- 1 名前:名無しSS作家さん mailto:sage [2008/02/22(金) 01:01:30 ID:y1yweLaz0]
- 桜が舞う、暖かな季節。
新しい出会いや恋、そして友情に笑い、悲しみ。 すべてが始まり、終わるかもしれない季節。 季節といっしょに何かがやって来る、そんな気がする―――。 ToHeart2のSS専用スレです。 新人作家もどしどし募集中。 ※SS投入は割り込み防止の為、出来るだけメモ帳等に書いてから一括投入。 ※名前欄には作家名か作品名、もしくは通し番号、また投入が一旦終わるときは分かるように。 ※書き込む前にはリロードを。 ※割り込まれても泣かない。 ※容量が480kを越えたあたりで次スレ立てを。 ※一定のレス数を書き込むと投稿規制がかかるので、レス数の多いSSの投下に気づいた人は支援してあげて下さい。 ※コテハン・作家及び作家の運営するサイトの叩きは禁止。見かけてもスルー。 前スレ ToHeart2 SS専用スレ 22 set.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1198661144/ 関連サイト等は>>2
- 413 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/12(水) 15:35:31 ID:L6EExxas0]
- 未来の可能性とか言い出したら、何でもありになるだろうが。
正直引篭もりとか負の属性追加物の大多数は、 作者の現況投影の手慰み物にしか思えんわ。
- 414 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/12(水) 15:37:37 ID:FP4+0RR60]
- 最近は社員によるSS叩きが横行しすぎじゃね
- 415 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/12(水) 19:41:48 ID:qIklqz3E0]
- 社員てどこの社員だよw
意見はそれぞれっつーことでいいんじゃないの そらダーク系はほのぼの系よりも不興を買う可能性は大きくなるが、 だから書くなとか投下するなってわけでもないし。書くのも自由。感想も自由 >413 そして萌え物の大多数は作者の現況反投影の手慰み物なんだなこれが
- 416 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/12(水) 21:33:21 ID:CRyLe59o0]
- 郁乃スレだと既にSSとか書いてるのは糞とか言ってたのがいたなぁw
- 417 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/12(水) 22:06:33 ID:Bf3g0Zdz0]
- ホント余計なお世話だよなあ
温い空気の中で馴れ合ってるのが気に食わない奴ってなんなんだろ 放っておいてくれって感じだよなw
- 418 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/12(水) 22:17:09 ID:D7D77PFw0]
- まぁでも、ちょっとこれはないだろ?
という設定はどうだかなぁと思うが。
- 419 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/12(水) 22:34:52 ID:hQcIL0QB0]
- まぁSSなんだし好きに書いたらよろし
フルプライスなのに、好きに書いてる輩……げふんげふん それより>>418のIDなかなか
- 420 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/12(水) 23:23:01 ID:kiwk+K9CO]
- じゃあ、今度から暗めの設定のときは、ネタバレしない程度に投下前に注意書きすればいいんじゃないか?
そうすれば、後は読んだ人の事後責任になるし
- 421 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 00:49:58 ID:EHF0f6TO0]
- >>413
>未来の可能性とか言い出したら、何でもありになるだろうが。 ゲームで描かれなかった可能性を書くのがSSだろう?キャラご との誕生日だったり、イベントだったり >>420 注意書きをした方がいいのはわかるが、どこからが暗い話なのか、っていう 基準は人それぞれだからまた荒れる気がする その辺は作者が決めるってことで、「これ注意書き必要だろ」って思ったら 荒れないようにレスする、とか
- 422 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 02:10:15 ID:LPO6o5eJO]
- たまに投下もする立場から言わせてもらえれば、出来れば注意書きとかは勘弁して欲しいかな。
それでなくてもさるさんや連投規制に怯えてるのに、前書きに貴重な一回を費やすのは正直勿体ない。 ネタバレ警告だってもういらないだろう?って思うし。 とにかく、投稿回数一回が重いコトもわかって欲しいなあ。
- 423 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 03:36:34 ID:waxKn/xm0]
- ぶっちゃけどんな可能性だろうがそれが原作の世界だと読者に思われなかったら失敗
思われない人数が多いほどダメなだけ。 注意書きうんぬんは、感想に対して周りがとやかく言わなければそれで解決だろ
- 424 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 04:44:44 ID:j0KlRRiGO]
- 投下宣言するときに、一緒に注意書きを書けばレス数を増やす必要はないんじゃないか?
例えば、 投下します 〇レスほど ヤンデレ注意 キャラが壊れてます とか
- 425 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 11:10:06 ID:eMn2PmLeO]
- あれ?でも前投下したときは重要な点が違ったよね?
おとめちっくいらねとか ここの住人も変わったなぁ、見るところは文体のみだったのに いつのまに話にまで口出すようになったの? 大体注意書き書いてるじゃん
- 426 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 11:44:08 ID:aiO6olrC0]
- >>425
まあ前ってのがいつごろを指してるのか分からんが これだけ作家の人数が増えて、SS自体も増えたら取捨選択の幅が広がるだろ その反作用で否定的に受け取られるジャンルの幅も広がるのかも分からんね 例えばふたなりものとか、俺は別にTH2のキャラじゃなくてええやんって思うし
- 427 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 12:49:57 ID:5K5tE07NO]
- 「鳩2のキャラでやらなくたっていい」ってのと「鳩2のキャラでやってはいけない」の間は天地だろ
前者の感想を持つのは自由だが、叩く基準は後者にしないとすぐ過疎るぜ
- 428 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 15:07:09 ID:RlaEW4Af0]
- >>426
逆に訊きたいが「鳩2のキャラでやる必要がある」SSってなんだ
- 429 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 15:17:17 ID:aiO6olrC0]
- >>428
人それぞれだから俺に訊かれても答えようがない だから>>423が言ってることが真実ってことさ で、何かマズイことがあるとすれば、>>423が言うところの 原作の世界だと読者に思われなかったら失敗って部分に関してだろうな ただ単に「俺は失敗だったって思う」って個人の感想を書いてるだけなのに 噛みついてくる奴がいるってことだろw 注意書きだの責任だのアホらしいったらありゃしない
- 430 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 19:42:28 ID:r4uZntlw0]
- まあ、フタナリやら陵辱やらは「(SS自体の質に関わらず)一部の読者を不快にさせる話」っていう認識は必要だろうけどね。
そういう話には「一部の方に不快感を与える描写があります」的なことを書いておくのが親切だと思うよ。
- 431 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 19:51:56 ID:RlaEW4Af0]
- ふたなりSSを投下するとき、ちゃんとお伺い立てたっしょ…
- 432 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 20:21:33 ID:A0yMcgf1O]
- 本編投下する前に、話全体の大まかなあらすじを提示しとけば?
そうすりゃ嫌な人は読まなくて済むし、読みたい人は読み進めるだろうし。
- 433 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 20:32:28 ID:xAskZ2QK0]
- なんでそこまでしなきゃならないか?ってことなんだが…
いくらなんでも作者の負担でかいだろ ネタバレ有りとか欝展開有りとかの一言ですむならまだしも 負担を作者にばかり背負わせるのはどうかと思うが
- 434 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 20:33:27 ID:RlaEW4Af0]
- 自分の嗜好に合わなかったなら、黙ってスルーすればいいだけだと思うのですが
俺間違ってるかな
- 435 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 20:34:33 ID:9hNuMvYT0]
- >432
よほどネガティブな感想つけられるのが嫌な作家さんならねw 基本的には、SSスレなんだから好きに投下して好きに感想つければいいだけでしょ
- 436 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 20:36:50 ID:ItCPIUsY0]
- あらすじは色々やばいようなw
まぁ、大まかなジャンルやメインヒロインの提示くらいなら良いような気はするけど。 『TH2雄二エンド後幼馴染モノ、日常ギャグ』『ミルファエンド後ミルファ、イチャラブ』みたく。 エロ有りの場合はも少し詳しく『ふたなり注意』『陵辱注意』『アッー!!注意』とか。
- 437 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 20:36:53 ID:r4uZntlw0]
- 「嗜好に合わなかったなら」の程度によると思う。
寝取られ物とかファンが警告無しで読んじゃった日には、グロ画像見せられるのに等しいダメージ受けるし。
- 438 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 20:39:53 ID:LB9xaBdz0]
- なんというローカルルール祭り・・
- 439 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 20:56:43 ID:NHqE8+kyO]
- テンプレあたりに読み手さんがみたくないジャンル一覧みたいの載せておいて
書き手さんはそこからチョイスして明示しておくとか? 今、よっちエンド後の雄二とユマの話を書いてるんですが 正直、書き手としてはここまで書いちゃうと 見せたい部分を先に出しちゃってる感があります。 でもお気に入りのキャラはたかあきと幸せになって欲しいから 嫌いな展開か確かめたい気持ちもわかるんですよねぇ
- 440 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 21:05:50 ID:NHqE8+kyO]
- 補足です
上のは あらすじ書く事についての自分の意見でした。
- 441 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 21:09:30 ID:MrbC09WM0]
- 消極的な感想を言われてもピィピィ騒がなければいいじゃないかな。
- 442 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 21:33:38 ID:9hNuMvYT0]
- >441
そういうこと。しかも騒ぐのは毎回作家本人じゃなくて周囲だからな 本人が「御意見有り難う御座います」っつってのんのに周りがファビョるのは変だっつーに
- 443 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 21:40:03 ID:IlA8rUHc0]
- まじめに観想書く人間も要るけど、難癖つけるのだけ一人前な人間も多いからな
つーかむしろそっちで荒れて盛り上がるのを楽しんでる人間も結構居るし だから定期的に作家が投稿しなくなって過疎るんだよ
- 444 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 21:45:00 ID:ki3RTkJL0]
- どうなのかねえ。
この手の言い争いをしても何も変わらないってのはこのスレの歴史が証明してるしね。 スルーすればいいってのもずっと言われてきたことだけど結局みんなスルーできなかったし。 こういうSSが投下されればこういう結果になるよ。 過去ログ見てくれば分かる。 これはもう誰が正しいとか間違ってるとか言っても全然意味が無い。 このスレでは起こるべくして起こる現象なんだよ。
- 445 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 21:48:52 ID:DU+qF/V70]
- 起きる時は全く問題ないようなSSでも普通に起きるけどねw
ま、だからこそ難癖は放置でいいだろうと 寂しい奴は放置しても自作自演するかもしれんが、それこそ相手しても仕方ない ちなみに傍目には難癖や叩きのようなレスでも、書き手は意外と嬉しいもんだ >434の言う通り気にくわなかったらスルーが一番厳しい態度
- 446 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 22:03:02 ID:tmkjmvvI0]
- エロパロみたいに連投規制が緩ければ済む話なんだけどな
これはまぁ仕方ないとしか言えないからその中で上手くやりくりすればいいだろ 1レス目で名前欄に注意事項あれば書くとかで良いんじゃないの
- 447 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/13(木) 23:58:15 ID:ItCPIUsY0]
- >>445
>スルーが一番厳しい態度 違いないw よほど厳しいのだと凹む時もあるけど、基本スルーが一番堪えるよな。 「読む価値もないんかな〜〜?」ってさww
- 448 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/14(金) 00:17:04 ID:95G2PuIxO]
- >>寝取られ物とかファンが警告無しで読んじゃった日には、グロ画像見せられるのに等しいダメージ受けるし。
これとかには全面同意 とりあえず「〜注意」の一行があれば平和になる気がする
- 449 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/14(金) 02:13:00 ID:a5adgLg10]
- 俺なんかはたまに具合悪くなるSSもあるしな
描写があっち方面で 半分くらいできつくなって読むのやめた
- 450 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/14(金) 18:22:53 ID:ceoa7BNO0]
- フタナリとか書くやつって頭おかしいだろ
アク禁にしてほしいわ
- 451 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/14(金) 19:55:28 ID:2YzaOfrr0]
- こんな馬鹿みたいな流れになるから作者居なくなるんだよな。
ふたなりだろーが、TH2キャラでやる必要が無かろうが、書くのは作者の勝手。 ただ、読者が読んでどんな感想つけるのも勝手だけど。
- 452 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/14(金) 20:04:37 ID:gfIDCE7r0]
- 作者がいなくなる、ねえ
ここ、既に作者しか残ってないような気がするのは俺だけかなw 新しく参加してくれる人はもちろんいるだろうけど、前は書いてたけど今は書いてないみたいな 作者崩れの人ばっかりって印象 いやあ、読むだけの人が、過剰に書き手を擁護したり、過剰に書き手にケチつけたりするかねえ 気に喰わなきゃスルーすりゃいいっつうのは真実だよ 多分、ホントに読むだけの人はそうするから
- 453 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/14(金) 20:34:42 ID:w3bV+D53O]
- >>452
なるほど、元、あるいは現在同じ書き手だからこそ…かぁ 現に俺も元書き手だったし、だからこそ感想なんかおこがましくて書けない訳だが 大体感想書くにしても書き込むときに読み直して 自分の文が書き手に不快になるようなら書かない事を選ぶ奴が大人だろ 読み手の東鳩なんざ聞いてないしな
- 454 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/14(金) 21:04:07 ID:BSPwCRLo0]
- >>452
そんな奴いねえ、とは言わないが、書き手同志のののしりあいと切って捨てるのもどうかと思うが 実際問題として、SSスレに限らず葉鍵はスレ荒らして喜ぶバカも多いし、SSスレは比較的荒らしやすい訳で この間爆撃食らったときもかえって喜んでた奴も居たくらいだしなぁ
- 455 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/14(金) 21:12:46 ID:w3bV+D53O]
- まぁここまででスレを50消費したうえに
長文続いちゃったね、どうするよ
- 456 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/14(金) 21:18:22 ID:BSPwCRLo0]
- まあ、今までの流れからいくとまたしばらく枯れるかもね
ADの評判もいまいちだし 評判がいまいちだからSSで補完という見方もあるけど、ここまで空気悪くなっちゃうと投下しずらいだろうし 今日は巷ではホワイトデーなんだがなぁ…
- 457 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/14(金) 21:24:50 ID:3k/RdMSn0]
- じゃあ今から書く。小学生が書くレベルの意味不明なものになるとだけいっておく。何を言われようが投下する。
- 458 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/14(金) 21:25:18 ID:c05mMfqmO]
- 貴明なんてホワイトデーで破産すればいい
実際、タマ姉と姫百合姉妹のチョコ、3倍もしくは1倍返ししようとしたら恐ろしいことに……
- 459 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/14(金) 21:28:10 ID:foaet2yF0]
- 流れを変えることに挑戦してみますか。
なんかSSのリクエストを下さい。 キャラでもシチュエーションでもジャンルでも構いません。
- 460 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/14(金) 21:30:33 ID:kF+dY8h30]
- >>458
そういう男気を見せるのも補完SSとしてありじゃね? >>459 つーわけで全キャラに三倍返し 働け貴明ホワイトデーのために なんてだうだろう
- 461 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/14(金) 21:30:39 ID:foaet2yF0]
- と思ったらもうホワイトデーで書いてる人がいるのか。
自分もホワイトデーで考えてみます。
- 462 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/14(金) 21:34:51 ID:c05mMfqmO]
- >>457、461両者ともwktkしながら待ってる
- 463 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/14(金) 21:48:01 ID:53PhCvAm0]
- じゃあ俺はホワイトライ(善意のウソ)で書くよ!
- 464 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/14(金) 22:35:24 ID:CwmL3+/k0]
- そういや今日ホワイトデーだったなぁ。
……あ、電波が入った。 俺で何人目か知らんけど、書こうかなww ちなみにシルファメイン、ドタバタだな。 週末のうちにはがんばって投下するぞ〜〜、お〜〜!
- 465 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/15(土) 00:23:11 ID:aMWi8Wc70]
- とりあえず書いたんだけど、どこで行数とか文字数の制限がわかるの?誰か教えてちょ。
- 466 名前:>>457眠いので待たずに適当に入れます。通し番号なし「無題」 mailto:sage [2008/03/15(土) 00:28:26 ID:aMWi8Wc70]
- さわやかな春の風
かすかにその雰囲気をまとった雨が降っている。 「貴明さーん」 春休みだ。人からはなれて自宅で自堕落にすごすのにも飽きてきたが、 今日はまだ一人でいたい。 「貴明さぁ〜ん」 ホワイトデー?なにそれ。おいしいの。 2月14日と対を成す日らしいが今は気にする必要はない。 女の人は義理といって渡したがるが、 それを清算するための労力は3倍、時に10倍あってしかるべきであるという恐ろしい一般の意見が存在し、 義理チョコという名の黒い塊はその甘さに似合わずシビアに、かつ表向き平穏さを保ちながらそれを現実化させようとする。 「お留守ですかー?」 そのために2月14日の苦行を乗り越えたのである。 −カチカチカチ つまり逃げたわけで。 −がちゃ つまり何も要求されるはずはないわけで。
- 467 名前:「無題」 mailto:sage [2008/03/15(土) 00:28:46 ID:aMWi8Wc70]
- 「勝手にあけて入っちゃいますよー」
「もうすでに入ってますよね?ロボットの不法侵入って法的にどういう扱いになるんでしょうか。」 ソファーでテレビを見ながら呆けているところへ、 イルファさんがでこぼこした硬い棒を駆使してこわばった小さな穴を開き、目の前に現れた。 「すみません謝りますから電話に手を伸ばさないでください〜。 勝手にお邪魔してしまったことはお詫びします。どうしても、本能に逆らえず能力を駆使して進入してしまいました。 でも貴明さんもいけないんですよ?ずっとお呼びしているのに出てくださらないんですから。」 要求と謝罪と批判を滑らかに繰り出す。 「まぁその…」 どこに反応して何を返そうかと迷った挙句めんどくさくなって話題を求める。 「なにしにきたんですか?」 「ほわいとでーですよ。ほわいとでー。珊瑚様も言ってました。ほわいとでーやーほわいとやでー。と。」 「意味がわかりません。」 「貴明さん。バレンタインデーは一日中逃げて、結局誰からももらいませんでしたよね?ちょこれーと。」 「うんまぁ今日が怖くてね。」 「そこでです。今日何かを返さなくてはならないというのが貴明さんの負担になるのでしたら、 イベントの趣旨をずらして今日を楽しんでみよう。という提案をしに来たのです。」 「ずらすって…何か別のことをするの?」
- 468 名前:「無題」 mailto:sage [2008/03/15(土) 00:29:28 ID:aMWi8Wc70]
- 朝目覚めたとき、姉さんがいなかった。
今日の朝食当番は瑠璃ちゃんだから、また手伝うという口実でちょっかいかけにいったんだろうと、 特に気に留めず、2度寝に入った。 「あー…アンドロイドなのにスケジュール管理できてないのってどうなのよ…」 瑠璃ちゃんが起きたときすでに姉さんはいなかったと聞いて、思い当たったのだ。 今日はホワイトデー。恋人同士のイベント。 「抜け駆けされたぁぁ!」
- 469 名前:「無題」 mailto:sage [2008/03/15(土) 00:30:06 ID:aMWi8Wc70]
- 「あぁ。貴明さん!強すぎますぅ。もっと優しくお願いしますぅ。」
なんか聞こえる… 勝手に家に入るのはあまりよくないと思ったが、姉さんはその前に無断で鍵を開けているのだ。 そんな感じで、弁解の確認を頭の中でして不法侵入してきたのだが…言い訳は必要なかった。 「はぁっ。はぁっ。そんなこといって、手加減したらここぞとばかりに攻め立てるくせに。」 このパターンは…あれか。やっちゃってると勘違いして突入したら格闘ゲームやってるとかそういうやつか。 とりあえず冷静になろう。深呼吸しよう。 「入るよー…ってなにやってんのよ!」 ナニやっていた。 「わわっ。ミルファちゃん?!」 「あら。もうきちゃったんですか。」 二人とも服を着ていた。着衣プレイか。ダーリンはそういうのがよかったのか。 いや、よく見ると二人手にはコントローラー。あわてた貴明がイルファと離れたが、服はまったく乱れていない。 「もう。ミルファちゃんったら。もうちょっと遅く来てくれたらよかったのに。」 「遅れてきたらどうなってるのよ!ダーリンと何するつもりだったの」 「何って。もうミルファちゃんったら。わかってるくせに。」 イルファの言動はともかくとして、ただ貴明のあぐらの上にイルファが座って格闘ゲームをしていたらしい。 「ダーリンは私のおっぱいじゃないと満足できないんだから!姉さんはそんなことしなくていいの!」 「あら。貴明さんはちょうどよく揉めるサイズの巨乳がお好みなんです。ミルファちゃんのは大きすぎるんです。」 いや…だからいつの間に俺はそういう設定にされたんだろうか… 「いや、なんで争点がいつもそこなの。」 「ダーリンはおっきいほうがいいよね」 「私のほうがいい感じですよね?」 −ぴんぽーん −オトーケモノエース
- 470 名前:「無題」 mailto:sage [2008/03/15(土) 00:30:41 ID:aMWi8Wc70]
- 「おっと。郵便郵便。なんだろなー」
二人の間をすり抜け、そそくさと玄関へ向かう。 「はいはいいまでますよー」 −がちゃ ……えっと…………………ん? 「おとろけものれす。」 「バレンタインれーのおとろけものれす。」 2回言ったそこにはリボンを結んだシルファが立っていた。 リボン。髪に結ぶものですよね。 「あぁ。おかえり。シルファちゃん。」 「ただいまれすご主人様。メンテがちょうろ昨日の終業時間に終わったのれバレンタインれーにあわせて帰ってきました。」 「そっか。調子はどう?」 「いいかんじれす。もともと問題があったわけじゃなくてレポート用のメンテれしたしね。」 「よかったよかった。」 「スルーですか?突っ込まないんですか?突っ込んじゃいますよ?」 イルファの突っ込みの前の振りを入れている間にミルファが突っ込む。 「それ研究所から結んだままで来たの?ははっ。ひっきーだからまぁしかたないかー。」 顎からリボンをかけて頭の天辺で結んだシルファは余裕の表情で繰る。 「ぷぷぷ。体に巻くリボンはシルファとご主人様の契りの記憶なのれすよ。おぽんちミルミルには到底手の届かない崇高なものなのれすよ。」 そうだったんですか。知りませんでした。 「契りって…えぇー!ひっきーのくせにダーリンとそん−−」 「まぁ。リボンプレイですか。さすがは貴明さんです。マニアックな性−−」 それぞれの個性的な反応の中、前のリボンのように固く結ばれたリボンと淡々と格闘しながら、 貴明はまだ来ぬ春の、外の雰囲気を吸っていた
- 471 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/15(土) 00:31:41 ID:aMWi8Wc70]
- 以上。最後の○忘れたのが今目にとまった。
- 472 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/15(土) 00:33:17 ID:aMWi8Wc70]
- あぁ。要望忘れてた。まとめサイトにはログの形以外では乗せないでくれるとありがたいです。
- 473 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/15(土) 01:13:48 ID:ZwepYMTsO]
- >>472
GJ! 書くの早いな。羨ましい
- 474 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/15(土) 11:46:08 ID:Dmunus8Y0]
- >>471
GJ! でも、シルファ登場の辺りからホワイトデーとバレンタインデーが ごっちゃになってきているような・・・
- 475 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/15(土) 16:46:25 ID:QisxLYWwO]
- 流れをぶったぎって申し訳ないですが、
このみ物のSSが出来上がったので、投下したいと思います。 今回は幼なじみもので、極ふつうのありふれたストーリーになっています。 Hはなしです。 かなりの長編ですので、30レスほど使わせていただくかと思います。
- 476 名前:序章〜エピローグ〜その1 mailto:sage [2008/03/15(土) 16:48:16 ID:QisxLYWwO]
- (好き・・嫌い・・・・好き・・・嫌い・・・・・・!好き!)
