガー大尉。」

だから何で話しかけんだよ!!

「何?」
「これは私がふと言いたくなって勝手に言ってることだから別に聞かなくてもいいけど……」
「じゃあ勝手に言っててくれ。」
「……私はね、美緒のことが好きよ。ずっと前から。」

チーン。

エレベーターの到着を知らせるベルと、あたしの脳の血管が切れる音がハモった。

「おいあんた、それは───!」



「誕生日おめでとう。」



───はあ?

95 名前:「Make me Happy,Make me Joke.」 ◆YFbTwHJXPs mailto:sage [2009/02/14(土) 00:49:56 ID:QFXyyFo9]
────────

いつの間にかエレベーターのゲートが開いていて、そこに坂本少佐が仁王立ちしていた。
そういえば今ベルが鳴ったんだった。それで少佐、今なんて?

「お前たち、今日が誕生日だろう。ほれ、プレゼントだ。受け取れ。」
「えと……?」
「あの……。」
「んん?シャーリー、何で醇子に掴み掛かってるんだ?喧嘩でもしてたのか。」
「あ、いえ、何でもないです。しかし、これはどういう……?」
「だから、見ての通りだ。何だ、リベリオンには誕生日を祝う習慣がないのか?」

習慣も何も、それがなかったら"Happy Birthday"なんてフレーズは存在しない。
よくわかんないけど、今坂本少佐が差し出した2つの小さな紙袋が誕生日プレゼント……誕生日?

「あれ?今日って何日だっけ?」
「何を言っているんだ。今日は2月13日、つまりお前たち二人の誕生日だろうが。
 軍人が今日の日付も把握しないでどうする。というか、本当に忘れていたのか?」

ああ、なるほど!
今日あたしの誕生日だったのか!そんなことはすっかり忘れていたよ。

「まさか少佐からプレゼントをもらえるとは思わなかったよ!ありがとう!」
「どうした醇子、お前はいらないのか?」

急沸騰したテンションに変なところから穴が開いてシュワシュワと気が抜けた。
竹井大尉とあたしが同じ誕生日だって?冗談じゃない。
そう思って思わずヤツの方を振り返ると……ああ、最悪だ
あたしはこの目を知っている。ご主人様に思い切り褒められた時の、従順に諂う犬畜生の目だ。

「美緒、私の誕生日覚えててくれたのね……!」
「当然だ。お前と私の仲だろう。」
「vv 美緒、大好き!愛してる!!」

抱きついた。というか飛びついた。
勢いで押し倒した。
さりげなく胸触った。


「あたしの少佐にべたべたすんじゃねぇーーーー!!!!」


その後、私の発言と行動の根拠について、
坂本少佐から散々問い詰められたことについてはあまり思い出したくない。


endif;


以上です。
何を言ってるのか中略シャッキーニを書こうと思っていたらシャー美緒になっていた。
出遅れた上に微妙な内容でしかもこんなオチですいません。
注釈ですがフランカの年齢は44年8月で12歳なので、翌年の2月なら13歳だよねという話。あと竹井"大尉"は漫画版より。

最後に二人とも誕生日おめ。美緒が2人に何をプレゼントしたのかはご想像にお任せします。
中身は考えてあったけど内容に入んなかったからお蔵入り。それにしても醇子さんSS少な過ぎる。

96 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 01:06:56 ID:PpvnKbx7]
>>93
GJ&保管作業いつも乙!

喧嘩するほど仲が良いという言葉が好きな俺は、竹井さん×シャーリーもアリだと思ったw

97 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 03:08:40 ID:Z2/QLNBM]
シャーリーともっさんとかなかなか新鮮でいいな!!
もっさん相手だと皆振り回されそうでニヤニヤするwwもっと誰かやってくれないかな。

98 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 04:40:16 ID:PpvnKbx7]
「舐めて・・・」
甘い香りのする褐色の物体を指で掬いながら彼女はそう呟いた。
「なっ、何言って・・・」
「お願い、舐めて。見たいの・・・」
彼女は人差し指を突き出しながら、もう一度言う。
普段は指揮板の上を滑るしなやかな指。
その先からドロリと零れ落ちる光沢のブラウン。
「わ、わかった・・・」
妖しく光る彼女の瞳に逆らえずに、私はゆっくりとそれを口に含んだ。
「ん・・・」
口の中にカカオの香りが広がった。
ただのチョコの筈なのに妙に甘い。
ビターチョコだと彼女は言っていたけれど・・・。
「ちゃんと舐めて・・・舌を使って・・・綺麗に舐めとって・・・」
「う・・・ッ・・・んん・・・」
棒に付いたキャンディとは違う・・・。
仄かに生温かくて・・・滑々していて・・・そして、本当に甘くて・・・。
気が付くと、私は懸命に彼女の指を嬲っていた。
「ん・・・っん・・・・・・ぷはぁ」
「ふふ、ありがとう・・・可愛かったわ、トゥルーデ・・・」
指を引き抜くと、彼女は唾液で濡れたそれをペロリと舐めた。
「・・・甘いわね」
悪戯っぽい笑み。
チロチロと動く桃色の舌。
妖艶な彼女の行動に私の心はドキドキと高鳴っていた・・・。

99 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 04:42:13 ID:PpvnKbx7]
先月でた某百合漫画見てたら、ふと浮かんできた。
ミーナ隊長はお色気キャラだと思うんだ。

100 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 06:50:52 ID:ZKxD6NZh]
>>99kwck



101 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 10:43:46 ID:fKygasGR]
>>95GJ!坂本少佐×竹井さんは大好きです!
シャーリーが坂本少佐のことが好きってのも新鮮で良いな(*´Д`*)

102 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 11:03:38 ID:R9DLTnO7]
>>100
⊃純水アドレッセンス
上品なエロさがある作品ですよ。

103 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 11:06:33 ID:9tGlZv8c]
>>98はトゥルーデと誰?ミーナさんですか?
めちゃくちゃエロいなぁ…

104 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 12:17:47 ID:ej55OOTZ]
サーニャがエイラに料理作ってあげるんだけど、
エイラは一口目食べる前に胡椒かけちゃってサーニャキレるという電波をついさっき受信した

105 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 12:26:34 ID:PQbg8ZDL]
>>104
なんかいいなそれ。
誰か頼む・・・

106 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 12:41:40 ID:3MZAJThf]
>>102
それ持ってるのに思い出せなかったor2
>>103
クリス相手に同じシチュエーションだったらと思うと……

107 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 12:52:37 ID:9tGlZv8c]
>>106
芳佳とトゥルーデで想像してみたら悶え死んだ

108 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 13:52:08 ID:Q7lPu5VN]
>>107
それに対抗して、おっぱいにチョコレートを塗りたくり芳佳の部屋で待ち構えるリーネちゃん。
やっぱり怖気付いてお風呂でチョコレートを洗い流すリーネちゃん。
そこをエーリカに目撃されて大慌てのリーネちゃん。

そして……リーネの真似をしてトゥルーデの部屋で待ち構えるエーリカ。

109 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 14:03:01 ID:9tGlZv8c]
>>108
何故早くSSになさらないのですか?

110 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 15:01:19 ID:aGntHtSs]
>>108
勢い余ってほぼ全身にチョコレートを塗りたくるエーリカ
発見して浴場に連れていこうとするトゥルーデ
「今日は何の日だか知ってる?」と切り返すエーリカ

どうするトゥルーデ!?
A.素で気付かずに風呂へ連れていく
B.バレンタインデーだな。(こいつ、チョコレートでも作っていたのだろうか…?でも誰に?…まあいい、とりあえずは風呂が先だ)
C.部屋へエーリカをテイクアウト



111 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 15:02:57 ID:ZVzoKW0N]
「さ、サーニャ!!」
「なに?」
「こ、こ、こ、コレやるヨ!」
「・・・チョコレート?」
「い、言っとくけど、義理ダカンナ! 本命じゃないんダカンナ!」
「・・・・・・」
「サーニャ・・・?」
「いらない・・・」
「えっ、どうして・・・あっ、待てよ! サーニャ」
「ふん、だ・・・(後で本チョコあげようと思ったのに・・・)」

>>104読んでたらこんな電波が飛んできた・・・。
インスパイアしてごめんね。

112 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 16:20:41 ID:9tGlZv8c]
>>110
どう考えてもCです本当にありがとうございました。
でもBでも悪くないNE!
>>111
エイラもサーニャも両方可愛いなぁ…

113 名前:スピーディー・ワンダー 1/6 mailto:sage [2009/02/14(土) 16:54:54 ID:SJoRETwm]
「お誕生日おめでとーーー!!!」
「おめでとーーー!!!」
「ありがと。 いやー、悪いね。 こんなパーティまで開いてもらっちゃって。」
祝ってくれるみんなに笑顔を返す。 日もとっぷりと暮れて、オープンテラスは即席パーティ会場と化していた。
2/13。 今日はあたしの誕生日。 おかげさまでxx歳になりましたよ! xxには好きな数字を入れてね! 女は年齢じゃないからな!
誰に依存するガラでもない。 人生は一期一会。 そんな生き方してるけど、たまにはこんな事があってもいいさ。

「えへへ! 今日は腕によりをかけちゃいました。 扶桑の料理はお休みです!」
宮藤の笑顔に私の顔も綻ぶ。 嬉しいね。 こんなに頑張ってご馳走を揃えてくれたリーネと宮藤に、感謝の気持ちで一杯になる。
テーブルを見渡せば、どれもこれも美味そうな物ばかり。 鳥のモモ肉。 ローストビーフ。 ポークソテー。
……ぶっちゃけ肉ばっかりだな。 なんだか女の子の誕生パーティっぽくないと言うか、あたしはそんなに肉好きと思われてるのか?

「シャーリー、誕生日おめでとう。 お前はウィッチとして今まさに花盛りだ。 今後一層の活躍を期待しているぞ!」
「ありがとうございます、少佐。 ん? これ……。」
「あぁ。 私からの贈り物だ。 受け取ってくれるか?」
「勿論ですよ。 開けていいですか?」
料理に手をつけていると、少佐からの祝辞とプレゼント。 きたきた! やっぱり誕生日と言えばプレゼントだよね。
勿論、そんな過度の期待や要求なんて抱いてたわけじゃないけどさ。 楽しみにしてなかったと言えば嘘になるや。

「うわ……。 こっ、これ…………。」
「美っ、美緒!? 一体どうしちゃったの!?」
「わわわわわ! きわどい! きわどいですっ!」
あまりに意外な中身に、周りまでがざわついている。 少ない布地に瀟洒な装飾。 大胆な透け方の予想されるレース。
少佐がくれたのは、ピンク色の物凄くきわどいランジェリーだった。 うひゃあー。 凄っ。 むしろ凄すぎる!
顔が茹で上がってるよね、あたし。 そりゃま、ネンネぶる気はないけどさ。
それにしたって、誰と付き合った経験も無いあたしに、こんな強烈なデザインは早すぎるよ!!
まさかあの少佐が、こんなオトナな感じのプレゼントをくれるなんてさ。 あまりに意外すぎて、少佐の方をぼんやり見やる。

「はっはっ! 気に入ってもらえたか? 私は洋服のプレゼントには疎いからな、店員の知恵を借りてみた。
 それは勝負下着と言うそうだ! 日々決戦の気持ちで臨む我々に、これ以上なくピッタリだと思わんか? わっはっはっ!!!」
あっあー。 なるほどね。 そういうわけですか。 ようやく得心がいって、豪快な笑い声に苦笑が漏れる。
少佐は勝負の意味が分かってないのだ。 分からずに、いつもの少佐の価値観で、質実剛健の意をこめてこんな物を贈ってくれたのだ。
みんなも溜飲が下がったような顔をしている。 いやー、いきなりのサプライズだったなぁ。 ちょっと違う意味で!
まぁね。 正直、意外だったけどこのプレゼントは嬉しい。
せっかく貰ったんだから、いつか使ってみようかね。 その時までに、バストが成長してなければいいんだけどね!

114 名前:スピーディー・ワンダー 2/6 mailto:sage [2009/02/14(土) 16:55:40 ID:SJoRETwm]
「私からはこれ。 香水ですわ。 あなたも年頃の女性なんですから、少しはオイル以外の匂いもさせた方がよろしくてよ?」
「おぉー、サンキューペリーヌ! 嬉しいよ。 えっと……ボルドニュイ? って読むのか?」
「えぇ。 ガリアの言葉で、夜間飛行、という意味なのですけれど。 この小説にちなんで付けられたものですわ。」
おっと! 差し出されたのは優しい絵柄が表紙の小説。 ペリーヌのプレゼントはなんと二段構えだった。
いいねー、こういう段取り。 こんなの何でもありません、みたいな顔しちゃってるけど、あたしのために演出まで考えてくれたんだ。
やっぱいい奴だね、ペリーヌ。 しばらくはからかい方も手加減してやろっかね!
にしても、これが世界的に誉れ高いガリアの香水か。 これをつければ、あたしもレディに化けられるかもねっ。

「えへへー。 私とリーネちゃんはちょっぴり一セットっぽい内容ですよー。」
「割れ物だから、開ける時注意してくださいね。」
今度は宮藤とリーネか。 一セット? 一人が一つずつ箱をくれたけど、中身が一セットって事なんだろうか。

「リーネのはドルトンのティーセットか。 可愛いね。」
「シャーリーさんは部屋でお茶ってタイプじゃないかなぁ、とも思ったんですけれど。 道具があれば違うかもって思ったんです。」
「いや、ありがと。 まぁティーカップ片手にストライカー整備ってわけにはいかないよな! なはは!」
食器関係は地味に嬉しいね。 あたしが自分で食器買うなんて絶対に無いし! でもやっぱり味って器で全然違ってくるんだよな。
気分って重要だよ。 リーネがくれたのは、とてもリーネらしい温かみのある絵柄で。 うん。 大事にしよう。

「で、宮藤は……おぉ。 ひょっとしてこれ、扶桑のティーセット? なるほどね。 ブリタニアと扶桑。 一セットってこういうわけか。」
「やはは。 古伊万里って言うんですけど、どうですか? ブリタニアの美術にも負けてないでしょ?」
宮藤のお国自慢に半ば本気で頷き返す。 や、凄いわ。 ものすごく綺麗だ。 繊細でオリエンタルなデザインは、まさにアート。
これは結構ショックだよ! 扶桑のティーセットって、なんだっけほら、キュース?
あんな感じのもっと渋い一式だと思ってたけど。 どうやら陶器の文化も只事じゃなかったみたいだね。

「ティーセットばかり二つもあってすみません。 他のプレゼントは次のイベントや来年の誕生日にって事で!」
くすり。 来年ってさぁ。 あたしたち外人部隊がそんなに長く必要だったら困るんじゃないの?
ま、そんな事まるっきり考えないで、何も疑わず来年もみんな一緒だって思ってる辺り、すっごく宮藤らしいけどさ。
来年か。 ま、今からそんな先の事考えててもしょーがないね! 今はパーティを楽しまなくっちゃ!!

「うにっ。 そいじゃ次はあた……。」
「とっとっと。 待て待てルッキーニ。 次は私らにやらせろヨ。 エースは最後に出てくるもんダロ?」
「ルッキーニちゃんごめんね。 私たちが先でいい?」
ルッキーニの順番かと思ったら、エイラとサーニャが割り込んできた。 ? 何慌ててるんだ? そんな先を争わなくてもいいんじゃない?
ま、あたしはどんな順番だろうとみんなからプレゼントを貰えるだけで嬉しいけどね。
……とか思ってたら、さ。 貰えるだけで嬉しいとは限らないとすぐに思い知らされたね。 嫌と言うほど……。

115 名前:スピーディー・ワンダー 3/6 mailto:sage [2009/02/14(土) 16:56:23 ID:SJoRETwm]
「んじゃ私らの番ダナ。 これ、私とサーニャでうんうん考えて選んだプレゼント。 おサルのサルバドルくんなんダナ。」
「さ、サルバドルくん……?」
エイラとサーニャは二人で一つのプレゼントか。 本当に仲がいいね。 がさがさ。
包装紙を引っぺがすと、現れたのはサルのぬいぐるみ。
……いや。 サルじゃない。 せめてサルならよかった。 サルであってほしかった……。

「き…………きもい……。」
サルバドルくんとやらは、ゴリラとオランウータンと近所のオヤジを掛け合わせて、しこたまぶん殴ったような恐るべきツラをしていた。
異常なほどにリアルで無駄に八頭身あるそのぬいぐるみは、リベリオンのコミック・ヒーローのような劇画マッチョ。
類人猿? 激怒するゴリラ? 気合に満ちみちた面構えは、あまりに濃すぎて吐き気がしそうだ。
なんだこの目! 怖すぎて合わせられないぞ! うぐぐ……。 い。 いらねぇ…………。

エイラたちのプレゼントは怖い、きもい、イライラするという三拍子揃ったとんでもない代物だった。
い、いや。 これが気にくわないのは、あくまで私の価値観にすぎないよな。
あたしの誕生日を祝うために選んでくれたんだ。 ちょっとくらい常軌を逸してるからって、それが何だって言うんだ?
大切なのは真心だ。 その気持ちを無碍にするなんて、あまりに心無いじゃないか。

「ふ、二人ともありがとう。 なかなか刺激的なプレゼントだな。 は、は。 魔除けになりそうで丁度いいや。」
「……シャーリーさん、笑いが引きつってる。 だからやめようって言ったのに……エイラったら。」
「やめようって思ったのかよ!!!!!!」
怒りを大爆発させてサルバドルを投げ飛ばす。 自分が嫌なもんを人に贈るんじゃねー! 我慢しようと頑張ったのが馬鹿みたいだよ!!

「なんダヨ。 この圧倒的な存在感。 たかだか市販の量販品でこんなクオリティの物は滅多に無いんだぞ。」
「こんなもんが世間にゴロゴロしててたまるか!!! こいつ怖すぎんだよ!! 人にも猿にも滅多に居ない怖さだよ!!!!!」
「ウム。 人でもない。 猿でもない。 近くて遠い存在。 ぬいぐるみって奴は友達以上恋人未満なんダナ。」
「こいつと恋を育める気がしないんだが??」
「ジュテ〜ム……。」
「うぜえ!!!!!!」
すっかり忘れていたが、そう言えばエイラはこういうエキセントリックな物を好む奴だった。
こいつ自身は割と本気でこれがいいと思ってるわけで。 だからサーニャも強く言えなかったんだろうな。

「まぁ普通に考えたらこんなもん要らないよナ。 きもいし。」
「きもいって分かってるんじゃんかよ!!! ブッとばすぞ!!!!!!」
「まぁまぁシャーリー落ち着きなよ。 こーゆーのって、一つくらいはネタっぽいプレゼントがあった方が楽しいもんじゃない?」
ハルトマンに諌められて何とか矛を収める。 うぐぐ。 ま、まぁ言ってる事は分かるんだけどさ。

116 名前:スピーディー・ワンダー 4/6 mailto:sage [2009/02/14(土) 16:57:08 ID:SJoRETwm]
「次はミーナ、トゥルーデ、私、三人で作ったプレゼントだからね。 安心していいよ。 今出すね〜。」
そう言って満面の笑顔からぽやーんとマイナスイオンを振りまくハルトマン。 アロマの力にあてられて、私もようやく落ち着いた。
さてさて。 ハルトマンがごそごそと取り出したのは、ちょっと大きめの箱。 おぉっ。
作ったとか言ってたし、これ、ひょっとしてケーキかな? 見当たらないと思ってたけど、なぁーる。 こういうタイミングなわけね。

「ありがとう、中佐、ハルトマン、バルクホルン。 手作りってだけで嬉しいよ。」
「まぁ、何の変哲も無いケーキだ。 リベリアンの舌に合うかどうかまでは分からんがな。」
バルクホルンのつんけんした物言いも丁度良いスパイスさ。 うんうん。 たまにはこういうアットホームなのも悪くないね。
おっとっと、いけない。 他のみんなを待たせてちゃ悪いよな。 早速箱から出して、ケーキを等分するとしよっか!

「あっ。 まだ開けるのは待って。 ちょっと準備するから。」
準備? 不可解な事を呟いたハルトマンが、足元にうずくまって何かをごそごそ取り出している。
がちゃ。 がちゃ。 すくっ。 再び立ち上がったハルトマンは、物々しいガスマスクを装着していた。

「お待たせ。 開けてもいいよ。」
「開けられるわけねーだろ!!!!!!!!」
ドカンと机に拳を振り下ろす。 どこの世界にガスマスクを装備しなきゃいけないような箱を開ける馬鹿がいるんだよ!!!
何なんだ? こいつらにとって誕生日は持ちネタを披露するイベントなのか!? えぇ!!?

「やだなぁ。 本当にただのケーキだってば。 私はともかく、流石にミーナまで悪ノリするなんて無いと思わない?」
「そんな格好で言われて納得できるか! そもそもあんた、料理は壊滅的に駄目じゃなかったかぁ?」
「まぁね。 白状しちゃうけど、レシピ考案、調理、味見の三役に分担したんだ。 だから一応三人の共同作業ってわけ。」
……なるほど。 実際に作ったのはバルクホルンってわけか。 それならまぁ安心できるけど……。

「ううん。 実際に作ったのは私。 レシピがトゥルーデで、味見がミーナだよ。」
「 な ん で そ う な る ん だ よ !!! 考えられるパターンの中で、一番やっちゃいけない配役じゃねーか!!!!」
傍らのサルバドルをタコ殴りにしながら全身全霊で叫ぶ。 こいつら本当にもう! 本当にもう!
調理はバルクホルンにしかできないだろ! 味見は中佐にさせたら駄目だろ!! 配置に悩む余地なんて何処にも無いだろ!!!
一体あたしに何の恨みがあるんだよぉぉぉぉーーー!!!!!!!!
かぱっ。 へっ? 一人でじたばた煩悶していると、中佐があっさりと箱を開けた。 ちょっ、ちょっ、ちょっと!
思わず鼻と口をガードして刺激臭に備えた、けれど。 あれ? 何の匂いもしてない……よな。 にっこり笑う中佐。

「そんなに怖がらないで。 フラウ、本当に頑張って作ったのよ。 照れ隠しでこんな事してるだけ。」
「大体、私が傍についていたんだ。 異物を作らせるわけがないだろう。 まぁ、苦労が無かったと言えば嘘になるが。」
それ。 恐る恐る覗き込んだ箱の中に収まっていたそれは。

117 名前:スピーディー・ワンダー 5/6 mailto:sage [2009/02/14(土) 16:57:53 ID:SJoRETwm]
「……苺の…………シャーロット。」
母親が作ってくれた事もある、あたしと同じ名前のケーキ。 パッと見は均整とは言えないけれど、なんて素晴らしいんだろう。
苺の間に差し挟まれたプレートにはチョコレートでイラストが描いてあって。
あたし。 ルッキーニ。 宮藤。 間違いない。 これは、あたしたちみんなの顔が描いてあるんだ。

「ごっ、ごめん。 あたし……。」
「ややや、謝らないでよ! さっき、私はともかく、って言った通りっていうか。 悪ノリしすぎちゃった。 ごめんね。」
ガスマスクを外すと、ちょっと恥ずかしそうに舌を出すハルトマン。
考えれば、三人の内で一番まともに料理ができるバルクホルンだって、宮藤やリーネほど料理が好きなわけでもない。
この三人でこれだけの物を作るなんて、どれだけの苦労があっただろう。 目頭につんと熱い物が込み上げる。

「そんなに驚く事ないダロ? 私たちは家族なんだからな。 ジュテ〜ム……。」
「お前は真剣に反省しろ。 マジで。」
エイラにサルバドルを押し付けつつ、中佐が切り分けてくれたケーキにフォークを突き刺す。

「……美味い。 本当に美味しいよ。 中佐。 バルクホルン。 ハルトマン。 ありがとう。」
「気にするな。 感謝の気持ちはこれからの勤務態度で表してくれればいい。」
「もう。 トゥルーデもフラウも素直じゃないんだから。 でも、喜んでもらえて良かったわ。」
……誰に依存するガラでもない。 人生は一期一会。 それは今でも変わらないけどさ。 こんなに居心地が良いならさ。
宗旨替えしちゃうのも悪くないかもね。 もっとも、それは今よりずっとずっと年食ってからだけどね!

「さて。 最後はルッキーニか。 って、あれ? ルッキーニは? さっきまですぐ隣にいたよな?」
「こっこだよー、シャーリーーー!!!」
建物と反対側から声がする。 ギリギリ明かりが届くその位置に立っていたのは、確かにルッキーニだ。
あぁ、ルッキーニだ。 そこまではいい。 だけど、あいつ。 あいつが手に持ってるそれは。

「ちょっと待てルッキーニ! それ、あたしのストライカーユニットじゃないか!! なんであんたが持ってんだ!!」
「さーねぇー、なんでかにゃ〜。 ほーら、ぶーんぶーん。」
「おっ、おい、よせ!! 振り回すんじゃない!!」
そりゃいつもあたしだって乱暴に扱っちゃいるよ。 でもさ。 流石に人の手にストライカーの命運を委ねた事は無いよ!

「ほりほり。 取り返したかったら、こっこまでおーいでー!!」
「待てコンチクショーーーーー!!!!!」
たとえそれが自分の足でも、走る以上は最速を目指す。 いかにルッキーニがすばしっこくても、あたしからは逃げられないよ!
滑走路の方へ逃げたルッキーニを追って、茂みを越えて建物の角を曲がる。 そしてあたしは、その光景に気付いた。

118 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 17:13:51 ID:VfSrMh6U]
規制にでも巻き込まれたのか……寸止めとは……

119 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 17:22:53 ID:uvQY924R]
くっ…待つしかねぇが、きついなw
書き込めるようになったらたのんます>>117

120 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 18:35:21 ID:bHDLlhqv]
ttp://blog.hobbystock.jp/report/images/tp0108/014.jpg
お美しい・・・



121 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 19:39:35 ID:uCDTJzY+]
なんと…寸止め…!!おほおおお!

122 名前:スピーディー・ワンダー 6/6 mailto:sage [2009/02/14(土) 19:46:43 ID:SJoRETwm]
「シャーリー! お誕生日おめでとーーー!!!」
ルッキーニがその言葉を読み上げた。 そう、読み上げた。 光、光、光。 ライムグリーン、スカイブルー、オレンジイエロー。
そこには巨大な電装で、あたしへのバースデーメッセージが組み上げられていた。
光が美しく幾何学的に揺れて、幻想的な輝きを作り出す。 でも、それは機械の力ではなくて。
人、人、人。 それぞれのライトを持っていたのは、いつも影ながらあたしたちをサポートしてくれてるスタッフのみんなだった。
もう、足は完全に止まっていて。 その輝きに目を奪われたまま、あたしはそこに立ちつくしていた。

「うわー! 実際に見てみると、すっごーい!!!」
「ふふ。 上に知られたら大目玉ね。 草案を聞いた時はどうしようかと思っちゃった。 うまくいってよかったわ。」
「ルッキーニが途中で名乗りをあげた時は焦ったけどナ。 やっぱこれはラストじゃなきゃ締まんねーヨ!」
後ろからみんなの声が追いついてくる。 上の空で聞きながら、あぁ、みんなは知ってたんだな、と薄ぼんやり理解した。
ルッキーニが駆け寄ってきて、あたしの胸に跳び込む。

「どう、シャーリー! すごいでしょ! すごいでしょ! あたしが考えて、スタッフのみんなと企画したんだよ! それで……。」
あたしの方を見上げたルッキーニがぷつりと言葉を切る。 その顔が、初めて見る柔らかさで微笑みを形どった。

「……好きだよ、シャーリー。 かっこよくても、悪くても。 いつでも本当のあたしを見せるよ。 だからさ。 シャーリーもあたしに甘えてね。」
ルッキーニの頬に涙の粒が当たっては弾けていく。 その様子で、あたしは自分が泣いているのだと自覚した。
自分を知ってるつもりだった。 でも。 こんな気持ちは知らなかった。 愛しさ。 その気持ちが、こんなにもあたしを芯から揺さぶるなんて。
一人だけの力で、どこまでも速く生きたかった。 そんなあたしの目の前に、あたしを想ってくれる人たちの力で、この光景がある。
それがあまりに信じがたくて。 それがあまりに眩しくて。 それがあまりに愛しくて。 気がつけば泣いていた。

ルッキーニ。 あんたがこれを作ったのか。 あんたがこれを見せたいと思ってくれたのか。 あたしは。 あたしは、なんて。
泣き続けるあたしの背中を、目の前の小さな少女は、いつまでも優しく撫で続けてくれていた。

夜中。 まどろみが少しだけ晴れて、おぼろげに意識を取り戻す。 傍らにはルッキーニ。 ルッキーニとあたしの間にはサルバドル。
今日は誕生日だからって。 ルッキーニはあたしと一緒に寝ると決めてたらしい。
昨夜のパーティを思い出しながら、少女の頬を優しく撫でる。 出会ってからずっと。 あたしの方がお姉さんなつもりでいたけどさ。
ひょっとしたら、あたしの知らない色々な素敵を、この子は知ってるのかもしれないね。
見守るだけじゃなくって、この子と一緒に肩を並べて歩く日だって。 もうそこまで来てるのかもしれないや。

ルッキーニを抱き寄せながら、もう一度目を閉じる。 ミルクのような甘い香りが、私を再び安らかな眠りへ誘っていく。
なぁサルバドル。 あんた、そこにいていいのかい? 逃げた方がいいんでない。
どうやら、あたしたち。 まだまだ近付きそうなんだよね。

おしまい

123 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 19:54:40 ID:SJoRETwm]
スレの流れを止めてしまって申し訳ありませんでした。
ちょっと驚きの規制にかかっていました……。
昨日は体が空かず一日遅れになってしまいましたがシャーリーお誕生日おめでとうー。
最近スレの流れを追えていないので、これからゆっくりとスレを読みたいと思います。

124 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 20:19:15 ID:UejKiwWs]
ダメだ。 どうしてもサルバドルで吹いてしまうw

125 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 20:35:23 ID:aGntHtSs]
>>123
いい話だった…GJ!なんかすごく優しい気持ちになったよ
サルバドル君、いい味出してますね。好きよ。

126 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 21:03:24 ID:rnE6B+4R]
>>122
GJ! シャーリー幸せモンだなw
最初の少佐から炸裂するツッコミの小気味よさにニヤニヤしながら
ハルトマンとルッキーニにぐっと来た。よかったなぁシャーリー。
そんでサルバドル君には噴かざるをえないwwww

127 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 21:06:45 ID:S+ey/Bh4]
テスト

128 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 21:08:12 ID:S+ey/Bh4]
こんばんは。LWqeWTRGです。
バレンタインネタを書いたんですが王道的展開になっちゃいました。
例のごとくえいらにゃです。
タイトルは「ハートのプレゼント」で4レスです。

ですが、なんか携帯の調子が悪いため途中で書き込めなくなるかもしれません。先ほどのテストもそのせいです。すいません。
5分あいだがあくようでしたら、その時は無視して他の方どんどん投下なさってください。



129 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 21:09:33 ID:S+ey/Bh4]
ついにきた…決戦の日だ…。
今までの私の好感度によって今日の成果が決まる…。
私はしっかり用意したぞ…。今日ばかりは頑張ってハート型だ!
サーニャからは義理か、本命か…。はたまたハート型か、別の形か…。
ああああ怖えぇぇぇーー!!
頼むぞおぉぉぉ!サーニャーー!!!

「エイラ?どうしたの?」
「ウワアァッ!!」
「そこまで…驚かなくたって……」
「サ、サーニャ!ごめん!今ちょっと、えっと…そう!瞑想してたんダヨ!瞑想!」
「瞑想?」
「そう!瞑想ダ!坂本少佐に教わったんダヨ!」
「ふぅん。そうなんだ」
「オウ!」
「……」
「……?」
「……」
「…それでサーニャこそどうしたんダ?」
「え?別に…どうもしないよ…?」
「そうカ…」

あれ?なんかまずくね?渡される気配がない。
義理本命とか形以前にもらえな……。
うそだろおぉおおおぉぉぉ!!?

「大丈夫?エイラ」
「アアダイジョウブダ」
「本当に?顔色悪いよ?」
「ナンテコトナイッテ」
「無理しちゃダメだよ?きつくなったら私に言ってね?」
「オウ、アンガト」

サーニャ……。心配してくれるのは嬉しいけどそうじゃないんだ…。
今日はバレンタインだぞ…。



130 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 21:10:37 ID:S+ey/Bh4]
こんな寄り添うくらい近くにいるのになにも無しってことはないよな!?
ない…よな……?

「あ、サーニャちゃーん!はい、チョコレート」
「芳佳ちゃん!ありがとう…。はい、私からも…」
「うわぁありがとう!大事に食べるね!あ、はい、エイラさんもチョコレート」
「あ、アア、アリガトナ」

宮藤にはある、だと……。
これは…終了なのか…。フラグは立ってないと…、そういうことなのか…。

「フフ…うフふふフフふフふふふ……」
「エ、エイラ…やっぱり休んだ方が…」
「イーや、マだまダダ」
「ダメよ、エイラ…。無理しちゃ…」
「ダイじょうブだっテ」
「本当に無理しちゃ…ダメなんだからね…?」

はあ…。もうほんとに寝よっかなー。
隊長に体調が悪いって言って休むか…。
ふふ、隊長に体調だって…。
うん、今日はだめだ…もうムリダナ…。





131 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 21:12:24 ID:S+ey/Bh4]
「サーニャ、やっぱり私寝るよ…。その前に、はい、バレンタインのチョコ。あ、私が部屋戻ってから開けてクレナ…」

「エイラ…」

私があげたらくれるかなと思ったけど最後の希望も打ち砕かれた、か。
でも私はあきらめないぞ。
いつか宮藤からサーニャを取り返してみせる!
……ま、今日はもう気力ないしムリなんだけどなー…。

「あーあ…。宮藤がうらやましいナ…」

ちぇ…水晶玉が黒く見えるぜ…。
あー、このままずっと眠っていたい……。

……。

……は?黒?
いやいやいや…、さすがに黒はないだろ。
いくら心が荒んでいても曇って見えるくらいだろうに…。


ちょ、マジで黒い!
なにこれ?水晶じゃないじゃん。私のどこいった?

というか…これ、チョコレート?
中に何か…。カード?とハートのチョコがいっぱい…。

誰からだ?

『エイラ、いつもありがとう。ずっと一緒だよ。だいすき』

名前…ないけど、サーニャだよな…?
サーニャ…だよな…!

「サーニャ!」



132 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 21:13:28 ID:S+ey/Bh4]
「サーニャ!どこいった?サーニャ!」

「エイラ!起きて平気なの?」
「そんなことより!コレ!」
「あ…。ごめんね、面と向かってだと恥ずかしくて…」
「サーニャ!」
「きゃっ」
「私だって…私だってサーニャとずっと一緒にいたい。サーニャがだいすきなんだ!」

はぁ、はぁ。
…あれ?私、なに言った?今なにしてるんだ?

「ってうわ!ご、ゴメン!」
「なんで謝るの?私、嬉しいのよ?エイラからだいすきって聞けて」
「ま、待ってサーニャ…離してクレ…」
「やぁ。ずっとこうしてる」

な、マテ、これは…フラグ立ってた?
両思いって…ことだよな…?

「エイラ、チョコレートありがとね。ハート型、嬉しかった」
「エ、あ、うん…」
「私のハートも…ちゃんと食べてね?」
「ハイ…」

もうダメだ。チョコまだ食べてないのに鼻血でる。

「ねぇ…もういっかい言って?」
「な、なにをダ?」
「だいすき…って……」
「う…うぅ…」
「ねぇ…エイラ…」
「……サーニャ!」
「はい」
「だいすきダーー!!…――ッ!?」

サーニャの顔が…、サーニャの唇が私の…。
ああ…もう死ぬ…。
もう…意識が…保た…な…。


END



133 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 21:14:44 ID:S+ey/Bh4]
以上です。投下できてよかった…。
扶桑的にチョコ渡してますが、ブリタニアには19世紀にチョコを渡す習慣ができたそうなので多分これで大丈夫。
お金の問題とかはウィッチですから。
水晶型チョコとか中にハート型たくさんとかはサーニャすげぇということでスルーしてくださいw

では失礼します。



134 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 21:35:52 ID:nClfbLhJ]
休日と年中行事が重なって凄まじい投下ラッシュになると期待していたのにこの予想外な投下の少なさ&過疎
このスレの住人はそんなに不定休で忙しい人が多いのか…ああなるほど、皆リアじゅ(ry

ここですら人生の格差を思い知らされるなんてよぉ!!ヒャッハー!水と食料とチョコを置いていきな!

135 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 21:45:20 ID:QFXyyFo9]
>>104
このコピペのことかと思ってついやってしまった。


「胡椒、かけちゃったの!!!!????」

多分、私の口の周りに微妙に胡椒の粒がついていたのだろう。
うん、かけたよ。美味いなこれ。と答えた。すると、

「オラーシャの料理は初めてなの?
 (答える間もなく)何で胡椒をかけたの?
 ボルシチを飲む前に何で胡椒をかけたの?
 ルールがあるじゃないですか。
 まずはそのままというルールがあるじゃないですか!」
と18センチのまま一気にかましながら、持ってきたピロシキを手放さずにこう言った。

「これを食べさせることは出来ません。マナーに反する人はお帰りください」

唖然とした。
「だってここに胡椒が置いてあるから、かけちゃいけないなんて書いてないからかけたんじゃないかー。
 じゃあ、今から水を飲みまくるよ。で、口の中を洗うよ。
 それでも駄目なのか?」
と訊ねたら、また同じことを言われた。

ミヤフジを見たら、ミヤフジは「あちゃー」という顔で奥でもじもじしている。
そっか、わかった。次はリーネだ。
3秒ほど無表情で見詰めたら、反応があった。

「エイラさんはお酒を呑みますか? 利き酒って知ってますか?
 利き酒をする前に胡椒をかけますか?
 そういうことです。そんな神経の人に食べてもらっては困るんです」
ここでまたサーニャがかまし始める。
「わたしはエイラのために必死にやってるの。
 お料理を認めてくれないなら、やっていけないの。
 胡椒が中に入っていたらまともにボルシチを味わってもらえないじゃない
 そんな人にボルシチを食べて味を判断されたら、もう終わりなのっ、はぁーはぁーはぁっ」


ところでボルシチには黒胡椒ですよね。
>>123>>133GJ!!貰えるか貰えないかの瀬戸際ってのは王道ですよねー。
これで実はサーニャの方も「貰えなかったらどうしよう……」とか考えてたらいいのに。

>>134大量投下が当たり前なんて、ちょっとこのスレに毒されすぎてやいないかw

136 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 21:49:27 ID:/dPB0LrD]
ここSS投下量異常だからなw

137 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 22:03:39 ID:xhT/x0gG]
>>123
来てくれてありがとう、名無しのエース
ダイナマイトからサルバドルまで、そしてこれからも
ジュテーム ボークー

>>133
王道おいしいです
エイラのテンパり具合に感じ入った

138 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 22:22:21 ID:9tGlZv8c]
書いてるけど間に合わなさそうw
やっぱ日付変わった後にバレンタインデーネタ投下したら空気読めてないですかね?w

139 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 22:31:12 ID:dOWXJoDK]
>>134
過疎板で勢い50超えと言う事実を認識しなさいw 話はそれからだ。
( ・∀・)っ[M&M's]

>>138
少なくともグリニッジ標準時などを考えると問題ないかと。
てか日付なんてキニシナイ!! このスレ的に賞味期限なんてナイデスヨ。さあ。

140 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 22:31:40 ID:sIebUPYI]
>>138
いいんじゃない? バレンタインデーの報告、みたいなスタンスで。
というか、自分自身、今日中には書き終わりそうにないので……。



141 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 22:51:00 ID:9tGlZv8c]
>>139>>140
ありがとうですw
後一時間頑張ってみよう…。多分間に合わないけどw

142 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 22:53:58 ID:eg3/qhgr]
みんな書くの早すぎw
俺なんて1レスを満たすのに、丸一日を掛けてるってのにw

143 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 23:02:37 ID:3EJGa9lI]
智子ビューリングのバレンタインSSが上手く行かなくて投げかけてたんですが…
スレ見てると結構頑張ってる方いらっしゃるようなのでちょっと頑張ってくるであります!(ヘルマ敬礼AA略

144 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 23:07:58 ID:QFXyyFo9]
転載
ttp://up2.viploader.net/pic/src/viploader922316.jpg
なんぞこれww

>>141
ブリタニアで15日00:00は扶桑時間で同日09:00。
つまり明日の9時までなら今日がバレンタインデーと言い張れる!
いやもちろん遅れても全然問題ないとは思いますが。

145 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 23:08:04 ID:rnE6B+4R]
>>133
やーもうバレンタインも甘々だねこの二人はw
エイラニャバレンタが読めて小さくガッツポーズしてます
サーニャは「いつ気づいてくれるのかな…」とドキドキしてたのかと思うとたまんねー
と思ったけど確かに「貰えなかったらどうしよう…」の方が先ですね

>>141
日付変わっても待ってますよんw

146 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 23:52:11 ID:ej55OOTZ]
>>111
なぜ謝るのか。むしろどんどんやってください。
つかそれ見てさらに電波を受信した。
体力的にSSにできないのが惜しい(絶対長くなるし)。

そんなわけでOsqVefuYです。SS投下します。
一人称はペリーヌ。カプはよくわかりません。>>73のとちょこッとリンクしてたりとか。
タイトルは最後に。ちょい長め。5レスの予定。

147 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 23:52:53 ID:ej55OOTZ]
 まさか夜中の、それも食堂で、人と出くわすことになるとは思わなかった。
 しかもいきなり抱きついてくるのだから、たまったものではない。
 それはシャーリー中尉だった。
 彼女がなにをしていたのかは知らない。なにやら様子がおかしいようだったけれど……まあ、どうでもいい。
 本当にたまったものではない。大きければいいというものではないのだし。
 わたくしは彼女と少し話をして、そのあと自分の部屋に帰ってしまった。
 本来ならば、わたくしは厨房に用事があったのだけれど――
 シャーリー中尉の放ったある一言のせいで、気がすっかり動転してしまっていた。
 なにやら厨房にも人がいたようだし。それでは用事はできそうにない。
 このことはあくまで秘密裏に行わねばならぬからだ。
 まったく、もう。
 両手に大量のチョコレートを抱えて歩きながら、わたくしは悪態をついた。

 そうして自室に戻ったわたくしは、悶々と落ち着きなく部屋のなかを歩きまわる。
 石ころでもあったら蹴飛ばしてやりたい気分だった。
 刻々と夜は更けてゆくばかり。普段ならすでにベッドに入っている頃合いだ。
 まったく、明日は2月14日だというのに。
 いや、正しくない。日付は代わり、14日はもう今日となってしまった。
 そう、今日はもうバレンタインデーなのだ。
 愛しいあの方へと、甘いチョコレートとともに、わたくしの気持ちを伝える日。
 もちろん1年366日、わたくしのあの方への思いがどうにかなるなんてことはない。
 明日、もとい今日だって、そのなかのただの一日でしかない。
 なんてことない、特別でないただの一日。
 けれど、なにも一年間、毎日毎日同じでなくたっていい。
 たしかに思いは変わらない。当然だ。
 だけど、その思いを伝えられない意気地無しな自分だって一向に変わらない。
 だからそんなわたくしのような者のために、バレンタインデーという日があるのではないのか。
 これは神様がなかなか勇気の持てないわたくしに与えたもうたきっかけ。
 そうでないのか。そのはずである。
 なのに、まだそのチョコレートができていないなんて……

 なにも手作りでなんてなくてもいいんじゃないかしら。
 已然、手にはチョコレートを抱えたわたくしに、そんな考えがよぎった。
 別にこのままこれを渡してしまってもいいのではないか(もちろん包装はし直すけれど)。
 それでもかまわないんじゃないか。……そっちの方が、味が良いかもしれないし。
 でも本当にそうだろうか? わたくしの胸にわだかまりが残る。
 いや、否。そんな考え、断じて否ですわ。
 なぜならわたくしの辞書に妥協なんて文字はないのだから。
 こんな素っ気ない市販のチョコが、わたくしのあの方への思いだとでも?
 いいや、違う。そんなはずは断じてない。
 わたくしは思い立つと再び厨房へ向かうため、その歩を前へと向けた。

 よかった。誰もいない――
 厨房の電気は消えており、わたくしは手探りでそれをつけようとした。
 すると、足元にあるなにかに蹴つまづきそうになってしまった。
 なにかしら、これは?  それは紙袋だった。
 なぜこんなものが……? まあいい。こんなものに気を取られている場合ではない。
 わたくしにはやるべきことがあるのだから。
 しかも、けして誰にも知られずにだ。
 その思いを伝えるまで、なんびとにも知られてはならない。
 秘めたる願いというのはそういうものだ。
 前に本で読んだことがある。扶桑にもそういう文化があるんだとか。
 なんでも丑の刻まいりと言うらしい。くわしいことはわたくしにはわからないけど。

148 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 23:56:41 ID:ej55OOTZ]
 そうしてわたくしのチョコレート作りがはじまった。
 正直に言えば、やや苦戦した。
 鍋をひっくり返して床にぶちまけてしまったり、チョコを刻むつもりが自分の指を刻んでしまったり、
 火力を間違えたのか焦げくさい臭いがしてしまったり……まあ、ちょっとした苦戦だった。
 念のためにチョコをたくさん用意しておいてよかった。備えあれば憂いなし。
 ――そうしてようやく、それは完成した。
 わたくしは味見にと一口、頬張ってみる。
 …………
 ……………………
 …………………………………………
 わたくしは流しに直行し、それを吐き出した。
 なんなのよ、これ……?
 口どけもよくなければ、強烈な苦味が舌を刺激し、口のなかを暴れまわる。
 不味い。冗談を誘うような不味さではない。ただ純粋に、これは不味い。
 賞味した今、手にしたそれに視線を落とせば、黒々とした光沢がなんだか邪悪なものに映って見える。

 たくさん用意したとはいえ、数々の失敗のためにもうチョコはあと一回分しか残っていない。
 時間的にもこれが最後のチャンスだろう。
 わたくしは躊躇する。やはりやめておいた方がよかったのではないか。
 けれど、それをすぐさま、首を横に振って否定する。
 繰り返す。わたくしの辞書に妥協という文字はないのだ。
 わたくしが意気こんで、さあ作業をはじめようとすると――

「あのう……」

 突然の後ろからの声に、わたくしの背筋に電気が走った。
 振り返れば、そこにいるのはこのあいだ入ってきた新人だった。
 名前はリネット・ビショップ。階級は軍曹。
 本国であるブリタニアが寄越したのが、なぜこんな新米のウィッチなのか……まあそのことは今はいい。
「なにをしているんですか?」
 わたくしがたじろいでいると、彼女はそう訊いてくる。
「あなたこそ、こんな夜更けになにを?」
 質問に質問に返すわたくし。
 その声がつい尖ってしまった。わたくしの悪い癖だ。
「忘れ物です」
 彼女はそう言って、わたくしのすぐ足元にあった紙袋を持ちあげる。
 そういえばそんなものがあったことをわたくしは思い出した。
「夜、目を覚ましちゃって、そしたら忘れてたの思い出しちゃって」
 と、彼女はつけ加えた。
 そう、と愛想なくわたくし。胸を撫で下ろしつつ。
 が、もう用事はすませたはずなのに、彼女がここを立ち去る素振りはない。
「まだなにか?」
 わたくしは彼女を見やって言った。
「バレンタインのチョコレート作ってるんですか?」
 なぜそのことが……
 ああ、そうか。流しには焦げつかせた鍋や、三角コーナーにはかつてチョコであった残骸がある。
「それがなにか?」
 一応、認める。知られてしまったからにはもはやどうしようもない。
 だから、彼女のことなどもうどうでもいい。わたくしは作業を再開することにした。

149 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/14(土) 23:58:48 ID:ej55OOTZ]
「あのー」
 と、まだそこにいる彼女は呼びかけてくる。無視しても、何度も。
「なによ!?」
「お手伝いしましょうか?」
 な、なにを言ってるの、この子は……?
「結構です」
 わたくしはきっぱりと拒否。
「でも……」
 彼女はわたくしの手元を見てくる。まるで、はじめてのおつかいをしている子供を見るような目つきで。
 まあたしかに、今のラチがあかない。それに、もう隠しだてもしようがないのだし。
「あなたがそんなに言うのなら……」
 わたくしは了解することにした。

 彼女は基本的に要所で口を挟むだけで、手は貸さなかった。わたくしが拒んだからだけど。
 それだけとはいえ、そのアドバイスはなかなかありがたかった。
 そうして見違えるほどスムーズにチョコレート作りは終わった(なんだか彼女は苦い顔をしていたけれど)。

「私、少しはお役に立てましたか?」
 彼女はそう、訊ねかけてきた。
 まあ……とわたくしは曖昧に肯定する。
 よかったぁ、と彼女は笑顔を見せる。
「私、いつもみんなの足を引っぱっちゃうから」
 彼女はそう言うと、さきほどの笑顔に少し陰が差しこむ。
「だから、どんなことでもお役に立てるのが嬉しいんです」
 なにか言ってあげた方がいいんだろうか。わたくしは考えをめぐらせる。
「こんなことでしか役に立てないようじゃ困るのよ」
 ようやく口から出たのは、そんな言葉だけだ。
 もちろんわたくしには“こんなこと”なんかで済まされることではないけれど。
 役に立ちたいって、それでチョコ作りの手伝い。こんなことで安心されてたらたまらない。
 それならメイドにでもなればいい。そっちの方が彼女にはずっと向いているんじゃないかしら。
 でも――彼女がいてくれて助かった。
 それはどうしようもない事実だ。
 だからやっぱり、なにか言わなければいけない。
「リネットさん」
 と、わたくしは彼女の名前を呼ぶ。
「リーネでいいですよ。みんなそう呼びますし」
 リーネ。そう口には出さずに呼んでみる。
 口に出してみようとしても、なんだかそれは出てはこなかった。
 かまわずわたくしは言葉を続ける。
「誰だって最初からうまくできるはずないでしょ」
 それはわたくしに向けての言葉だったのか、彼女に向けての言葉だったのか――
 まあ、ただの一般論だ。言うと、わたくしは彼女から顔をそむけた。

「ところで、このチョコレート、誰にあげるんですか?」
 つい気を許していると、彼女はそんなことを訊いてくる。
 わたくしは無視。そんなこと、この子に教えてやる筋合いはない。おそらく。
 すると、彼女は続けてさらに――
「やっぱり坂本少佐ですか?」
「なっ、なにを言っているの!?」
 もしかしてこの子、エスパーなのかしら? いや、そんな非科学的な。
 それともわたくしがサトラレだとでも? いやいや、それこそあり得ない話だわ。
 そういえば少し前に、シャーリー中尉にも同じことを言い当てられた。
 なんなのかしら、いったい。なにか陰謀的な香りを感ぜずにはいられない。
 チョコレートはすでに完成して、ラッピングも完璧だ。
「そ、それじゃあ」
 そう言ってわたくしはその場から立ち去った。
 窓から見える空はもう、朝日に赤く染まりはじめていた。

150 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 00:02:30 ID:ej55OOTZ]
 部屋に帰ったものの、眠るには時間がない。
 結局わたくしは完徹してしまった。
 日課である測距儀での哨戒で時間をつぶしていると、朝食の時間となったので、
 わたくしは再び食堂へとおもむいた。
「おはよ」
 と、その途中でシャーリー中尉に出会った。
 シャーリー中尉はウサギのように目を真っ赤にして、まぶたはぼっこり腫れあがっていた。
 昨日の夜はなんともなかったのに。ものもらいだろうか?
 その隣には天敵であるルッキーニ少尉がべったりとくつっいている。
 やれやれ、朝からお盛んなことで。
「どうかしたのか、ペリーヌ。目の下にクマできてるぞ」
「別に……あなたこそ、目が真っ赤ですけど」
「べっつにー」

 そして朝食が終わり、坂本少佐が一人きりになるのを見計らって、わたくしはそのあとを追った。
 少佐は廊下をどんどん歩いて行ってしまう。
 わたくしの手にはチョコレート。少佐の後ろをこっそり追いかけ、渡す機会をうかがった。
 それはそれでえも言われぬ幸福であったけれど……いや、こんなことで楽しんでいる場合ではない。
 渡さなければ、伝えなければ……!
 わたくしは意を決して少佐の名前を呼ぼうとして――

「あの、坂本少佐」

 と、これはわたくしの口から出た言葉ではない。
 そうではなく、それを言ったのは――
「ん? どうかしたのかリーネ?」
 と、少佐は立ち止まる。
 するとあの子は紙袋(昨晩のあれだ)からなにやら小さな箱を取り出して、少佐の前にはいと差し出す。
 そして、一言。
「チョコレートです」
 そこでわたくしの世界が音のないものに変わった。
 しかも少佐はそれを受け取り、さらにはその場で頬張りはじめてしまう。
 とっても美味しそうに……

 なっ……なんなのよ、あの子っ!
 わたくしは浮かぶかぎりの罵詈雑言で、あの子のことを頭のなかで罵った。
 手がチョコレートでふさがってなければ、ハンカチを取り出して噛み締めているところだ。
 なにか和気あいあいと話なんかしてるようだけど、呆然とするわたくしの耳には入ってこない。



151 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 00:04:17 ID:ej55OOTZ]
 わたくしはただその場に立ち尽くしていた。
 未だ手にしたままの渡せなかったチョコレートを、もうどこかに投げ捨ててしまいたくなった。
 すっと右手を挙げて振りかぶる。
 ――と、
「ペリーヌ」
 名前が呼ばれて、その手が止まる。
 わたくしはその声の方に顔を向ける。向けずともそれが誰かはわかったけれど。
 わたくしの目の前にいるのは坂本少佐だった。
「お前もか?」
 と、少佐はわたくしの手にしたチョコレートを見て、訊ねかけてくる。
 わたくしは振りあげていた手をすっと下ろした。
「ええ、まあ……」
 あの子の後と言うのが不服ではあったけれど、なんとかそれだけ口に出した。
 すると、少佐は右手のひらを上向きに、わたくしの前に差し出してくる。
 こ、これは……?
「お前の気持ちはわかっている」
 少佐はそうおっしゃった。
「う、受け取っていただけるのですね!?」
「当然だろう」
 少佐はうんとうなずく。
 わたくしの視界一面に花畑が広がった。
「――――とサラシは欠かされぬと言うしな」
 少佐はそのあとに、なにかおっしゃっていたけれど、わたくしはよく覚えていない。

 わたくしはその手のひらにがたがたと震えるチョコレートを差し出た。
 手ががたがたと震えたためだ。
 少佐は豪快にもその場で包み紙を破き出して、そうしてわたくしの手作りチョコレートを頬張りはじめる。
 ぴくん、と一瞬、少佐の眉が動いた。どうかしたのだろうか?
 けれどそんな懸念など関係なく、少佐はぺろりと平らげてしまった。
「ありがとう」
 そう少佐は言い残すと、わたくしの肩をぽんと叩き、そうしてこちらへと歩を進め行ってしまった。
 わたくしは長いあいだ、その場に立ち尽くしたままだった。
 後ろからなにかがバタッと倒れる音がしたけど、いったいなんの音だったのかしら?

