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ストーリーを教えてもらうスレ part66



1 名前:ゲーム好き名無しさん [2013/08/18(日) 10:32:38.32 ID:NVH91tIK0]
【注意事項】
スレの容量が500KBを超えると書き込めなくなります。
480KBを超えたら次スレが立つまで書き込みを控えてください。

自分でやるのが面倒、手に入らない、時間がない、お金がない、などの理由で
ストーリーを知りたいゲームのストーリーを教えてもらうスレです。
発売して半年以内の新作について語る際は名前欄に
タイトルと新作ネタバレ用の共有トリップの #新作ネタ をつけて下さい。
新作のネタバレを読みたくない人は ◆l1l6Ur354A をNGワード指定推奨。

またリクの際は、正確なタイトルとハード名を付記して下さい。
まずはまとめWiki↓で既に書かれていないか、既にリクエストされていないか調べてからリクしましょう。

ストーリーを教えてもらうスレ暫定Wiki
www8.atwiki.jp/storyteller/
携帯電話の場合でもこちらのURLから行けば表示は崩れますが見れます
www8.atwiki.jp/storyteller/pages/2.html

・すでにwikiに載っているストーリーでも、より詳しく知りたい場合はリクエストを受け付けています。

・スレに書き込まれたストーリーのまとめWikiへの収録作業や
まとめWiki中の未解決リストの更新作業は、スレ内の有志によって行われています。
手の空いた方がいらっしゃったらご協力をお願いします。
編集方法の説明はこちら。:www8.atwiki.jp/storyteller/pages/18.html

・作業を行ってくれた方は、「>>○○まで収録作業したよ」
「>>○○までのリクを未解決リストに反映したよ」などと
スレに書き込んでくれると、次に作業をする者にとって
どこから作業すればいいのかわかりやすくなるため助かります。

前スレ

ストーリーを教えてもらうスレ part65
toro.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/1359630533/

2 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/08/18(日) 10:33:14.97 ID:NVH91tIK0]
ストーリーを読む・リクエストする方へのお願い。

・リクエストの際は、正確なタイトルとハード名を付記して下さい。
・まとめWikiで既に書かれていないか、既にリクエストされていないか調べてからリクしましょう。
・リク主は依頼したストーリーが書かれたら、書き手に感謝の意を伝えましょう。
・過度のクレクレはスルーや批判の対象になります。気をつけましょう。
・手の空いた方はwiki編集などでスレに貢献しましょう。

ストーリーを書いてくれる方へのお願い。

・外部サイトからの無断転載は禁止です。もし外部サイトの管理人の方から許可を得て転載する場合でも、
 許可を得たという事を証明し、さらにそのサイトからの転載であると言うことを明記してください。
・要望に出ているゲームのストーリーはどんどん書いて下さい。 
 要望に出ていないゲームでも書きたいと思ったら遠慮せずに書いて頂けると読み手が喜びます。
・すでにwikiに載っているストーリーの補足も書いて頂いて結構です。
・この板は一般板なので18禁のゲームのストーリーの要望、紹介はご遠慮下さい。
・名前欄に作品名を入れてもらえると、まとめやすくありがたいです。
・時間を置いて数回に分けて投稿する際には、最後に「続く」と御書き下さい。
 そうする事でストーリーの投稿の混交を防げます。
・発売して半年以内の新作について語る際は名前欄に
 タイトルと新作ネタバレ用の共有トリップの #新作ネタ をつけて下さい。
・これを書こう、と思われた際は「○○○○を書きたい」と意志表明し、予約していただけると、
 投稿の重複が防げて大変ありがたいです。
 また、書くのはよそう、と思われた時には面倒でも予約の取り消しを御願いします。
・勝手ながら、予約から1ヶ月以上経ったものは予約無効とさせて頂きます。
 同じく、最終投稿から3ヶ月経ったものも権利失効とさせて頂きます。
 都合により取り消しが出来ない場合の長期間にわたる放置を防ぐ為です。

3 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/08/18(日) 10:33:49.65 ID:NVH91tIK0]
関連スレ
(漫画サロン板)
ストーリーを教えてもらうスレ まとめ Wiki*
wikiwiki.jp/comic-story/

(ライトノベル板)
ライトノベル@2ch掲示板 ストーリーを教えてもらうスレ まとめWiki
www44.atwiki.jp/lightnovelstory

(女向ゲーム一般板)
ストーリーを教えてもらうスレin女向ゲ一般板
kohada.2ch.net/test/read.cgi/ggirl/1253686667/l50

(エロゲネタ板)18才以上の方のみ!
エロゲのストーリーを教えてもらうスレまとめwiki Ver.2.0
wiki.livedoor.jp/esosmw658/

(女向けゲーム大人板) 18才以上の方のみ!
BL@【やるのが】ストーリーを教えてもらうスレ 3【面倒】
kohada.2ch.net/test/read.cgi/gboy/1285119403/l50
乙女@【一つ】ストーリーを教えてもらうスレ【よろしく】
kohada.2ch.net/test/read.cgi/gboy/1157949089/l50

[以下本スレdat落ち]
(ギャルゲー板)
ギャルゲーのストーリーを教えてもらうスレ まとめWiki
ponkotsu.r.ribbon.to/
(アニメサロン板)
ストーリーを教えてもらうスレ まとめ
cabin.jp/koizumi/story/

4 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/08/18(日) 10:34:31.39 ID:NVH91tIK0]
ストーリーを教えてもらうスレ暫定Wiki - 未解決一覧
www8.atwiki.jp/storyteller/pages/14.html

(これまで、ここには未解決リストの内容すべてを転載することになっていましたが、
未解決リストの容量が大きくなってきたためかなりの連続投稿を要してしまいます。
2chの書き込みシステムに「忍法帖」が導入された関係もあり、連続投稿が難しいため
代わりに、上記のようにWikiの未解決リストページへのリンクを貼ることで
代用させていただきます。)


前スレの容量が一杯になって書き込めなくなるまでは、なるべく前スレを優先して使用してください。

テンプレ以上

5 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/08/18(日) 17:06:34.25 ID:lMxsguSO0]
>>1 スレ立て乙です。
CALLING〜黒き着信〜の続きを書きます。

6 名前:CALLING〜黒き着信〜 mailto:sage [2013/08/18(日) 17:08:23.56 ID:lMxsguSO0]
 ほら、ここから入れそうだ。
 待てよ。マジで入るの? これって不法侵入にならない?
 なんだよ。怖いのか?
 バカ。怪我してもしらねぇゾ。
 ちょっと写真撮るだけだって。こんな身近に雰囲気のイイ廃墟があるんだし。取り壊される前に記録しておかないと。
 ここってアレだよな。5年前の……。
 そう。入院患者や病院関係者が連続して死んだあの事件の。
 結局、あの事件で死んだ人の死因ってナゾのままで終ったんじゃ?
 院内感染とか言われてたけど……『呪い』って話もある。
 ウソっ。マジで……?
 