「えへへ〜。また2人の恋愛運は大吉なのでありますよ〜♪」 誰もいない私の部屋。春の足音が聞こえてくるこの季節。日曜日のお昼前。 私はいつものように占いの雑誌を眺めていた。 「なになに・・・?乙女座は・・・・」 占いの結果が重要なのではない。ここに書いてあるコメントを読むことが重要なのだ。 ・・・私の自論だけど。 『過ぎてしまった時間は取り戻せません。ただあなたにできることは・・・・ (・・・ゴクッ) ・・・・・・後悔することだけです。』 ・・・いつも通りわけのわからないコメントだ。 まあ、それがこの雑誌のウリでもあるわけで・・・。 「本当に恋愛運大吉なのかなぁ・・・。なんか心配になってきたでありますよ・・・・。」 あまり頭の良くない私には、このコメントはただの戒めにしか聞こえなかった。 「後悔・・・か・・・・・。」 本を床におく。
- 477 名前:序章〜エピローグ〜その2 mailto:sage [2008/03/15(土) 16:48:47 ID:QisxLYWwO]
- 後悔していることなら沢山ある。
沢山・・・・ でも、この想いが届くことはなくて・・・・ (この関係が壊れてしまうくらいなら、今のままずっと、ぬるま湯に浸かっていた方がいいのかな・・・・。 たとえいつか、想いを伝えられないまま壊れてしまったとしても・・・・ 少しでも・・・長く・・・。) 去年と比べて何か変わったことはあるだろうか。 家の前の桜の木は、心なしか去年よりも多くの蕾をつけているように思えるけど。 背もあまり伸びてないし、胸も全然大きくなってない。そして何より・・・ 『2人の距離は少しでも短くなったのだろうか。』 「このみ〜。ごはんよ〜?」 「あ、は〜い。」階段を駆け降りる 「なぁ〜に?また相性占いでもしてたの?」 「そ、そんなんじゃないってば〜・・・。」 「ふふふ。さ、ご飯にしましょう」 「もう・・・お母さんってば・・・・」 これは、とある女の子の小さな恋の物語。 どこにでもある、ありきたりな恋。 でも、彼女にとってはたった1つの恋。 では・・・・・引き続き本編の方、お楽しみください。
- 478 名前:第1章〜予兆〜その1 mailto:sage [2008/03/15(土) 16:49:42 ID:QisxLYWwO]
- 新学期が始まった。
通学路の桜並木は、溢れんばかりの花を惜しげもなく舞い散らせていた。 4人で歩く朝の登校風景は昔と何ら変わりがない。ただ変わったとすれば・・・・ 「雄二・・・夜遅くまで何やってるのかと思ってたら・・・・」 タマ姉こと向坂環が俺達の通う学園を卒業して、近くの別の学園へと進級したことくらいであろうか。 まあ3年制の学園なわけで、いつかこんな日も来るって分かってたけど・・・・・ やっぱりちょっと寂しかったかな。 このみなんて大泣きしてたしな。通学はいつも通り一緒にできるっていうのに・・・。 「たかくん・・・。たかくん?どうしたの?」 「え?いや、なんでもないよ。・・・それより雄二は?」 「ゆうくんなら坂の下でお昼寝中でありますよ?」 (・・・タマ姉・・・・)
- 479 名前:第1章〜予兆〜その2 mailto:sage [2008/03/15(土) 16:51:21 ID:QisxLYWwO]
- 「もう・・・ゆうくんだらしないなぁ。・・・ちょっと迎えにいってくるから待ってて。」
「あぁ。」 「絶対待っててよーー!」 ・・・・元気な奴だ。世界中のみんなから元気を分けて貰ってるんだろうなぁ・・・・ 結んだ髪をピョコピョコと踊らせながら坂を下っていく。 「タカ坊もあと一年で学園卒業ね。」 「・・・うん。」 そっか・・・・あと一年か。 一年しか・・・ないのか・・・・。 「ふふっ。何寂しそうな顔してるのよ。」 「いや。楽しかったけど・・・・何かあっという間だったなぁって。」 (少しでも長くこの楽しい時間が続いてくれればなぁ・・・。) そう思っていた。 刺激的な出来事なんていらない。ただこの状態のまま、いつまでもみんなと仲良く・・・・ 「・・・・タカ坊?」 「え?あ、ごめん。・・・桜に見とれてて。」 嘘じゃない。今年の桜は例年よりも多く咲いていて、見とれてしまうほどの美しさなのである。
- 480 名前:第1章〜予兆〜その3 mailto:sage [2008/03/15(土) 16:51:53 ID:QisxLYWwO]
- 「ふぅ・・・・。まあいいわ。それより・・・・・・」
急にまじめな顔になるタマ姉。そして・・・ 「あと1年しかないんだから、後悔しないようにね。失われた時間は取り戻せないんだから。 それと・・・・・このみをよろしくね。」 「わかってるって。タマ姉の代わりにしっかり面倒みとくから。心配しなくていいよ。 階段の手すりのぼりもやめさせるし・・・・・・」 「・・・・ふぅ。」 大きなため息を吐くタマ姉。なんだろう。俺、何かおかしなこと言ったかな・・・。 「・・・・まあいいわ。じゃあ私はここで。またねタカ坊。」 「じゃあ。」 タマ姉を見送り、坂の上でこのみ達を待つ。 『本当に。本当にあなたは何もわかってない。』 「え・・・・・・?」 あわてて後ろを振り返る。 しかしそこには人の姿は見当たらず、散った桜の花びらが春風に誘われて舞っているだけであった。 (・・・・・誰だろ・・・今の・・・・・) 「お待たせ〜。はぁ・・・はぁ・・・・。じゃあ行こう?」 「え?・・・・あぁ。」 二人で坂を上って行く。言葉はなかったけど、いつもと変わらぬ心地よさがそこにはあった。 門をくぐる。最後の学園生活が幕を開けた瞬間だった。 (あれ?・・・・雄二は?)
- 481 名前:第2章〜提案〜その1 mailto:sage [2008/03/15(土) 16:52:38 ID:QisxLYWwO]
- 放課後、タカくんは何やら用事があるとのことで、私は一人で帰宅の途についていた。
「ん?このみじゃねぇか。」 「あ、ユウくん。・・・・じゃあね♪」 「まてまてまて・・・。 こんなナイスガイが一緒に帰ってやるってんだから、もうちょっとは嬉しそうにしろっての!」 頭をグリグリとなでまわされる。 「ユウくん、それがなければ絶対にモテると思うんだけどなあ・・・・」 「くっ・・・・・」 お世辞ではない。ユウくんは実際かなりかっこいいと思う。問題はこの性格・・・・・。 タマお姉ちゃんからも (このみ。雄二にだけは近づいちゃだめよ?バカがうつるかもしくは妊娠しちゃうからね?) って釘をおされてるし・・・・・・。 「・・・・・・今日という今日は負けないわよーーーー!!!」 「ふん。望むところよ。」 坂の上から何者かが猛スピードで駆け下りてくる。 「な、なんだ!?」飛びのくユウくん。 「甘いわね。私のMTBは来栖川特注の超軽量前かごつきハイテク自転車!! なんとモーターまでついていて加速可能。最高時速は60キロを超えるわ!!」 「もうそれ自転車って言わねぇし・・・・・・」 (さすがユウくん。私なんてどこから突っ込めばいいのかわからなかった・・・・。) 「ふっ。それがあなたの本気?・・・甘い。甘すぎるわ。私の車椅子はあと3回変身を残しているのよ?」 「な、なんですって!!・・・・・・」 ・・・・・・・・・バカは風のように去っていった。
- 482 名前:第2章〜提案〜その2 mailto:sage [2008/03/15(土) 16:53:35 ID:QisxLYWwO]
- 「・・・・・・。」
「・・・・・・。」 「そうだ。そういえばこのみはさ、 (ユウくん・・・・無視ですか。) 最近貴明とどうなのよ?」 「ふぇ?!どどど、どうって・・・・?」 急な話題に戸惑う私。 「告白とか、まだしてねぇのか?」 「そ、そんなのしてないでありますよ・・・・。でも・・・・ユウくんにはお見通しなんだね。」 「んぁ?このみが貴明のこと好きだってことか? ばーか。んなもん誰だって気づいてるっつうの。ましてや俺なんて、何年幼馴染やってると思ってんだよ。 気づいてないのは・・・・・・当の本人くらいだろうな。」 「そう・・・・だよね。」 この道の桜は毎年変わらずに同じ姿を見せている。そして今年も。 しかしその光景は私には全然綺麗に見えなくて・・・・・。 「よーっし。んじゃ、この優しい雄二様が一肌脱いでやるかな!」 「・・・・え?」 「ほれ、ちと耳貸せ・・・・・。」 「・・・え?ほんと?・・・・ありがと!!でも・・・・いいの?」 「いーんだよ。ちびすけを悲しませたら、姉貴に何されるかわかんねぇしな。 それに・・・・そろそろお前と貴明の笑顔も見てみたいしな。」 へへっと笑い、頭をなでてくるユウくん。 どうしてこんなにも沢山の人が私のことを応援してくれるのだろう。よっちもちゃるも・・・・ユウくんも。 「・・・・ありがとう。ユウくん。」 「いいってことよ。」 また頭をなでまわされる。 「礼なら・・・・・姉貴に言ってやれ。」 「・・・・・?」
- 483 名前:第3章〜友情〜その1 mailto:sage [2008/03/15(土) 16:54:23 ID:QisxLYWwO]
- 翌朝、いつもより早めに学園に着くと、えらくご機嫌斜めな郁乃ちゃんが、教室の真ん中で負のオーラを放っていた。
この日に限って、郁乃ちゃんに近寄る者はほとんどいなかった。 「い、郁乃ちゃん。おはよう。」 意を決して声をかけてみる。 「どうしたの?」 「いや・・・別に。どうして私の車椅子は加速しないんだろう・・・・いや、そもそも変身のタイミングが・・・・・・」 朝から絶賛不機嫌中な郁乃ちゃんは、どこから持ってきたのか机の上の『枕』に鉛筆をプスプスとさしこみ、『バウムクーヘン』を胃に流し込んでいた。 (そっか・・・・春だもんね。) 「プス、プス・・・プス。」 (春はおかしな人が増える)というタマお姉ちゃんの言葉を思い出して一人納得し、私は今日一日を過ごした。 ・・・・・・・・・・・・。 「それって、もう一回病院送りにした方がいいんじゃねぇか?」 今日もユウくんと二人での帰り道。 朝の郁乃ちゃんのことを話すと、ユウくんはケラケラ笑いながらそう答えてきた。 「む〜。郁乃ちゃんは変人じゃないよ。」 「んなこといってもよー。 車椅子が加速(笑 バウムクーヘン流し込み(笑 ・・・・しまいには枕に鉛筆プスプスだろ?(流 もう精神が異常としか・・・・・・いや、まてよ。考えようによっては・・・・天然キャラか? いや、それにツンの要素も兼ね備えている・・・・。ムフッフ。これはなかなか・・・・・・・」 (ユウくんって・・・・人生楽しんでるなぁ。)
- 484 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/15(土) 17:08:43 ID:R3DMb/ww0]
- 支援
- 485 名前:↑の中の人 mailto:sage [2008/03/15(土) 17:09:02 ID:+MAKzWDd0]
- 猿さん来たんで一旦中断。。
- 486 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/15(土) 18:22:56 ID:ZwepYMTsO]
- 投下支援
- 487 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/15(土) 18:43:29 ID:lyV9Oq+S0]
- 紫炎の霞城
- 488 名前:第3章〜友情〜その2 mailto:sage [2008/03/15(土) 18:49:10 ID:+MAKzWDd0]
- 「・・・・お。そうだ。ほれちびすけ。ちゃんと手配しといてやったぞ。」
ユウくんはそう言って、遊園地のフリーパスポートを2枚私に手渡した。 「あ・・・・ありがとう!!いつか絶対にお返しするね。」 「んなもん期待してねえっつうの。そんなことする暇あったら・・・・貴明に何かしてやれ。」 ユウくん・・・・優しいなあ。 「えへへ〜♪それにしても・・・・・ユウくんも、本当にタカくんのこと好きなんだね。」 「だから何でそうなる!!・・・まぁいいや。 絶対忘れるなよ?今週の土曜日だからな。その日貴明は何の予定もないはず。 ・・・・あと1年しかないんだ。しっかりやれよ。」 「うん・・・・。わかった!!」 「このみ・・・・がんばれ。」 その言葉に一瞬私はドキッとした。 今までにいろんな人から聞いてきた言葉。 今回も、それがユウくんだけの言葉じゃない気がして・・・・・・ 「うん・・・・。私がんばる!!」 柚原このみ、一世一代の大勝負であります!!
- 489 名前:第4章〜忠告〜その1 mailto:sage [2008/03/15(土) 18:52:03 ID:+MAKzWDd0]
- (しっかし、このみと遊園地なんて何年ぶりだろうな・・・・)
昼休みにこのみから遊園地のチケットをもらった俺は、それを片手に食堂へ向かう途中だった。 「また女とデート?」 背後から声をかけられる。車椅子の女の子。 「・・・なんだ。・・・・バカか。」 「ちょ、ちょっと!!バカって何よバカって!!・・・・そんなことより、また女とデートなの?」 「え?あぁ。違う違う。このみと遊びに行くだけだよ。たまたま土曜日空いてたしな。」 「・・・・そういうのをデートっていうんでしょ。」 「デートって・・・・。このみはただの幼馴染で、妹と遊びに行くみたいなもんで・・・・・」 「?あれ?あんたたち付き合ってるわけじゃないの?」 「まさかぁ。だからこのみはただの幼馴染で・・・・」 刹那、郁乃の目がスーッと細くなる。 「あんた。まさかとは思うけど、このみにそんな事言ってないでしょうね?」 とても冷たい口調で問いかけてくるプスプス。 しかし俺には郁乃の言っている意味がよくわからなかった。 ・・・・?だって、俺とこのみはただの幼馴染で・・・・・ 「ふぅ。誰がどう見たって・・・・。このみはあんたに惚れ込んでるじゃないの。」 ・・・・・・・・・は?