『お前の気持ちはわかっている』
 その言葉がわたくしの脳内で際限なくリピート再生される。
 わたくしはすっかり放心状態だった。

152 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 00:06:21 ID:MweQkeIR]
「ペリーヌさん」
 ようやくとぼとぼとあてもなく歩き出したわたくしは、その声に呼び止められた。
「どうかしたの、リネットさん?」
 わたくしは彼女に向き直った。
 すると彼女は手にした紙袋から包装された小さな箱を出して、わたくしの前にそれを差し出してくる。
「チョコレートです。みんなに配ってるところなんです」
 そういえばこの子、坂本少佐にも……
 先ほどのことですっかり忘却の彼方だったけれど、なんだみんなに配っていたのか。
 そしてそれを、わたくしにもくれるということなのだろう。
「もちろん義理チョコですけど」
 彼女はそう、つけ加えた。。
 ん? 義理?
 その言葉がわたくしのなかで引っ掛かった。
 ついさっき、どこかで耳にしたような……

『お前の気持ちはわかっている』

 いや、これではなくって。

『義理とサラシは欠かされぬと言うしな』

 …………!!!!
 ち、違います、坂本少佐っ!
 少佐は勘違いなさってます!
 だってわたくしの方はまごうことなき本命――

「どうかしたんですか?」
 怪訝そうに彼女は訊いてくる。その声にわたくしは、目の前の現実に引き戻された。
 彼女はチョコを差し出してくる。義理チョコを。
 受け取るべきなのだろうか。わたくしは思案して――それを受け取ることにした。
 だって少佐もおっしゃっていたではないか。義理とサラシは欠かされぬ、と。
 それになんだかこの子とは……
 わたくしのなかに、ある予感が涌いてくる。けれど、それはすぐさま打ち消した。

 わたくしは差し出されるそれに手を伸ばした。
 なにかお礼を言った方がいいのだろうか。たとえば、ありがとうの一言でも。
 あ、あ、あ――

「あとでいただくわ」

 わたくしはそう言って、彼女からチョコを受け取った。
「ペリーヌさん、ありがとう」
 なぜ彼女がお礼を言うのか。
 本当によくわからない子だ。
「受け取ってくれてよかったです」
 彼女はそう言うとなんだかほっとした様子だった。まさかわたくしがつき返すとでも思ったのだろうか。
 すると、彼女は言った。

「なんだかペリーヌさんとは長いつき合いになりそうだから」

 ……なにを言うのかしらこの子は?
 聞いちゃいられない。わたくしは彼女に背を向けた。
 幸い、今日は予定がない。部屋に帰って眠るとしよう。
 わたくしは彼女に、それだけ言って歩き出した。

「それじゃあ、また。リーネさん」

153 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 00:07:13 ID:MweQkeIR]
以上、また改行制限がorz。
1レス増えました。すいません。
つか昨日からリーネ頑張りすぎ。
タイトルは「義理とサラシは欠かされぬ」です。

154 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 00:27:56 ID:3A5UdkSq]
2週間ちょいぶりにここ覗いてみて分かったんだけど、このスレ内だけ時間の進み方が異常に速いんだな、きっと。

浦島太郎の気持ちが良く分かった。



ママァーーー!!





さて過去に遡って追いかけるとしよう

155 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 00:37:53 ID:wVLSm1zS]
>>153
ペリーネらしいフラグの立ち方ですね、GJです!
ペリーヌに対する少佐の気遣いにも心が温まりました

156 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 00:50:26 ID:4R5agPcX]
>>153
ペリーヌ頑張れ、超頑張れと言いたくなる作品GJ!

もっペリ推進派の俺は、これは私からだ、といいながら口移しで
チョコを食べさせてあげる少佐が浮かんだんだぜw。


157 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 01:47:44 ID:/L3/Rv8m]
>>153
また痺れるSSを書いてくれるジャマイカ、GJ!!
これはあれですか、美緒ペリに見せかけたリネペリなんですか先生!?

しかし義理と褌は欠かされぬってブリタニア語で何て言うんだw

158 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 01:56:20 ID:ixEkmQ+E]
>>153
GJです!!リーネとペリーヌの距離感がいい感じ・・・。
ペリーヌの「あとでいただくわ」に萌えました!


それにしてもやはり間に合わなかったか・・・。
空気読まずに投下します。バレンタインデーネタ。
エイラ×エーリカかな?微妙だけど・・・。2レス分です。

159 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 01:58:33 ID:ixEkmQ+E]
何だか基地内の雰囲気がいつもと違う気がする。
「今日って何かあったっけかー…?」
ネウロイの襲撃は先日あったばかりだ。
それは安心感からだろう。襲撃があってしばらくは、隊長や少佐、
規律に煩い大尉殿以外はたいてい朝、時間通りに起きてくるコトは無い。
(だってのに何でまた今日は朝食から皆揃ってんだ?)
珍しく時間通りに目が覚めた私は、食堂へ行って驚いた。
「あ、エイラさん、おはようございます。」
宮藤に声をかけられる。ちなみにサーニャは例の如く部屋を間違え、只今私の部屋でお休み中だ。
「おはよう。今日って、何か特別な日か?」
「バレンタイン、って言うそうです。確か…」
好きな人にチョコレートを渡すと同時に自分の思いを伝えるイベント…か。
なるほどな、道理で皆様朝からそわそわしているワケだ。

「シャーリー、これ!チョコ!」
「おぉ!?ルッキーニ、いつの間に買ってたんだ!?」
「へへへ〜!」

「あ、あの、芳佳ちゃん!こっ、これ…」
「リーネちゃん、私に?ありがとう!!」

「あ、あの、し、少佐、こ「美緒、これ、私から愛を込めてよ、ふふ。」
「チョコレートか?わざわざ悪いなミーナ。有り難く頂くとするよ。」
「…………少佐ぁ。」

そこかしこで朝からお熱いコトで。それにしても私には全くと言っていいほど関係無いイベントだ。
そりゃあ私だって出来ればサーニャから欲しいけど、サーニャ、こういうイベントには疎そうだしなぁ。
そもそもサーニャの好きな人が私のハズが無いか…。

「あの…エイラ、これ、私から…、受け取ってくれる?」
「……何の冗談ダヨ、ハルトマン中尉?」
一瞬サーニャかと思ったが、今は私の部屋で寝てるワケだから、サーニャのハズが無い。
「ひ、酷い…!私、ホントにエイラのコトが好きで、勇気を出して言ったのに…!!」
「これ、笑うとこカ?」
後ろでオロオロしているバルクホルン大尉が見える。可哀相だからそろそろやめてあげろヨ。
「おい、中尉…、ん?」
中尉が私に向かってウィンクをする。なるほどね。
「ま、待ってくレ中尉。中尉の気持ちはありがたいケド、私まだ中尉のコト、あまりよく知らないカラ…。」
おー、あの堅物が慌ててるぞ、おもしろ〜。
ハルトマン中尉も笑いを堪えている。全く、この人は・・・。
「じゃ、じゃあ私のコト、もっと良く知ってよ…!!」
て、オイオイ中尉。それは流石に・・・。顔近いって、マズイマズイ!
「あ…っ…。」
口から小さく漏れた息はどちらのものか。中尉の小さな唇が私の唇に向かってどんどん近付いてくる。
このままじゃ本当に…っ!!

160 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 02:00:10 ID:ixEkmQ+E]
「あ、朝から何の騒ぎだこれは!!少佐やミーナまで一緒になって!
 と、と、特にエーリカ!お前は今、何をしようとしていたんだ!!」
バルクホルン大尉が突然に叫び、中尉がそちらの方を向く。助かった…。
「別にぃ〜。トゥルーデには関係ないっしょ〜?」
「な…!お、お前…!ちょっと来い!!」
大尉がハルトマン中尉を引っ張って食堂から出て行く。
中尉は引きずられながら私にもう一度ウィンクをした。このチョコは有り難く貰っとくよ、黒い悪魔さん。


部屋に戻ると既にサーニャは起きていた。いつもは昼頃まで寝てるんだけどな。
「あの、エイラ、今日、バレンタインだから…。」
ま、まさかサーニャが私にチョコを!?私は期待に胸を膨らませ、サーニャの次の言葉を待つ。
「だから、チョコレー…、エイラ。手に持ってるの、何?」
「…え?」
私が手に持っているのは、可愛いらしく包装された小さな箱。さっき貰ったチョコ…。
「あ、こっ、コレは違うんだヨ!その、間違いっていうカ…。そう!間違い!」
私はとっさにハルトマン中尉から貰ったチョコを後ろに隠す。
「間違い…?あれ、エイラ、何か落ちたよ…?紙?えっと…」

――――昨日の夜は楽しかったよ、次はいつにする?―――

「…エーリカより、だって。へぇー…、エイラ、ハルトマンさんとそんなに仲良かったんだ。
 いつも私が夜間哨戒に行ってる間、いつもハルトマンさんと…。」
あ、あ、あ、あの黒い悪魔…!!そこまで計算して…!!
「違うんだよサーニャ!これは中尉のイタズラで…!!」
「いい!もう知らないもん、エイラのバカッ!!」
そう叫ぶとサーニャは私の部屋から勢いよく出て行ってしまった。
「や、やられた…。ま、待ってくれサーニャぁ〜!!」
私はすぐさまサーニャを追い掛ける。何でこんなことに…。
私はあの満面の笑みを思い出し、心の中で吐き捨てた。

この借りは返してやるからナ、覚えてろヨ!黒い悪魔!




161 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 02:02:19 ID:ixEkmQ+E]
終わりです・・・。あぁ、疲れた。
細かい所を突っ込まれると泣いてしまいます。

初めて書いてみたんですが、すっごい大変ですよね・・・。
一週間で何本も投下されてる方、本当に尊敬します。
さて、今日は何本投下されるのかな〜。ROMるコトにしますです。

162 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 02:14:48 ID:CCsKxxt9]
芳イラ投下。以降6レス
バレンタインとか全然関係ないが何ともないぜ!

163 名前:1/6 mailto:sage [2009/02/15(日) 02:15:26 ID:CCsKxxt9]
寝静まった基地内の一角、ミーティングルームに見える二つの人影に、エイラは気付いた。
その影の一つは、彼女の寵愛を一身に受ける――と言うと語弊があるかもしれないが、
とにかく、エイラが大切に思っている人物である、サーニャの姿だった。
ソファーにちょこんと座った彼女は、隣り合って座るもう一人の誰かと、何か話をしている。
その様子に、こそこそと入り口の陰に隠れながら、疑念たっぷりの視線を注ぐエイラ。
どう見ても覗きだが、エイラ本人にしてみれば、これも立派な保護活動の一環である。
事の次第はこうだ。
夜中、喉の渇きを覚え、食堂で何か飲もうと部屋を出たエイラ。
ドアを開けて廊下へ出ると、サーニャが誰かを引き連れて、前方を歩いているのが見えるではないか。
その誰かの姿を確認する前に、二人は角を曲がってエイラの視界から消えてしまった。
さて、これは怪しいぞとエイラは思う。
こんな夜更けに、誰と、何の用があって何処へ行くのか。
その疑問は、サーニャの保護者を自負するエイラに、見極めるべき事象の一つとして認識された。
抜き足差し足で二人の後をつけた結果、こうしてミーティングルームに辿り着いたわけである。

サーニャの隣に座ったその相手は、芳佳だった。
元気が取り得のような芳佳にしては珍しく、俯き、少し辛そうな表情をしている。
そんな彼女の様子を見たエイラが、少しばかり心配な気持ちになっていると、
二人の会話内容が途切れ途切れに聞こえてきた。
「私――のこと――みたい――で――」
芳佳の声だ。やはり、その声には元気がない。
頭を垂れてぼそぼそと喋るその様子は、普段の明朗な彼女のそれとはかけ離れており、
ひどく思いつめたような声色に、エイラは驚きを隠せなかった。
何か悩みというか、サーニャに打ち明けるべき事があって、話をしている。そんな雰囲気があった。
(……ワタシじゃなくて、サーニャか)
ふと、自分の中で、そんな感想があがった。
(ワタシに遠慮すること、ないだろ……)
そう思ってすぐに、遠慮してるわけないよな、とエイラは思い直す。
自分では力になれない何かがあったから、彼女はサーニャを頼っている――そんな確信があった。
同時に、無力感と焦燥感が混じりあったような感情が湧いてくるのを、エイラは感じた。
よく分からないその感情をエイラが持て余している間にも、二人の会話は続けられる。
「ごめん――言われても――サーニャちゃんには――ダメ――」
「わたしのことは――しないで」
二人は何を話しているのだろう。沈む芳佳に、サーニャはどんな言葉をかけたのだろう。
エイラは必死に考えるが、答えは出ない。
――さっさと戻って、眠ってしまおう。
そんな、逃げ出したいような気持ちが湧いてくるが、自らの両足は楔を打たれたように、その場から動こうとしない。
「でも――ちゃんだって――さんの――」
「――イラは――」
エイラは、思わずどきりとして顔を上げた。自分の存在がばれたかと思ったが、そうではない。
話の中で名前が挙がっただけだと気付き、ほっと胸をなでおろす。
それから少し話が続き、程なく二人の会話が止んだ。
静寂が支配する空間の中で、エイラは、これはチャンスかもしれない、と思った。
あの二人に声をかけるための、好機だ。
エイラにとっては、彼女らの会話に横槍を入れて気まずい空気を作るよりは、沈黙の空気を
無遠慮に塗り替えながらずけずけと介入する方が、気が楽だったからだ。
だが、そうして自分が割り込んだところで、果たして何をしてやればいいのか。
こういった精神面での話になると、天性の鈍くささでもって、相手の期待をことごとく
裏切ってしまうことを、エイラは自覚していた。
もし自分の能力が予知なんかじゃなく、例えば読心術であったなら、彼女の力になることが出来るのだろうか?
沈んだ芳佳を、笑わせてやることが――
そう思ったとき、ある風景が頭の中にフラッシュバックした。
芳佳が何かを言い、エイラがそれをからかって、サーニャがくすっと微笑む、そんないつもの風景。
はっとして顔を上げた。自分にも出来ることが、そこにあった。
いつものように、からかってやるのだ。三枚目の立場の自分が、相手の事情など、お構い無しに。
つまらない悩みなんて、笑い飛ばしてやればいい。
勇気を振り絞って、一歩を踏み出した。
意地悪なイタズラっ子の顔をしながら、出来るだけおどけた口調で、

164 名前:2/6 mailto:sage [2009/02/15(日) 02:16:10 ID:CCsKxxt9]
「こんな時間に、何話してんダ〜?」
ソファーの二人に夜討ちを仕掛けた。





彼女を意識し始めたのは、いつからだろう。
三人で飛んだあの誕生日? ううん、違う。多分……もっと前から。
初めて見たときはキレイな人だなと思ったけれど、その言動はどうにも締まりのない道化役で。
そんな彼女の不思議な魅力に、知らず知らず引き込まれていた。
風に翻るその髪も、行く手を見通す目の輝きも、
いたずらっぽく微笑んだ、ちょっぴり意地悪そうな表情も。
ぶっきらぼうに投げかけられる言葉も、その中に隠した何気ない優しさも、
いつの間にか、全部好きだった。


「ごめんねサーニャちゃん、こんな時間に呼び出しちゃって」
「ううん、大丈夫」
深夜のミーティングルーム。芳佳とサーニャは二人、隣り合ってソファーに座っていた。
普段ならそこにもう一人、サーニャとセットでエイラがいるはずだが、今回に限っては彼女の姿はない。
エイラ抜きで、話したいことがある――
わざわざ夜の時間帯を選んでサーニャを連れ出したという芳佳の行動から、そんな雰囲気が感ぜられた。
その芳佳を見ると、俯いたまま、どこか苦しそうな表情を浮かべている。
言うべきか言わざるべきか、まだ迷っている、そんな面持ちだった。
その隣でサーニャは、黙って芳佳の言葉を待っていた。いつもと違う彼女の様子を、少し不安に思いながら。
深呼吸を一つした芳佳は、意を決したように顔を上げて、まっすぐにサーニャと向き合う。
「あ、あの、ね」
静まり返った部屋の中に、緊張に震える芳佳の声が響く。
「私、エイラさんのこと……」
その先に語られる言葉がどんなものであるか、サーニャにはもう解ってしまったようだった。
芳佳の眼差しから目を逸らしたサーニャは、少し悲しそうな表情で、膝の上に視線を落とした。
同じように芳佳も俯いて、小さな声でその言葉を続けた。
「……好き、になっちゃった、みたい、で……」
言ってしまった、という感じで、声が尻すぼみに消えてゆく。
再び静けさに包まれるミーティングルーム。
サーニャは何も言わなかった。小さな身体をさらに縮こまらせて、ひたすら、黙っていた。
その沈黙に、もう後戻りできないぞ、と言われている気がして、芳佳は身体を強張らせた。
「ご、ごめんね、いきなり言われても困っちゃうよね。……でも、サーニャちゃんには……その、
 言っておかなくちゃダメだって、思って……」
まるで懺悔をするように放たれる芳佳の言葉も、やがて夜の静けさに吸い込まれ、
無言でソファーに座る二人の少女を、冷やりとした部屋の空気が包み込んだ。
不意に、何も喋らなかったサーニャが、つぐんだ口を小さく開いて、言った。
「わたしのことは気にしないで」
予想外の一言に、芳佳は驚き、目を見開いてサーニャを見つめた。
それが本心からの言葉なのか、それとも自分のために無理をしてそう言ってくれているのか、
芳佳には、その真意を計ることは出来ない。
「で、でもサーニャちゃんだって……エイラさんのこと」
「うん。エイラは好き。好きだけど、芳佳ちゃんが思ってるのとは……多分、違うから。
それに、わたしの本当に好きな人は他にいるの」
「そ、そう……なの?」
彼女にも好きな人がいて、それは自分が心を寄せる人ではないという。
芳佳の問いにサーニャは小さく頷いて、柔らかく微笑んで見せる。
その仕草を見た芳佳は、彼女の発言がきっと本心からのものなのだろうと思った。
大切な友人と衝突するかもしれないという恐怖は、もはや感じる必要はないことに気付いて、
芳佳は安心感を感じずにはいられなかった。
「サーニャちゃんの気持ち……その人に伝わるといいね」
そんな言葉が、自然と口をついて出た。
その一瞬、サーニャが寂しげな表情をしたことに、芳佳は気がついてしまった。

165 名前:3/6 mailto:sage [2009/02/15(日) 02:16:49 ID:CCsKxxt9]
浮ついた自らの言葉が、故意ではないとはいえ、彼女を傷つけた――
そう感じ、芳佳は自分の軽率さを心の中で責める。
謝罪の言葉を探していると、夜のしじまを破りながら、その声は聞こえた。

「こんな時間に、何話してんダ〜?」

芳佳もサーニャも、自分の耳を疑った。今、確かに聞こえた。ここにいるべきでない人物の声が。
ぎょっとしてソファーの後ろを振り返ると、見慣れたニヤニヤ顔をして二人を見下ろす者が、いつの間にかそこにいた。
「おい宮藤、ワタシに内緒でサーニャに変なコト吹き込んでたんじゃネーダローナ」
芳佳をじろりと睨んだエイラは、そのまま覗き込むように、ずずいと顔を近づけた。
「え…………あ、ええ!?」
身体全体で動揺を表現しながら、その顔をエイラから引き離そうと仰け反る芳佳。
そのおかげでバランスを崩した身体が、ソファーの上から転げ落ちそうになったそのとき、
エイラが芳佳の両肩をつかみ、その身体をぐいと自分の側へ引き戻した。
「何やってんダヨ、落ち着けって。そんな驚かなくてもイイダロー」
誰のせいだ、と芳佳は思った。きっとサーニャも、内心では同じような気持ちに違いない。
いつの間にか真っ赤になった芳佳の顔を、エイラは不思議そうに見つめた。
「お前、何か顔赤いナ……。熱でもあるノカ?」
身をかがめ、芳佳と目線を合わせるエイラ。
つかまれた芳佳の肩がごく自然に引かれ、互いの額が、こつんとぶつかる。
サーニャが、あ……と小さく声を上げるが、温度に集中するエイラは、それに気付かない。
芳佳はというと、これ以上無いくらい真っ赤に茹で上げた全身を、
そこだけ時間が止まっているのではと思われるほどに硬直させながら、
エイラさんってやっぱりきれいだな、などということを、
頭の片隅に辛うじて残された思考可能な部分で、おぼろげに考えていた。
「やっぱり熱あるナ、お前。とっとと戻って寝ろヨ。でないと風邪ひくゾ」
くっつけた額を離しながら、諭すように言う。
解放された芳佳は、心ここにあらずといった感じに、ふえ? と間抜けな声で返事をする。
そのありさまに、心配を通り越して不審がるエイラ。
「……おいサーニャ、こいつダイジョーブか?」
問いかけたその先には、むすっとした目付きでエイラを睨む、サーニャの冷たい視線。
どうしてそんな顔してるんだ、とエイラは言いたくなったが、それが彼女の不機嫌をさらに
加速させてしまうように感じて、その質問をぐっと飲み込んだ。
「ナ、ナンダヨ、そんな目で、見ンナヨ……」
「…………エイラ……」
「いや、その、宮藤がダナ……」
はあ、とこれ見よがしに大きく溜息をついたサーニャは、すっかり骨抜きになった芳佳の手を取り、
「芳佳ちゃん、一緒に部屋、戻ろ」
二人でそそくさとミーティングルームから出て行ってしまった。
取り残されたエイラは、頭にクエスチョンマークを浮かべつつ、一人ぽつねんと立ち尽くした後、
やっぱり止めとけばよかったかなと思いながら、自分の部屋へ引き返すのだった。





深夜の滑走路に、その姿はあった。
真っ黒に染まった空を見上げる、一人のナイトウィッチ。
道に沿って一直線に配置された光の列が、進むべき方向はこちらだと言うように、
暗闇の中に伸びた一本の道を、そのナイトウィッチへと示している。
「サーニャ!」
ストライカーユニットを履き、今まさに飛び立とうとしているその背中へ向けて、エイラは呼びかけた。
「エイラ……?」
その名を呼ばれたナイトウィッチは、どうしたの、という表情で振り返った。
良かった、間に合った――そう思いながら、肩で息をするエイラ。
呼吸を落ち着けながら、エイラは足早にサーニャへ歩み寄ると、
「ちょっと、聞きたいコトが、あってサ」
そう、切り出した。
聞きたいこと――他でもない、芳佳についてのことだった。
昨日の夜、サーニャが何を話されたのか、教えて欲しいと思ったのだ。

166 名前:4/6 mailto:sage [2009/02/15(日) 02:17:30 ID:CCsKxxt9]
芳佳に直接聞こうとも思ったが、切っ掛けを探しているうち、そのタイミングを失ってしまって、
結局は、こうして夜間哨戒へ赴こうとするサーニャをつかまえ、駄目元で尋ねる他ない。
「……なあに?」
少しばかり眉をひそめたサーニャを見て、エイラは、自分の心が見透かされているような感覚を覚えた。
昨日のことなら秘密だよ、という思いが、サーニャの表情には表れていた。
サーニャは、人の秘密を守れる子だ。迫られたところで、簡単に口を割るようなことはしないだろう。
やっぱり、諦めようか――エイラがそう思ったとき聞こえた、その声。
「エイラ……さん?」
反射的に振り返ったエイラは、思わず声の主の名前を口にする。
「み、宮藤……?」
どうして、という疑問の前に、しまった、という罪の意識が来るのを、エイラは感じた。
他人の秘密を嗅ぎ回るような真似をしている自分を恥じる気持ちが、今更になって現れる。
芳佳がやって来た理由など、今のエイラにとっては、もはやどうでもいい些事だ。
とにかく、芳佳の前からいなくなりたい――そんな衝動があった。
やっと見つけました、と駆け寄ってくる芳佳に、逃げ出したくなる気持ちをぐっと堪えて、エイラは言った。
「……どうしたんだヨ、こんな時間に」
「あの、私、エイラさんを探して……部屋に、いなかったみたいだから」
「……ワタシに、何か用か?」
エイラを見つめていた芳佳の視線が、隣のサーニャに向けられる。
ちょっと間があって、何かを合点したように頷くサーニャ。
その様子を見たエイラは、二人の行為の意味がよく分からないまま、とりあえず疎外感を感じた。
「アイコンタクトなんかして、何ダヨお前ラ。いつの間にそんな仲良く――」
「あっ、あの! エイラさん!!」
エイラの言葉を遮って、声を張り上げる芳佳。驚いて思わず停止するエイラ。
格納庫中に響き渡る声は、果たして本当に芳佳のものだったのかと、疑いたくなるほどだった。
「お、おは、お話が! あるんですっ!」
つっかえながらも言い切ると、強い意志を湛えた瞳で、きっとエイラを見据える。
大きな覚悟と、少しばかりの不安を抱えた、そんな眼差し。
絶対に逃がさないぞ、今夜だけは付き合ってもらうぞ、という彼女の胸中が、
嫌と言うほど伝わってくるのをエイラは感じ、思わず気後れしてしまう。
二人の様子を見守っていたサーニャが、未だ動けずにいるエイラに、言葉をかける。
「……逃げないで、ちゃんと、受け止めてあげて」
受け止める? 何を? エイラがそう問う前に、彼女は、芳佳にも言葉を一つ送った。
「がんばってね」
二人に背を向け、暗い夜空へと向き直るサーニャ。
その小さな背中にわずかな寂しさを垣間見たような気が、エイラはした。
サーニャの足元に魔方陣が形成されると同時に、ストライカーの先端で、魔力のプロペラが音を立てて回り始める。
待ってくれ、と伸ばされたエイラの手を、振り払うかのように加速するサーニャ。
真っ黒な夜の空へと飛び去って行くその姿は、あっという間に遠ざかり、
夜空に閃く魔導針の輝きも、やがて雲の隙間に紛れて消えた。
深夜、寝静まった基地内の一角、残されたのは、エイラと芳佳の二人。
エイラには、何が何だか分からなかった。
ひどく真剣で、少し不安げな芳佳の様子、サーニャに貰った言葉の意味、
昨日、深夜のミーティングルームで、落ち込んでいたその訳。
本当に何も、分からなかった。
――さあ、自分の番だ。
ただ一つ、そんな漠然とした予言だけを、エイラの能力が告げていた。


滑走路の上を二人きり、進む。
一人は、足元に視線を落としながら。もう一人は、闇に染まった水平線の向こうを、ぼーっと眺めながら。
『少し、歩きませんか?』
小さな声でそう言った彼女。
元より拒否権などなかった。逃げるな、とも言われた。
ああ、と短く返事だけして、彼女の後ろをついて行った。
海へ突き出るようにまっすぐ伸びた滑走路の上で、こつこつとアスファルトを叩く靴の音が、二人の間に響く。
エイラの隣を、俯き加減に歩く芳佳。
その姿が、昨日ミーティングルームで沈んでいた彼女とだぶって見えて、エイラは思わず気を揉んだ。
結局、サーニャは何を相談されたのだろう。彼女がいないこの場で、それを確かめる術は――

167 名前:5/6 mailto:sage [2009/02/15(日) 02:18:28 ID:CCsKxxt9]
一応あるが、どうにも踏ん切りがつかない。
とりあえずは、元気を取り戻させてやろう。そう思って、依然曇り顔の芳佳に、エイラは声をかけた。
風が気持ちいいな、とか、下ばっか見てると海に落ちるぞ、とかそんなことを、
芳佳の核心に触れたい気持ちを気取られぬように、努めて普段どおりの口調で喋りかけてみる。
しかし当の芳佳といえば、はい、ええ、そうですね、などと俯いたまま適当に相槌を打つばかり。
そんなやり取りが何度か続いて、一向に報われぬ努力にエイラもそろそろ虚しさを覚え始めた頃。
永遠に続くように感じた滑走路にも、終わりが見えてきた。
突き出た滑走路の先端部分。リーネのお気に入りの場所だという話を、聞いた気がする。
今は、芳佳のお気に入りでもあるのだろうか。
あそこに着いたら、彼女は何を言うのだろう。
あるいは、何も言わず元来た道を引き返すのか……。
エイラが考え終わるより早く、二人は道の終わりにたどり着いた。
遠くで波の音が、ざあん、ざあんと響いている。
立ち止まって、道の縁に腰を下ろす芳佳。ちょっと考えてから、エイラもその隣に座る。
海の向こうからそよそよ吹く風を、エイラは頬に感じつつ、夜空を見上げた。
夜間哨戒の度、何度も見上げた空だ。特に代わり映えのしない、見知った空――
「あの……」
ぽつりと、声がした。
「すいません、こんなところまで、連れ出しちゃって……」
「いや……別にいいヨ」
「……はい」
それきり、芳佳は再び黙り込んでしまった。
仕方無しに、エイラももう一度、夜空に目を向けることにする。
(そういえば、宮藤のヤツ、あの日もびびってたっけ)
ぼんやりと考えるのは、三人で夜空を飛んだあの日のこと。
エイラとサーニャ、二人のグループに芳佳が飛び込んできたのは、思えばあの日からだ。
遮光されたサーニャの部屋で、いろいろな話をしたこと。
その日のタロット占いも、おそらくハズレだったということ。
そして、サーニャと芳佳と三人で、夜間哨戒に繰り出したこと――

『手、つないでくれたら、きっと大丈夫だから』

不意に、あの日の言葉が、鮮烈な響きをもって蘇った。
暗闇を怖がる芳佳が求めた、唯一つの行為。
お前は今も、それを求めているのか――?
そう問いかけるように、エイラは自分の右手を、芳佳に向かってそっと伸ばした。
そのまま、膝の上で固く握りこまれた彼女の左手を、やわらかく包み込んでやる。
出来るだけ優しく、大切な宝物を、扱うように。
「あ……」
芳佳の口から、ため息のような、安堵の色を含んだ声が漏れた。
私はこれが欲しかったんです――そんな言葉を、芳佳から与えられている気がした。
「……エイラさん」
芳佳は顔を上げ、エイラに微笑みかけながら、言った。その顔に、陰りの色はもう見られない。
「何ダ?」
「好きです」
瞬間、自分の思考がどこかへ吹き飛ぶ感覚を、エイラは味わった。
――今、彼女は何と言った?
好きだ、と言った。
――誰に?
自分にだ。
エイラの中でそんな自問自答がなされ、それからやっと、今の状況が理解できる。
つまりこれは、俗に言う、いわゆるコクハクという奴だな――
ひどく、冷静な思考だった。
自分の意識が放り出されて、第三者のように自分を見つめているような感覚だ。
ふと、芳佳の両手が、首に回される感触があった。
エイラが急いで意識を戻した頃には、ゆっくり迫る芳佳の顔が、自分のすぐ近くまで来ていた。
触れる――そう思った直後、まさに自分の鼻先で、それは止まる。
額を合わせて熱を測るのとは全然違う意味で、相手の顔が近くにあった。
閉じられた目とか、首に回された芳佳の腕とか、心持ち突き出された顎とかが、そのことを物語っている。
きっと彼女は答えが欲しいのだと、エイラは思った。

168 名前:6/6 mailto:sage [2009/02/15(日) 02:20:30 ID:CCsKxxt9]
想いを受け入れるか、受け入れないかの答えを、行為を以って示せと、つまりはそういうことである。
それに気付いたとき――考えるより先に、身体が動いた。
「んむっ……」
ほんのわずかな隔たりを突き崩して、自分と相手を、重ね合わせた。





きっと、求めていたのは自分の方なのだと、つながれた右手に感じる温かさを確かめながら、エイラは思う。
つないだ手と手はそのままに、二人は、基地に向けて滑走路の上を歩いていた。
その間じゅうずっと、エイラは事の重大さを噛み締め、ともすればパニックになりそうな頭を抑えるのに必死だった。
芳佳のこと、サーニャのこと、隊の皆には内緒にしておくべきかどうか。
思考が取りとめもなく働き、そのうち柔らかい唇の感触を思い出して、赤面する。
その繰り返しだった。
「ねえ、エイラさん」
芳佳に呼ばれ、エイラの思考が軽く停止するが、とりあえず返事が出来ないほどではない。
「ナ、ナンダヨ……」
「もういっかい」
エイラは、つないだ手を思わずぎゅっと握り締めた。
何を『もういっかい』するのか――知らん振りは出来ないだろう。
「……だめ?」
と、かわいく小首を傾げてみせる芳佳。
魔性、という言葉は、きっとこういうときに使うんだろうなとエイラは思った。
それくらいの破壊力が、その仕草にはあった。理性とか恥ずかしさとか、そういうものを粉微塵にする破壊力が。
「一回ダケ、ダゾ!」
言いながら、立ち止まって芳佳の正面にまわるエイラ。基地に背を向けた格好だ。
これなら、基地の誰かが気付いても、その決定的瞬間はエイラの陰に隠れて見えないだろう。
芳佳が、つないだ手を解いてエイラの首に両手を回す。
これじゃ、首に回された手が、後ろから見えちゃうじゃないか――エイラはそう気付くが、止めさせようとは思わなかった。
――見るのなら、勝手に見やがれ。むしろ見せ付けてやる!
半ばやけくそ気味に、芳佳の背中に手を回し、目を瞑る。
程なくして、また、あの柔らかな感触が、唇に来た。
好き、という感情が、ごく自然に心に芽生えるのを、エイラは感じた。
あるいは既に、あったのかも知れない。自分の中で育っていた、その感情が。
ずっと知らん振りをしてきたものを、今になってようやく、認めることが出来たのかも知れない。
気付かなくて、ごめんな――
謝罪の気持ちを込めて、エイラは腕の中の小さな恋人を、ぎゅっと、抱きしめた。
もう、離さないよ。
そんな想いも、あった。





サーニャ。きっとお前は、芳佳が好きだったんだよな。
あのとき背中に見せた寂しさは、それを伝えたかったんだろう?
ごめんな、サーニャ。でも、この宝物は、たとえサーニャでも譲りたくない。譲っちゃならないんだ。
ワタシがこれから、ずっと、守っていかなくちゃならないものなんだから。
お前の代わりに、ワタシが芳佳を守るよ。
お前の分まで、お前に恥ずかしくないように、何があっても全力で、守り通してみせるからさ。
なんでもない風を装って、おめでとう、なんて言ってくれるお前が、目に浮かぶよ。
あのとき、お前がどんな気持ちで夜空へ飛び立ったのか、全部分かるなんて言わないけど。
一人で、苦しんでたんだろ? 届かない想いを知って、泣きたかったんだろ?
ワタシは、サーニャのこと、絶対忘れないからな。
お前の辛さも、悲しみも、全部受け止めて、忘れないからな。

だから――また来年、芳佳とお前の誕生日には、みんな揃ってお祝いしような。
そして、ワタシの誕生日にも。
十一人みんな揃って、お祝いしような。

169 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 02:21:53 ID:CCsKxxt9]
以上でした。
次は短い奴が書きたいなあ

170 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 04:38:13 ID:6jtfbkTe]
エイラがサーニャ以外を好きってどうしても違和感が残る
だが芳エイラはいい



171 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 09:48:48 ID:4Om4PBzp]
人の趣向にケチつけんなよ

172 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 10:23:55 ID:/L3/Rv8m]
ケチつけたわけじゃないだろ、些細なことでトゲ立てるなよなー

>>169
GJ!!芳イラ!芳イラ!!同志を待って早半年、やっと報われた気分だ。
芳佳ってエイラの前だとしおらしくなりそう、そんでいざOKもらうと立場逆転とかね。

やっべ色々こみ上げてきた、とにかくもっかいGJ!!

173 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 10:31:02 ID:mLWtO2Hv]
>>161
同じように取り乱してあたふたする
お姉ちゃんとエイラを想像して和んだ

174 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 11:42:50 ID:snyY0ooj]
>>168
とってもGJ!丁寧で素晴らしいなあ
芳イラは…好きだ。このss読んで大好きになった!
芳イラの繁栄を願うぜ

俺もそろそろなんか書こうかな

175 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 11:43:02 ID:Bg+VSAJQ]
前か前々かそのまた前のスレでペリーヌに愛を!みたいになってたときに思い浮かんだんだけど乗り遅れたので。
ちょこれーとに繋げてみた。バレンタインっぽいような全然カンケーないような・・・。1日遅れだけど。
無理やり感がなきしにもあらず、なSSを投下。
多分規制にひっかかるだろうので途中で一旦消えます。

176 名前:chocolat chaud 1/10 mailto:sage [2009/02/15(日) 11:44:52 ID:Bg+VSAJQ]
唐突に、自分が独りであると思い知らされて目が覚めた。

赤く燃えた唇から吐き出される落ち着かない呼吸を必死で飲み込んで、ペリーヌは枕元の時計を薄闇の中で求め
る。文字盤を月明かりに照らしてみればおぼろげに明け惑う時間が示されていた。5時過ぎとは、朝を待つにして
も今一度眠りに身を委ねるにしても中途半端な時間である。一般のウィッチに関して言えばこのくらいの時間に目
を覚ましてしまったならば迷うことなく二度寝を決め込んでしまったところであろうが、ことペリーヌに関してはその
ように即決することができないのだ。なぜなら彼女のここ数日の日課といえば朝露が溶け切らぬ時分から早朝訓
練にいそしむ坂本美緒少佐とまだまだ新人軍曹である2人を遠巻きに部屋から見守ることだったのだから。いや、
正確に言えば少佐ただ一人に熱い視線を向けることに従事していたのだが。
ともあれ、そのような日課を持っていてはうかうかと惰眠を貪ることもできず、かといって起きて夜明けを待つには
いささか暇を持て余してしまう時間だった。
それに加えて彼女は最悪な夢見のせいでどこか憂鬱な気分を目覚めに感じてしまっていたところだった。その夢
は何か精神を必要以上に追い詰める内容のものであったはずなのに、ペリーヌが時計の針を追っている間にそれ
は夜露に消えてしまったのか、今はただ後味の悪さを残すだけだ。
“寂しさ”という、始末の悪い感覚を残しただけだ。
ペリーヌはむくりと身体を起こして、寂しさの根源を探してみる。
それは探そうとするまでもなく脳裏に浮かんでは光彩を鮮やかにするものであった。
月に、故郷を思って頭を低れるとはいつか美緒が口ずさんでいた詩篇の一部であったろうか。ブリタニアに来て、
今は無き故郷を何度想っただろう。家族を、何度恋うただろう。
目裏に焼きついていつまでも色あせない父母の笑顔を言葉を大切に大切に反芻しながら項垂れた、その波打つ
柔らかな彼女の髪は月明かりに似て切なく揺れていた。冷たい月光を固めたような光さえ放っているようだった。

(談話室に行って、温かい飲み物でも淹れようかしら)

一際大きなため息を一つ吐き出して、せめて寒気に冷えた身体だけでも温めようと冷え切った室内履きに足を下ろ
した。寝間着のまま自室の外に出るのは貴族を自称するペリーヌにはいくぶん憚られたが、この時間帯であれば誰
かに会うこともないだろうと恥を忍んで廊下に一歩を踏み出した。
常夜灯が灯っているとはいえ、しんと冷えた廊下はどこまでも薄暗く寂しい。
寂しい。
ペリーヌの寂寥もまた、常夜灯ごときには晴らされぬものだったので、その冷たさは彼女自身の心の深淵を覗き込
ませるに十分なものだった。
無慈悲に凝り固まった廊下を踏みしめる度に足先から冷感と共に切なさがせりあがってくるようだった。真実、彼女
の感じる寂寥とは過去に限ったものではなかった。
自身に、無二のパートナーとなり得る唯一の者が果たして存在しているのかという不安。
己が抱える痛みをすべてぶつける、見せてしまえる者が存在しているのかという不安。
そしてそれを自らの物のように感じてくれる者が存在しているのかという不安。
ペリーヌは、自身の痛みを他人にも背負わそうとするほどに傲慢ではなかったしそれを他人に許すほど誇りを失っ
たわけでもないがしかし、そういった悲しさではなくただ純粋な喜びを分け合う誰かを求めていたのは確かだった。
彼女が見渡せる限りにおいて、その“誰か”を見つけ出した者が少なくはなかったから。

(例えば・・・)


177 名前:chocolat chaud 2/10 mailto:sage [2009/02/15(日) 11:45:55 ID:Bg+VSAJQ]
そう例えば。
幼心に母を求めながらやんちゃが抜けぬフランチェスカの悪戯に微笑みかける包容力溢れるシャーロットの庇護
だとか
未だ新人という言葉を抜け出すことができずそれでも懸命に己の力を伸ばそうと高め合い励まし会うリネットと芳
佳だとか
時にはこれ以上ない程優秀な戦友同士のような顔をしながらある時には姉妹に向ける情を代替的にでも交わすカ
ールスラントの軍人達だとか
ペリーヌの周囲に溢れるそれらの親愛は時に羨ましくも見え、時に妬ましくも見えた。
醜い感情だとは、高い矜持を持つ彼女はこれ以上ないほどに理解していた。
だが、彼女にとって唯一の
尊敬も憧憬も親愛も敬愛も情愛も、すべてを
すべてを捧げててしまいたいとまで焦がれる美緒は
何者かに優劣をつけぬ優しさと残酷さを以って隊の皆をわけ隔てなく愛おしげな、純粋だけで作り上げられた視線
で見遣るのだ。
ペリーヌにとってそれは安心であり、時にもはどかしくもあり、そして決して届かぬ崇高なものでもあった。
美緒の両手はいつだって来る者を拒まず広げられているばかりでいたので、たとえペリーヌがその胸に飛び込も
うとも美緒にとってはその他大勢と変わらない仲間の一人にしかならないのだった。だから彼女は、ペリーヌは、
美緒に必要以上
に馴れ合うことに踏鞴を踏むこと以外できなかった。その背中を追うより他に。
対等の力を持って、そのネウロイのコアより紅く燃える魔眼に射抜いて欲しいと願った。
しかしてそれはいまだかつて叶えられていない願い。
自分がもっと強くなれば、その瞳は自分を捉えるだろうか。それとももっと未熟であれば?毎朝欠かさず美緒の指
導を受けられるだろうか。軍曹の2人のように秘めたる力を持ちながらも未熟であれば?
しかし彼女は、自分が優秀なウィッチであることを自覚していた。傲慢でなく。だから美緒は言う。大切な教え子達
に「もっとペリーヌを見習え」と。それは確かに誇らしくもあった。あったが、


静寂を凍らせる廊下は耳に痛い。
ひたひたと廊下を踏みしめる度感じる冷たさと遣る瀬無さに何度自室に戻ろうと思ったことか。しかしこのまま部屋
に戻って眠ろうとしても冷え切った身体がそれを許さず、起きていようとしても螺旋状に伸びた思考がそれを憂鬱な
時間にしただろう。当初の目的通り、ペリーヌの足は迷い無く談話室に向けられていた。

(あたたかいハーブティでも飲んで身体を温めれば幾分リラックスできるでしょう)

カモミール、ラベンダー、ローズヒップ・・・。
ペリーヌの脳内を、お気に入りのハーブの名前が流れていく。
たまには王道に紅茶でもいいかもしれない。リネットの淹れる紅茶の本場らしい薫り高さを想起させながら、既に
気付かぬうちいくらか軽くなった掌で談話室の広間へと通ずる扉を開放していった。
果たして彼女を迎え入れたのは
夜と朝の狭間に蟠る静寂と冷たさ
ではなかった。

「・・・ん?」
「あ・・」

無音に見せかけておきながら、人がいることを感覚的な音で伝え遣る何がしかの気配。
無人ではありえない、凍えた廊下から一歩踏み入れたことでようやく分かるほのかな温度。
どこかで嗅いだことのあるような刺激的で香ばしい薫り。
火を入れたばかりなのか静やかに燻る暖炉の淡い炎。

「・・・なんだヨ。ツンツンメガネかよー」

そのかすかなオレンジ色に照らされた端正な、しかしどこかとぼけた顔形。
真っ白な手に包まれた、湯気を立ち上らせる空色のマグカップ。

178 名前:chocolat chaud 3/10 mailto:sage [2009/02/15(日) 11:47:02 ID:Bg+VSAJQ]
「エイラ・・さん?」

仄暗い小さな炎だけを光源とした空間の中で、彼女が、いた。
防寒に適した厚手のパーカーを着込んで暖炉近くのソファに深々と腰を下ろしながら、気の抜けたような安堵したよ
うな表情を作って。

「ミーナ隊長かと思った。こんな時間に勝手に火をつけちゃったから怒られるのかと思ってビビったじゃナイカー。ほ
ら早く扉をしめろッテ。折角あったまりかけた部屋なのに寒さが入りこんじゃうダロ?」
「・・あ、えぇ」

よほど肝を冷やしたのか饒舌に語りかけてくるエイラにペリーヌは状況をまだ十分に理解できないままそれでも後
ろ手に扉を閉めて見せた。未来予知の魔法が使えるというのに彼女は変なところで臆病だ。しかしそれも怒ったミ
ーナの姿を思い起これば頷けるかな。エイラが縮こまるのも無理はないだろう。
背中で、扉が閉まった音がカチャリと鳴った。
ペリーヌはその音にどこか居心地の悪さを感じる。密室ではないというのに、エイラと二人きりになってしまったと
いう状況が彼女を居た堪らずさせた。エイラはきっと、自分を嫌っているだろうと思ったのだ。

「こんな時間にどうしたンダ?まだ夜明け前だっていうのに」

しかしながら彼女はいつも通り他と接するのと変わらぬ態度で平然と、人を食ったような顔で問いかけるのだった。
いつか言ったように、なんてことないといった表情で。

「た、たまたま目が覚めたものですから何か温かいものでも飲もうと思って。・・・そもそも貴方には関係ないことでし
てよ、エイラさん」

ピシャリと、言ってのけたペリーヌの口調はこれ以上の介入を拒むような色合いを持っていた。そうすることによって
彼女は居心地の悪さを緩和しようと目論んだのかも知れない。自分を嫌っているだろう人間と好き好んでお喋りに
興じる趣味もない。
それに、“何故か無性に寂しくて”などと、彼女がどうして言えよう。彼女の矜持と、わずかな羞恥はそれを許さなか
った。

「ふーん。そっか」

応える声はいつも通り平坦。その声音は聞く者に感情を読み取らせぬ力があった。
ペリーヌは益々歯噛みしたくなるような気分になってくる。
そう、彼女は思い出していたのだ。
自室を抜け、廊下をただ独りで歩いていたときに襲われた寂寥を。侘しさを。
なぜって、目の前でのんきにカップから湯気をくゆらす少女はまさしく彼女の嫉妬の、憧憬の対象であったから。
エイラと、サーニャ。
急ごしらえで編成された隊の誰よりも、誰よりも仲睦まじく映る少女達。色となって形となって可視化されているよう
に思えた。互いを思い遣るその友情や絆や親愛や、もしかしたらもっと強い想いが。
そんな彼女を前に、どうして自分は心安らぐことができようか。やはり談話室に気まぐれに来てしまったのは失敗
だったと踵を返そうにも、ペリーヌは先ほど自身で口に出してしまった言葉「温かいものでも飲もうと」のせいで動け
ないでいた。

「そんなとこに突っ立ってないで座レバ?」

ペリーヌになどちらとも視線をそそがぬエイラが、声だけをペリーヌに向けて投げた。事実、投げ遣りに。ペリーヌ
はその言葉に従うより他に選択肢を持っておらず(いや探そうとしてみればお茶を淹れにシンクに向かうというまっ
とうな行動を取れたのであるが)、エイラから見て斜め前に位置する独り掛け用の椅子に腰掛けた。やや浅く。
“関係ない”と言ったのは己であったはずなのに、いざ彼女の言うように腰を落ち着かせてみてもエイラから得られ
る反応といえば一瞬差し向けられた視線だけでため息一つぶんの音さえなく、そのことがペリーヌにとってはなぜ
かやけに気に食わなかった。

179 名前:chocolat chaud 4/10 mailto:sage [2009/02/15(日) 11:48:25 ID:Bg+VSAJQ]
「・・・・。」
「・・・。」

静寂に根を上げるのはどちらが先か、というような安っぽい沈黙が2人の間に充満していた。いやそれはペリーヌ
が一方的に、常の意地っ張りを展開させたばかりの片道通行のものであったのかも知れない。エイラといえば眠
たそうに、時折行儀悪そうに大きな欠伸を披露しているばかりだ。

(こちらの気も知らないで・・・)

いつまでも続きそうな沈黙に、手持ち無沙汰なペリーヌの方が先に白旗を上げてしまうだろうのは明らかだった。そ
のはずであるのにしかし、彼女が固体化した二者間に横たわる空気を何らかの問いかけ或いは呟きによって破壊
せしめようとした一刹那手前、のんきな欠伸の持ち主が大儀そうに身体を起こした。

「2杯目淹れるけどペリーヌはどうする?ついでに何か持って来てやろうカ?そのつもりでここまで来たんダロ?」

ペリーヌに向けられる瞳はややおぼつかないものだった。眠いのかもしれない。

「・・・じゃあ、ローズヒップとレモングラスを」

これはちょっとしたいやがらせ。

「あのなー・・・。私がそんな手間の掛かるもの淹れられるわけないダロ」
「あらそう?貴方は何を飲んでらっしゃるのかしら?同じものでも構まなくってよ?」

エイラの辟易した表情にペリーヌは少しだけ満足し、わずか相好を崩した。それは食堂に足を踏み入れてから今
まで味わわされた居心地悪さの報復であり、紡いだ言葉は己が心の寛大さを示す為の譲歩であった。どうせ最初
からペリーヌは、エイラがハーブティを淹れられるなど期待してはいなかったから。それに、同じ物でもいいと言った
ペリーヌの言葉もなまじ譲歩だけに固められたものではなかった。この部屋に足を踏み入れたときから薫るどこか
懐かしいような、覚醒を導いてくれるような彼女の飲み物に惹かれていたのも確かだったのだから。
対するエイラは、そんな可愛げのない言葉にわずかな脱力を特有の無表情に滲ませながらまた生欠伸と共に返す。

「ただのコーヒーだけど、ブラックの。それでもいいノカ?」

目尻に欠伸の余韻の雫を残しながらニヤリと笑んだその表情はペリーヌの揶揄を実直に受け止めて返り討ちにし
ようとしたもの。
彼女はペリーヌがその手の無骨な飲み物を好いていないことを数ヶ月の共同生活を続けるうちに推測していた。だ
からこれも、いつも通り彼女をからかう煽り文句でしかなかったのだ。

「・・・わたくし、コーヒーは好みませんの」

心底がっかりしたように、寂しげに吐き出されたペリーヌの声にエイラは知らず悪戯な笑みを深くする。その表情は
「もちろん知っていたとも」とでも言いそうなものだった。

「苦いだけで、どこをどう味わっても深みや品格といったものが窺えませんもの。本当に単純な苦味だけ。一体何
がよくてあんな泥水のようなものを――」
「はいはい分かったッテ」

ペリーヌのどこまでも続きそうな、曰く泥水への文句を押し留めるようにエイラはうんざりした口調をわざと装いな
がら遮った。食文化というものは多国籍の要員で形作られた集団を一番簡単に壊滅させてしまう安直な手段であ
ったから。そんなちっぽけな諍いを生み出してしまうのは本意ではない。

「砂糖とミルクをたっぷり入れてやるヨ。それならお子様味覚のペリーヌにだって飲めるだろうシ」

180 名前:chocolat chaud 5/10 mailto:sage [2009/02/15(日) 11:49:46 ID:Bg+VSAJQ]
エイラはシンクに向かいながら、講釈を留められて不満げなペリーヌに見えるように大袈裟な動作でカップを持っ
ていない方の手を肩の上でひらひらと揺らした。「だっ、誰がお子様ですって!?」なんて必要以上に憤った声を聞
き流す。
どうやらいつもの調子に戻ったようだと綿よりも軽いため息を吐きながら数十分前に沸かせたケトルに水を注ぎ足
した。
本来エイラは、他人の機微に敏感な少女であった。普段は、周囲から見れば不思議と思われがちな言動をとりが
ちではあるのだがその実、誰よりも細やかな観察眼を持っていた。だから彼女はそれに気付いていた。
ペリーヌの危うさと、不安定に揺れる瞳に。

(っていっても私にどーにかできるようなもんでもないしなー)

そして己の無力さにも。
彼女はそれを察することができるくらいには聡い少女でもあった。ただその聡明さは、ペリーヌの寂しさに気付けぬ
程には幼いなものであった。
かたかたと不安定な音がケトルの中から響く。沸騰しかける水の悲鳴は2人をどうにか繋ぎ止める頼りない一本の
ロープのよう。
シンクに逃れたエイラの真っ直ぐに伸びた背をなんとはなしに見つめるのはペリーヌの、無感動な双眸だけ。
気付けば、言葉を放っていた。

「エイラさんは、どうしてここに?」
「え?何か言ったカ?」
「・・貴方こそ、どうしてこんな夜明け前に起きているんですの?十分に寝直すことができる時間でしょうに」

ペリーヌの言葉は己にも投げかけることができるであろう問いかけだった。
エイラは振り向かない。

「別に、ペリーヌと同じよーなもんダヨ」

そっけない声音に、ペリーヌは自身が紡いだ言葉を反芻する。“たまたま目が覚めたから”
いざ己の耳で聞いてみれば、どうにも胡散臭い理由のように思えた。それはペリーヌもまた本心からそう言った
わけではなかったからなのだけれど。
がさごそと、エイラからは無機質な音が響いてくる。
ペリーヌからは相変わらずその背中と、時たまわずかに半端な横顔の欠片が見えるだけだ。不満ではない不快
感が彼女の胸を引っ掻いた。

「それにしては、この部屋に長居する気が満々のようでしたけれど?わざわざ暖炉に火まで灯して」

揶揄と不機嫌と、被疑者を追い詰める権力者の優越感が混じり合った複雑な色をした声だった。

「・・・別に。ただ寒かったカラ」

不機嫌を隠そうともせず、戻ってきたエイラからペリーヌの前に湯気を立てるマグカップがやや乱暴に差し出され
た。今にも湖面を乱してしまいそうなほどその反動に揺れるクリーム色の液体。
取り繕った余裕の笑みを崩さず、ペリーヌは片手で鷹揚にそれを受け取る。指先に火傷しそうなほどの熱源が宿
った。その熱さが、彼女の言葉を後押ししたのだろう。

「あら。本当にそれだけですの?」
「・・・他に何だって言うんダヨ」

わずかひるむエイラの表情。

「サーニャさんの帰りを待っているのでしょう?健気ですこと」
「ソ、そんなんじゃネーヨ!」



181 名前:chocolat chaud 6/10 mailto:sage [2009/02/15(日) 11:50:56 ID:Bg+VSAJQ]
ペリーヌが小馬鹿にするように吐き出した言葉を押し返してあまりある勢いで速度でエイラがこの時分にはおおよ
そ相応しくなく声を荒げた。その声音は憤っているようでもあったがしかし、彼女の頬は暖炉の中でちりちりと炎を
生み出す木片よりも明確に、真っ赤に燃え立っていたのだった。

(やっぱり)

それは確認するまでもないただの事実でしかなかった。だのにどうして自分は尋ねてしまったのだろう。エイラの
世界が彼女を中心に動いているだろうことを、確かに知っていたはずで、それに羨望すら感じていたというのに。ど
うしてわざわざそれを口に出させてしまったのだろう。普段あまり感情を表に出さないエイラの彫刻のような美しさ
は今この瞬間に命を、感情を吹き込まれて紅く、この上なく綺麗に咲いていたので、それがまたペリーヌには妬まし
かった。
彼女の胸中にまたしても鈍色の酸鼻が駆け抜け、炎の陰影のせいでなく顔を翳らせたのをまたしてもエイラは気
付いたが眉を顰めるだけでそれの原因が自分だなどとは思い至らなかった。