●哭ノ章 コクノショウ  神楽凛

神楽「日比野鏡子……この名前、どこかで……」
 神楽は日比野鏡子のハガキに書いてあった電話番号で、転移する。
 
 病院。手に持っていた蝋燭の火が消える。テレビの下からコール。携帯電話を入手。通話する。
日比野『あの子を……あの子を助けたかった……』
 振り向くと、看護婦の幽霊(日比野鏡子)が部屋から出ていっていた。出ると看護婦が廊下を歩いて行くので追いかける。
 ナースステーションで看護婦が両手で目を覆っている、看護婦が消えた所で日比野の日記を入手。
「4月1日
 担当の患者さんに挨拶してきました。名前は、朝霧麗子ちゃん。
 受け答えはきちんとしてくれたけど、なんだかとても静かで内向的な印象。
 入院してるほかの子供ともうまく馴染めていないみたい。緊張してるのかな。
 麗子ちゃんが毎日楽しく笑って過ごせるようにがんばろう」
 看護婦と麗子が並んで笑顔の写真。今まであった幽霊の少女が、朝霧麗子である事を神楽は知る。
 部屋を出ようとすると自転車に乗ったピエロの人形が走ってきて止まる。
 廊下を歩いていると朝霧麗子が現れる。
朝霧「みんな私をおいて、どこかに言ってしまうの……、暗い闇の中で独りぼっちなの……、寂しいよ……」
 朝霧麗子と戦闘。ただひたすら回避して逃げる。画面が真っ赤な時は一撃死。一定時間逃げると消える。
 204号室で録音再生。岸辺道人と朝霧麗子の会話。
道人「おや、れいこちゃん。今日は顔色がいいねぇ?」
朝霧「さっきね、チャットの友達がここまで来てくれるって約束したの、……まだ先の事なんだけど、待ち遠しいな」
道人「ほう。それは楽しみだ。でも、会う時にはもっと元気にならんとな」
朝霧「うん。じゃあね、おじいちゃん」
 廊下に置いてあった車椅子の上のラジオカセットから、電池を抜き取る。背後に日比野さんが登場。
日比野「あの子を……あの子を助けたかった……」
 その後、202号室で日比野の日記2を入手。
「6月19日
 お見舞いに来ていたお母さんが麗子ちゃんに携帯電話を渡していました。
 この病院では談話室での携帯電話の使用を許可しています。
 このご時世、病院とはいえ携帯くらいは使えないといけないみたいです。
 これから更に仕事が忙しくなるそうで、これまでの様にお見舞いに来れない分、
 せめて声だけでもいつでも届くようにとおっしゃっていました。
 ためしにと電話をかけてお母さんとお話しする麗子ちゃんは、
 びっくりするくらい生き生きとしていて、素敵な笑顔だったな」

7 名前:CALLING〜黒き着信〜 mailto:sage [2013/08/18(日) 17:09:45.73 ID:lMxsguSO0]
 手術室で日比野の日記3を入手。
「9月12日
 麗子ちゃんが楽しそうにしているのを見ました。
 何かあったのかなと思って聞いてみたら携帯でチャットしているみたい。
 なんでも待合室においてある雑誌にそういった記事があったとか。
 解放された談話室から鼻歌が聞こえてくるくらい。
 ふと気付くと、私の携帯にメールが届いていました。麗子ちゃんからでした。
 近くにいるのにわざわざメールしてくるなんて。よっぽど携帯が気に入ったのかな。
 今の麗子ちゃんにとっては、唯一、外の世界と繋がる事のできる手段なのかもしれない」
 204号室で日比野の日記4を入手。
「11月17日
 今日、病室に行くとひびの入った携帯電話が床に転がっていました。
 このところ、お母さんに電話をしても留守番電話が多く、たまに繋がっても結局その事で言い争いになって、
 つい頭にきて携帯電話を床に投げつけちゃったみたい。
 でも、きっと麗子ちゃんは後悔してる。お母さんは仕事で忙しいんだって、ちゃんとわかってるから。
 麗子ちゃんに病院の固定電話を使わせてあげられないか師長に相談してみると、快く了承してくれました。
 さすがにいつでも、というわけにはいかないので、消灯時間前の20分という条件付き。
 チャットは談話室のパソコンでも出来るから、明日にでも使い方を教えてあげよう」
神楽「この子……一体どのくらい入院していたのだろう。長い入院の末に……やっぱり……」
 食堂で日比野の日記5を入手。
「12月19日
 相変わらず、麗子ちゃんのお母さんから電話はほとんどありません。
 こちらからかけても、めったに出る事はないみたい。いつも留守番電話ばかり。
 倒れたりしていなければいいけれど。
 お母さんからの電話が来ているときは麗子ちゃんの体調も安定して、
 外科手術に取り掛かれるほどになるかもしれないと期待されていたのに。
 最近はずっと沈みっぱなしでまるで初めて会った時のよう。
 時間があくたびに麗子ちゃんの所へ行くけれど、やっぱり寂しそう。
 なんとか元気にしてあげたいのにな。」
神楽「あの看護師さん、ずっとあの子を見守ってきたんだ……霊になってもまだ、その気持ちを持ち続けているんだ……」
 食堂でノイズを録音、再生する。
道人「あぁれいこちゃん。こっちにおいで。」
朝霧「……岸辺のおじいちゃん。」
道人「紹介しようか……私の奥さんだ。」
朝霧「こんにちは。朝霧麗子です。」
千代「こんにちは。岸部千代です。いろいろ話はきいてるわよ……」
道人「れいこちゃんはスゴイんだ。私のパソコンの先生だぞ。」
千代「あら、そうなの……? 私も教えてもらおうかな。」
道人「何を図々しく……お前はタケシに教えてもらえばいいじゃないか。」
朝霧「隣の談話室にパソコンあるの。メールとかチャットができるから遠くの友達ともお話ができて楽しいの。」

8 名前:CALLING〜黒き着信〜 mailto:sage [2013/08/18(日) 17:10:50.16 ID:lMxsguSO0]
 301号室で日比野の日記6を入手。
「3月14日
 麗子ちゃんの手術から1週間。経過が思わしくない。
 手術自体には問題はなかったはず。なのに症状の改善は全く見られない。
 むしろ、手術で体力を消耗してしまい術前より悪い状態だ。
 情緒不安定になりがちで食事も受け付けないようになってしまっている。
 ついさっきまで私に顔を押し付けて1時間も泣きじゃくっていた。
 いまは静かに寝ているけれど少し腫れているまぶたが痛ましい。なだめる事しかできないなんて歯がゆくて仕方ない。
 最近はチャットを見に行く回数も減っているみたい。
 どうしたんだろう。今度、時間がある時に私ものぞいてみようかな。」
神楽「日記を読むと、あの看護師さんの想いが流れ込んでくる。私に、何かを伝えようとしてる……」
 黒猫がいたので着いて行くと302号室に入って行ったので、開けると境界の狭間に落ちそうになる。
 ナースステーションの黒電話が鳴る。
「救急隊からの受け容れ要請あり。受け入れる事になりました。1階で受け容れ準備お願いします。」
神楽「1階? 1階に行く必要性が……? でもどうやって……」1階への道は閉じられていて、行く事が出来ない。
 すると日比野鏡子の幽霊が後ろに立っていて、消える。足元に名刺が落ちていた。
 黒宮病院院長 黒宮芳夫 997−447−619。
 電話して院長室に飛ぶ。机の引き出しを引いて携帯電話を取ると、院長の霊が襲い掛かってきて退ける。
 廊下への扉が開いたので廊下に出る。処置室の前でノイズがあり録音して聞く。
「左下肢、骨折の可能性大です。左脇腹に打撲痕。痛みがある様です。頭も強打している様ですが意識はあります。」
「しっかりしてください! 私の声、聞こえますか!」
 そして神楽凛は子供のころを思い出す。トラックにはねられて、運ばれた病院。
神楽「この病院……そうか、あの交通事故の時、運び込まれたのはここだったんだ……」