- 490 名前:第4章〜忠告〜その2 mailto:sage [2008/03/15(土) 18:53:00 ID:+MAKzWDd0]
- 「いやいやいや。さすがにそれはないって。」
俺は苦笑しながら答える。 郁乃も、普段は無愛想だけど冗談とか言うんだな・・・・・・。 「・・・・・まぁいいわ。ここから先は私が言うことじゃないし。あと1つだけ。」 郁乃の目がさらに細くなる。 「このみを泣かせたら、ただじゃ済まさないわよ。」 ・・・・・・こえぇ・・・・・・ (ていうか、どうやったら遊園地でこのみを泣かせられるんだか・・・・。) 「よぅ色男。まーたお前は女とデートか?」 後ろから同じような台詞をかけられる。 「・・・・なんだ。バカか。・・・・・・じゃあな。」 「こらこら。まてまて。そのチケットはどうしたんだ?」 「これか?このみが遊園地に行こうって誘ってきてさ。雄二も一緒に行かねえか?」 「・・・・・・俺がいたら何も意味ねえだろうが。」 ぼそっと何かつぶやく雄二。・・・・・・よく聞こえない。 「悪いけど、俺はその日ちょっとした野暮用があってな。」 ニシシと笑う雄二。 「そっか。まぁ楽しんでこいよ。」 「バカやろー。 ・・・・・・楽しんでくるのはお前らのほうだっつーの。」
- 491 名前:第5章〜期待〜その1 mailto:sage [2008/03/15(土) 18:54:11 ID:+MAKzWDd0]
- 土曜日。せっかくだからたっぷり遊ぼうというこのみの計画に従い、朝早くこのみを迎えに行く。
「お待たせ〜。・・・・?タカくん?どうしたの?」 「・・・・・・え?あ、ああ。行こっか。」 久しぶりに見たこのみの私服姿はとても可愛くて・・・・女の子らしくて・・・・・・ (女の子?) 顔が火照ってくる。 (い、いや、冷静になれ。このみは俺にとって妹みたいなもんで・・・・) 「あーー!!こーのみー!!」 「あ。よっち!ちゃる!」 途中2人の友達と出くわしたこのみは、楽しそうにおしゃべりをしていた。 何を話してるんだろう・・・・ (いや、そんなことよりもこの隙に・・・顔の火照りをどうにかしないと・・・・) 「このみデートッスか?こりゃ友人として応援しないといけないっしょ!」 「このみ・・・・ファイト。」 「う、うん。私、がんばるね!」 「あとで色々聞かせてもらうから・・・・ほら。さっさと楽しんで来い!!このみ!!」 「・・・・がんばれ。」 ようやく平静を取り戻した俺は、このみと2人で遊園地へと向かった。 なんでこんなにドキドキしてるんだ俺は。 ただこのみと遊びに行くというだけのことなのに。 それだけのことなのに・・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 「いいなぁ〜このみは。このみばっかり毎回ずるいっしょ。」 「じゃあ・・・・このみから河野先輩を奪うか?」 「・・・・・・ちゃる、ずるいッスよ。」 ・・・・・・・・・・・・・・・・
- 492 名前:第6章〜いつもどおり〜その1 mailto:sage [2008/03/15(土) 18:55:14 ID:+MAKzWDd0]
- 遊園地に着いた。
はじめは心なしか緊張していたこのみも俺も、時が経つにつれて『いつもの』状態にもどっていった。 昼はベンチでこのみ持参の弁当を食べた。 ところどころ形がいびつで、変な味の具材が入り込んでたけど・・・・。 春夏さんでも失敗することってあるんだな。 「ね?ね?どう?美味しい?」 期待するような目で俺を見てくるこのみ。 「ああ。美味しいぞ。ちょっと変な味のも混ざってるけど・・・・さすが春夏さんだな。」 「・・・・・・そう。」 一瞬このみが悲しそうな顔をする。しかしすぐにいつもの顔に戻り、他愛のない会話がくりかえされた。 ・・・・・・そんなこんなで閉園30分前。 「最後の締めはやっぱりあれだな。」 この遊園地のシンボルとでもいうべき大観覧車。 この町で一番大きな桜の木のすぐ横に立っているというのがウリで、アトラクションの締めにはもってこいなのである。 当のこのみはというと、俺の予想とは裏腹に、いささか緊張した様子だった。 (このみって高いところ苦手じゃなかったよな・・・・) そんなこのみの様子は特に気にせず、俺達2人はゴンドラの中へと乗り込んでいった
- 493 名前:第7章〜小さな勇気〜その1 mailto:sage [2008/03/15(土) 18:56:54 ID:+MAKzWDd0]
- ガタン。ゴトン。
ゴンドラは上っていく。高い高い大空へと。 「・・・・・・。」 さっきからタカくんは何もしゃべらない。 (あぁぁ、どうしよう。ドキドキしてきた・・・・でも・・・・・。でも・・・・・・。) 「おい、このみ。見てみろよ。ほら、外。」 言われるままに外を見ると、かなりの高さまで上ってきたことがうかがい知れた。 それでもまだ半分ほどだけど。 「うわぁ――。きれい・・・・。」 心の底から声が出てきた。 夕焼け空に染められた私たちの町はとても小さくて。 そして私たちを包み込むオレンジの夕日と、それに照らされながら舞い散る桜の花びらがとても幻想的で・・・・。 「おひさま・・・・きれい・・・・・・」 自然と声が出てきた。 「本当に綺麗だなあ・・・・・」 タカくんもその光景に見入っている。 (・・・・ありがとうおひさま。ありがとう桜。 あなたたちのおかげで私、少し勇気が出てきた!) もう少しで頂上だ。胸のドキドキはとまらない。今にも気絶しそうだ。・・・・・・でも、 (・・・・がんばれ私!!) 桜との旅はここまでだった。 (がんばれ!!) 「タ・・・タタ・・・・タカくん。」 「ん?どうした?・・・・・・このみ?」 いつもと違う空気を感じ取ったのか、タカくんも神妙な顔つきになる。 「あのね・・・・話があるの。」 もうここには桜は届かない。ゴンドラには私とタカくん。2人だけ。 「大事な・・・・話があるの。」 夕焼け空だけが、私たちを見つめていた。
- 494 名前:第7章〜小さな勇気〜その2 mailto:sage [2008/03/15(土) 18:58:45 ID:+MAKzWDd0]
- このみは窓際に立ち、座っている俺を見下ろす格好になっている。
背後から夕日が当たっていて、このみの姿そのものを神秘的なものにしていた。 「タカくんにとってユウくんとかタマお姉ちゃんってどういう存在?」 重い空気とは裏腹に、このみは他愛のないことを聞いてくる。 「どうって・・・・・」 「まじめに!!・・・・まじめに答えて。」 このみの両手は固くギュッと握りしめられている。唇も・・・・・・震えている。 「雄二とかタマ姉は単なる幼馴染だろ?昔からずっと。そしてこれからも。 一緒に笑いあって一緒に泣ける。親友みたいなもんだよ。 もちろんこの・・・・・・」 「じゃあ!!・・・・・・。」 突如言葉を遮られる。あまりの気迫にたじろぐ俺。 今日のこのみは・・・・なんか変だ。 「じゃあ・・・・。タカくんにとって・・・・・・私って何?」 「え・・・・・?」 思わず聞き返してしまう。
- 495 名前:第7章〜小さな勇気〜その3 mailto:sage [2008/03/15(土) 18:59:15 ID:+MAKzWDd0]
- 「河野貴明にとって・・・・・柚原このみはどういう存在?」
普段だったら(何言ってんだよ〜)と一蹴していたかもしれない。しかし、今日のこのみは普段とは違っていた。 何か見えない重荷を背負っているようで・・・・どこか苦しそうだった。 このみの足がわずかに震えている。 「おい、このみ・・・・・。大丈・・・・・」 「私は大丈夫。・・・・・お願い。質問に答えて・・・・・・。」 どうしてここまで俺の回答にこだわるのかわからない。 ・・・・・全然わからない。 俺の答えなんて1つしかないのに・・・・・。 「このみは・・・・・」 夕焼け空がまぶしい。 「俺にとってこのみは・・・・・」 ゴンドラは音を立てて下降していく。 若い2人を乗せて。
- 496 名前:第7章〜小さな勇気〜その4 mailto:sage [2008/03/15(土) 19:01:35 ID:QisxLYWwO]
- 「大切なかけがえのない友人・・・・親友。大親友だよ。
一緒にいるととても楽しい。逆にそばにいないと不安になる。 妹・・・いや、大切な家族みたいな存在だ。もちろんタマ姉も雄二もみんな・・・・・・」 私の中で何かがはじけ、音をたてずに崩れさっていった。 (家族・・・・妹・・・) 妹じゃない。家族なんかでもない。 私はただ、『1人の女の子』として見てもらいたかったのに・・・・・ せめて・・・・あなただけには・・・・・・ タカくんは慎重に言葉を選んだんだと思う。私を傷つけないように。悪気なんてあるはずもない。 でもそんなタカくんの優しさは、私の胸をズタズタに引き裂いていった。 涙が頬を伝う。 とっさに私は外の風景目をやり、彼に背を向ける。 ・・・・・泣いていることがバレてしまわぬように。 そして・・・・もうこれ以上、彼の優しさに惑わされぬように。 「おい・・・・このみ!!本当にどうしたんだよ。今日のお前、何か変だぞ・・・?」 変・・・か。もうこの際どう思われたって良い。 遠回しな表現はやめて、本当の想いを打ち明けてしまおう。 そして・・・・・ 『もう終わりにしよう』
- 497 名前:第7章〜小さな勇気〜その5 mailto:sage [2008/03/15(土) 19:03:03 ID:QisxLYWwO]
- 「タガぐん・・・・。このみ・・・・この・・・ね・・。」
だめだ・・・涙が止まらない。言葉もうまく出てこない。 ・・・悲しくて泣いてるんじゃないよ?夕日が・・・まぶしくて。 ・・・・まぶしすぎて。 「わだし・・・タカ・・・・好き・・・ったの。ずっ・・・と」 「このみ・・・・・。泣かないでくれよ。俺が何かしたんだったら謝る。だから・・・・・」 ・・・・・・届かなかった。 彼の耳に、私の声は。 ・・・・・・届かなかった。 ゴンドラは長い旅を終えた。 (最後に・・・・・もう一言だけ。) 「タカくん・・・・ごめん・・・ね」 観覧車の扉が開かれる。係員の指示も聞かず、私は一目散に走り去っていく。 行くあてなどないけれど。とにかく・・・・走っていたかった。 「このみ!!」 後ろからタカくんの声が聞こえる。その声はどんどん遠ざかっていって・・・・・聞こえなくなった。 ふと後ろを振り返ってみる。 ・・・・・・誰もいない。 (どうして・・・こんな事になっちゃったんだろう。) 見覚えのある場所までやってきた。 しかし今は、ここがどこかなんてどうでもよかった。 河原の土手にうずくまり、私は泣いた。 いつまでもいつまでも・・・・・・泣き続けた。
- 498 名前:第8章〜宝物〜その1 mailto:sage [2008/03/15(土) 19:04:17 ID:QisxLYWwO]
- 「ハァ・・・ハァ・・・・」
遊園地の出口まできた。このみの姿は・・・・どこにもない。 息を整え、再び歩き出す。 「・・・・?」 前方に、見慣れた姿の人が1人立っていた。桜の木の下・・・・。このみじゃない。 夕日の逆光を浴びていて、表情まではよくわからない。しかし、 「よう貴明。」 「・・・・雄二?」 一声でわかった。・・・・いや、わからないはずもない。 「どうしてここに・・・?今日は用事があるんじゃ・・・・」 「んなもん嘘に決まってんだろ。・・・つけてたんだよ。 ・・・・今日1日、おまえ達のことをつけてたんだよ。」 (何を言ってるんだこいつは・・・・。雄二の言いたいことが全くわからない・・・・・) 「本当に今日1日つけ回してたっていうんなら・・・・趣味悪いぞ。 じゃあ。わりぃけど・・・・急ぎの用があるんだ。」 そう。早くこのみのもとへ行かないと。 行って・・・・何を言えばいいかなんてわからないけど・・・・・。 そして、雄二の横を通り過ぎ、走り出そうとした瞬間・・・・・・ もの凄い力で肩をつかまれた。
- 499 名前:第8章〜宝物〜その2 mailto:sage [2008/03/15(土) 19:05:20 ID:QisxLYWwO]
- 「まぁまぁ。ちょっと話を聞かせてくれよ貴明。」
おそらくいつもの表情の雄二。 でも彼が発する言葉には所々とげのようなものがあって、心なしか怒っているように思えた。 「・・・・・・・このみはどうした?」 「このみは・・・走って帰ってった。何でかわからないけど・・・・逃げるように・・・」 「最後にもう1つ。」 俺の答えなど耳に入っていないかのように、次の質問を投げかけてくる雄二。 「観覧車の中で何があった。」 肩を握る雄二の手の力が強くなる。 逆光で表情はわからない。 ただ彼の口から発せられた冷たい言葉だけが、俺の脳を揺さぶっていた。
- 500 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/15(土) 19:06:57 ID:lyV9Oq+S0]
- 紫煙
- 501 名前:第8章〜宝物〜その3 mailto:sage [2008/03/15(土) 19:08:07 ID:QisxLYWwO]
- 「このみは俺にとってどういう存在なのかって・・・聞かれた。」
「それで?」 「それだけだよ。・・・・本当にそれだけ。 あとは、雄二もタマ姉も含めて、みんな大切な家族みたいなもんだ・・・・って答えただけだよ。」 雄二の手が俺の肩から下ろされる。 「本当に・・・・何もしてねぇのか?」 「だから何回も言ってるだろ!?何もしてねぇって!!本当に何もしてないんだって!!」 だんだんイライラしてきた俺は、怒りにまかせて雄二をにらみつける。 「そうか・・・・何もしてねぇのか。そっかぁ!!あははははははは!!!」 急に笑い出す雄二。 しかしその笑いは『笑顔』の笑いではなく、とても寂しそうで、冷たく乾いた笑いだった。 「そうだよ・・・・。なのに何でこのみは・・・・」 刹那、俺の言葉を遮るかのように雄二が俺の前に立つ。 「・・・・・・雄二?」 バキッ!!! 左頬に激痛が走る。 予期せぬ展開に、俺はただ唖然とするしかなかった。
- 502 名前:第8章〜宝物〜その4 mailto:sage [2008/03/15(土) 19:11:07 ID:QisxLYWwO]
- 「どうして・・・・・」
うつむき、怒りに震えている雄二。 「どうして何もしてやらなかったんだよ!!!!!!」 胸ぐらをつかみ、まくし立てる雄二。 何かのネジが外れてしまったのだろう。 雄二は・・・・止まらなかった。 「まだわかんねぇのか!?このみがこの日をどれだけ楽しみにしていたか・・・! 一週間も前から準備して・・・・。俺や姉貴に色々相談して・・・・。 ・・・・本当にまだわかってねぇのか!?なぁ!?このクソヤロー!!!」 雄二の目からは涙がこぼれ落ちて、頬を伝っていた。 そのあまりの気迫に動揺し、俺は何も答えることが出来なかった。 「あいつ・・・・もっと他に大事なことを言おうとしてただろ!? ・・・・おい。答えろ!!貴明!!!」 (わからない・・・・。そりゃあ俺だってこの日を楽しみにしてきたよ・・・・ でも・・・それが・・・・) 「・・・・このみはなぁ。今日お前に言おうとしてたんだよ。 ・・・・・お前のことが・・・・・・」 雄二の言葉が遮られる。そして、桜の木の下、俺達の目の前に姿を現したのは・・・・・ 「・・・・・・タマ姉・・・・!!」
- 503 名前:第8章〜宝物〜その5 mailto:sage [2008/03/15(土) 19:11:48 ID:QisxLYWwO]
- 「タカ坊。」
タマ姉の澄んだ瞳が、まっすぐに俺の瞳をとらえて離さない。 「すこしだけ聞かせてもらってもいいかしら?」 目が細くなり、いつにもまして真剣な表情になる。 「このみはそばにいなければならない存在よね?私達はもちろん、タカ坊にとっても。」 「・・・・うん。」 「タカ坊はこのみのこと好き?」 嫌い・・・・なんて答えるはずもない。 このみと過ごす時間はとても楽しいし、このみがいるというだけで安心させられる。 「・・・うん。」 「最後にもうひとつだけ。」 「・・・・・・いま、このみのことが心配?」 「もちろん。」 大きく頷く。 (当たり前じゃないか。・・・・このみが苦しんでるっていうのに) 「ふふっ。」 突然笑みをこぼすタマ姉。 「タカ坊も・・・このみのことが大好きなのよね?」 「あぁ。」今度は自然に答えが出てきた。 「女の子と接することが少ないタカ坊には、わからなくても仕方ないけど・・・・・。 それがきっと『恋』よ。」 「!?」
- 504 名前:第8章〜宝物〜その6 mailto:sage [2008/03/15(土) 19:12:31 ID:QisxLYWwO]
- 「それがわかったら、あとはやることは1つしかないわよね?」
タマ姉の優しい微笑みは、夕日に照らされているせいか、とても暖かかった。 「このままだと、このみは本当に壊れちゃうわ。 もしそうなったら、私はタカ坊を一生許さないわ。 今度こそ・・・・。このみをよろしくね。」 そう言い残して、タマ姉は去っていった。 度肝を抜かれた感じだった。 自分1人では絶対にわからなかった。おそらくこれから先も、何もわからなかったであろう。 近すぎて・・・・あまりに近すぎてわからなかった。でも、もう・・・・・・ (俺はこのみのことが好きなんだ。妹じゃない。家族でもない。 1人の女として・・・・このみのことが好きなんだ。) やっと気づいた。これが・・・・・・恋なんだ。 しかし気づいた時にはもう・・・・・ 桜の木の下には俺と雄二だけが残されていた。 「雄二。・・・・ありがとう。」 彼にはどんなに感謝しても尽きることはない。でも今は・・・時間がなかった。 「いいってことよ。それよりほら・・・・早く行け。そして・・・・お姫様を連れ戻してこい。」 「・・・ありがとう。」 「姉貴の想いを無駄にすんじゃねぇぞ。」 最後に雄二はそう付け加えて、笑いながら俺の背中を押してくれた。 最後の言葉の意味はわからなかったけど・・・・最高の笑顔だった。 「ありがとう。」 そう言い残して俺は走り出した。 にじむ真っ赤な夕日に向かって走り出した。
- 505 名前:第9章〜愛情をこえた友情〜その1 mailto:sage [2008/03/15(土) 19:14:27 ID:QisxLYWwO]
- このみの家、学校、あらゆる場所を探し回ったが、このみの姿は見当たらない。
「どこ行ったんだよ・・・・このみ・・・。」 怒りなどは微塵も感じなかった。ただ、心配だった。 ただ・・・・・・このみに会いたかった。 ふと、ある考えが頭をよぎる。 (俺の想いをこのみは受け入れてくれるのだろうか。 いや、それ以上に、打ち明けた想いをこのみに拒絶されたとして・・・・ また同じような関係に戻れるのだろうか? 一緒に学校に行って、笑いあえる。そんな元の関係に・・・・。) 不安が俺の心を埋め尽くす。 「・・・・・・怖い。」 とても怖かった。イルファさんが俺のことをヘタレだと言ったのも、今なら理解できる。 俺にそんな勇気は・・・・ (今まで通りの関係じゃ・・・・ダメなのかな。) そんなことを考えながら河原まで来たとき、俺は呼び止められた。 「河野先輩。」 「・・・・・・。」 振り返る俺。すぐ足下まで、細く長い2つの影がのびていた。 「ちょっと話があるッス。」
- 506 名前:第9章〜愛情をこえた友情〜その2 mailto:sage [2008/03/15(土) 19:16:00 ID:QisxLYWwO]
- 「先輩。聞きたいことが2つだけあるッス。」
「ちょっと待ってくれ。今はそれどころ・・・・」 「まず一つ目。・・・・・今先輩の目の前にいる2人は誰ですか?」 何を言っても逃れられないだろうと察し、仕方なくその場にとどまる。 「誰って・・・・。このみの友達だろ?たしか吉岡さんと・・・・山田さん。」 「・・・50点ッスね。私が吉岡チエ。こっちが山田ミチル。 2人はこのみの『大親友』ッス。」 (・・・・何を間違えていたのだろう。・・・・いや、それ以前に、この質問の意味が・・・・・) 「もう一つだけ。」 表情を変えないまま問いかけてくる吉岡さん。 それを黙って見つめている山田さん。 「さっきこのみを見たんッス。」 「!!どこで見たんだ!!このみは・・・・どこにいるんだ!?」 思わず前に歩みでてしまう俺。 「ここで質問ッス。」 桜の花びらが春風にのって舞い散り・・・・・・・・・・ 「どうしてこのみは泣いていたんッスか?」 ・・・・・・・・・花びらは地面に舞い落ちた。
- 507 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/15(土) 19:20:49 ID:lyV9Oq+S0]
- 大将軍紫炎
- 508 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/15(土) 19:25:55 ID:N+4tbw5t0]
- 支援
- 509 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/15(土) 19:55:57 ID:8vuLiUps0]
- このたま雄二エンドを描くのか斬新だな