「どうした?」

それ故エイラは問う。軽く、軽く、白く立ち上る湯気のように。

「・・・別にどうもいたしませんわ。ごちそうさま」

ペリーヌもまた、その手の中の湯気に似せたため息混じりに言葉を紡ぐ。嫌味を付け足してやりながら。
しかし

「一口も飲んでないくせに“ごちそうさま”なんて言うナヨー」
「は?」
「それ。ペリーヌのためにわざわざ淹れてやったんダカラ」

エイラに彼女の嫌味など欠片たりとも伝わらず、額面どおりに受け取って不満たらしく唇を尖らせた。
“それ”と彼女が指差すのは、柔らかな色合いをしたマグの中身。

「・・・いただきます?」
「そうそう、そっち。どうぞ召し上がれ」

そう言って片頬を歪める。
意識的なのか無意識なのか、エイラのとぼけた受け答えはペリーヌの気勢を削がせるのに十分だった。

(本当に、調子が狂いますわね)

クリーム色の湖面に息を吹きかけながら目線だけを上げてエイラを見遣れば何事もなかったかのようにまたソフ
ァに腰を落ち着けようとしていた。大した寛ぎようだ。まるで談話室を自分の部屋だとでも思っているのだろうか。
ふ、と息を吹きかける度に波立つ湖面、鼻孔に届く甘い香り。
当初所望していたハーブの香りとそれは似ても似つかなかったが、なぜだか心が安らいでいくのを感じてペリーヌ
は驚いた。
自分は、扉を閉めたあの瞬間から、居心地の悪さを、感じていたのではなかったか。
そして、つい先ほども、醜い嫉妬を。

「なんだヨ、猫舌カ?」

湯気の向こうでエイラが自分を覗き込むように見ているのに気付く。おぼろな輪郭。

「そ、そんなんじゃありませんわ」

気付いたのはその視線だけでは、なかった。
上擦った言葉を誤魔化すように飲み込んでしまうように、ペリーヌは舐める程度にマグの中身を一口味わった。

182 名前:chocolat chaud 7/10 mailto:sage [2009/02/15(日) 11:53:04 ID:Bg+VSAJQ]
「おいし・・・」

それは、無意識の感嘆。小さな、小さな。

「そーだろ?やっぱりペリーヌはお子様味覚みたいだナ」
「な!?だから誰が・・・!」

耳ざとくもペリーヌの感嘆を聞きつけたエイラが得意げに言い、ついでのようにまたしても付け足された揶揄の言
葉。気に入らず強い視線で彼女を睨もうとしたペリーヌであったが、エイラを見遣った瞬間それ以上の反駁を飲み
込んだ。
ホッとしたような、表情があったから。
エイラのそれは常の通り無表情であったのだがそれでも、そこに安堵が滲んでいるように見えたのだ。
気のせいであったかもしれない。曇る視界が見せた願望であったのかも知れない。暖炉の炎が作った揺らぎに歪
められたものなのかも知れない。
だが
ペリーヌは気付いていたから。
会話の節々に
挙動のひとつひとつに
この温かいカフェオレに
一滴ずつ垂らされた彼女の気遣いと、優しさ。
それに気付いてしまったから。

ペリーヌは不満そうな表情を装いながらもその唇から一言たりとも批判めいた言葉を紡ぎだすことをせず、ただ
再びカフェオレに口をつけるしかできなかった。
甘すぎるほど甘ったるい、しかし不快ではない味わいが口の中に広がる。
それはもはやカフェオレとは呼べず、コーヒー牛乳などとも呼べない、コーヒー風味のホットミルクといっても過言
ではなかった。“砂糖とミルクをたっぷり”との言葉通り。
そしてそれに、ほんの少しの、優しさをエッセンスに。
じわりじわりと、ペリーヌの胸の中に温もりが溶けていく。彼女は、エイラは自分のことを嫌っていたのではなかっ
たのだろうかという自らの胸に差し込んだ疑念ももろともに溶けていく。


それから2人は珍しく、何のとりとめもなく話をした。
いやそれは話をしたという一般的定義からは少々外れるものでもあった。2人の会話はやや噛み合っていないと
ころが多々見られたからだ。
例えばペリーヌが美緒の凛々しさを説くとエイラはサーニャの可愛さを零し、ペリーヌが芳佳への不満を述べるの
にエイラが扶桑料理の感想を漏らしたり、聞いているのかいないのか測りかねる合いの手を入れてみたり。
そうそれは会話というよりもペリーヌの独白のようであった。時々ノイズじみたエイラの頷きや呟きが入ることがな
ければペリーヌが独り言を延々吐き出しているように聞こえただろう。
ペリーヌ自身にも、それは不思議な体験だった。どうして自分はこうも易々と本音に近い戯言を吐露しているのだ
ろうかと。強がりの根源や美緒への思慕、芳佳への嫉妬、果てはガリア料理自慢やハーブのブレンドの試行錯誤
にまで話は及んでいる。聞き手にとっては興味がなければ果てしなく退屈なBGMでしかないものであるはずなの
に。そして自分は相手が、エイラが聞いているのかいないのかを気遣うことすら忘れていたように思う。時折、「聞
いていますの?」と質すことはあれどエイラといえばのらりくらりと「はいはい聞いてるって。それで?」「それもそう
ダナ」「へぇ、知らなかった」と短い言葉でゆるく先を促すので、ペリーヌは何故だかそれで満足してしまって、また
言葉を紡いでいくのだった。一見無関心にも見えるエイラの態度がペリーヌの口を滑らかにしたのかもしれない。

話が一巡してまた美緒について語られ出したとき、エイラのマグの中のコーヒーが底を尽きたのか彼女はついと
視線を上げた。瞳の先には頬を上気させるペリーヌ。彼女の手の中のカフェオレもまた、熱を逃がして久しい。饒
舌に喋り続けていたから、その中身もまたエイラと同じように空になってしまっているのかもしれない。
エイラは彼女の中でペリーヌのトレードマークとなっているメガネを見遣ってひとつため息をこぼした。
エイラはペリーヌが話し出してから一度も彼女のほうを見ていなかった。それがペリーヌには無関心に映ってい
たのだが実はそうではなく、

(もう、メガネは曇ってないみたいだな)

183 名前:chocolat chaud 8/10 mailto:sage [2009/02/15(日) 11:54:27 ID:Bg+VSAJQ]
眼鏡を真っ白に曇らせてカフェオレを飲む姿のその滑稽さに笑い出してしまいそうになるのを堪えるためであった
のだ。
最初こそ、指摘してからかってやろうと思っていたのだが、先日サーニャに言われた言葉を思い出して、今日のと
ころは見送ることにした。
そう、今日のところは。
談話室に入ってきたばかりのときのらしくなく弱々しい顔を見せていたペリーヌを思い出す。

(確かに、からかいすぎるのも逆効果かもだし)

その我慢が実って彼女が常らしい表情を取り戻したのであれば、悪くないとエイラは思った。

(少佐を存分に語ったからってのもあるかも知れないけど)

苦笑を漏らす。
ペリーヌにとっての美緒は、己のすべてを支えるかけがえのないものなのだろう。自分にとって、サーニャがそうで
あるように。
だが、ペリーヌの果てしない好きな人自慢にも、いい加減飽きてきたところだ。
空はいつの間にか白み始めている。
もうそろそろ帰ってくる頃だろうかと、エイラは大切な少女へ思いを馳せながらペリーヌに水を差す。

「なーペリーヌー」
「何ですの?」
「そーゆーの全部、坂本少佐に直接言っちゃえばいいのに」
「ばっ!い、言えるわけないでしょう!?こんなこと!」
「そーかー?」
「そうですわ!」

ペリーヌの激昂という名の必死の照れ隠しに被さるように、エンジン音が一つ。条件反射で窓を見遣る少女が1人。
エイラは己が予想がぴたりと当たったことを知る。サーニャのことに関しては、エイラは予知なんてものを使う必要
を持たなかった。

「待ち人来たる、のようですわね」
「だから待ってたわけジャ・・・まぁ、いいカ」

エイラはペリーヌのあからさまな揶揄に惑うも、頬が緩むのを止める術を持たず甘んじてその指摘を受けいれた。
この顔ではきっとどう繕ってみても無駄であるのだ。

「はいはい。今度こそ本当に、ごちそうさま」

カタン、とペリーヌのマグがテーブルの上に着地した。見ればやはりその中身は空っぽだった。どうやら本当に、
エイラの淹れたカフェオレは彼女のお気に召したようだ。

「なんか、悪かったナー。結局こんな時間まで付き合わせちゃって」

気まずそうに頬を掻くエイラにペリーヌは、謝るのはこちらの方ではないかと一瞬だけ思った。目覚めたときに感じ
た暗鬱な気分は今はもう驚くほどにその質量を減らしている。カフェオレの甘みはまだ舌にかすか残っている。
それもこれも、もう両手では抱えきれないほど溜め込んでいた言葉を吐き出してしまえたからだということを、彼女
は理解していた。少しだけ、喋りすぎたのどが痛いけれど。胸は、痛まない。
むしろ自分こそ謝るべきではないか、感謝すべきではないか。
ペリーヌは、そう思った。
なのに

「わ、私こ、そ・・ってエイラさん?あなた私を時間つぶしに使いましたのね!?」

184 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 12:03:28 ID:snyY0ooj]
エイラとペリーヌもなかなかいいですよね 支援

185 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 12:27:27 ID:B5fBGPBd]
いいですねー。支援します

186 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 12:52:52 ID:he0/SWVc]
これは、いいツンデレだ・・・。

187 名前:chocolat chaud 9/10 mailto:sage [2009/02/15(日) 12:55:26 ID:Bg+VSAJQ]
結局、先程あんなにも滑らかに動いていた彼女の唇は謝罪も礼も、形作ってはくれなかった。彼女の素直さは、
それを伝えようとする相手に対してはまったくの逆方向に作用してしまうのだろう。

「んー?そんなつもりはなかったんだけどナー。結果オーライ?」
「な、なにがオーライですの!全然!まったく!これっぽっちもオーライじゃありませんわ!」
「だから悪かったッテ。カフェオレあげたんだからいいジャナイカー」
「それとこれとはっ―――」

再び幕を上げようとした他愛も無い諍いを言葉なく調停したのは、無機質な物音だった。
カチャリと、ドアが控えめに開かれるその音だった。
隙間から垣間見える銀髪、扉に添えられた真白な手、夜色の軍服の裾。

「・・・エイラ?」

子猫の欠伸のような声音。
現れたのは

「サーニャ!」

『弾むような』という修飾はこういう声にこそ添えられるものなのだろうと、ペリーヌは彼女にはもう目もくれずすぐ
さまサーニャに駆け寄るエイラの背中を無言で見送った。

「おかえり、サーニャ!どうしたんダ?腹減ったノカ?」
「ううん・・。エイラの声が、聞こえたから・・・」
「そ、そっか」

エイラは照れくさそうに口ごもる。ペリーヌは、サーニャの前では彼女の無表情も形無しだなと思いながら、それを
どこか微笑ましい気分で見ることができている自分に驚いた。
2人に感じていたあんなにも醜い嫉妬や羨望が、どうしてか今は湧かない。
あまつさえ

「っ・・・・ペリーヌ、さん?」

エイラの肩越しにこちらに気付いたサーニャに

「おかえりなさい、サーニャさん。夜間哨戒任務、お疲れ様」

労いの言葉を掛けることだって、やってのけた。
それは先ほどエイラに礼を言い損ねた分を取り返して余りあるほどの、親愛の一端。
ペリーヌのその言葉がどれほど珍しく感じられたのか、揃って目を丸くする2人はまるで双子のようによく似ている。
ペリーヌがこれまでサーニャに掛けた言葉といえば刺々しく感じられるものが目立っていたから、余計にこの一言
は際立って稀有に聞こえたのだろう。そのことを半ば程ではあるが自覚していたペリーヌは二対の瞳に穴が開くほ
ど見つめられて気が気ではない。
羞恥のために或いは居た堪れなさにまた、不本意ではあるが棘のある言葉を紡ぎ直そうとしたより一瞬だけ早く

「・・・ありがとう」

ふわりと、サーニャが笑った。
恥ずかしそうに、身じろぎをしながら。
礼を言われるようなことなど何一つしていないという主張を、ペリーヌはしようとして、止めた。
サーニャが本当に嬉しそうに笑うから。
傍らに立つエイラが、自分に言われたわけでもないのにそのサーニャよりもなお一層嬉しそうに笑ったから。
たまにはこんな風に素直になるのも、いいかも知れない。
そう思えるのもあのカフェオレのおかげなのだろうか。

188 名前:chocolat chaud 10/10 mailto:sage [2009/02/15(日) 12:56:46 ID:Bg+VSAJQ]
「じゃあ、そろそろ部屋に戻ろうか、サーニャ。疲れてるダロ?」
「・・ん。眠い・・・・」

それならば

「お待ちなさい」

ふらふらと揺れる背中とそれを支える背中に飛ぶペリーヌの一声。揃って振り向いた2人が持つのは眠たげな瞳
と胡乱な瞳。どちらがどちらのものであるかは明白。

「ドウシター?言い忘れたことでもあるノカ?サーニャ疲れてんだから早く寝かせてあげないと」
「えぇ。だから、ゆっくり眠れるように私が特製の―――」

カフェオレの
甘さが、まだペリーヌの舌に残っている。
温かさが、まだ胸に残っている。

「ショコラ・ショーを作って差し上げますわ」

ペリーヌがそう言ったら2人はまた先程とまったくおんなじように目を丸め、
先程とまったく同じように、いやそれよりも何倍も何倍も嬉しそうな表情を見せた。

「エイラさんに作るのは“ついで”ですわよ」
「はいはい。虫歯にならないように気をつけるヨ」

2人の軽口の応酬には険悪さなど微塵も無く、
それを見つめるサーニャは不思議そうで、眠たそうで、だけど楽しそうで。

「そうだ。そのまたついでにもう3人分頼んでもイイカ?」
「なんですの?1人でそんなに飲むつもりでらっしゃるの?」

いそいそとマグカップを取り出すペリーヌの背中に掛けられるエイラの声は軽口を紡ぐのとまったく変わらぬ調子
で届けられたので、ペリーヌな何も気負うことなくお馴染みの口調で切り返す。3人分でも6人分でも、量が増える
だけならどこにも問題はない。もはや彼女の頭の中には、エッセンスにバターかブランデーを加えるか加えるまい
かという問題に占められようともしていた。
だからだろう。エイラの言葉にはしたない程狼狽えてしまったのは。

「そうじゃなくてサ。もうそろそろ、いつもの時間だろ?」
「・・・・いつもの?」
「朝っぱらから頑張る3人にも、おすそ分けしてあげれバ?」
「あ・・・」
「芳佳ちゃんと、リネットさんと・・坂本少佐?」
「ん。坂本少佐にも持って行ってあげれば、きっと喜んでくれるッテ」

手から鍋を滑り落として大音量を響かせながらペリーヌが振り返った先には、両手で耳を塞ぎながら笑うエイラの
悪戯な顔。

「っエイラさん!!」

なんてお節介な人なのだろうと、わずか数時間のうちでペリーヌはエイラの認識を改めることになりそうである。


かくして彼女が作ったホットチョコレートの6杯目には、エッセンスとしてとびきりの親愛が注がれることになる。



Fin.

189 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 12:59:06 ID:Bg+VSAJQ]
以上です。序盤が冗長に過ぎたかな。
談話室とミーティングルームとシンクの違和感は無視で。
ちなみに保管してもらってるIDはjxxcIZ9+です。なんか勲章戴いててびっくり。ありがとうございます。
支援してくれた人もありがとうございました。

190 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 13:47:48 ID:B5fBGPBd]
>>161
真剣に告る芳佳が芳佳らしくていいですね
エイラとサーニャが見事にすれ違ってるのも切ない
次はべたべたしてる芳イラを頼む!

>>189
ペリーヌとエイラって軽口叩きあいながら息の合った会話しそうですね。
二人とも可愛いな。あったかい話をごちでした!
丁寧な心理描写と文章の調子もすばらしいです



191 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 15:27:02 ID:snyY0ooj]
>>189
GJ!品のある、ペリーヌらしい文が盛りだくさん(?)ですばらしかった
ペリーヌって実はみんなのこと大好きだよね
うーん、いい話でした

192 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 16:15:17 ID:8inc5Xy2]
>>190
すれ違ってるのかな?エイラの思う通りサーニャ→芳佳なのかなと思ったけど
でも言われてみればサーニャが芳佳を気遣って本心を隠しているようにもみえるし
どっちなんだろう

193 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 17:31:11 ID:momS8a1J]
僕は宮藤が怖い
嫌いなんじゃない
公式で芳ーニャになってしまうかもしれない恐怖に虫唾が走るのだ

194 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 17:50:43 ID:+qr/ArS/]
>>192そこを推測するのも文の愉しみかたのひとつというかw

>>189
とても美味しくいただかせていただきました!
ペリーヌもエイラってなんか面白い関係性なんだよなあ

で、あまり人様の文章にツッコミいれたくはないのだけれど
「・・・」
は三点リーダ
「……」
のほうが見た目にも綺麗に見えますよ
「さんてん」を変換すればでてくるアレです


195 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 17:52:11 ID:BQazHTlK]
>>193
俺芳ーニャスキーだけどそれだけは絶対ないと思うから安心していいと思うよ

196 名前:1/4 mailto:sage [2009/02/15(日) 18:01:49 ID:2JtsAMYL]
いまさらながら>>110のCを選択してみた。えろありなんで注意


「それは、つまり……」
「……」

 ベッドにぺたんとすわらされて、エーリカはかすかにうつむいた。バルクホルンが赤い顔でもじもじと手をもんでいる
ようすを目の当たりにして、いまさらになって自分のしたことが大層はずかしいことであると思いあたったのだ。そのうえ、
つまりどういうことだ、なんて、自分のなかでは答えがでているくせに正解している自信がないのか状況の説明まで
もとめられるものだから、よけいにうつむいてしまう。すると茶色くべたべたになった自分のからだがあって、だからもう
あともどりはできないんだと決心する。

「……言わなきゃわかんないの?」

 ぼそりと、極力かわいらしい声色でもってささやく。へ、と、まぬけな返事があって、視線だけをあげれば混乱しきった
赤い顔がある。上目づかい、これにバルクホルンがよわいことを、エーリカはすっかりとしっていた。それでもバルク
ホルンはかたまったまま動きだそうとせず、思わず焦れたエーリカは胸のあたりについたチョコレートを指先でぬぐう。

「これ、トゥルーデのだから…」

 意図せずふるえた声がでてしまう。よごれた指をバルクホルンのほほにはわせる。茶色い線が幾筋肌にひかれ、かち
と目のあったむこう側はもうすでに熱にうかされていた。エーリカの視線だってきっとそうにちがいない、彼女が自覚した
途端、のどをならして唾をのんだバルクホルンがよってきた。あ、とエーリカの唇から声がもれる。バルクホルンの舌が
彼女の肌に、いやそのうえをコーティングしている甘いところにふれた。遠慮がちな動きがまずは心臓のあたりをさま
よって、徐々に大胆な舌づかいでなめとってくる。

「あ…ねえ、おいしい?」

 たずねても、必死なようすのバルクホルンから返事はない。ぬるぬるとした感触、調子に乗って湯煎しすぎた大量の
チョコレートを胸から腹からすべてにぬりたくったときの感触にすこし似ていて、全然ちがう。熱い舌はとろとろとチョコ
レートをとかしていき、それはエーリカ自身をもへたりこませていく。シーツについた両手をきゅっとにぎって、一瞬だけ
よごれた手が白いシーツを茶色くしてしまうことを思ったが、そんなことはどうだっていい。たまにエーリカがぴくりと反応
すると、バルクホルンはそこにばかり丹念な刺激をくりかえしていた。

(いぬみたい)

 息をみだしながら、エーリカは自分にすいつくバルクホルンを見おろしていた。シーツに手をついて、いまはへその
あたりを一所懸命なめている。勢いあまってすりつけてしまったらしい鼻の頭やほほはエーリカと同じ色でよごれて
いて、ふたりしてチョコレートまみれだった。

「はあっ…」

 ふと息をつき、バルクホルンがはなれていく。全部食べてくれたんだ。エーリカはそう思い、今度はチョコレートでなく
バルクホルンの唾液でべたべたになっているであろう自身の肌を見おろす。そして驚愕した。

「な、なにこれ」

 大半は予想どおりの様相だった、しかしたった二か所だけ、まだチョコレートがのこっているのだ。胸のふたつの突起、
そこだけはまだ、茶色く隠れているのだ。エーリカの白い肌のうえでそこばかりがういていて、見えていないその状態が
よけいに羞恥心をあおるしあがりになっていた。そうだ、そういえばここをなめられた感触は記憶にない。

「あ、なんか、もったいなくて」

197 名前:2/4 mailto:sage [2009/02/15(日) 18:02:27 ID:2JtsAMYL]
 しかも当然のようにそんなことを言う。かっと、エーリカのほほが染まった。意識したらなにも言えなくなるくせに、どう
して考えなしの台詞ばかりがどれもこれもひとを動揺させるものなのか。さらにはバルクホルンはそんなこととは露ほど
もしらずにひと息ついて口や顔のまわりをぬぐっているものだから、エーリカには嫌気がさし、そのつぎにはかすかな
いらつきがやってくる。自分ばかりが赤くなっているのが、エーリカは気にくわないのだ。

「べつにそんなの、まだまだあるんだから」

 すねた声を吐き捨てて、実はエーリカのとなりにおきっぱなしだったボウルのなかの液体を指ですくう。ぎょっとしている
バルクホルンを無視して、エーリカはまた自分の肌にチョコレートをぬった。ぺたぺたとわざとこどもみたいな手つきで
自分をよごし、ついでとばかりにはずかしくうきあがった部分をごまかす。

「ふ、フラウ」
「まだまだあるもん、もっと食べていいよ。これ全部、トゥルーデが食べるやつなんだから」

 茶色くなった指を、バルクホルンの口につっこんだ。ん、とすこし苦しげな声がして、でもすぐに舌がなめあげる。じき
に指先はきれいになり、今度はからだのばんだった。も、もう勘弁してくれ、フラウ。弱気な声についいらっとして、顔を
つかんで自分の胸におしつけた。すると容赦なくバルクホルンの顔はチョコレートまみれになり、それでもぐいぐいと
おしつけた。

「うわ、わ」

 まぬけな声をあげて、しかしすぐにエーリカのようすの異変に気づけたバルクホルンはおとなしく舌をはわせなおす。
急に機嫌が悪くなって、それはきっと自分のせいであると、彼女はそこまではなんとか自覚できていたのだ。だけれど、
もう勘弁してほしいのも切実な願いだ。だってこれ以上この肌をなめていたら、やわらかな感触とチョコレート以外の
甘い香りに頭がへんになりそうなのだ。それでもやはり、こうやってくっつけられると舌はとまらない。要領はもうわかって
いたから、エーリカが甘い息をついたところをなんどもこすりあげた。そのたびきくエーリカの声、どくどくと心臓がなって、
バルクホルンは頭に血がのぼっていく感覚をおぼえていた。

「ん…、あっ」

 そしてバルクホルンの舌は、ついにはまだふれていなかった部分にたどりつく。わずかなふくらみの真ん中の、つんと
なっているところ。こく、とのどがなるのをエーリカはきく。そして上目づかいが見あげてきて、彼女らしからぬ妙に甘えた
その視線にエーリカはぞくりとした、瞬間、バルクホルンはそれを食べてしまうのだ。

「んあ、あ、あ…」

 彼女が意図してたわけではないにしても、さんざんと焦らされたあとの急な刺激にエーリカは高い声をあげた。音を
たててすわれ、チョコレートをなめあげられる。フラウ、おいしい。しかもさっきの質問の返事をいまさらながら、しかも
そんなところできかされる。おそってくるはずかしさに、エーリカはバルクホルンをひきはがそうと頭をつかんだ。それ
なのに、指は結局甘えるように髪にからむばかりだった。ふたつともをすっかりと味わわれ、エーリカは予想以上の
気持ちよさにぼんやりとしてしまう、だらしなく声が唇からこぼれて、それを我慢することもできない。
 途端、ぺたりとした感触が腹のあたりにふれてはっとした。反射的に見おろせば、バルクホルンの茶色の手がエーリカ
の肌にくっついている。

「え、あ、トゥルーデ」
「……」

 呼びかけても返事はなくて、かわりにまたボウルのなかにのびた指がチョコレートをすくってエーリカをよごした。いや
だ、もういい、もういいよ。肩をおしかえしたのに、逆におしたおされてしまった。そして、とろんとした我をすっかり忘れた
目に見おろされてぎくりとする。

「たくさんあるから、食べていいって」

 上擦った声。エーリカはしまったと思った。バルクホルンの意識は、すでに臨界点を突破していた。こうなったらもう手
のつけようがない。エーリカがだめだいやだと言っても、こうなってしまったらもうどうしようもないのだ。

198 名前:3/4 mailto:sage [2009/02/15(日) 18:03:10 ID:2JtsAMYL]
「だ、大丈夫、もういっぱい食べてもらったから、だからもう、んっ」

 すがる声でさとしてみても、バルクホルンはチョコレートを味わうことをやめない。ぺろぺろと、先程までのどこか遠慮
がちな動きは鳴りをひそめ、完全に自由な舌づかいがエーリカの肌をはいまわる。そしてコーティングがはがれるたび、
いつのまにかつけられていた赤いあとが顔をだし、たまらなくなった。息がせわしくなり、それなのに口にはバルクホルン
の指がおしこまれ、甘ったるい茶色の液体をなめるようにと舌をなでられてるのだ。

「んく、んっ、…んっ…」

 苦しい、苦しいのに、エーリカは興奮していることを自覚していた。こうなったときのバルクホルンは、おそろしいほど
にエーリカを気持ちよくしてくれた。普段のへたれたやり方でなくそれこそ我を忘れたような勢いで刺激をくれるから、
エーリカはひそかに、たびたびこうなることを期待していた。トゥルーデのくせにむかつく、そう思うのに、こうなった
バルクホルンを目のまえにするとどきどきと期待に胸がなるのだ。
 ふと、バルクホルンの刺激がとまる。そしてつぎには、はきっぱなしだったズボンに指がかかった。

「……ここにも、ぬってあるのか?」

 熱にうかされきった声が、信じられない質問をする。予想外の問いかけに、エーリカはかっと赤面する。それからぶん
ぶんと首をふった。

「そ、そんなの。そんなとこ、ぬってるわけない」

 そこはすっかりと熱くなっていて、チョコレートなんかをぬる必要がないほどにとろけていることは明白だった。それなの
にバルクホルンは、そうかとうなずいてからズボンに手をかけ、また信じられないことを言う。

「大丈夫、まだチョコレートはあるから。私が、全部食べるから」

 つまりは、あまりのチョコレートはバルクホルンがここにぬってくれて、そして、あまさずなめきってくれるということだ
った。想像しただけで、エーリカの頭のなかは沸騰した。ぼんやりとした目がエーリカをとらえ、欲情しきっているのが
見てとれる。ぞくぞくした。どうしよう、なにも考えられない。エーリカはふるえながらはあはあと息をはき、バルクホルン
のアクションをまった。そのとき。
 ぽたり。

「……あ」

 でたのはどちらの声だったのか。ぽたぽたと、エーリカのへそのそばにおちる生暖かいそれは、真っ赤な。

「は、鼻血……」

 つぎにつぶやいたのは明確にエーリカで、バルクホルンはといえば、ぽかんと、かたまってしまっていた。

----------

「なんていうかさ、……はずさないよね、トゥルーデって」
「……」

 チョコレート食べすぎで鼻血とか、なんかもうさあ。エーリカは、自分のひざのうえにあおむけに頭をのせて鼻をティッシュ
でおさえながら表情を隠すようにてのひらで両目をおおっているバルクホルンを、ひんやりとした目で見おろした。

「ご、ごめん」
「もういいよ、何回もきいたよそれ」
「あの、あの、大丈夫か」
「なにが?」
「だ、だから、その……」

199 名前:4/4 mailto:sage [2009/02/15(日) 18:03:43 ID:2JtsAMYL]
 ごにょごにょと口ごもり、結局バルクホルンはだまってしまう。そこでエーリカはああと思いつく。そうだ、あれだけ盛り
あがっていて中途半端なところで頓挫してしまったのだ。心配されてエーリカは一瞬だけはずかしくなるが、それ以上に
あきれてしまう。

「大丈夫だよ。なんかもう一気にさめちゃったもん」

 まったくそれは事実であった。バルクホルンから滴ってくるしずくと、ぽかんとあまりにまぬけな顔をしている彼女を見て
いると、急にどうでもよくなったのだ。そうそう、これこそトゥルーデなんだよ。エーリカはひそかにふふと笑う。言うことを
きいてくれないほどに興奮しているバルクホルンはそれはそれでありだけれど、やはりバルクホルンは、こうやって情け
ないようすのほうがよく似合う。

「あ…、そう、そうか」
「へへへ、残念でしたね」
「べ、べつに」

 がばりと両目を覆っていた手をはがし、バルクホルンははずかしそうな顔で反論しかける。だけれどすぐに、はっとした
ようにまた目を覆って耳を赤くした。

「ふ、服。きないか」

 言われて、エーリカはああと思う。そういえば、はだかのままだ。

「いや。チョコとトゥルーデのよだれでべたべただもん、服着たらよごれちゃう」
「……」

 即座にエーリカに拒否されて、バルクホルンはなにも言えずにちぢこまる。なかなかにむっつりとしたところのある彼女
は、どうやらエーリカの発言によって自分がしたことをよく思いだしてしまったらしい。つられてエーリの頭のなかにまで
さっきのことがうかんできて、とりはらうように、ぺたぺたとバルクホルンの額にてのひらをぶつける。そのしぐさにまた
エーリカがすねてしまったのかと思ったバルクホルンはごめんと再度謝罪をくりかえし、それでもエーリカの動きがとまら
ないことにおしだまってしまう。うんうん、とエーリカは思った。やっぱり、こうやってわたしのちょっとしたしぐさにいちいち
過剰に反応するかっこうわるいトゥルーデのほうがいいや。うふふと思わず笑いがこぼれると、おずおずとてのひらを
ずらしたバルクホルンと目があう。

「ねえ、お風呂いこうね。それで、トゥルーデがわたしのこと、全部きれいにしてね」

 ふくみのある言い方をすれば、隠しきれていない顔が赤くなって、それでもうんと言ってくれるのだ。うれしくてかわい
くて、エーリカは今度はゆっくりと、バルクホルンの頭をなでてあげる。

「…チョコレート。あの、ありがとう、でも私は用意してないんだ、ごめん」
「いいよそんなの、どうせわたしのやつも板のチョコとかしただけのやつだもん」

 つれない台詞を言った途端、バルクホルンが露骨に表情を暗くしたのでエーリカはしかたがないからうそだよと言って
あげる。とかしただけじゃないよ、ちゃんと気持ちもこもめてるよ。だからトゥルーデも、気持ちをこめてわたしをあらって
ね。甘えた声でお願いすると、バルクホルンは滑稽なほどに真剣な顔で、こくりとうなずいて、それはやはり、エーリカの
ことをうれしくさせた。
 しかし結局、風呂場でものぼせて鼻血をだしてしまうバルクホルンなのであった。


おわり

ゲルトをマダオにしてすみませんでした

200 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 18:04:55 ID:7KJreUSE]
僕エイロットスキーですけどそろそろ公式で実はこの二人が付き合ってたという発表がくるんだろうなあという予感がギンギンしてたまらないので楽しみですね!



201 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 18:10:10 ID:6t7VGvdg]
サーニャが一番じゃないエイラに興味は無い

202 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 18:15:18 ID:7KJreUSE]
リロしてなくて血の気が引いた…割り込まなくて良かった

>>199
なにこの理想的なゲルトマン…
かっこつかないお姉ちゃんとあたふたしてるフラウが可愛すぎる
性的な意味でいいもの読ましてもらいました。GJ!

203 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 18:15:24 ID:hN2eZwgv]
>>199
ありがとう。ありがとう。大変ニヤニヤさせて頂きました。
ゲルトに責められて赤くなるエーリカとかもう本当に最高でした。
エーゲル好きの私はもうこれだけで明日一日頑張れます。
でも正直Bの選択肢も悪く無いと思いますとか言ったら誰か書いてくれそうなので一応言っておきます。

やっぱSSは書くより読んだ方が楽しいよねw


204 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 18:31:32 ID:wVLSm1zS]
>>199
GJ! チョコ塗ったくり系はエロくていい感じですねぇ。
肝心なところでへたれるトゥルーデも微笑ましかったです。



さて、他スレに投稿した作品ですが、48手に関係するのでこっちにも貼っておきます。

リーネちゃんのないしょの基地探訪2 第14話追加
www2.age2.tv/rd2/src/age0950.zip.html
pass:ヨシカ

達成状況:01/02/05/09/10/12/14/15/17/19/20/27-30/32/34-36/41-44/47/48

205 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 18:49:12 ID:snyY0ooj]
>>199
な…なんていうか、嬉しすぎる。えろすぎる。
>>110は自分なんです。ニヤニヤしすぎて顔の筋肉が危険な状態w
アダルティーなエーゲルもいいなと思っていたら…鼻血オチふいたw
果てしなくGJ!

206 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 19:56:17 ID:hN2eZwgv]
エイラ×芳佳ってサーニャの存在があるから、必然的に絡ませるの結構難しいですよね〜。

207 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 20:04:23 ID:BS3oXvNn]
お互いの気持ちを知って、取り持ってあげるサーニャが幻視された。

208 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 20:16:08 ID:KQMroFF3]
そして勢いあまって3Pまで妄想した。
ついでに、エイラーニャスキーな俺の心が痛んだ

でも…でも…エイラがいいならそれで……みたいな

209 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 20:25:40 ID:1NPJg1/R]
3Pなんて大

210 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 20:26:11 ID:1NPJg1/R]
嫌い



211 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 20:39:45 ID:wJgs2PN6]
>>199
自分の中の理想的なエーゲル像でニヤニヤした!
鼻血オチも良かったwさすがおねえちゃん、外さないな。

バレンタインネタでシャーゲルがなくて寂しかったんだけど
鼻血に癒されましたwww

212 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 21:05:57 ID:PW/bLa0S]
>>199
ゲルトマンはこうでなくては! と思わせるナイスSSごちでした!
>>110の選択肢はBも捨てがたいですね。風呂場でひと悶着ありそうで
ゲルトはマダオがデフォじゃないでしょうかと思ったのでちょっと腹切ってきます

rQBwlPEOと申します。エイニパ投下します。ニパは私の自分イメージが強いのでご注意ください。

213 名前:Buddy, Baby, Bittersweet 1/5 mailto:sage [2009/02/15(日) 21:06:30 ID:PW/bLa0S]

空と死神に嫌われながら、それでも私の居るべき所は天と地の間。

--

「オカエリー」

 サウナのドアを開けた私を、一足先に入っていたイッルのニヤニヤ笑いが出迎えた。

「長かったナ。ちゃんと怒られてきたカ?」
「……うっさいなー」

 へらっと笑うイッルの顔を軽くにらんで、サウナの奥に進む。
 急ごしらえの仮設基地の割には、やけにしっかりとした造りのサウナ。まだ匂いの残る真新しい木を、がっしりと組んで作られた
ベンチの上に腰を下ろした。

 ……疲れた。体の後ろに手を突き、天井を見つめる。

 作戦を終えて帰投する途中で発生したエンジントラブルを抱えながら、黒煙を上げて帰ってきた私は、何とかたどり着いた基地
の滑走路に叩きつけられた。
 それだけならまぁ、よくあること、と諦めがつくけれど、その上司令室に呼び出され私は、基地を訪れていたお偉いさんの小言を
たっぷり拝聴させられる羽目になった。
 いつもストライカーを壊す私に目をつけていたそいつが、たまたま基地を訪れていた日に、たまたまそいつの目の前で
ストライカーを派手に壊し、さらに言うなら私がたまたま無事で、もうもうと上がる火煙の中から「まいったよー」と苦笑いしながら平気な顔で出てきたもんだから、そいつは相当頭にきていたらしい。
 そいつはねちねちと嫌味を垂れ流し、それにイライラが募った私は、いつの間にかそいつに噛み付いていた。
 その後のことは思い出したくもないけど、要は「ストライカーを借りてくるのに頭を下げて回る私の身にもなれ」と「うっさい。
手を抜いてるわけじゃないし戦果は挙げてる!」の言い合い。
 最後は双方にらみ合いの上、そいつは「転属させてやるからな」と捨て台詞を残して席を立った。
 隊長はかばってくれたし、気にするなとも言ってくれたんだけど。

「(……やっぱり、ツイてないなー……)」

 はぁ。ため息を付いた私を、隣にいたイッルが見ている。
 何だよ、と聞くと、イッルは私の首筋を興味深そうに見つめた。
「あれだけ派手に落ちてないのに傷一つないって、いつみても不思議だナ」
「……今更驚くことでもないだろ」
 疲れてる私に向かってあまりに能天気なイッルの言葉に、カチンと来ながら言い返す。
「それが私の魔法だからな。体質みたいなもんだ」
「死神に嫌われてんダ。ニパは」
 何がおかしいのか、彼女はニヒヒと笑う。
 あれだけ空から墜ちておきながら、入院すらほとんどしたことのない私は、こいつの中でそういう事になっているらしい。

 死神の好意は別にいらないけど、空から墜ちるから死神の好意を試すような事になるわけで。それはきっと、私が飛ぶスオムスの
空まで私を嫌っているからだって思えて。
 体には傷一つないけれど、たまに私は、こんな沈んだ気分になることがある。

214 名前:Buddy, Baby, Bittersweet 2/5 mailto:sage [2009/02/15(日) 21:07:01 ID:PW/bLa0S]
「……それにしても、なんか熱くないか? 今日のサウナ」

 黙っているとどんどん暗い考えになっていきそうで、私は口を開いた。
 体をなでていく熱気がいつもより強い。イッルのそばに置かれたストーブの中は、勢いよく上がる炎で満たされ、ストーブの上
に置かれた石を熱し続けている。

「お。いいとこに気づいたナ」

 イッルはにやりと笑って、手に持った白樺の枝を雪の浮いたバケツに突っ込み、それを使って石の上に水を振り掛けた。じゅう、
と音を立てて湯気が立ち上り、部屋の熱気をかき回していく。

「……ニパが落ち込んでると思ってナ。今日はサウナの妖精さんに本気出してもらってんダ」
「……お前まだ妖精さんとか言ってんのかよ」

 本気ってお前。どぉっと疲れをにじませた声でいってやると、イッルが口を尖らせる。
「信じてないのカ? せっかく頼んでやったのにサ」
「そうかー。わざわざ頼んでくれてありがとうなー。ようせいさんに」
「何だよー。感謝に心こもってないゾー」
「感謝なんかするかよ。
 ……別に、落ち込んでなんかないからな」
 イッルから目をそらして前を向くと、イッルはそばによってくる。そして手に持った白樺の枝で私をぺしっと叩いた。
「いて!」
「すな、おじゃ、ない、ナ。ニパ、は」
 ぺしぺしと叩きながらそれに調子を合わせて言うイッル。緑の葉がざわざわと私の顔にまとわりつく。
「……やめろって」
 うっさい。それからうざい。手で枝を払いのけると、イッルはつまんねーの、といいながらベンチの上で胡坐をかいた。
「ナンダヨモー。勝手にむくれてんなよナ。どうせまた転属させてやるとか、つまんないこと言われたんダロ」
「そうだけど、そうじゃない」
 なんだか苦しい言葉を言ってしまい、そっぽを向いた。そのまましゃべってると、今の気持ちを見透かされそうだ。

 ……本当のことを言うと、こんなとき、こいつとあまり顔を合わせたくない。
 同じ空を飛びながら、無被弾無撃墜のこいつ。かたや墜落を繰り返すツイてない私。そんな相手に励まされても惨めになるだけだ。

 おまけにこいつときたら、こういうときにべたべたべたべたと。デリカシーって物がないのか。お前には。
 ツイてない奴にはそっとしておいて欲しい時があるんだよ。

215 名前:Buddy, Baby, Bittersweet 3/5 mailto:sage [2009/02/15(日) 21:07:50 ID:PW/bLa0S]
 別にむくれてもない。落ち込んでもいない。……まぁ、ちょっとは沈んでるけど。
 小言をたれたお偉いさんにも言ったけど、ツイてないのは、私のせいじゃない。私が悪いわけじゃない。
 空戦の腕は自信があるつもりだし、整備に手を抜いてる訳でもない。たまたま私が履いたストライカーが、なぜか壊れる
というだけだ。私は何も悪くない。
 それでも、

「(……いつまで飛んでいられるのかな……)」

 時々そんな事を考える。
 ストライカーが貴重な物だってことは、私にも分かってる。特にスオムスは貧乏空軍だから。
 今日私が啖呵を切ってしまったお偉いさん達からすれば、彼らが揃えたストライカーを片っ端から壊している私に対して、
何やってんだ、と言いたくもなると思う。
 すまないと思うし、いたたまれない気持ちにもなる。
 でも、私がいつか、空から放り出されるんじゃないかと思う度、私の胸は痛む。いつまでも空を飛び続けられないと思うことは寂しい。
 軍隊は自分の行き先を自分で決められるところじゃないから。私が空にあこがれていても、飛び続けられるかどうかは、私が決めら
れることじゃないから──

「うひゃぁっ!」

 首筋から背中にかけて走り降りる冷たさを感じて、心臓が縮み上がった。
 背をのけぞらせながら振り返ると、雪の塊を手に持ったイッルと目が合う。

「……冷たかったカー?」
「冷たいよ! 心臓止まるよ! 何すんだよ!」
 バケツの中にあった雪を私の首筋に投下したイッルに向かって怒鳴り返す。

「死んだらどうすんだよ! ひどいじゃないか!」
「……そうか?」
 暢気そうにイッルは首をかしげる。……こいつは。この為にわざわざ雪探して仕込んでたのかよ。

「……人が考え事してるときに邪魔すんなよ」
「だってニパが急に黙り込むからさー。気になるダロ?」
 じとっとした目でイッルは私を見て、そして言う。
「……やっぱり落ち込んでるんじゃないカ」
「……。当たり前、じゃんか」
 私は体を回してイッルの視線から逃げた。
 イッルのことだから、多分最初から分かっていたんだろうけど。自分が沈んでいる事を見抜かれてしまうのは悔しくて情けない。
 無被弾無撃墜のお前に、私が飛ぶために悩んでいるなんて、本当は知られたくない。
拗ねた気持ちを抱えてるなんて知られたら悔しいし、もし私だけがこんな思いをしてる事を気にされたら、私はきっとこいつの隣で
飛んでいることがいたたまれなくなる。

「ニパー、元気出せヨー」
 うつむいた私の背中に引っ付いてくるイッル。
「転属って言われるって何度目だヨー、どうせまた脅しなんだから気にすんなッテー」
 私の首に手を回し、つむじをぐりぐり押しながらだらだらしゃべるイッル。
「……何度も言われてるって事は、それだけ危ないってことだろ?」
 痛いって、と肘でイッルのわき腹を押しやる。
「ニパが頑張ってるのは、隊にいる奴ならみんな分かってルゾー」
「……そうでもしないと私は空にいられないからな」
 イッルの言葉にいちいち逆らう私。なんていうか、まるっきり拗ねた子供の言葉だ。

「大丈夫だって。何があっても、ニパはちゃんと空に戻って来れっかンナ」
「……何でそんなこと分かるんだよ、お前」

 自分の言葉は棚に上げて、イッルのその言葉は神経に触った。
 こういう奴だって分かってるけど、こいつの無意味に楽天的な所は時々許せなくなる。
 何の根拠もない慰めはいらない。こいつお得意の占いの結果で分かったようなことを言うならなおさら許せない。

 むしろ私の気持ちなんて分からなくていい。私の悩みなんて知らなくていい。お前なんてただニヤニヤ笑って飛んでればいいんだ。
 私はそんなお前の相棒でいたくて、同じ空を飛んでいたくて──

216 名前:Buddy, Baby, Bittersweet 4/5 mailto:sage [2009/02/15(日) 21:08:44 ID:PW/bLa0S]
 イッルは少し黙って、私の頭に手を置かれる。静かなイッルの声が聞こえた。

「空を目指すときのニパは、嬉しそうだからナ。私と同じように」
「……」
「だから分かる。何度墜ちても墜とされても、ニパは飛べるっテ」
「……」
 イッルの言葉を聞いて慌てて下を向く。鼻の奥に、つんとした痛み。
「……そういう事、言うなよ」
 お前に言われると、なんか、泣きたくなる。

 私が何も言えないでいると、下を向き続ける私の両脇に、すーっとイッルの手が突っ込まれた。
「第一、ニパにそんな事いうなんてひどいよナー」
「おい……」
 その指が当然のように私の胸を両脇から包み込む。
「私だって隊長だって困るんだカンナ。お前がいなくなったらサー」
「何してんだお前……」
 そしてもむ。もみ始める。離せ、と掌底で顎を突き上げてやってもその手は止まらない。
「ここのみんなだってそう思ってるゾー」
「離せバカ離せ! この変質者!」
 もうすっかり棒読みになりきった台詞を吐きながら、しつこく私の胸をもみ続けるイッル。
「む……?」
 そしてその手が止まる。
「……むむ……?」
「お前……いいかげんに……」
「おぉー」
「……やめろって……」
 私の手に顎をぐいぐいと押されながら、イッルは私の胸の大きさを確かめるように数度強くもみしだき、そして私の耳元で
最高級に嬉しそうな声を上げた。

「……うん、ニパは、頑張ってるヨ!」
「〜〜〜〜〜〜〜〜!」

 イッルを突き放し、胸を手で覆う。
 立ち上がってイッルのそばにあるバケツを手に取る。小さな雪片が浮かべた水の入ったそれを持ち上げる。

「……イッル」
 背を向けたまま語りかける。
「何デスカ? 頑張ってるカタヤイネンさん」
 何を頑張ってるのかどう頑張ってるのかわからないし聞いてもやらない。もう死ねお前。
「今日こそお前を……」
 ほだされかけた私がバカだった。お前はただ、ここで死ね。
「……今日こそお前をツンドラの上の赤いシミにしてやる!!」

217 名前:Buddy, Baby, Bittersweet 5/5 mailto:sage [2009/02/15(日) 21:09:38 ID:PW/bLa0S]
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 夕食の時間になっても食堂に来ないイッルを、部屋まで呼びに戻った。
 結局私はイッルの抹殺に失敗し、のぼせてふらふらしながらサウナを出た私は、その後壊れたストライカーのパーツ取りをして
過ごした。同じくのぼせてたイッルは部屋に帰ると言っていたけど……

「イッル。飯だぞ? 出て来い」
 外から呼びかけても返事がない。なんだよ、と文句を言いながらドアを開けて入り、薄暗い部屋を見回す。灯油ランプに照らされた
部屋の中、かすかな呼吸の音が聞こえた。

「……イッル?」
「……」
「……おい」
 ……寝てんなよ。人が働いてるときにさ。

 シーツの上に毛布を広げ、それにくるまってイッルが眠っていた。
 くるまった毛布から寝顔を覗かせて。シーツの上に髪を広げて。薄く開かれた唇からかすかな寝息が漏れている。
「……おい」
 起きろ、飯だぞ、と小声でいいかけて、私は言葉を止めた。
「……」
 眠る彼女の隣に腰を下ろす。かすかにきしむベッド。

 息を潜めて、静かなイッルを見つめる。磁器のように白い彼女の肌にランプが映り、その淡い灯火に合わせて、その顔にかかる
私の影が揺らめく。
 無駄に綺麗な肌と無駄に艶やかな髪と、無駄に整った寝顔。
「なんだよ……」
 ……イッルのくせに。見つめてしまった事が恥ずかしくて、そんな言葉を漏らす。

「あのな……」
 とくん、と心臓の跳ねる音を感じながら、彼女の髪に触れた。
「……変な気の遣い方すんなよな、お前」
 ……礼も言わせてくれないんだからさ、
 さっきの事が、このバカなりの気遣いだってことぐらいは、私にも分かっていた。
 「私と同じように嬉しそうだ」というイッルの言葉。言葉だけを取れば、何の根拠もない慰めかもしれない。
 でも空への憧れこそが、私が空を目指す理由。それをこいつは知っている。それは私とこいつが、分かち合えるものだと
分かってくれてる。何も言わなくても。
 それを見透かされたことは、悔しいけど、でも、嬉しい。
 天然なのか、考えた末なのか、多分その両方なんだろうけど。こいつが引っ掻き回してくれたおかげで、沈んでいた私の気持ち
はどうにかなっていた。ツイてないのは変わらないけど、嫌だけど。胸から不安が消えていた。

 何考えてるのか、あるいは何も考えてないのか分からない奴なのに。口を開けば、自分勝手なことしか言わないくせに。隙を見
せれば胸揉んでくるくせに。
 ニヤニヤ笑いながら何もかも見抜いているような、不思議な私の相棒。何かあれば、勝手に世話を焼いて行く彼女。ありがとう
なんて絶対に言わないけど。

 空と死神に嫌われながら、それでも私が居たい所は天と地の間。
 お調子者で小憎らしくて、お人好しな彼女の隣。

 静かに眠るイッルの顔に、唇を寄せた。

「──」

 頬と耳の熱さを感じながら、唇をぬぐう。
 ……胸のお返しだからな、バカ。

218 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 21:10:25 ID:PW/bLa0S]
以上です。
イッル大好きなニパは鼻血の海に溺れたいぐらいの勢いで好きです。
ニパはコメディが似合うし可愛いと思うのですが、自分で書いてみるとこんな感じになるのかーと変に納得してます。
でもこの二人はリバが似合いますよね。ちょっとえろいリバが似合いますよね。

書きかけのものをほったらかして行方をくらましてました。本当にすみません。復帰に時間がかかりましたが、暇を見つけてぽつぽつ書いていこうと思います。

219 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 22:07:57 ID:/L3/Rv8m]
ここまで>>204に誰も突っ込まないのはおかしい。
いつもの人GJ!!湯気クソワロタwwwそして達成速度yabeee!
一区切りごとに必ずニヤニヤポイントが仕掛けてあるというこの異常なまでの構成力には感服せざるを得ない。

>>218もGJ!!ツンツンニパはいいよね。そしてふとした拍子にデレる。ハッ!もしかしてニパってツンデレなのか!?
これでエイラが実は起きてた的な展開だったら悶死する。
そのエイラもエイラで、冗談では何でもできるけどなかなか本気で好きとは言えない葛藤が……とかね!とかね!!

220 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 22:30:58 ID:3fekq++g]
こっそり一日遅れのネタ投下
芳佳×リーネでさくっと3レスです



221 名前:チョコレートの温度 1/3 mailto:sage [2009/02/15(日) 22:32:24 ID:3fekq++g]
「ふぅ、やっと全員に配れたね」
「うん、みんな喜んでくれてよかったね!」

今日はバレンタインデー。芳佳ちゃんと一緒にチョコレートを作り、
ウィッチーズのみんなに配り終えたところだ。
みんなとても喜んでくれて、私たちもとても嬉しい。でも……
芳佳ちゃんはきっと深く考えず、お世話になったみんなへのお礼として
腕を振るったのだろうけど、私の手元には、1つ特別なものが残っている。
特別な人に、特別な思いを込めたチョコレート。
いくら普段仲良く接しているからといって、ううん、普段仲良くしているからこそ、
これを渡すのはとても勇気がいる。
だけど、これを渡さないことには私の2月14日は終わらない。勇気を出さなくちゃ……

222 名前:チョコレートの温度 2/3 mailto:sage [2009/02/15(日) 22:33:24 ID:3fekq++g]
「あ、あのっよしかちゃ……」
「ふふふ〜ん、リーネちゃん、はいこれ!」

出鼻をくじくように芳佳ちゃんが私の胸の前に突き出してきたのは綺麗にラッピングされたもの。

「えへへ、勿論チョコレートだよ!昨日のうちにリーネちゃんに内緒で作っておいたんだ〜」
「……」

二人で一緒に作ったものとは明らかに形の異なるハート型のチョコレート。

「リーネちゃんは特別なお友達だからね、頑張っちゃった!……ど、どうしたの?なんで泣いてるの?」
「……えっ?」

無意識のうちに涙を流していた。どんなに頑張っても止められそうに無い。
でも、笑顔で誤魔化すことなら出来る。

「ううん、なんでもないの。ありがとう!芳佳ちゃん、私からもはい!」
「わあ、ありがとう!綺麗だね、食べるのもったいないくらい!」
「わ、私も……芳佳ちゃんは特別な人だから、頑張ったんだ……」
「そうなんだ、嬉しいな。私たち特別同士だね!」
「特別同士……」


223 名前:チョコレートの温度 3/3 mailto:sage [2009/02/15(日) 22:34:40 ID:3fekq++g]
きっと私と芳佳ちゃんの抱く『特別』の意味には温度差がある。
それをこのチョコレートで埋められたなら……ううん、埋められなくてもいい。
せめてこうして一緒にいられる間だけでも芳佳ちゃんの特別でいられたらいいな……

「これからも仲良くしてね、リーネちゃん!」
「こちらこそ、芳佳ちゃん!」

私は大切にチョコレートを抱きしめた。温もりで溶けないよう気をつけないと……

224 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 22:36:22 ID:3fekq++g]
以上です。最後のくだりが大好きな同人サークルの新刊とややかぶってます
ごめんなさい。では職人さん方これからも頑張ってください。

225 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/15(日) 23:13:56 ID:wVLSm1zS]
>>224
芳リーネのバレンタインネタ待ってました!
親友ポジションキャラの宿命みたいな切ない片思いですね。
ここはやはりおっぱいにチョコを塗りたくるしか…

226 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 00:20:32 ID:cHIjJOPT]
>>218
びっくりするほどry
見てて応援したくなりました
というかニパは無条件にガンバレと言ってやりたくなるww

>>224
GJ!
やっぱり王道っていいよね
うん・・・・いい・・・

227 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 01:13:53 ID:a8u0lfYI]
色々細かい妄想は浮かぶがなかなかまとまらない。
芳エイラとか浮かぶには浮かぶんだが、エイラが絡む妄想が全部流血沙汰になってしまうのは困りものだ……

228 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 01:23:45 ID:XbVAvWd+]
>>227
不覚にも笑ってしまったw
エイラ×芳佳書いてみたはいいけど、何かあんま甘々にはならないな…

229 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 01:25:53 ID:NtVnMIRC]
つーかエイラはサーニャとの関係が大前提にあるんでそれを崩すともうエイラじゃないと思う

230 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 01:42:42 ID:XbVAvWd+]
>>229
ですよねー。そう思います。なので
芳佳はエイラが好きで、サーニャを好きなエイラがそれを芳佳に相談。
それで色々相談してたら気付かない内にエイラは芳佳を好きになってた。
的なモノをですね…。書いてみようと…。



231 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 01:42:48 ID:WR57/YBc]
そうなんだよ。
芳イラって絵的に好きだし、いちゃつく所を細かく妄想すると萌えるんだけど、話すすめ様とするとさーにゃんが可愛いそうでさ。
重複カプは別腹、が信条だけど、納得いく形で話を書くのは並大抵でない妄想力がいると思う。

232 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 01:52:50 ID:7+l4s+KX]
おまえらはサーニャの親御さんか

233 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 01:53:06 ID:3UdgTQZM]
皆さんやはり同じ事で悩んでるんだなあと実感するww
そしてエイラーニャはやっぱり固いwww

234 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 01:58:42 ID:uKtM0wPw]
>>229, 231
同意です。カップリングの枠を狭める気はないですけど、
エイラとサーニャって、どこか二人で一つみたいな存在だと言うか……。
いくらエイラが他の誰かを好きになって、サーニャの元を離れていっても、
最後には必ずサーニャのところに戻ってきてしまう、っていう状況しか妄想できないんですよね。
それだけ、本編でのエイラーニャの関係が濃密だっていうことなんでしょうか。

その常識(?)を打ち壊してでも幸せなカップリングを妄想できる力を持ってる方は、
本当、純粋に尊敬します。

235 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 02:02:25 ID:jeSC5ZFT]
芳ーニャの時もそうだったけど、こういうとき
何故か「リーネがかわいそう」とは言われない
んだよな・・・。

236 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 02:07:15 ID:tpF7Rqiz]
>>235
同じことを考えてる人がいて安心した

237 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 02:11:51 ID:a8u0lfYI]
>>234
あくまで恋愛的な目線で見たときにエイラーニャが鉄板過ぎて動かしにくいってだけの気も。
良いじゃない、恋仲にならなくたって。気心知れた親友みたいな関係に落ち着くのもそれはそれで良いと思うんだ。

238 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 02:38:00 ID:FcmkEnDs]
本当は書くつもりなかったんですが、>>92を見たら書かずにはいられなくなってしまいまして
シャーゲル?ゲルシャー?を一つ 6レスほど
急いで書いたんでちぐはぐですが

239 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 02:39:23 ID:FcmkEnDs]
「それじゃあシャーリーさん、片付けは私達がしますから」
「そうか、何から何までありがとな、みんな。最高の誕生日だったよ。おやすみ」
「おやすみシャーリー!」
あいつは・・・もう部屋で寝てる、かな
・・・つまんないの



-----------------------------


ちょっとした失意と寂しさを胸に、あたしは自室へ歩を進めた
さっきまで大騒ぎだったパーティがお開きになったから寂しいわけじゃない
そりゃみんなが喜ばせてくれたし、楽しかったからいいんだけどさ・・・
バルクホルンは、あたしに一言だけしか言ってくれなかったんだ

『17歳の自覚と責任をもて』

両腕に抱えたプレゼントの中に、あいつからのものはない
誕生日に気付いてた素振りも見せてなかったし、本当に知らなかったのかな
お祝いするほど脳天気じゃないからな・・・
・・・言っておけばよかったな。2月13日のこと

「はぁ・・・」

もしもあいつがパーティであたしを独り占めしようものなら、二人の関係をみんなに知らしめたかったのに
実際はハルトマン中尉とこそこそしてたし・・・結局最後まで何もなかったな
もーいいや、とドアノブに手をかけると、ふと小さな異変に気付いた。ドアの隙間から光が漏れている
まさか・・・いや、そんな・・・嘘だろ・・・
ゆっくり扉を押し込むと、いた。あいつが・・・バルクホルンが

「遅いぞ」

・・・なんでさも当然のように座ってんだよ
ああ、なんかもやもやする

「あんたがいるとは思わなくて」
「今日ぐらいは、な・・・」

バルクホルンはそう言うと恥ずかしそうに顔を伏せた
よく見る仕草のはずなのに、今日に限って随分いじらしく目に映ってしまう
こっちまで赤くなった頬を見せないように、早足で部屋の隅に逃げ込んだ
なんだよ、はじめからそのつもりだったのかよ。なんか損した気分

240 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 02:41:24 ID:FcmkEnDs]
「あー・・・なんだ、どんなプレゼントを貰ったんだ?」

緊張してるんだろうか、話題を探すような口ぶりに違和感を覚えてしまう
けどその質問はないんじゃない?デリカシーって言葉・・・知らないよな、こいつは
あたしはみんなからのプレゼントを作業台に置いて、一つずつ包みを開いていった
懐中時計、サングラス・・・おっ、工具セットもあるじゃん

「その封筒はなんだ?」

なんでこいつは人のプレゼントに興味津々なんだ?まぁいいけど・・・
封筒というのは大きいものと小さいもの、あわせて二つあった
大きい方は中佐に、小さい方はハルトマン中尉に貰ったものなんだけど
まさか誕生日に処分・・・なんてことはないよな。中佐ならやりそうだけど笑えないジョークだよ
大きいほうの封を切ると、見慣れたサイズの紙が二枚
報告書や辞令なんかに使われるサイズの・・・それ

「なんだよこれー・・・何かしでかした覚えないぞ。えーっと・・・外出許可証と休暇申請書・・・?」

そこに記されていたのは辞令なんかじゃなく、既にあたしと中佐のサインがしてある二つの書類
え?いつ書いたっけこんなの?サインした覚えはないんだけど・・・
外出期間は明日の朝から夜まで?休みも申請してないし、明日だって訓練はあるはず・・・
首を捻っていると、後ろにいたバルクホルンに呼び掛けられる
眉間に皺をよせたまま振り返ると、こいつも同じような書類を持っていた

「お前の外出許可がミーナからのプレゼントだ。有休にはカウントしないそうだぞ」

ゆ、有休にカウントしない、なんてできるのか?
ってことはこのサインは中佐が書いたのかな
そっか、休みか・・・不意をつかれちゃったな、うん

「へぇ、ちょっと驚いちゃったよ」
「それで、だな・・・」

さっきよりもじもじしながら、バルクホルンは書類を二枚突き出した

「これが私の、休暇申請書と外出許可証だ・・・一緒にロンドンへ行くぞ」
「・・・へ?」



241 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 02:42:44 ID:FcmkEnDs]
なんつった?休暇?ロンドン?一緒に?