 過去の看護師の日比野と、病床で横になる神楽。
日比野「今日は、顔色良いね。元気になってきた?」
神楽「……うん。あ、あの……ちょっと聞いてもいいですか?」
日比野「なあに?」
神楽「事故にあった日……私……、この病院で人と会う約束してたの……。でも、ハンドルネームしか知らなくて……」
神楽「ここに入院している人だと思うんですけど……。『黒猫』ってハンドルネームの人なんですけど、知りませんか?」
日比野「……知ってるわ。……つい先日、元気に退院していったの。」
神楽「ホントですか!?」
日比野「でも、ごめんなさい……、病院の規則でこれ以上患者さんの情報は教えられないの。」
神楽「そう……ですか。」

9 名前:CALLING〜黒き着信〜 mailto:sage [2013/08/18(日) 17:11:54.97 ID:lMxsguSO0]
神楽「そうだ、日比野さんだ。私を担当してくれた看護師さん……。でも、どうして日比野さんが霊に……?」
 持っていた電話が鳴る。相手は白江だった。
神楽「あれ? も、もしもし?」
白江「その声は……? まさか君が出るとはな……。そこは黒宮病院だな?」
神楽「ええ、どうして白江さんが……?」
白江「病院へ『転移』しようと思ったんだが……、ま、それはいい。それより、よく聞くんだ。」
白江「『境界』にはいろんな場所が点在するが、これらが発生した事の発端は、その黒宮病院にはるはずだ……」
神楽「それって、どういう事……?」
白江「平たく言えば、『黒のページ』を使って我々を『境界』に引きずり込んだ犯人がいる……!! う、うわっ!!」
神楽「!? 白江さん!? もしもし!! 白江さん!!」
 電話が切れる。
神楽「私達を『境界』に引きずり込んだ犯人って……?」
 そして霊の気配、辺りを見回すと朝霧麗子が出てくる。
朝霧「独りぼっちはつらい……寂しい……だから、みんなを呼んだの……。あなたも……あなたも、ここの一部になるの」
 朝霧麗子、以前と同じで一撃死を注意して回避を何度もする。時間が経つと消える。
 院長室に行き、また日比野の幽霊が立っていた棚を調べると、日比野の日記8を入手。
「7月14日
 午後3時50分、岸部さんがこの世を去りました。
 新しく孫ができたみたいだよ、と笑っていた顔が頭に焼きついて離れない。
 看護師になってから、幾人かの患者さんを見届けて、そのたびに泣いてしまっていたけれど、
 こんなに大泣きしてしまったのは初めてだ。先輩に背中をさすられてしまうなんて看護師としては恥ずかしい事。
 でも我慢できなかった。岸部さんのベッドにしがみついて泣き叫ぶ麗子ちゃんを見たら、とても耐えられなかった。」
神楽「!! 岸部さんって! 看護師さんも岸部さんもみんな、あの子に繋がっている……?」
 待合室のカウンターに行くと日比野の幽霊。調べると日比野の日記9を入手。
「7月26日
 麗子ちゃんの状態は深刻だ。
 身体は日に日に痩せていて、食事はほとんど食べなくなってしまった。何度促してみても食欲が無いという。
 最近、まったくお母さんと連絡が取れなくなってしまった事も原因の一つになっていると思う。
 実は先月分の入院費の払い込みがなく経理では困っているらしい。お母さんも、ずっと苦労をしているので心配だ。
 さっき麗子ちゃんの様子を見に行ったら、放っておいてと言われた。
 でも黙って頭を撫でてあげたら少しだけ甘えてくれた。
 やっぱり意地を張ってるだけなんだ。本当は寂しくて辛いんだよね。
 来週ネットの友達が会いに来てくれるという事になったみたい。
 麗子ちゃんにとって、ここしばらくで唯一のうれしい出来事のようだ。
 これをきっかけに少しでも前向きになって欲しいと思う。」
神楽「!! ネットの友達が会いに……?」
 玄関でノイズを録音し、再生する。
朝霧「もう1時間か……。こないのかな……今日の約束は、ウソだったのかな……。他の人と同じだったのかな……。」
朝霧「うわべだけで、私の事なんか何とも思ってなかったのかな……。……信じていたのに……」

10 名前:CALLING〜黒き着信〜 mailto:sage [2013/08/18(日) 17:15:47.66 ID:lMxsguSO0]
 処置室に行くと日比野の幽霊がいて消える。日比野の日記10を入手。
「8月1日
 困った事になった……。
 今日、同僚の日高さんの愚痴を聞いていた。最近の麗子ちゃんについてだ。
 病状も良くないのだけど、精神的にもかなりネガティブになってきている。
 それで身近な私たち看護師にあたる事も多くなっている。私たちにとっても、とても辛い状況だ。
 日高さんもストレスを溜めていた様なので少し口を聞いていたのだ。
 その話の内容を麗子ちゃんに聞かれてしまったのだ……。うっかりしてた……本当に……。
 それから口を一切聞いてくれない。食事も投げ散らかすようになってしまった。
 あんなになついてくれていたのに……。もう一度、元の関係に戻れるか自信が無い……。」
 日比野の声が聞こえた。
「私は……あの時……、麗子ちゃんを独りにしてしまった……。一番支えが必要な時に孤独にしてしまったの……」
神楽「日比野さん……『黒猫』さんは元気に退院したって……、もしかして、あれはウソだったの……?」
 廊下を歩いていると、日比野の幽霊がエレベーターに入って行った。エレベーターの前に、鍵が落ちていて入手。
 日比野の携帯電話にかけて転移。落ちていた携帯電話を入手。
 2階ナースステーションの扉の鍵を開けて、日比野の日記7を入手。
「4月10日
 インターネットの掲示板やチャットが荒れているという話は聞いた事があったけど、実際に目の当たりにするとかなりショックだ。
 ましてや身近な人がその標的になっているなら、なおさらだ。
 なんであんなにひどい事を書き込めるんだろう。
 入院生活の長い麗子ちゃんにとって病院も病気も日常だ。
 だから、そんな話題が多くなるのは当然の事なのに……。
 それを、うるさがったり面白半分に茶々を入れたり……、彼らは麗子ちゃんの送ってきた生活も家族の疎遠も知らない。
 知らなければ何を言ってもいいの? そんなの悲しすぎる。」
神楽「あ、荒れているチャットって……も、もしかして……」
 目の前のパソコンが起動する。
 チャットで病院の話をする黒猫を煙たがっている三人と、酷い事を書かないでと書くリン。
 三人が退室した後に入室してリンに礼を言う黒猫。
神楽「!! これは私が参加してたチャットサイトだ……。どうして、これが……。『黒猫』さんって…………」
 背後に朝霧麗子の幽霊が出るが、振り向くと消える。
 部屋を出ると日比野の幽霊が歩いているので、ついて行く。パソコン談話室の前で消えるので、続いて入る。