- 510 名前:第9章〜愛情をこえた友情〜その3 mailto:sage [2008/03/15(土) 19:57:35 ID:+MAKzWDd0]
- 「・・・・俺のせいなんだ。
俺自身、このみのことが好きなんだって気づかなくて、このみを女の子として見れてなかった。 でも今は違う・・・・・・」 (だから・・・・今からこのみの所に行こうとしてたんだよ。この思いを伝えるために。) 最後の方は言葉に出来なかった。・・・・・さすがに恥ずかしくて。 「そうッスか。・・・・・やっと自分の答えにたどりつけたんッスね。」 どうして・・・・どうして彼女はこんなにも寂しそうな顔をしているのだろう・・・・・・ 「このみの気持ちも・・・・ちゃんとわかってあげたってことッスよね?」 「・・・・・・え?」 戸惑う。 「いや、だから、このみの気持ちを確かめるために今から会いに行くんであって・・・・・・ このみが俺のことを好きだと思ってる保証なんてまだどこにもないし・・・・・・吉岡さん?」 彼女は唇を噛み締め、うつむいていた。 「よっち・・・・?」 心配そうに声をかける山田さん。 そんな山田さんを払いのけ、彼女は言った。 「先輩、何もわかってない。 このみのこと・・・・・何もわかってないじゃないっすか!!!」 パシッ! 左頬を叩かれた。 おそらく・・・・彼女の全力で。
- 511 名前:第9章〜愛情をこえた友情〜その4 mailto:sage [2008/03/15(土) 19:58:21 ID:+MAKzWDd0]
- 何度目だろう。今日1日で殴られたのは。
何度目だろう。何もわからないまま相手を泣かせてしまったのは。 目の前の少女は泣いていた。 しかし俺は冷静な判断を下すよりも、理不尽に殴られたことへの苛立ちが先行し、 思わず声を張り上げてしまった。 「・・・何をするんだ!!」 しかしそれにひるむどころか、彼女は滲んだ目で真っ直ぐに俺をにらめつけかえし、言った。 「・・・・何をするんだ・・・・・?それはこっちのセリフッスよ。 私達の大事な親友に・・・・何をするんだ!!!」 怒りは吹き飛ばされてしまった。・・・・・ただ立ち尽くすしかなかった。 「先輩、本当に気づかなかったんッスか?今日のこのみ・・・・。 今日のこのみ・・・・化粧してましたよね?」 「かばんの中の風呂敷はたぶん向坂家のもの。」 山田さんが初めて口を開いた。 そして吉岡さんに何かを耳打ちした後、彼女は川の下流へ向かって走り出した。
- 512 名前:第9章〜愛情をこえた友情〜その5 mailto:sage [2008/03/15(土) 19:59:19 ID:+MAKzWDd0]
- 「・・・・。」
「あのこのみが化粧ッスよ?あの、まだ幼い感じのこのみが。ほんの少しだけど・・・・。 風呂敷は・・・弁当ッスよね?それが向坂先輩の家の風呂敷だった。 ・・・・・・まだわからないッスか?」 これだけ言われてわからない奴はいないだろう。俺もようやく理解した。 「そっか・・・・このみは俺のことを・・・・・・」 「そうッスよ。少なくとも私達がこのみに出逢ったときからは、ずっと先輩のことを愛してましたよ? 今日だって、化粧までして先輩に可愛いと言ってもらいたかった。 手作りの弁当を作って、先輩に誉めてもらいたかった。 1人の女の子として見てもらいたかった!! ・・・・・・今日はこのみにとって運命の日だったはず。それがこんなことになっちゃって・・・・・・。 ・・・・・このみ・・・・・・苦しかっただろうなぁ・・・・。」 何度も何度も拭うが、彼女の涙が止まることはなかった。 しかしそれでもなお、彼女の目には力がこもっていた。 「でも俺・・・どうすれば・・・・」 もう自分の中ではわかりきっているくせに、自然とこんな言葉が出てきた。 ・・・・・・やっぱりヘタレだ。俺は。 「そんなの簡単ッスよ。」 目をゴシゴシと袖で拭き、彼女は答えた。 「このみに想いをぶつけちゃえばいいんッスよ。」 その時の彼女の表情はどこか寂しげで、とても眩しかった。
- 513 名前:第9章〜愛情をこえた友情〜その6 mailto:sage [2008/03/15(土) 19:59:53 ID:+MAKzWDd0]
- 「でも・・・・」
(これから先も、このみは今まで通りのこのみでいてくれるのだろうか・・・・) そのことを考えると、とても辛かった。 「好きな人に想いを伝える怖さ・・・・今の先輩の気持ちなら、良くわかるッス。 でも、先輩に恋愛の助言をする今の私だって・・・・・・相当辛いんッスよ?」 「・・・・?」 「でも・・・・今日のこのみの苦しみはこんなもんじゃなかったはず。」 ハッと我に返る。 (そうだ・・・・このみだって勇気を出して・・・・。怖かっただろうに・・・・・。) ふと観覧車の中での出来事が思い出される。 このみの緊張してうわずった声。震える足。そして・・・・・・ 最後に見せたこのみの涙。 「本当に・・・・クソヤローだな・・・・。」 「そうッスね・・・・。今日の先輩は、今までで一番カッコ悪かったッスよ。」 イタズラっぽい笑みを浮かべる吉岡さん。 しかし彼女の瞳からまた、大粒の涙がこぼれ落ちてきた。 「このみを・・・・よろしくお願いします。」 すぐさま俺に背を向けて彼女はそう言い残し、走り去っていった。 覚悟は決まった。 そして、俺もまた走り出した。 吉岡さんとは逆の方向へ、走り出した。
- 514 名前:第10章〜犠牲〜その1 mailto:sage [2008/03/15(土) 20:01:09 ID:+MAKzWDd0]
- 春ということもあり、夕日はまだ沈んでいなかったが、辺りは暗くなり始めていた。
泣き疲れた私は土手に座り、何を考えるでもなく、川をただ見つめていた。 (・・・・誰かきた。) その人は何も言わずに私の隣に座った。 「・・・・ちゃる・・・・・」 泣き疲れた疲労からか、私はほとんど無気力な状態になっていた。 それを察したのか、ちゃるは1人で話を始めた。 「よっちは河野先輩のことが好きだった。」 「!!」 思わず横を見る私。 しかしちゃるは表情を変えぬまま、話を続けた。 「でもよっちは自分でその恋を封印して、終わらせた。・・・・・親友のために。」 「そんな・・・・」 あまりの驚きに、自然と声が漏れてきた。 「よっちの恋は散った。・・・・あの桜の花びらのように。 そこに芽を出して花を咲かせる。これが今のこのみに与えられた指命。 このみが・・・・・・私達の親友であるなら。」
- 515 名前:第10章〜犠牲〜その2 mailto:sage [2008/03/15(土) 20:01:46 ID:+MAKzWDd0]
- 「も、もちろん!!ちゃるもよっちも大親友だよ。ずっとずーーっと!!」
「そう・・・・。よかった。じゃあこのみは河野先輩の所に行かないと。 ・・・・そうでないと、よっちに申し訳がたたないぞ?」 ちゃるはにっこりと笑いながらそう言った。 本当に久しぶりにちゃるの笑顔を見た。 「ちゃる・・・よっち・・・・・ありがとう・・・・・。」 「大丈夫だこのみ。・・・・みんなついてる。」 と、ちょうどその時、土手の上の方を走っていく1人の少女を見た。 「・・・・・・よっち!!」 思わず立ち上がる私。すぐさまよっちを追いかけようとした。しかし・・・・ 「このみはあっち。よっちは・・・・・私に任せて。」 よっちが向かったのとは逆の方向を指さし、ちゃるは言った。 大体想像はついた。ちゃるが言おうとしたことの意味は。 「・・・・わかった。」 それだけ言い残し、私はちゃるに背を向けて走り出した。 背中に当たる夕日がとても暖かかった。
- 516 名前:最終章〜運命〜その1 mailto:sage [2008/03/15(土) 20:04:04 ID:+MAKzWDd0]
- とにかく走った。吐きそうになってもなお走り続けた。
しばし息を整える。 「休んでていいの?」 車椅子の女の子。・・・・郁乃だ。 「いや・・・・。」 立ち上がる俺。もうすぐ日没だ。休んでる暇なんてない。 「郁乃・・・。いつかはありがとうな。俺、どうにかしてたよ。」 「・・・・いいのよ。それより・・・・・・頑張りなさい。」 そう言って小さな袋を手渡してきた。大きさからして、枕ではなさそうだ。 「それ、このみにあげて。」 「わかった。」 「最後にもう一つ。 ・・・・・ミスドのポイント有効期限は一年間よ。」 「あぁ。一番美味いのがオールドファッションだってのもわかってる。」 俺はありったけの感謝の言葉を述べて、今自分が来た道を引き返した。 真っ赤な夕日に向かって走り出した。 「このみ・・・・・。」
- 517 名前:最終章〜運命〜その2 mailto:sage [2008/03/15(土) 20:05:07 ID:+MAKzWDd0]
- (・・・・・・いた。)
河辺にタカくん発見。 タカくんはとても疲れきった様子で、川に向かって私の名前を叫んでいた。 (タカくん・・・・。私そんなとこにいないから・・・・・。) 土手を下りていく。そして彼の背後までやってきて、声をかけた。 「タカくん。」 「・・・・・・このみ!!」 振り返ったタカくんはとても驚いた表情だったけれども、すぐに真面目な顔つきになった。 「このみ・・・・今日は本当にごめん。俺、どうにかし・・・・・・」 「うぅん。私も悪かったの。ちゃんと最後までタカくんに伝えられなかったから。 だから・・・・もう一回だけチャンスちょうだい。」 精一杯の勇気を振り絞って言った。・・・・・・しかし 「・・・・・・ダメ。」 彼の返事は無情なもので、私に告白のチャンスすら与えてくれなかった。
- 518 名前:最終章〜運命〜その3 mailto:sage [2008/03/15(土) 20:05:40 ID:+MAKzWDd0]
- 「悪いのは全部俺だし、このみは今日1日頑張ってくれた。
だから・・・・・・次は俺の番。」 物凄い緊張感。 (でも、このみだって・・・・・・よし!!) 「俺、このみのことが・・・・・女の子・・・・・・こと・・・。」 うまく言葉にならない。このみも、わけがわからずキョトンとしている。 「このクソヤロー!!」 「このみを・・・・よろしくね。」 「今日の先輩は、今までで一番カッコ悪かったッス。」 ふと、色んな人達の事が頭に蘇り、そして・・・・・・ すべて吹っ切れた。 (・・・・・・ありがとう!!) 「このみ。」 「は、はい!?」 異様な空気を察したのか、このみは固まる。 しかし・・・・・俺は続けた。
- 519 名前:最終章〜運命〜その4 mailto:sage [2008/03/15(土) 20:06:11 ID:+MAKzWDd0]
- 「今日、このみがいなくなって初めて気が付いたんだ。俺にはこのみが必要なんだって。
今までは近すぎてわからなかったけど・・・・・やっと気づいた。 俺は・・・・・・」 このみの目は大きく見開かれている。 「おれは・・・・・」 「俺は、このみのことがしゅきだ!!!!」 「・・・・・・。」 「・・・・・・。」 (・・・・何で噛んだ。おれ。) 「私も・・・・」 「?」 「私もタカくんのことが好き!ずっとずっと・・・・大好きだった。 いつまでも・・・一緒にいたいよ・・・・。」 「このみ・・・・。」 自然と2人の距離は縮まっていった。 そして、どちらからというわけでもなく手を差し伸べ、抱き合った。 「このみ・・・・。本当にごめん。・・・・ごめん。」 「いいの。・・・・もういいの。こうやってタカくんが来てくれただけで・・・・・・。」 涙を流しながら笑うこのみ。 (やっと笑ってくれた。) 長い時を経て、ようやく2人の影は1つになった。 「えへへ。タカくん・・・・」 「どうした?」 「何だか・・・夢みたい。」 幸せそうに笑うこのみ。 俺はもう一度彼女を深く抱きしめた。 「タカくん・・・・だいしゅき(笑」 (・・・・ちきしょう)
- 520 名前:After その1 mailto:sage [2008/03/15(土) 20:06:48 ID:+MAKzWDd0]
- 「今日、このみがいなくなって初めて気が付いたんだ。俺にはこのみが必要なんだって。
今までは近すぎてわからなかったけど・・・・・やっと気づいた。 俺は・・・・・・」 このみの目は大きく見開かれている。 「おれは・・・・・」 「俺は、このみのことがしゅきだ!!!!」 「・・・・・・。」 「・・・・・・。」 (・・・・何で噛んだ。おれ。) 「私も・・・・」 「?」 「私もタカくんのことが好き!ずっとずっと・・・・大好きだった。 いつまでも・・・一緒にいたいよ・・・・。」 「このみ・・・・。」 自然と2人の距離は縮まっていった。 そして、どちらからというわけでもなく手を差し伸べ、抱き合った。 「このみ・・・・。本当にごめん。・・・・ごめん。」 「いいの。・・・・もういいの。こうやってタカくんが来てくれただけで・・・・・・。」 涙を流しながら笑うこのみ。 (やっと笑ってくれた。) 長い時を経て、ようやく2人の影は1つになった。 「えへへ。タカくん・・・・」 「どうした?」 「何だか・・・夢みたい。」 幸せそうに笑うこのみ。 俺はもう一度彼女を深く抱きしめた。 「タカくん・・・・だいしゅき(笑」 (・・・・ちきしょう)
- 521 名前:After その1 mailto:sage [2008/03/15(土) 20:07:42 ID:+MAKzWDd0]
- (↑一個ミスしました)
その後俺とこのみは、2人で手をつないで家に向かった。 夕日は完全に沈んでしまったものの、帰り道はとても明るく見えた。 このみは、家の前まできても握った手を離そうとしない。 「このみ・・・ほら。」 「・・・・・やだ。」 手を離すよう促すも、このみは言うことを聞かない。 「このみ。春夏さんにこんな所見られたら・・・・」 「あらあら。青春ねぇ。」 ・・・・・・ばっちり見られてる。 「ほらこのみ。タカくん大好きなのはわかるけど、もう夜も遅いし、お家に返してあげなさい?」 「ちょ・・・・春夏さん。」 パッと手を離したこのみは、うつむいて真っ赤になっていた。 「ふふ。じゃあねタカくん。今日はもう遅いから、明日色々聞かせてね。」 「タカくん・・・・また明日!!」 「あぁ。また明日な・・・・・・・・・あ、ちょっと待てこのみ!」 うっかり忘れるところだった。 「これ・・・・。」
- 522 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/15(土) 20:12:50 ID:8vuLiUps0]
- 支援
- 523 名前:After その2 mailto:sage [2008/03/15(土) 20:13:22 ID:+MAKzWDd0]
- 「このみを探してるときに郁乃に会ってさ。このみに渡してくれって。」
「郁乃ちゃんが?」 「まあ開けて見ろよ。」 手のひらほどの小さな袋を開ける。その中には・・・・ 「・・・・クローバー?」 「お。これ、四つ葉じゃないか?」 袋の中から出てきたのは四つ葉のクローバーが1つ。郁乃らしくないロマンティックな贈り物だ。 「そうだこのみ。四つ葉のクローバーにちなんで・・・・俺が何か1つ願いを叶えてやるよ。 何でも買ってやるし、何でもしてやる。」 とっさの思いつきにしてはなかなか粋なアイディアだったと思う。 しかし当のこのみは、少しも考えることなくにっこりと微笑んで言った。 「いらない。」 「何も・・・・いらないのか?」 「うん。だって・・・・」 俺の前に立ち、背伸びをするこのみ。そして・・・・・・ チュッ 「一番欲しいものは、もう手に入ったもん。」 そう言って家の中へと駆け込んでいった。
- 524 名前:支援に託け>>474へ>>470の修正 mailto:sage ミスリードに… [2008/03/15(土) 20:25:36 ID:zR1xOK1I0]
- 「おっと。郵便郵便。なんだろなー」
二人の間をすり抜け、そそくさと玄関へ向かう。 「はいはいいまでますよー」 −がちゃ ……えっと………………… 「おとろけものれす。」 「バレンタインれーのおとろけものれす。」 2回言ったそこにはリボンを結んだシルファが立っていた。 リボン。髪を飾るあれですね。 「あぁ。おかえり。シルファちゃん。」 「ただいまれすご主人様。メンテがちょうろ昨日の終業時間に終わったのれバレンタインれーにあわせて帰ってきました。」 「そっか。調子はどう?」 「いいかんじれす。もともと問題があったわけじゃなくてレポート用のメンテれしたしね。」 「その様子だと、実験も順調みたいだね。」 「工学機構に関するものより、DIAに関するものが主なのれ、破綻するまで問らいが表面化しないのであまり意味が無いみたいれす。」 「でも機微な予兆を観るためのものだろうし、問題が無くてよかったよかった。」 「スルーですか?突っ込まないんですか?突っ込んじゃいますよ?」 二人の冗長な会話に耐えかねて、イルファが突っ込みの前振りを入れて入れているうちにミルファが突っ込む。 「それ研究所から結んだままで来たの?ははっ。ひっきーだからまぁしかたないかー。」 顎からリボンをかけて頭の天辺で結んだシルファは余裕の表情で繰る。 「ぷぷぷ。体に巻くリボンはシルファとご主人様の契りの記憶なのれすよ。おぽんちミルミルには到底手の届かない崇高なものなのれすよ。」 そうだったんですか。知りませんでした。 「契りって…えぇー!ひっきーのくせにダーリンとそん−−」 「まぁ。リボンプレイですか。さすがは貴明さんです。マニアックな性−−」 それぞれの個性的な反応の中、前のリボンのように固く結ばれたリボンと淡々と格闘しながら、 はまだ来ぬ春の、外の雰囲気を吸っていた
- 525 名前:After その3 mailto:sage [2008/03/15(土) 20:41:00 ID:QisxLYWwO]
- 残された俺と春夏さんは、ただ呆然とするしかなかった。
「お、おやすみなさい。」 俺はそう言って、自分の家へと逃げ込んだ。 (このみが・・・・キス・・・・・・) 顔が真っ赤になる。心臓もバクバクと音をたてている。 「ちきしょう・・・・・・。」 完全にしてやられた感じがし、俺は1人ソファーにうなだれた。 大好きな人との初めてのキスは・・・・・・ 甘くて、でもちょっとほろ苦い思い出になりました。 (そうだ。) 貴明「・・・・みんなにお礼言っとかないとな。」 このみ「・・・・みんなにお礼言っとかないと。」 あと一年で俺は学園を卒業してしまうけれど、それを嘆くくらいなら、残された時間を有意義に使おう。 そして、もう放したりはしない。 本当に素晴らしい友人達に恵まれたことに感謝をしつつ、 やっと手に入れた大切な、かけがえのない宝物と・・・・・・いつまでも。 いつまでも。 終
- 526 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/15(土) 20:43:32 ID:QisxLYWwO]
- ようやく終わりました・・・・。
支援してくださった皆様、本当にありがとうございました!! ありふれたストーリーでつまらなかったかもしれませんが、楽しんでいただければ幸いです。 以上、『小さな小さな女の子』でした。
- 527 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/15(土) 20:47:48 ID:lyV9Oq+S0]
- 乙であります!
- 528 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/15(土) 20:50:51 ID:zR1xOK1I0]
- おちゅ。間にへんなの挟まってるのは ごめんなさい。
- 529 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/16(日) 00:25:49 ID:giC8hW2F0]
- 乙
郁乃SSといいこのみSSといい見事にADの雰囲気を再現してるな 感心した
- 530 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/16(日) 02:16:49 ID:XUqfShafO]
- GJ!いやいや、なんかこういう普通ぽいのもやっぱりいいな。
- 531 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/16(日) 02:18:20 ID:ctCnQhse0]
- 三宅っぽい気がw
- 532 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/16(日) 08:26:47 ID:zOgZqHr70]
- 低スペック組はADを諦めるしかないのかorz
- 533 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/16(日) 09:37:19 ID:EEn28m8v0]
- でも、このみシナリオでも貴明はかなりのヘタレですから、三宅臭がしても
問題ないのではないでしょうか。私は普通に楽しめました。
- 534 名前:526 mailto:sage [2008/03/16(日) 09:37:39 ID:AeSqCLcNO]
- 感想ありがとうです!!