「ええ・・・えええー!!??」
「な、なんだそれは!嫌か・・・?」
「いやじゃない!けど、その、ほ・・・ほんとに?」
「ミーナからの好意を無下にはできん、だろう?」

そりゃそうだけどさ、いや、悪くないしむしろ嬉しいけどさ・・・
だって・・・二人でロンドンってことはさ・・・それは・・・

「デート・・・ってこと?」
「・・・それ以外に何がある、大馬鹿者」

その瞬間、信じられないくらい耳が熱くなって、こっちまで俯くハメになった
馬鹿はどっちだ、人をこんなに動揺させておいてさ
何か嫌味の一つでも言ってやりたい、けどそんな余裕はかけらもなかった
嬉しくて、嬉しくて、本当に言葉にならないくらい嬉しいから・・・
二人して顔を見せないまま押し黙っていると、向こうが顔を上げかけたから
ぐいと腕を引き寄せて、身体を押し付けてやった
こんな顔、見せられるわけない・・・

「シャーロッ、ト・・・?」
「なんで、なんで早く言わないんだよ、ばか」
「それは、驚かせてやろうと・・・」
「パーティの時は中尉にべったりだった」
「あ、あれは!その・・・皆の前で何て言えばいいか分からなくて・・・」
「中佐にこんなプレゼント貰ったってことは、あたしらの関係バレてるじゃん」
「う・・・」
「ばか、ばかばかばか!ほんとあんたってばか。ホントに・・・」
「すまない・・・それとな、ハルトマンのプレゼントなのだが・・・」

中尉のプレゼント・・・ってこの封筒か

「これが何?っていうか何が入って・・・」
「あ!ちょっと待て!」

バルクホルンの制止も聞かず、ビリビリと封を破ると・・・また紙が入っているようだ

「カールスラントでは紙でプレゼントするのが習慣なのか?」
「違う、それはハルトマンが・・・」

242 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 02:44:14 ID:FcmkEnDs]
中の紙を取り出してみると、手作り感漂う3枚綴りのチケットが出てきた
丁寧にミシン目まで打ってあるけど何のチケットだ?えーと・・・

『トゥルーデを一日好きなようにしていい券』

「・・・・・・」
「だから、待てと・・・」
「・・・ぷっ、あはははは!なんだよこれ!」

ちゃっちい、質の悪い紙にそう書いてあるだけのチケット!
これはプレゼントでいいのか?ハルトマン中尉は何もしないんだろ?
有効期限は・・・『シャーリーかトゥルーデが死ぬまで』だと
あいついくつのつもりなんだよ、まったく!

「ふんふん、いつ使おうかなー」
「できれば使わないで欲しいんだかな」
「えー・・・・・・あ、こうすればいいのか」
「え?」

鈍い堅物の細い腰を抱えて、深く、深く、深くキスを重ねた
舌を絡めて、唇を吸い上げて、唾液を舐め取って・・・

「ん、ん・・・っ・・・ふ・・・」
「・・・んぅ・・・ぷは、こうすれば何時でも好きにできるからなぁ」
「こっ、こここ、これに限ったことじゃないっ!」
「あはは・・・」

幸せだ、あたし
仲間に誕生日祝ってもらって、好きな奴と一緒にいられて
もう、なんだろう。今にも死んじゃうかもしれないや
嫉妬すんなよ、神様。まだ生きていたいんだよ
こいつと、一緒にさ・・・

「ねぇ、二人きりの時だけさ、トゥルーデって呼んでも・・・いい?」
「え、あ・・・・・・そのかわり、私は、し、シャーリーと呼ばせてもらうぞ・・・」
「いいよ・・・トゥルーデ、愛してるよ」
「ひ、卑怯だぞ、そんな・・・あっ・・・」

243 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 02:46:43 ID:FcmkEnDs]
-----------------------------


基地に戻る頃には、食欲をそそる匂いが廊下に漂っていた
二人で選んだバレンタインのプレゼントを持って、手を繋いでここまでやってきた

「なぁ・・・本当にやるのか?」

当たり前だろ、一度決めたんだから
今までこの関係は秘密のはずだった、だけどそれも今日でおしまい
ルッキーニの笑い声が聞こえる、食堂はもうすぐそこだ

「忘れられないバレンタインにするんだろ?」
「確かにそうは言ったが・・・」

今日は本当に色んなことがあった。色んなことを話した
ほとんどはドキドキするような、ワクワクするようなことだった
けど、それだけは二人の秘密なんだ
絶対に誰にも教えない、二人だけの・・・

「手、はなすなよ」

宮藤とリーネが出迎えてくれる
ペリーヌがこっちを見て、フォークを手から滑らせていた
今日から、あたしらの秘密は一つ無くなる
そのかわり、一つだけ皆に打ち明けることがある


あたし達は、こんな仲なんだ


初めてする、皆の前でのキス
恥ずかしいけど、一歩だけ先に進んだ気がした
二人で、一緒に


おしまい

244 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 03:01:30 ID:uKtM0wPw]
>>243
GJ! シャーリーが可愛らしくていいです。
トゥルーデも男前でかっこいいw


245 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 03:43:24 ID:MMRaxERG]
うおお、なんていいものをお書きになるんだ…。いかん、シャーゲルはニヤニヤ
センサーが反応しまくってしまう。素晴らしいものをありがとうございました。

246 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 03:57:22 ID:3UdgTQZM]
自分はヘタレでダメダメトゥルーデも好きですがこういうしっかりしててかっちょいい
ヘタレ成分少なめなトゥルーデのほうがもっともっと好きなので
こういう作品がふえるの超うれしいからもっと増えてほしいです

247 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 07:12:20 ID:/YdTVIcL]
結局このスレってバルクホルンとエイラ中心に回ってるんだよなー

248 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 07:21:17 ID:64hGHnPx]
けど最近はペリーヌがだんだん増えてる希ガス

249 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 07:49:52 ID:/OfWwi1/]
>>247ってたまにキャラ偏ってるとか言うやつか?

250 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 07:54:43 ID:OJOKHHx0]
シャーゲル諦めてかけてたからすごい嬉しい!ありがとう!
ニヤニヤが止まらない!

これ読んでたらエーリカが二人の恋のキューピットってのまで妄想した!
だが文章には出来なかった…



251 名前:そらゾラ! 1/9 mailto:sage [2009/02/16(月) 08:03:09 ID:lxWoqXsz]
「あーあー。 こちらハルトマン。 トゥルーデ、聞こえますかー? 応答どうぞ。 ……このシスコーン。」
「こちらバルクホルン。 ばっちり聞こえるわ! 貴様! 誰がシスコンだ! 誰が!!」
「うわー、すごい。 自動ダイヤルアップっての? これ、本当に交換手がいなくても相手と繋がるんだー。」
「すごいです! そもそも私、糸じゃない電話って初めて見ました!」
「それ電話か?」
ミーナが持ってきた「最先端の発明」とやらを前に、私たちは最高にエキサイトしていた。
この内線電話もその一つ。 全員の部屋に設置して、非常時の連絡をスムーズにするためのものなんだって。

「おお! すご! 見てよシャーリー! 本当に乾いてるよ! ほっかほか!」
「これが乾燥機付き洗濯機か! すげぇ! これで洗濯の時間もストライカーの改造に回せるようにっ!」
「……ね、エイラ。 このマクラ、すごく可愛い。 YES/NOマクラって言うんだって。」
「ふーん、何に使うんダロ……ワワワ! さ、サーニャ! それの説明書は読んじゃ駄目だぞ! 絶対に駄目だぞ!!」
ふっふっふ。 まだまだ甘いねみんな。 そんな前座くんを前にテンション上げちゃってさ。
私の直感はまだまだ大物が控えていると告げているね! 具体的に言えば、ミーナのデスクに置かれたそれ!
回転灯のくっついたコンパネと、一見して魔導機構と分かる謎の指輪。 あやしい! あやしすぎるよ!

「はい、そろそろ注目! 先程もお話しした通り、私たちが最先端の発明のモニタリングをする事になりました。
 とは言っても、みんな自由に使ってみてねって、それだけの事ね。 この……ウソ発見器を除いて、なんだけれど。」
「ウソ発見器!!??」
みんなの声がぴったりハモる。 そりゃそうだよ。 なんて眉唾な。 それでいて、なんて素敵な響きなんだろう!

「えっえっ。 う、ウソってウソですよね? この箱でウソが分かっちゃうんですか!? どうやって?
 この箱が人の話してる内容を聞いて、それウソっぽいって判断するんですか? すごい! すごすぎます!」
「ふふふ。 落ち着いて宮藤さん。 そこまで神懸り的な物じゃなくって、これはもっと機械的な指針で判断を下すそうよ。
 詳しい処理は知らないけれど、指輪をつけた人の状態を観測して、ウソと結論付けたら音と光が出るんですって。」

「うあじゃー! それ、充分すごいー! いいなコレ! あたしやってみたい!」
「要するに、物理的な兆候が判断基準なんですのよね? そんなの、しれっと嘘をつく人はどうにもならないではありませんの。」
「オイ! それでなんでこっちを見るんダヨ!!」
ひぇー。 聞いた聞いた奥さん? ウソを見抜いちゃうんだって! ちょっとした遊び道具には最適じゃない?

「ごめんねルッキーニさん。 悪いけど、モニタリングの対象は決まってるの。 トゥルーデ。 フラウ。 お願いね。」
「えーー−!? なんでなんで? なんで二人はよくてあたしは駄目なの? ずーるーいー!!」
「ルッキーニ、大人の事情だよ。 ハクが必要なんだ。 あたしらは200機撃墜スーパーエースのデータをサンプルしました。
 どうぞお納めください……ってさ。 早い話が、ご機嫌取りだよ。 予算やら何やら融通してもらうためのね。」

252 名前:そらゾラ! 2/9 mailto:sage [2009/02/16(月) 08:03:58 ID:lxWoqXsz]
「……うーぎゅ。 分かったよー……。」
シャーリーに言い含められて、つまらなそうなルッキーニ。 私たちの可愛い妹分に、こんな顔させてちゃいけないよね。

「ま、ま、ルッキーニ。 これ、自分が付けるより、付けてる奴をいじくる方が面白いよ、きっと。
 えー、トゥルーデさん。 あなたは表面上は厳しくしていますが、宮藤が可愛くて可愛くて仕方がない。 YES? NO?」
「なっなっ!? と、唐突に何を言ってるんだ! 上官たる者が、一個人を身贔屓するか! NOだ! NO!」
ファンファンファン!! わっ! ゆ、指輪の方が鳴るんだ。 音でかいなぁ! 机の上に置かれた回転灯もクルクル輝いている。

「あのねフラウ。 一応言っとくけど、それ、ウソの度合に比例した音量で鳴るの。 手加減してあげてね。」
ミーナのフォローは火に油を注ぐだけ。 ルッキーニ、シャーリー、エイラ。 悪戯仲間たちの瞳がきらりーんと光る。

「くっ、ハルトマン! こうなれば貴様も道連れだ! えーと……お前は毎朝寝坊している事を心の底から反省している! どうだ!」
「いえーす。」
「!!?? なっ、なぜ鳴らないんだ!? こ、こらリベリアンども! 近寄るなぁーーー!!!」
だってほんとに反省してるもーん。 これ、ウソって思ってなければ全然鳴らないんだね。 たとえ事実と食い違ってても! にひひ!

「くっそぉぉぉーー!! あいつらぁああ!!」
「ごめんなさいねトゥルーデ。 それのせいで、日がな一日……ププッ。」
内線電話を取り付けながら一日を反芻する。 くうっ。 今日味わった屈辱は、これまでの人生丸々をなお上回る気さえする。

「本当に悪いんだけど、サンプルデータが溜まるまで、もう何日かそのままでいてね。 それじゃ、おやすみなさい。」
そそくさと逃げるようにミーナが部屋を後にする。 くっ……! 明日もこのマシンと付き合うのか? 気が重すぎる……。
リンリン! うわっ! 思索に耽っていると、突然電話が鳴った。 えぇと……受話器を取ればいいのか?

「モシモーシ。 バルクホルン大尉カ? こちらエイラ。 いやー、今日はスーパーエースも形無しの戦果だったネ! ヒヒ!」
「き、貴様! よくもぬけぬけと!」
クリアな音声だ。 言い返しながら今日の事を思い出す。 特にエーリカの問いかけを掘り返すと、顔が紅潮せずにはいられない。
私の事好き?などと。 その質問を全力で否定した時、なんと巨大な音がなった事か。 くそぉぉ! 思い出すだけで腹が立つ!

「やり返したくない?」
「え?」
「このままじゃ明日も大尉はやられっぱなしダヨ。 いいの? なんとかしたくない?」
「そうしたいのは山々だが……エイラ。 どういう風の吹き回しだ。 一体何を企んでいる?」
「別に企んでないって! でも、ちょっとでも反撃の意思があるならさ。 一分だけ耳を澄ましてくんない? 一分でいいから……。」
耳を澄ます? その言葉の意味を考える暇も無く、エイラは不可思議な言葉を呟き始めた……。

253 名前:そらゾラ! 3/9 mailto:sage [2009/02/16(月) 08:04:45 ID:lxWoqXsz]
……………………ちゅんちゅんちゅん。 うぅーん、いい朝だね。 昨日のトゥルーデは笑えたなぁー!
ニコニコと食堂に足を踏み入れ、トゥルーデの横に座る。 さてさて。 今日は一体どうやってからかってやろっかね!

「おはよトゥルーデ! えへへ。 昨日はよく眠れた? 今日もいい顔してるじゃん!」
「おはようフラウ。 お前こそ、今日も信じられないほど可愛いよ。 お前の笑顔は、春のまどろみを誘う柔らかな日射しのようだ。」
……からーん。 思わず手に持っていたバターナイフを取り落とす。 ミーナも宮藤も、みんな口をパクパクさせている。
は? なに、今の? ギャグ??? その台詞は、私の知っているトゥルーデ像とあまりにもかけ離れていて。

「トゥ、トゥルーデ。 どうしちゃったの? からかいすぎたのは謝るけどさ。 冗談は段階を踏んでいこうよ!」
「別に冗談で言ったつもりはないが。 変な奴だな。 可愛いものを可愛いと言って何故いけない?」
きらりーん。 白い歯を輝かせて、トゥルーデが爽やかに笑う。 は? は? はーーーっ!!??
ウソ発見器の反応は……ゼロ。 微塵も無し。 バターナイフを拾いながら、私は頬が火照るのを感じていた。


「今日のトゥルーデ絶対おかしいよ!」
ドンと机を叩く。 みんなウンウン頷いてる。 夕食前の一時、トゥルーデは佐官の二人と事務処理中。 話し合うなら今しかない。

「なんかすげぇ嬉しそうに洗濯機回してたぞー。 ハルトマンの服だろ、あれ?」
うんうん。 いつもはこっそり紛れ込ませた私の洗濯物を、物凄く愚痴りながら洗ってるのにさ。
今日は鼻歌まで歌いながら、てきぱき颯爽と干していた。 見ている方はぽかーんだよ!

「シャワールームのやりとりは、聞いてるこちらが恥ずかしさで卒倒するかと思いましたわ……。」
うんうん。 外気との温度差で痛いくらいのシャワーを気持ちよく浴びてたら、トゥルーデが髪の毛洗ってくれて。
普段絶対しない事だよ! しかも私の手を握って、こんなに赤くなってるじゃないか、とか、今度手袋を買ってやる、とか。
歯が浮くような台詞ばっか並べられた日にはさ。 いい加減ヘラヘラしてられないよね!

「……全部ハルトマンさん絡みですよね。 きゅ、急にハルトマンさんの魅力に気付いちゃった……とか。」
宮藤の言葉に、思わずぼんっと赤くなる。 いや、あのね。 それも考えなかったわけじゃないんだけど。

「にしちゃあ極端すぎるんだよな。 ……奴がおかしくなったのって、諸々の発明品がここに来てからだよな?」
「私もそれを疑ってましたわ。 皆さんが思い思いに持ち帰った小物の中に、何か怪しげな物が混じっていたのでは、と。」
「私はYES/NOマクラを持ち帰ったけど、そんなんで人がおかしくなる筈もないしねー。 サーニャはどう思う?」
料理をしていたサーニャがビクリと反応する。 あちゃあ。 急にごめんね。

「わ、私は……その。 怒らないでね、エイラ。 ……その、エイラが。 おとなしすぎると、思います……。」

254 名前:そらゾラ! 4/9 mailto:sage [2009/02/16(月) 08:05:29 ID:lxWoqXsz]
「へ、へっ!? お、おとなしすぎるって。 何言ってんだよサーニャ?」
思ってもみなかった切り口で、サーニャが話にメスを入れた。 サーニャを手伝っていたエイラが露骨に慌てる。
……言われてみれば。 こういう珍妙な話が大好きなエイラが、不自然なほど静かだ。

「……なぁエイラ。 あんた、確か何かの発明品を持ち帰ってたよな? なのにその話を全くしてこない。 あれ何だったんだ?」
「な、何ダヨ。 私が持ち帰った発明品が何の関係があんダヨ。 別にたまにはおとなしくしてたっていいだろ!」
「…………エイラ。」
「うっ! そ、そんな目で見ないでくれよ、サーニャ。 ……私が持ち帰ったのは、催眠術の本。 面白そうだったから。」
さっ。 催眠術の本ーーー!!?? そんなのがあったの? 発明でも何でもないじゃん! それじゃ。 それをトゥルーデに?

「大尉に電話越しにかけたんダヨ、思い込みを強くするって奴。 普段全然イタズラにかかってくんない大尉にピッタリかなって!」
「エイラ。 それ、どうやったら解けるの……。」
「うーんと……悪い。 思い出せねーヤ。 部屋に帰って探せば、どっかにあの本があると思うけど。」
「エイラ!!」
小さくなるエイラ。 思い込みを強くする催眠術! なるほどね。 根っからウソと思ってないから、この装置が鳴らないんだ。

「どうした。 何を騒いでいるんだ?」
「ウワワワワッッッ!!!???」
急に少佐たちが食堂に姿を現した。 私たちは小パニック状態。 エイラがひっくり返って胡椒をぶちまける。

「はっくしょん! はっくっしょん! こっ、こらお前たち! 一体ぜんたい私たちに何の恨みがあるんだ!」
「ち、違うんです少佐! はっくしょん! こ、これは全部バルクホルン大尉の……。」
「はっくしょん! わ、私がどう絡んでいるんだ? こんな目に遭わされるような事をした覚えは全く無いぞ! はっくしょん!」
あぁもう、酷い有様だよ。 げんなりした気持ちで夕食をとって、私は自室でエイラからの連絡を待つ事にした。

「……で、トゥルーデ。 これは一体どういうつもりなのかな?」
抱きすくめられたまま精一杯の虚勢を張る。 後はエイラに任せてハッピーエンドを待つばかり……そうは問屋が卸さなかった。
催眠術にかかったトゥルーデは、なんでか私に夢中みたい。 こんな風に、部屋で二人っきりで迫られちゃうくらい、さ。
トゥルーデの手が私のお尻をまさぐるのに、なんだか身の危険を感じる。 これ。 スキンシップなんて可愛い触り方じゃない!
真っ赤になって思いっきり手をつねってやると、トゥルーデが顔を歪めながら喋り始めた。

「……どういうつもりかだって? 私たちがモニタリングしてるのは何だ? ウソ発見器だ。 私もお前にテストしようというだけだ。」
不安に駆られながらトゥルーデを見上げる。 偽りのトゥルーデ。 なのに、その言葉を無視できない。 テスト?

「お前は私にお前が好きかと聞いたな。 ならお前は? ……いつも冗談めかしてばかり。 本当は。 私の事をどう思ってるんだ?」

255 名前:そらゾラ! 5/9 mailto:sage [2009/02/16(月) 08:06:13 ID:lxWoqXsz]
トゥルーデの言葉が、私の心臓を鷲掴みにする。 私の気持ち。 トゥルーデへの気持ち。 冗談めかしてばかり?

「どうして答えてくれないんだ。 こいつが鳴るからか? 鳴らないからか? 私は冗談で言っているわけじゃない!
 ……お前の事が好きなんだ。 お前の気持ちを知りたいと思ってはいけないのか?」
ふいに。 ふいに込み上げた、悲しさ。 その全く予想だにしていなかった深さで、私は唐突に自覚した。
偽りのトゥルーデが、偽りの愛を語る。 頭をはたいて、とっとと目を覚ませよ!って怒鳴ってやれば済む、それだけの話。
それだけなのに。 できなかった。 きっと私は、深く傷ついてしまう。
自分でも気付いていなかった。 私は、どんなちっぽけな偽りですらも入り込ませたくないほどに。
本当にトゥルーデの事が好きだったんだ。 ううん。 それは、たぶん、好きという気軽さを。 ずっとずっと超えてるんだ。

「エーリカ。 聞かせてくれ……。」
「やめて。」
「愛してるんだ! くそ、どんな言葉なら伝えられるんだ。 私は……。」
「やめてってば!!」
トゥルーデの言葉を締め出したくて大声を出す。 肩を掴むトゥルーデから顔を背けて、耳を塞ぐ。
感情がついてきてくれない。 自制ができない。 こんなのやだもん。 トゥルーデとの時間が嘘になるなんてやだもん!
リンリンリン! リンリンリン! うわっ! ビックリした!
煩悶の最中、私たちの声にも負けないほどの大音量で内線が鳴った。 トゥルーデを引っぺがして、逃げるように受話器を取る。

「モシモーシ。 ハルトマン中尉カ?」
「あ、うん。 ハルトマンだよ。 えーと……エイラ?」
「ウン。 催眠の解ける方法、分かったゾ。 サーニャに滅茶苦茶叱られちゃったんダナ……ウウウ。」
「え! わ、分かったって本当!? 何々! どうやるの、それ!」
完璧なるタイミング。 私に降りた蜘蛛の糸。 胸に沸々と希望が湧いてくる。 トゥルーデ。 今、私が元に戻してあげるからね!

「あ、聞いてくれル? サーニャがさぁ、私の手を握って言うんだよネ。 (裏声)ねぇエイラお願い。 バルクホルン大尉の事……。」
「 サ ー ニ ャ の 話 は 後 で 聞 く か ら !! どうすればいいかだけ教えてよ! マッハで!!!」
「な、なんだ? エイラと話してるのか、エーリカ?」
こいつにサーニャの話を始めさせたら、いつ終わるか分からない。 寄ってきたトゥルーデを邪険にあしらいつつ続きを促す。

「クシャミさせればいいんダナ。 それだけ。」
「え、うん、クシャミね! クシャミさせればトゥルーデは元に戻るんだね! よし、やるぞー……って、え? んんん?」
何かが引っ掛かる。 ううん。 引っ掛かるなんてもんじゃない。 クシャミ。 クシャミって言った?
頭の中にプレイバックされたのは、夕方の事。 確かエイラが胡椒をぶちまけて。 トゥルーデ、しこたまクシャミしてなかった??
しぱっとトゥルーデを見る。 聞こえてた、よね? 私と目が合ったトゥルーデは。 冷や汗を垂らしながら、気まずそう〜に目を逸らした。

256 名前:そらゾラ! 6/9 mailto:sage [2009/02/16(月) 08:06:55 ID:lxWoqXsz]
「……。 トゥルーデさん。 トゥルーデさん。 ゲルトルート・バルクホルンさーん。」
にこやかな顔を作ってトゥルーデにずずいと詰め寄る。 目を合わせようとしないトゥルーデ。

「あなたの名前は?」
「ゲルトルート・バルクホルン……。」
「あなたは最近クシャミをしましたね?」
「し、してない……。」
ファンファンファン! ウソ発見器が猛烈な音をたてる。 ムダムダ! ムダだよトゥルーデ! 科学の力を侮るなかれ!

「しました……。」
「よろしい。 それはいつの事ですか?」
「今日の夕方です……。」
「そうですね。 正解です。 ところであなたにかかってた催眠術はクシャミで解けるらしいのですが……。」
「すまなかったああああぁぁぁ!!!」
もうツメられるのに耐えられなくなったのか、トゥルーデが私に拝み倒してきた。
私と言えばね。 こんな顔ですけど。 お日様スマイルを絶やさない毎日ですけど。 激怒してるわけだよ!
だってトゥルーデがクシャミをしたのは今日の夕方。 つまり。 トゥルーデは夕方からとっくのとうに正気だったって事だからね!

「トゥ・ルー・デーーー!!! 人が本気で心配してたってのに、コイツはーーー!!!」
「あだだだだだだ! お、お前だってよく私を心配させるじゃないか! いつもと立場が逆になっただけだろ!」
「それとこれとは話が別なの! 私はやってもいいけどトゥルーデは駄目なの!!!」
「なんだそれ! 酷いぞ!!!」
こめかみに全身全霊のうめぼしを食らわせてやる。 当たり前だよね! こんなんじゃ全然収まんないよ!

「キザったらしく抱きすくめてきた時もシラフ……。」
「い、いや、だって、私だって、勢いでもつけなくちゃ、あんな事できないというか……。」
「お尻をすっごくエッチな触り方した時もシラフ……。」
「い、いや、あれはだな…………わ、私がお前以外の奴にあんな触り方をすると思うのか!」
「論点を摩り替えて誤魔化すなー!!」
怒りに任せてチクチク責めたててやると、トゥルーデが開き直った様子でのたまった。

「だ、だってズルイじゃないか! 私ばっかりフラウをどう思ってるか知られて。 私にだって聞く権利があるはずだ!」
「ズルイってなんだよズルイって! 大体ね……。」
反射的に言い返しかけてハタと気付く。 ……ずるい? 私をどう思ってるか、知られたから?
なんでそれが、ずるい、になるんだろう。 ………………。

257 名前:そらゾラ! 7/9 mailto:sage [2009/02/16(月) 08:08:28 ID:lxWoqXsz]
トゥ、トゥルーデは私の事、何て言ってたっけ。 ううん。 そもそも知り返さないと不公平な気持ちって。 それってどのくらい?
なんだろう。 頬が熱くなってきた。 そうだ。 とっくにトゥルーデの催眠術が解けてたって事は。
ウソ発見器が反応しなかったって事は。 さっきまで、催眠術にかかったフリして、トゥルーデが一所懸命まくしたててた事はさ。
つまり。 つまりだね。

「え。 う。 へっ? ……あぅあぅあぅ……。」
「な、なんだ。 オットセイの真似なんかで誤魔化されないぞ! ウソ発見器だと?
 こんなもの、お互いの距離を遠ざけるだけじゃないか! フラウ。 本当のお前はどうなんだ。 本当の気持ちはどうなんだ……。」
うぁうぁうぁ。 うぁー! わっ、私の気持ちって。 さっき気付いたばかりの、その気持ち。 それは。 それはさ。
思い返してしまった私は、それまでの怒りがウソのように、シオシオとおとなしくなってしまって。
誠意に溢れた言葉。 誠意に溢れた瞳。 すっ。 すっごく真剣な目してるよトゥルーデ! どきどき。 どきどき。

ううん。 違うよ。 違う。 そうだ。 よく考えてみたら、今急にこうなったわけじゃないよ。
ずっとだ。 トゥルーデはずっとこの目で私を見てたんだ。 ただ私が、この目の意味を知らなかっただけだったんだ。
きっかけは多分、催眠術のせいだったんだろうけど。 トゥルーデは、ずっとこうやって私を見てくれてたんだ。

真剣なだけじゃなくて。 恥じらいと期待と不安とがない交ぜになったトゥルーデの表情は、反則なくらいドキドキしちゃう。
どき、どき、どき。 なっ、何これ。 やばい。 やばいよ。 私のペースじゃないよ! たっ。 たっ。

「たいきゃくーーーー!!」
「はぁっ!? ……まっ。 待てエーリカ!」
緊張感に耐えかねて、狭い部屋の中を逃げ回る私。 追いかけるトゥルーデ。 喜劇のような、部屋の中のおっかけっこ。
こんな顔、人には見せられないから、外にはいけないし。 でも。 でもでも、それでも。 体勢を立て直さないと、おかしくなっちゃうし!
追いすがってくるトゥルーデをペースダウンさせるため、何でもござれと言い募る。

「……えっと、その、トゥルーデさん。 ひょっとして……その、私のこと……。」
「な、なんだ!」
「ぞっこんラヴ?」
「ぞっこんラヴ!」
「メロメロきゅ〜ん?」
「メロメロきゅ〜ん!」
「ドキドキ大……。」
「あぁそうだよ! ドキドキ大作戦だよ! ふるふるハートフルだよ!! お前のボキャブラリー、もっと何とかならんのか!!」
駄目だぁ〜! あれやこれやと私のペースに巻き込もうとした所で、こうと決めたトゥルーデの芯の強さを挫けるものじゃあなかった。
ついに私は抱きすくめられてしまって。 トゥルーデがまっすぐに私の瞳を覗き込んだ。

258 名前:そらゾラ! 8/9 mailto:sage [2009/02/16(月) 08:09:13 ID:lxWoqXsz]
「お前と違って月並な言葉かもしれないが。 好きなんだ! フラウ!」
「わたしも!!!」
「だ、だからだな、お前はどう思ってるのか…………って。 え。 え。 え!? いっ、いっっ。 今、何て……?」
あぁもう! この! この! 駄目。 顔が熱くてじっとしてられない。 聞き返さないでよね!
どうしても普通じゃ言えないから。 せっかく勢いつけて言ったんだから。 慣性で持っていかせろよー!

「フラウ。 もう一度聞かせてくれ。」
「……やだ。」
「き、聞き違いじゃないんだよな!? な? フラウ!」
「むー!」
手元にあったYES/NOマクラをトゥルーデの顔にパシパシはたきつける。 こんなの何度も言えるわけないよ! 乙女なめんなよー!

「はっ! このマクラの向いている面…………フッ。」
な、なにそのスッキリ顔! むかつくよー! どうやら偶然にもYESの面が向いていたようで。 勘違いが癪に障ってまたパシパシ。
トゥルーデだって恋愛に長けてるようなガラじゃないのに。 そのトゥルーデに余裕かまされちゃう私は何なのさ!

「ふんだ。 どうせそんな事言ったって宮藤の方がお気に入りなんでしょ。 知ってるもん。」
「な、なぜそこで宮藤の名前が出てくるんだ! 宮藤に向ける気持ちは、その……妹に向けるのと、同じだ。 お前は、違う。」
「……ふんとにシスコンなんだから。 クリスに言っちゃうぞ。」
ウソ発見器が鳴らなかった事に安堵しながら、トゥルーデの頬に額を寄せる。 トゥルーデの指が私の髪を優しく梳いていく。
ふーんだ。 トゥルーデが私よりほんのちょっとだけ年上だから。 ほんのちょっとだけ背が高いから。
だからギュッてさせてあげてるだけなんだかんね。 まだまだ怒ってるんだから。

「……笑ってくれたな、ようやく。」
えっ。 はにかんだような顔のトゥルーデ。 私、笑ってる? ……。 そっか。 そうだよね。 そりゃそうだよ。
だってさ。 好きな人とさ。 両想いなんだもん。

「……トゥルーデ、まぁたお尻さわってるー。 なぁに? 宮藤たちじゃないけど、お尻星人だったの、トゥルーデ?」
「い、いや! ちょ、丁度いい位置にあるというか、そのだな……。」
じゃれて、体をくっつけて、頬を寄せて。 いつもしてきた事が、こんなに幸せ。 こんなんじゃ、これから先困っちゃうね。
トゥルーデの髪の毛を指で梳く。 すごく優しい気持ち。 今なら分かる。 私はこの時間が好きだったんだ。
私の手櫛に目を細めてたトゥルーデが、不意にまっすぐに私の瞳を見つめた。

この距離。 この温もり。 この息遣い。 少しだけ背中に回した手に力を込める。 トゥルーデの手にも力が入って。
暖かな鼓動が近付いてくるのを感じながら、私はそっと目を閉じた。

259 名前:そらゾラ! 9/9 mailto:sage [2009/02/16(月) 08:09:59 ID:lxWoqXsz]
ふに、と。 唇を柔らかくはみ合わせただけ。 それだけなのに。 こんなに満たされた気持ちになるんだね。
互いに少し震えてるのを自覚しながら、ゆっくりと顔を離す。

「へ、えへ、えへへー。 トゥルーデの初めてのキス、もらっちゃった。 トゥルーデは本当に私にメロメロだね!」
「ふふ。 そうするとお前も私にぞっこんなわけだ。 お互い様だな、フラウ。」
「むー! むー!」
YES/NOマクラ大活躍。 あーあ。 私がトゥルーデよりも大きかったら、この震えを包み込んであげられるのにな。
トゥルーデに暖かく包まれながら、震える背中をきゅうと抱きしめて。 私は幸せにもそんな事を想った。


「な、なんか静かになっちゃいましたね……。」
「ば、馬鹿、声を出すなよ! 気付かれるだろ!」
え。 二人で何をするでもなく寄り添ってたら。 小さいけど、確かにそんな声が聞こえた。
へ? リーネ? シャーリー? ……盗み聞き、されてる? まさか、ドアだって閉まってるのに。 トゥルーデも怪訝な顔。
部屋の中をぐるっと見回して気付いたのは、エイラと話した時から外れたままの内線電話。
……ひょっとしてこれ、さっきから掛かりっぱなし? ……………………筒抜け?

「……もしもーし。 こちらハルトマン。 ひょっとして盗み聞きしてますか? どうぞ。」
「……も、もしもーし。 こちら誰もいません。 盗み聞きなんてしてないですよー。 どうぞ!」
「ちょ、ちょっと宮藤さん! なに返事してるの!」
「この馬鹿フジ! テンパってんじゃネー!」
がやがやと聞こえる喧騒。 うんうん。 どうやらあちらさんは大所帯なんだね。 よりによってミーナもいるわけね。 ふーん。

「お、おいフラウ。 一体何を考えてるんだ……?」
「もー、トゥルーデったら、分かってるくせにー。 えへへ。 もちろん、し・か・え・し☆」
ニコニコと満面の笑顔を浮かべて両耳を塞ぐ私。 たとえ別々の部屋にいたってさ。 今の私には一網打尽にできちゃうんだぞ。
目の前で何が何やらとオロオロしてるトゥルーデも巻き添え食っちゃうけど。 ま、しょうがないよね。
だってトゥルーデには、ちゃんと聞いててほしいんだもん。 どれくらい大きな音が鳴るか、さ。
それにやっぱりさ。 トゥルーデにもちゃんとやり返しておかないとね!

トントン、と指輪をノックしてみせる。 ハッと手を浮かすトゥルーデ。 ようやく分かった? でもね、ノンノン。 もう遅いよ。
あぁ、あったかい気持ちで胸がいっぱい。 微笑みがこぼれるのを自覚しながら。 私は思いっきり叫んでやった。

「 ト ゥ ル ー デ な ん て 、 だ い ・ だ い ・ だ ぁ − い っ き ら ー い !!! 」

おしまい

260 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 08:12:26 ID:/YdTVIcL]
>>249
誰を指してるのかはよくわからないけど多分違う

なんとなく感じたことを書いただけなんだ
気を悪くしたらすまない



261 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 08:57:45 ID:RTaBS5I3]
>>243>>259
ナイスシャーゲル&ナイスエーゲル!!
ベタ惚れお姉ちゃんは誰に構ってもたまりませんなあもう!!
そんで開き直ったりすれば尚良し!!GJ!!

しかしギャグ書ける人はすごいなあー、尊敬する。何でこんなに面白いの?

262 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 09:00:17 ID:mK/v7iRK]
>>260
甘いぜ、甘すぎるぜ
口いっぱいに砂糖をほうばった気分だ

263 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 09:08:50 ID:mK/v7iRK]

レス番間違えてる
259宛てね

264 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 09:56:18 ID:uKtM0wPw]
>>259
最高です! GJ!
このエーゲルは甘い、甘すぎる。砂糖なんかじゃ足りないぐらい甘いです。
完全にニヤニヤにさせられました。ありがとう!



265 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 10:49:23 ID:HQNrPTiE]
>>259
これはフラウかわいすぎる…にやにやがまじで止まりませんでした
あなたの書くエーリカは完璧にかわいくてだいすきなんだ、本当にごちそうさまっした!!
偽りの愛だと思っていろいろ動揺したりとかオットセイとか、もうね、たまらんです
しかしフラウをエッチな触り方するゲルト…いいぞもっとやれ
あとエイラの裏声にワロタ

266 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 12:26:35 ID:64hGHnPx]
>>259
果てしなくGJ!
フラウがかわいすぎるwニヤニヤが止まらなかったよ
ところであなたはもしや、芳ペリでコタツのSSを書かれた方ではないですか?

267 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 13:38:36 ID:gh35qTf7]
ダジャレな標題のやつ全部な

268 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 13:43:33 ID:MMRaxERG]
それをきくのは野暮ってもんですよきっと。自分は特徴的なタイトルと内容をみるたびに
肉まんや筋肉の人かなぁと、にやついてます。というわけで素晴らしいエーゲルでした。GJ!

感想のついでになんだか久しくみていない気がするので美緒×芳佳を投下します。
この二人も本編で絡みの多い良いカップリングですよね。キャラソンも出るし。
シチュは三話の前夜です。短いです。作者はH/rmW78bで三作目です。

269 名前:ゆりとなでしこ (1/2) mailto:sage [2009/02/16(月) 13:47:12 ID:MMRaxERG]
「坂本さんっ…」

呼び止めてしまったのは、きっと怖くなったから。ドアに向かっていく後ろ姿を見たら、ああ、これから
私はひとりになるんだって、急にそんなことが浮かんでしまって、扶桑からブリタニアまでのあいだ、
ずっとお母さんみたいに面倒をみてくれた坂本さんが行ってしまうのは、ひどく心細かったのだ。

「どうした、宮藤」

この見知らぬ土地で唯一知っている、均整のとれた凛々しい顔立ちの人がこちらをむくと、それだけで私はほっと
してしまう。けれど、心にもやがかかったような、息のつまる気持ちまでは完全に消えなかった。

――もういないんだって知っていたはずなのに、ひょっとしたらと思っていて。そしてきっとまだ、私は。

(行かないで下さい…)

喉まで出かかっているその言葉をすごく、すごく言いたいのに、こんな自分勝手な言葉は言えるはずもなくて、
不自然に呼び止めたまま私は唇をふるわせることしかできない。

「なんでも…ないです」

そう言って目を伏せると、どうしよう、涙まで浮かびそうになってしまって、でも泣くのだけは絶対に嫌だった。
だって、これからこの場所で、ウィッチとしてみんなを守れるようにならないといけないのに、ひとりが寂しい
からって泣いてちゃ話にならないんだ。

「あの、明日からよろしくお願いします」

沈んでいきそうだった気持ちを振り切るように、笑顔を作っておじぎをする。顔をあげれば、坂本さんも笑って
くれていて、ああよろしく、そう言ってくれるはずだった。それなのに。そこにいた坂本さんはちっとも
笑顔なんかじゃなくて、じっと重い表情でこちらのほうを見ていた。不安が一気に私を飲み込んでいった。

「宮藤」

びく、と肩が震えた。怒られる。反射的にそう思って、ついぎゅっと目を閉じた。こつこつと足音が近づいてきて、
私はもうすっかり泣きそうだった。どうして。変なこと言っちゃったのかな。優しかった人が急に分からなく
なって、心が裂けそうだった。けれど。

「そんな顔をするんじゃない」

それは自分のよく知っているあたたかな声で、目を開けると思ったとおりの柔らかい笑顔があった。

「ここの連中は、まぁ、規則を守らんやつもいるが、優しいやつらばかりだ。それに、」

坂本さんは少しかがみ、目線を合わせて、

「私もいる。だから、心配するな」そう言って私の肩にふれてくれた。そのぬくもりに私はさっきとは別の
涙が溢れそうになってしまう。

「坂本さん…」

ありがとうございます。そう伝えたかったけれど、胸がじんとしてしまってそれ以上なにも言えなかった。
それに、何も言うなって坂本さんの目が言ってくれていた気がしたから。だから私はしばらく、いつまでも
安心を与えてくれそうなその瞳をずっとみつめていた。

そうしていつしか少しづつ、けれど確実にふたりの距離はせばまっていた。

270 名前:ゆりとなでしこ (2/2) mailto:sage [2009/02/16(月) 13:48:39 ID:MMRaxERG]
「嫌か…?」

気が付いたときには嘘みたいに近くでそのとろけてしまいそうなほどの甘い囁きを聞いていて、答えをひとつ
しか持ち合わせていない私は首を横に振ってそれを示した。艶やかな唇が私との間隔をゼロにした瞬間、まるで
身も心も全部盗られてしまった気がした。

あのとき。坂本さんはインカムを付けただけだったけれど、一瞬、私はもしかしてこんな風にされるんじゃないか
って思った。でも、今思うのは、そうしてくれてもよかったのになってこと。だって、こんなにも心の落ち着く
ことって、ないよ。

「もっと…」

離れていこうとする坂本さんを引き止めて、何度も唇をふれさせた。それに応えてくれるようにあたたかな手が
私のからだをよせて、もっともっとふれていたくなる。けれど、どうしてかだんだんと頭がくらくらしてきて、
いやだ、もっと坂本さんと一緒になっていたいのに、がくりと足が崩れてしまうとそれもあたわなかった。
大丈夫かと優しく支えてくれた坂本さんに私はうなずいて返す。

「どうやらこちらのほうも相性はいいらしい」

坂本さんは微笑を浮かべながらそう言って、ベッドのほうまで抱えてくれた。

「それじゃあ、今日はもう休め。それと言っておくが、私は訓練では厳しいからな」

惚けてしまった頭で半分聞いて、それから今度こそ本当に部屋をあとにする背中を見送った。けれどもう寂しさや
心細さなんて感じない。

「おやすみ」

そんな最後の一雫が落とされると私の心はいっぱいに満たされて、この見知らぬ土地でひとりになったと
いうのになぜだか笑みばかり浮かんでくるのだ。

からだが覚えている柔らかな感触に包まれながら、私はゆっくりと目を閉じた。

「おやすみなさい、坂本さん」






------


あのインカムのシーンは芳佳の何かがはじけた瞬間だとおもうのです。
そのあと空で頬も寄せちゃうし。もっさんまじ天然ジゴロ。
もっさんが本気になれば501隊全攻略とか可能な気がしてなりません。
誰かそういうゲームつくってください。お読みいただいた方ありがとうございました。



271 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 14:58:59 ID:Oc5yQQ2i]
もっさんジゴロSSは大好物です、GJ!!!
インカムのシーンも含め2話は凄い好きだな。あれがハマるきっかけだった気がする。
もっさんが501全員攻略する話とかまじ見てみたい。

272 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 16:34:26 ID:gibyFwpb]
ゲームのおまけでもっさんが501全員攻略します


みたいな

273 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 16:37:43 ID:/YdTVIcL]
もっさんが攻略できなそうなのはヘルマくらいか?

274 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 17:14:31 ID:Ut0vANwX]
レ「バルクホルン大尉殿と違うタイプではありますけれど、坂本少佐殿は
  なんと男らしいのでありましょうか……」

というふうな感じで惚れるのではと妄想している
俺は男だが、自分が可愛い女の子だったらもっさんに抱かれたいと思ってるぜ

275 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 17:34:22 ID:Oc5yQQ2i]
もっさんがジゴロなのもいいがもっさんに攻められて顔を赤らめる隊員達も想像するだけでたまらんね。

276 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 17:40:57 ID:H7fp63Et]
土曜の朝にやってる某アニメを見たら、女装したもっさんがいたんだorz。

277 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 19:02:19 ID:X8yHK/x4]
>>276
安心しろ。そしてストライクウィッチーズを一話から見直すんだ。
そいつはもっさんなんかじゃない(エイラ風に)


レス数よりKB数が上回ってるとなぜかうれしくなる…

278 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 19:13:49 ID:RTaBS5I3]
>>270
これはいいもっ芳、GJ!!
ジゴロなもっさんもアリだけど、やっぱり男前な少佐こそ至高でありんす!!
坂本少佐こそ扶桑撫子の鑑。

それにしても、思い返せば私も最初はこの2人に釣られて百合スレに来たんだった。
それが今や芳ーニャだのシャー美緒だの、どうしてこんなことに……w
いやホント神作品だなあストライクウィッチーズは。

279 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 [2009/02/16(月) 19:40:28 ID:Jl3moj9z]
百合の美しさはもう…もう…あああぁ…
ハーレムあまり好きじゃないのにもっさんジゴロは
大好きだという矛盾
もっさんカッコよすぎんぜ

280 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 21:05:18 ID:uKtM0wPw]
もっさんが基地のウィッチたちにジゴロな行動をとって、
ウィッチたちがそれを耐えぬくという、
「絶対にキュンとしてはいけないウィッチーズ基地」とかいう
怪電波を受信した俺はどうすればいい?



281 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 21:13:45 ID:Oc5yQQ2i]
もっさん自身、自覚がないってのがたまらんのよな。

282 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 21:46:26 ID:3UdgTQZM]
>>280
坂本さんが一つ行動を取る度に

デドゥーン
『ペリーヌ アウトー』
「ああ!!痛いですわ!痛いですわ」

デドゥーン
『ペリーヌ アウトー』
「ああ!!痛いですわ!痛いですわ」

デドゥーン
『ペリーヌ アウトー』
「(ry


みたいにただのペリーヌ虐待SSになるのでやめて(^o^)
せめてキュンとしたらケツビンタじゃなくて顔に落書きとかにしてあげてください

283 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 21:47:19 ID:8NaNw/D/]
>>259
今になってようやく読んだんだが……
面白かったー!! 甘い甘い上に細かいネタまで全て面白くてあーもういいなすごいなくそうっ! あなた最高だわ!
ゲルトさんもかっこよくて可愛くて、でもフラウにお返しされてるのに萌えるw

>>270
もっさんの男前に惚れるけど、芳佳もこういう真剣な迫り方がとてもいいと思う。GJ!
こんな二人の百合って、なんかこう……どきどきするな

284 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 21:54:55 ID:DnLFuHVR]
>262
いや胸キュンするたびに1ニチャァで

285 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 22:03:48 ID:fZAWFLYw]
今日はシュナウファー大尉の誕生日だというのにお前らときたらもっさんトークかよ

とか思って>>270を読み始めたらやばいくらいもっさんテンションになってきた
美緒芳佳GJです!ジゴロもっさん最高だ

はっ!?美緒×ハイd(ry

286 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 22:23:48 ID:3UdgTQZM]
ヘルマ・レンナルツという最強兵器がハイディさん登場数日後に現れたせいで
ハイディさんの影が薄くなっちゃってくやしいです!!

287 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 23:23:27 ID:vgpybj/U]
ハイディを書こうとするとどうしても長門になるからだめだ

288 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 23:26:50 ID:obaVdiOH]
問題ない。>>287はそのまま書くべき。

289 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 23:47:12 ID:77EL9ZLA]
>>287
頑張れ!!!

290 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 23:55:00 ID:a8u0lfYI]
>>287
長門っぽいハイディもありだと思うからSSを書く作業を続行するんだ。



291 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/16(月) 23:56:42 ID:noJ3hNj4]
ストパンは方言キャラがいないから助かる

292 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 00:02:44 ID:7gQ52EIS]
本スレからの転載。シャーゲル好きにはたまらん!
ttp://up2.viploader.net/pic2/src/viploaderf150020.jpg


293 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 [2009/02/17(火) 00:07:40 ID:tZFzoRn+]
>>292
おほほおおおお
シャッキーニもシャーゲルもだいすきだぁああああああ!

294 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 00:13:09 ID:eaiemkdS]
>>292
2人でリボン使い分け……
ポニテのお姉ちゃんもシャーリーも良いなぁ

295 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 00:24:07 ID:GObx5IRI]
>>292
詳細キボン

ポニテも似合うとはなぁ・・・奥が深い

296 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 [2009/02/17(火) 00:25:51 ID:tZFzoRn+]
アガハリ様っぽい絵だけどどうだろ?

297 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 00:27:57 ID:7TZ8yiIm]
これはいいシャーゲルw。

余談だけど、『シムーン』でシャーリーの中の人がやってるキャラがゲルトさんみたいなキャラでワロタw。

298 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 00:35:16 ID:3ObveXGt]
>>296
      /  , -''"´     \
  / /  /  ,. ‐'''""~´ ̄ ̄\
 V /   /  /             }
  ∨ /  / ,,.. -一ァ',二二二{
   V  ,..,/ ,.ィ彳 f==<r'二二二{、    | ̄ ̄              __|__ |
   ∨| ヘ`<=''~   弋ッ-ミ'''テ~ナ/    |ー― \/ ´ ̄| 「 ̄`  |   | \/
    〉'| | ト、   i{   ,..`二/ =|/''′     |__ /\ 匚]__ !__,  |_ |  __/
   //ヽヽぅ   ヽ     {   =|
   //匚 ̄]〕       丶,-‐ ,>      ( そ の と お り で ご ざ い ま す )
  /´r┐|__,|ト、       、____`7´
__人..二.」'   l>、    ヽ`,二/
     ´"''ー-論\  ∠三ノ
―-、__        ``ヾニ='′
     `ヽ      /、
       |‐- ...__   /ヽ\_
         \    ̄   `ヽ \

最新の絵だったと思う、アガハリさんのシャーリーともっさんは本当に最高

299 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 00:39:25 ID:Nf4Nbv3o]
レンナルツってなんかお菓子とかに弱そうだよね

ゲルトが気にかけてる宮藤になにかとつっかかるんだけどさ、その度に「ちょうどおはぎ作ったから一緒に食べよ!」みたいに誘われるのよ
でも最初は嫌がるんだけどさ一口食べたら結構おいしくて、そのまま一心不乱に食べ続けるんだ

で宮藤が「おいしい?」って聞くとさ、思わずレンナルツも「うんっ!」なんて歳相応の輝かしい笑顔で答えちゃうわけよ

宮藤がそれで「よかった! ねえ、また明日も扶桑のお菓子作るから一緒に食べようよ!!!」って誘ったあとに自分のさっきの行動を思い出したレンナルツが「きょっ今日のところはこれで勘弁してあげるであります!!!」みたいな捨て台詞を顔真っ赤にして逃げていっちゃうんだよ

で次の日に宮藤が厨房にいる時にレンナルツが陰からこっそり見ているんだよ

でそんなレンナルツを宮藤は可愛いなぁーなんて思っていればいい



まあつまり今日黒江さんの誕生日だから坂本×黒江に期待しています!