 過去の映像が流れる。日比野と朝霧麗子。
日比野「……麗子ちゃん、今日はここにいたの? そう……少し顔色もいいみたいね」
日比野「……さ、そろそろ検査の時間よ。1階で先生が待ってるわ。」
 立ち去る朝霧。日比野がチャットルームを見ると、落ち込んでいる黒猫にリンが会う約束をしていた。

神楽「やっぱり……。あの時、会う約束をした『黒猫』さんがここに入院していた朝霧麗子……。そして、私は……」
神楽「会う約束をしていたのに……事故にあって。」
 神楽は入院していたころの記憶を思い出す。



11 名前:CALLING〜黒き着信〜 mailto:sage [2013/08/18(日) 17:18:45.35 ID:lMxsguSO0]
 朦朧とした意識で、窓を見る病床の神楽。
 窓際に立つ少女。
 扉を開けて驚いた顔で、止めようと走り出す日比野。
 
神楽「うそっ……!! 夢だと思っていたのは入院の時の記憶……。……『黒猫』さん。……あれは『黒猫』さん!?」
 頭を押さえて首を振る神楽。振り向くと日比野の幽霊が居て、目があう。
日比野「麗子ちゃんは、心のどこかでまだ待っているはず……。あの子をいま救えるのは……、きっとあなただけ……。」
神楽「待ってる……? 黒猫さんが……いまでも?」
 消える日比野。黒宮の携帯電話にかけて転移。携帯電話を入手した後、1階の玄関で座って待つ朝霧に歩み寄る神楽。
神楽「あなたが……『黒猫』さんだったのね。」
神楽「聞いてくれる。……私、約束をやぶったわけじゃないの。あの日、ここへ向かっていたのよ。本当に……。」
神楽「でも、途中で交通事故にあって。そしてここに運びこまれて……。」
神楽「偶然だけど、隣のベッドにいたんだよ。もし、私が目を覚ますのが、もう少し早ければ……」
神楽「これは言い訳だよね……約束守れなかったのは事実だから。」
神楽「ごめんなさい……ごめんなさいって、今更だよね。もう、取り返しつかないよね……」
神楽「もう、私がここの住人になるのも、時間の問題だと思うの……。そうなったら『黒猫』さんと一緒にいるよ、私。」
神楽「なら、もう寂しくないよね……? 辛かった事も、それで忘れられる……?」

 歩きだして神楽の横を通り過ぎる朝霧麗子。そのままどこかに歩いて行くので、追いかける。
 画像が全体的に暗い。時間でどんどん恐怖メーターが上がっていくので、早く追いかけないとゲームオーバー。
 302号室、朝霧麗子の病室に入る。すると窓際に少女の幽霊が立っている。
神楽「ダメェエエ!!!!!!」
 走り出し、朝霧麗子を抱き止めようとする神楽凛。 
 しかし幽霊には触れられず、その勢いのまま窓の外へ。朝霧麗子を通り過ぎて、神楽は境界の狭間へと落ちていった。
 その後、朝霧麗子は生きていたときのように窓から飛び降り自殺をした。
 


 岸部千代が病室のベッドで目を覚ます。横に座っていた男が岸部千代に気付いて立ちあがり、話しかけてくる。
「あ、ばあちゃん!? 分かる!? オレ、タケシだよ!」
「良かった……! ま、待ってて。みんなを呼んでくるから……!」
「とうさん! かあさん! ばあちゃんが! ばあちゃんの意識が戻ったよ!!」
 立ちさるタケシ。岸部千代は体を起こし、側にあった携帯電話を手に取る。
 そこには岸部道人からの着信履歴があった。




「隠された章を受信しました」


1週目は必ずバッドエンドで終わり。

12 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/08/18(日) 17:19:58.95 ID:lMxsguSO0]
2週目はまた最初から、一旦かきこみ止めます。

13 名前:CALLING〜黒き着信〜 mailto:sage [2013/08/18(日) 22:12:41.45 ID:lMxsguSO0]
 隣への扉を開き、鏡の並んだ美容室の部屋へと移動する。放浪者のメモ10がすぐに落ちていた。
「スタッフルームと繋がるドアに鍵がかかっていなかった。夜に人が出払った後だとすれば無用心過ぎるわね。
 やっぱり何か変。それにさっきから妙な視線を感じる……、長居はしたくないわね。」
 外へつながる扉を開く。天野のメモの通り、何も無い空間があった。
白江「!! 何だこれは……! 一体どうなっている!?」
 美容室を探すと、一番奥の物置にロッカーの鍵があり入手。「この鍵を使えばロッカーを開けられそうだ。」
 突然、気配に後ろを振り向くと美容師と思われる女性の幽霊が、誰も座って無い椅子に向かって髪を切っていた。
 消えると同時に部屋全体が暗くなる、電灯も点かない。ロッカーに行き鍵を開けると懐中電灯を手に入れる。
 懐中電灯で照らし美容室の方に行くと、客が待つためのソファーに天野貞夫の幽霊が俯いて座っていたが、消える。
白江「! ……今のは、まさか?」天野が座っていた場所に、天野の取材ノート2が落ちていた入手する。
「まず、美容室hの女性美容師死亡事件。
 死亡した美容師は加藤美野里、20歳。その年の春から働き始めた新人美容師だった。
 店長の話によると、その日は片付けを彼女に任せて先に帰宅した。翌日、出勤してみると、
 彼女は床に倒れており既に冷たくなっていたという。前日の彼女は普段どおりで特別変わった様子は無かったそうだ。
 店内には荒らされた様子も無く、また彼女の財布などもそのままバッグの中にあり、
 携帯電話は彼女自身が握り締めていたという。いちおう確認をとってみたが、店内にパソコンは無いという。
 『黒のページ』の手がかりは無いか。しかし不可解な点が多いので関係ないとは言い切れないな。」
 白江が音に振り向くと天野の幽霊がスタッフルームに入って行った。「……間違いない! 天野!」
 追いかけてスタッフルームに入るとマネキンの頭が全部おちている。部屋の奥まで行くと女性の幽霊が一瞬、出てくる。
 振り向くと倒れていたマネキンの頭達が全て起き上がって、ロッカーとは逆の隅の冷蔵庫を見ている。
 冷蔵庫を調べると、下に天野の走り書き2が落ちていて入手する。
「しばらく店内を探索したがたいしたものはなかった。使えそうなのは女性のものと思われる携帯電話くらいだ。
 この電話……繋がるんだろうか。物の試しに、取材で使った電話帳から適当にかけてみる事にする。
 997−118−029 997−494−582」
 とりあえず携帯電話に入力する。すると見知らぬ部屋にいた。ホテルの一室のようだ。
白江「どうやら本当に移動できるようだな……」
 バスルームを開けるとカーテンの向こう側で女性がシャワーを浴びている影が映る。カーテンを開くと誰もいない。
 浴槽に天野の取材ノート3が落ちているので入手。
「次はあるホテルで起きた死亡事件。思慕したのは出張中だった会社員の女性、名前は東海林恵子。32歳。
 チェックアウトの時間を過ぎてもフロントに現れない事を不審に思った従業員が鍵を開けると、
 彼女はイスに座った死んでいたそうだ。テーブルには一台のノートパソコン。右手には携帯電話が握られていた。
 彼女の上司が前日の午後10時頃に彼女とメールのやり取りをしている事から、死亡したのはそれ以降という事になる。
 しかし電話はしていないという。室内に荒らされた形跡は無く、
 完全な密室であった事から警察は事件性は無いと判断したようだ。しかし死因は公開されていない。」
 風呂を出ようとすると扉が開かない、何度も前後させて開けると東海林恵子の幽霊がいて襲ってくる、振り払う。
 部屋の棚を調べると天野の走り書き3を入手。
「こいつは驚いた。まさか携帯電話で移動できるとは。
 どういう原理なのかはさっぱりわからないがコールした向こう側の携帯電話の場所まで移動できるらしい。
 しかしどういうわけか自分の携帯電話にかけても通じない。真っ先に思い浮かんだ番号なのだが……。
 事はそう上手くはいかないようだ。」
 ベッドの上にホテルのメモ「369」。スーツケースに369と数字を入れ開ける。中には携帯電話が入っていた。