めちゃくちゃ嬉しい ・・・・・けど、三宅とか言わんで下さいよw
- 535 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/16(日) 10:27:27 ID:oD0rH61S0]
- 確かに三宅に失礼だな
- 536 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/16(日) 13:53:38 ID:yG1Pgbiv0]
- ちとネガティブな感想で申し訳ないんですが
貴明の心理描写が少なめなせいか、なんか周りの人間に「お前はこのみが好きなんだ」と 洗脳されてる印象が拭えない感じがしました 連載か前後編ぐらいにして貴明側の心理描写も多くして欲しかった気がする 俺がADやってないせいなだけもあるかも、ですが と、色々書いちゃいましたが、出来が良いだけに言いたくなっちゃいました 次も懲りずに書いて欲しいです
- 537 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/16(日) 14:08:34 ID:oIm4I92V0]
- 洗脳ってのは言い得てるな
それまさに三宅の系譜だわ ADの雰囲気を再現ってのが皮肉にしか見えない俺アンチ三宅
- 538 名前:459 mailto:sage [2008/03/16(日) 19:30:02 ID:CcpeY6Dx0]
- かなり時期遅れですが今からホワイトデーSSを投下します。
ADとはほぼ無関係。 内容は軽いコメディで間違いないと思います。 本編は20レスを予定しています。 規制による投稿の停止が予想されますので、投稿が止まった時はスレを通常進行させて下さい。
- 539 名前:向坂雄二のホワイトデー 1/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 19:31:43 ID:CcpeY6Dx0]
- 年に1回のこととはいえ、俺にとって今日ほど学校に行きたくない日は少ない。
だが学生に有給休暇はありえ無い。 もしあったとしても、そんなずる休みを姉貴のアイアンクローが許してくれないだろうけど。 しかし、これは精神的な体罰と同じじゃないのか? 「ふう……」 俺は静かな溜息と共に、校舎の窓から広がる空を眺める。 青く広がる晴天に、白い雲がいくつものんきに浮かんでやがる。 ああ、イヤになるほどいい天気だぜ。くそ。 しかも、さっきから見たくも無い光景が俺の目の前にちらついてやがる。 その元凶が俺の幼馴染にして一番の親友だっていうんだから、もう救いがどこにも感じられないぜ。 「ホワイトチョコとか花とか……なんだか定番のものばっかりになったなあ。 無難かもしれないけど、ほんとにこれでよかったのかな?」 「……」 紙袋にお返しプレゼントの数々を詰め込んで、貴明はそれらを品定めしながら何事か呟いている。 そうか、こいつはこれだけの数のチョコをバレンタインに貰っていたということか。 ありえん…… 「なあ雄二、お前に聞いてるんだぞ? 聞こえてるか?」 「……」 ああ。聞こえてるよ。 でもあえて聞こえてない振りをしてるんだろうが。 察しろよ貴明。
- 540 名前:向坂雄二のホワイトデー 2/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 19:32:12 ID:CcpeY6Dx0]
- 「なあ、なんか言ってくれよ。お前だってホワイトデーのお返しくらい選んだんだろ?」
うわあ!! 今の一言で、さすがに俺も我慢が切れちまったぞ。 いや、切れてもいいよな?? 「うがああああああ!! 俺はお返しなんか選んでねえんだよ!! 悪かったな!」 「うわっ?? な、なんだよ雄二」 「なんで、なんでまたお前なんだよーー!! おまえばかりが美味しい目にーーー!!」 「く、苦しい……はなせよ」 今日も俺はまた貴明の首を絞めつけながら、いつものセリフを叩きつける。 なんだかいつもこんなことばかり言っているみたいで情けねえぞ、最近の俺。 だが、今日ばかりは黙っていることなどできそうにない。 なにしろ今日はホワイトデー。 貴明が心底うらやましくなる日、ナンバー2だ。 ナンバー1は……まあ言うまでもないよな。 つーか、学校にそんなプレゼント類持ち込まないでくれ。目に毒だ。 「いや、そんなこと言われても、俺だって結構大変なんだぞ。 ホワイトデーって何を贈っていいのかよくわからないし……みんなに配るのだって一苦労だ」 ぐ……貴明のぼやきがまた憎らしい。 へえへえ。どうせ俺には全然分からない悩みですよ。 いや、俺だけではあるまい。 ホワイトデーにプレゼントを選ぶ悩みなんて、モテない男にはぜんっぜん分からない悩みの筆頭候補であろう。
- 541 名前:向坂雄二のホワイトデー 3/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 19:32:34 ID:CcpeY6Dx0]
- 『ちきしょう……貴明のやつ……』
『あいつにかける呪いは無いのか??』 俺とほぼ同意権の男どもが貴明のさっきのぼやきを耳にしたらしい。 あちらこちらで怨嗟の声も上がっていることに、こいつは何処まで気が付いているのか。 きっとまったく気が付いてないんだろう。 相変わらずとぼけた男だ。 どうしてこんな奴がこんなにもてるんだ?? どうして俺はぜんぜんもてないんだ?? 「そんないじけたことばかり言ってるから雄二はもてないのよ」 「うるせえなあ……もぐもぐ」 姉貴のうるさい説教に耳をふさぎながら、俺はサンドイッチを口の中に頬張って牛乳で飲み下す。 場所は変わってここは学校の屋上。 姉貴とチビ助、それに貴明と俺とでいつも通りの昼食の時間を迎えた。 皆の話題は期せずしてホワイトデーの話となり、それで今朝の俺の失態が姉貴にばれてしまったのだ。 だから今、俺は姉貴から口うるさく説教されてるってわけだ。 まあいつものことではあるけどな。そうそう気にしていられるかよ。 でも、今日は話題が話題だけにちょっと俺にも堪えるが。 「そんなことより、雄二だって一応貰ってるでしょう、チョコレート。ちゃんとお返しするところから始めたらどうなの?」 一応で悪かったな。 ああ、そうさ。俺はどうせ貴明にはまるでかなわねえよ。 数でも内容でもな。 「そんなこと言ってもなあ。だって姉貴にお返しなんてしたって、なんのフラグにもなりゃしねえよ」 「フラグってなあ、お前」 「心底呆れるわね……」
- 542 名前:向坂雄二のホワイトデー 4/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 19:32:55 ID:CcpeY6Dx0]
- 貴明と姉貴の溜息が重なる。
な、なんだよ? 姉貴にお返しなんかしたってまったく意味ないだろ? それのどこがおかしいんだよ。 「義理チョコだって、立派な贈り物じゃない。 誰かの気持ちを大切に出来ないなんて、それはもてるとかもてないとか以前の問題よ」 いつもの姉貴の説教である。 言ってることはそりゃあ正しいかもしれないが、 「でも姉貴になあ……」 どうにもそんなことする気になれん。 普通の男子高校生として、それはどうなんだ? 姉とか母親にチョコレートを貰ったら、ホワイトデーに花を贈ったりするのか? ばからしい。 「そういえば、わたしもユウ君からほとんどお返しもらったことないよ……」 このみがちょっと遠慮がちに申し出た。 まあ、そういえばこのみにもホワイトデーになにか贈ったことはなかったな。 毎年俺にチョコレートをくれる数少ない女子ではあるものの、あまりにも身近でまったく気に留めていなかった。 っていうか、このみのチョコはチョコのうちに入らないだろ。 「あー、えーと確か何年か前にキャラメルやっただろ」 「箱の中に残ってた最後のいっこをポンっとくれただけだよ。 あんなのプレゼントじゃないよー」 「プレゼントは値段じゃないぞ。気持ちだ」 「その気持ちが一番篭ってないと思うなあ」
- 543 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/16(日) 19:35:12 ID:B70nGi5g0]
- 雄二頑張れ支援
- 544 名前:向坂雄二のホワイトデー 5/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 19:35:32 ID:CcpeY6Dx0]
- このみが不満げに頬を膨らませ、それに同意するように姉貴が頷く。
な、なんだか俺の立場が微妙に危ういぞ。 「た、貴明だってチビ助や姉貴にホワイトデーのお返しなんてしてないよな?」 ちょっと焦った俺は、助けを求めるような気分で貴明に話題をふった。だが、 「そんなわけないだろ。貰ったときはちゃんと贈り物ぐらい用意しておくに決まってるじゃないか」 お前は何を言っているんだ、と不思議そうな顔で答える貴明。 し、信じられん…… 「このみは去年、タカ坊から何を貰ったの?」 「フォトスタンドだよ。そのとき一番のお気に入り写真を入れておくのに使ってるよ」 なんだ。安物じゃねえか。 「別にそんなもの買ってもらわなくても、自分で好きなの買えばいいじゃねえか」 「バカね。気持ちが一番大事だって言ってるじゃない」 「わたし大切にしてるよー。だって、タカくんの贈り物だもん」 嬉しそうに笑うこのみの素直な笑顔がやけにまぶしい。 ふと俺は不安になる。 なんだ? 俺ひとりが間違っているのか? い、いや。この三人が仲良すぎるだけだ。 まあ、幼馴染としての付き合が長いのはいいことだ。俺だってその中の一人だしな。 しかし、俺たちはもう高校生だぞ? そうべたべたせずドライにカッコよく付き合うのが大人ってものじゃないか。 だいたい、俺が求めているバレンタインやホワイトデーはこんなおままごとみたいなものではない。 もっとドキドキとか、色気とか、萌えとか。メイドとか。 そういう楽しいものがそこには全然ねえじゃんか。
- 545 名前:向坂雄二のホワイトデー 6/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 19:36:00 ID:CcpeY6Dx0]
- 「でも、タカくんお母さんにもあげてたよね、ホワイトデー」
「なに? 貴明、お前春香さんからもチョコ貰ってたのかよ?」 「い、いや、貰ってないけど。でもこのみのチョコ作りを手伝ってくれたって聞いたから。 少しだけでもお礼をしておこうかな、と思って。ちょっとおおげさだったかもしれないけど……」 「お母さん、タカくんにプレゼント貰えてすっごく喜んでたよ。ここ何年もお父さんからも貰えてなかったって。 『久々に女に目覚めた』って言ってたよ。『来年のバレンタインは期待していいわよ』って、タカくんにも伝えてくれって」 「さすがはタカ坊ね」 関心したように頷く姉貴。 た、貴明のやつ、意外なところで恋愛ポイントを稼いでるじゃねえか。 いや、春夏さんに好かれたって別にうらやましくなんか。 うらやましく…… 『うふふ。雄二くんにも教えてあげましょうか?恋の試験☆』 その瞬間、不意に俺の頭の中に閃いた映像は、何故か女教師に扮したやたら色っぽい春夏さんだった。 や、やっぱうらやましいじゃねえかあ! 「ほら。また負けてるわね雄二」 「そ、そんなことねえよ」 姉貴にずばり的を得た指摘に、それでもなんとか言葉だけは強がって見せる。 だが……くそ。俺がヘタレナンバーワンの貴明に負けてるだと? そ、そんなはずは…… 「いいこと、雄二」 「な、なんだよ……」 「あなたに足りないのは誠意なのよ。もっと女の子に気遣いを見せなさい」 「俺だって女の子には優しくしてるぞ」
- 546 名前:向坂雄二のホワイトデー 7/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 19:36:22 ID:CcpeY6Dx0]
- そうさ。俺はナンパの時に限らず、女の子を持てなす気持ちは何時だって忘れない。
マメな男としては貴明なんかに負けていないはずだ。 「雄二の親切には、下心が透けて見えるのよ。ときどき素直に受け取る気持ちになれないわ」 へっ。男の親切なんてそんなものじゃねえかよ。 貴明だってきっとそれは大差ないと思うぜ。 「それがもてる秘訣ってやつなのかよ」 「どうかしらね。 確かに、そういうことがすぐに女性に好意を持たれることに繋がるとは限らないでしょうね。 でもそれ以前に人間としての出来が違うと私は思うけど」 俺の皮肉に姉貴は平然とした顔でそう答えると、もはや話は終わったとばかりに弁当の片付けを始めた。 その手つきをぼんやりと見つめながら俺は考える。 ホワイトデー、プレゼントねえ…… 「まあ、俺もお返しとかもう少し積極的になった方がいいのかもしれないよな……」 放課後の廊下を一人歩きながら、俺はお昼に姉貴に言われた説教の数々を思い起こしていた。 け、けっして姉貴に説教されたから、とか、 貴明みたいにもてもて状態になりたい、とか 俺は企んでるわけではないんだ。 でも、賢い男はどんな些細な出来事でも、人生に役立てていくものだしな。
- 547 名前:向坂雄二のホワイトデー 8/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 19:36:43 ID:CcpeY6Dx0]
- 「でもお返しっていっても、俺はもともとそんなに貰ってないしなあ」
情け無いことではあるがそれも事実。 数が少ないことは言うにおよばず。 貰ったチョコも全てはっきり義理だと分かるものばかりだ。 それも貴明のおこぼれで貰ったようなチョコばかり。 貴明に渡すとき、俺が隣にいるもんだから彼女たちも少しばかり気を使ってくれたのだろう。 ……自分で言ってて本当に情けなくなってきたな。 そんな義理全開のお情けチョコに、わざわざお返しっていうのも…… なんかやりすぎで引かれないかな、とか考えるのは男の弱気なんだろうか? と、廊下の曲がり角で知った顔にぶつかった。 「あ、向坂くん。お一人ですか?」 「ああ」 一人で悪かったな、という続く言葉を俺は心の中に飲み下す。 彼女の言葉が俺の隣にいるはずの存在を探していたことを示していたことには、気が付かないフリ。 本人にはまったく悪気は無いことぐらいは俺にだって分かってるからな。 「委員長、貴明のこと探してるの?」 「ななななな、なんでそう思うんですかあ?!」 俺の言葉に、何故か委員ちょは悲鳴みたいな叫びをあげる。 いや、そんなに慌てんでも……普通誰でも分かるって。 本人は必死に隠しているつもりらしいけど、われらがいいんちょは貴明のことが好きだってのは、クラス全員が知っている事実だ。 そのことに気が付いてないのは貴明と委員ちょだけだろうな。 「残念だけど、貴明なら昼休みに屋上で別れてから何処に行ったのかは知らないよ」 「そ、そうですか……」
- 548 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/16(日) 19:50:08 ID:taPLK5XpO]
- 支援
- 549 名前:向坂雄二のホワイトデー 9/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 20:00:03 ID:CcpeY6Dx0]
- 俺の言葉を聞いて委員ちょは残念そうに肩を落とし……
「い、いえ! 別に探してたわけじゃありませんよ、ええ」 次の瞬間には慌てて否定。 俺もつい苦笑してしまう。なんでそう必死になって隠すかなあ。 それにしてもこの様子だと、貴明はまだ委員ちょにホワイトデーのお返しを済ませていないみたいだな。 フェミニストの貴明がよもや委員ちょのことを忘れているとは思えんが。 でも、今日は貴明のやつも忙しくあちこちを走り回ってるだろうから、ニアミスは十分ありえるだろう。 ……しかしほんと腹立つ。こんな可愛い子を待たせるなんてな。 「貴明に会ったら、小牧さんが探してたって伝えておこうか?」 「いえ、本当にいいんです。ええ、大丈夫ですから、ほんと」 いや、これは純粋に親切で言ったつもりなんだがな。 委員ちょはそれでも妙に一生懸命に拒絶する。 そんなに必死に大丈夫だって言われると、全然大丈夫な気がしないんだけどな。 そんな彼女の様子を見て、俺はふと思う。 この子って、貴明にもこんなふうに接してるのかな? 二人きりのときはわからんけど、少なくとも俺が見てる限りは二人の会話は今のこれと大差ないんだよな。 委員ちょと貴明の関係については正直一番よく分からない。 ふたりともまるで付き合ってるようには見えないのに、どうしてあんな関係が成立しているんだろうな。 「で、その本はなに?」 「あ……いえ、たいしたものじゃないんですけど……」 委員ちょはその手に持っていた本を俺の視線から一瞬隠そうとして、逆に隠すのが恥ずかしくなったらしくやがておずおずと俺に差し出した。 「ん? 俺、見ていいの?」 「は、はい」
- 550 名前:向坂雄二のホワイトデー 10/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 20:00:25 ID:CcpeY6Dx0]
- 差し出された本を手に取ると、なんのことはない。
普通の町のガイドブックであった。別に隠すようなものではないよな…… ん? ぺらペらっとめくると自然に開いたページ。 『彼と巡るケーキショップ食べ歩き』 『甘いものが苦手な彼でも楽しめるスイーツ』 あ、そうなんだ。こういうところに貴明と行きたかったわけね。 ホワイトデーのお返しってことなのか? 委員ちょのほうからお返しを要求するとは考えにくいので、貴明のほうからなにかの提案があったのだろう。 お礼に一日なんでもつきあう、とか。 いかにもあいつが言いそうなことだ。くそ。 開きやすいページはきっと委員ちょが繰り返しページを開けた証拠だろう。 俺はそれに気が付かないふりをして本を閉じ、委員ちょの手に返した。 「あ、ど、どうも……」 でも肝心の貴明は何処に行ったのやら。 しかもあいつは甘いものも食えないわけじゃないけど、委員ちょに付き合えるほどヘビー級じゃないだろうし。 それに比べりゃ俺は甘い物も結構食えるんだよな。 こういう所に俺が連れて行ってあげれば、彼女も喜ぶんじゃないかな? よ、よし。ちょっと男気出してみるか。 「あのさ。俺、委員ちょにバレンタインのお礼がしたいんだけど。 今日はホワイトデーだしさ」 うん。実は俺も委員ちょからバレンタインにチョコを貰っている。 しかもそれは貴明とまったく同じチョコだった。 だからといって、俺は自分が貴明と同じように委員ちょから好意を持たれているなんて欠片ほども思っちゃいない。 まったく同じチョコでも、それを渡すときの委員ちょの様子は明らかに違ったからな。
- 551 名前:向坂雄二のホワイトデー 11/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 20:01:43 ID:CcpeY6Dx0]
- バレンタインの日の彼女の様子を、俺は今でもはっきり覚えてる。
委員ちょはまず、俺にチョコをくれた。 それから、貴明のほうを見て、何も言えずにしばらくもじもじしてた。 見るからに彼女が緊張してるって空気が嫌でも伝わってきた。 そして頬を真っ赤に染めて、それでも必死に言葉を搾り出して。 委員ちょはそのチョコを渡した後は逃げるように教室を出て行って、そのまま授業が始まるまで帰ってこなかった。 あれは本当に恋する女の子のチョコの渡し方だったな。 俺に渡すときとはえらい違いで…… いやいや、でも俺だって同じチョコを貰ったわけだし。 貴明と同じようにお礼をする権利が……いや、義務があるのだ。 「あのさ、ホワイトデーのお返しとして、俺とちょっとこの店に行かない??」 さっきのガイドブックのページをひょいと指差して、俺はあくまで自然な感じを装って切り出した。 下心があるなんて思われちゃいけない。 あくまで自然に。そう、自然にだぞ。 「お金のことだったら気にしなくていいよ。俺おごるからさ。それに別に今日じゃなくてもいいし。 いつだって委員ちょの時間に併せるからさ」 「あ、あの……でも、そんな……」 さらに思いつく限りの精一杯のサービスを並べるが、委員ちょの表情は固くなるばかりだ。 あ、あれ……? ここに行きたいんじゃないのかな?? 「あの、ほんとにお礼なんていいですから。 わたし、そんなつもりじゃなかったし…… あの、わたし用があるのでこれで……」
- 552 名前:向坂雄二のホワイトデー 12/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 20:02:05 ID:CcpeY6Dx0]
- 必死に拒否を続け、ぺこペこ頭を下げながら少しずつ後ずさってフェイドアウトしていくいいんちょ。