300 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 00:41:06 ID:L7KeaVHA]
レンナルツヨコヨコ



301 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 [2009/02/17(火) 00:42:21 ID:tZFzoRn+]
>>298
合ってたかw良かった
いいものをありがとう
あそこはもっさんにかなり力入ってるよね


302 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 00:43:52 ID:oXjEKJkT]
私も今日昼御飯食べながら同じ事考えてたよ>>297

ゲルトお姉ちゃんとパラ様
きっちりヘタレ

もちろん同じ理由で二人とも大好きな愛すべきキャラです。
こういうキャラって前例あったっけ?


303 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 00:51:51 ID:MPaDAuag]
>>302
パラ様はヘタレじゃない
無力なだけだよ

304 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 01:00:37 ID:urRqRTRd]
>>299
何がつまりだwww
でもそんなふたりも好いよね!

305 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 01:22:03 ID:oXjEKJkT]
無力カー...

もっさんはまわりの色っぽい子に粉を掛けまくる事に関してはなんのためらいもなさそうだね。
しかも自分がそうしたことによっておこる面倒な事も思い付かなさそう。よくも悪くも天然だから。

306 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 02:11:25 ID:1SjoXkm0]
今更芳リーネの基地探訪読んだけど頑張りすぎ&はっちゃけすぎだろw

307 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 02:14:57 ID:aSShlBuq]
面倒事になってもわっはっはで片付けてしまいそう。
まぁ器のでかさがさらに良いんだけどね。

308 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 [2009/02/17(火) 02:21:59 ID:tZFzoRn+]
空気ぶち壊しでごめんなさい。どうしても書きたくなったので書きました。
裏を返せばただ飽和しきった妄想を吐き出したいなという思いです。はい。

先日シャーリーが誕生日を迎えたのでオーソドックスにシャーリーメインのシャッキーニで、ちょっとだけエイラーニャも含みます。甚だしく時期遅れで申し訳ない。
妄想特有の性格改竄があるかも知れないです。
「AEON」

いつもの面倒な哨戒任務が終わり、ストライカーの調整をし終えてから
部屋に戻ろうとしているとき、廊下の向こうから困ったような顔をした二人、
エイラとサーニャが歩いてきた。
「どうしたんだ?二人揃って仲良く困った顔して。」
笑みを含めちょっとたしなめるように聞いてみる。
エイラは案の定少しムッとしたがサーニャは気にしていないようで。
「エイラの本が無くなっちゃたの」
「だからサーニャは気にしなくってもイイッテ…」
「でも…エイラの物だから…気になる…し」
「〜〜〜〜〜///////////と、という訳なんだ。だから知らなイカ?」
「いや、いきなりそんなこと言われても」
エイラの物でも我が身の事のように心配するサーニャ、完全に夫婦だなもう。
しかしここでそんな事言ったらエイラがややこしい事になりそうだから止めとこう。
「あたしは知らないけどさ、どんな本?見かけたりしたら教えるからさ。」
「えーっとナ、私のだからまじゅ」
「まじゅちゅ関連のほn…」
「「………」」
「////////」
「ま、まぁ何かあったら連絡するよ。」
「よ…よろしく頼んダ」
あたしは足早に去ることにした。


309 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 [2009/02/17(火) 02:23:23 ID:tZFzoRn+]
二枚目
「…しっかし」
廊下を歩きながら両腕を頭に回し考える。
やっぱり仲良いなぁ、こう…前々から分かっていたけど、真正面から当てられると…
羨ましい…なんて気持ちも起こったり…なんて。
エイラがあんなだからギクシャクとかしないのかなぁ、
でも意外と見えないところでは熱く愛を語ったり永遠とか誓ってたりすんのかな…。
うへ、想像出来ないや。
でもサーニャはこういうことには押しが強そうだから案外バランス取れてるのかな?

…柄にも無く色恋の事なんか真剣に考えちゃってるよわたし…。
頭を横に振って考えを振り払う。

でも人の事言えないのかもなぁ…。
つい先日の誕生日のことを思い出す。
みんなこんなあたしのためにあんな豪勢なパーティ開いてくれちゃって。
あの堅物もあの日ばかりは優しかったな。
宮藤たちが作ってくれた料理もおいしかったなぁ。
みんなの優しさにカンドーしちゃったよ…。

しかしなんといってもプレゼントをもらった時大きな箱からルッキーニが
「じゃーん!どうシャーリー!?私がプレゼントだよー!」
ときた時には驚いたなぁ、そしてその瞬間に部屋に持ち帰りそうになった自分にも
驚いたしみんなも驚いただろう。

正直あの時は本当に理性が飛んだ。
しかしわたし自身あそこまでルッキーニのことが…
す…好きだったとは…
ふと廊下で立ち止まり窓を見上げてルッキーニの姿を思い浮かべる。
あの純真無垢で幼い少女をふとめちゃくちゃにしてやりたいような
汚してやりたいような、そんな気持ちが不本意にもムクムクと湧き上がってしまう。
「…ジュルリ」

いかんいかん!
ルッキーニはまだまだ小さいじゃないか!それにわたしにそんな性癖は…無い…はずだぞ!
と自分を叱り付け頬を張る。
そして何があっても決してルッキーニを汚したりなんかしない、と心に決めて
再び部屋向かった。


310 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 [2009/02/17(火) 02:25:40 ID:tZFzoRn+]
三枚目


「すーすー…うじゅ…」
「あれー………?」

???なんで?
なんでルッキーニがいるの?いつからここは秘密基地になったんだ??

戻った部屋には何故かベッドの上で心地よさそうに寝るルッキーニの姿があった。
…なんと無防備な…
何も被らずただベッドで横たわっているだけの姿は図らずもわたしの心の一番プリミティブなところをを強く刺激した。

気がつけばもうベッドのそばまで来ていた。
見下ろせばそこには褐色の肢体を無防備にさらす愛しのルッキーニ。
細く滑らかなその足は胎内の赤ん坊のように曲げられ、たまに寝返りとともに組み返す姿が愛らしくてもう…もう…。
そしてどんどん激しくなっていく鼓動を手で無駄と知りながらなだめつつ、ルッキーニを見下ろすわたし。おそらく顔は真っ赤になっていることだろう。
普段秘密基地で寝ているルッキーニの就寝をこんな間近で見ただけで激しく息が荒くなっていた。

「むにゅむにゃ…うじゅじゅ…」
「ごくり…」
つい生唾を飲んでしまう。

「…ん?」
ふとルッキーニの頭の下に何か枕では無いものが下敷きになっているのに気がついた。

「なんだこれ?」
可愛いルッキーニを起こさないようにそっとそれを抜き取る。
それは立派な装丁で作られた古めかしい大きな本だった。
「エイラたちの探していた本ってもしかしてこれか?」
めくってみると良く分からない言葉が羅列しており理解に苦しむものだったが、
なんとなく魔術関連の本であることは分かった。
「これがまじゅちゅ関連の本ね…」
ルッキーニが持って行ってたのか。
まったく、ルッキーニらしいや。
性的な動悸も治まりつつあったので代わりに返しに行ってやることにしよう。
そう考え、踵を返そうとしたとき。




311 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 [2009/02/17(火) 02:27:15 ID:tZFzoRn+]
四枚目
「むにゃ…シャーリー…」
「!!!」
どきりときた。
起こしてしまったか?
さっと振り向く。
「…うじゅじゅ…」
寝言か、と胸をなでおろす。がそれよりも寝言でも名前を呼んでくれた。
ただそれだけの事がとても嬉しく感じられ、胸がいっぱいになった。
あぁもうルッキーニ…可愛すぎるよもう…
めちゃくちゃにしたいというよりも、今はひたすら愛でてやりたい。

先ほどよりも心に余裕が出来てからルッキーニの姿を見ると、心なしか
寒そうに見える。
「おいおい大丈夫か?」
偏西風でそこまで冷えないといっても今は二月だ。
ましてやロマーニャ出身のルッキーニには辛いだろう。
ついに自分自身の体を抱くようになったルッキーニに布団を掛けてやろうと
掛け布団に手を伸ばす。
すると。
「おっ?」

「すーシャー…リー…」
ルッキーニが両腕を伸ばしわたしを迎えるようにその両手を向けていた。


312 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 02:30:44 ID:eaiemkdS]
支援仕る

313 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 [2009/02/17(火) 02:32:07 ID:tZFzoRn+]
五枚目ラスト
「…暖かい…」
「…うん…」
もう起きているとか起きていないとかはどうでも良くなっていた。
とにかくルッキーニと抱き合うようにして体温を共有したいと思った。

…安心する…。そう思った。
ルッキーニの背中にわたしも手を回し強めに抱きしめる。
今はさっきのような邪な気持ちは無い。穏やかなこの時の流れとともに
ルッキーニとずっとこうしていたいという気持ちだけがわたしを支配している。
獣のような心でもってルッキーニをどうにかしようとしていた自分を激しく恥じる。
わたしが求めていたのはこれなんだよ。

あぁわたしもエイラとサーニャのようにルッキーニといる事でバランスが取れているのかな。
わたしの腕の中でもぞもぞと可愛らしく動く少女を思いながら考える。
きっとわたしとルッキーニは知恵の輪のように、お互いに無くてはならない存在なのだろう。少なくともわたしはルッキーニといかなる理由があっても離れたくない。

エイラ、ごめん、本見つかったけどまだ返せそうに無いわ。

今限りなく近い距離なのにルッキーニと未来永劫でもこうしたいと思っている自分がいる。
この気持ち、エイラなら分かるだろ?


そのころのエイラーニャ

「本、見つからないね。」
「誰も知ラナイナ、まぁ、そんなことより…」
「何?エイラ?」
「さっきのまじゅちゅ…って…か、可愛かった…ゾ?」
「…もうエイラなんて嫌い…」
「ガーン」

ギュッ
「サ、サーニャ!?」
「恥ずかしかったんだから…」
「ゴメン…サーニャ…」ギュッ

おしまい


初めて書きました。
一度体験してみると自分を楽しませ、ニヨニヨさせてくれた先人たちの偉大さが分かります。そして己の愚かしい文才の無さも。
また溜まるものが溜まったら書くと思います。
次はもっとキャラを出して賑やかにしたいです。
スレ汚しお許しください。


314 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 [2009/02/17(火) 02:35:40 ID:tZFzoRn+]
書き終えてみると…もっと会話させたかったですorz
しかも繋ぎ不自然…

315 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 02:51:33 ID:3ObveXGt]
ルッキーニとエイラがすごくかわいくてすごくGJなんですが
それぞれのレスの最初の〇枚目ってどういう意味なんでしょうか?1レス目にはないけど…

316 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 02:58:49 ID:SEH3Iv1s]
いいんですけどとりあえずsageませんか?

317 名前:6Qn3fxtl mailto:sage [2009/02/17(火) 09:25:23 ID:UPGYcQ8m]
>>313
GJ! いいシャーゲルですね。すこしだけ登場するエイラーニャも
いい夫婦ですw

ちょっと時期遅れで申し訳ないんですけど、サーニャ×エイラの
バレンタインデー物、便乗して投下させてください。
お蔵入りにしようかとも思ってたんですが、いいエイラーニャをみたら
衝動が抑えられなくなってしまったのでw

4レス使います。タイトルは「プレゼントの意味?」です。

318 名前:プレゼントの意味 6Qn3fxtl mailto:sage [2009/02/17(火) 09:27:45 ID:UPGYcQ8m]
チョコレート、ヨシ。
メッセージカード、ヨシ。
花、ヨシ。
大丈夫。全部ある。準備は万端。忘れものはナシ。
出発する直前に机の上に並べられたプレゼントをもう一度確認する。
そして、深呼吸を一つ。
緊張するナァ。初飛行のときより緊張してるんジャナイカ?
初飛行のときのことなんかもうほとんど忘れちゃったケド、そんな気がする。

サーニャと過ごす初めてのバレンタインデーだ。
緊張しないわけがない。
だって、バレンタインデーっていうのは、
一番大切な人に自分の気持ちを伝える日だから。
サーニャに私の気持ちを伝えられる日だから。
どんな気持ちかッテ? 言うまでもないダロ。

「エイラ、そろそろ行くよ……?」
気持ちを落ち付かせていると、ドアをノックする音と一緒にサーニャの声が飛んできた。
私の心臓が身体から跳び出さんばかりにはねる。
「いっ、今いくヨ! 先に行っててクレ!」
私は服の中にプレゼントを押しこんで、格納庫に走っていった。


頭上には星と丸い月。眼下には白く光る波と船の明かり。
そして、目の前には月明かりに踊るサーニャ。
とても幻想的で、綺麗で、まるで夢の中みたいダ。
想いを伝えるのにこれ以上のシチュエーションなんてない。
バレンタインデーの夜間哨戒なんて最初は断わろうと思ってたけど、
やっぱり私たちには夜の空が一番似合う。
「なぁ、サーニャ」
「なに? エイラ」
振り向いたサーニャがまっすぐに私を見つめている。
ストライカーのエンジン音よりもはるかに大きな音で、心臓がバクバクいっている。
勇気を出せ、エイラ。ヘタレだって、やるときはやるんだ。
「コッッ、コレッ! バッ、バレンタインデーのプレッゼントッ!!」
チョコレートと花をサーニャに突き付ける。
サーニャはびっくりしたような顔をしたまま、プレゼントを受けとった。
「ありがとう、エイラ。すごく嬉しいよ。
でも……

バレンタインデーってなに?」
「……え?」




319 名前:プレゼントの意味 2/4 6Qn3fxtl mailto:sage [2009/02/17(火) 09:29:21 ID:UPGYcQ8m]


ええっと。サーニャさん、それはつまり、どういう意味ナノカナ?
「ごめんね、エイラ。でも、オラーシャにはバレンタインデーっていうのがないから……」
あぁ、そういうコトカ。つまり、サーニャはバレンタインデーを知らない。
だから、私のチョコレートと花がどんな意味かを知らない。
つまり――。
「エイラ、どうしたの?大丈夫?」
サーニャが不思議そうに私を顔を覗きこんでくる。
大丈夫ダヨ、サーニャ。ちょっと目の前が真っ白になっただけダカラ。
「ほ、他の奴らから聞かなかったノカ?」
サーニャは小さく首を横に振る。
「ハルトマンさんに聞いたんだけど、エイラに直接聞きなさいって」
……エーリカ・ハルトマン。今度、絶対仕返ししてやるカラナ。覚えとケ。
「それで、エイラ。バレンタインデーってどんな日なの?」
サーニャがいつも通りの笑顔のまま尋ねてくる。
そんな風に無邪気に聞いてこられてもナ……。
「バッ、バレンタインデーっていうのは――」
「いうのは?」
「その……、プレゼントを贈る日ダ……」
「そうなの?」
「ソウダ」
本当はちょっと違うケド。
「どうしよう……。私、知らなかったから、みんなへのプレゼントなんて
用意してないよ。ミーナ中佐にも、坂本少佐にも、芳佳ちゃんにも……」
「ちっ、違ウゾ、サーニャ!」
ドウシテそこで宮藤が出てくるんダヨ!
「バレンタインデーはみんなにプレゼントを贈る日じゃないんダ」
特に、宮藤に贈る日なんかじゃ絶対にないゾ。
「じゃぁ、誰に贈る日なの?」
「誰って……」
それは、その……。
「その、つまり……、特別な人に贈る日ダ」
サーニャは私の言おうとしていることがよくわからないのか、
まだ不思議そうな顔をしている。
「でも、それならみんなに贈ってもいいんだよね?
私にとっては、みんな、特別な人だから……」
あぁ、違う。違うんだよ、サーニャ。そういう意味じゃなくて……。



320 名前:プレゼントの意味 3/4 6Qn3fxtl mailto:sage [2009/02/17(火) 09:30:40 ID:UPGYcQ8m]

「その……、この場合の特別っていうのは……そういう意味じゃなくテ」
「じゃ、どういう意味?」
ヤメてくれ。そんな無邪気な目で見ないでクレヨ、サーニャ……。
「エイラ?」
あぁ、もう!
「大好きな人! バレンタインデーは一番大好きな人にプレゼントを贈る日なんダヨ!」
「大好きな人?」
「ソウダヨ! バレンタインデーは、一番大好きな人に、大好きっていう気持ちを込めて
プレゼントを贈る日なんダヨ!」
あんまりに恥ずかしくて、思わず怒鳴るみたいに答えてしまった。最低ダナ、私。


夜の空はとても静かだ。聞こえるのはただ、エンジンの音だけ。
眩暈がしそうな沈黙。涙が出そうになる。人生最悪のバレンタインデーだ。
「ねぇ、エイラ」
「ナンダヨ」
先に沈黙を破ったのはサーニャだった。
すごく可愛い顔をしてすぐ近くにいる。
「あのね、エイラが私にプレゼントをくれたっていうことは、
エイラは私のことが一番大好きってことだよね?」
「ばっ、ナ、ナニ言ってんダ!?」
サーニャ、何恥ずかしい事聞いてきてんダヨ!?
「違うの?」
「――///」
「ありがとう、エイラ」
サーニャの温もりがゆっくりと近付いてくる。
そして――。

頬に感じる、やわらかな感触。





321 名前:プレゼントの意味 4/4 6Qn3fxtl mailto:sage [2009/02/17(火) 09:31:37 ID:UPGYcQ8m]

「ばっ、サ、サーニャ!?」
真っ赤になってあたふたしている私を、サーニャはふふっと小さく笑った。
「うれしいよ、エイラ。私のこと大好きになってくれて。
私もエイラのこと大好きだよ」
そしてサーニャはポケットから小さな箱を取り出した。
きれいにラッピングされて、リボンもかけられて、これじゃまるで――。
「ほんとはね、エイラ。私、バレンタインデーのこと知ってたんだよ。
ウィッチになる前はオストマルクにいたから」
「え?」
じゃ、今までのは全部……。
「嘘ついててごめんなさい。でも、エイラの本当の気持ちが知りたかったから」
そういうとサーニャは悪戯のばれた子供みたいにぺろっと舌を出した。
もう、何ダヨ、ソレ。結局私はサーニャにからかわれただけなのカ?
私はよく人をからかうケド、からかわれるのにはあんまり慣れてない。

私が憮然としているうちに、サーニャは私の用意したチョコレートの
包みを器用に開けてしまった。
「ねぇ、知ってる?オストマルクでは、バレンタインデーのチョコレートは
贈る相手にこうやって食べさせてあげるんだよ」
小さく割ったチョコレートを一かけつまんでサーニャが言う。
今度こそ本当ダナ?
私がそう尋ねると、サーニャは悪戯っぽく、また小さく笑った。

fin.

322 名前:6Qn3fxtl mailto:sage [2009/02/17(火) 09:34:01 ID:UPGYcQ8m]
以上です。
時期はずれのお詫びは今度ハイディSS投下することでさせてくださいw


323 名前:tZFzoRn+ [2009/02/17(火) 11:54:12 ID:tZFzoRn+]
>>315
ごめんなさい
皆さんのような1/3的なことを意味するのですが
一枚目はないしややこしいところに書いてしまいました。
次からは分かりやすいようにします。

324 名前:1/5 mailto:sage [2009/02/17(火) 12:03:04 ID:afCGtYAY]
>>323それと、メール欄に sage って書くこともヨロシク。
初投稿って緊張するよね〜

そんなわけでzet4j65zです。14日投下分から全然SS読めてないっす><
あとでゆっくり読んでにやにやさせて貰いますね〜
クロエ&ハイディを16日までに間に合わないどころか本日17日になっても書き終わる気配無し。
本当は昨日の深夜あたりに投下できればと思ってたんだけど、変な電波を受信してバレンタイン話を書いてしまったのが敗因かなぁ。
今日明日で書き上げて21日にはちゃんとエイラ誕生日おめでとう!ってSSを投下できるといいんだが……ドウカナ?
タイトルは本当はドイツ語で行きたかったんだけどちゃんと表示されるかわからんので英語表記になってます。
5レスくらいかな。

●サン・トロン1943 SatsumaHund & WeiserFalke

 解析班の予想通り、ブリタニア本土への攻撃を目的としたネウロイの夜間爆撃隊と遭遇した。
 第一発見者はもちろんレーダー能力を持つハイディだ。
 敵は小規模ながらも護衛を伴っており、6機の爆撃型ネウロイのうち少なくとも1機は電探能力を持ち、周囲の警戒を行っていた。
 とはいえ精度は高くないらしく、ハイディに補足された事に気付いた後もしつこく電波の発信を行い、その存在を暴露し続けた。
 電波発信を抑えつつ進路上に推移した後、再び発信し自らの位置を暴露することでネウロイの注意をひきつけ、その隙にハイディによって誘導されたBf109装備のロッテがこの電探搭載ネウロイに対して一撃を加えた。
 この奇襲で敵電探搭載機の速度は見る見る落ちる。
 迅速に迎撃行動を開始した敵迎撃機群によってそれ以上の攻勢は阻まれ、猶も前進を続けるネウロイ編隊との戦闘はこう着状態に陥った。
 既に援軍の要請はしてあるが、到着までにはまだ間があるはずというその時、通信機から不思議な歌が流れ始めた。
 透き通るようなハミング。
 戦闘中だというのになぜか安らぎを覚えるような不思議な歌だった。
 その歌と同時にハイディは敵編隊の東側へと半ば退避するような指示を行い、行動が完了するや否や編隊西側に数個の爆光が閃いた。
 照準が甘かったのか敵機への直撃はなかったようだが、その爆風によって全体的に損傷を受けた敵編隊は戦意を失い、翼を翻して撤退に映った。
 迎撃機も引き、迎撃戦闘は終了した。
 未確認の敵戦闘機撃墜以外の戦果は無し。小隊の損害も無し。
 ネウロイのブリタニア本土への爆撃を阻止できたという事で作戦事態は成功。

「……というのが各員の報告書からまとめた今回の戦闘の流れだよ……ふぁ」

 欠伸をしながら、一応直属の上司となっている武子に報告を行う。
 様々な報告書の作成に負われたお陰で時刻は既に昼近い。正直、眠い。

「扶桑撫子らしく、もうちょっとしゃんとしなさいな。……で、この西側から攻撃を行ったのは?」
「ブリタニアのドーバー近くに展開してる部隊のナイトウィッチだろ。毎晩飛んでるわけでもないようだが、こういう時はちょくちょく加勢してくれてるらしいんだが……」
「だが?」
「なんだか恥ずかしがり屋らしくて名乗ってはくれないらしい」

 やれやれというジェスチャーを交えつつ語ると、武子のほうも半ば呆れながら返す。

「なんともはや奥ゆかしい助っ人だけど、軍隊なんだからそういうところはもっとしっかりして欲しいわね」
「ブリタニアに問い合わせて正体はわかってるみたいで、何でもリトヴャクっていうオラーシャの中尉らしい」
「ああ、もしかして第501統合航空戦闘団?」
「そ、海軍主導でバックアップしてるからってうちらにあんまり情報が入ってこないのも考えモンだよな」

 誠に不本意ながら我が扶桑皇国の陸軍と海軍は昔から仲が悪い。
 最近は大分改善も進んで、例えば今回の電探の様に国家主導で両軍の研究が統合されつつあるものもあるんだけど……そもそも統合するくらいなら初めから共同開発してくれといいたい。
 それに、用途が異なるとはいえストライカーユニットも陸海で規格が違い、こちらに関しては未だに別々の開発が行われてるんだから目も当てられない。
 せめて使用する機銃の弾薬規格くらいは統一して欲しいもんだ。


325 名前:2/5 mailto:sage [2009/02/17(火) 12:04:06 ID:afCGtYAY]

「まぁ、その辺は頭の痛いところよね。上の仲が悪いと苦労するわよ……でも、501に参加してるのはカールスラントで翼を並べた美緒だし、私の方から様子を聞いてみるわ」
「そうか、そういえば坂本か。アイツなら話もわかるし早いだろうな。それじゃ宜しく頼むよ、武子。私は機体の様子だけ見てから夜に備えて寝るわ……飛ばないとはいえ地上管制があるんだからお前も早く寝て置けよ」
「解ってるわよ。じゃ、おやすみなさい」
「ああ、オヤスミ」

 倉庫の一画に設けられた扶桑隊の簡易執務室を出ると、そのまま今回の機材の置いてある倉庫内の別区画を目指す。
 辿り着いてみると先客がいた。ハイディだ。
 野戦用のラックに固定された扶桑製のストライカーユニットを興味深げに観察している。

「キ45改、二式複座戦闘脚だ。今夜からは私とハイディはこれで飛ぶこととなる」
「あ、クロエ……」
「おっと、驚かせてしまったかな?」
「いいえ、大丈夫です。あの……」

 ハイディが一度はこちらを向いたその赤の視線を外し、同じハンガー内に置かれた別のものを捉える。
 視線の先を追うと、そこには直径約30cm、長さ1m程度ある不恰好な爆弾のようなものが置かれていた。
 先端部分にはハイディの魔道針と同じような形の複雑な形の針が伸びており、胴体中央部には腕に固定するための接点やグリップ、操作用のスイッチやツマミなどがついている。

「それが今回の審査対象、試製機載電探さ」
「ずいぶん、大きいんですね」
「ああ、大きくて重い上に動作させるためにも魔力を食う。現段階じゃとても一人じゃ扱えないんで運用には複座のストライカーが用意されてるんだ」

 改めてキ45改へと視線を移す。
 これは大口径の重火器を扱う為に製作された複座のストライカーユニットだ。
 大戦初期には各国で同じ様なコンセプトのユニットが製作されたが、結局のところ魔道エンジンのパワーが頭打ちだった事と小回りが利かないことから正面戦力として失格の烙印を押され、使われなくなったものが多い。
 とはいえそれは戦闘飛行脚としての話だ。
 このストライカーの用途を爆撃、偵察、夜戦と割り切ってからはそれなりに有効性が認められ、他に代替機首も無い事からそのまま生産と運用が続けられている。

「慣れないストライカーをはいてもらう事になるけど、扶桑では一応夜戦での使用に定評のある機体なんだ。それに、私もついてる」

 勇気付けるように、元気が出るような勤めて明るい口調でハイディへと言い切る。
 ハイディはまだ不安そうな眼差しで電探を見つめていたが、やがて私へと視線を移すと大きく頷いてくれた。
 その仕草に満足した私は優しく肩を抱く。

「さぁ、もう昼だ。私も寝るから君も休め……おやすみ、ハイディ」

 そんなおやすみの挨拶と共に西洋での風習を思い出し、額へと触れるようなキス。
 欧州の人間と過ごす事が多くなってから、初めはこういった風習には馴染めなかったものだ。
 だが郷に入り手は郷に従えという言葉通り、親愛の情を示すにはこうしたスキンシップこそが円滑なコミュニケーションを加速する。
 ……び、筈だったのだが……当のハイディは何故かその雪のような白い肌を首まで真っ赤にして固まってしまっていた。

「あ、と……すまない。突然で驚かせてしまったか?」
「いいいいいいえ、ななななんでもありませぇん。おおおおおオヤスミナサイっ!」
「ハ、ハイディ!?」


326 名前:3/5 mailto:sage [2009/02/17(火) 12:05:09 ID:afCGtYAY]

 叫ぶだけ叫んですごい勢いで扶桑式のお辞儀をすると走っていってしまった。
 むむむ……ああいう反応が返ってくるとは思わなかったが、考えてみれば人付き合いが苦手であれば確かにああいったスキンシップにも慣れていない可能性が高いか。
 うーん、こちらも思い切ってやってみたんだが裏目に出てしまったな。悪いことをしてしまったな。
 仲良くなって円滑に物事を進めたいだけなんだが……難しいもんだ。
 しかし、ああいう態度をされると、こちらまで気恥ずかしくなってしまう……はぁ、寝るか。
 大きくため息一つついてから宛がわれた個室へと向かい、持ち込んだ畳の上に布団を敷いて床に入った。
 ……眠れない。
 どうにもさっきのハイディの表情が気になって仕方ない。
 もしかして私はとんでもない事をしてしまったのではないだろうか?
 いや待て、落ち着け綾香。
 参考にならない気もするがあのぐらいの頃の自分のことを思い出してみよう。
 私が13歳の頃はどうだった?
 陸軍施設での訓練と道場で剣術の鍛錬……終わった後は釣りか……。
 思えば今仲良くして連絡を取ってる友人、武子に智子に圭子……って皆戦友であると同時に剣の達人ばかりじゃないか。
 陸軍以外だと坂本とその仲間達……竹井、西沢、太田辺りか。
 釣り友達はおっさんばかりだし……。
 くっ……まさか自分の体験が本当にここまで参考にならんとは。
 何故もう少しまともな少女時代をすごしてこなかった黒江綾香!
 戦い方や心構えなどであれば幾らでも語ることができるというのに、人生の先達として少女に伝えるべき経験が無いとは……。
 指揮官としての経験の長い武子ならもう少し語る言葉もあるのだろうがなぁ。
 ……答えの出ないことに思考を費やすなど無駄な事か。
 真摯に思いを伝えるのみだな。
 為すべき事などまだ見えなかったが、そうして心を落ち着けると同時に、私の心に睡魔が浸透していった。

 夜。
 ハンガーに集合し、整備員に混ざって機材のチェックを行う。
 とはいえストライカーユニット本体はともかく実験機材である機載電探は、基本的にメーカーから出向している技術者や研究所所属の研究員が調整を行う事となる。

「整備も自分で行うんですか?」

 背後から声を掛けられた。
 振り返るとハイディがいた。

「ああ、おはようハイディ。元々機械弄りは好きだからね」

 簡単に挨拶しつつキ45改に向き直り、手元のチェックリストと照らし合わせながら整備を進めていく。
 昼の事で変に避けられたりしないか少々心配ではあったが、彼女の方から話しかけてくれたんなら問題は無いだろう、多分。

「楽しいんですか?」
「楽しくは……無いかもしれない。これは単純な作業だし。でも面白くはあるし、こうすることで安心を得る事が出来る」

 改めて手を止め、彼女の目を見て答える。
 視線が一致し、一呼吸の後彼女が口を開いた。

「私にも、出来ますか?」

 小躍りしそうだった。
 なにせ人付き合いに苦手意識を持っている彼女がこちらに興味を持ってくれたのだ。
 寝る前の挨拶の影響だろうか?
 だとするならば自らの行為に悩んで寝不足気味になった事も報われる。
 つい嬉しくなった私はそのままハイディを出撃前のチェックに付き合せてしまった。
 そして解説しながらのチェックで時間がかかったせいか、気がつけば試験の開始時間が近くなっていた。
 急いで整備用のツナギから戦闘服へと着替えを済ませ、改めてハンガーに入る。
 ハンガーには既に武子を中心とした審査部のメンバーとハイディを含むカールスラント側のスタッフが集合していた。

「遅いわよ、黒江大尉」
「遅れてすまない。はじめてくれ」
「ではこれより、第一回の機載電探運用試験を行いたいと思います」


327 名前:4/5 mailto:sage [2009/02/17(火) 12:06:15 ID:afCGtYAY]

 武子の挨拶と共にブリーフィングが始まり、概要が解説される。
 今日のフライトは事実上人員と機材の顔合わせと言っていいような簡単な内容で、基地上空の近距離を集会するのみにとどまる。
 電探は私の指示でハイディに操作を行ってもらい、着陸してから彼女の持つレーダー能力との誤差に関する聞き取り調査を行う事になっている。
 厄介なのはこの点で、ウィッチの能力という特性上主観的になりがちな解説をどれだけうまく収集できるか否かが早期の機材の熟成に大きく影響を与える事になるからだ。

「以上で解説を終了します。各自準備に取り掛かってください」

 号令一下、それぞれのエキスパートたちが持ち場へと散っていく。
 私とハイディはキ45改のラックの前に立ち、接続ヨシの合図を待っていた。
 程なくして私たちのストライカーへの接続が開始される。
 まずは前席のハイディからだ。
 接続と同時に彼女の使い魔である白隼の羽が頭部に現出する。
 空を往くウィッチの中でも鳥を使い間に持つものは多くない。
 自分とその相棒を卑下するつもりは無いし、むしろ一撃必殺の刀剣術を得意とする私にとってその顕現とも言うべき闘犬、薩摩犬を相棒に持っている事はとても誇らしいと思っている。
 それに犬を使い間にするドッグファイターなんて中々洒落が効いていていいじゃないか。
 でも……それでも天駆けるウィッチとして、鳥の使い魔を持つ者への憧れを捨てきる事はできないのは私が欲深いウィッチだという事なのだろうか。
 ハイディは慣れないユニットのせいか思ったよりも時間がかかってしまったようだが問題なく接続を終了。
 見届けてから私も接続を開始する。

「ハイディ、感触はどう?」
「少し、頼りない気がします」
「正直なのはいいことさ。キ45改は普段ハイディの使ってるBf110とほぼ同性能で複座にしてるんで色々物足りなくなる部分があるだろう」
「…………」

 沈黙、正面を向くハイディの表情はうかがい知れないが不安に思っている事は間違いないだろう。
 私は丁度自分の胸の位置辺りにあるハイディの頭をそっと抱いて呟く。
 大人の女性のふくよかな胸には人を安心させる効果がある。
 ……のはいいんだけど、正直ココから見下ろすハイディのソコは年齢差にも関わらず私に劣らない、と言うか私が劣っている気もする。
 が、あまり深く考えるのはよそう。大事なのはきっと気持ちだ。

「大丈夫、基本的にこの実験の間は前線には出ないし、何よりも私がついている。君は安心してレーダーの操作に集中してくれ」
「は、はい、クロエ」

 これで少しでも不安が消えてくれていればいいんだが……。
 実はこの戦闘脚キ45改はキ43やキ44程熟練しておらず、夜間飛行ということでそこそこ不安はあった。
 だが、鍛錬を重ねた身体はハイディを不安にさせるわけにはいかないとの思いに良く応え、緊張で加速するはずの鼓動を押さえ込むことに成功していた。
 その正常な、穏やかな鼓動がその白い髪、白い羽を通じてハイディへと柔らかく伝える。

『綾香、シフトの夜間哨戒部隊が出撃したわ。そちらも滑走路に入って頂戴』
「了解した」
「了解しました」

 動作を開始する。
 操作に癖はない。
 複座で同乗者が緊張している時などは変に力が入ってそちらに引っ張られる事がある。
 操縦席のウィッチの方が魔力が高ければいいのだが逆の場合は助手側の動作が中途半端に反映されて、最悪操縦不能に陥る事もある。
 だが、ハイディの場合はそうした心配とは無煙だったようだ。
 それともこちらが気を廻していたのが功を奏していたのだろうか? だとすれば努力の甲斐もあるものだ。

「試製電探、コンタクト」

 整備員たちの手によって、電探がハイディの左腕へと固定される。
 こちらに関しては飛行姿勢をとったときには胴体正面側に構え、空気抵抗を軽減する手はずとなっていた。
 固定完了の合図と共にハンガーを出、タキシングウェイを進む。
 昨日の今日だ、ネウロイの襲来はほぼ確実に無い。
 まだ幼いながらも夜の闇を見通せる素敵な相棒もいる。
 夜間の遊覧飛行を楽しませてもらおうじゃないか。


328 名前:5/5 mailto:sage [2009/02/17(火) 12:07:02 ID:afCGtYAY]

「キ45改、クロエ&シュナウファー、サツマ01、OTR」
『サントロン管制より扶桑試験隊のサツマ01へ、発信を許可します』
「扶桑HQフジ、聞こえるか?」

 前を見据えるうちにどうしても視界に入ってくるものが気になり、武子へと通信を繋ぐ。

『感度良好。聞こえてるわ』
「コードネームを変更しないか? ファルケ辺りが希望なんだが」
『何を突然……無茶言わないで。コードは周辺の他部隊に通達済みなんだから……でも一体どうしたの?』
「目の前で可愛らしく揺れてる白隼の羽を見てたらその方がいいと思ったんだ。ハイディとお前がいて隼じゃないなんて落ち着かないのさ」
『はぁ……嬉しい事言ってくれるのはいいんだけれど……そういうのは根回しが必要なんだから早くにね、いい? サツマ01』
「サツマ01了解した。以後こういった思いつきは慎もう……では、行こうかハイディ」
「はい……その……」
「何かあるなら空で聞こう……いいかい? それじゃサツマ01離陸する」

 魔力を込める。
 アイドル状態だった魔道エンジンの回転数が上がり加速が始まる。
 やはり全体的にもったりとした感触だが、二人分の体重にもう一人分以上もある重量の電探が追加されてはむべなるかな。
 普段よりも眺めの滑走を終え、離陸。
 姿勢を前傾し、あわせてハイディが胴体前面のハーネスに電探を固定する。
 高度の上がりも鈍い。
 電探の存在が重量だけでなく空気抵抗も悪化させているんで速度が乗らない。
 現状ではまともな戦闘機動などできる気がしないが、将来的には電探の動作用の魔力もストライカーの方から供給させて軽量化を図るらしい。
 その分出力を食われるなら結果が同じことにならないかが心配だ。
 緩やかに上昇する間、ハイディが口を開いた。

「ねぇ、クロエ、さっきのファルケって、私の使い魔?」
「ああ、そうだよ」
「コマンダーカトウの使い魔も一緒なの?」
「そういうわけじゃなくて、彼女が指揮していた扶桑皇国陸軍航空隊第六四戦隊はキ43……ハヤブサって愛称のストライカーで構成されていて、それで有名になった彼女の代名詞みたいなもんなんだ」
「あ、カトーハヤブサセントータイなら知ってます。あの人見たことあると思ったら、カールスラントでも英雄の人だったんですね」
「そ、ウィッチとしては去年引退してるんだけどこうして軍に残って後進のための機材開発に尽力してる。で、扶桑でハヤブサがカールスラント語だとファルケになるのさ」
「なんだか、嬉しいです。扶桑って言う遠い国から来た人たちなのに、意外と身近な存在だったなんて」

 珍しくちょっと興奮気味に喜びを表すハイディ。
 位置関係の都合で彼女の表情までは見えないが、きっと自然な笑顔を浮かべていることだろう。

「そうか今まで気づいてなかったのか。ちなみに私も武子の下で飛んでたんだ」
「そうだったんですか……知りませんでした」
「こっちで『魔のクロエ』とか渾名つけられてちょっとかっこよくて気に入ってたんだけどなぁ……知られてなかったのはショックだ」
「ご、ごめんなさい」
「いやいいよ。別に有名になる為に飛んでるわけじゃないし……よし、そろそろ予定高度だ。まずは君の力で先行している哨戒部隊を捕捉してくれ」
「了解です。クロエ」

 彼女の頭にレーダー魔道針が発現する。
 輝き、色を変えながらレーダーが動作し、電波を発信。
 サイドローブが通信機に干渉し、かすかな雑音を立てる。
 程なくしてハイディは先行するBf110を発見捕捉し私とHQへと正確な情報を伝える。
 次は電探の番だったのだが、これは散々な結果に終わった。
 電波発信してもBf110の姿を追うことができず、使用中に通信機から流れる雑音もひどいものだった。
 しかもハイディの魔力消耗も大きかったらしく、最終的にこの日の試験は早めに切り上げられることになった。
 とはいえ、ある程度は予想されていた結果だ。
 不具合があるからこそ問題を洗い出すことができる。
 ハイディの報告を元に電探の調整を行い、最適化を繰り返す。
 そんな日々が続くうち、出会った頃に比べればハイディとの他愛ない会話を増やすことに成功しつつあった私は、機材の調整が長引いてフライトが中止になったある日、彼女を私の趣味である釣りへと誘ってみることにした。

329 名前:zet4j65z mailto:sage [2009/02/17(火) 12:15:05 ID:afCGtYAY]
以上となります。

ちょっと友人からネタわかり難くないか?といわれたんで、ブリタニア陸軍歩兵戦闘装甲歩行脚 Mk.V について解説。
っていうかネタの補足なんですが、元ネタは歩兵戦車MK.Vバレンタイン戦車です。
wikiで調べるだけでいろいろわかると思います。
あと、フミカネ画集にもメカ娘としてバレンタイン戦車装備の女の子がいます(078ページ上段)。
バレンタインハンターっていうのは「バレンタインの権利獲得」と「バレンタイン歩行脚を狩る」っていう意味を込めたシャレだったりします。

普段から使ってるネタがわかりにくいかもしれないんで、もうちょっとこういう解説ってしたほうがいいんでしょうか?

330 名前:トゥルーデ撃墜部隊 mailto:sage [2009/02/17(火) 12:47:41 ID:MUGbNRvz]
素敵なハイディSSの後ですが私も投下します。
ヘルマとハイディの語りのみ。ハイディのキャラを掴もうと始めた物なのにヘルマメイン(爆)

コンセプトはヘルーデです




331 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 12:48:12 ID:MUGbNRvz]

「はあ〜…」
「どうしたの、大きなため息ついて」
「えっ、あ、シュナウファー大尉!」
「二人の時はハイディでいいって言ったでしょ、ヘルマ。友達じゃない」
「あ…はいっ、失礼致しました!ハイディ!」
「……まぁ、お堅いのはいつもの事ね。…で、どうしたの?」
「はい……あの、どうしたらもっと私を見てもらえるかなって…」
「トゥルーデの事ね」
「ふぇっ!ああああの………はい…」
「私から見れば、ヘルマは相当可愛がられてると思うけれど」
「う…で、でも大尉は私を妹みたいだって言うんです…」
「それは仕方ないわ」
「私は、一人の軍人として、ウィッチとして…いえ、女性として見てほしいんです!」
「それはまた難しい問題ね」
「うう…やっぱりそうですよね…」
「でも、最初から諦めていてはダメね。これを読んで勉強してみたら?」
「こ、これは…」
「世間では“薄い本”って呼ばれる物よ。これは、実在の501のウィッチを題材にしたものね」
「えぇと、表紙にいるのはユーティライネン少尉と…リトヴャク中尉ですね」
「主に“エイラーニャ”と呼ばれているものよ。まずはそれを読んでシミュレーションしてみて」
「はい、えーと…」



332 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 12:49:15 ID:MUGbNRvz]
―――

『ヘルマ、ヘルマ』
『ふぁ…』
『ここは私の部屋だぞ。何回間違えるんだ、全く』
『ん…ごめんなさい、大尉…』
『…し、仕方ないな。もう少しだけなら寝ててもいいぞ』
『ありがとうございます。じゃあ…これはお礼です』
『ん、…!ふ、ぁ…んっ…』
『はぁ…大尉の唇、美味しい…もっと…』
『きょ、今日だけだからな…ん…』

―――

「どう?」
「うーん……なんだかしっくりきません…」
「そう…じゃあこれは?“シャッキーニ”よ。年の差もあるし、想像しやすいんじゃない?」
「ありがとうございます、えーと…」

―――

『たいいーっ!』
『わっ…ふふ、どうしたヘルマ』
『大尉の胸、ふかふかで気持ちがいいです!』
『ははは、甘えん坊だな、ヘルマは。好きなだけ触るといい』
『わぁ、恐縮です!では早速…』
『…ん、ちょ…あっ、そんな…強く…』
『大尉の胸、だーい好きです!』
『あ、ぁん…ヘルマぁ…』

―――

「…やっぱり何か違います…」
「これもダメなの?じゃあ…“さかよし”はどうかしら。トゥルーデと坂本少佐って似ているし…」
「はい!うーんと…」


333 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 12:50:16 ID:MUGbNRvz]
―――

『レンナルツ、今日の訓練はどうした。全然ついていけていなかったぞ』
『も、申し訳ありません大尉!』
『全く…お前はもっと体力作りが必要だな』
『はい…』
『仕方ない、私が特別訓練をしてやろう(どさっ)』
『きゃっ!あ、あのっ、バルクホルン大尉…?』
『楽にしろ、悪いようにはしない。但し、休憩はないぞ』
『ぁ…や、は、恥ずかしいです…』
『綺麗だぞ、レンナルツ』
『…た………大尉の方が綺麗です!!(がばぁっ)』
『うわっ!ちょ、こら何をする!』
『ダメです我慢できません!』
『ど、どこを触って…あ、だめっ…』
『はあ、大尉…大好きです…』

―――

「はぅ、可愛い……でもやっぱり違うような…」
「気になったんだけど、あなたどっちで想像しているの?」
「え?どっちって…?」
「…まぁいいわ。じゃあ少し変えてみるわね、“ペリーネ”よ」

―――

『大尉、先程は助けていただきありがとうございました』
『べ…別にお前のためを思ってやったんじゃないぞ!え、エーリカが危なかったから…』
『あ…やっぱりそうですよね、私なんて足手まといで…』
『!そ、そんな事言ってないだろう!そんな顔をするな』
『うふふっ、大尉やっぱり優しいです』
『ちっ!違う、誰がお前なんかに…!』


334 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 12:51:19 ID:MUGbNRvz]
『…大尉』
『な、なんだ』
『私じゃ…ハルトマン中尉の代わりになれませんか?』
『えっ…』
『大尉…トゥルーデ、愛してます…』
『あ…へ、ヘルマ…』

―――

「…はう…ツンデレな大尉、可愛いです…」
「(この子、やっぱり…)」
「…あれ、どうしたんですかハイディ?変な顔して」
「ごめんなさい、私が間違ってたわ。あなたにはこれね」
「ずいぶんいっぱいありますね。…はっ、ハルトマン中尉とバルクホルン大尉…!」
「“エーゲル”よ。恐らくあなたが求めるトゥルーデはここにいるわ」
「……ふわっ、ちゅ、中尉ったら大尉にこんな事…!あぁっそんな事まで……ううっ、負けないです!絶対に負けませんです!!」
「やっぱり……てっきり受けに回りたいのだと思っていたのに、まさか攻めるつもりだったとはね」
「え?何か言いましたか?」
「あ、なんでもないわ」
「…ところで、どうしてこの…“えーげる”だけたくさん本があるんですか?」
「ああ…私も勉強して、いつかトゥルーデに実践しようかと思ってるの。フラウみたいにね。ふふっ」
「(ラ…ライバルまた発見です!!)」




335 名前:トゥルーデ撃墜部隊 mailto:sage [2009/02/17(火) 12:51:49 ID:MUGbNRvz]
以上です。お目汚し失礼しました〜

336 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 19:50:31 ID:jUeITZM6]
バレンタインとっくに過ぎてるけど初投下します。
ここおかしくね?って所は指摘してくださるとありがたいです。
タイトルは「2.1秒」

337 名前:1/5 mailto:sage [2009/02/17(火) 19:51:12 ID:jUeITZM6]
12日。明日は久しぶりに休みだしプレゼントを探そう。
サーニャが喜んでくれそうなものは何だろうな……と考えていた時だった。
コンコン。
ああ、声を聞かなくても分かる。こんなに優しくノックできるのはサーニャしかいないからな。
「どうぞ。」
静かにドアを開けて顔を除かせたのはやはりサーニャだった。
「サーニャおはよう。」
「こんばんわ、エイラ。」
「どこに座ル?椅子でもベッドでも好きな所に……」
部屋に入ってから、何かをためらっているように一歩も動かない。
「どうした?サーニャ、気分でも悪いノカ?」
「ううん、違うの。あのね、お願いがあって……」
「おう、サーニャの頼みならなんでも聞くゾ。」
「……じゃあ、明日私に付き合って欲しいの。」
プレゼントを買いにいくから、なんて言えるはずがない。
そもそもサーニャを喜ばせる為なんだ、ここで頼みを断るのは本末転倒じゃないか。
私は即答した。
「もちろん。」
「本当?ありがとう!」
ああ、笑ってるサーニャ可愛いなあ。
「じゃあ、明日ね。おやすみ。」
「あ、うん。明日ナ。」
とても嬉しそうにパタン、とドアを閉めて行ってしまった。
もうちょっとおしゃべりしたかったな……
そういえば明日何をするんだろうか。

338 名前:2/5 mailto:sage [2009/02/17(火) 19:51:51 ID:jUeITZM6]
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「ほらよっと、こんな感じでイイカ?」
「うん。ありがとうエイラ」
私を誘ったのは一緒にお菓子を作りたかったからのようだ。
ウィーンのチョコレートケーキでザッハトルテというらしい。
今スポンジ(サーニャがジェノワーズっていうのよ、と教えてくれた)を作っているのだが結構疲れる。
これからサーニャがお菓子を作る時には手伝わないとな。
「じゃあ焼くよ。」
「な、なあ、この型ちょっと大きいんじゃないカ?」
それは2人で食べるには明らかに大きい丸い型だった。
「これは皆の分よ。」
サーニャはくすっと笑って言った。ああ、そういえば生地が多いよな。
今までサーニャに夢中で気付かなかったけど。
「私たちの分はこれなの。」
可愛いハートの型。

339 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 19:52:45 ID:jUeITZM6]
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「なあ、溶けたチョコって珍しいヨナ。」
本日二回目。さっきのと何か違うんだろうか。
サーニャが色々入れてたから違った美味しさなんだろうな。
「普通は溶けないようにするもんね。ちょっと食べてみる?」
「おお、いいなそれ。」
サーニャが指でチョコをすくった。熱くないのか?
「はい。」
はい……ってこれは私にどうしろと言ってるんだ?
…………いやいや、そんな事できるはずないじゃないか!
断ろうか、でもそんな事したらサーニャが傷つくよなぁ。
そりゃあサーニャの指の1本や2本なめてみたいけどさ……
って何を言ってるんだ私は。
サーニャはチョコの味見をしてって言ってるんだぞ?
それなのに……私のバカ。
ごめんよサーニャ……こんな私を許してくれ……
サーニャ、どっちにしろ私にはできそうもないよ……
どうすればいいんだこの状況を。
「さ、さーにゃからさきにたべてくれ?」
「?うん。」
サーニャの手が動いた瞬間、私は神速でチョコをすくった。そして、
「うん。おいしいナ。」
良かった。これで全部丸く収まったぞ。
「どうしたのエイラ……大丈夫?顔が赤いし汗も……」
と、サーニャが顔を覗きこんできた。サーニャ、近い!近いぞ!
「イ、イヤ、全然大丈夫ダゾ!」
そう?と言ったが気になるようだ。心配させたかな……
「今から仕上げね。」
溶かしたチョコをスポンジに綺麗に塗っていく。
「上手ダナ。」
「グラサージュっていうの。エイラもやってみる?」
「いや、私は見ておくヨ。」
ああ、お菓子作ってるサーニャ可愛いなあ。
夢を見てるみたいだ。世界で一番素敵だな。

340 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 19:53:10 ID:jUeITZM6]
_____________________________________________


「今日はありがとね、エイラ。」
「ああ、楽しかったゾ。」
今日は私の部屋で一緒に寝る事になった。
ベッドの上で今日の事を話していた。
「私ね、今日のあれで指、やけどしちゃったかも。」
向かい合っていたサーニャの声が急に真面目になった。
「な、大丈夫なのかサーニャ?どうしてもっと早くいわなかったん……」
「エイラが食べてくれなかったからだよ。責任……とってね。」
サーニャの指がスッと私の顔の……唇の辺りまで伸びてきた。
触れるか触れないかという距離。
反射的に目を閉じてしまった私には、サーニャが今どんな顔をしているかを知る術は無かった。
「さ、さーにゃ」
「……」
空気が重たくなっていく。時間が止まる。思考が限りなく薄められていった。
私はこの雰囲気に耐えられなかった。
どうしたらいいのか分からなくなって、後ろにパタン、と倒れ込んでしまう。
「ごめん、サーニャ。私……私には……」
「えへへ、ごめんねエイラ。いじわるしちゃった。」
今までの空気を一気に弛緩させて、ベッドに仰向けになっている私にサーニャが抱きついてきた。
「サーニャ……?」
「ねえエイラ、私のわがまま、聞いてくれる?」
サーニャは私の胸の下に腕をまわしてピタリと寄り添っている。
「さ、サーニャ、一体どういうこと……」
「だめ?」
少し潤んだようなキラキラした綺麗な瞳。上目遣い。
サーニャ、そんな目で私を見ないでくれ!
「だめじゃないゾ!何でもきいてやるゾ!」
よくまわらない頭で答えた。
「ありがとうエイラ。」
サーニャにギュッと抱きしめられた。サーニャの温かさがよく伝わる。
ああ、呼吸が上手くできないし声も出ないよ。
サーニャ、もうちょっと離れてくれないと明日まで生きていられないぞ。



341 名前:5/5 mailto:sage [2009/02/17(火) 19:54:02 ID:jUeITZM6]
_________________________________________________


「おいハルトマン、アレは何だ?サーニャは何をしてるんだ?」
「さあにゃー」
「エイラで遊んでるのか?あいつ倒れそうだぞ。」
14日。昨日作ったケーキが皆に振舞われた。
「はい、あーん。」
「だ、大丈夫だってサーニャ。自分で食べられ……」
「私じゃダメなの……?」
「い、いや嬉しいけど……」
「じゃあ、食べて。」
サーニャはエイラに異常に近づいて(甘えて)限界が来たらまた離れて、という事を繰り返していた。
エイラはそのたびにメルトダウンしそうになっていたが、ぎりぎり持ちこたえているようだった。
「微笑ましい光景……ではないよな」
「フォークが1本って時点でだめよね、エイラは。あ、トゥルーデもやって欲しい?」
「ってなんで私にフォークを持たせるんだ。自分で食べろ、自分で。」


「サーニャ、もうちょっとはなれ……」
「昨日いいって言ったじゃない。今日はずっと、いっしょだよ。」
エイラのプレゼントはなかなか大変な物になったようだ。



342 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 19:55:09 ID:jUeITZM6]
以上です。
3/5 4/5書き忘れたけどまあいいか。

343 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 21:16:11 ID:1ZAzVhJa]
>>335
GJ! ハイディがいけない意味で大人っぽくなってるw
エーゲルだけ詳しい描写がないのは、読者が好きなだけ妄想しろと
いう意味ですね、わかります。

>>342
GJ! サーニャさん、本気でエイラを殺しにいってるw
エーリカの「さあにゃー」も可愛らしくて好きです。


344 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 21:35:22 ID:mZHs/5Eg]
>>342
お、恐ろしい14歳だぜ……
GJ

345 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 21:40:27 ID:PkAlKDdg]
>>335
これはw何気にしっくりきたりするもんだなw
なんかいろいろと新しい可能性が広がっていきそうだ、GJ!

>>342
GJ
愛ゆえにいじわるしちゃうサーニャが好きです
心臓ばくばくしすぎて死にそうなエイラも好きです

どうでもいいが携帯の英字入力で「GJ」を打とうとしたんだ。そしたら「だな」と打っていた。
ひらがな入力のままで打っているのに気付かなかったんだな…

346 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 21:52:48 ID:wkN3KWLx]
突然ですがクイズの時間です!
以下の文は誰から誰に宛てたメッセージでしょうか?


Q1.「心日和」
そうやっていつも突然やって来て
そして気が付くとまたいなくなって
あたしを怒らす事泣かす事それだけは
おまえの特権として許してたけど
今逢いたいのにいつもいなくなるんだね
何してんの?
どこにいるの?


Q2.「ジェット」
きっと飛べると思うんだ 先輩が横についてくれるなら
ボクの羽は小さい だから離れないように手をつないで
きっと飛べると思うんだ はねたうしろ髪が羽だから
はねたうしろ髪風をうけて この空てのひらにつかもう
So Knock Knock Gun Gun!