14 名前:CALLING〜黒き着信〜 mailto:sage [2013/08/18(日) 22:13:41.31 ID:lMxsguSO0]
 突然、ノイズが聞こえるので録音して再生する。
東海林『来月から社内の配置転換で担当が変わるの……そう。月イチで出張して来れなくなるわ。』
東海林『しょうがないじゃない……、自腹でここまで来れるほど、いい給料は貰ってないの。』
東海林『これからはあなたが来てくれる? ……ほぉら、やっぱりダメじゃない……。』
東海林『だったら、もうこれっきりの方が良いと思うの……』
 白江はもう一つ天野の走り書きにあった電話番号にかける。転移する。
白江「……移動はできても、携帯電話は置いてきてしまうようだな……」
 そこはネットカフェの個室。扉は開かないので外には出れない。携帯電話を拾い入手。
 天井の棚に、天野の取材ノート4を見つけて入手。
「次はキャラバンというネットカフェで起きたフリーターの死亡事件。利用者の男性が突然意識を失ったというもので、
 死亡した男性は根岸克也。29歳。当時、店内には客が複数入っていたがこれといって不審な人物は見当たらず、
 男性の知人などもいなかったため過労による心臓麻痺と処理された。残っていたチャットのログを調べたところ、
 『黒猫』というハンドルネームの人物の書き込みで終わっていた。『黒猫』とはいったい……?」
 携帯電話にメールが入る。そこに最初の部屋(涼谷の部屋)の写メが写っていた。ノイズが入るので録音再生。
根岸『あ、電話……、一体誰からだぁ……? あー……もしもしぃ? ……あ! あぁ、藤村さんですか……。』 
根岸『……。でですねぇ……代金のほう、もうすこし待ってくれませんか……、実はバイト、リストラされちゃって……、』
根岸『あてにした給料が入らなくなっちゃったんで……、ホント、スミマセン……、ちゃんと払いますから……』
 パソコンの電源が入り、根岸の幽霊が座ってキーボードを打っている。立ち上がると襲ってくるので振り払う。
 さっきの写メールの部屋に行くために、携帯電話で番号を打つ。涼谷の部屋に転移する。
 携帯電話を入手。パソコンを調べると黒のページの一番下に新たな番号が増えている。997−657−281。
白江「新たな番号が……これもアイツなのか?」天野がいれたとおもわれる電話番号をいれて転移する。
 転移した場所は学校の4回女子トイレ。女子高生の幽霊(小倉舞)が白江を見て驚き、手にメモ帳を去って行く。
白江「!? ……あれはオレのメモ帳! いままでの転移先の番号が書かれているのに……! 取り返さなければ……!」
 懐中電灯を付けて、脇に置いてあった携帯電話を入手。トイレから出ると美術室と思われる写メールが届く。
 305の教室に入り、放浪者のメモ1を入手。
「暗くて怖い。なんだよここ。気がついたら知らない場所にいるなんておかしい。そうだよ、これは夢だ!
 そうに決まってる! で、でもなんだか妙な音が聞こえる。なんだか不気味だ。背筋がぞっとする。
 それにこんなに暗くちゃなにもできない。何か明かりになるものはないかな……」
 ロッカーから天野の走り書き4を入手。
「一通り手元にある番号にかけてみたがそのうちのいくつかの番号は受話されてしまい『転移』はできなかった。
 内容は無言電話がほとんどだったが、妙な声が聞こえてくるものもあった。
 聞くだけで不安を掻きたてられるような不気味な声だった。死んだ人たちだろうか。」
 3階を歩くと男(涼谷しんいち)が悲鳴をあげながら走り、三人の女子高生の幽霊に追いかけられているのを目撃する。
白江「! まだ霊になってない人間がいるのか!? 見込まれてしまっているな……、うまく逃げ切れれば良いが……」
 2階の美術室へと入り探索。天野の取材ノート5を入手する。写メールを送ったのは天野の様だ。
「そして、一ヶ月前に私立昭成高等学校で起こった女子生徒死亡事件。同じ学校の人間が3人も立て続けに死亡した事で、
 話題になっていた。死亡した3人は学校では有名な問題時で評判は良くなかったらしい。意識を失った3人が、
 発見されたのは放課後のパソコン室。その後、病院へと運ばれるが、それぞれ数時間後に心肺停止。
 第一発見者は同校2年の男子生徒で、歴史の課題の資料を探すためにパソコン室へと立ち寄ったらしい。」
 白江がノートを呼んでいると、神楽凛が美術室に入ってくる。
白江「幽霊かと思いきや、生きているお嬢さんの登場とは……」
神楽「だ、誰っ!?」
白江「おどかしてすまない。オレは白江真。弱小出版社で編集者をしている者だ。」

 界ノ章 了
 この後、醒ノ章。憑ノ章を挟む。

15 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/08/18(日) 22:14:49.48 ID:lMxsguSO0]
ここで一旦、止める。順番がグダグダになってすいません

16 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/08/22(木) 12:18:55.12 ID:wsJpsQft0]
Fallout:newvegasのDLCLonesome road、ストーリーはひと通り書き終わって
あとは各勢力ごとの会話文の変化やバッドエンド後のエピローグだけなので進捗率90%といったところです

17 名前:シャイニング・ハーツ mailto:sage [2013/08/22(木) 19:48:11.96 ID:tUTk4IZEO]
シャイニング・ハーツ書きます

・ストーリー前半
海に浮かぶ孤島「ウィンダリア島」に、ある日一人の青年リックが漂着します
リックはとある少女(パートナー)に介抱されますが、目を覚ました彼は過去の記憶を失っていました
ただ、彼は初対面のパートナーの名前だけはなぜか知っていたのでした
(パートナーはアミル、ネリス、エアリィのいずれかを選択します。選ばなかったキャラは登場しません。まあ台詞は全員同じなんですが)
とりあえず、身寄りの無いリックはパートナーの住む難破船に居候することになります
しかもパートナーは働き口まで探してくれます。なんか手際いいな〜と思ったら、この島では記憶喪失の人間が漂着するのは「よくある事」なんだそうです
そんなこんなで、リックはパートナーの勤める「マデラのパン屋」で働くことになりました
魔女マデラが経営するマデラのパン屋は、人間が嬉しかったり悲しかったりした時に出す「ココロ」というエネルギーでパンを作る魔法のパン屋でした
リックは島民に美味しいパンを届けてココロを分けてもらい、集めたココロでまた美味しいパンを作って絆を深めていきます

島の生活にも慣れてきたリックは、ある日嵐の後の浜辺で倒れている少女を見つけます
彼女が漂着してから、穏やかだったウィンダリア島に少しずつ異変が起こり始めるのでした