う……あからさまに逃げられてる。 はあ……俺が誘ってもダメなのか? ……貴明が誘ったら、喜んで行くのか? それとも、やっぱり拒否しまくって話が進まないのか? 「わからん……」 去っていくいいんちょに苦笑いで手を振りながら、そう呟くしかない俺だった。 くそ……姉貴が言ったみたいにやってみたつもりなんだけどな。 やっぱダメじゃねえか。 俺と貴明じゃ、どこが違うんだ?? 「いや……悩むのはよそう。次だ、つぎ!!」 重い気持ちを振り切って、次に俺が訪れたのはコンピューター室。 「ちわーす」 挨拶とともに引き戸を開けると、お目当ての二人はそこに居た。 二人のうち、キーボードを叩いていた女の子が振り返って俺に挨拶してくれる。 「るーーー!」 「る、るー……」 珊瑚ちゃんの意味不明の挨拶に付き合って、俺も同じように挨拶を返してみる。 恥ずかしいが、これも彼女との円滑な会話の為に必要な行為のはず…… 「あれ? にーちゃんのことどっかでみた気がするけど、だれやっけーー??」
- 553 名前:向坂雄二のホワイトデー 13/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 20:02:27 ID:CcpeY6Dx0]
- が、がく。
さ、珊瑚ちゃん……俺のことちゃんと覚えてないのかよ。 「こいつ、いっつも貴明の隣にひっついとる、雄二っていうヘンタイや」 る、瑠璃ちゃんはどうやら俺の名前は覚えていてくれたみたいだな。 でもちっとも嬉しく思えないのはなぜなんだろう…… ちなみにこの『ヘンタイ』という好ましくない呼称についてだが。 こう呼ばれるのは、俺がなんらかの変態行為を彼女たちに働いたから……というわけではない。 瑠璃ちゃんにとって珊瑚ちゃんに近づく男はほとんどがヘンタイ呼ばわりなのだ。 貴明も瑠璃ちゃんにはしょっちゅうヘンタイ呼ばわりされているんだよな。 「あ、あのさ。今日がホワイトデーだってこと、知ってる?」 「うん。知ってるよーーー」 珊瑚ちゃんは元気に答えてくれた。 瑠璃ちゃんは……無言。何の返事も無い。 そういえば、瑠璃ちゃんは俺とはほとんど話さないな。 さっきの『ヘンタイ』だって俺の方を向いて言った言葉ではないし。 「さっき貴明がホワイトデーだって言ってこっちに来たよーー」 あ、貴明のやつ。もうこっちには来てたのか。 畜生、あのロリコンめ。委員ちょよりもこの二人が先かよ。 「二人はもう貴明から何か貰ったの?」 「えへへ、それはねーー 「あかん!! 言ったらダメーーー!!」
- 554 名前:向坂雄二のホワイトデー 14/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 20:03:08 ID:CcpeY6Dx0]
- 突然、大音量で珊瑚ちゃんの言葉に割り込んできた瑠璃ちゃんの悲鳴。
見ると、瑠璃ちゃんは顔を真っ赤にして震えていた。 「さ、さんちゃん、そんなことここで言ったらあかん! 絶対ダメや!」 はあ? 「な、なんでダメなのさ? 俺はちょっと貴明のホワイトデーについて……」 「そ、そんな恥ずかしいこと聞くなあ!! ヘンタイ! チカン! すけべええええ!」 「す、すけべえ?」 な、なにがどうなってるんだよ。 なんで俺がスケベ呼ばわりされてるんだ? 貴明のやつ、二人にいったいどんなお返しをしたんだ?? 「瑠璃ちゃん、なんで言ったらあかんのーー??」 「な、なんでも!! いいからぜったいダメ!!」 「えーー。つまらんなーー」 残念そうにそう呟く珊瑚ちゃん。 まったく何があったんだか。 な、なんとなーくだが危険な妄想がつい浮かんでしまう俺はアホなのだろうか? 後で珊瑚ちゃんなり貴明なりに聞いてみたいところだが…… 瑠璃ちゃんがさっきから、 『聞いたら殺す!!』 という目で俺を睨んでいるから難しいか。 残念だが、その話はとりあえず置いといて。 「あのさ、俺もホワイトデーのお返しがしたくて来たんだけど……」 「別にそんなのいらんわ。あのチョコだって、貴明に作ったのが余ってたからやっただけや」
- 555 名前:向坂雄二のホワイトデー 15/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 20:03:29 ID:CcpeY6Dx0]
- 皆まで言わないうちに、即座に瑠璃ちゃんの冷たいお言葉が帰ってきた。
それはきっと事実だろうけど。でもそんなはっきりいわなくてもなあ。 「さ、珊瑚ちゃんはなにか欲しいものある?」 瑠璃ちゃんを諦めて、俺は多少は接し易そうな珊瑚ちゃんに目標を切りかえる。 これは戦術的撤退だ。決して弱気じゃないぞ。 「んー。あんばたーーー」 「? あんばた? そんなんでいいの?」 「うん。大好きやーーー」 あんばた、と言っただけでほんわかと嬉しそうな顔をする珊瑚ちゃん。 いや、いつもほんわかした顔してるけど。でもほんと好きなんだな。 それはよく分かる笑顔だった。 「うんうん。そんなんでよかったら、いくらでも俺が買ってあげるよ。 一緒に食堂に行かない??」 「どこでも行くでーー」 元気な返事だ。 うんうん。珊瑚ちゃんは素直で可愛いなあ。 最初からこうやって誘えば良かったのか。 やっぱホワイトデーの贈り物は大切だなあ。 「……まるでゆーかいまや」 「う……」
- 556 名前:向坂雄二のホワイトデー 16/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 20:04:07 ID:CcpeY6Dx0]
- と、俺は瑠璃ちゃんの冷たい視線でふとわれに返った。
目の前には、どうやら状況をまったく理解していないらしい無邪気な珊瑚ちゃんの笑顔。 これでは俺のやっていることは小学生をお菓子で連れ出す犯罪者と変わりない。 あまりに簡単に釣れすぎるのも考えものだよな。 「さっさと帰れーヘンタイ!! ゆうかいまーーー!!」 「ご、ごめんなさーーい!」 「あ、あんばたー! くれるって言ったのにーー」 二人の声から逃げるように俺はコンピューター室から立ち去った。 さすがに犯罪者にはなりたくない。 はあ…… なんで上手くいかないのかな。 貴明と同じようにやってるつもりなんだがな。 ちょっと趣向を変えて、一番まともそうな人に相談してみようかな。 そう思って俺はまた次の目的地に足を踏み入れたわけだが。 「あの……たとえば久寿川先輩だったら、何が欲しいって思いますか?」 「そりゃやっぱ、現ナマだろ。当然。 男ならナマで出せ!! ありったけ出せ!!」 「いえ、まーりゃん先輩の希望は聞いてないですから」 「なんだとー!!」 生徒会室には二人の先輩が居た。 もうひとりはとっくに卒業しているはずのまーりゃん先輩だ。 くそ……久寿川先輩に頼ろうとすると、いつも厄介なのがひっついてくるんだよな。 さっさとこの世界からも卒業して下さい。ほんとに。
- 557 名前:向坂雄二のホワイトデー 17/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 20:04:44 ID:CcpeY6Dx0]
- 「現ナマでなければパンツだな。
やっぱホワイトデーだから白いパンツだろ。 ん? 白いのがついたパンツがいいのか??」 「白いの……? なんですか??」 久寿川先輩が不思議そうな顔をしてまーりゃん先輩に尋ねようとした。 俺はマッハの速度でまーりゃん先輩の口を塞いで余計なことは言わせないようにする。 やめてくれ。 あなたが壊れるのはいいですが、俺の久寿川先輩を汚さないで下さい。 「しろいぱんつー。ぱんつー」 俺の腕を振り切って、うるさく騒ぐ悪魔の存在は出来る限り無視。 あきらめずに久寿川先輩に話しかける。 「あの、俺マジで悩んでるんです。 バレンタインに、女の子がせっかく俺に大切な気持ちを贈ってくれたのに。 その気持ちに上手く応えることが俺には出来ないんです。 いったいどうしたらいいんでしょうか?」 別に嘘は言ってない。 深刻に悩んでいるのも本当だろ。 「嘘つけーー。どうせ後でやっちゃうことしか考えてないくせにーーー」 ……悪魔の囁きなんて耳に入らねえ。 誰がなんと言おうと、俺は久寿川先輩の声しか耳に届かないぞ。 「そうですか……向坂君は心優しいのね。 でもどうしたらいいのかしら?」
- 558 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/16(日) 20:09:30 ID:maW4M8od0]
- けっこうおもろい
- 559 名前:向坂雄二のホワイトデー 18/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 21:06:30 ID:CcpeY6Dx0]
- そう言って久寿川先輩は深く考え込むようにその瞳を閉じた。
ああ。やっぱ久寿川先輩はまじめに考えてくれるんだなあ。 その優しさはまるで女神のようだ。 「そうですね。私には経験がほとんど無いことですからよく分かりませんけど……」 美しい久寿川先輩は憂いを含んだ瞳で呟く。 その表情も素敵である。 「でもきっと、好きな人から贈ってもらえたら、どんなものでも嬉しいと思います。 だから素直になって、その人のことを大切だという気持ちを込めて、贈り物を贈ってあげてくださいね。 ささやかなものでもいいんです。向坂君の想いが通じれば、彼女はきっと喜んでくれると思います」 「そ、そうですよね。その通りです! よく分かりました! どうもありがとうございます!!」 そんな久寿川先輩のお言葉なのだ。 間違っているはずがない。 俺は久寿川先輩のアドバイスを頂き、意気揚々と生徒会室を引き上げた。 その後。 なんとなく家に帰る気にもならず、一人になりたかった俺は校舎の屋上に居た。 俺は学校の屋上から一人沈む夕日背に、校舎の下の風景を眺めていた。
- 560 名前:向坂雄二のホワイトデー 19/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 21:07:21 ID:CcpeY6Dx0]
- 「あーあ、みんな帰っちまうな……まあ、いいさ」
下校時刻を迎えた屋上から見えるのは、学校からの帰り道を歩いていく生徒たちの小さな姿。 そこには一人の奴もいたし、数人で固まって騒がしく歩いている奴らもいる。 そして、あそこには仲むつまじく腕を組んで歩いているカップルが一組。 女生徒は長い黒髪が映える少女。男の方は…… 「あれ?」 あれはもしかして貴明と草壁さんじゃないか? 遠すぎてよく見えんが、なんとなくそんな感じがする。 「まったく、やってくれるぜ」 思わず溜息。でも不思議と怒りはそれほど感じなかった。 本当に仲のよさそなその姿は、当然うらやましくはあるけれど。 「まあいいさ。せいぜいお前はその子を幸せにしてやりな」 俺は貴明と思われる小さな背中にエールを送る。 今の俺ほど沈む夕日が渋く映える男はいないだろう。 結局今年のホワイトデーも俺にはなんの結果も出せなかった。 でも今、俺の心はそれなりにすっきりした気持ちだ。 それはきっと、俺が俺なりの答えを出すことが出来たからだろう。
- 561 名前:向坂雄二のホワイトデー 20/20 mailto:sage [2008/03/16(日) 21:08:08 ID:CcpeY6Dx0]
- 「「へっ。けっきょく姉貴の言った通り、気持ちが一番大事だってことかな」
そうだな。 どんなプレゼントだって好きな人から贈られたものなら嬉しいに決まってるよな。 委員ちょも、珊瑚ちゃんも瑠璃ちゃんも。 俺のことが好きでもなんでもなかったから喜んでくれなかった。 ただそれだけのことだったのだ。 よし、俺もこの経験とアドバイスを今後に生かして次のチャンスを…… 「って無理だろ!!」 はたと真実に気が付いて、思わず俺は沈み行く夕日に向かって絶叫する。 だから、そもそもどうやったら俺が女の子に好かれることができるんだよ!!! 元々それが知りたいんだよ!! 「ちきしょーーー! やっぱ俺には無理なのかよーー!」 ああ、俺のホワイトデー…… 今年も何事もなく去っていってしまうのかよ。 くそ。ら、来年のホワイトデーこそはちゃんと俺のプレゼントを受け取ってくれる彼女を作ってやるからな。 見てろよ!!
- 562 名前:495 mailto:sage [2008/03/16(日) 21:10:16 ID:CcpeY6Dx0]
- 以上です。
時間をかけまして大変申し訳ありませんでした。 支援くださった方、どうもありがとうございます。
- 563 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/16(日) 21:12:15 ID:taPLK5XpO]
- >>562
GJ!
- 564 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/16(日) 21:19:25 ID:eA5zO/hQ0]
- >>562
乙乙 雄二主体の話は少ないから楽しめたよ
- 565 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/16(日) 22:16:38 ID:yG1Pgbiv0]
- GJ
雄二もてるためにがんばる、って感じですね 雄二主体の話はホワイトデーに限らず雄二哀れでオトして終わりという話は結構あるけど これはキチンと読ませる話になってて面白いです 楽しめました
- 566 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/16(日) 23:32:15 ID:F8GfxzKX0]
- オチのない雄二SSも珍しいな
でもかなり楽しめました
- 567 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/16(日) 23:48:34 ID:xGDgAEgn0]
- >>562
乙&GJ 真面目に雄二SSってのはなかなかめずらしいな。 なかなか楽しめたっす。 ……それにしてももうじきこのスレも終わりだけど、まとめスレの管理人様どうしたのかなぁ。 無理は言えないんだけど、ちょっと心配。いろいろな意味で。
- 568 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/16(日) 23:55:54 ID:6rLt/9K60]
- 〜重要なお知らせ〜
突然ですが書庫はジオシティーズに移転しました。 旧ページはそのうち消す予定なので、ブックマークの変更等よろしくお願いします。 いい機会なので、レイアウトも変えてみました。 >567 スイマセン、移転作業に手間取ってました。。。
- 569 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/17(月) 00:04:15 ID:h2kDGh+C0]
- >>568
書庫様いつもお疲れ様です。 や、つまらない心配をしてしまい申し訳なかったです。
- 570 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/17(月) 00:06:14 ID:4cWu6MmA0]
- >>568
世間は年度末なのでリアルの方でお忙しいんだろうなと思ってたんですが、移転作業中でしたか いつもご苦労様です
- 571 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/17(月) 00:10:17 ID:E+59IytX0]
- >>568
移転先、確認しました〜 乙かれです。
- 572 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/17(月) 06:15:29 ID:BrI6xqH00]
- >568
超乙&GJでつ ささらも独立したんですねー、あ、「冬のNYのひとときのやすらぎ」がないような?
- 573 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/17(月) 09:37:29 ID:WhFAOoGeO]
- ジオって規約でエロNGだと思ってたけど…
いつのまにか変わった?
- 574 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/17(月) 10:00:13 ID:eKk7oeGf0]
- >>572
完全には移行できてないってことじゃない? 些細な…だかなんだか題名忘れたけど、もう一個の長編も入ってなかった。
- 575 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/17(月) 17:05:07 ID:q5+iquGF0]
- >>568
乙かれ様です 『誰かの倉庫』さんが復活・・・と言うべきかは分からんが更新されてた ADのシルファも好きだが、あっちのサイトの子犬チックなシルファも好きだ
- 576 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/17(月) 21:11:26 ID:t3ga6Cdh0]
- >572 >575
指摘どうもです。さっそく修正しました。 >573 そこは旧サイト(インフォシーク)のころから懸念している点。。 最初は全年齢ゲーだったからなぁ。
- 577 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/17(月) 21:12:30 ID:t3ga6Cdh0]
- すいません、上の>575 は>574 の間違いです。
- 578 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/18(火) 00:07:53 ID:vg9cgKD00]
- >>576
出版社勤めの知り合いに聞いた話しでは、本の場合は文章のみであれば18禁にはならないらしい。 その証拠にフランス書院の小説本には18禁マークついてないでしょ、なんてことを言われました。 Webサイトの場合はどうなんだろうか。 ぶっちゃけた話、アダルト禁止のサイトが多いのはアダルトの場合は普通のコンテンツよりも アクセス数が多くトラフィックが大量になるので鯖屋が嫌がる。
- 579 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/18(火) 10:48:43 ID:SxfNJDh70]
- 18禁マークのないエロ小説本にもエロ挿絵がついていて
とても「文章のみ」ではない気がするのだが。 二次元ノベルズなんて巻頭巻末エロ漫画付きのもあるが、それでも18禁マーク無しだよ。 エロマンガまがいの一般漫画も多いとはよくいわれるところだけど、18禁になったりはせんし。 単に掲載雑や版元の違いから、流通や販売のカテゴリ分けで発生してるだけに見えるけどなぁ。 澁澤龍彦の事件やら、四畳半の襖事件やら 小説も日本のわいせつ物判例じゃメインで登場していて、小説なら規制がかからない、なんてこたないし。 (当時じゃ有罪でも現在では違うだろうけどね)
- 580 名前:名無しさんだよもん [2008/03/18(火) 18:39:29 ID:hpC5kMRO0]
- チャタレイ夫人の恋人のことかー!
- 581 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/18(火) 22:43:32 ID:Tg2V+Z5uO]
- >>580
そこでその名前が出るお前が好きだ
- 582 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/18(火) 22:45:49 ID:edzytuJ60]
- SSてセガサターン?
と思ってこのスレ覗いた俺をハリセンでなぐってやりたい さらばだ
- 583 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/18(火) 22:58:53 ID:I5RKmkaG0]
- >>581
チャタレー事件は高校の政経の教科書に必ずと言っていいほど登場するんだぜ?
- 584 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/18(火) 23:24:49 ID:rWjNU8Mb0]
- そんなことより君に送る桜の詩の話しよーぜ
バウムやレイプにキレてた郁乃好きにとっては朗報だ
- 585 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/18(火) 23:43:58 ID:wUcZCXDeO]
- ↑なんだいそりゃ
- 586 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/19(水) 00:20:04 ID:EKsNRv7g0]
- 朗報も何も
ありゃまだ始まったばっかりで海のものとも山のものとも付いてないだろ 何を期待しとるんだ?
- 587 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/19(水) 23:01:15 ID:cbrjcsJw0]
- ちょうど原作との分岐点から登録サイトに登録されるようになり
それでも勝手に登録されて困っちゃうという態度を取り続けるのを期待してる
- 588 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/20(木) 14:15:31 ID:BTAFyibR0]
- とりあえず>>584は作者乙ってことでいいのか?