Q3.「桃色」
わたしに今すぐ夢中になって この唇全てあなたにあげるわ
あなたへのわたしの小さなたくらみは いつも裏返されて
わたしはだまってままごと遊び
あなたの気持ち どうもわたしに負けてるわ
わたしを今すぐさらって逃げて この体全てあなたにあげるわ
冬の寒さに桃色の汗を約束してね 忘れないでね


Q4.「アイツを振り向かせる方法」
深呼吸してドアをノックして 素知らぬ顔しておしゃべり
ワガママばかり言ってアイツを困らせるの
けどわたしはフラれた身 だけどずっとずっと離れない
本当は素直になりたい だけどなれない好きだから
後悔なんてダイキライ だからやりたい事やらせてもらうわ
今の目標はただひとつ アイツを振り向かせる事だけ
戦争が終わって空が晴れた時きっと アイツはわたしに振り向いてくれる
それまで気長に待つとしようか
十年でも二十年でもずっとずっと


答え
Q1.「心日和」
シャーリー×ルッキーニ

Q2.「ジェット」
ヘルマ×トゥルーデ

Q3.「桃色」
サーニャ×エイラ

Q4.「アイツを振り向かせる方法」
エーリカ×トゥルーデ

妄想には個人差があります、あなたのその答えももちろん大正解です。

347 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 21:56:16 ID:wkN3KWLx]
>>335
お姉ちゃん全キャラ被迎撃を待ち望む者にとって伏兵の出現は嬉しくも悲しくもありありなんですよ。

>>342
「トゥルーデもやって欲しい?」
って言ってトゥルーデにフォークを持たせるエーリカにメルトダウンした。
次回作も楽しみにしています。

保管庫695「初恋」読んだら普通にaikoの曲聴けない体になりました。
KR+y9VEEさんにスペシャルサンクス!
aikoの初恋だよね?間違っていたらごめんなさい。
ジェットのおかげでヘルマがボクっ娘に桃色のおかげでサーニャがえっちに、だめだこれは病気だ。
プロット考えるの面倒臭いけど妄想があふれてきたので垂れ流し失礼しました。

348 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 22:07:55 ID:MNE385ad]
こんばんは。LWqeWTRGです。
なぜか見たいと声があがった旦那様会議のもようができました。
本当に書いてよかったのかわかりませんが4レス、どうぞ。


349 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 22:09:26 ID:MNE385ad]
「な〜、なんで私が議長なんダヨ〜。こーいうのは少佐か堅物の役目ダロ〜?」

「うむ、本来なら私が引き受けるところではあるのだがいかんせん色恋には疎くてな」
「私は記録係だからな。こうして書記をやっている」
「ソレならシャーリー」
「あたしにその仕事できると思うか?」
「思わナイ。じゃあ宮藤!やってクレ!」
「えええイヤですよ!」
「イヤじゃナイ!ヤレ!」
「イヤですってば!…あっ、そういえば向こうではサーニャちゃんが議長だったらしいですよ!ペアで議長だなんてかっこいいです!」
「…ソウナノカ?サーニャが?…じゃあやってみようカナー」

「ぃよーし!よくやった宮藤!」
「えへへ…」

「よーし、じゃあ会議始めっゾー。えーと、第1回ラヴ対策会議…、なんだコレ?なにすりゃいいんダ?」
「ようはあいつらともっと仲良くなるためなんかしようってことさ」
「もう仲いいダロ」
「え?お前サーニャとシたくないの?」
「ナ、なにをダヨ」
「なにって…ナニとかいろいろだな」
「!?おまっ!……そりゃシたい…ケドサァ…」
「ほぅ、やらしいな…」
「ナっ、お前には言われたくネーヨ!」

「くだらんことはいいから会議を始めるぞ」



350 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 22:10:43 ID:MNE385ad]
「ちぇわかったヨ…。じゃあなにか案がアルやーつ」

「………」

「な〜、もうやめようゼ〜。なんも出ねージャン」
「駄目だ。まだ目的は達成されていない」
「だったら案だせヨ堅物ゥ」
「そうだな、…ふむ……素直に甘えてみてはどうだろう」
「アンタもするんだゾ?」
「う…」

「だーもう、あたしが出すよ。さっきルッキーニが変なポーズしてきたんだけどさ、それが可愛くてなー」
「おいリベリアン、のろけなら余所でやれ。お前の戯れ言を記録するほど書記は暇じゃないんだ」
「最後まで話は聞くもんだぞー。だからさ、あたしはあたしの武器を使おうと思うわけさ」
「どういう意味だ?シャーリー」
「うーん…少佐はちょっと柄じゃ…、ってそれいったらここの奴全員ダメか…」
「シャーリーさん、話が見えないんですけど…」
「まあいっか。つまりだ!セクシーなポーズをとってあいつらを誘ってやろう、ということだよ。ルッキーニは胸好きだしな」

「ムリダナ」

「諦めるの早くないか?」
「確かに、私にそういうことは似合わんだろうな…」
「わたしも…胸が…」
「そんなことできるか」

「あーあ…じゃあ後はまかしたぞー」

「…ふて寝すんなヨ……」





351 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 22:12:06 ID:MNE385ad]
「もー。なんかだせヨ〜」

「…ちょっといいか?」
「オォ、さすが少佐ダナ」
「そんなに仲良くなりたいなら夜ば「却下ナ」

「というか…坂本さんからそんな言葉がでるなんて…」
「ああ、ちょっと驚いた…」
「今の…記録していいのか…?」
「ダメダロ」

「ん?あぁいや、私がしてるんじゃなくてミーナがいつも…な…」
「あ…なるほど…。すみませんでした…」
「いや、こちらこそすまん。今言うべきではなかったな。それでもう一つあるんだが晩酌はどうだろうか。酒を酌み交わせば…」

「酒ナー…。サーニャ強いし…」
「ルッキーニにはまだ早いかな」
「あいつは飲みすぎだ」
「わたし未成年…」

「これも駄目か…。まあミーナに付き合うと大変だからな。仕方ない」

「けーっきょくダメじゃんカ〜。おまえらもうちょっと考えろよナ〜」
「そろそろお前もなんかだせよー。議長でも案はだしていいんだぞー」
「ムr「無理だな禁止」

「ちぇ、そーいわれてもナー」
「ほらサーニャにいつもしたいと思ってる妄想吐き出せよ」
「妄想とか言うナヨ…」
「まあまあ、なんでもいいからさっさとだしなよ」

「ん〜…でもこれサーニャにいつかやるつもりだシ…」



352 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 22:12:41 ID:1ZAzVhJa]
>>346
ラブソング聞いてウィッチーズを連想するのは自分だけじゃなかったんだ。
少しだけ安心しました。

aikoの曲ではないのですが、自分にはいきものがかりの
「コイスルオトメ」がエーリカがトゥルーデのことを歌った曲に聞こえます。
てか、カラオケで初めて聞いたときに、ニヤニヤが止まんなくて本当に困ったw


353 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 22:16:02 ID:MNE385ad]
「エイラさんの妄想聞きたいです!」
「ふむ。興味はあるな」
「記録はとってやるから安心しろ」
「GO!」

「あー、でもこれサーニャ限定だシ…」

「それでもいいです」
「応用すればよかろう」

「行動っていうよりタイミングだシ…」

「軍人ならさっさと答えろ!」
「いいから言っちまえ」

「わかったヨ!言うヨ!まずサーニャがオラーシャで両親を探す時についていくんダ!」
「サーニャがくじけそうになったら近くで支えてやっテ、寂しそうにしてたらそっと抱きしめて『大丈夫だよ』とか言ってやりてーとか考えてんダヨ!」
「どうだコレが私の妄想ダ!笑いたきゃ笑えヨ!」

「エイラさん…。なんだか感動しちゃいました…」
「うむ、さすがだな。それでこそエイラだ!」
「これがスオムス軍人の決意…。やるな…」
「あー、なんかすまんかった」

「なんなんダヨこの空気ハー!」

「みんなほめてんだよ。まあお前の案は結局あたしらには無理なんだけどな」
「だからソウ言ったのに…」
「でもでも、抱きしめるとかはよくないですか?」
「確かに抱きしめてやるのは私でもできるな」
「じゃあそれで」

「……何だったんダヨこの時間…」

END



354 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 22:17:41 ID:MNE385ad]
以上です。gdgdです。オチもひどい投げっぱなしです…。
エイラの妄想で行が長すぎると弾かれてました…。すいません。

前回の奥様会議の直後に行った会議、ということで、タイトルは「501会議室‐午後」とします。

シャーリーが言ってたルッキーニの変なポーズは奥様会議で決まった"せくしーぽーず"です。
会議終了後さっそく使ったルッキーニでしたが、シャーリーはそのセクシーさに気づきませんでした。
エイラとトゥルーデがあの2人を抱きしめることができたかはご想像に。

書いてて思ったけどもっさんとトゥルーデ口調が似てる…。そして宮藤が空気…。ごめんよ…。
そういえばもっぺり要素もこの中にはないな…。ペリーヌごめんよ。

仕方ないね。仕方ないから失礼します。
では。


355 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 22:23:20 ID:ZOkTWR61]
今日は久々に大豊作だな、読んでるうちに夜になってしまった。
>>314>>322>>329>>335>>342>>354全部GJ!!一度に読んだせいで脳内が百合色一色ww
どいつもこいつもニヤニヤさせてくれよって、感想書くのが追いつかないじゃないかー。

>>329
長いことそのジャンルに浸ってるとどこからどこまでが常識だかわからなくなるのはよくあることw
むしろそういう濃いモノをきちんと書けるところに憧れますね。だから氏の作風はそれでいいと思っています。あくまで個人的にですが。

ついでに転載。これ↓描いた人、勲章あげるから出てきなさい。
ttp://hirame.vip2ch.com/up/hirame023295.jpg

356 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 22:27:55 ID:G2ua1XYj]
>>354
リーネちゃんは…

357 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 22:43:07 ID:7b++TU2n]
>>347
まず、読んでくれてありがとうございます。
あんなものでも読んでくれた方がいた事がわかって、今すごく感動しています。
曲はaikoの「初恋」で正解です。

あと職人のみなさんGJです。




358 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 22:44:28 ID:1ZAzVhJa]
元352です。リロードを忘れたら割り込みになってしまいました。
LWqeWTRG様、申しわけありませんでした。

そして、旦那様会議、最高です。
エイラの妄想が純情すぎて、でも、それがまたエイラらしくていいと思います。

>>329&355
私もzet4j65z様の作品は好きです。
バレンタインハンターもとても面白かったです。
自分はろくに考証もしないSSばかり書いているので、
こういう風に知識に裏打ちされたものが書ける方には憧れますね。

解説は作者様が必要だと思う範囲ですれば十分なんじゃないでしょうか。
むしろ、あんまり解説だらけになっても無粋ですし。


359 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/17(火) 22:49:18 ID:MNE385ad]
LWqeWTRGです。
レスありがとうございました。

>>356
えーと、登場でしたら前作「501会議室」に登場させました。保管庫0795です。
奥さんです。
芳佳はおっぱ好きなので抱きついていろいろすると思います。

>>358
割り込みとか気にしないで下さいw
勝手に投下して逃げてるだけですからw
感想、ありがとうございます。

再び失礼しました。では。


360 名前:356 mailto:sage [2009/02/17(火) 23:11:05 ID:G2ua1XYj]
>>359
スンマセンでした。
前作から通して見て楽しませていただきました。



361 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 00:00:03 ID:P5IOQi8D]
>>532
「コイスルオトメ」の歌詞を検索してみたらこれはやばいエーゲルすぎる。
ちなみに自分はBUMPの「embrace」という曲をエイラーニャにあてはめて聴くのがマイブームです。
一旦そういう思考にはいってしまうともうその曲をそんな目でしか見れないから困る。

しかし今日の投下ラッシュはすごすぎます。今からありがたく読ませていただくので、
お先に全ての職人さまへ「GJ」をおくらせていただきます。最高だこのスレ。

362 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 00:11:51 ID:UzVP5I27]
やっぱJPOP好きが多いのかなこのスレ。
俺はメイデン聴いてるとストパンの空中戦が思い浮かぶのだがw

363 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 00:23:08 ID:mV0aGljn]
エアロスミスの「I Don't Want To Miss A Thing」をエイラーニャで

364 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 00:46:41 ID:0QVv5ba5]
職人の皆様GJ! 流れ速過ぎてGJが追いつきません(><;

ところで、SS書いてたら素のテキストで50kb行きそうなんだけど
素直にうpろだに上げた方が良いですかね?
オススメのうpろだとか有ったら教えて頂けると有り難いです。

365 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 00:58:00 ID:XeT+T7kg]
>>364
1回でまとめて投下せずに数回に分けてみるとかでもいいんじゃないかな。
良いところで切って読者を生殺しにしてみるのも一興かと。

366 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 01:04:49 ID:XeT+T7kg]
連レス失礼。
うpろだならttp://www.axfc.net/uploader/のHeliumとかいかが?

367 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 01:06:47 ID:0QVv5ba5]
>>365
レスどうもです。
どばーっと一気に流すと読む方々が疲れちゃうかなーと思った次第で。
しかし、生殺しですかw 検討します。
まだ未完成なので、まずは詰めを急ぎます。

368 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 01:07:39 ID:0QVv5ba5]
>>366
うpろだ紹介ありがとうございます。
検討してみますね。情報サンクスです。

369 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 04:13:30 ID:uvzUdKhF]
バレンタインは思ってたよりネタ少なかったな
pixivとかでも

370 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 08:48:20 ID:w+ydRoAu]
>>369
貴官は一体あとどれだけ盛り上がれば満足だというのだね?
私はお腹一杯過ぎて死にそうなんだが。

どっちかっていうと竹井少尉の方が深刻だよorz



371 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 09:12:16 ID:EG/FkIEP]
Osqなんたらさんのさかもと乙女塾シリーズを読んでて思ったんだけど
元ネタらしい魁男塾では男達があんなことやってんの?ガチホモ漫画過ぎるよ

372 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 10:24:49 ID:WKKLgRu+]
レンちゃん×芳佳が足りないです!






……ごめん調子のった

373 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 11:01:27 ID:28KDiG0P]
レンちゃん×芳佳は十分アリだと思う
トゥルーデに気にかけられている芳佳に嫉妬するレンちゃんだけど
芳佳が屈託なく話しかけてきていつのまにか仲良くなっちゃうとか

374 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 11:19:38 ID:fNOV3aRA]
ttp://sankei.jp.msn.com/science/science/090217/scn0902171421005-n1.htm

科学的に何かあるのではと言うことで、色々考えてしまうトゥルーデ
そこへエーリカが

おっと、続きは

375 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 11:22:29 ID:EG/FkIEP]
そういや超久しぶりにここ以外のストパン関係スレ見て知ったけど
ヘルマって他のとこでも人気らしく
見事に変態達の毒牙にかかっておもらしキャラになってるんだよな

外の世界はこわいです外の世界には出たくありません俺はここだけでいいですと思った

376 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 11:52:21 ID:ijClWTn/]
>>375
おもらししたヘルマのズボンを換えてあげる、
おねえちゃんが頭に浮かんだじゃないか、どうしてくれる!!

ところで、ここは、エロいのどこまでありなんですかね?
個人的には、スカトロ(小) までは、
ありだと思ってたんですけど……

377 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 11:58:02 ID:EG/FkIEP]
>>376
リーネ芳佳調教やダッチワイフ、乙女塾等のSS群がなんら問題なく許容されているのを見るに
「ふたなりじゃない」「男が出ない」「キャラが殺されたりしない」さえ満たしていれば
エロパロ板と同じくらいほぼなんでも有りな気がする

378 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 12:05:07 ID:wMDWhxD+]
>>375
安心しろ、すぐに公式設定になるさ
エーテル噴流式ストライカーならぬショワァァー(ry

379 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 12:21:02 ID:FaKvsPwg]
>>377
非エロなら再起不能とか死亡でも受け入れられてる気が。
でも死姦は勘弁な。

380 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 12:31:11 ID:EG/FkIEP]
>379
あーそういや確かにゆりたまごさんのやつとかにも死ぬの普通にあったな
個人的に死ぬ系の話は男にやられるとかよりも精神的に来るからキツイが

んじゃこのスレ的には死亡もアリだろうな



381 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 13:02:27 ID:w+ydRoAu]
注意書きとsage、そして百合を愛する心さえ忘れなければ何でもアリよ!リネ芳調教シリーズ大好きなんだぜ。
鬱モノは特に注意書き忘れがちだから気を付けないとな。ちょっと過剰なくらいがいい。

ところで芳ーニャ派の私としてはヘルマみたいに元気そうな子を見ると、
つい条件反射的にヘルーニャを妄想しちゃうわけだが同志は居らぬのか。

382 名前:zet4j65z mailto:sage [2009/02/18(水) 13:05:25 ID:s84LU3vs]
>>342萌えた。>>335>>354仕事中フイタ。つまりまとめてGJです!

>>355>>358 ありがとっす。
また自分でやっちゃったかな〜と思ったときにはちょっと解説を入れてみたりします。
ちなみに、地形を確認するために地図を開いてWikiを確認してってやってるうちに時間が流れます。
SSがすすまない〜誰か助けて〜。
せっかくだからわかりにくいネタ振りをしてみる。
『重傷を負った美緒が欧州戦線を離れ一時帰郷する時、醇子は美緒に贈り物をした。
 それはトラの刺繍入りのベルト(注ベルトの定義はサーニャの服装を参照)
 「トラは一日で千里を行って戻るわ。だからこれをあなたに託すの。早く戻っていらっしゃい」
 「ああ、約束するよ醇子」』
ビジュアル的になんか似合いそうな気がしないだろうか? トラの刺繍入りベルトをつけたもっさん。

>>音楽
エースコンバットを中心にSTGのサントラをかけてることが多かったりします。
特に空戦シーンとか書くときには欠かせないかも。
JPOPはあんまり聞いてないなぁ。

>>ヘルマ
世の中みんな炉なのかぁ……。自分の好みだとボーイッシュとか、眼鏡巨乳とかなんでがんばって綾香とハイディ書くですよ。
まぁ、行き詰ったんでこうして雑談に参加しにきてるんですがw

383 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 16:39:01 ID:EG/FkIEP]
ttp://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/news/1234938506/
ttp://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/moeplus/1234489906/

ゴンゾでの2期の可能性は無くなったな

前にも誰かが言ってたけどこの作品いろんな意味でいつ台無しにされるかわかんないから
正直このまま2期無しでOVAやアンソロ展開とか呑気にやってくれたほうが気が楽だしいいかもしれん
新キャラ?フミカネブログで充分だろ

384 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 16:46:52 ID:yvaw/K1W]
正直このスレとフミカネブログがあれば満足だなぁ
2期が始まっても追い切れない気がする


385 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 16:50:46 ID:wDVZ4jau]
3月頭には小説出るし、いらん子もゲームもキャラソンあるしね。
一年は持ちますよ。

386 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 17:54:19 ID:pMsvW2ak]
それ以上持ってくれると嬉しい

387 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 18:05:58 ID:/sVhqlLs]
まあいまだに極上生徒会をあきらめていない(!)俺としては、ストライクもずっと待つけどね
とりあえずはいらん子、乙女の巻、キャラソン、DVDを見返したり…あとはもちろんここがあれば当分大丈夫

388 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 19:07:43 ID:WPgD1GLf]
正直このアニメ追うのは色んな意味で疲れるから二期は無くても俺はいいな
公式アンソロとかは出して欲しいがね

389 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 19:08:18 ID:/4WvQ+gk]
極上は・・・。
コナミの商品展開とか見てるとゲーム版>アニメ版って感じだしね・・・。

390 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 19:43:46 ID:r1TSNc7x]
あんまり売れないと言われる百合風味の作品では
珍しく一般的にも売れた作品なのに勿体無いなぁ



391 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 20:16:28 ID:kdoPtxEV]
コミック版買ってないんだけどどうなの?
百合スレ的な意味で。

392 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 20:43:23 ID:y7AazYbO]
百合は皆無だけど、竹井さん、五色、疾風のために買った
ゲルトさんが「〜だわ」って口調でワロタ

ぐらいかな
お金が余ってたら是非、ってぐらい

393 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 20:50:14 ID:4a0pLj47]
坂本さんの意外な一面が見れるぞ

394 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 20:53:28 ID:pg/l8EOt]
蛇を見て「ニョロニョロいやー!」と悲鳴あげてたな
しかし二期はどうなるんだろ
あんまりな出来になるようだったらいっそのことやらないで欲しいけど、このままの
クオリティを維持したままだったら見たいなぁ

395 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 21:13:07 ID:P5IOQi8D]
「10年は戦える」って言ってるくらいだしなにかしらの続編はあると思うけどね。
エイラーニャに関しての「あと二回化けさせるアイデア」ってのも気になるところ。

396 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 21:28:32 ID:WPgD1GLf]
商売的に考えたら出さないわけないけどな
DVDでスピンオフとかがいいが

397 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 21:31:17 ID:pg/l8EOt]
まさかのいらん子中隊をOVAで!
OVAなら行き過ぎた描写も無問題だな

398 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 21:43:25 ID:Ev1K479I]
ベストハウスでストパンのBGM流れたな
というか結構最近ニュースとかでも聴くよな

399 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 21:51:30 ID:AaJMDJ8p]
>>397
ああ、ばっちり原作通りでも無問題だ

400 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 22:06:56 ID:OzYCC6a0]
もっさんがカールスラントで頑張っていた時代も見たいです



401 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 22:16:07 ID:orvzPUnw]
なんかスレは盛況ですが、近頃48手が止まってるような。
つか>>73>>147が未投稿の手料理やプレゼントに該当してることに気づいた。ま、いいや。
そんなわけでOsqVefuYです。2本連続で48手いきます。
1本目は第24手「キス・ふとももに」。
ルッキーニとエイラとサーニャ。カプはよくわかりません。
3レスの予定。


 ルッキーニがドタバタ走って食堂に入ってきた。
 朝から騒がしいヤツダナ。
 いや、朝というにはもう結構遅いんダケド。
 サーニャにつき合っていっしょに寝てたせいで、すっかり朝食の時間は過ぎてしまっていた。
 そんなわけで、私とサーニャはみんなとは別に、遅い朝食を取っているところだった。
 つまり、食堂には私たちふたりっきり。
 なのに……なんダヨ、コイツ。
 私は冷たい視線でルッキーニの方を見た。

 ルッキーニはドアをバタンと閉め、背中をドアにピタッと添わせている。
 神経を食堂の外、駆けこんできた方に向けているように見える。
 誰かに追われてるのカ?
 私はそう、ルッキーニに訊こうとした。
「ルッキーニちゃん、おはよう」
 けど、それより前にサーニャがそう言って、それで口から出そうとしてた言葉は呑みこまれてしまった。
 私は少し、戸惑ってしまった。
「おはよ、サーニャ、エイラ」
 と、息を切らせたルッキーニ。
 もう“おはよう”じゃなくて“おそよう”な時間ダケドナ。
「どうかしたの?」
 サーニャがそう訊くと、ルッキーニはビクッと体を震わせた。
 サーニャの言葉で、じゃない。
 そうじゃなくて、向こうからドタバタとまた足音が聞こえてくる。おそらくそのためだ。
 やっぱり追われてるらしい。
「ゴメン」
 ルッキーニはそう言って私たちの方によってくると、テーブルの下にもぐりこんだ。
 そうして私たちのすぐ足元までやってきて、身をひそめた。

「ルッキーニを見なかったか!?」
 そのすぐあと、力強く開けられたドアから開口一番にバルクホルン大尉は言った。
 大尉の全身は水でずぶ濡れだった。
 きっと、ルッキーニのイタズラにでも引っかかったんダナ。
 私はチラリ一瞬だけ、テーブルの下に視線を落とした。
 ルッキーニは鼻先に人差し指1本立ててシーッとしている。
 まあ、私もイタズラは好きだし、コイツとは趣味の方向性も似てるし……
 ここは黙っててやってもイイカナ――と、普段なら思ったかもナ。
 ケド。
 ……オイ、ルッキーニ。
 オマエ、ずいぶん近くないカ? サーニャの足と。
 ナニそんなにひっついちゃってんダヨ!?
「ルッキーニなら――」
 ここにいるゾ、とチクろうとした声が、そのなかばで止まった。
 ふとももをぎゅっとつねられたからだ――私の隣に座る、サーニャに。
 私は顔をサーニャに向けた。
 サーニャも私を見る。その顔はちょっと怒っている。
 言っちゃダメ。目だけでサーニャはそう告げた。
 ……なにするんダヨ、サーニャ。
 これじゃ、私やサーニャまで共犯みたいになるじゃないカ。

402 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 22:17:37 ID:orvzPUnw]
「どうかしたのか?」
 私たちのつくってしまった不自然な間に、大尉はそう訊ねかけてくる。
「いや、えっと……ルッキーニになにかされたのカ?」
 なんとか私はそう言って、話をそらす。
「床に写真が落ちてるから拾おうとしたら、上から水が降ってきた」
 と、大尉は憮然と答えた。
 そういえば、大尉は水に濡れてへなへなになった写真を手にしている。いったいなんの写真ダロ?

「お前たち、なにをにやけてるんだ」
 私がニヤついていると、大尉は不機嫌に言ってきた。
 私は顔をまたサーニャに向けた。サーニャもそういう顔をしている。
 だって思うヨナ。まさかそんなベタなトラップに引っかかるなんて、って。
 それにしてもバルクホルン大尉って、こんな人だっけナ。
 前はとにかく生真面目で、隙がなくて、イタズラしてもあわててくれないツマンナイ人だったけど、
 最近はちょっとカドが取れてきて、その中途に堅物っぷりが逆に面白い。
 私は今のバルクホルン大尉の方がずっと好きだ。
 いつからだろう? 大尉がそういうふうになったのは。
 少し考えてふと、私はそのことに気づいた。
 そうだ、それはアイツが来てから――

 それに、この人だけじゃない。
 サーニャだってそうだ。
 さっきだって気さくにルッキーニに挨拶して、こうしてルッキーニが隠れるのに協力してやって。
 前はこんな積極的に、私以外の人と打ちとけてつき合うなんてなかったヨナ。
 アイツが来てから、少しずつだけど変わっていってる。サーニャも、バルクホルン大尉も。
 きっとそれは、いい方に向けて。

 じゃあ私はどうなんダロ?
 ふと、そんなことが頭に浮かんだ。
 私だって変わってるのカナ? 自分のことだしよくわからないナ。
 ――でも、変わりたいと思う。
 そういう気持ちが、私のなかにある。
 いや、“変わりたい”じゃなくて、“変わらなきゃ”ナ。いい方に向けて。

 本当はずっと気にしていた。
 気にしていたけど、改めようとか思わなかった。
 私はサーニャが誰か他の子と仲良くしたりするのを見ると、それをつい邪魔してしまう。
 私だけのサーニャでいてほしいという気持ち。独占欲。
 そういうところが、私にはある。
 でも、私のそういう気持ちが、サーニャのみんなと仲良くしたいって思いを邪魔しちゃってたんだ。
 ホント、ヤなヤツダヨナ私って。
 サーニャのためならなんだってしてあげたいとか思ってるのに。
 サーニャのことが大好きなのに。
 この気持ちをすっかりなくしてしまうなんてムリだし、なりたくもない。
 でも、ほんの少しくらい変わらなきゃナ。いい方に向けて。

「そんなことより、ルッキーニを知らないか?」
 と、大尉が訊いてくるので、私は肩をすくめて、そう言った。
「ルッキーニだったら、向こうの方に走ってくのを見たナ」

403 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 22:19:14 ID:orvzPUnw]
 そうしてまた、バルクホルン大尉は走っていってしまった。私が言った方に。
 ホント、朝から騒がしいヨナ。
 いや、朝と言うにはもう遅いんダケド。
「もう行っちゃったみたい」
 サーニャは小声で、足元のルッキーニに告げてあげた。
 ひとまずホッとするルッキーニ。
「じゃ、あたし行くね」
 ルッキーニはテーブルの下から出てこようと体を動かす。
 大尉の走っていった反対方向に逃げれば、そうそう見つかることはないだろう。
 ルッキーニはもぞもぞとこっちに近づいてきて――

「Grazia、サーニャ」

 ルッキーニはそう言うと、サーニャのふとももにチュッと軽くキスをした。
「ナ、ナニしてんダヨ!?」
 私は咄嗟のことに声をあげた。
 すると、ルッキーニはさらに――

「それにエイラも」

 そう言って私のふとももにもキスをした。チュッと。
 ズボン越しにルッキーニのやわらかい唇の感触。
 それはさっき、サーニャにつねられた場所だった。
 私の体は固まってしまう。
 そんな私にかまうことなく、ルッキーニはテーブルの下から出てきて、そそくさと食堂をあとにした。
 私は呆然としたまま、それを見送った。

 ルッキーニのヤツ……
 もし、サーニャも私もズボン越しにじゃなかったら、
 首根っこひっつかまえて、バルクホルン大尉のとこにつき出してやったんだからナ。
 アーア、やっぱり急には変われないナ――まあ、いいヨナ。少しずつで。
 でも、少しずつでも、ちゃんと変わっていかなきゃナ。
 私も、サーニャも、他のみんなも。
 変わってかなきゃ。いい方に向けて。



以上。カプどうすんだこれ?キスはルッキーニだしナ。管理人様、いつもすいません。
本当ならこのあとサーニャがつねったところを丹念に口と舌で慰めてあげるとこまで考えてたんですが、
その辺は皆さまのたくましい妄想力にお任せします。

もう1本は既出ですが、第3手「運命線重ねる」をいきます。
ペリーヌ支援でペリーネです。4レスの予定。

404 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 22:20:37 ID:orvzPUnw]
 その手は魔法のように見えた。
 料理にお菓子作り、裁縫にアイロンがけもこなす、リーネさんの手。
 まあ、なにか凝ったものを作ろうとしては、たまに失敗してしまうことはあるのだけれど。
 ガリアに戻って彼女とふたりで暮らすようになって、家事は彼女にすっかり任せきりだ。
 悪いとは思いつつも、ついそうしてしまう。
 だってイヤな顔ひとつせず、むしろ楽しそうにそれをしてしまうのだから。
 きっとリーネさんはいい母親になるんだろうな、なんてことをわたくしは思う。

「ちょっと背中いいですか?」
 わたくしがリビングのソファーでくつろぎ、読書をしていると、リーネさんがそう訊ねかけてきた。
「背中? どうかしたの?」
 わたくしは本から視線をあげ、彼女の方を見た。
「サイズがちゃんと合ってるか、たしかめたいんです」
 と、そう言う彼女のその手には、白い毛糸と編み棒、それと編みかけのセーターがある。
 秋も深まり、もうじき冬を迎えようとしている。
 空いた少しの時間を見つけては、リーネさんははせこせこと編み物をいそしんでいた。
 今もまた、そうして編み物をしていたのだろう。
「別に、かまわないけど……」
 わたくしはソファーにうずめていた背をあげ、彼女へと背を向けた。
 ただ背中を貸してじっとしているくらいなら、別にわざわざ拒むようなことでもない。
 リーネさんはわたくしの後ろによると、背中に編みかけのセーターをそっと重ねた。
「よかった。ぴったり」
「そ、そう?」
 もしかして、これはわたくしに……?
「たぶん、これで大丈夫」
 と、リーネさん。
 なにがたぶんなの? ぴったりなんじゃないの?
「ペリーヌさんって芳佳ちゃんと同じくらいの肩幅だから」
「あー、そうなの」

「芳佳ちゃんに送ってあげるんです。扶桑もやっぱり冬は寒いって聞いて」
 リーネさんはさらにつけ加えてくる。
 わたくしは憮然とそれを聞いた。
「そうだ。ペリーヌさんもいっしょに編み物しませんか。楽しいですよ」
「へ?」
 と、間のぬけた声を出すわたくし。
「それでいっしょに扶桑に送るんです」
 彼女はさらに提案してくる。
 が、わたくしにそんな気は一切ない。まったく。これっぽっちも。
 なぜあんな豆狸に、わたくしがそんなことをしてあげなきゃならないのか。
 それに、わたくしが編み物なんて……
「や――」
 やるなら、あなたひとりでやりなさい。わたくしを撒きこまないで。
 わたくしはきっぱりと断ろうとした。

「きっとすごく喜びますよ、坂本少佐」

 が、わたくしの言葉にかぶせてリーネさんはそう言いい、
 言いかけていたわたくしの言葉は呑みこまれてしまった。
 ……いきなりなにを言い出すのよ、この子は? 意味がわからないわ。
 わたくしは言いかけだった言葉を改めて、彼女に言ってやった。
 や――
「やってあげてもいいけど」

405 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 22:21:34 ID:orvzPUnw]
 そうして、わたくしと編み物との格闘が一週間続いた。
 いや、まだ続いている。終わってない。ぜんぜん進んでいない。
 マフラーなら簡単だからという彼女の言葉を信じたのが間違いだった。
 そもそもわたくしは、編み棒を持つのだってこれが生まれてはじめてなのだから、仕方がない。
 リーネさんはつききりで教えてくれて、それは丁寧なものではあったけれど、
 わたくしは一向にそれがうまくできずにいた。
 少し編んではぐちゃぐちゃになってほどくの繰り返し。
 三歩進んで二歩さがり、あるいは三歩、さらには四歩さがってしまうこともある。
 認めたくないけど、今となっては認めてしまう他はない。
 つまり、わたくしは不器用なのだ。

 わたくしに教える片手間にセーターを完成させ、さらにはもう一枚編みはじめている。
 でも、どうしてそんなに編んでいるのかしら?
 しかも柄も前のと同じだし。
 リーネさん本人が着るにはサイズも違うようだし、まさか同じものを二枚も送るつもりなのだろうか。
 気になりはしたけど、口にはしなかった。

「こう?」
「違います」
「じゃあ、こう?」
「そうじゃなくて」
 わたくしの傍らで、同じく椅子に座るリーネさんが、横からいちいち口を挟んでくる。
 一向にうまくいかないわたくしにも、彼女の熱心な指導は変わらない。
 けれど、そのことが逆に辛くもあった。呆れられでもしてくれた方が気が楽だった。
「そうじゃなくって――」
 彼女は言うと、椅子から腰をあげ、わたくしの後ろに立った。
「こうです」
 そしてわたくしの手をそれぞれ取って、少しだけやってみせる。
 そういうことに無頓着なのだろうか、背中に彼女の胸があたってくる。
 ……別に、彼女が気にしてないなら、わたくしが気にすることでもないけど。
 それより目の前のことに集中しないと――
 リーネさんの手が離れて、今度はわたくしひとりでやってみた。
「こう?」
 わたくしは訊いた。今度こそできたんじゃなくって?
「違います」
 が、彼女はそう言って首を横に振る。
 とうとうそこで、わたくしはキレてしまった。

「もうやめましょう」

 わたくしはそう言い、手にした編み棒を傍らに放り投げるように手放した。
 そもそもわたくしには、こんなこと向いてなかったのだ。
 はじめからわかりきっていたことなのに、それを彼女にそそのかされて――
 こんなこと、時間とエネルギーの無駄でしかない。
 わたくしはすっかり、癇癪を起こしてしまっていた。

406 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 22:23:05 ID:orvzPUnw]
「どうしてですか?」
 けれど、彼女は戸惑ったように訊いてくる。
 そんなこと、わざわざわたくしの口から言うことでもないでしょ。
 けれど、それでは腹の虫が治まらない。
「そんなのっ、ぜんぜんうまくできないからに決まってるでしょ!」
 わたくしは吐き捨てるように言った。それで少しはすかっとした。
「……あなただって、本当は呆れてるんでしょ?」
 気持ちを落ち着けて、わたくしは訊ねかけた。
 彼女にだって、いつまでも迷惑をかけっぱなしにするのもよくない。
 ――けれど、彼女はふるふると首を横に振る。
「そんなことありません」
「嘘おっしゃい」
「本当です」
 リーネさんはそう言うと、わたくしの前にやってくる。
「うまくできないのは、まだペリーヌさんがはじめたばかりだから」
 なにを言うのかしら? これ以上続けてうまくなるとでも?
 恥ずかしながら、とてもそうは思えない。
「最初はみんなそうなんです。私だってそうでした」
「……リーネさんも? あんなにうまいのに?」
「だって、もう十年くらいやってますから」
「じゅうねん!?」
 わたくしは思わず声をあげた。
 それが老婆の言葉であったなら別に気になどしなかったけれど、
 彼女はわたくしと同じく、まだ十代もなかばなのだから。
 十年――わたくしにはそれが途方もなく長い歳月に思えた。
 でもそんなものはやはり、わたくしにはなんの励ましにもならない。
 自分の十年後がどうなってるかなんて、わたくしにはとても想像がつかない。

「ペリーヌさん、私たちって背丈おんなじくらいですよね?」
 彼女はわたくしの元にしゃがみこむと、そう訊いてきた。
 なにかしら、急に?
 彼女の方が何センチか高いけれど、背の高さはそんなに違わない。
 わたくしは黙ってうなずいた。
「だったら――」
 彼女は左手でわたくしの右の手首を取り、そっと持ち上げた。
 そして右手で、固く握られていたわたくしの指を、一本一本を持ち上げるようにしてひらく。
 なにをするの、この子は……
 わたくしが戸惑っていると、彼女は右手のひらをそわせるように重ねあわせて、そして言った。

「ほら、私と変わらない」

 その言葉に、微塵の揺らぎもなかった。
 ドキリと一瞬だけ、わたくしの胸の鼓動が高鳴る。
 それを落ち着けて、そして思った。
 ……手の大きさがなんだというのか。
 それと器用さに関係があるのかしら? いいや、ないわ。
 けれど、リーネさんは上目づかいで、わたくしの目をじっと見つめてくる。
 わたくしはそれから、目をそらすことができない。
「きっとペリーヌさんにもできます」
 と、彼女は言葉を続ける。
「みんな、できるんです。ただ、途中で投げ出すか投げ出さないかだけで」
 未だ、わたくしたちは手のひらを重ねあわせている。
 なんだか、わたくしにも分けてもらっている気がした。
 リーネさんの手の持つ、手のひらの魔法を。

407 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 22:25:22 ID:orvzPUnw]
「だから諦めちゃダメです」

 どこかで聞いたようなセリフを、リーネさんは口にする。
 彼女はこんなことを言う子だったかしら。ふいにそんなことを思った。
 はじめて会ったころの彼女は、いつもなにかに怯えているようだった。
 それがまさか、わたくしにこんなことを言うようになるなんて。
 人はいくらでも変われるということなのかもしれない。

 みんなが同じわけない。
 当然だ。人には得手不得手がある。
 思いどおりなんていくわけない。
 やればできるとか、そんなものはただの綺麗事、欺瞞でしかない。
 ――けれど、やっぱりやってみよう。
 だって、こうして言われっぱなしも癪だから。
 そもそも、彼女にできることがわたくしにできないなんて、そんなことが悔しくなって、
 だからもう少し、悪あがきしてみよう。

「もう一度、教えてくれる?」
 わたくしは合わせた手のひらを離して、再び編み棒を手に取った。
 リーネさんは顔をほころばせて、はい、とうなずく。
 彼女が教えてくれるなら、たとえ今は下手でもかまわない。
 先生がいいのだ。きっとうまくいく。

「なにかうまくなる秘訣とかないの?」
 わたくしは訊いた。
「楽しみながらやれば、すぐ上達しますよ」
「楽しみながら……」
「はい。私、お婆ちゃん子だったから、お婆ちゃんから教えてもらうのが楽しくって」
「そういうものかしら?」
「ええ――ほら、好きな人といっしょだと楽しいじゃないですか」
 きっとそれが、魔法の手の秘密なのかもしれない。
 そうして彼女は、そう訊いてきた。

「ペリーヌさんは楽しくないですか?」

 ……なんてことを言うのかしら?
 わたくしはその問いかけに答えなかった。



以上。
お題クリアしてるかは微妙ですね。すいません。
どっちにも出てきませんが、ある意味で芳佳がよくやっているな、というお話。
きっとそういうのが主人公属性ってやつなのかなとか思ったり。
芳佳はよい主人公だと思う次第です。

つか>>377見て冷や汗かいた。
なかったことにしてほしいんですけど、ダメですかね?

408 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 22:46:26 ID:XNYPdHsP]
>>407GJ!!最近ペリーネの良さがだんだんわかってきた気がする。
> サーニャがつねったところを丹念に口と舌で慰めて
机ダーンてしちゃったじゃないかどうしてくれる。

なかったことにするって保管庫のを削除するってこと?
別に何かに違反したわけじゃないし、個人的にはどっちも好きだからいいと思うんだけどなあ……。
自分で納得できないって言うなら止めはしませんけど、一ファンとしてはとっといて欲しいところ。

ところで20日から公式で何かやるらしいですよ。ソースはフミカ姉ブログ。
百合的においしいのだといいなあ。

409 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 23:07:11 ID:/sVhqlLs]
>>397
一票入れさせていただこうかw

>>407
GJ!芳佳が隊員たちに与えたもの、ってすごく重要なポイントだと思うんだ
絶妙なタッチでそれを描くあなたはすばらしい…
最近ペリーネの魅力に目覚めてきた。家庭的なリーネと貴族なペリーヌ。
性格は正反対だけど、ふたりが共通して持っているものがある。それは、優しい心そして家族や故郷への大きな愛……
いいじゃない!いいじゃない!?

410 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 23:23:41 ID:EG/FkIEP]
>>395のエイラーニャを「あと二回化けさせる」って話の出典や詳細を教えてほしい
ていうかどう変わるにしても今のガチ一歩手前の絶妙な百合キャラのままでいいから
余計な改変とかいらないからやめてくれ公式さんと言いたい



>>407
なかったことにするなんてとんでもない気にしないでください
いいじゃないすか乙女塾とかダッチワイフとか
まあ正直に言うと乙女塾をリアタイで見てて
ペリに山芋だか自然薯だか突っ込んだ時は流石にやめろとキレそうに(ry



411 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 23:51:20 ID:iHy14bnw]
>>410
確か三巻の戦闘記録集だったと思う
俺は公式でエイラーニャをガチッと固めて欲しい

412 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/18(水) 23:51:29 ID:BYW+YUPB]
>>407
>>371見る限りギャクを認識する思考のない人もいると思えるが全員に受け入れられる作品など在るわけない
俺は処女膜貫通は問題なかったが>>410氏同様山芋は想像力が働いてNGだった
だからといって備考欄に山芋有りと明記するなんて馬鹿な話だ
最近読者の身勝手な注文が目立つが職人の方々には今後も自身の書きたい作品を投下していただきたい
>>2こそがこのスレの信念であると俺は信じている

413 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 00:02:27 ID:zVM+wrT0]
個人の嗜好は自由だが他人のアイデアを余計な改変・いらないと決め付ける言い草はいかがなものか
あと公式に物申すくらいのファンならDVDくらい買っても損はないんじゃないかな
ゴンゾが潰れて2期無い方がいいとか書き込んでる人に言っても無駄かもしれんが

414 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 00:13:03 ID:1ZegKoal]
>>407
自分は乙女塾かなり楽しみにしてますよ!
フツーに読ませるし
一時期のシャッキーニ連投の人のがオナニー丸出しできつかったよ




415 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 00:13:12 ID:i0joo+hV]
心から百合を愛していれば多少の個人の嗜好のずれなんかドウッテコトナイッテ。
嫌なものは見なかったことにすればいいさ。それが扶桑人の奥ゆかしさってもんだよ。

ところでこれは一体……。
ttp://2d.moe.hm/sw/img/sw0145.jpg
ttp://2d.moe.hm/sw/img/sw0146.jpg

416 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 00:13:38 ID:jkB5nZQR]
>>413
記録集の内容知らないだけでDVD買ってないにわかファン呼ばわりはないだろ
そう事を荒立てなさんな

417 名前:tZFzoRn+ [2009/02/19(木) 00:22:50 ID:rR/GE4/w]
>>415
wwwww
病み方が尋常じゃないww

418 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 00:29:17 ID:n3wUjy3v]
ツンデレの芳佳もアリかもしれない・・・ひだまりスケッチを見ててそんな事を思った冬休みの夜。

419 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 00:31:21 ID:uUqxCemy]
なんかどいつもこいつも一言多いな

420 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 00:41:03 ID:jkB5nZQR]
>>418
夏目ほどストレートでは無いけど芳佳もそれなりにツンデレしていた気がするんだけど俺の気のせいだろうか
頑固キャラのイメージのせいなのだろうか
さえさんは夏目とちゅっちゅせい



421 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 00:49:48 ID:bnQQ4vQv]
>>415
サーニャ

422 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 00:53:06 ID:bnQQ4vQv]
盛大にミスったスマン
>>415
サーニャ
「芳佳ちゃん、どうしてバルクホルン大尉やシャーリー大尉に夢中なの?
 やっぱり胸なの? 芳佳ちゃんには無いから?
 私だって無いよ? でもね芳佳ちゃん、胸は揉むと大きくなるんだって…
 一緒に大きくなろうよ…ね?」
〜〜〜
リーネ
「あはははは!芳佳ちゃん芳佳ちゃん!いつも私の胸ばかり揉んで楽しい?
 偶には芳佳ちゃんのも揉ませてよ!ね?それぐらいいいでしょう?
 芳佳ちゃんも私みたいに大きくなりたくないの?
 だったら私が毎日毎晩毎時間揉んであげる。戦闘中も訓練中も睡眠中もずっとだよ!
 あははは」


って妄想が頭を駆け抜けた

423 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 01:04:39 ID:n3wUjy3v]
>>420
しかし、芳佳はおっぱいに対しては誰彼構わず、デレデレしまくりだしなぁ。
個人的には夏目とかペリーヌとかあーいう一途な感じが好きだ。
一途キャラが願い適って結ばれるなんて美しいじゃない。

最後の一文に関しては同意だ。
しかし、さえさんには既に嫁がいるorz。

424 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 01:13:50 ID:jkB5nZQR]
>>423
デb(ryヒロさんは夏目にとって強敵なんてもんじゃ済まないよなあ
夏目に対するデ(ryヒロさんはこっちでいうペリーヌに対するミーナさんだな

425 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 01:14:08 ID:QFEAQT6d]
>>415
上はエイラを奪われると思ったサーニャが芳佳を調教するやつのか

426 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 01:28:47 ID:7XtN4gpm]
>>422
お前っ!!! なんて妄想を!!!
早くそれをssにしてここに吐き出さないと大変なことになるぞ!?
さあ早くssをかく作業に入るんだ!!!

427 名前:トゥルーデ撃墜部隊 mailto:sage [2009/02/19(木) 01:48:55 ID:GIuL2Cx5]
こんばんはー。
最近ヘルマショックで止まっていたトゥルーデ501+a全被撃墜を達成すべくペリーヌ×トゥルーデを投下します



428 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 01:49:41 ID:GIuL2Cx5]

たまたま通りかかった食堂に妙な空気が流れていた。
というか、ある一名がその空気を放っていた。

その時食堂にいたのは三人。
キッチンで料理をする宮藤、坂本少佐。

そして二人を少し遠くから見つめるペリーヌ。
言わずもがな、ぴりぴりした空気を放っているのは彼女だ。
まぁ、気持ちはわからんでもない。
宮藤が少佐に料理を教えているらしく、二人の距離は物凄く近かった。

「このくらいか?宮藤」
「はい、あっもうちょっとお塩を入れたらいいかもしれないです」
「ふむ……うん、美味いな。料理の腕に関しては宮藤はエース級の腕前だな」
「えへへ…ありがとうございます」

穏やかに微笑みを交わす二人は、心の距離も近そうだ。
ペリーヌが嫉妬するのも無理はないだろう。

そろそろいつものようにペリーヌが爆発してしまうのではないか、と思いどうしようか迷っていると…

「……」

ペリーヌは、何も言わずにくるりと二人に背を向け、こちらに向かって歩いてきた。そのまま私の脇を抜け、食堂を出ていった。

「あ、…」

声をかけそびれてしまった。
宮藤たちはどうやら気づいてないらしい。
私は少し迷ったが、ペリーヌを追いかけた。


429 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 01:50:56 ID:GIuL2Cx5]
「ペリーヌ…」
「あ…バルクホルン大尉…」

ペリーヌは展望台にいた。少し風が強く、雲一つない満天の星空だった。

「先程は申し訳ありませんでした、挨拶も無しに…」
「いや、気にするな」

月明かりに照らされたペリーヌは、少し目が潤んでいるように見えた。

「…なんだか悔しさを通り越して、見ていられなくなってしまって…我ながら情けないですわ」

そう呟く姿は、普段の強気な彼女とは思えないほど寂しげで。
いじらしくて可愛らしく思えた。
貴族らしく上品に振る舞っている彼女も年下の少女、つまり私にとっては妹だ。
ここは姉として元気付けてやらねばならない。

「こんな所にいては風邪を引いてしまうぞ。少し私の部屋にこないか?何ももてなしはできないが…」
「え…よろしいのですか?」

ペリーヌは顔を上げると、微笑んでくれた。
なんだ、エイラの「ツンツンメガネ」という形容はなかなか合っていると思っていたのに、笑うととても可愛いじゃないか。
妹決定だ。リストに加えておくとしよう。

「ああ。では、行こうか」

顔がにやけないように注意しながら、私たちは展望台を後にした。



430 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 01:52:09 ID:GIuL2Cx5]
ペリーヌを部屋に入れベッドに座らせ、私は軍服の襟元だけボタンを外した。
本来ならこの時間はもう軍服を脱いでしまうのだが、客人がいる手前それは出来ない。
なんでも話を聞くぞと告げると、ペリーヌは少しもじもじしながらも口を開いた。

「大尉は、その…嫉妬ってされた事はおありですか?」
「嫉妬、か…」

そうだな、いつだったかクリスがミーナになついているのを見て……いやこれは何か違う。
ペリーヌが言う嫉妬とはつまり、色恋に関しての事だろう。

「…嫉妬、する事はあるぞ」
「え…本当ですの?」
「ああ。…あいつはわざわざ私が引っ掛かるような行動を取ったりするからな」

愚痴のようにそう溢すと、驚いた様子だったペリーヌがふわりと微笑んだ。

「大尉は、本当に中尉の事を想っているのですわね」
「!い、いや…その…」

うう、私が赤くなってどうする!相談に乗っているのは私だというのに!

「私…宮藤さんが来てから、初めて嫉妬というものを覚えましたわ。少佐は中佐とも仲がよろしいですけど、そこは佐官同士ですしと割り切れました。私も中佐のような立派なウィッチになれるように努力すればいつかきっと、と…」




431 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 01:53:18 ID:GIuL2Cx5]
私は黙って話を聞いていた。ペリーヌがこんなに内面まで話しているのを見たのは初めてだ。

「宮藤さんが悪い子じゃないのはわかっているのですけど…少佐と一緒にいるのを見てしまうと、つい…はぁ、本当に情けないですわ」

ペリーヌは頭を垂れてしまったが、私は暖かい気持ちになった。
良い子じゃないか、ペリーヌ。ただ少し不器用なだけで、優しい少女なのだ。

「嫉妬するのは恥ずかしい事ではない。それだけ想いが大きいという事だ。情けないと自覚しているのなら、無理せずゆっくりその想いと向き合っていけばいい」
「大尉…」
「しかし今夜くらいは甘えてもいいだろう。なんなら私をお姉……いや、少佐と思ってくれて構わない。彼女程の人物ではないがな」

そう言って微笑むと、ペリーヌは頬を赤らめながらも私に抱き付いてきた。ふわふわの金髪を撫で抱き締め返してやる。
よしよし、お前はいい子だなペリーヌ。お姉ちゃんがついててやるからたくさん泣くといい。

……ん?
なんだか背中が柔らかいぞ。あぁ、ベッドか。いや待て、私たちは体を起こしていた筈だ。
というか、何故天井が視界に入っている?少しお腹が重いのはなんだ?


432 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 01:54:37 ID:GIuL2Cx5]
軽くパニックになりかけたが、つまり…私はペリーヌに押し倒されたようだ。
……ってちょっと待て!!

「ペリーヌ、どうし…」
「私…私、少佐とずっとこうしたかった…」

ペリーヌはそう呟き、私の首筋に顔を埋めた。
思わず「えぇぇーっ!!?」と叫びたくなるような衝撃だ。てっきりペリーヌは…その、少佐の「姫」的存在になりたいのだと思っていたのに。

「少佐…ん…」
「ぁ、ペリーヌっ…」

ちろちろと首筋を舐められ、右手が私の胸に伸びてくる。空いた左手は器用に軍服のボタンを外していた。

予想外の展開すぎる、一体どうしたら…!
しかしここで寂しがっている妹を突き放す事などできない。…でもこのままされるがままというのも…

「んぁっ、う…!」

考えてる間に前がはだけさせられ、まだ小さめの手が直接胸をまさぐった。

「ペ、リーヌ…ぁ、だめだ…」
「はぁ…坂本少佐ぁ…」

どうやら私の声は届いてないらしい。
ついに片手が下腹部に降り、ズボンの上から秘部を擦り始めた。

「うぁっ…」

ひゅっと息を飲み喉が仰け反る。ペリーヌの指使いは、まるでピアノでも弾くかのように滑らかで繊細だ。そこから生まれる快感に、私の体は言うことを聞かなくなっていった。


433 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 01:55:52 ID:GIuL2Cx5]
「ぁ、あ…っ…」

つん、と指先が肉芽をつつき、思わず高い声が漏れた。
ペリーヌはそこには直接触れようとせず、薄い布越しに適度な力で刺激してくる。まだ、(彼女の中では少佐に対してだが)躊躇いがあるのだろうか。

…しかし、恥ずかしい事に私は…

「や、あっ…いや、もっと…」

ダイレクトでない刺激にもどかしさを感じ、自分でズボンを脱いでしまった。
散々慣らされているせいだ。私は悪くない、悪いのはあいつだ。そう自己暗示をかけながら、ペリーヌの手を取り秘部に触れさせる。

「あ…」
「んあぁっ、ぃ…あぁ…!」

ペリーヌは驚いた様子だったが、すぐに我慢が切れたように私のそこを愛撫し始めた。

「少佐、少佐…はぁっ…」
「やっ…だめ、もぅ、あ…あぁんっ…!」



―――

「…はっ!」

私が気が付くと、まだ夜中だった。
隣ではペリーヌが、脱げかけた私の軍服を掴んで眠っている。

「…さかもと…しょうさぁ…むにゃ…」

幸せそうなあどけない寝顔。先程までの事が夢のように思えた。

「…おやすみ、ペリーヌ。良い夢を」

そっと額に「少佐から」のキスを落とす。
全く、仕方のない妹だ。




…翌朝、エーリカに「浮気だ」と言われ酷い目にあったのは別の話だ。


434 名前:トゥルーデ撃墜部隊 mailto:sage [2009/02/19(木) 01:56:53 ID:GIuL2Cx5]
おしまいです。
あとはリーネを残すのみ。自己満ですがお付き合いいただけたら嬉しいです

お目汚し失礼しました

435 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 02:07:59 ID:x8phUWR9]
どうもこんばんは。mxTTnzhmでございます。
職人の皆様GJ! 流れが速くて追い付けないです(><;

>>434 トゥルーデ撃墜部隊様
GJ! 着実に撃墜数を伸ばしていますね。そして撃墜されるお姉ちゃんw


さて、今回は長くなったのでうpろだを使いました。
ナイスなうpろだを教えて頂いた>>366氏に感謝。

ヘルマを書いているうちに長くなりました。
ちなみに今回も、相変わらず保管庫No.450「ring」続編になります。
その他解説等はtxt内の文等をご参照下さい。
ttp://www1.axfc.net/uploader/He/so/197366.txt

慣れないうpろだ使用ですが、ご笑覧頂けると幸いです。

ではまた〜。

436 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 02:09:39 ID:x8phUWR9]
肝心な事書き忘れたorz

パスは
sw
(半角小文字)ですので宜しくお願いします。

ではまた〜。

437 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 02:27:23 ID:ec96JWrk]
OsqVefuYです。レスくれた方ありがとうございます。
なにやらいらぬ誤解をさせてしまったみたいですが、保管庫から削除とかそういうことでなく、
ただ皆様の頭のなかでなかったことにしといていただければ……ってことが言いたかったんです。
こっちの方が図々しいですね。すいません。
ネタっぽいものというのは書いてて超楽しいんですが、限度の見極めがとても難しく、
やりすぎてはいけないし、かといって無難なものにもできないといチキンランなんです。自分のなかで。
本当なら、そんなんでよければいくらでも書けるんですが、
(明日のサーニャとかリベリやんとか踊る!エルマ御殿とかご愁傷さま宮藤さんとか)
そんなのばっか書くのはどうよ?っていう……
だからたまに、真面目に書いたりもするんです。苦手なんだけど。

なんだか延々と愚痴を書いてしまいましたが、
とどのつまりなにが言いたいかっていうと、これからも頑張ります!ってことです。

>>434
GJ!ペリーヌかわいいよペリーヌ。
途中まではお姉ちゃんカッコイイのに、やっぱオチはこうなるんだよな。
全機撃墜楽しみにしてます!