18 名前:シャイニング・ハーツ mailto:sage [2013/08/22(木) 19:50:56.58 ID:tUTk4IZEO]
漂着した少女は例によって記憶喪失だったのですが、症状は今までの人より深刻なようで、ほとんど廃人同様でした
そんな少女を心配したリックとパートナーは自分たちの作った魔法のパンを差し入れに行きます
すると、無気力だった少女に生気が戻ると同時に、少女のペンダントから大きな鍵が現れ、どこからか「鍵を泉に捧げなさい」という女性の声が聞こえてきました
リックたちが鍵を泉に沈めると、その晩大きな嵐が島を襲います
夜が明けると、なんとリックたちの住む難破船が立派な船に早変わりしていました。そして水平線の向こうには昨日までは存在しなかったはずの新しい島が…

少女の名前は「…クヤ」らしいのですが、パートナーが「カグヤ」と聞き間違えてしまい、本人もはっきり思い出せていないので、カグヤと呼ぶことになりました
カグヤは魔法のパンが大変気に入ったらしいので、彼女を元気にするためにリックとパートナーは毎日パンを届けることにしたのでした
ココロのこもったパンを食べる毎にカグヤは快方に向かっていきます。意外と腹ペコヤンチャ少女だったことが判明したりします
感情の乏しかったカグヤが様々な感情を取り戻す度にペンダントから鍵が現れ、その鍵を泉に沈めると嵐が起こります
そして次の日になるとまた世界に新しい変化が起きるのです
もちろん、良い感情ばかり取り戻すわけではなく、中には怒りや悲しみを思い出すこともあります
そして度々リックの前に現れるカグヤに似た女性「サクヤ」は、全てを取り戻す事が必ずしも幸福ではないという趣旨の発言を繰り返します
リックとパートナーは悩みながらもカグヤの心を解放していきます。一方その頃、カグヤを狙う何者かがウィンダリア島に近づいていたのでした…

これで実質ストーリーの7割ぐらい進みました
発売前に大プッシュされていたミストラル(ミスティ)とクイーンはまだ出ません…

19 名前:シャイニング・ハーツ mailto:sage [2013/08/22(木) 19:53:25.52 ID:tUTk4IZEO]
後半に進む前に、本編で全く明かされない超重要設定を書いておきます

・3つの世界
このシリーズではエルデ、エンディアス、ウィンダリアの3つの世界が存在します
エルデは現代の地球、エンディアスは剣と魔法のファンタジー世界です。前作ティアーズとウィンドはエンディアスの話です
エンディアスはEND-THE-EARTHなので未来の地球とかいう裏設定があるらしいですがこれはハーツにはたぶん関係ないと思います
ウィンダリアは少々特殊で、異世界で死んだ者や絶望した者の魂が導かれる箱庭世界です
島民はほぼ全員が「記憶を失って漂着した異世界人」なので、純正ウィンダリア人はいないと思われます
云百年前の人間が王子を名乗ってたりするので時の流れがあるのかも怪しいところです
リックは元の世界でパートナーと知り合いだったので名前を知っていたんですが、その辺りは後述

20 名前:シャイニング・ハーツ mailto:sage [2013/08/22(木) 19:56:21.90 ID:tUTk4IZEO]
・ストーリー後半
ウィンダリア島に海賊団アークバッカニアがやってきます
船長のディランは豪快な男で、カタギには手を出さない良い海賊?らしいのですが、時を同じくしてリックとパートナーは「ペンダントを探す海賊」の噂を聞きます
カグヤの持つペンダントがディランに狙われていると考えた二人は、自ら囮になって海賊を誘き出します
ですが多勢に無勢でピンチになってしまい、駆けつけたディランに助けられます。どうやら誰かがディランに罪を着せようとしていたようです
本当の敵はどこにいるのだろうと二人が考えていると、今度は謎の海賊にカグヤが襲われます
彼らの正体はミストラル率いる海賊団セイレーンでした
キャラグラ付きの幹部が何人か出てきますが、いかんせん出番が少ないので参謀ポジのバルダー卿だけ覚えていればいいと思います
バルダー卿はリックとパートナーを人質にカグヤを連れていこうとしますが、謎の力に覚醒したカグヤに撃退されます
しかし次の日、リックたちが目を離した隙にセイレーンがカグヤをさらってしまいました
カグヤを助けるためディランに協力を求めに行くと、ディランの仇敵であるアイザックという男が現れ、なぜかセイレーンのアジトを教えてくれます
セイレーンのアジトで幹部をボコりながらカグヤの元に行くと、首領であるミストラルが現れます
精霊使いである彼女は、カグヤのペンダントが強い精霊力を持つことを知り、我が物にしようと企んでいました
追い詰められたミストラルはペンダントの力を解放しようとしますが、ペンダントはウンともスンともいいません。ペンダントはカグヤ以外には使えないようです
その時バルダー卿が現れ、リックたちもろともミストラルを攻撃しようとします
なんと最初からバルダー卿は偽物にすり変わっていたのでした
ポッと出のキャラが実は偽物だった!とか言われてもプレイヤー的には困りますが…



21 名前:シャイニング・ハーツ mailto:sage [2013/08/22(木) 19:59:49.44 ID:tUTk4IZEO]
バルダー卿の正体はアイザック率いる海賊団ガイルバンカーの機械兵士でした
アイザックはカグヤとペンダントを手に入れるためにリックたちとセイレーンを共倒れさせようとしていたのです
偽バルダー卿とアイザックに襲われて絶対絶命のリックたちでしたが、卑劣な手段にキレたカグヤによって撃退され、ペンダントから憎悪の感情である黒の鍵が現れます
憎しみの感情を取り戻したとはいえ、基本良い子なカグヤはミストラルを許し、リックたちとウィンダリア島に帰ります

一方、正体を隠す必要がなくなったガイルバンカーは大船団を率いてウィンダリア島を包囲します
こっちは帆船なのに向こうはネオアトランティス並みの近未来戦艦で乗員は自律機械兵士です
なんとか撃退したリックたちですが、その頃カグヤは過去の記憶が戻り、これ以上島の人々に迷惑を掛けられないと思った彼女はクイーンという名の機械兵士に連れられてアイザックの元に向かいます
リックとパートナーはカグヤを連れ戻しに向かいますが、カグヤに拒絶されます
アイザックはカグヤの力を平和利用するとかなんとか言ってますがまあ明らかに嘘っぱちです
それでも、カグヤが帰ることを拒んでいる以上どうすることもできず、二人は肩を落としながら帰っていきます
自分たちの言葉ではカグヤに届かない…と失意のままに島に戻ったリックたちですが、マデラや島の仲間たちに諭されて本来の役目を思い出します
パン屋の役目はパンを焼く事。そして魔法のパンはココロを込めて作るもの。
基本に立ち返った二人は、カグヤのためにありったけの想いを込めたパンを作ります
カグヤにパンを届けるためガイルバンカーを追うリック。今までの仲間も着いてきて、みんなでカグヤを迎えに行きます。この辺りのストーリーは修学旅行っぽくていい感じです。
アイザックに借りを返すという名目でセイレーンも力を貸してくれます。彼らの援護を受けながらリックたちはガイルバンカーの旗艦に乗り込みます

