- 264 名前:無名画座@リバイバル上映中 mailto:sage [2008/12/28(日) 15:29:58 ID:lpvBGdT0]
- 「何も終わっちゃいねえ!! 何も!! 言葉だけじゃ、終わらねえんだよ!!
おれの戦争じゃなかった! あんたに『やれ』って言われたんだ! おれは勝つ為に、ベストを尽くした! だが、誰かがそれを邪魔した! 娑婆に戻ってみると……空港に蛆虫どもがゾロゾロいて……抗議しやがるんだ! おれの事を『赤ん坊殺し』だとか何とか、言いたい放題だ!! ……奴等に何が言えるんだ!! ええっ!? 奴等は何だ!? おれと同じあっちにいて、あの思いをして喚いているのか!?」 「みんな失望し、苦しんでいたんだ。もう過ぎた事だ」 「アンタにはな!! おれには、娑婆の人生なんか空っぽだ! 戦場じゃ、礼節ってもんがあった。助け合い支え合っていた! ここじゃ何もねえ!!」 「お前は、わたしにとって最後の一人だ。野垂れ死にをしてくれるな」 「あっちじゃヘリも飛ばした! 戦車にも乗れたよ! 100万もする武器を自由に使えた! それが国に戻ってみれば、駐車場の係員にもなれないんだ!!」 「畜生……、みんなどこ行ったんだ? ……くそ……、 空軍にも、友達がいた。みんな、良い奴だった。あっちじゃ、友達はごまんといた。 それなのに、どうだ? ここにゃ何もねえ……ダンフォース、憶えてる? おれ、いつかマジックペン一本取って……『拾い物』って……ラスベガスに送ったんだ。 おれ達、いつもベガスの事、車の事喋っていたから……。 あいつはいつも、赤いシェビーのコンバーティブルの事を喋っていた。 『帰ったら、タイヤが擦り切れるまで走ろう』って……」 「……おれ達がいたあの納屋に、子供がやって来て、靴磨きの箱を持って『お願い、 磨かせて』そう言ったんだ。おれは断ったが、しつこくせがむんでジョーイは承知したんだ。 おれ、ビールを取りに出た。箱に、仕掛けがあって……箱を開けると、あいつの体は 吹っ飛ばされちまった。凄い悲鳴だった! あいつの血や肉が、おれの体にべっとり付いて! こんなに!! 引っぺがさなきゃならなかった!! 友達が! おれの体中に飛び散って! おれ、何とかあいつを抑えようとした! けど、どうしても内臓がどんどん出て来るんだ!! どうにも出来なかった!!」 「あいつ、言うんだ!! 『おれ、家へ帰りてえー、帰りてえー』そればっかりだ!! 『国へ帰りてぇー! 帰って、シェビー乗り回してえよぉー!!』 でも……、あいつの足が、見つからねえんだ。……足が、見つからねえんだ……」 「あれが頭にこびり付いている。もう、7年にもなるのに……毎日、思い出すんだ。目が覚めて 何処にいるのか、分かんねえ時もある。誰とも喋れねえ……。 時には一日……一週間も……忘れられねえ。…………あれが…………」 渡辺謙派だと、どうしても目の前が、霞んで来てしまう……
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