- 357 名前:ほんわか名無しさん mailto:sage [2007/03/20(火) 23:27:02 0]
- 「あったのは、一輪の赤い薔薇だけ、か……」
警察署の廊下。右手に握る赤い薔薇を見ながら、鑑識課の武藤は呟いた。 何とも不可解な事件だった。山奥のペンションの部屋で男が死んでいた。鍵は閉まっている、密室状態だ。 部屋には怪しい物は何も無かった。男が手に握っていた、赤い薔薇を除けば。 ある一室に着くと、鍵を差し込み扉を開けた。中に入ると、顕微鏡の前の椅子に座る。そして件の薔薇をセットすると、筒を覗き込んだ。 「これは……!」 見た瞬間、武藤は思わず声を上げた。信じられない、こんなことがあるのか! じっくりと観察するが、やはりそれに間違いはない。武藤は備え付けの内線電話の受話器を取ると、素早くダイアルを回した。 「おい、田中か! 大変なことが分かった。この薔薇の細胞は植物じゃない、動物の……! う、うわあ!!」 この世の物とは思えない光景だった。薔薇は棘のある茎をくねくねと動かしながら、巨大化してきたのだ。 顕微鏡を破壊し、やがて2mほどの大きさになった薔薇は、既に触手とさえ言えるほどに大きくなった茎の一本を武藤に向けて伸ばした。 警察署に、一つの叫びがコダマした。 ――続く?
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