22 名前:シャイニング・ハーツ mailto:sage [2013/08/22(木) 20:04:07.26 ID:tUTk4IZEO]
立ちはだかるクイーンを倒してリックとパートナーはカグヤと対面します
ココロのこもったパンを食べて二人との絆を実感したカグヤはこちらに戻ってきます
そしてここに来てようやくアイザックの目的が判明します
アイザックはこの世界の海底に眠る「匣」とかいう古代の遺物をカグヤに起動させて世界を滅ぼすつもりらしいです
クイーンなどの機械兵士も実は古代兵器で、プログラムを弄られてアイザックに従わされているとのこと
彼をこのまま放置すると危険なのでアイザックを倒しに行きます
リックたちは加勢に来たサクヤと共に、匣の力を得てパワーアップしたアイザックと戦います
キューブの形のキューブアイザック、そしてポリゴンを拡大しただけの巨大アイザックなどの手抜きボスを倒すと、アイザックはなぜか憑き物が落ちたように穏やかになって昇天します。
これで一件落着と安堵するリックたちでしたが、別れの日はすぐそこまで近づいていたのでした…

ウィンダリアに帰ってきたカグヤは、穏やかな日常を過ごしながら、これまでお世話になった(パン的な意味で)お礼に、マデラに手編みの靴下をプレゼントします
その帰り道でペンダントから黄金の鍵(明言されてませんが愛の感情?)が現れ、カグヤはリックとパートナーに別れの時が来たことを告げます

その夜、いつもの泉で待っていたのはカグヤとサクヤでした
カグヤの本当の名前は「サクヤ」…つまり二人は同一人物だったのです
カグヤ/サクヤは元の世界(エルデ、エンディアス)で重要な使命があったのですが、それに疲れ、ウィンダリアに逃げてきたのがカグヤだったらしいです
リックたちとの交流でもう一度使命に向き合おうと決心したカグヤは、サクヤと共に元の世界に帰っていきます。
「最後の鍵はあなたの大切な人と一緒に沈めて」と言い残して…

リックは今まで通りこの島で暮らし続けるのでしょうか。それとも大切な誰かと一歩踏み出すのでしょうか…

23 名前:シャイニング・ハーツ mailto:sage [2013/08/22(木) 20:09:09.35 ID:tUTk4IZEO]
これでメインストーリーは終わりです
誰かと鍵を沈めるまでゲームは永遠に続きます
執筆者は「俺はカグヤが好きなんだよー!」と一人で鍵をぶちこんだら上からカグヤが落ちてきました。他のエンドはまだ見てません
ここからはパーティメンバーの紹介と個別イベントです
なんで後ろに書くのかというと、ほとんどの仲間は最後のカグヤ救出以外滅多にメインストーリーに絡まないからです

・シャオメイ
よろず屋店主の猫娘です。その正体は島を騒がせる怪盗ブラックテール
実はアークバッカニアの一員だとか元の世界ではサクヤのペットだとかよくわからない裏設定があるらしいです
個別イベント:怪盗稼業の手伝いをさせられます。といっても遺跡探索とか子供のぬいぐるみ奪還のような微笑ましいものばかり
・ローナ
お城のメイドをしている狼の獣人です。なぜか刃物の達人
個別イベント:元の世界での記憶を失っていたローナですが、面識があるらしいハヤネという剣士や、里の頭領と出会うことで記憶を思い出していきます。
ローナとハヤネは隠れ里の出身で「霊刀・雪姫」の継承候補でしたが、雪姫を狙うアイザックが里を滅ぼしてしまい、ローナだけが生き残ったようです
アイザックを倒して仇を討った後、ローナはハヤネの姿を借りた雪姫の化身「裏雪姫」を倒して雪姫を継承します
裏雪姫がなぜハヤネの姿をしていたのかは不明です
シャイニングブレイドでも雪姫は登場するみたいですが、性格外見記憶がまるで違うらしいです
・ディラン
海賊団アークバッカニアの船長。ウィンドの獣人王ロウエンと同一人物という設定らしいですが本編で気づいた人は天才だと思います。画像検索すれば意味がわかります
裏設定ではタイムマシンで過去未来を行き来しながらアイザックと戦っているらしいです。タイムマシン…?
個別イベント:〇〇海賊団が暴れてるからとっちめに行こうぜ!→倒す→やるじゃねえか!
これだけです。本当にこれだけです

24 名前:シャイニング・ハーツ mailto:sage [2013/08/22(木) 20:12:59.86 ID:tUTk4IZEO]
・メルティ
吸血鬼の魔女っ子です。アイス研究が趣味
元の世界で友達がいなかったのでウィンダリアに引きこもっています。使い魔のソルベエを連れています
実は魔王の娘でソルベエの正体は父親だそうですが、本編に全く反映されていないので…
個別イベント:アイスの材料探しを口実にメルティの引きこもり解消+婿探しにソルベエが奮闘します。最後に婚約指輪まで渡されます
・アルヴィン
気難しいエルフの青年です。ティアーズに登場するエルウィンの兄です。ハーツにはエルウィンも登場しますが、彼女も何かに絶望してしまったんでしょうか…
彼はこの世界の精霊を守護する役目を負っているらしいので、ウィンダリアの真相は知っているようです
個別イベント:アルヴィンと一緒に各地を巡って傷ついた精霊を助けます
・ラグナス
ウィンダリアの王子です。ゲームだけだとホモっぽいただの王子なんですが、ウィンダリアの真相を知ってから彼の発言を聞くと、彼がこの世界の守護者的存在であることに気付きます
何百年王子様名乗ってるんでしょうか…
個別イベント:幽霊船の夢を見たラグナスはこれを何かの啓示だと考え、ウィンダリア近海で幽霊船を探します
幽霊船の船長ゲルドはこの世界に来た人の例に漏れず、記憶を失いながら何かを探していました
ゲルドの探していたのは妻と娘だったのですが、二人が既に死んでしまっていることを思いだし彼は絶望します
ラグナスは世界の守護者としてゲルドを放っておくわけにはいかないと考え、リックたちに協力を求めます
リックの焼いたゲルド家族の思い出のパンによってゲルドの魂は解放されたのでした
・ルフィーナ
ラグナスの妹です。ウィンドのクララクランの遠い先祖だそうです。大人っぽいお姫様という感じですが設定通りだととんでもない実年齢に
個別イベント:パン屋稼業と海賊退治に疲れたリックたちをお茶会でもてなしてくれます。ただしお茶請けの材料は現地調達です

25 名前:シャイニング・ハーツ mailto:sage [2013/08/22(木) 20:17:54.07 ID:tUTk4IZEO]
最後にストーリーの補足です。あまり補足になっていませんが
・アイザックの正体
正直よくわかりません。次作のブレイドでも登場したんですが執筆者はブレイド未プレイなので詳しく知ってる方がいればお願いします
・リックとパートナーの過去
ノベル版設定ではエンディアスの戦争でパートナーが死に、絶望したリックはウィンダリアに流れ着いた…ということらしいです
ただ、時系列的に過去となるブレイドでは、パートナーは精霊的な存在になってピンピンしているそうです
・サクヤ/カグヤの使命
ハーツでは明かされないまま終わってしまったのですが、シリーズ関連商品から類推すると
1、神器(シャイニング世界の超兵器または生物兵器)の化身で管理者
2、ウィンド主人公たちの通うエルデ(地球)の高校教師
3、闇の勢力に対抗する光の軍勢「シャイニングフォース」のリーダー
4、光と闇の勢力を拮抗させ、戦いを絶えず続けさせる調停者。灰色の魔女
の4つを兼任していると思われます
これだけ掛け持ちしていればカグヤがサボタージュするのも納得できます
3と4は完全に矛盾していますが、このシリーズはガンパレ並みに設定が錯綜しているので気にしたら負けです
・ウィンダリアとカグヤの関係
これもゲーム中で語られませんが、ウィンダリアはサクヤ/カグヤの作り出した世界だと考えるのが妥当です