- 589 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/20(木) 14:45:44 ID:nCCzFt7X0]
- 地味に>>387が助かる件
よし、河野家の厨房ではるみをファックしていいぞ
- 590 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/20(木) 17:57:02 ID:5XPbe/6P0]
- 「作品はいいが信者がウザイ」という現象は、
どこの世界でもよく見られることです
- 591 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/20(木) 19:42:39 ID:2L1zjc2E0]
- >>589
そーいや、テンプレから行ける「ToHeart2呼び方相関図」更新されてるぞ。 烈しくGJと言いたかった。
- 592 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/20(木) 20:16:28 ID:mV+9di3X0]
- >>588
作者乙にしても、ググってもYAHOOで検索しても出てこないぞ。どこよw
- 593 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/20(木) 20:56:36 ID:5MKzZYMj0]
- アドレスは知ってるけど
SS Linksとかに登録してくれるなと書いてあるからなぁ リンク張るのはちょっと どうしても読みたかったらSS Linksの愛佳か由真を漁ればリンクは出てくるぞ 勝手に登録されてたことがあったから
- 594 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/20(木) 21:05:45 ID:dlxqmH6Y0]
- SSサイトを語りたければスレ建てろよ。前にも一度そうしてただろ
- 595 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/20(木) 21:09:03 ID:5XPbe/6P0]
- >>594
もう立ってる 葉鍵SSについて語るスレ set.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1203051297/
- 596 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/20(木) 21:40:17 ID:6Tu1B73b0]
- >>587
ダメと言われてはいそうですかと黙ってくれる人 ばかりじゃないからねえ… >>588 作者ならSSのタイトル間違わんだろw 以降は>>595あたりで語るとよろし。ここは投下スレだから
- 597 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/20(木) 22:28:46 ID:nCCzFt7X0]
- すげえ。予防線の上書きって初めて見たw>>596
- 598 名前:冷蔵庫の野菜室には 1/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:17:29 ID:SZltIRj40]
- 「本当にご主人様は、シルファがいないとダメダメのダメっこさんなのです」
「め、面目ない」 それでも、ショッピングカートを押して、スーパーの陳列棚を眺めるシルファちゃんの表情はとっても嬉しそうで。 俺も、嬉しい。シルファちゃんに謝りながら、けれど、またこうやってシルファちゃんと今までのように会話できるのが嬉しくてしょうがない。 シルファちゃんが、俺のところに戻ってきてくれた。あの時、約束した通りに。また、俺のメイドロボになってくれるために。 時間にすればたった二週間のことだったのに。配達人の服を脱いで、いつものメイドロボの服に着替えたシルファちゃん。今もうきうきとして野菜を見比べるシルファちゃんの後姿を見ていると、この二週間が、俺にとってどれだけ待ち焦がれていた時間だったのかが良くわかった。 『うん……これからもずっとね』
- 599 名前:冷蔵庫の野菜室には 2/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:20:57 ID:SZltIRj40]
- 配達人の服を着て、メイドロボの受け取り確認書を握り締めたシルファちゃんに、俺は
そう言うのがやっとだった。 前と全く変わらないシルファちゃんの笑顔を見ていると、もうそれ以上我慢していた物 を抑えきることができなくなってしまって。玄関の扉が開けっ放しになっていることも忘 れて、シルファちゃんのことを抱き締めて。シルファちゃんも、俺のことを抱き締めてく れる腕に力を… 「ご主人様、聞いているのですか!?」 「え、あ、なに?」 シルファちゃんに急に声をかけられて、慌てて答える。 「何が急に、ですか。さっきから何度も呼んでいるのですよ!」 全く気が付かなかった。よっぽど、さっきの記憶に浸っていたらしい。 シルファちゃんは『やっぱりご主人様はあんぽんたんなのれす』とでも言いたそうに俺 のことを見つめてきて。し、失礼だな。ちょっと考え事をしていただけじゃないか。
- 600 名前:冷蔵庫の野菜室には 3/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:23:38 ID:SZltIRj40]
- 「事実ではないのですか。もとからどじっ子だあんぽんたんだとは思っていたですが、た
った二週間、シルファが家を空けただけでどうやったらあんなに家の中を汚くできるので すか!」 シルファちゃんの剣幕に、たじろぐ俺。それを言われると、さすがに厳しい。 玄関で熱い抱擁を交わした後、家の中に入ったシルファちゃんが最初に発した言葉が 『な、何れすかこれは…』 だった。 リビングを見回してまず目に付くものが、ゴミ箱からあふれた弁当のカラ。テーブルの 上に散乱する使用済みの食器。 部屋の隅には埃がたまりだしているし、洗濯物だってソファーの上に散らかっていた。 我ながら、シルファちゃんがいなかった間の荒み方は普通じゃなかったと思う。そりゃ、 シルファちゃんが驚くのも無理はない。 おかげで感動の再開もそこそこに、シルファちゃんにお尻を叩かれるみたいに家の掃除 をする羽目になってしまった。 二人で慌てたように片付けて、ようやくさっき、何とか家の環境を人が住めるものにし て。これもまた当然のように空っぽの冷蔵庫に唖然とするシルファちゃんと一緒に、こ うやってスーパーまで食材の買出しに来ていると言う訳だ。
- 601 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/20(木) 23:25:55 ID:3kll2Y8x0]
- 支援
- 602 名前:冷蔵庫の野菜室には 4/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:26:24 ID:SZltIRj40]
- シルファちゃんと一緒にスーパーに買い物に来る。あの時はそれだけで一苦労だったの
に、今ではそれを自然に行うことができる。たったそれだけのことだけど、これも、い ままで二人が築き上げてきた信頼の結果だと思うとなんとなくくすぐったい。 「何をしまりの無い顔をしているのですか。シルファは怒っているのですよ!!」 また怒られた。頭をかきながら謝って、でも、表情が緩んでしまうのは抑えられなくて。 今の俺には、シルファちゃんの声が聞けるのなら、例えそれが怒り声であっても心が浮 き立ってしまう。 以前と変わらないままのシルファちゃんの、以前と変わらない…変わらない……あれ? 「『なの"です"』?」 "れす"じゃなくて? 「ぷっ、ぷぷぷぷ、ぷぷっ」 急に立ち止まって、俯いてしまうシルファちゃん。 どこか調子でも悪いのかと思ったんだけど。
- 603 名前:冷蔵庫の野菜室には 5/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:28:41 ID:SZltIRj40]
- 「ぷっ、ぷぷぷぷぷぷ、今頃気づいたなんて。やっぱりご主人様はシルファがいないと何
もできない、だめだめのどじっ子ご主人様です」 不敵な笑顔で、俺のことを見返してくる。 やっぱり、シルファちゃんの人見知りの原因だった、あの口調が直っている。 「シルファをあの時のシルファのままだと思わないで欲しいのです。全ての欠点を克服し、 ご主人様の言いつけを完璧に遂行する。まさに! 生まれ変わった! パーフェクトシル ファなのです!!」 おおー。 思わず拍手。そう言えば、配達員の格好をしてた時も普通にしゃべっていたし。 でも、あれだけのコンプレックスになっていたことを克服したんだ。この二週間の間に、 よっぽど努力したんだろう。 やっぱり、それも俺の所にもう一度来てくれるためだったんだろうか。そう考えると、 少しだけ面映くて、それよりもずっと強く嬉しくなる。 「そんな大したことじゃあないのです。シルファがちょっと本気を出せば、これくらいお 茶の子さいさい河童のへー、なのです。前だってやろうと思えばすぐに直せたけど、いち いちそんなことのために時間を使うのは馬鹿馬鹿しかったから直さなかっただけで。それ をイルイルが大げさに言うものだから」
- 604 名前:冷蔵庫の野菜室には 6/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:30:52 ID:SZltIRj40]
- そう言って、シルファちゃんは胸を張る。口ではいろいろ言っているけど、でもコンプ
レックスを克服できたのは素直に嬉しいみたいだ。 「でも、がんばったことに違いはないんだろ。えらいえらい。さすがシルファちゃんだ」 「ふふん、もっと褒めるといいのです」 うん、本当にすごい。シルファちゃんはやっぱり、努力すれば何だって出来る子なんだ。 スーパー中の人たちに、それを大声で教えてやりたくなる。俺のメイドロボは、こんな にすごい子なんだって。 「これでもう、シルファには怖いものはありません。ミルミルのアンポンタンはおろか、 イルイルだって近い将来、シルファの前に跪かせてやるのれす!!」 ……あれ? 「シルファちゃん、今」 「な、ななな何を言っているのれすか。シルファは本当に克服したのれす。それを疑うな んてご主人様は愛する自分のメイドロボの言うことが信じられないのれすか!」
- 605 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/20(木) 23:33:12 ID:oAzV4DKd0]
- 続きを
- 606 名前:冷蔵庫の野菜室には 7/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:33:15 ID:SZltIRj40]
- ごまかそうとすればするほど、ドツボにはまっていってしまう。
あー、いくらあたりを見回しても、ここにダンボール箱はないから。 「わ、笑ったれすね。シルファのあられもない姿をみて愚弄したれすね。ひどいれす、ご 主人様は鬼畜れす、人非人なのれ── 俺は口元に苦笑を浮かべながら、シルファちゃんの頭に手を置く。ぐりぐりと頭をなで てあげて、ようやくシルファちゃんも落ち着いてくれる。 「ごめんごめん、笑うつもりはなかったんだけどさ」 「ほ、本当に治ったんだもん。今は、たまたま、たまたま言い間違えただけで」 「うん、そうだね。シルファちゃんは俺のために、がんばって弱点を克服して帰ってきて くれた。でも、今までの癖がまた、ちょっとだけ抜けていないんだよね。癖じゃ仕方ない よなー。けど癖だし、そのうち直っちゃうか」 「そ、そうなのです。癖だから仕方ないのです。そのうち直ってしまうのです、なのにご 主人様が騒ぐから」
- 607 名前:冷蔵庫の野菜室には 8/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:36:29 ID:SZltIRj40]
- 「あはははは、ごめんごめん。でも、弱点を克服したシルファちゃんも凄いと思うけど、
弱点を克服しようと努力しようとするシルファちゃんも凄いと思うよ。俺、努力とか根気 とか得意じゃないから」 「それは得意じゃないんじゃなくて、ご主人様が単純にやる気がないだけなのです。少し はシルファの爪の垢でもせんじて飲めばいいのです」 しゅん、と落ち込んでしまうシルファちゃん。けど、言い合いをするうちにまた、いつ もの調子を取り戻してくれた。 やっぱりシルファちゃんはシルファちゃんのままだった。いろいろ人間的に(メイドロ ボ的に?)成長したけど、ダンボールで送られてきて、初めて会った時から変わらない でいてくれる。 もう一度頭をなでてあげると、うれしそうに目を細めてくれた。 「これくらいで許してもらえるなんて、思わないで欲しいのです」 「許してくれないと困っちゃうなぁ。俺、もうお腹ぺこぺこだし。久しぶりにシルファち ゃんの手料理、凄く楽しみにしてたんだけど。でもシルファちゃんが許してくれないなら 仕方がないか。自分で何か作らないと」
- 608 名前:冷蔵庫の野菜室には 9/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:38:47 ID:SZltIRj40]
- 「え、あっ、ご、ご主人様が自分で作った料理なんて、栄養らって偏ってるし、お塩だっ
て多すぎらし、そ、そんなもの食べちゃだめれす。し、仕方ないれす。本当はご主人様の こと許してないれすけど、今日は特別れす。シルファがご主人様のご飯、作ってやるのれ すよ」 ありがとう。俺がそう言うと、シルファちゃんはぷいっ、と首を向けてしまう。そして 「ご主人様のご飯は、一生シルファが作ってあげるのれすから」なんて、首まで真っ赤に して。 「え、何? シルファちゃん、何か言った?」 「な、何でもないれす。さあ、ご主人様が餓死するまえに、早く買い物を済ませて家に帰 るのですよ」 結局その後も、二人であれが美味しい、これが足りないと言いながら買い物を続けて、 スーパーから出てきたときには二人とも、両手いっぱいに食材の入った買い物袋を持って いた。 これだけあれば、空っぽだった冷蔵庫の中もいっぱいになるだろう。
- 609 名前:冷蔵庫の野菜室には 10/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:41:10 ID:SZltIRj40]
- 二人で重い荷物を持って家に帰ると、ちょうどご飯が炊けるところだった。
買い物袋の中身を、シルファちゃんと一緒にやってきた冷蔵庫に詰め込むと。早速、シ ルファちゃんが晩御飯の準備を始めてくれた。 野菜を洗う音や、材料を切る音。シルファちゃんが我が家にやってきて、いつの間にか 当たり前になっていた光景。 シルファちゃんが帰ってきて、ようやくその当たり前が戻ってきてくれた。 「どうしたのですか、そんな変な笑い声なんて上げて」 「え、いや、なんでもないよ」 「やっぱり、ご主人様はおかしいのです」 そんな会話を、笑い声と一緒に交わす。 今日の晩御飯のおかずは、焼き魚に、お味噌汁に、サラダと。 焼肉のタレの野菜炒めだった。
- 610 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/20(木) 23:41:44 ID:3kll2Y8x0]
- 俺もシルファは口癖克服した派だが
これはいいSSだ
- 611 名前:冷蔵庫の野菜室には 11/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:43:42 ID:SZltIRj40]
- 「ご主人様、お風呂が沸いたのですよ」
夕食の後、久しぶりのシルファちゃんの料理に少し食べ過ぎて、重たいお腹をソファー の上で休ませていると。 「あ、そう」 シルファちゃんはそう言ったまま、もじもじとその場に立ち続けている。 「どうかした? お風呂、沸いたんなら入るんじゃないの? 空いたら教えてよ。次、俺 も入るからさ」 でも、シルファちゃんはそこから動こうとしない。しかもなぜか、顔を赤くして。 「ご、ご主人様が先にはいるといいです。シルファは、ご主人様の次でいいれすから」 「え、でも」 シルファちゃん、今まではお風呂が沸いたらさっさと先にお風呂入っちゃってたし。入 浴剤、自分の好きなもの選んでたんじゃないの?
- 612 名前:冷蔵庫の野菜室には 12/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:45:59 ID:SZltIRj40]
- 「し、シルファはメイドロボなのです! ご主人様より先にお風呂に入るわけには行かな
いです。だ、だからご主人様は、さっさとお風呂に入ってくるれすっ!!」 大きな声で怒られて、何で、俺が怒られないといけないんだ? まるで追い立てられる みたいにお風呂に入らされる。 まだ少しお腹も苦しいし、本当に後でよかったんだけどなぁ。 シルファちゃん、戻ってきてまだ、俺に遠慮しているんだろうか。そんなこと考えなく てもいいのに。 沸かしたてのお風呂は、熱過ぎもせず、ぬる過ぎもせず、ちょうど良い温度だった。湯 船に肩まで沈んで体を伸ばすと、今日一日の心地よい疲労感がゆっくりと溶けだしていく。 けど、まだまだ一日の終わりまでは時間が残っていて。シルファちゃんが戻ってきてく れてからの、時間の濃さに驚く。 きっと明日からも、今日と同じくらい一日が長く感じられるんだろう。シルファちゃん と一緒にいられたなら。 「ご、ご主人様、お湯加減はいかがですか」 そんなことを取り留めなく考えていると、脱衣所から声を掛けられた。わざわざ、その ことを聞きに来てくれたんだろうか。
- 613 名前:冷蔵庫の野菜室には 13/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:48:57 ID:SZltIRj40]
- 「うん、ちょうど良いよ」
「そ、そうれすか。それは良かったのです」 それっきり、黙り込んでしまうシルファちゃん。 それから何かを聞いてくる訳でもなく、かと言って脱衣所から出て行く様子もない。た だ、そこにシルファちゃんがい続ける気配がするだけ。 な、何なんだこの緊張感。 そろそろこの、扉一枚をはさんだ空気に俺が耐え切れなくなって口を開こうとした瞬間、 勢い良くお風呂場の扉が開かれた。 一瞬で晴れた湯気の向こう、お風呂場の入り口のところには、体にバスタオルだけを巻 いたシルファちゃんが何か、思いつめたような表情で待っていた。 「ど、どうしたの?」なんとか悲鳴を飲み込んだ俺が、シルファちゃんにそう声を掛け ようとすると、シルファちゃんはそんな俺のうろたえっぷりなんて無視するようにお風呂 場の中に入ってきて。 そのバスタオルのすそから除く太ももだとか、恥ずかしそうに腕で隠す胸の部分だとか が俺の目の前に迫ってくる。見たくないなら見なきゃ良いじゃないかというのは正論だけ ど、でも、シルファちゃんのこんな姿を見せ付けられて目を剃らせることのできる男がい るだろうか。
- 614 名前:冷蔵庫の野菜室には 14/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:51:45 ID:SZltIRj40]
- 完璧に混乱した頭と体で、まるで金縛りにでもあったみたいにシルファちゃんのことを
見つめ続ける。 「ごごご、ご主人様、お背中を洗いにきましたのですっ」 ひっくり返り気味の声で、シルファちゃんが俺にそう呼びかける。 背中? どうして!? 「し、シルファはご主人様のメイドロボなのです。め、めめ、メイドロボが、ご主人様の お世話をするのは当然のことなのれ、です。だから、ご主人様の背中を洗いに、シルファ は来たのですっ!」 シルファちゃんのその声で、ようやく体の金縛りが解けてくれた。見ればシルファちゃ ん、顔を真っ赤にして。体も緊張のせいなのか、小刻みに震えている。 無理しちゃって。 「シルファちゃん」 「ぴっ!?」
- 615 名前:冷蔵庫の野菜室には 15/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:54:07 ID:SZltIRj40]
- ガチガチに緊張してしまっているシルファちゃん。こんな様子じゃ、こっちが何を言っ
ても聞こえはしないだろう。 だから俺は、湯船からそっと腕を取り出すと、それをシルファちゃんの頭の上に置く。 「別に、そんな無理することないんだよ?」 「別に、別にシルファ、無理なんて──ぴぴぃっ!?」 腕を今度は、頭の上からシルファちゃんの肩に触れると、弾かれるみたいにシルファち ゃんの体が反応する。 「で、でもシルファ、今度は自分の意思で、ご主人様のメイドロボになったれすから。ら から、らからご主人様のお世話らって、いままでよりずっとしないと」 「じゃあシルファちゃんは、俺がご主人様だから俺のお世話をしてくれるの? ご主人様 登録があるから、俺のことお世話してくれるの?」 「それは、違うのれす。シルファはご主人様がご主人様らからお世話をするんじゃなくて、 シルファがお世話したいのが、ご主人様らから。ご主人様に喜んでほしくて、お世話した いのれす…らから」
- 616 名前:冷蔵庫の野菜室には 16/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:56:24 ID:SZltIRj40]
- 結局、シルファちゃんもまだ不安なんだろう。新しくご主人様登録をして、俺のところ
に帰って来ても。 俺が、シルファちゃんがいない二週間、本当にシルファちゃんが戻ってきてくれるのか 不安だったように。いつか自分が、俺に捨てられてしまうんじゃないだろうかって。 そんなこと、ある訳がないのに。 「俺も。俺がシルファちゃんと一緒にいたいのは、シルファちゃんがメイドロボだからじ ゃない、そう言ったろ? 俺がシルファちゃんと一緒にいたいのは、シルファちゃんがシ ルファちゃんだから。特に、俺に向かって笑顔でいてくれるシルファちゃんなんて最高だ な」 シルファちゃんの頭を撫でながら、俺はそんなことを言う。 「だからさ、シルファちゃんは無理してまで『メイドロボ』をする必要は無いんだよ。シ ルファちゃんがシルファちゃんのしたいように、俺のことをお世話してくれる。俺はそれ だけで嬉しいんだから」 その後も、俺はシルファちゃんの頭を優しく撫で続ける。 そのうち、ようやくシルファちゃんの肩の緊張も解けてきて。手を離すと、ちょっとだ け名残惜しそうにしてくれたのが嬉しかった。
- 617 名前:冷蔵庫の野菜室には 17/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:57:53 ID:SZltIRj40]
- 「それじゃあ、俺、もうちょっとだけお風呂に入ったら上がるからさ。シルファちゃんも
一度、服に着替えて外で待っていてよ。そのままでいると風邪ひいちゃうよ」 「はい……あ」 俺の言葉に、一度は頷いてくれたシルファちゃんだったんだけど。でもなぜか、居心地 悪そうにその場でもじもじとして立ち上がろうとしない。 「あ、あの、ご主人様」 「ど、どうかした?」 言うべきか、言わざるべきか。シルファちゃんの様子からそんな雰囲気がありありと伝 わってくる。 けれど結局言おうと決心したのは、確かにこのまま言わないでいて、また後で気まずい 思いをすることは避けたかったからだろう。 「あの、シルファもう、ご主人様の手でびちゃびちゃに…」
- 618 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/20(木) 23:58:58 ID:WbwZYmq60]
- 支援
- 619 名前:冷蔵庫の野菜室には 18/29 mailto:sage [2008/03/20(木) 23:59:41 ID:SZltIRj40]
- 言われてみて、そう言えばシルファちゃんの頭も体も、俺の手からついたお湯のせいで
濡れてしまっている。 特に拭きもしないで頭を撫でたり、肩を抱きしめたりしたんだから、考えなくったって 当然のことだろう。 「ご、ごめん! お、おれ今すぐ出るから、シルファちゃんはこのままお風呂入っててよ 「だめれす、ご主人様まだ体あったまっていないのれすから。いまお風呂から出たら風邪 を引いてしまうのれす!」 だからといって、このままシルファちゃんをお風呂場から追い出したんじゃ、シルファ ちゃんが風邪を引いてしまう。いくらメイドロボとはいえ、濡れたままの体でいるのが体 に良いはずがない。 ただ、シルファちゃんの方も頑なで。これじゃあどうしたって俺の言うことを聞いてく れそうにない。ご主人様の命令って言うことで、無理にでもお風呂に入ってもらっても良 いんだけど、できればそう言うことはしたくないし。 「あ、それじゃあさ」
- 620 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/21(金) 00:00:09 ID:7gIxLPxR0]
- 支援
- 621 名前:冷蔵庫の野菜室には 19/29 mailto:sage [2008/03/21(金) 00:02:06 ID:IfyK1bWG0]
- 俺が出て行くのもだめ。シルファちゃんが出て行くのも以ての外。それじゃあ、取るこ
