- 705 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2009/08/09(日) 03:26:29 ID:cvGU1LfU0]
- 「タカ坊、今晩の勉強は禁止だからね?」
「え〜〜〜〜〜〜っ!?」 当の貴明よりも先に不満そうな声を上げたのは雄二。三人で囲むのもすっかり自然とな った向坂家の夕餉。淡々と食を進める環の一言で食卓の雰囲気がガラリと変わった。 「はいはい、雄二も特別に免除してあげるから情けない声を出さないの。でも、わかっ てるわよね?」 「わかってるわかってるって。こう見えたって俺はヤるときゃヤる男なんだからな。な ぁ貴明?」 「どうして禁止なの、タマ姉?」 「って、やっぱスルーかよ!」 テーブルに指で『の』の字を描く雄二を蚊帳の外にして会話は進む。 「明日が試験の本番だから。ここまで来たら、もう勉強する事なんて何も残っていない もの。するだけ無駄よ」 「で、でも、少しでも……」 「その『少し』が禁物だと言ってるのよ。いまのタカ坊の精神状態じゃあ、勉強すれば するほど『ああ、そう言えばあれも』って次から次へと不安材料ばかりが浮かび上がって きて、あれこれ中途半端に手を付けて結局何一つ満足に出来ませんでしたで明日を迎えてし まう可能性の方が遙かに高いわ。だから、そんな無駄な部分に労力を割くくらいなら明日 に備えて早く寝なさいと言ってるわけ。大丈夫、ちゃんとスケジュール通りに受験対策し て来たんだし、あとはドンと構えていれば問題ないわ」 「で、でも……」 「でも、は無し。それともタカ坊、私が信用できない?」 「そんなことは……ないけど……」 「じゃあ、良いわね? 明日は心身ともに万全の状態で立ち向かえるように、今晩は好 きな音楽でも聴きながら寝なさい」 これで話は終わり、と環は二人を残したままサッサと自分の食器を片付けて部屋に戻っ てしまった。
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