>>435
今からPC立ち上げるのはきつい……あとでじっくり読ませてもらいますね。

438 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 02:54:48 ID:jkB5nZQR]
>>435
これは素晴らしいエーゲルメインのオールキャラ
ビール3杯の話は読みながらもしやと思ってたらやっぱりアレかwww
酔わせてもゴニョゴニョできないヘタレエイラクオリティ

>>437
今の携帯zipも落とせるらいっすよ

439 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 03:50:22 ID:syMBPgEH]
>>435
頑張りすぎだろwなげえw

440 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 06:25:14 ID:sBIalYuK]
>>434
受け受けしすぎるぜお姉ちゃん。だがそれがいい!
でもペリーヌが切ないのう。誰かペリーヌがとってもしあわせになるSSを…。
というと言いだしっぺの法則がここでは成立するようなのでプロットを考える作業にはいろう。

>>435
とても面白かったです。何回かに分けるつもりだったのについ一気に
読んでしまいました。ヘルマさんには是非ひとすじでいてもらいたいね!
しかしここに来るまではエーゲルなんて考えもしなかったのにもうだめだ、
最近すっかりゲルトのことが好きなエーリカに夢中になってる。



441 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 07:10:08 ID:jkB5nZQR]
おはよう皆さん
今日が始まったばかりなのに明日の事について話すのもなんだが
明日から公式でフミカネがやる面白いことってなんなんだろうな

鈴木さんや謎の紳士Xが絡んでいるならまだしも
公式で、フミカネがやるって話だから百合的には対して面白くなさそうだが

442 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 07:27:28 ID:DU1RC3dq]
フミカネはロリコンのローレグ好きなだけで、
百合スキーではないんだ?

443 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 08:01:18 ID:jkB5nZQR]
>>442
さらに言うと部位欠損や鬱設定も大好きなド変態で
気に喰わなかったゲームのディスクを真っ二つにしてその写真をブログにうpするくらいのマジキチ(ryまあ百合好きではないよ

こんだけ言ったけどまあ嫌いじゃないさ、彼がいなきゃこの作品のステキなキャラ達は生まれなかったわけだし
でもウィルマさんとディスク真っ二つは許さない絶対にだ

444 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 09:18:48 ID:q5FEbDpW]
まぁ、クリエイターはキチじゃねーとやってられない職業ですから

445 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 09:38:06 ID:eNAOMb+g]
>>443
まず落ち着こう、話はそれからだ。ウィルマさんは同意だが、
エスコンの件はもう許し(ry

446 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 10:18:41 ID:Og8zFA8m]
股間やフミカに仲間意識は持たないほうがいい
向こうは飯のたね作ってるだけなんだから

447 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 10:55:47 ID:RfvTbfbm]
似たような趣向(しかもニッチ)持ってる時点で仲間と言えなくも無いが
予防線張り過ぎるのもどうかと、まあフミカネは百合好きというより
"百合っぽいシチュも好き"みたいだけど

448 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 11:11:29 ID:Of0LdxBe]
しかし敢えて飯の種となるファンが嫌がることをこれ以上するわけもないだろう
百合は匂わす程度でも男を出さなければいいよ

449 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 11:29:17 ID:JZpQLkd3]
俺は公式サイト更新担当に期待するのみだ

450 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 11:43:46 ID:lWHddOjb]
公式サイト更新の人が最近ないしょの基地探の人のように思えてきた



451 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 11:49:49 ID:eNAOMb+g]
>>450
取り敢えずお前も落ち着こう

452 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 12:31:18 ID:UTL2TcG7]
心を静めて妄想に励めばなんか面白いアイディアも湧くかもよ?

453 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 13:12:11 ID:N6+5XVI1]
フミカネは見た目はフツーの人らしいね。初顔見せの時鈴木氏は『どんなキモオタが登場するのか(要約)』と内心ドキドキだったらしいが。その鈴木氏は普通のキモくはないお宅っぽい風貌なのだが

454 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 13:20:07 ID:NQxHr3AB]
第五〇一統合戦闘航空団全記録

455 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 13:21:42 ID:X/x8fYcP]
まあ公式がどうでもこっちはいつもみたいに百合妄想に励もうぜ
明日になるまで何が起こるかわからないし




ということでレンちゃん×芳佳の可能性について語ろうぜ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


456 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 13:22:21 ID:NQxHr3AB]
すまん先走った・・・

第五〇一統合戦闘航空団全記録はひとまとめにして一冊の本として出ないのかね。
名前しかないようなキャラにも詳細な設定付け加えてフミカネが絵描いて出せば売れそうな気がするんだが。
これとCDのためだけに限定版買うのは財布に厳しすぎる・・・

457 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 13:41:35 ID:eNAOMb+g]
まぁそれとCDのためだけに限定版買ってる人は居るわけで。
かくいう私もその一人です。

458 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 13:48:18 ID:X/x8fYcP]
そして私もその一人です


459 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 13:51:02 ID:OWlS5mzf]
最近エーリカがゲルちゃんに困らされるのもいいなあと思えてきた
トゥルーマン?ゲリカ?

460 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 14:42:19 ID:eNAOMb+g]
個人的にはゲルトに責められて顔真っ赤にしてるエーリカがみたいです
いつもゲルトを挑発するエーリカ。
だけどある時理性を抑えられなくなったゲルトがエーリカを突然押したおしちゃうんですよ
それで予想外のエーリカは顔真っ赤にしてやめてトゥルーデって叫ぶけど
もうゲルトは止まらないワケで私は真っ昼間から何考えてんのかね



461 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 14:44:48 ID:aGvAszoS]
ゲルトマン?バーリカ?

462 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 14:51:24 ID:i0joo+hV]
>>455
お前昨日もいなかったかw
ヘルマは元気良さそうだから芳佳と組んだらテンション上がりまくりなんじゃないか。
そんで色々あってトゥルーデを取り合いするんだけど、いつの間にか芳ヘルで落ち着くという電波を受信した。

どうでもいいけどレンちゃんって略称はどうなの?なんかいまいちしっくりこない……。

463 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 14:54:26 ID:Uin/o2Co]
レンってへるまん?

464 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 16:14:23 ID:ZGYlrlei]
>>460
中の人のせいか、お姉ちゃん=夜々、ハルトマン=蕾で再生された。

攻める時のお姉ちゃんはヘタレ攻めっぽいよな。

465 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 17:11:32 ID:ekPmFBXc]
>>462
まあ俺しかたぶんこれ主張していないからねw

レンちゃんはただ単に打ちやすいからこうかいているだけで
なんかヘルマと呼ぶと違う奴を思い出してしまうし、レンナルツってうつのめんどいしさw



466 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 17:17:07 ID:RfvTbfbm]
>>465
あなたが泉に落としたのはこの「ヘルマン・ヘッセ」ですか
それともこちらの「ヘルマン・ゲーリング」ですかな?

フミカネの画像タイトルもren.jpgだったしねぇ

467 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 17:21:30 ID:JZpQLkd3]
>>464
pixivとかでゲルト総受けの絵を描いてる人の影響で、ヘタレ攻めにしか見えなくなった

468 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 17:23:29 ID:eNAOMb+g]
>>464>>467
凛々しくエーリカを責めるお姉ちゃんが見たいのに…
もうお姉ちゃんはヘタレ責めで確定しているのか…ッ

469 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 17:38:51 ID:BtjUKhcK]
ミーナ隊長にやさしくリードしてもらうお姉ちゃん・・・エロゲーでありそうなシチュエーションだw。

470 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 20:31:46 ID:4PSKX7qq]
>>435は保管庫に保存されるかな
最近PC使えないから見れないよ



471 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 21:10:08 ID:FjXkv9ra]
>>466
まあ結局は自分が一番呼びやすいのが一番ということですね!!!

次はこの二人のカップリングの呼び名を考えなくては…

472 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 21:52:25 ID:NwtHpU9Q]
>>469リードしてもらって、手馴れてきて、けど結局…ってのが理想

>>470保管庫管理人さんはココに上がったものは美味しく保管してまっせ

473 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 21:54:17 ID:cnvdWD/4]
>>467
詳しく話を聞かせてもらおうか

474 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 23:35:21 ID:qSRir2ey]
>>460
最高。
不意に攻められてあたふたあわあわなエーリカとかね!
予想外にトゥルーデの攻めがうまくてちょっとくやしくなったり、でもそれより恥ずかしさの方が勝るわけで、でもやっぱり身体は正直…
んで、自分のなかにいろんな自分がいることに気付くんだな。
このまま素直にトゥルーデにされたいって気持ちと、こんなにあっさりトゥルーデに主導権わたしちゃうなんて…!って気持ち
複雑に入り組む感情、そして葛藤。ただ、トゥルーデが私だけを見てる、それだけでいいじゃないか……


正直自分でもなに書いてんのかわからんw

475 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 23:41:29 ID:wdXiXHmu]
>>474
とてもよくわかるw

476 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/19(木) 23:53:33 ID:eNAOMb+g]
>>474>>475
賛同者が…!!アンタ達も最高だぜ…w
でも自分には妄想は出来ても文章には書き起こせないから
ただひたすらに妄想しながらそんなSSを書いてくれる人を待つだけだ!w

477 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 00:11:38 ID:WqkMQjzG]
公式くそ重いwww
と思ったら重大発表か……

478 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 00:15:51 ID:G/3qE4RQ]
これは…二期…!

479 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 00:17:39 ID:p5N+8rO2]
なん・・・だと・・・?
kwsk!

480 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 00:27:14 ID:ZFynS5zh]
>>479
27日に重大発表っつってカウントダウンが開始
ラッセルの肩透かしみたいな件もあるし、今ゴンゾがめちゃくちゃゴタゴタしてるし
本スレでは皆散々騒いでるが、二期発表は希望的観測過ぎると思うんだがな…



481 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 00:28:22 ID:jx2Aw0oB]
シャ「夢を追わなくなったらry」


482 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 00:33:22 ID:ZFynS5zh]
いやシャーリーの言うことはごもっともだけど
まず「20日に」なんかやってくれるのかと思っていたのに実際になんかやるのは7日後って時点で自分的にはもう期待外れだったし…
そもそも自分は二期やんなくていいからドラマCDとかやってくださいよ派だから…

483 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 00:51:07 ID:nZ6BKWkc]
これで「股監督がリーネと結婚します(しました?)」とかだったら
笑いながら怒り泣く。

484 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 00:53:48 ID:fF8TM9Mi]
二期じゃなくていらん子OVA化とかだったら狂喜して豆腐の角に頭ぶつけてしぬかも

485 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 00:54:49 ID:mU/oUtTY]
アンソロジー発売(執筆陣→玄鉄絢・藤枝雅・林家志弦・宮下未紀・池田たかし・石見翔子・かずまこを)とか、
百合姫で連載開始とかだったら、嬉しくて死ねる。
まぁ、無理だけどw。


それより重大発表の日の翌日はペリーヌさんの誕生日ですよ。
ペリーヌともっさんが結ばれる方が自分にとっては重大だ。

486 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 00:58:37 ID:ZFynS5zh]
>>483
発表見てからDVD全巻真っ二つ余裕でした

>>485
林家さんしかわかんないけどとりあえずアンソロ出たら自分も泣いて喜ぶ
けどアンソロ発売を公式でカウントダウンしたりは流石にないだろうからなあ

487 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 01:00:26 ID:+7hHbzHq]
何か募集してたゲームのサブタイ発表っぽいぞ。

488 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 01:44:26 ID:JWeY7QWd]
>>485
そのラインナップでアンソロ出してくれたら墓まで持っていくわww

489 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 01:46:47 ID:CaC7u/h9]
>>485
このメンツなら10冊は買うwww

490 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 01:47:04 ID:ltujGeBj]
大穴:芳佳ちゃんの嫁が正式に発表



個人的にリーネちゃんじゃなきゃヤダヤダ



491 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 02:10:00 ID:oDwbplsx]
公式がどんな行動を起こそうともマイナーなカップリングではあはあしてる俺に隙は
なかった

492 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 02:15:28 ID:dF3ETLJn]
ありすぎるから泣けるw

この前シャー美緒に覚醒して以来この想いをどこにぶつけたらいいかわからない

493 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 02:17:09 ID:fF8TM9Mi]
>>492
そんなときこそSSに想いを全てぶつければいいじゃまいか!!

494 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 02:20:02 ID:ZFynS5zh]
>>492
その想いこのスレにぶつけてくれ
シャー美緒…想像つかん

495 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 02:41:38 ID:oDwbplsx]
キャラソンにドラマパートどうやらつくようで、公式カプはこれで補充できるのか

496 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 02:44:18 ID:Kpic1G23]
>>495
これダナ(・x・)
ttp://ameblo.jp/maitablog/entry-10211464598.html

リアル「無理ダナ」が見れただけでもいいやw

てかキャラソン買わないとダメなのか……金無いのにorz

497 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 02:46:49 ID:oDwbplsx]
>>497
ゲームも控えてるからかなりの搾取だよなw
まあドラマパートの出来次第だよなぁ…ブログ見る限りえいらにゃはけっこうガチくさいけど


498 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 02:54:07 ID:ZFynS5zh]
>>496
ついにneowing以外のソースが…つうかこれ正真正銘確定情報じゃん!!!門脇さんありがとう!

しかしまあ、秘め声の頃からどんどんサーニャは黒くなってるというか病んできてるというか…エイラピンチだなおい
放送期間中はエイラ→サーニャだったのに最近はサーニャ→エイラの様にしか思えなくなってきた

499 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 03:06:51 ID:GJflkBOm]
エイラみたいなのは奥さんの尻に敷かれるタイプだからな

500 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 03:12:10 ID:6206Gnjb]
愛があれば、どってことないサ
私もお金無いですけど、バイトして必死に貯めてますよ、ストライクのためだけに…

あー黒いサーニャ大好きです。弄られるエイラ大好きです。



501 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 03:45:06 ID:nZ6BKWkc]
>>498,500
エイラーニャよりサーニャイラ派の自分としては、黒サーニャは大歓迎です。
ドラマパートでサーニャが「サーニャさん崩壊シリーズ」ぐらい黒くても(?)おいしくいただきますw

……、てか、サーニャのいちゃいちゃアタックにキレたエイラ攻めも、
それはそれでアリなような気がしてきた。
つまり、サーニャとエイラがいれば世界は平和ってこった。

502 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 03:58:38 ID:6206Gnjb]
>>501
エイラがキレちゃってさーにゃんを押し倒すんだけど
勢い無くなって結局最後にはヘタレちゃうんですよね分かります。


503 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 04:14:16 ID:Kpic1G23]
しかし昨日今日とSS投下が少ない気がする……

と言う事は、明日のエイラの誕生日に合わせて皆何かやっていると
言う解釈で良いのかな?

504 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 04:36:56 ID:xieNhuD/]
きっと明日にはエイラーニャの絨毯爆撃が期待できるだろう。
そんな俺は文章が長くなりすぎて、今書いてる奴がさっぱり終わらない病にかかってしまった。
月末にはペリーヌの誕生日がくるのに!衛生兵!衛生兵ー!

505 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 04:38:01 ID:rglI8Q7q]
>>503
エイラさん関係のssで一スレ消費するのではないかと少し期待しているw


506 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 07:00:38 ID:ZFynS5zh]
「エイラのHAPPY BIRTHDAY SSは山のように来るだろうなあ…わたしと違って……ぐす…」
なんて言いながらしょんぼりしてるシャーリーを皆で慰める(いろんな意味で)501を夢想しながら二度寝

507 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 07:02:26 ID:k6Cdws3g]
エイラゴメン。
誕生日SSが間に合いそうにない。
諦めてマイペースに喫茶店でも書くか……。

508 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 08:10:13 ID:JoaDfQuR]
>>507
俺エイラさんじゃないけど待ってるわ

509 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 08:36:27 ID:Uv1J7R0+]
キャラソンはスルーしようかと思ってたが、少なくともエイラーニャのはみるからにガチっぽいな
買わざるを得ない・・・か

510 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 10:44:57 ID:cNbHymqy]
誕生日ぐらいはエイラーニャ書きたいんだけどネタが…いちゃいちゃじゃなくてもいいよね?
きっと書く事に意義があるよね?



511 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 11:03:11 ID:dF3ETLJn]
ここの住人、職人率どんだけ高いんだよww
これだけ「書かれる事が当たり前」として語られてるスレが今だかつてあっただろうか。
私も一本くらい書きたいがなかなか天啓が来てくれぬ。このスレにはSS分は豊富だが妄想分が足りない。

>>501
> エイラーニャよりサーニャイラ派
  `¨ − 、     __      _,. -‐' ¨´
      | `Tーて_,_` `ー<^ヽ
      |  !      `ヽ   ヽ ヽ
      r /      ヽ  ヽ  _Lj
 、    /´ \     \ \_j/ヽ
  ` ー   ヽイ⌒r-、ヽ ヽ__j´   `¨´
           ̄ー┴'^´

512 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 11:12:38 ID:0nNIIxZ6]
昨日の晩、一足早くエイラーニャの夢を見た。
ただ、内容は寝たきりのサーニャをエイラが一生懸命介護するっていう、ちょっと暗めの夢だった。
サーニャが「ごめんなさい」って泣いてエイラが慰めたところで目が覚めたんだが、
何て言うか・・・胸が切なくて、今でもちょっとウルッと来てるんだ・・・。

>>510
それは敗者の言い訳だって、誰かが言ってたけど、そんな事気にせずに書くんだ!
でも、俺はやっぱりイチャイチャなのが良い。



513 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 11:41:24 ID:q2iyLm/5]
>512
喰霊思い出して鬱になったorz
三人姉妹がイチャラブするssを書いて乗りきったのが懐かしい…

514 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 11:44:03 ID:ce8fU23a]
シャーリーの誕生日、バレンタインと意外と少なかったけど、流石にエイラは多そうダナ
スレもそろそろ終わりだし、今回はそっちに集中すっカナ

515 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 12:27:21 ID:WEEZZqy+]
>>512
ネウロイがユニットごと足を撃ち抜いたシーンまで幻視した。
たまにはハードなのも悪くない。

516 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 12:38:36 ID:dG9B+whA]
本スレより転載
秘め歌CD1,2のジャケ公開



633 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/02/20(金) 12:35:22 ID:JAnEY12M
>>626
これか
ttp://www.amazon.co.jp/gp/product/images/B001PM0BTC/
ttp://www.amazon.co.jp/gp/product/images/B001PM0BTM/


517 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 12:41:31 ID:polFQvv6]
ヤメテー
欝ヤメテー

518 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 14:58:44 ID:qEOsTkCq]
>>516
何このもっさん
イケメンすぎだろ

519 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 15:03:44 ID:fQxfYfSG]
>>485
なんという豪華な面子
紺野キタとか、森島明子も入ると凄い

520 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 16:19:46 ID:Y0e1QD0Z]
空気も読まずこつこつ芳ペリ書いてたりする自分とかw
何故だろう。
最近ペリーヌが可愛くて仕方がない…
エイラーニャのネタもたまってきてるのに。



521 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 16:27:28 ID:cSG+S8m7]
>>516
もっさんかっけえwそして宮藤!頬赤い!
インカムのときとかほっぺ密着のときを思い出す
…イケメンすぎる

522 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 16:32:17 ID:q/eHtzQm]
芳ペリって結構スタンダードな感じなのに保管庫にも殆ど無いね

523 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 16:50:59 ID:eoUFXtbB]
芳佳ともっさんは主人公格だからともかく、その次にエイラーニャが来るってのは人気だってことを把握してんだよな
その一方で抱き枕とか出しちゃうのが商売だが・・・
とはいえ8話が不評ってのも分かってるみたいだから、もう男絡みの展開はしないだろうけど

524 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 17:09:44 ID:ZFynS5zh]
>>522
芳ペリなら保管庫0684超オススメ

あまりの二人のかわいさに悶えます

525 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 17:34:58 ID:ce8fU23a]
芳ペリもだが、最近妙にペリーネも好きだ。というかペリーヌが可愛くて仕方ない
もっとみんなペリーヌ書けばいいのに

526 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 17:52:56 ID:5Wd0Ns6k]
ペリーヌ熱が昂まってきたな
いい事だ(´ー`)

527 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 18:09:48 ID:wUeLOCar]
〉〉516
帰宅するバスのなかから携帯で注文余裕でした。

528 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 18:26:59 ID:p5N+8rO2]
この流れなら言える。

ペリーヌ大好きだッ!

529 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 18:34:12 ID:dGcoTK2c]
・・・ありがと.///

530 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 18:49:53 ID:Iqja+MqV]
ほ、褒めたって何も出ませんわ!



531 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 18:53:04 ID:5Wd0Ns6k]
ペリーヌの親の形見のブローチをミーナが片手で粉砕するシーンはまだですか?

532 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 19:08:51 ID:JoaDfQuR]
>>531
羽が生えますね隊長

533 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 19:19:49 ID:cSG+S8m7]
>>531
なにより家族を大切にするミーナがそんなことをするはずがないだろ、と真剣にレスしてみる

ペリーヌが泣いてるssを読みたい気分のときってありません?
(いままさにそういう気分)

534 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 19:23:19 ID:WEEZZqy+]
>>531
隊長どんだけ病んでるんだwww

535 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 19:45:17 ID:+7hHbzHq]
ミリーヌもアリだと思う今日この頃。

ペリーヌは母性キャラと相性がいいと思うんだ。
隊長とかリーネとか。
ゲル姉ともいいかもしれないな。

536 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 19:56:31 ID:Mnu9AG6+]
>>531
>ブローチをリーネが片手で粉砕

普通にこう見えた俺は病んでる。確実に。

537 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 20:04:34 ID:JB396r8D]
カウントダウンのやつないしょの基地探訪の人が作ったコラだと思ったら本物だった・・・

538 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 20:14:05 ID:eoUFXtbB]
結局フミカネの発表だかなんだかttエカウントダウンだけだったの?

539 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 20:20:13 ID:dF3ETLJn]
>>538
その通りです(AAry

どうでもいいけどSS投下がない日って夏以来じゃね?と思って履歴を見たら1月23日も0本だった。意外と近かった……。
しかし一体何人の職人が明日に備えていると言うのだね。

540 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 20:31:20 ID:q/eHtzQm]
>>531
ミーナ中佐の今夜もアンニューイ



541 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 20:50:22 ID:6206Gnjb]
ここまで雑談続くのも珍しいネ
きっと明日は大変なコトになるね、いい意味で

542 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 22:11:05 ID:cSG+S8m7]
>>540
乳酸菌とってる〜?とかやり始めるんですねわかります
ミーペリか…めっちゃ薔薇の香りがするなあw

さて、そろそろフライング投下とかこないかな

543 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 22:13:07 ID:LO/xNujn]
0時になった瞬間に我先にと職人たちがこぞって名乗りを挙げるわけですね、分かります。

544 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 22:22:18 ID:ZFynS5zh]
今えらく中途半端なところだからエイラSSラッシュが途中でブツ切れして次スレ以降もグダり
作者や住人のモチベーションが削がれるなんてことにならないかが心配だわ
いやまあ今回も毎度のごとく自分は見る側ですがね、楽しみにしております

545 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 22:45:38 ID:xOHHQWeN]
FAQ追加案
長くなりすぎるのも問題ですが、規制についても明記しませんか?
以下の文をアレンジして次回テンプレに追加して下さい。
――

Q.○○書いたんですけど投下してもいいですか?

A.どうぞ、ぜひ投下してください。
条件は「ストライクウィッチーズ」関連であること、
「百合」であることの二つのみです。
ジャンル、エロの有無、本編にないカップリングなどに関係なく、このスレの住人はおいしく頂いております。
妄想だとか落書きだとか気にせずとにかく投下してみましょう。

ただし、SS専用スレではないので20レスを超えるような長編は事前に断りがあると吉です。
sage推奨です。メール欄に半角でsageと入力して下さい。

規制について
★改行規制
1レスにつき61行以上が規制対象です。

★連投規制
30分以内に10レス目を書き込むと規制対象になります。
10レス以上の投下には9レス毎に30分のインターバルが必要です。支援は無効です。

★スレの容量
500kb以上に達すると書き込めなくなります。

546 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 22:53:58 ID:p5N+8rO2]
>>540
水銀ですね

547 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 22:58:37 ID:dF3ETLJn]
>>545
いいんじゃね?長編あるたびにとまったりなんだりするのもそろそろあれだしな。
次立てるときの>>2はそれってことで。

>>544
中途半端って何の話?

548 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 23:00:32 ID:o1zOWiFk]
あと1時間か…。
エイラだと2の多い人とか方程式の人とか喫茶店の人とかくるかな?方程式の人は来ないんだっけ?
最近ニパ見ないからくればいいんだけど?

549 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 23:01:53 ID:k+GSJiwR]
>>545
いいんじゃないか?最後だけ 500kb以上に達すると→500kbに達すると で

550 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 23:08:14 ID:p5N+8rO2]
ttp://rainbow.sakuratan.com/data/img/rainbow94666.jpg
サーニャって重ね履きだったんダナ。
知らなかったんダナ。



551 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 23:08:55 ID:ZFynS5zh]
>>545
この新テンプレ案わかりやすくまとめてあっていいっすね、次スレからの使用に賛成します

>>547
容量的な意味で


>>548
喫茶店の人は、そうと思しき人が>>507で間に合いそうにないってぼやいてるから来なさそうだな
ていうか、喫茶店の話の中で誕生日話やればいいのに

552 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 23:10:43 ID:ce8fU23a]
OsqVefuYです。>>539見たせいでひねくれて投下します。いや悪いのは俺ですが。
短いです。2レスの予定。
タイトルは「リベリやん」です。

553 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 23:11:30 ID:ce8fU23a]
 よお! あたし、愛の天使シャーリー!
 一口で言うとキューピッドってヤツだな。
 愛に餓えた子羊たちをラブまみれにするのがあたしの仕事。
 こう見えても結構有能だったりするんだ。
 あのエイラとサーニャをくっつけたのも、なにを隠そうこのあ・た・し♪
 普段は次元の裏側ラブ時空にいるんだけど、
 ひとたび額のラブセンサーに寂しい愛の電波を感じるや否や――
 うおっ!? さっそくとびきり強い片想いの電波が!!
 発信地は――ブリタニア……ドーバーかな。
 イイカンジに登場しなきゃな。
 なめられたら負けだからな。
 ……そうだ、あれやろう!
 いっくぞぉ! シャーロット・E・イェーガー、出る!

「愛の天使・シャーリー見〜参ッ!!!!」
 と、あたしは颯爽と登場!
 両手を交差させてポーズを取る。
 ○ー○ー○ー○だ(伏せ字)。
 別にこれからお仕置きをするんじゃないけど。
 ――と、そんなことより、今回の迷える子羊はと。
 こんな強烈な片想い電波なんて、いったいどんなヤツなんだ?
 あたしはソイツを改めて目の前にする。
 そして、固まった。
「いっ……」
 次の瞬間、あたしの口はは大声をあげた。
「いやっ、やっ、や――――――っ!!!!」
 な、なんなのコイツ!?
 なんで真っ昼間からオナニーしてんだ!?
 しかもオカズヤバイよ! だってロリだよ!?
 いきなりそんな、ドン引きだよ!

「なんだ貴様は!? 人の部屋に入る時はノックぐらいしたらどうだ!」
 と、その女は言った。
 それもそう……じゃなくって……
「おっ、お前こそ、まんこくらい隠せよ!!」
「むっ、それもそうだな。私としたことが」
 そいつは下ろしてたズボンを上げた。水色のローレグ。

「それで」
 と、改めてソイツはあたしに言ってきた。
「貴様は何者なんだ?」
「そういうときはまず自分から名乗るもんだろ」
「それもそうだな――私はゲルトルート・バルクホルン。
 カールスラント空軍所属で、階級は大尉だ」
 と、ソイツは言った。
 言われてみれば、いかにもカールスラント軍人って感じのヤツだな。
「それで――貴様は誰だ?」
 訝しげるように改めて、そいつは訊いてきた。
 一回言ったけど……まあ、いきなりの登場だったし、そう訊かれるのも無理はないな。
 もう一回言ってやるか。
「あたしは愛の天使・シャーリー。お前の片想いラブ電波を受けて、ラブ時空からやってきたのさ」
「嘘つけ」
「えっ……?」
「そんな場所があるわけないだろう。本当のことを言え」
 えっと……
「本当はリベリオンのボンネビル・ソルトフラッツから来たんだ……でも、愛の天使ってのは本当だぞ」
 私が言うとソイツは眉間に皺をよせて、ジッとあたしを上から下まで見てくる。
 あたしの胸もじっくり。まあ、無理もないね。
 そうして、ソイツは言った。
「……信じてやらなくもないが」

554 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 23:13:27 ID:ce8fU23a]
「本当かっ!?」
 あたしは思わず、ソイツに抱きつこうとした。
 まさかこうもあっさり信じてくれるなんて、あたしも思ってなかったから。
 ――が、ソイツはあたしの包容をスルリとかわして、あたしは床にこけそうになる。
「なっ、なにをしてくるんだ、いきなり」
 顔を赤くしてソイツは言ってくる。
 お、いっちょまえに照れてるのか。結構可愛いとこあるじゃん。
 まあ、いきなり抱きつくとかは、たしかにな。
 あたしはスッと、ソイツの前に右手を差し出した。
 きょとんとするソイツ。
「握手だよ、握手。初めて会ったんだからな」
「それもそうか」
 未だに釈然としてないふうだけど、ソイツはあたしの差し出した手を握ってくる。
 それじゃあ、改めて。
「あたしはシャーロット・E・イェーガー。リベリオン出身で階級は中尉だ」
 そしてあたしは、握手の手にギュッと力をこめた。
 ソイツはクッと顔を歪ませる。
「シャーリーって呼んで。よろしくな」
「そうか、リベリやん」
「いや、だからシャーリーって呼んでって」
「貴様などリベリやんで充分だッ」
 そう言うと、ソイツもあたしと握手する手をギュッと力をこめて握り返してくる。
 負けん気が強いのか? 面白い。あたしもさらに力をこめる。
 ――が。
「いだっ、いだっ、いだだだだっ!」
 コイツ、力強すぎ。ちょ、これ、ヤバいって!
 指もげる! このままだと指もげるから!
「私の固有魔法は筋力の強化でな」
 と、淡々とソイツは告げてくる。
 そんなの、絶対勝てるわけないじゃないか。
 あたしはあまりの苦痛に顔を歪める。
「どうかしたのか、リベリやん?」
 とか、わざと訊いてくる。わかってるくせに。
 ていうか、また人をリベリやんって。
「だっ、だから、シャーリーって、呼んで、っで」
「貴様などリベリやんで充分だ」
 ホント、堅いヤツだなぁ。
 ――ああ、いいさ。
 じゃああたしはあんたをこう呼ばせてもらうから。
 あたしは叫んだ。
「じゃあお前なんて、カールスラントの堅物、略して『カタブツ』だッ!」

 そうしてあたしは意識を失った。
 その直前、あたしはそれに気づいた。
 そういえばこのカタブツ、まんこ触ったままの手で握手しやがった……。



以上。本当にごめんなさい。
わかる人どれくらいいるかわかりませんが、ラブやんのパロです。
このあとルッキーニやエーリカやミーナや芳佳も出てくる展開を考えてるんですが、
続くかどうかは様子見ってことで。
頑張りますとか言っといていきなりこんなんで、本当にすいません。


555 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 23:20:07 ID:nC1MByJa]
>>550
とりあえず勉強になるから過去ログ読んで来い…

556 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 23:24:03 ID:jod8JTeh]
今頃、エイラとサーニャは二人でラブラブ夜間哨戒か

557 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 [2009/02/20(金) 23:49:58 ID:+7hHbzHq]
今日は雨上がりで空気が澄んでるからな。
さぞかしキレイな星空だろう。

「誕生日おめでとう」なんて言いながら、肩に寄りかかるサーニャの身体が冷えないように、しっかりと抱き締めてやれよ>>エイラ

558 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/20(金) 23:52:55 ID:I4K3SAUP]
>>554
ワロタwwwwwwカタブツかよwww
「銃を向けられるたびに5セントもらってたら今ごろ大金モチだな!」は素で言ってOKだと思ったが
よく考えたらあれは銃じゃないな

559 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 00:01:21 ID:nC1MByJa]
エイラおめでとう!

ついでに転載
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org20970.jpg

560 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 00:04:57 ID:Ik5jGdh/]
>>559
一瞬何か分からなかった。


おめでとうーーーーー!



561 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 00:05:34 ID:ZFynS5zh]
エイラ誕生日おめでとう

562 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 00:08:17 ID:DscYl0o+]
>>559
脳内変換しちゃったじゃないかwww

エイラおめでとう!

563 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 00:17:20 ID:3s//GvPw]
誕生日くらい昔の職人に返って来て欲しいものだ

564 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 00:18:32 ID:JC85IN0C]
>>562
使い魔変換とか無しに、普通に11人を描いてほしかったというのが正直なところ(ry

565 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 00:24:58 ID:+VHEea6j]
エイラ、おめでとう

566 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 00:25:38 ID:Gv6y2aA9]
    /||ミ
   / ::::||
 /:::::::::::||____     
 |:::::::::::::::||      ||ガチャ
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||   j`ミメ ´ ̄ ̄ `  ____    
 |:::::::::::::::||  .| . : ::        ヽ 7,'   
 |:::::::::::::::|| /     .,'    /  ハ     
 |:::::::::::::::|| i .:i  ,' .// / /ヽ,' メソ    
 |:::::::::::::::|| |  | .i .//',イ /   レハ.::| 
 |:::::::::::::::|| | .ハ |/', \   / リノ    <イッルー!誕生日おめ・・・
 |:::::::::::::::|| /ハ:( ヽリ >   < ハ  
 |:::::::::::::::||  \ヘー、 xxx   ' xx}ノ
 |:::::::::::::::||   ノイ|i>ト.   ▽_ノ
 |:::::::::::::::||    ノ: {::j{U:Ti:ヽ   


    /||ミ
   / ::::||
 /:::::::::::||____     
 |:::::::::::::::||      |
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||   j`ミメ ´ ̄ ̄ `  ____    
 |:::::::::::::::||  .| . : ::        ヽ 7,'   
 |:::::::::::::::|| /     .,'    /  ハ     <誰だその女は!?
 |:::::::::::::::|| i .:i  ,' .// / /ヽ,' メソ    
 |:::::::::::::::|| |  | .i .//',イ /   レハ.::| 
 |:::::::::::::::|| | .ハ |/', \ ι/ リノ  
 |:::::::::::::::|| /ハ:( ヽリ О   О ハ  
 |:::::::::::::::||  \ヘー、 ιx   ' xx}ノ
 |:::::::::::::::||   ノイ|i>ト.   □_ノ
 |:::::::::::::::||    ノ: {::j{U:Ti:ヽ   

567 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 00:33:18 ID:xCaVcrqc]
>>564
俺なんてサイト凸って人間ver探しちゃったよw

ともあれ誕生日おめでとうー!

568 名前:小ネタ『サーニャのおくりもの?』:砂糖専用匙 mailto:sage [2009/02/21(土) 00:39:08 ID:61uBGiop]
「エイラー…お誕生日…おめでとー…」
「ハハ…一番乗りダナ」
「プレゼント…」
「おぅ、アリガトなサー…」
ポフッ


「エ?」

「スゥー…スゥー……」
「オイ…サ、サーニャ?…プレゼントハ…はっ!」
(よく見るとサーニャの手首にリボンがッ!
イッタイ…一体、どこでそんな…
イヤ!落チ着ケ、ワタシ!サーニャがソンナ…
イヤしかし、モシそうだったら…でも、でも寝込みをナンテー!…)


※―※
「ふ〜ふ〜ふ〜…エイラもサーニャも喜ぶハルトマンさんからの一石二鳥のプレゼント…
とくと…受け取りなさ〜い…ムニャムニャ…」



突然のハルトマンからの素敵な贈り物に戸惑うエイラ!どうするエイラ!ハッピーバースデー・エイラ!

エイラの誕生日はまだ始まったばかりだ!




>>559
これなら人前でニヤニヤしちゃってても誤魔化す必要ないね♪

569 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 01:14:32 ID:QCb2Q6kh]
エイラおめ!

そして公式のシャッキーニ超なごむ(*´д`)

570 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 03:30:38 ID:uyPALYvT]
オラーシャっ娘の目が鈍く光る!(ホイップクリームを絞る的な)指先がうねる!(イチゴを乗せている)

「うふふ……エイラ」



571 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 03:44:44 ID:Kg8zoKHH]
「エイラ、舐めて・・・」という指チュパな流れになるんですね。

オラーシャ人はオマセさんが多いからサーニャさんも・・・。

572 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 04:03:39 ID:3Sp8Zk5K]
責めさーにゃん堪らないです。顔真っ赤にしてるエイラ堪らないです。
職人さん達の投下はいつ始まるんかにゃー

573 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 04:20:01 ID:JC85IN0C]
>>515と攻めサーニャの流れでエイラハードとかくだらんものを
エイラの誕生日に考えてしまった自分は一刻も早く死ぬべき


「サーニャ……もう10回め…やめて…明日何もできなくなっちゃうヨ…んああ…」
「その時は私がずっと面倒見てあげるから…むちゅ……くちゅくちゅ」
「ひい…くやしいけどサーニャのテクに感じちゃう…ビクンビクン」


OK今すぐ死のう

574 名前:Blue Birthday mailto:sage [2009/02/21(土) 05:03:14 ID:1EZTmvtt]

501統合戦闘航空団の前線基地を朝の陽光が包んでゆく。
窓から入りこんだその光はエイラの頬をなでて、朝が訪れたことを知らせた。
目を覚ましたエイラは、今日も隣に彼女がいないことに気づき、ため息をもらす。
(夜間哨戒は・・・終わってる時間だよな・・・)
起き上がりながら、エイラの心はわずかに曇ってゆく。
(別に最初から私の部屋で寝てたわけじゃないんだし、ただ自分の部屋で寝ている
ってだけなんだよな・・・)
身支度を整えたエイラは、誰もいないベッドを寂しげに見つめると部屋を出た。
サーニャの部屋の扉の前を通り去ろうとすると、ふと足を止め、ノブに手をかけようと
したが、すぐにそれを引っ込めた。
(何してんだよ・・・用なんてないだろ・・・)
エイラは体の向きを変えると、トボトボと廊下を歩いて行った。


575 名前:Blue Birthday mailto:sage [2009/02/21(土) 05:06:06 ID:1EZTmvtt]

サーニャがエイラの部屋に来なくなってから二週間が経とうとしていた。
最初の日は、
(たまには、こんな日もあるんだな・・・)
と感じただけだったが、二日目、三日目と過ぎていくにつれて、
どうしようもない喪失感が胸に広がっていった。
(まさか嫌われたんじゃ・・・)
そう思うときもあったが、サーニャはいつもエイラの隣にいたし、
エイラはサーニャの隣にいようとした。現に今もサーニャはエイラの隣で
愛用の枕を抱えながら小さな寝息を立てていた。
(ったく、人の気も知らないで・・・)
そう心の中でつぶやきながら、寝ているサーニャの頭を優しくなでる。
「どうして私の部屋にこないんだよ」
と口に出してしまいそうな時もあったが、
サーニャの口から
「何で?」
と答えが返ってくるのが怖くて、思わず口をつくんだ。
「サーニャと少しでも一緒にいたいから、だから毎日来てほしい」
そんな言葉を口に出せるわけがなかった。
それに、サーニャが自分の部屋で寝ようとするのをやめさせるなんてのも変な話だった。
(初めにそっちから来たくせに、なんで私が心配しなきゃなんないんだよ〜)
エイラは後ろに組んだ手に頭を乗せながら、後方に身を反らせる。
(・・・勝手に人の部屋を寝床にして、いつの間にかいなくなって・・・
これじゃ本当に 猫みたいだな・・・)
エイラはサーニャの寝顔を見ながら複雑な表情を浮かべた。


576 名前:Blue Birthday mailto:sage [2009/02/21(土) 05:08:52 ID:1EZTmvtt]

「はぁ〜」
夕食を終えたエイラは1人ため息をついた。
(どうしたらいいのかなぁ〜、別に普段のサーニャはいつも通りなんだし・・・)
暗中模索の状態に頭をかいていると、
パーン!!
突然炸裂音が耳元で響いた。
「うわっ!なになに」
エイラは慌てて後ろを振り向いた。
「エイラさん、お誕生日おめでとうございます!」
ケーキを持った芳佳と隣でクラッカーを持ったリーネが声をそろえて言った。
その後ろにはウィッチーズの面々が控えている。
「え・・・あっ!そうか」
エイラはようやく自分の置かれた状況を呑み込めた。
「エイラさん、まさか誕生日忘れてたんですか?」
芳佳の問いに
「えっ!いや、そんなことないけど・・・」
心配事のせいですっかり忘れていたなんて言えなかった。
「エイラ・・・」
芳佳とリーネの間からサーニャが現れる。
「おめでとう・・・これ、プレゼント」
そう言うと、綺麗に折りたたまれたスカイブルーのマフラーを差し出した。
「あっ・・・ありがとな、サーニャ」
エイラはそれを大事そうに受け取った。
「上手にできたかわからないけど・・・」
「えっ!これサーニャが?」
エイラが驚いて問い返すと
「うん、自分で編んだの」
サーニャは優しく微笑みを返した。
「でも、いつの間に作ったんだよこんなの・・・もしかして」
エイラの言いたいことを読み取ったサーニャはコクリとうなずき
「夜間哨戒が終わってから、毎日ちょっとずつ編んだの」
(やっぱり・・・じゃあ部屋に来なかったのは・・・)
「大変じゃなかったか・・・、その・・・眠くてさ・・・」
エイラが目元を伏せながら尋ねると、サーニャは少し頬を染めながら
「ちょっと・・・、でもエイラのためだったから・・・」
(なんだよ・・・一人で勝手に心配して、不安になって・・・
バカみたいじゃんか・・・)
「ありがとなサーニャ・・・その・・・大事にするよ」
そう呟いてマフラーを胸に強く抱いた。
「うん・・・」
サーニャも小さくうなずいた。


577 名前:Blue Birthday mailto:sage [2009/02/21(土) 05:10:12 ID:1EZTmvtt]

「なになに、まさかエイラ感動しちゃって泣きそうなの?」
エーリカは悪戯っぽい笑みを浮かべながら、うつむいたエイラの顔をのぞきこむ。
「な・・・んなわけないだろ〜」
「どうかな〜」
エーリカがニヤニヤとしていると、
「あらあら、エイラさんでも感傷的になられることがありますのね」
ここぞとばかりにペリーヌも参戦してくる。
「だから違・・・」
「だめよエイラ・・・せっかくの誕生日にケンカなんかしちゃ」
「・・・・・」
サーニャに諭されて、エイラは頬を赤くしたまま黙り込んだ。
「はいはい」
と言いながらミーナは手を叩き
「フラウもペリーヌさんもそのへんにして、誕生日のお祝いを続けましょ」
そう言ってニッコリと微笑んだ。


578 名前:Blue Birthday mailto:sage [2009/02/21(土) 05:12:11 ID:1EZTmvtt]

おやすみ、エイラ、これから夜間哨戒だから・・・」
賑やかだった誕生日会は解散となり、一同はそれぞれの部屋に戻っていった。
「あっ、あのさ、今夜は私が夜間哨戒に行くよ」
「えっ、でも・・・」
「いいから、プレゼントのお礼だよ、ここんとこあんまり寝れなかったんだろ?
まかせとけって」
そう言うとエイラは満面の笑みを浮かべ、サーニャもそれを見て小さくうなずいた。

ストライカーを履いたエイラは空へと飛び立ちぐんぐんと高度を上げていった。
首元には星のマークをあしらえたスカイブルーのマフラーがはためいている。
高度を上げながら
(さんざん心配させられたんだから、今日はこっちがサーニャのベッドで寝てやろうかな)
そんなことを一瞬考えたが
「・・・できるわけないくせに」
自分でその考えを打ち消した。
速度を上げていったエイラは厚ぼったい雲を通り抜け、
美しい月と星の世界に身を躍らせながら、ほんのちょっとだけ涙を流した。


579 名前:Blue Birthday mailto:sage [2009/02/21(土) 05:16:46 ID:1EZTmvtt]

ここまで自分の拙文を読んでくれた方ありがとうございます。
・・・・っていうか誰もいないんですけどね、今www。
本作が自分の二作目のSSな新参者ですので、深夜にこっそり
アップさせてもらいました。

それでは、お誕生日おめでとうエイラ、お休み。

580 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 09:25:36 ID:utG5Qda9]
>>579
GJだ!いい話だなあ…泣きそうになっちゃうエイラ可愛すぎ

今日は一体何本投下されるんだろうか



581 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 09:38:06 ID:Ik5jGdh/]
>>579
GJ!!
エイラのために頑張るサーニャかわいいよ。
二作目にしてなかなかいいSSでした。もう一度GJ!

582 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 10:02:02 ID:mKixrYmU]
>>568
サーニャもなかなかやるな!と思ったらハルトマンの仕業かw
GJ!
>>579
GJ!
サーニャのこと気にしすぎて自分の誕生日忘れてるってのがエイラらしいw

583 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 10:45:44 ID:Gv6y2aA9]
>>579
先生ー、名乗らないとどれが1作目かわかりません!
それはともかくGJ!!エイラかわゆすなあ。

584 名前:Blue Birthday mailto:sage [2009/02/21(土) 13:06:44 ID:1EZTmvtt]

>>583
え〜と、一作目はサトルヌウゥス神の格好をしてサーニャに
プレゼントを渡すエイラのSSを書きました。


それと、名乗るにはその時のIDを書けばいいんですかね?

585 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 13:42:43 ID:7WQBWYf2]
ttp://www.uploda.org/uporg2034513.jpg

586 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 13:44:24 ID:7WQBWYf2]
おっとそのまま送信してしまった
自分で投下しようと思っていたらエイラスレで上げてくれた方が先にいたので拝借

SSはいまからがんばる

587 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 14:48:02 ID:Gv6y2aA9]
>>584
IDでもいいし、じっちゃんみたいにコテハンでもいい。
もちろん肉まんの人みたいに名乗らないのもありだけど。

588 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 16:24:49 ID:utG5Qda9]
>>585
見れぬ…

589 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 16:27:11 ID:NxizpDh1]
今日はこのスレバッカーノになる気がしたんだけど

夜まで待つか

590 名前:未題-前 21X2w2Ib 1/3 mailto:sage [2009/02/21(土) 16:27:53 ID:7WQBWYf2]
急ぎ足ですがエイラハピバ話前編だけ投下します
タイトルは考えてる暇なかったので「未題」で
―――

ほら、そうしてまたあなたに一歩近づくのに、半年経てばまた遠ざかって
近づいてまた離れて、そんな堂々巡りを続けてる。


今日はこの人の特別な日で、だからこそ私はこの日のためにずっとずっと前から入念な計画を立てて、
ひっそりと準備をしてきたのだった。勘の良い彼女は私が何かをひた隠しにしていることにすぐに気が
ついたようで、「どうしたんダ?」「なにかあったのカ?」といった質問を何度も重ねてきたのだっけ。それ
は彼女に知られてはいけない計画で、だからこそ私は彼女が訓練や待機している時間──つまり、私に
とっては休息をとっている時間にそれを進めていたのだった。

(よく眠れてないんじゃないカ?…大丈夫?)

あなたの誕生日のお祝いの計画を立てているの。
秘密なんだからあなたには言っちゃいけないのよ。

もちろんそんなこと言えるはずも無く。だからといってまっすぐに私を見つめてくるその瞳から目を逸らす
ことも出来なくて私は唇をかんで押し黙るだけなのだった。いつもは私と目が合えばすぐに逸らしてしまう
のに、こんなときに限ってその落ち着いた色をした瞳の中に私がはっきり見えるくらいに私を映してくるの
だから、ずるい。嘘をつくことなんて出来なくなってしまう。


えいら、あのね。
思わずすべてを打ち明けて、自分ばかりが楽になろうとしてしまうそのときに。

(おー、エイラ、こんなところにいたのかー!訓練付き合ってくれるって約束したろー)
(サーニャ、暇なら私の話に付き合ってよ〜)

そうやって、示し合わせたように隊のみんなが通りかかって私に助け舟を出してくれるのだった。その
タイミングは私のしそうなことなんてエイラじゃなくたってお見通しなんだよ、と言わんばかりにぴったり
で、私はそれで、この場所で過ごした日々の確かさを思い知る。皆と過ごして、流れた月日は決して
短いものでも、無意味なものでもないのだということを。

私が生まれたその日から、半年と、三日。
みんなにお祝いしてもらった誕生日から、それだけの月日が流れたのだって。


日も暮れたというのに食堂はひどく明るくて、色とりどりの笑い声が満ちている。テーブルの上に乗せ
られたたくさんの料理がおいしそうな匂いを立ててハルトマン中尉と芳佳ちゃんがそれに目を輝かせて
いた。
宴もたけなわ、と言った頃に現れたスペシャルゲストの二人は今、ミーナ少佐と談笑をしたりルッキーニ
ちゃんたちにつつかれたりしていた。お土産の缶詰をその場で開けようとして慌ててエイラが止める一幕
もあって宴はますます盛り上がっていくばかりで。

「こういうバカ騒ぎは性に合わないんだ」としかめ面をしていたバルクホルン大尉だって、シャッターを
切るまなざしは楽しげだ。リーネさんが次々と運んでくる食事は出した傍から平らげられて、その度に
みんなで大笑いして。「食べすぎですわ!」と叫ぶペリーヌさんの声にだって、普段よりもずっと柔らかさ
が混じっている。と言いつつも坂本少佐が「そういわずにこれでも食え!!」と差し出した不恰好な形の
おにぎりを口に詰め込んで喉に詰まらせて、シャーリーさんたちにからかわれるのだ。

そして主役のエイラはというと、そんなみんなに引っ張りだこにされて、朗らかに笑っているのだった。
故郷にいた頃よくそうしていたと本人が言っていた通り先輩だというエルマさんに頭を撫でられたり、




591 名前:未題-前 21X2w2Ib 2/3 mailto:sage [2009/02/21(土) 16:28:39 ID:7WQBWYf2]
ニッカさんにシャーリーさんたちといたずらを仕掛けたり。坂本少佐のおにぎりをペリーヌさんの手から
奪い取ってペリーヌさんを怒らせたり、ハルトマン中尉たちと早食い対決にいそしんだり。そんな様子を
バルクホルン大尉に注意されてぶうぶうと文句を言って、ミーナ中佐に言いつけたりして。

姿を消したと思ったら厨房でリネットさんの料理をルッキーニちゃんとつまみ食いして、本当に忙しなく
動き回っていた。白い肌を高揚に赤くして、まるでサーカスを見に来た小さな子供のようにはしゃいで。
そんなエイラの姿を見て、エルマさんは微笑んでいたっけ。直属の上官の人が忙しくて出てこられない
ということで急遽その人の代わりにここに訪れたのだそうだけれど、エイラは十二分にうれしそうにして
いた。

ニッカさんはどうしてかほうきを手に持っていたけれど、それを指摘された彼女が大声で叫んでいたのを
聞くに「ハンガー掃除してたら無理やり先輩に連れてこられたんだ!べ、べつにイッルのために来たわけ
じゃないんだからな!」ということらしい。それでも故郷から余り音沙汰が無いことを「忘れられてんの
かなあ」と気にしていたエイラは、そんな言葉も歯牙にかけないくらいに喜んでいた。

私はそんな光景を、隅っこでぼんやりと眺めているのだった。ペリーヌさんがこっそり基地の庭で育てて
いる色とりどりの花々を選んで積んで、エイラに花束を作っていけてくれた花が机の上の花瓶に飾られ
ている。私の視界はそれを中心にして広がっていて、多分それだから、たぶんやけに視界が明るく見え
るのだと思う。たぶん、きっと、そう。

私と芳佳ちゃんの誕生日の時には時間の都合で部隊の全員が勢ぞろいして記念写真をとることは出来
なかったけれど、今回は偶然にも前日にネウロイの襲撃が重なって、全員が休暇と相成った。いつもの
11人にスオムスから駆けつけてくれたエルマさんとニッカさんを加えた13人での記念写真はまだ現像を
終えていないけれど、きっとエイラにとってとても大切な思い出の一枚になるのだと思う。そしてそれは
きっと、その傍らで笑顔を浮かべて映っているのであろう私にとっても。


…けれど、どうしてだろう?
胸の奥がこんなにも軋むのは、何でだろう。
明るくまぶしい光を放つ食堂の中心から離れた暗がりで、私はどうしてか泣きたい気持ちになっている。
さっきまではあんなに楽しかったのに。"誕生日、おめでとう!!"その一言を言うために何日も何日も
前から入念な準備をしてきた。その間も、エイラの反応を予想してとてもとても幸せな気持ちになって
いたのに。

ああそうだ、確か去年もこんな気持ちになっていた。同じようにみんなでエイラの誕生日をお祝いして、
私もその輪の中にいた。エイラも今と同じように楽しそうにしていて、私も嬉しかったはずなのに。
なんとも言いがたい寂しさが胸を包んで苦しくなる。半年前に感じていた高揚感とは全く逆の、ひどく落胆
したその気持ち。年が一つ巡って彼女の生まれた日がやってきた。そしてエイラは一歳年を取った。それ
だけなのに、何だかとてもとても遠くなってしまったように感じるのだ。

私の誕生日が来るたびに、私は一つ、エイラに近づいた気持ちになる。一回り大人になって、エイラに
届くまであと一歩、肩を並べて歩けるようになるまであと少しだと、そんな幸福な気持ちになるのだ。
けれども今度はエイラの誕生日が来て、1つしかなかった年の差がまた2つにリセットされて。
彼女に近づきたくて、隣を歩きたくて、私は懸命に背を伸ばしているのにどうしても届かない。もたもたと
エイラの後ろを付いて行って、仕方ないなあ、と手を伸ばすエイラの手をそっと握って導いてもらっている。
まるで小さな子供のように。君は私よりも子供なんだから、とあやしつけられているように。


「…サーニャ?」
「え?」

不意に声をかけられて肩を震わせた。いつの間にか目を伏せていたらしい。気付かないうちに視界は
くらがっていて、食堂の中心から放たれる眩しい光を阻んでいるのだった。
それでも私は眩しくて、思わず目を細めてしまう。柔らかな色合いをもったプラチナブロンド、白い肌と、
水色の服。私の光が、私の心を明るく明るく照らしていくから。

592 名前:未題-前 21X2w2Ib 3/3 mailto:sage [2009/02/21(土) 16:31:34 ID:7WQBWYf2]

「エイラ」

思わず彼女の名前を呼ぶ。笑顔を浮かべようとしたのだけれど上手く出来たろうか。エイラの表情が
歪んだからきっと、上手く笑うことが出来なかったんだろうな。だめだな、私。
またひとつ大人になった、私のよく知っているエイラが、どうしてから全然別の人になったかのように
思えてしまう。歳なんて勝手にとっていくもので、止めることなんか出来ないのに恨めしい。だってそう
して彼女はいつも私の前をいって、追いつかせてはくれないのだから。

「ねむたくないカ?もう寝ル?…その、準備、とか、いろいろ疲れたろ?」

照れくさそうに頬をかきながら、エイラがそう切り出してくれる。首に巻かれているのは手編みのマフラー
で、私がプレゼントしたものだ。会う人すべてが「それはちょっと」といわんばかりに吹き出していたから
多分私のセンスは全然よくないのだと思うけど、でもエイラは大喜びで受け取ってくれた。だから、いいのだ。

誕生日会を企画して、プレゼントを考えて、エルマさんたちに招待の手紙を送って。普段私が決して
見せることの無い積極さにみんなは驚いていたけれどけれども文句の一つも言わずに手伝ってくれた。
全部全部、私とエイラのために。
私の出来ることは全部出来た。それにエイラが喜んでくれた。
だから、私のしたかったことは、欲しかったものは、これで、もう。

「だいじょうぶ」

それだから、私はこう答えるのだ。今はさえぎられて見えないけれど、きっと部屋の中心ではみんなが
エイラを待ちわびている。だって今日の主役は彼女だもの。

「わたしのことはいいから…」

みんなのところに行ってあげて。そう続けようと思った瞬間、「きゃああああだめですうううううう」という
悲鳴とともに盛大な爆発音が食堂に響いた。直後に「ギャアアア!!!」という叫び声と、異様で強烈な
匂い。当然のことながら、食堂中が騒然……と思いきや、大爆笑。エイラが体をひねったおかげで見えた
机の上にはたくさんのビン。私が故郷でよく見たビンもある。…私は飲んだこと無いけれど、確かあれは
とてもとてもアルコール度数が高かったような気がする。

「イッルのバカヤローーーーーーー!!!」

どうやらエルマさんのお土産の缶詰に、どうしてかニッカさんが躓いたらしい。大きなたんこぶを頭に
作ったニパさんが、強烈な匂いをまとってこちらに近づいてきた。

「ちょっと待て、私はかんけーないダローーーーー!!!」

サーニャは隅に逃げてろ、缶詰の中身が飛び散るぞ!そう言い残してエイラは逃げ回り始める。すっかり
出来上がったほかのみんなはそんな姿を見て笑い転げているばかり。エルマさんだけが私と同じく部屋
の隅にいて床になにやら字を書いていじけていた。

ほっとしたような、寂しいような。なんとも言いがたい気持ちがまた胸を包み込んでいく。
でもこれでいいのだと、私は自分に言い聞かせた。だって今日は彼女の誕生日なのだ。私ばっかりに
構っている必要なんて無い。
だって私だけじゃない。みんなみんな、エイラが大好きなんだもの。


>つづく
中途半端で申し訳ない 日付変わってしまうと思いますが、あとでちゃんと後半書く
あと585が消えてしまったっぽいので再うp
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org22904.jpg
一応これの直後の話

593 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 16:40:42 ID:V8YvwSD1]
(´;ω;`)ブワッ

594 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 16:45:29 ID:ol+SrFzv]
>>592
2の多(ryさんきたー!
続きも楽しみにしてます。ニパは1週間は臭いが取れないんだろうなーw

ところでエイラの誕生日はSSが大量投下されるだろうし自分があせって書かなくてもいいよねって思ってた人手をあげて


ノシ

595 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 16:56:00 ID:ngwMvz1b]
>>594


と言うか肉体的にも精神的にも電池切れ状態だったりするorz
風邪薬飲んで寝ます。職人の皆さま頑張って。草葉の陰から応援してます。

596 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 17:10:57 ID:XOQUpyD0]
むしろ、今必死に書いている人がたくさんいると思うんだな、とSS書きながら言ってみる。

597 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 17:11:02 ID:qngwhfJT]
>>592
GJ!
続きとっても楽しみにしてます

そして心温まる画像GJ

598 名前:2(ry mailto:sage [2009/02/21(土) 17:13:20 ID:2m8iUDIG]
ノシ
絵だけでいいやと思っていたら>>548で呼ばれたので慌てて出て来た

599 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 18:15:29 ID:RFvIj1Ls]
OsqVefuYです。なんか予想外にスレが静かなんで、投下するつもりなかったんですが、やっぱ投下します。
書いたまま放置してたのにちょこッと手を加えただけですが。
エイラが恋愛相談室をやっているというネタで、保管庫の0167と0181の続きみたいな位置づけです。
(まあ、きっと覚えている人はいないでしょう)
これだけでも独立してるので、そんな前のなんて読んでネーヨ、覚えてネーヨな人も全然おkです。
4レスの予定。

600 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 18:17:10 ID:RFvIj1Ls]
アー、今日は誰も来ないナ。
相談がないってのは、みんなうまくやってるってことカナ。
それは喜ばしいことなんダけど、でもこうも暇ダとナー。商売アガッタリダヨ。
ついつい独り言も出ちゃうってもんダヨナ。

それにせっかく部屋に花まで飾ったのにナ。
そうそう、この花はムスカリって言ってナ、私の好きな花の一つなんダ。
まるで逆さにしたぶどうみたいダロ? 色も紫だしナ。
それにこの花の花言葉が……
ン? ムスカリの花言葉ってなんダったカナ。ウーン、思い出せないナ。
――ま、いいカ。

アー、それにしても暇ダナ。
ちょっとタロットでもやるカナ。
普段は自分のことは占わないんダけど、たまには占ってみるカ。
ウントコショドッコイショ…………よし、出た。
オ、これは【運命の輪の正位置】じゃないカ。
ターニングポイントを意味するカードで、それが正位置ダから、幸運の到来ってことカ。
今日の私はバッチコイってわけダナ。
その場の流れをよく読んで、チャンスを逃さないようにしないとナ。

――ア、今までの全部独り言ダから。そこんとこヨロシク。
ン? 誰に喋ってるのか、って?
アー、だからこれ、独り言ダから。だからあんまキニスンナ。

エ? 恋愛相談室とかやってるけど、お前はどうなのか、ダって?
ナ、ナンで私のこと話さなきゃいけないんダヨ! そんなの別に関係ナイダロ!
エ? サーニャとうまくやってるのか、って……?
ナッ、ナンでそこでサーニャの名前が出てくるんダヨ!?
ワ、私、サーニャのことなんて別にナンとも……
って、そもそも私、誰と喋ってるんダヨ?
そうダ、きっとあれダ。きっとオルターエゴみたいなものダから。
だからとにかくキニスンナ。
アー、それにしても誰も…………



601 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 18:17:37 ID:RFvIj1Ls]
ン? 今、ドアをノックする音がしたナ。
これはもしかしテ……。
ハイハイ、入っていいデスヨ。
――アッ! どうしたんダ、サーニャ!
私、今、仕事中で……
エ? 「エイラが恋愛相談室をやってるのをペリーヌさんに聞いた」ダって?
そ、それはもしかしテ……私に相談したいことがあるってことカ?
ア、でも、ここは恋愛相談室ダから。相談って言っても、恋の相談じゃないとナ……
エッ!? うん、って……。
もしかして今、うなずいたのカ……?
エッ!? うん、って……。
つまりそれって、私に恋の相談をしにきたってことなのカ?