とのできる道は一つしかなくて。 「シルファちゃん、一緒にお風呂、入らない?」 「いっ──!?」 シルファちゃんの顔が、一瞬で茹ダコみたいに真っ赤になった。きっと、言っている俺 も似たようなもんだろう。 「あんまり広いお風呂じゃないけど、つめればもう一人くらい入れるしさ。シルファちゃ んが嫌じゃなかったらだけど、どう?」 真っ赤な顔のまま、ゆっくりと頷くシルファちゃん。 立ち上がると、体に巻いたバスタオルを取ろうとして── 「む、向こうを向いててくらさい! シルファをバスタオルのままお風呂に入るような、 じょーしきのないメイロロボにする気れすか!!」 「ご、ごめんっ」
- 622 名前:冷蔵庫の野菜室には 20/29 mailto:sage [2008/03/21(金) 00:05:15 ID:IfyK1bWG0]
- あわてて首を後ろに向ける。
バスタオルがはだける音、なんて物は当然のように聞こえないんだけど。代わりにバス タオルを脱衣所に置く音と、シルファちゃんが恥らいながら湯船に入ろうとする雰囲気だ けが、後頭部の方から痺れるくらい伝わってきて。 そしてこともあろうに、シルファちゃんは浴槽の反対側、隙間を開けた部分じゃなくて、 よりにもよって俺の膝の上に座り込んで。 「なーっ!?」 俺が叫び声を上げた時にはもう遅く。シルファちゃんの背中が、お風呂の中でぴったり と俺の胸に触れ合ってしまっていて。 「ししし、し、シルファちゃん!?」 「シルファは、ここが良いのです」 それっきり、有無を言わさないように黙り込んでしまう。後ろ向きに座っているせいで 表情はわからないけど、で、でもこれは。 「シルファちゃん、こんな、ミルファちゃんみたいな真似しなくても」
- 623 名前:冷蔵庫の野菜室には 21/29 mailto:sage [2008/03/21(金) 00:07:27 ID:IfyK1bWG0]
- 「ミルミルにされるのは良くて、シルファにされるのはダメなのですか。そーですか、結
局ご主人様は、おっぱいの大きいメイドロボの方が良いのですか」 いや、そうじゃなくて。むしろその反対だから困ってしまうというか。 ちなみに、胸のことじゃないぞ。 「ととととととにかく、早くどいて」 そうじゃないと、いろいろまずい事にーっ! 「あっ…」 しかし、それはもう手遅れだった。 そりゃそうだろう。目の前には火照って赤く色づいたシルファちゃんのうなじが見えて、 ぴったりと密着するシルファちゃんの肌はすべすべで。しかも"それ"は、シルファちゃ んのお尻のしたで直接刺激を受けてしまってるんだから。 「か、硬くなってきたのれす」
- 624 名前:冷蔵庫の野菜室には 22/29 mailto:sage [2008/03/21(金) 00:09:19 ID:IfyK1bWG0]
- 解っているのなら、早く、全て俺の理性が無くなる前に。
「……嬉しいのれす。ご主人様、シルファでこんなに反応してくれて」 恥ずかしそうに、そんなこと言っちゃダメー!! 「ご、ご主人様さえ良かったら、しても、いいのれすよ。こんなところでするのは恥ずか しいれすけど、ご主人様が喜んでくれるのれしたら、シルファ何でも──ぴぴぴぃっ!?」 赤く染まった湯船に、シルファちゃんが叫び声を上げる。とうとう我慢しきれなくなっ て、俺の鼻から血がダラダラと。 「ご、ご主人様、大丈夫れすか!?」 「ら、らいじょうぶ。ちょっと、のぼせたらけらから。おれ先にれるけど、シルファちゃ んはもっとゆっくりはいっててよ」 鼻を押さえて、上を向いたまま慌ててお風呂場から逃げ出す。なんて、格好悪い。 辺りが濡れるのも構わず洗面台をあさって、母さんが化粧に使っていたガーゼを鼻につ めて、ようやく上を向いていなくても良くなった。
- 625 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/21(金) 00:11:05 ID:bvtFDuPg0]
- 支援
- 626 名前:冷蔵庫の野菜室には 23/29 mailto:sage [2008/03/21(金) 00:11:21 ID:IfyK1bWG0]
- 幸い血は体にはついておらず、バスタオルで体を拭いてパジャマに着替えた。
お風呂場からはシャワーの音。多分、俺の鼻血を洗い流しているんだろうなぁ。そう思 うと情けないやら申し訳ないやら。 せっかくシルファちゃんが、がんばってスキンシップを図って── 『ご主人様が喜んでくれるのれしたら、シルファ何でも』 また、鼻血があふれてきた。 ダメ、ダメー、思い出すの禁止っ! このまま脱衣所にいたんじゃ、そのうち出血多量で死んでしまう。 まだ濡れた髪のまま、ドライヤーもしないでリビングに逃げ出す。 ミネラルウォーターを一本、一気に飲み干してようやく落ち着くことができた。ため息 を一つ。 けれど落ち着いたところで、さっきのお風呂場でのシルファちゃんの肌の感触が忘れら れるはずもなく。シルファちゃんがそばにいる訳でもないのに、いや、いないからこそ、 シルファちゃんの肌のスベスベとした感触が生々しく思い出されてしまう。 そして、シルファちゃんのあの台詞。 『ご、ご主人様さえ良かったら、しても、いいのれすよ』
- 627 名前:冷蔵庫の野菜室には 24/29 mailto:sage [2008/03/21(金) 00:13:41 ID:IfyK1bWG0]
- あ、あれはオッケーってことだよな。いや待て、あれはもしかしたら、『背中を洗っても
良い』ってことだったのかもって、そんな訳ないだろ! おおお落ち着け? そうだ、別に初めてって訳じゃないんだ。前だって一度、シルファ ちゃんとはしてる訳だし。そうだよ、今度こそ、ご主人様としてシルファちゃんを優しく リードして 「ご主人様、あがったのですって、何をしているのですか?」 動物園の熊みたいに、リビングとキッチンをうろうろする俺に、背中のほうからシルフ ァちゃんが声を掛けてくる。 不振そうな声の響きに、実際不審者以外の何者でもなかっただろう、俺は取り繕うよう な作り笑顔を浮かべてシルファちゃんの方に振り向いて。 そして、言葉を失ってしまう。 「な、何をじろじろシルファのことを見ているのですか」 どれくらいそうやって、シルファちゃんのことを見つめていたんだろう。シルファちゃ んに声を掛けられて、ようやく我に返ることができた。 「へ、変じゃないれすか?」
- 628 名前:冷蔵庫の野菜室には 25/29 mailto:sage [2008/03/21(金) 00:15:00 ID:IfyK1bWG0]
- そこにいたシルファちゃんは、いつものあのメイドロボの服装ではなくて。
リボンやフリルのたくさん付いた、可愛らしいデザインの黄色いパジャマを着て。髪も、 いつものように三編みにするんじゃなくて、そのまま背中に流されていて。 「やっぱり、どこか変れすか」 「い、いや、変じゃない。変じゃないどころか、可愛い、凄く可愛い」 いつもと違うシルファちゃんにドキリとさせられて、俺の心臓は一気に心拍数を上げる。 俺に褒められて、照れくさそうにシルファちゃんは目を伏せる。 「そのパジャマ、どうしたの」 「あ、これ、イルイルが餞別だから持っていきなさいって。似合って、ないれすか?」 勢い良く首を横にふり否定する。 似合ってるも似合ってる。まるでシルファちゃんが着るためにデザインされたみたいに。 「良かったれす」
- 629 名前:冷蔵庫の野菜室には 26/29 mailto:sage [2008/03/21(金) 00:16:32 ID:IfyK1bWG0]
- そうやって笑顔を向けてくれるシルファちゃんに、また、顔のほうへ血が集まってしま
う。 このままシルファちゃんを正視し続けていたら、顔から火がでてしまうんじゃないだろ うか。それくらい、火照ってくる。 「あ、あの、ご主人様」 「な、なに」 「ちょ、ちょっと早いれすけど、そそ、そろそろ、お休みになった方が良いと思うのです よ。ご主人様、今日は家のお掃除とか、たくさん働いたれすから」 けれど時計を見れば、まだまだ夜は始まったばかりと言う時間で。いつもならここから テレビでも見て、それからネットを巡回して。 でも、いくら俺が鈍くたってシルファちゃんが何を言おうとしているかくらい気が付く ことができる。 ただこういう時、何て答えるのが良いかがさっぱりわからないだけで。 「そ、そうだね。疲れたし、そろそろ寝ようかな」
- 630 名前:冷蔵庫の野菜室には 27/29 mailto:sage [2008/03/21(金) 00:18:14 ID:IfyK1bWG0]
- からからの咽に何度も唾液を飲み込んで。搾り出すみたいにそれだけを言う。
「し、シルファちゃんは?」 「シルファも。シルファも、そろそろ寝ることにするのです」 「そう、お、おやすみ」 ばかっ!! そうじゃないだろ。見ればシルファちゃん、すごく残念そうに肩を落とし ちゃっていて。 また、俺はシルファちゃんを悲しませるつもりなのか!? 違うだろ? 俺は、シルフ ァちゃんのご主人様なんだから。 「あのさシルファちゃん。お願いがあるんだけどさ」 その言葉は、言った本人が驚くくらい、あっさりと俺の口から出てきてくれた。 「俺、シルファちゃんがいない間、一人でいるのがすっっごく寂しくてさ。もしかしたら シルファちゃんが戻ってきてくれないんじゃないか、このまま、研究所から帰ってこない んじゃないかって考えちゃって、寝れなくなっちゃうこともあったんだ」
- 631 名前:冷蔵庫の野菜室には 28/29 mailto:sage [2008/03/21(金) 00:19:25 ID:IfyK1bWG0]
- 「そ、そんなことはないれす! シルファは、シルファは!!」
「うん。シルファちゃんはちゃんと俺のところに帰ってきてくれた」 だから、だからさ── 「一回あんなに寂しい思いをしちゃうともうダメなんだよね。もう二度とあんな気持ちに はなりたくない。シルファちゃんがいない夜なんて、もう絶対考えたくない。だからさ、 シルファちゃん。こんな寂しがりやのご主人様のために、一緒に寝てくれないかな」 だめかな? そう、俯いてしまったシルファちゃんに声を掛ける。 「ほ、本当にご主人様はダメなご主人様れすね…し、シルファがいないと寂しいなんて、 寂しいなんて……」 シルファちゃんの声はだんだんと空気に消えるように小さくなっていく。 その声が震えていたように聞こえたのは、きっと、俺の気のせいではないと思う。
- 632 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/21(金) 00:20:42 ID:TDw1qcaS0]
- 支援れす
- 633 名前:冷蔵庫の野菜室には 29/29 mailto:sage [2008/03/21(金) 00:21:23 ID:IfyK1bWG0]
- 「シルファも寂しかったれす! 二週間、たった二週間のあいららったのに! 研究室の
明かりが消えたら、ご主人様のことばっかりうかんでくるのれす。シルファも、シルファ もご主人様と同じくらい、寂しがりやなのれす」 「らから、シルファもご主人様と一緒に」そう言うシルファちゃんの手を握る。前と変 わらない、シルファちゃんの暖かな手。 すると、シルファちゃんの方からも俺の方に体を寄せてきてくれた。 手をつないだまま、二人で二階の俺の部屋へとあがる。 電気の消されたリビングの中には、もう一人で寂しく夜を過ごすメイドロボも、誰かを 好きになることに怖がるようなやつももういない。 キッチンの、シルファちゃんと一緒にやってきた冷蔵庫の野菜室の中には。 さっき一緒に買ってきた、これから、シルファちゃんが俺のために作ってくれる料理の 材料が、ずっと、ずっと先の分まで入っていて。 終
- 634 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/21(金) 00:22:38 ID:bvtFDuPg0]
- 乙
やばいシルファ可愛い ちょっと俺がリボンぐるぐる巻きでベッドで待ってる でも、野菜買いすぎで腐っちゃうんだろ
- 635 名前:冷蔵庫の野菜室には あとがき mailto:sage [2008/03/21(金) 00:22:48 ID:IfyK1bWG0]
- 支援くださった方、ありがとうございました。
初めてのシルファSSでしたが、ちゃんとシルファになっていました でしょうか。 口調は、どっちが良いのかなぁ。というか、どっちが可愛いかなぁ。
- 636 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/21(金) 00:29:18 ID:WV5S+CIW0]
- >>635
乙でした。口調については、緊張すると(?)元に戻るっていう設定はありがちだけど 違和感もなくてよかったと思います
- 637 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/21(金) 00:31:11 ID:3l88S/xj0]
- GJ すぐる!シルファ可愛いよシルファシルファシルファ……
俺キモい。でもマジで GJ。
- 638 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/21(金) 00:43:30 ID:TDw1qcaS0]
- >>635
乙、パジャマ姿見てぇ。 あと、13/29下の方の 目を剃らせる→逸らせる
- 639 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/22(土) 11:20:48 ID:w2nz8ICS0]
- >>635
乙!なんか読んでるだけで、その場面が浮かんでくるようだったぜ… 心をくすぐるような設定とシルファで最高だったよ、GJ!
- 640 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/22(土) 17:14:20 ID:GpidmBMc0]
- しっかしシルファSS多いね〜w
AD発売してからのキャラSSの割合見たら圧勝してそう ミルファ人気はどこ行っちゃったんだろ
- 641 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/22(土) 17:43:41 ID:NcY/cUrO0]
- これからtoheart2の世界を完全再現した日常SS書こうと思うんだ。
ちょっと待っててくれなんだぜ。
- 642 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/22(土) 17:44:13 ID:NcY/cUrO0]
- あぁ。ミルファが主役なんだぜ。!
- 643 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/22(土) 17:52:25 ID:A1G9PwMV0]
- むしろ完全じゃない方がいい
- 644 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/22(土) 18:18:42 ID:/boVaWhw0]
- 完全に再現しようとすると、フラグと登場人物が多すぎて大変そうだな
- 645 名前:「無題2〜攻殻家政婦-HuMan eXcimer〜1/7」 mailto:sage [2008/03/22(土) 18:33:20 ID:NcY/cUrO0]
- あんまり怒らないでね。上の宣言は大幅に嘘なので。
今日は映画見てないからすぐ書けた。 --- 姫百合家で瑠璃様のお手伝いをするようになって、はや数ヶ月。 研究所外での情報の結合と意味づけが進んできているようだ。 「イルファ味変えた?ちょっと薄味みたいやけど」 外の情報はやはりノイズが多く、有形無形の感覚情報とそれに伴う思考の断片が乱雑に人格を成す。 「新鮮な卵が手に入ったので、味付けせずに焼いてみました。お好みで調味料をどうぞ。」 「うちソースつける〜」 ミルファもまたその位置にいる。 「ミルファちゃんの行動どう思います?少々派手ではないでしょうか。」 「秩序か。並列化やめてから考慮すべき要素やったかもしれへんけどとりあえず傍観かな〜 分岐の誘発は予定された域以外にはあんまり作用してないしな。」 「さんちゃん。もうちょっと保守的に考えんとそのうち捕まるで。政治はえてして純粋な科学に対して友好的でないねんから。 人道的行動という政治装置から科学を定義すると、科学そのものがそもそも純粋でないし、 その装置は大衆にとってほぼ絶対的な承認対象やしな。いわゆる正義か。 っていうかイルファ。そういう問題提起は評価したるけど食べてるときに体をまさぐるのやめ〜!言動と相反してるやんけぇ」 「え。そんな。瑠璃さまったら。ぽっ」 「ぽってなんやねんぽって。わけのわからん独自解釈で体をくねらすな。」 「保守的やで〜そもそも政治に関与しようとしてないしな〜」 「で、結局関与してしまう分を能動的に解消するつもりもないんやろ?」 「めんどくさい〜」 「「はぁー…」」
- 646 名前:「無題2〜攻殻河野帯-HuMan eXcimer〜2/7」 mailto:sage [2008/03/22(土) 18:33:42 ID:NcY/cUrO0]
- -ちゅんちゅん
コーヒーにトースト。優雅な朝を木漏れ日と鳥たちが演出する。 「タカくーんおはよー」 ふぅ。朝はいい。休みならもっといいのに。 「はいるよー?」 でも今日が休みだと知っていることはあんまり俺にはよくなさそうだ。 朝起きないしね。 「どうしたのー?」 情報の前後による行動の変化とそれがもたらす精神状態への影響の有無。 「あぁ。おはようこのみ」 たとえば今日どんより曇ってたら多分こんなことは考えなかっただろうな。おもしろいなぁ。 「もー。無意味な思考は人生の浪費であります。休みを浪費をしないように明日はこのみとどっかいくであります。」 意味の無い言葉の整理に貴明は思考を傾けていた。 「というか学校いこうよーもう八時半だよー」 そういや遅刻って、量でなくてフラグ的な感じのする表現だよなぁ…遅時だと量っぽいけど。
- 647 名前:「無題2〜攻殻家政婦-HuMan eXcimer〜3/7」 mailto:sage [2008/03/22(土) 18:34:06 ID:NcY/cUrO0]
- 「おかえりなさい。ミルファちゃん。」
「ただいま。今日メンテじゃないよね。何で研究所にいるの?」 「お話しようと思いまして。今日も貴明さんを追い掛け回してきたんですか?」 「もちろん。でもなかなかダーリンが襲ってきてくれないんだぁ。 っていうかわざわざ聞きに来たの?。あたし普段防壁使ってないから調べられるのに。」 「もう。防壁は作動させとかないとだめです。 外部とは来栖川を経由してつながってるものの、進入出来ない構造ではないんですから。 それに、何でもかんでも開けっぴろげなのはよくありません。」 「えー。だってデフォルトの防壁処理容量食うんだもん。 それにデフォルトだと有線されなきゃどうせ来栖川経由だから同じの使っても意味ないし。」 「じゃあ自分で組むかシルファちゃんに頼めばいいじゃないですか。」 「デフォルトより効率いいの組むの大変そうだし、 ひっきーになんて頼みたくないし、それにそんなの内側に入れてたほうがよっぽど危険そうだしね。 というか防壁に関してはシルファのほうが問題でしょ。基本的にエンジニアは覗かないしシルファも表向き協力的だけど、 何か起こって操作が必要になったとき、目に見える防壁は別として見えない状態の物作ってそこで処理進めてたら危ないじゃない。」 「相対的な危険性の提示はあなたの正当性を支持しません。 まぁいいです。今はそのことについてはおいておきましょう。」
- 648 名前:「無題2〜攻殻河野帯-HuMan eXcimer〜4/7」 mailto:sage [2008/03/22(土) 18:34:29 ID:NcY/cUrO0]
- 「今日は平和ですね。久寿川先輩。」
「そうね。でもね、平和って言うのは恒久的な状態では存在しないのよ。 何も変化しない、完全に広がりきって密度が0の状態を平和と呼ぶのならそれは否定できるけどね。 私たちが生活している中でそれはありえないから平和も恒久的には存在し得ない。 戦争の合間にあるのが平和って言うような言葉もあるでしょ?」 「ちみたち。平和とはいったい何か。あぁ。人類の永久の命題であってその定義が完成しない。 いや、定義できないからこそ永久の命題たりえるのかもしれない。 命題結構。しかしながらそれに費やされてきた年月はいったい何をもたらした。 そろそろ意味の無い言葉遊びは止めにしないか。 私たちが力を合わせればそんな無意味な行動に時間を浪費する必要は無くなるのだよ。」 「本当でしたね。」 ちっちゃい人を2人で傍観しながら、そう貴明が言う。 「というわけでたかりゃんコーヒー牛乳かってきて。」 「あ、私は野菜ジュースをお願い。」
- 649 名前:「無題2〜攻殻家政婦-HuMan eXcimer〜5/7」 mailto:sage [2008/03/22(土) 18:35:25 ID:NcY/cUrO0]
- 「ミルファちゃん。たとえばあなたは今日の朝、貴明さんに会って何をしましたか。」
「抱きついてー胸をこすりつけながらおはよーっていったよ。」 「犯罪です。」 「いいじゃない。あたしは法律なんかには縛られないの。それにダーリンは嫌がってないんだし。」 「貴明さん本人についてだけではありません。あなたは貴明さんについては周りが見えなくなります。 そもそも人の倫理によって極力抑えられている社会の不確定要素に対しても、 倫理から見て未完成で不確定要素だらけの私たちは、不確定要素を励起しかねないんです。 不確定要素の塊が行動して起こるデメリットが想像できないわけではないでしょう。」 「それは詭弁ではないの?秩序は今もって人によって完成されてない。 倫理観の"少しの違い"がその中で大きな破綻を招くとは思えないよ。」 「保たれない秩序は大衆がその傾向をもって今現在を形成しているというのは否定しません。 ですが、大衆において著しく平均から外れている倫理観を持つ存在がその秩序の変化を大きくしているのは事実だと思うのです。 私たちはその外れた存在になるために作られたと思うのですか? "少しの違い"で済まされる程度ではないのです。 意向を変えないというのなら…」
- 650 名前:「無題2〜攻殻河野帯-HuMan eXcimer〜6/7」 mailto:sage [2008/03/22(土) 18:37:59 ID:NcY/cUrO0]
- 「なあ。貴明。」
「ん?」 「人間って何でいるんだろうな。」 「いるためにいる。っていうのはどうだ。」 「意味の言及でなく理由の言及か。」 「意味が生成されるのは認知するからこそだろう。唯名論的解釈はあんまり好きじゃないけど、 これにおいては的を射ているとおもうよ。」 「悪くないな。でも俺がつなげたいのはその方向の話じゃないんだ。」 「なんのことだ?」 「生殖だよ。」 「今日は話が下品な方向にかなり飛んでるな。いつもなら恋愛ブルジョアとか叫んでるだけなのに。」 「恋愛ブルジョアめ。 まぁ、それはいい。恋愛ブルジョアであるお前にはそんな提言をする余裕だらけかもしれないけどな、 俺は違うんだよ!くそ!何で違うんだよ!」 「自分で言ったことに切れるなよ…」 「生殖は人がいるための意義なのか。」 「そりゃ、生殖が無きゃ存在し得ないからな。」 「そうじゃねぇよ。個として人が存在するために雌雄で生殖を行う意義があるのか。」 「アイデンティティの誇示に役立つことは無いだろうな。」 「でも、抽象的になるが、愛はアイデンティティの誇示に含まれる要素だと思わないか。」 「何が言いたい。」 「これにこの写真に見覚えは無いか。」 「!?」
- 651 名前:「無題2〜攻殻家政婦-HuMan eXcimer〜7/7」 mailto:sage [2008/03/22(土) 18:38:47 ID:NcY/cUrO0]
- 「意向を変えないというのなら」
イルファがミルファの胸倉をつかむ。 いや、つかみそこねそのまま姿勢を低くし足払いに移行する。 ミルファはこれを回避。 「ちょっ。情報に干渉するつもり?表層だけ書き換えてもどうせ芯の部分から侵食されるから意味無いでしょ。」 「だとしてもです。あなたのためです。無線だと来栖川の防壁に阻まれますが…」 飛翔。だが捕らえられない。 「有線なら」 「「うっ」」 2人は触れていない 「個が特定されていればそれれいい。」 シルファが無線で来栖川の防壁を越え、2人の制御を奪う。 「世界の倫理とか秩序とかろうれもいい」 2人の行動規定に干渉する。 「色恋がらみでそんないい争いしてたらセカイ系的な崩壊を起こしてしまう」 書き換える。完了。 「私が私であればそれぴゃっ」 イルファが自分自身の制御を回復し、シルファと自分をケーブルでつなぐ。 シルファの情報には干渉できないしする必要も無いのでスリープに移行させる。 結果的に、シルファによりイルファの思惑は達成された。 「もう。ミルファちゃんに対する干渉に規制がかかってしまいました。 瑠璃様への行動は特にいじられていないので、今のところそんなに悪い状況ではないですね。 お疲れ様です。シルファちゃん。」 どこから用意したのか、冷蔵庫のダンボール。そして以下略 「ネットは狭小ですわ。」 -- 以上。性格・世界改変でお送りしました。
- 652 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/22(土) 18:42:47 ID:cAiy3/1e0]
- し
- 653 名前:名無しさんだよもん mailto:sage [2008/03/22(土) 19:15:27 ID:HLSCeDUM0]
- ADコンプ後、怖くてSSみれなくなった俺がカキコ。
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