――アー、そうカ。そうダヨナ。なんダ、サーニャは勘違いしてるんダナ。
「こい」って言っても川や池に生息する淡水魚じゃなくっテ……
エ? 「魚の鯉じゃない」ダって?
そ、そうカ……。
ア、じゃあ、アフリカ南西部のカラハリ砂漠に住む民族のことじゃなくっテ……
エ? 「コイ、別名ホッテントットのことじゃない」ダって?
そ、そうカ……。ていうかよくわかったナ、サーニャ。
エ? 「ふざけてるの?」ダって?
そ、そんなはずナイダロ! どんな時も全部本気ダゾ、私は!
本当ダって! 信じてクレ、サーニャ!
とにかくこれは故意じゃナイ!

エ? 「それで相談には乗ってくれるの?」ダって?
モ、モチロンダヨ。相談なんていくらでも乗ってやるヨ。
報酬ダっていらないサ。なんたって、私とサーニャの仲だからナ。
そっそっそっそれで、相談したいことってなんダ?

602 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 18:18:37 ID:RFvIj1Ls]
えーとナニナニ、「いくらアタックをかけても、一向にリターンがない」ダって!?
サッ、サーニャ! オマエ、そんなことしてたのカ!
それも、私の知らないところで……
エ? 私も知ってるって?
……どういうことダ?
いや、ホントに知らないゾ。ていうか、なんで私が知ってるんダヨ。

そ、それで、サーニャ。
その……す……じゃない……気になる人っていうのは……ダッダッダッ誰なんダ?
名前は……いや、やっぱりイイ! 言わないでクレ!
――じゃあこれだけ教えてクレ。
その人は、私の知ってる人なのカ?
うん……って……。
もしかしてこの隊のヤツカ?
うん……って……。
そっ、それは誰ッ……いや、やっぱりイイ! 言わないでクレ!

――ちょつと待テ。ひとまず落ち着こう、サーニャ。
エ? 「落ち着くのはエイラの方」ダって?
と、とにかくダ――ここで一度整理しないカ?
そもそもそれが本当に恋かは、まだわからないじゃナイカ。そうダロ、サーニャ?
ただの思い違いかもしれないじゃナイカ。
サーニャはその人のことを思うと、なんだかこう、胸があったかくなったりするカ?
うん……って……。
名前を呼ばれると嬉しくなったり、いっしょにいるだけでなんだか楽しい気分になったりするカ?
うん……って……。
――で、でも、それだけじゃまだ恋カどうカわからないナ。
恋ってなにも、楽しいことばかりじゃナイんダゾ!
その人のことを思うとサ……なんだか切なくなるんダ。そういうこと、サーニャはあるカ?
うん……って……。
その人の前だと急に口ベタになっちゃったり、さりげないしぐさにドキドキしたり、
手をつながれたりしただけでもう胸が張り裂けそうになるとか、そんなことはあるカ?
うん……って……。
そ、それは、恋かもしれないナ――
エッ? 「エイラもそんなことを思うことがあるの?」ダって?
そ、それは、その……ある、けど…………

ところでサ、サーニャはその人のどんなところが好きなんダ?
エ? 優しいところ?
そ、そうカ。優しいのは優しいのはいいことダヨナ。
――じゃ、じゃあサ、サーニャ。
たとえば、あくまでもたとえばダけど、私と比べてみたらどっちが優しい?
…………なんダヨ、その顔は。
もしかして悩んでいるのカ?
……そうでもナイのカ?
なんだかなにを言ってるのかわからないって顔ダナ……
ア、今の質問は忘れてクレ。

603 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 18:20:26 ID:RFvIj1Ls]
そ、それでサ。サーニャとその人はどっどこまで進んでるんダ?
ナニナニ……「夜間哨戒のあとに部屋を間違えたふりをしてその人の部屋で……」ダって!?
そっ、そんなことしてたのカ、サーニャ! 私の知らないところデ!
エ? 私も知ってる? なんで私が知ってるんダヨ?
――そ、それより、そのあとどんなことが……?
エ? 何もないって?
いや、そんなはずナイダロ。サーニャはその人のベッドでいっしょに寝たりしてるんダロ……?
じゃあなにかあるはずダ。怒らないから正直に話してみてクレ。
ひとつのベッドに女ふたりが寝て、なにもないなんてことがあるはずナイダロ?
エ? 本当に何もないのカ?
……ウン、そうなのカ。どうやら本当みたいダナ。
それはヨカッタ…………いや、サーニャ的にはヨクナカッタ。

エ? 「どうしてないもしないのかな」ダって?
きっとソイツ、そういうことに興味がないんじゃナイカ?
エ? そうでもない、って? どういうことダ、サーニャ?
エッ!? 「他の女の子の体はベタベタ触るのに」ダって!?
なんダヨ、それ! 最低なヤツダナ、ソイツ!
でもなんで、サーニャだけは触らないんダロ……?
と、とにかく、そんなヤツのことなんて、好きになることナイゾ!
そんなヤツよりワタ…………いや、なんでもナイ。

エ? 「わたしって女として魅力ないのかな」ダって?
そ、そんなことあるはずナイダロ! サーニャはスッゴク魅力的ダヨ。
だからサ、そんなに悲しい顔するナヨ。
きっとソイツはとんでもない甲斐性ナシなんダナ。ヘタレなんダヨ。
どうでもいい相手にはベタベタできるけど、本当に好きな人とはそういうことができないんダ。
私ダってそうダし。きっとそうダヨ。
それにしても、まったく。いったい誰ダヨ、ソイツ。
…………ン? どうしたんダ、サーニャ。どうして私のことじっと見つめてくるんダ?

元気出せヨ、サーニャ。
サーニャにそんな顔されると、私まで悲しくなってきちゃうじゃナイカ……
――そうダ。
ほら、サーニャ。そこに飾ってある花でも見てみろヨ。
その花はムスカリって言ってナ、私の好きな花の一つなんダ。
ン? 知ってる、って? そうカ、サーニャも知ってたのカ。
まあとにかく、綺麗ダロ、その花。なんだか見てるだけで元気が出てこないカ?
それで花言葉がたしか……
アレ? なんだっけナ、ムスカリの花言葉。一向に思い出せないナ。
エ? 「ムスカリの花言葉は『黙っていても通じる私の心』」ダって……?
そうそう、そうダった。よく知ってたナ、サーニャ。
なんだか意味深ダヨナ。
ン? ばか、って。
なんダヨ急に、なんてこと言うんダヨ、サーニャ。

604 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 18:21:50 ID:RFvIj1Ls]
そろそろ元気出てきたカ?
……うん、そうカ。出てきたカ。ヨカッタ。
私は逆にちょっと、元気なくしちゃったけどナ。まあ、サーニャが元気ならイイサ。
そろそろ相談はおしまいでイイカ? これ以上は私の心臓に悪いしナ。

じゃあ最後にタロットでサーニャのこと占ってやるヨ。
ウントコショドッコイショ…………よし、出たゾ、サーニャ。
こっ、これは【恋人の正位置】じゃナイカ!!!!
今日のサーニャは恋愛運が絶好調ダヨ……
その人との仲がより進展するだろうナ……
ヨカッタナ、サーニャ。ホント、ヨカッタ……

イイカ、サーニャ。
恋は気合いダ。ぎゅっと抱きしめて好きって言えばイイんダ。
……その人とうまくいくとイイナ。
グスッ……。
ワッ、私は、サーニャの、ことッ、応援、して、る……

――ウウン、やっぱり違うヨナ。

ゴメンナ、サーニャ。やっぱり応援できネーヨ。
サーニャ、聞いてクレ!
実は私、ずっとサーニャのことが――――
ウワッ!?
ど、どうしたんダヨ、サーニャ! 急に抱きついて来テ!
人が一世一代の告白をしようとしている時ニ……

――――――――――エッ!!!?

605 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 18:23:31 ID:RFvIj1Ls]
以上、1レス増えましたすいませんorz
まあとにかくエイラ誕生日おめ!こんなんで申し訳ない!
あと長々と説明。前述のとおりずっと前に書いたままお蔵入りしていたネタです、これ。
エイラが恋愛相談室をしているというもので、0167がリーネ、0181がルッキーニが相談に来ます。
(たしか一本目の投下は最終話の最速放送日の前日だったはず)
実は10本、つまり10人全員が相談に来るというのを目論んでいて、
その10本目にあたるのがこのサーニャ編です(9本目はペリーヌ)。
他のは途中まで書いて放置したきりで、これも投下しも出来もしなかったんですが、まあアレです。
今日ダケダカンナー。
……本当にすいません。昨日といい、今日といい。
そろそろまた、自室禁固すっカナ。
そんで最後にちょろっと補足をば。ムスカリはエイラの誕生日、つまり今日の誕生花らしいです。

606 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 18:43:41 ID:Uz2TulGZ]
洗濯代わりにやってとかのやつだろ?
覚えてるぞ

相変わらずいい仕事してるな

607 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 18:57:45 ID:6hOdMsCS]
>>592
自信なくて悩んじゃうサーニャかわいいなぁGJ!後半も待ってる!

>>605
調べたら誕生花っていろんな説があるんだな。スミレ(紫)のひそかな愛、誠実、貞節とかも面白い。
しかしエイラが鈍すぎるwソイツ、そういうことに興味がないんじゃナイカ?でバッドルート突入かと焦ったw
そんなあなたには途中で放置した作品を完成させるまでの自室禁固を命じたい。

608 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 18:59:10 ID:Gv6y2aA9]
>>592
つ、続きがくるまでGJなんて言ってやらないんだからーっ!!
さりげなくニパとエルマが混じってて吹いたw

>>605
きっと続きがあるって信じてたぜ、このシリーズ大好きだよGJ!!
謝ることなんかないさ、エースたるもの胸を張って投下すべし。
後からでもいいから他のメンバーのも書いてくださひー。

609 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 18:59:20 ID:NxizpDh1]
>>605
昨日リーネのやつ見たぞ。
頭の中で再生されるwwwGJ

610 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 20:14:40 ID:JaschuuF]
エイラ誕生日おめでとう!
これからもサーニャと仲良くな!

さてこんばんは。LWqeWTRGです。
誕生日SS投下します。
8レスです。





611 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 20:15:47 ID:JaschuuF]
さーにゃ、なかないで。
わたしはずっとさーにゃのそばにいるよ。

ずっと、ずっといっしょだ。


―――――

ん…、あぁ、夢か。
なんか変な夢だったな…。
……寝直そ。

微妙な気分は寝て直すもんだよな〜。
朝礼…はいいやー。

あれ、枕…あんなとこまで飛んでら…。
私ここまで寝相悪かったか…な…。

「っテうわサーニャ!いつのまに!?」
「んぅー…ん…」
「マテ私のお腹は枕じゃナイ!」
「う?…ん……」
「胸もチガ…!」
「わたし…ねむいの……」
「う、うぅ…キョウダケダカンナー!」
「…エイラ…静かにして……」
「あ、ゴメン…」

くー!かわいいなーもー!
これじゃあ動けないじゃないかぁー。
もうダメだな。朝礼行けそうにないよ。
ゴメンナーみんなー。ニヒヒ…。

私は眠れなくなっちまったけどな!
幸せだからいいけど。
あー、時間よ止まれー、止まれー。

「うみゅぅ…?あっ!エイラ!」
「ぬわっ!どーしたサーニャ!」
「大変!今日は早く起きなきゃ!」
「え?ナンデ?」
「だって今日は…! …いいから早く起きて!」
「うへぇ、わかったヨ…」

なんなんだよ、いったい…。
せっかくの朝が…。サーニャが…。



612 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 20:16:52 ID:JaschuuF]
「なー、いったいどうしたんダヨ〜。眠くないのカ?」
「今日は寝てる場合じゃないの。早く行こう」

ちぇ、朝礼出る気無かったのになー。



なんでこういう時に限って朝礼長いんだよ…。眠い…。
なに?朝飯?わかったからひっぱんなって。


「サ、サーニャ…?」
「エイラ、あーん」
「いや、あーんじゃなくテ…」
「あーんして?」
「自分で食べれるシ…」
「あーん…」
「うぅ……あーん!」

おいお前ら!こっちみんな!
私もなんでこうなってんのかわかんないんだよ!

「サーニャ!自分の分食ってナイじゃんカ!ハイ、口開けて」
「あー…。…やっぱりダメ、今日は自分で食べるの…!」
「えぇ?」

本当に今日のサーニャどうしたんだ?
お前らはニヤニヤしてんじゃねー!そんな目で見んな!


ふぅ…やっと食べ終わった。
食べさせてもらうのは慣れそうにないな…。まだドキドキ…。

「なぁサーニャ、今日なにがあったんダ?」
「気づいてないのね、よかった…」
「なにに?」
「何でもないの。これから訓練でしょ?」
「あ、うん…。でもサーニャはなにもないダロ?休んできなヨ」
「ううん、私はやることがあるから…。いこ?」
「うん…」



613 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 20:17:57 ID:JaschuuF]

わからん…なんだろ?
ストライカーをつける手伝いもするし、見送ったと思ったら走ってどっか行っちゃうし…。
うーん…謎だ…。

「おいエイラ!集中せんか!」
「あ、はーい。スミマセン」

ちぇ、それどころじゃないんだがな〜。



やぁっと訓練終わったー。
さて、サウナにでも…。

「エイラ!」
「おお、サーニャ。今からサウナに行くケド一緒に…」
「今日はお風呂行こうよ。ね?」
「え、あぁいいけどサ…」
「決まりね。さ、行こう」


「エイラ、頭だして」
「は?」
「洗ったげる」
「ナ!?いや、いいっテ!」
「ほら早く」
「頭洗うのは私できるシ!」
「ダメよ、私が洗うの…。…エイラ、ちょっと座ってくれる?」

こうなったら聞かないんだよな、サーニャは…。
おとなしく座って……、いぃっ!?

「サ、ササササーニャ!前!前!」
「前?」
「前に立たれるト!」
「だって髪洗うんだもの…」

ものすごい目のやり場に困る…。
ちょっとだけなら…。イヤダメだダメだ!

「動かないで…」
「押さえつけんナァァァ!当たってる!当たってるっテ!」

ヤバいクラクラしてきた…。
でもこのあと背中も流すとか言いそうな気が…。



614 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 20:18:58 ID:JaschuuF]
「体も洗ったげるね」

よ そ う ど お り !
サーニャノリノリだなぁ…。

「エイラ、立って」
「ハイ…。ちょまっ、マテそこはっ…!ひゃぅ!」
「しっかり洗わないと」
「やっぱり自分でヤル!もう身が保たナイ!」
「ダメ!私がするの!やさしくするから…ね?お願い」

そこまで言われると…。仕方ないな…。

「ありがと。じゃあ続きするね」
「うん…。…ふぁっ!そ、そこだけは自分でスル!」



はぁー。今日はいったいなにが起こってるんだろう。
サーニャは私を部屋においたら出るなーとか言ってどっか行くし…。
運勢が良いのか悪いのか…。いや良いはずだけど。
なんたってサーニャにお世話されてるんだからな〜。理由はわかんないけどな!

サーニャに体を洗われるなんて…ふふ…。
なんかサーニャの匂いがする気がするし…ニヒヒヒ…。

「エイラ」
「うわぁ!サーニャ!」
「なにしてたの?」
「い、いやナニもしてないヨ?」
「そう?じゃあ食堂に行こう。みんな待ってるよ」
「お、おう」

あれ、みんなが待ってる?先に食べてたりもするのに?
珍しいこともあるもんだな。



「じゃあエイラ、入って」
「ん?あぁわかっタ」




615 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 20:20:03 ID:JaschuuF]
「誕生日、おめでとう!!!!」


「ちょっとエイラさん!なんで避けるんですの!?」
「クラッカー?は被るものらしいですよ!」
「い、いやゴメン…。つい…ナ」

パーン!という音と飛び出してくるものをとっさに避けてしまった。
けど仕方ないだろ!私の能力なんだから!

でも…そっか、今日は私の誕生日だったんだな。

「エイラ、誕生日おめでとう」
「サーニャ…。ありがとナ」

「よーし、じゃあ食べるぞー!見ろエイラ!サーニャが作った料理だ!」
「ボルシチだよー!いっぱいあるよー!」
「お前らもサーニャに感謝しろよナ〜」
「私と芳佳ちゃんはケーキを作りました〜」
「リーネに宮藤もありがとナ」
「愛されてるよね〜エイラ。朝からいちゃいちゃして料理まで作らして…」
「うむ、なかなかの夫婦っぷりだったぞ!はっはっは!」
「ふっ!?ってハルトマン!少佐ってバ…!」

ほらサーニャが真っ赤になって下向いちゃったじゃんか…。
あーもうかわいいなー!

「はいはい、じゃあ乾杯しましょう」
「では私が…」
「トゥルーデにできんの〜?」
「うるさいっ!…こほん、では、エイラの誕生日を祝って乾杯!」

「かんぱーい!!」


……



616 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 20:21:08 ID:JaschuuF]
ふー、あいつらはしゃぎすぎ…。
風が気持ちいー。

「エイラ」

「ん、なんだ?サーニャ」
「今日1日エイラがいつも私にしてくれてることをやってみたの」
「あぁ、嬉しかったゾ。恥ずかしかったケド」
「ほんと?」
「うん。サーニャの優しさが伝わってきたヨ」
「うふふ、ありがと」


「それでね…」
「ん?」
「エイラが普段どんなに大変だったかがわかったの…」
「大変じゃないサ。私が勝手にサーニャにくっついてるだけだしナ」
「ううん…!私は何もせずにエイラに甘えてた。本当にわがままだった…」
「そうか?」
「うん。ごめんね」
「謝るなヨ…。私は好きでやってんダゾ?」
「でも…」
「これからもするつもりだシ」
「エイラ…」

「でも…いつまでもこんな私じゃ嫌われちゃう…」
「私がサーニャを嫌いになるわけないダロー」
「だって…わがままなんだよ?いつかエイラは私の相手するのに疲れちゃう…!」
「大丈夫だっテ」
「そしたら、エイラはどこか行っちゃう、それはイヤなの…!」
「サーニャ…」
「あ…ご、ごめんね…。またわがまま言っちゃった…」

サーニャ…気にすることないのに…。
それに私がどっか行っちゃうだなんて…。



617 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 20:22:07 ID:JaschuuF]
「サーニャ」

「エイラ…」
「サーニャ、泣かないで」
「…うん……」
「私はずっとサーニャのそばにいるよ」

「ずっと、ずっと一緒だ」

「エイラ……エイラ…ありがとう……」
「な。だから泣かないで、サーニャ」

ん…これどっかで…。ま、いっか…。
今は、この子が笑えるように…。




「あ…エイラ、これ…誕生日のプレゼント」
「お、ありがとう。あけていいカ?」
「うん」
「……おお、ダイヤのマークのネックレスか。可愛いじゃん。サーニャ、ありがとナ」
「うん…。そうだ…エイラ、つけたげる。かして」
「おう、じゃお願いしようカナ」

つけやすいように背中向けてっと。
ん?おいサーニャなんで回り込む?

「動いちゃダメよ、エイラ」
「え?あぁハイ」

この体制は…まさか。
サーニャが近づいてくる…。やば、心の準備が…。

「はい、つけたよ」
「あ、あれ?あ、いやありがと。どう…カナ?」
「うん、似合ってるよ」

ち、違った?それっぽい感じしたのになー…。

「ふふ、エイラかわいい」
「な、なんだヨー、いきなりー」
「だってかわいいんだもん」
「私よりサーニャのが…か、かわいいゾ…」
「うふふ…ありがと」



618 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 20:23:34 ID:JaschuuF]

「ねぇ、エイラ」
「なんだ?」
「これからも…よろしくね」
「ああ、こちらこそ。よろしくな」

「ずっと、ずっと一緒だよ」
「うん、もちろんだ」

「エイラ」
「ん?」
「ありがとう」

……いま、だったのか。
…サーニャのやつ、焦らしてくれちゃってさ。
さっきちょっとフライングしそうになったじゃんか。

「サーニャ…」
「エイラ…あったかい…ね…」
「サーニャ?」
「すー…すー……」
「そっか、今日は1日中起きてたもんな」

「ありがとう。サーニャ」


さて、部屋に戻ろう。
今日は特別に腕枕でもしてやっか。

なぁサーニャ、これからも安心して私に甘えてきてくれよ。
私は逃げたりサーニャをおいてどっか行ったりしないから。
ずっと守ってみせる。ずっと笑顔でいさせてやる。
だから…。


「いつまでも、どこまでも一緒に…」


END



619 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 20:24:28 ID:JaschuuF]
以上です。
タイトルは「誓いの日」です。
誕生日にお世話してあげるサーニャ…。でも誕生日の部分薄いような…?
サーニャのプレゼントは指輪と迷った結果、指輪はエイラがプレゼントするもんだ!ということでネックレスに。

自分の力だと誕生日SSはこれが精一杯なのでエースの方々の甘いSSを期待してますw

それでは、読んでくださった方に感謝。失礼します。


620 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 20:37:11 ID:WRytv54P]
後から後からエースが続々と…
ここはどんだけスオムス空軍なんだよwww

みんなGJ、ゴッドジョブなんだナ



621 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 20:42:46 ID:ISYQrLy0]
SSもすごいがpixivの絵も秀逸なのが多いな
さすがのエイラーニャってとこか

622 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 20:49:45 ID:3Sp8Zk5K]
勢い出て来ましたね〜。超wktkです。皆様GJ過ぎます!

623 名前:幸せのおまもり 1/2 mailto:sage [2009/02/21(土) 22:25:07 ID:euqHctE5]
幸せのおまもり

{どうせ一週間後のわたくしの誕生日なんてどなたも、でも今日はエイラさんにとって特別な日ですものね}

ちょっとしたお祭り騒ぎのみんなとは対称的に、今朝のペリーヌさんはちょっぴり物憂げな表情でした。

「ねえリーネちゃんバターのやわらかさってこのくらいでいいのかな?」
「え〜っと、うんじゃあ次はお砂糖を少しづつ混ぜていってね芳佳ちゃん」

通常任務の隊長と坂本少佐を除いた私達はエイラさんのお誕生日会の準備で大忙しです。
サーニャちゃんがエイラさんの足止め係。
シャーリーさんとルッキーニちゃん、そして私と芳佳ちゃんはお料理担当。
残りのバルクホルンさん、ハルトマンさん、ペリーヌさんは飾り付け担当のはずでした。

「ねえペリーヌ来てない?」
「んにゃ、きてないよ」
「やっぱりここにもいないか、あいつさぼりやがったな」

それからペリーヌさんが帰って来たのは日も暮れかけた頃になってからでした。

「なにやってんだよペリーヌあんた飾り付けの担……どうしたんだその格好!」

ハルトマンさんは言い淀みます。
ペリーヌさんは左肩に猟銃、右手には一羽のうさぎ、そして全身泥だらけになっていました。

「ペリーヌ気が効くじゃないか、何か華やかさに欠けると思ってた所なんだメインディッシュはコイツで決まりだな」
「あっそれは……食材ではなくて……その……」
「心配すんなって、あたしがとびっきりの丸焼きに仕上げてやるからさ」

シャーリーさんはうさぎをひょいと取り上げるとステップを踏んでキッチンに向かいます。
違いますシャーリーさん!きっとペリーヌさんは幸運のお守り「ラビットフット」を作ろうとしてうさぎ狩りに出掛けたんです。
誰か気付いて、早くしないと、なぜ誰も気付かないの、今私が言えば間に合うかも。
ごめんなさいペリーヌさん、いいえ私に謝る資格なんてない事わかっています。
既にグリルからはセージの香が漂って来ています。私は黙って気付かないふりをしていたのでした。

お誕生日会が始まりメインディッシュのうさぎの丸焼きを芳佳ちゃんが運んで来るとみんなから歓喜の声があふれだしました。

「ペリーヌさんがさっき獲って来てくれたばかりなんですよ」
「アリガトナ、ペリーヌ」
「別にお礼を言われる筋合いは在りませんわ」
「じゃー礼は言わねーケドありがたく頂くヨ」
「そんなの勝手に召し上がったら結構でしてよ」

せめてペリーヌさんの思いを少しでも届けなきゃ。
私はエイラさんのお皿に前脚の部分を切り分けようとナイフを入れました。
あれ?前脚がない?
私はもも肉をエイラさんとペリーヌさん、それぞれのお皿に切り分けました。
するとシャーリーさんが席を立ちました。

「なんだリーネも気付いてたのか、気付かないふりとは役者だねぇ〜プレゼントの本番はここからなんだ、なぁペリーヌ?渡してやりな」
「これは……ラビットフット!いつのまに」

シャーリーさんは初めから気付いていたんですね。
ペリーヌさんって動物の革を剥いだりした事なさそうだし、もしうまく出来なかったらせっかくのプレゼント渡すのやめてしまう。
そんなペリーヌさんの性格まで考えていたんですね。

624 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 22:30:11 ID:euqHctE5]
「一人で仕上げたいってガリア貴族のお嬢様のプライドもあるだろうけどさ、少しはあたしらを頼ってくれよ」
「ですからわたくしは!……もういいですわ、エイラさん早く受け取りになって下さいます」
「もいちどアリガトナ、オマエの泥んこ顔拝めただけで十分すぎるプレゼントダヨ」
「全くあなたって人は一言も二言も(ガルルルル)」
「アレ?ペリーヌなんかコレ、二つあるケドどうやって使うンダ」
「あ〜それね、おまえの大切な人に片方渡してくれ、ペリーヌじゃそこまで気が回らないだろうとシャーリーお姉さんからの気配りだ」

シャーリーお姉さん……気を配りすぎです。
みんながにやにやし始めています、私はどきどきし始めちゃいました。
サーニャちゃんはそわそわと、そしてエイラさんはかちかちに固まっています。
どうする?どうするエイラ?そんな視線がエイラさんに注がれています。

「ンギャー!」

エイラさん……壊れました。

「ペリーヌ、ワタシからの少し早いバースデープレゼントダ!クレテヤル」
「何ですの!人に向って物を投げ付けるなんて、しかも差し上げたばかりのプレゼントを!」

エイラさんサーニャちゃんに渡せなくて結局また逃げたんですね。
幸せのチャンスはきちんと自分で掴まないと、せっかくのラビットフットも台無しになっちゃいますよ。

「ウルセー、オマエが厄除けしてくんねーとコッチまでトバッチリ来るんダヨ」
「そのお言葉そっくりそのままお返し致しますわ、このプレゼントにお誕生日を祝う気持ちなんてこれっぽちもないんですからね」

エイラさんとペリーヌさん、掴み合いつねり合いの喧嘩始めちゃいました。
そんな二人はほおっておいてみんなはサーニャちゃんに詰め寄るのです。

「これで良かったの?これじゃこの一年、エイラはヘタレのままだよ」
「このままじゃペリーヌとエイラ、お揃いのお守り付けて歩く事になるんだぞ本当にいいのか?」

うんうん、芳佳ちゃんとバルクホルンさん、二人がお揃いのお守り付けてるなんて私だったら耐えられないよ。
サーニャちゃん取り戻すなら今しかないよ。

「あの……さっき……エイラからとても素敵なお守り、もらいましたから……私のお守りはエイラですから……」

サーニャちゃんは顔を赤らめながら両手で顔を隠してしまいます。
誕生日なのにプレゼントあげてばかりですね、エイラさん。
人前ではまだ無理でも、エイラさんやる事やってました。
二人きりの時間にいったい何があったのか、私達はそれ以上問い詰める事はなく、ただ声をそろえてこう言ったんです。

「ごちそうさま」


みなさんお疲れさま。
エイラおめでと。
ペリーヌちょっと早いけどおめでと。
一週間後も、もっともっと祝福で溢れますように願いをこめて。

625 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 22:51:02 ID:dpOMbYmu]
>>624
GJ!ペリーヌもサーニャもエイラもいい!
ハッピーなお話ごちそうさまw

626 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 22:59:41 ID:utG5Qda9]
>>624
あなたの優しさに感動した
エイラの誕生日をネタに、あえてリーネ視点で、ペリーヌを主に描くという…
すごいな。話のすすめ方とキャラの動かし方、尊敬に値する!
んでエイラーニャは一体なにをしたのかな?ごちそうさまでしたGJ!!

627 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/21(土) 23:25:18 ID:+K2carA1]
483kbだ
俺帰れないからスレ立て頼む

エイラすまねえ…

628 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/22(日) 00:08:50 ID:jJWT+Q3Z]
規制で無理ダナっぽいけど、トライしてくるわ。

629 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/22(日) 00:13:55 ID:jJWT+Q3Z]
出来たんダナ。
babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1235229055/

630 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/22(日) 00:44:44 ID:2kq58h3c]
>>629
乙なんだナ

埋めネタ募集中



631 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/22(日) 01:35:34 ID:bTDGoLdB]
>>629
乙!! 

しかし早いなぁ、もう22スレか

632 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/22(日) 01:37:19 ID:j31FN8t4]
SSの大量投下で1000行く前に埋まるからな、それにしてももう22とか異常だなw

633 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/22(日) 02:39:00 ID:nl7DSqQk]
>>629乙です!


二期にはニパニパやハイディやらレンちゃんがでればいいのになー
501とこのメンツの絡みが見たいし、どういうキャラなのかももっと知りたいし。得に喋り方とかが

634 名前:Sign,Shine,Kind-後 1/4 mailto:sage [2009/02/22(日) 04:47:24 ID:EAPHF4ES]
>>592の続き 埋まらない
―――
***

テラスに出て一人、夜風に吹かれていると何故だか涙がこみ上げてきた。
背後から漏れてくる光は無い。目の前に広がるのは星の瞬きとか細い下弦の月の頼りない明かりばかり
だけれど、私はそれについてはちっとも心細い気持ちにはならないのだった。だってそれは私の生業と
いっても過言ではない、夜間哨戒の時の景色そのものだからだ。暗闇に慣れた瞳は三等星の星の、心
ばかりの輝きさえも容易く見分けることができて、私は空を眺めながらその星と星とをつないで私オリジナル
の星座を作るのがささやかな楽しみでもあった。暗い趣味だ、と誰かには笑われるのかも知れない。だけど
暗い暗い夜の空で独りぼっちで過ごす方法なんてそれぐらいしか私には思いつかなかったから。

ほら、あれがネコペンギン座よ。そうエイラに語って聞かせたときは、流石にエイラも苦笑をしていたっけ。
それでも直後には「じゃああれはサーニャ座ナ!」なんて言ってすぐに乗っかってくれたから、とてもとても
嬉しかった。…ラジオのことを芳佳ちゃんに話したときエイラはどうしてか少し拗ねていたけれど、でも、
本当は二人だけの秘密なんてもっともっとたくさんあって、ラジオのことはそのうちの一つにしか過ぎない
ことにエイラは気がついていないのだろうか?

501のみんなにスオムスから来た客人を含めた13人での大騒ぎ…もとい、エイラの誕生日会はすっかり
お開きになっていて、きっとみんな部屋で寝静まっている。アルコール度数の強いお酒のせいか、それと
も出撃の憂い無く騒ぐ機会を得た開放感からか、みんな相当興奮していたから疲れ果てていることだろう。
食堂が屍累々になる前にそれぞれの部屋に引き上げることが出来たこと自体奇跡なのかもしれない。
主役のはずのエイラがつぶれ始めたみんなをたたき起こして「早く寝ろ、バカ!」と発破をかける様子は
どこか滑稽で笑いがこみ上げてしまったけれどそれはまさか、言うことなんて出来ない。

はあ、と。
こぼれると息はすっかり溜まってしまっていたもの。鼻の頭がつんとするのは、流してしまいたい気持ちが
あるから。
手すりにもたれかかってうつむく。さっきからため息が止まらない。今日はとてもとてもおめでたい日で、ため
息なんかとはおおよそ関わりないと分かっていながらもどうにもすることができないのがひどく悲しくて、情け
ない。本当はもっとずっと、笑っていたいのに。エイラが私に与えてくれるものを、私もエイラに上げたいから。
どんなときだって笑顔でいて欲しいから。私なんかの心配で、彼女の顔を曇らせたくないから。

さっきだってそうだ。エイラはとてもとても優しいから、部屋の隅っこでつまらなさそうにしている私を心配して
くれたのだろう。いつもひょうひょうとしているから、一見彼女の何を考えていることはわからなさそうに思え
る。けれど私は知っている。エイラはちゃんと"観ている"のだ。自分の視界に映るすべての人を、物陰に
隠れている人にいたるまで、しっかりと。こと私のことに関してはそれが顕著であるのではないかと思うのは
もしかしたら自惚れなのかもしれないけれど、真実であれば良いなと思う。

意識を集中して魔力を放出したら、満天の星空から星々のささやきさえも聞こえるような気がした。もしか
したら未だ見ぬ、異星の人からのメッセージなのかもしれない。そんなことを考えながら空を見やる。すう、
と無意識に息を吸って吐き出したら、はあ、と白い吐息が口からこぼれて霧散していった。それが簡単の
息だったのか、単なるため息だったのか、私には分からなくて。もしかしたらどちらでもあるのかもしれな
かった。宇宙の広大さに圧倒される。漆黒の空にちりばめられた星々の数多さに、私は己の矮小さを思い
知るのだ。
だけれども。
そんな、遠くにあって届かないほどのものの声を聞けることが、何の意味を持つだろう?私と来たらすぐ
目の前にいる人の気持ちも満足に受け取れずにうつむいてしまうのだというのに。それもこれもこの特殊
能力のせいだ、と責任転嫁をするのは簡単だった。…けれどもきっと、あの人なら、エイラなら、私と全く
同じ能力を備えていたとしても他人をないがしろにすることなどしないのだろうと思うのだ。だってそんな
エイラ、想像さえ出来ないから。だからきっとたぶん、これは私自身の問題で。


635 名前:Sign,Shine,Kind-後 2/4 mailto:sage [2009/02/22(日) 04:48:06 ID:EAPHF4ES]
はあ。
ため息をもう一度。あんなに楽しかったはずのパーティのその最中に、ずっとずっと溜め込んでいたもの。
エイラがそれを知ったらどんな顔をするんだろうな。きっととてもとても残念そうに顔を歪めるんだろう。
それでもたぶん、私を責めることは決してしない。どうしてなのか、なんてかんがえるまでもない。それが
エイラだからだ。少なくとも私にとっては。

そう、たぶんこの場に居合わせたとしても、エイラなら自分にとって今日の日がどんな意味を持つかなんて
そっちのけで私のことを心配してくれるのだろう。それはとても申し訳のないことだと分かっているのに、
そうして甘えてしまいたい自分が情けない。

「サーニャ、」

ほら、こうして私の名前を呼んで、

「そんなところにいたら、風邪ひくヨ?」

私の肩に、上着を掛けてくれたりして。
ありがとう。肩に掛けられた心地よい重みに反射的に例を言って、私はそれを引き寄せる。魔力を放出
している間は平気だけれども、その逆にそれを止めたあとは寒さが容赦なく襲ってくるのだ。だいじょうぶ?
尋ねる声がしたから、うん、とうなずいた。心がホワンと温かくなるのを感じた。ああ、エイラがいるんだ、
私のすぐ傍に。それだけで私はたぶん寒さなんて感じずに済むだなんて、気恥ずかしくて決して言えない
けれど。

「エイラ」

彼女の名前を呼んだら、なんだ?と返事がすぐに帰ってきた。そこで私はあることに気がつく。

「……エイラ!?」
「な、なんだヨ、急に大きな声出して」
「…エイラなの?」
「……じゃなかったらなんだってんだヨー」

文字通りの夢見心地で、空想の中のエイラとやり取りをしているつもりでいた私は目をぱちくりさせるばかり。
どうしたんだよ、とエイラが笑う。変なサーニャ。今日ひとつ大人になったはずなのに、私の知っているどの
表情よりも子供っぽい笑顔でそんなことを言って、私の頭に手を伸ばすのだ。もうすっかり感じ慣れたエイラ
の手が、慣れた手つきで私の頭をやさしく撫でていく。子ども扱いされている。分かっていてもついほだされ
てしまう私はやっぱり子供だ。だってこんなにも、甘やかしてもらえることが嬉しいのだもの。

「な、なんでここに…」
「いや…シュールストレミングまみれになったニパを風呂落として、適当な空き部屋に突っ込んできたんだ
 ケド…ええと、その…」

困ったように頬をかく。言い難そうに口をつぐむのは、何かを遠慮しているからのだろうか。何しろ暗がりの
ものだから、いくら夜目に慣れた私の目であろうともその機微を表情から読み取ることは容易いとは言い
がたい。

「さ、さーにゃがどこ探しても見当たらなかったカラ、心配になってサ!!…い、言いたいことあったシ!」
「…わたしを探して…?」
「う、うん」
「べ、べつに寂しかったからとかじゃないんだからな、ただ外にいたら風邪引くかもって探してただけで!」

なぜか焦って手をパタパタと動かしている。首をかしげると、ウウ、と不思議な唸り声を漏らすのだった。


636 名前:Sign,Shine,Kind-後 3/4 mailto:sage [2009/02/22(日) 04:48:37 ID:EAPHF4ES]
「その、あの、今日はアリガトナ!!シャーリーに聞いたんだ、サーニャがみんなに呼びかけてくれたんダロ?
 誕生日会しようって。あとスオムスのみんなにも声かけてくれたッテ…」
「…私はただ呼びかけただけだよ。私よりもずっと、みんなのほうが…」
「で、でも、私は嬉しかったんダ!!!………だだからその、お礼を言いたくテ…」

今日はすごく楽しかった。本当にありがとう。
暗がりでもはっきりと浮かんで見える、朗らかな笑顔でエイラは再び感謝の言葉を繰り返す。すごくすごく、
楽しかったよ。そんなの誰だって、パーティの最中でのエイラの態度を見ればわかることだったろうに。いち
いち言葉にしなくても私にだって、分かっていたのに。
みしりと胸が軋むのは、彼女の笑顔がひどくまっさらで、まっすぐなものだったから。だって私がエイラが
楽しんでいたそのときに考えていたことといったら。溜めていたものといったら。それを思い起こした瞬間
浮かべようとした笑顔は打ち消されてうやむやになってしまった。どうしたしまして。答えようとした言葉さえも
上手く音にならずにやみの中に消えていくばかり。ごまかすように空を見れば、あざ笑うように瞬く満天の
星。毎晩のように見ることが出来るのにはるか遠くにあって届かないそれは、エイラに少し似ている。一つ
大人になって、一歩近づけたと思うのに、またすぐに遠ざかってしまう。手を伸ばしても、背伸びをしても、
届かない。

なあ、サーニャ。
自然と辺りを包んだ沈黙を打ち消すように、ポツリと風に乗せられた言の葉。私は何も答えることが出来
なかったけれど、エイラはさして気にしなかったようだった。

「私たちは、いつまで戦い続けるんだろうナア」

それは沈黙に解けていくような静かな言葉だった。妙に感慨深げなその台詞に、私はやっぱり言葉を見つけ
ることが出来ずに押し黙るばかり。

「私が大人になる前に、戦いが終わるとイイナ」

オトナ。エイラの口からこぼれ出たその一つの単語はひどく物珍しくて、私はつい、「どうして?」と尋ね
返してしまった。大人。それは私にとってはまだずっとずっと先の話で、それはエイラも同じだと、ずっと
ずっと思っていたのに。
そんなことをいうものだから急に、エイラが私なんかじゃどうしたって追いつけないようなオトナそのものに
なってしまったかのような間隔を覚える。私にはまだ全然見えない『将来』が、エイラにはきっと見えている
のだ。
だって、ほら。エイラはそう言って、小さく息を吸った。一拍置いて、続ける。

「早く平和な世界にして、一緒にサーニャのお父さんとお母さん、捜しに行きたいダロ?」
戦いが終わるのを指くわえて待ってるなんてヤだからな、私。

ああ、もう、どうして!
何かを彼女に伝えたくて、けれどもどういえば良いのかわからなくて、私はその感情の赴くままにエイラの
胸に飛び込むことにした。ワアアアア!とあのエルマさんやニッカさんに負けないくらいの大声を上げる。
アアそう言えば、昼間にシャーリーさんやルッキーニちゃんに無理やり大きな箱に詰め込まれて、やっと
出してもらえたと思ったらそこにエイラがいた。そのときの気持ちに似ている。願ってやまなかったものが
目の前にあって、ようやっと手に入れられたときの喜び。たぶんきっと、そういった感じのもの。真っ暗闇の
箱の中から、私はまた、あなたという光を見つけたのだ。

ああもうどうして、私ばかりが与えられているだろう。今日はこの人の誕生日だというのに。それを少しでも
返したくて、今日という日のために入念な準備をしてきたのだというのに。
抱きしめる手に力を込めたら、どくどくと大きな音を打ち鳴らしているエイラの鼓動が耳に飛び込んできた。
そして同時にまた、頭の上にふわり、と優しい感触。エイラ。衣服に顔を押し付けて呟く。まるでエイラの胸に
直接語りかけるように。


637 名前:Sign,Shine,Kind-後 4/4 mailto:sage [2009/02/22(日) 04:49:33 ID:EAPHF4ES]
歳の割に大人びている、とか私はよく言われるけれど、本当は全然違う。少なくともこの人の前では私は
まだまだ甘ったれの、小さな小さな子供だ。
もういい歳なんだからもう少し落ち着け、とエイラはバルクホルン大尉にたしなめられていることがある
けれど、本当は全然違う。少なくとも私にとってはこの人はずっとずっと大人で、私なんかよりもずっと物事
をわきまえている。
たかが年齢が一つ縮まった、とか二つに離れた、とか。そんな小さなことを気にしてくよくよして、一人で
拗ねていた私はきっとひどく子供だ。だってエイラはそんなことお構い無しで、それより先の未来のことを
口にするのだ。『一緒』という言葉を使って、それを語って教えてくれる。私にとっては細切れでしかない
その月日を、彼女はいとも簡単に一つの線上に捉えることが出来る。そんな彼女は私はとても、とても
とても愛しく思うのだ。

「エイラ、」
「なんだ?サーニャ」
「誕生日、おめでとう」
「…ウン」
「生まれてきてくれて、ありがとう」
「……うん」

永遠を語れるほど私は大人ではないから、だからせめてこういおうと思った。

「ずっと一緒にいてね」

だってほら、そうしたら、たかが1年と半分の年の差なんてきっとちっぽけなものに思えるでしょう?
こんな小さなくよくよなんて吹き飛ばすくらいに傍にいて。不幸せになんてならないから。
それぐらいの誓いの言葉がこの胸には溢れているけれど、それを伝えるのはまだ少し気恥ずかしい。

うん、と答えてエイラがぎゅうと私を抱きしめてくれる。温かいなあ、なんてのどかに言うから私も気が抜けて
しまう。
ぼーん、と遠くから、時刻を知らせる音が鳴り響いたのを聞いた。ああ、きっともうすぐ明日が来る。
日付が変わるまではこうしていよう。こうしていてもいいよね?
なんて、いつもどおりだと言われたらそれまでだけれど、でも。

「しあわせ?」

尋ねたら、無言の頷きと早まる鼓動が答えてくれたから、それでいいのだと思った。


―――
以上です。遅れてしまい申し訳ない
今日は猫の日だから使い魔と中身入れ替わりとかサーニャが猫化とかそう言うネタをみんな
温めてるんだろうなあ さすがです
お手数ですが>>592の「ニパさん」を「ニッカさん」に訂正をお願いします
そして、タイトルを未題からSign,Shine,Kindに変更しました

スレに追いつけておらず全然読めていないのですが、投下されたすべてのSSにGJGJ!
もう22スレ目とかすごいな!しかも2月22日にとか何という結束力


638 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/22(日) 09:55:34 ID:WvnwlUFb]
埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め
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639 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中 mailto:sage [2009/02/22(日) 10:08:58 ID:mdhPwSK/]
                                      _  ..., , ....._
                                      ,...::'": : : : : : : : : : :.`:.:. 、
                                 /: : :./: : : : : : : : _: : : : : : \
                                    , ': : : :, ': : : : : :., ': :/ミ、/,、: : : : :ヽ
           .,.......::'::" ̄`::::....、            /: : :..:/: : : : : : ,.': /   ',:',.`'.,: : : : :.ヽ
          ./:::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ           ,': : : :./: : : : : :.イ ,.'      .l:l   ',: : : : : :',       _ , .、 、 , _
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      ./:/:/::::::::::::::::::::::ハ::::::::: :l:::::::::::ヽ     l: : : :,': : :..:/  i/  ``ヽ  ..l:l .   ;: :..:.',:.; :i  ./    , '        ,  ヽ
      .,':/::::,':::::::::::/::,ィ:::/ .|::::::::::ノ:::::::::::::::',     .|: : :._l: :..:./_ィ=== 、ミ     l;'.__‐‐-l、: :.:l: l: l ./      ./ ./ / .,'   ',
      .|//l:::::::-/x._i::/  l:::::/ト::l:::::::::: :::,   .|:..:/r|:..:./ ヽl|:::::トl!. .'    /_zェx、 .l!!ヽ.:|:.|l:|/     .,' ,.' ,.' . ,.'!   .l ',.l
      ./:/:: :|:::::::/__l/x_-‐!'"::/ノ l:!::::::::::::li:l   . |:..:l l.|: /i! ...弋;;ソ      / .il:::c|!ヽ .l: :.:l: !:l'     _,'∠∠_/ .l  , .,'l .N
     l/i:/`.l:::::,'イ゙灯cl`i` l/::/__‐十-l::: :::|:ll  ....|: :ヽ.l/9   ////      辷ソ .'./´!: ,' ,'.l! i     .l/_//`ヽ' ./l_z,,l_l l
    . l! .'!.i゙ .',:::l.  ゞソ  ./ 伜ッ`i l-、:::/:ll ,-、...|: : :ゝ`_.、         .ゝ /// ./ .l:.,';/./.;.l    lィ'i仞ciヾ //ノ_/,_ .l/`
    ┌.ヽ . ヽ!u        ゞ'' /∧. ヽノ' . ヽ_ヽ_: : : : :.| ゙i、    /``ヽ     ./  ,'// .....!l    .l .弋;ソ  /...伜ciヽ ,|
. 、  (.ヽフ:,-,゙.ヘ.         '  ..// l!∧ .ヘ  / / /`ヽ: :',:.| \..  ゙、_,/   .,ィ'  /    l!;     | ///    弋シ .'/.l.,'
. ヽ /~,'"7ヽl_,lヽ|ヽ  ‐ 、._   /  .'  '.,. ヘ/ / / .l .〉:.:',:!   ヽ、  _ .、 <: :l  (゙ヽ  '、ヽ .l!',   .|    r- 、_ ' // / ,','
. ヘ../ ./../ /〉 . _| . >.、_ ,  ィヽ      ' ,'     ヽ': :..:',- 、   "l┐: : : : :..:',  ヽ \/~7''7‐、, ト |゙i.、  、___.ノ   ノ.// ./
 ...'.,     . ヽ./ ',    .l~ヽ、ヽ:::\     .' ,      ヽ: :.',  .``r 、,〈.ヽ'_,: : : :..:',‐- ヽ_/ /../ .l.〉ヽヽ| .ヽ、 _ , 、 .<./l///
  .∧    .', .ハ\   ,'i  `、o-::ヽ、     ' ,     ..',: :.', ̄|..| |.l l´〉、ヽ: : :..:.'., ̄l ´ヽ    .ヽ_.,/~!_   ト、-、
  ./:: ::V    l . ハ `>‐〈 .l.l゙l゙ll .l ̄ ̄` ヽ   ,、i     .l: : :',~r--、rz-‐‐,l .ヽ: :..:..:', .l  .l    .',〈  `'ァr'" ヽ::::`ヽ‐-‐ヽ
 、-‐".rt 、  l  ヽ .l l_ヽl.|.|:|| l   / .l ,.<-‐r-. 、   /: : : ',l;;;;;/~i、;;;;/l  ヽ: : : .; l  l´ヽ  ..l::ヽ  / Yヽ .,'::::::::::ヽ: ̄l:`
  ヽ-‐|  `ヽ'、   \ .| .l l_ll_l .l  i / l´ .ヽ .|   \/ .ヽ: :.:,."l;;;|ヽヽ;ヽ'   .',: : : i l  .l  ヽ、,_/::::::\  .ll y::::::::::: ::l:l::::l:::
   .', .|     `i    \l/    l y  /   y     \ 'i: :i .|;;;| .l l.ヽ;;\  ',: : :.ll   l   \:`l:::::::::::ヽ、ll/:::::::::::::::::ll::/::::
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