あと、ミストラルとクイーンは仲間になりません
説明書にクイーンフィギュアの広告まで入ってたので、いつ登場するのかと執筆者はワクワクしていましたが、二人とも終盤でちょっと登場するだけでしたorz

26 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/08/22(木) 20:37:06.15 ID:wqnEgFSa0]
乙でした

未プレイだが、読んだかぎりではすごい地雷臭がする

27 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/08/22(木) 20:48:37.68 ID:bwnKRgJjP]
シャイニング・乙

28 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/08/22(木) 23:08:04.98 ID:3GxB8Qer0]

シャイニングソウルシリーズしかやってない俺は勝ち組だったんだな…

29 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/08/30(金) 12:20:45.24 ID:Mi9h7Qzi0]
シャイニングのひと、いろいろと乙でした

30 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/01(日) 00:07:41.48 ID:Ejp7XfaZ0]
System Shock 2が直接投下されてるが、あれで終わりとして扱っていいのか?
未解決一覧から消していいのか、それとも書き込み途中?



31 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/01(日) 01:27:40.60 ID:Ejp7XfaZ0]
●このスレの>>30までをWikiに収録
・以下を追加
黄昏のオード
剣と魔法と学園モノ。3
CALLING〜黒き着信〜
シャイニング・ハーツ

・以下を追記
真・女神転生W

●差し替え・追加スレッドの>>599までをWikiに収録
・以下を追加
らんま1/2〜白蘭愛歌〜
CALLING〜黒き着信〜
東方靈異伝 〜 Highly Responsive to Prayers
東方封魔録 〜 the Story of Eastern Wonderland.
THE 廃屋病棟 〜呪われた病院からの脱出〜
ジャングルウォーズ

●未解決一覧
・以下を消去
Dead Space 2を消し忘れ
剣と魔法と学園モノ。3
黄昏のオード
CALLING 〜黒き着信〜
シャイニング・ハーツ
らんま1/2〜白蘭愛歌〜
東方靈異伝 〜 Highly Responsive to Prayers
東方封魔録 〜 the Story of Eastern Wonderland.
THE 廃屋病棟 〜呪われた病院からの脱出〜
ジャングルウォーズ

●書き込み途中
・以下を追加
Call of Duty BlackOps2[6月]を追加忘れ

・以下を消去
・Fallout: New Vegas(詳細版)[5月]
機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122[5月]

●執筆予告
・以下を消去
アリスマッドネスリターンズ(PS3)[7月]

32 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/01(日) 22:39:24.67 ID:EEuebQZM0]
未解決一覧から「逆転検事」投下します。
事件解決までのおおまかなストーリーとそこに至るまでの伏線については
できるだけ書くようにしましたが
序盤の細かい論証などは一部省略しています。ご了承ください。

33 名前:逆転検事 第1話「逆転の来訪者」1/2 mailto:sage [2013/09/01(日) 22:40:45.20 ID:EEuebQZM0]
3月14日午前2時。主人公・御剣怜侍(みつるぎれいじ)検事は1ヶ月間の海外出張から帰国した。
一度、検事局に顔を出しておこうと自分の執務室を訪れた御剣は
部屋の中に転がっていた男の死体に驚く。
唖然とする御剣の背中に、何者かが銃を押し付けた。この男を殺した犯人なのか?
「私の執務室で事件を起こしておいて、逃げきれるなどとは思わないことだ」
御剣の宣戦布告に侵入者は答えず、一発の威嚇射撃を残して去っていった。

すぐに顔なじみの刑事・糸鋸圭介(いとのこぎりけいすけ)が駆けつけて捜査が始まる。
落ちていた警察手帳から、被害者は刑事の仲間戸真治(なかまどしんじ)と判明。
そこへ、突然ひとりの騒々しい男が割り込んできた。
彼の名は優木誠人(ゆうきまこと)。仲間戸のパートナーだった検事である。
仲間戸との別れを惜しむ優木をよそに御剣は捜査を進めるが、奇妙な点が見つかる。
凶器は部屋の床に落ちていた仲間戸の拳銃だが、その銃から撃たれた弾丸は一発きり。
しかし、室内には被害者とは別に、あの威嚇射撃の弾痕が残っている。
その上、仲間戸の背後にあった本棚は殺人事件の前に何者かがファイルを動かし
被害者の死後、またファイルを本棚から引っ張りだした形跡がある。
この矛盾や犯人の不自然な挙動は何を意味するのか?
そんな御剣の捜査とは別に、本棚に「イトノコギリ」という血文字が残っているのを見た優木は
御剣の留守中、部屋の管理を任されていた糸鋸が犯人だと言い出した。
だが御剣はその推理を一蹴。血文字が書かれていた本棚のファイルのひとつが
明らかに血文字が書かれた後、一冊盗まれていたのだ。
本当に糸鋸が犯人なら、その時点で血文字を放っておいたはずはない。
推理を否定された優木はあっさりと主張を撤回。「本命の容疑者が別にいる」と
警備員の須々木マコ(すずきまこ)を連れてくる。彼女は糸鋸の後輩だった元婦警で
逆転裁判2、3にも登場していた女性。転職の果てに検事局の警備員に就職していた。
マスターキーを預かる彼女なら執務室にも出入りできたと優木は語る。
マコは反論するが、その主張は「事件の起きた頃、マスターキーは盗まれていた」
という頼りないもの。しかも、いつの間にかマスターキーが戻っていたというからかえって怪しい。
優木は「容疑者と親しい君たちには任せられない。この事件は僕が担当する」と
御剣たちを現場から追い出してしまった。

廊下へ追い出されてしまった御剣たち。しかし、もちろん捜査を止める気はない。
「どうやって犯人は鍵のかかった部屋に入れたのか?」そのヒントは廊下にもあるはずだ。
調査をしながら、マコにマスターキーの件を詳しく問いただすと
事件の少し前、自分の執務室(御剣の隣の部屋)の鍵を忘れた優木検事のために
マスターキーを使って扉の鍵を開けたという話が出てきた。
マスターキーは貸出禁止なので、用事が済んで部屋を閉めるときも改めてマコが閉めに行ったのだが
その時点ではマスターキーを盗まれていたため、鍵を掛けたふりでごまかしたという。
だが奇妙なことに、優木の執務室のドアにはしっかり鍵がかかっている上に
仲間戸刑事が生前に残した連絡メモが挟まったままになっていた。
さらに、優木のドアの前にこれみよがしに置かれていたバスケットのゴールポストが
最近動かされた痕跡を見つけた御剣は、推理によって優木が犯人であることを確信する。

34 名前:逆転検事 第1話「逆転の来訪者」2/2 mailto:sage [2013/09/01(日) 22:41:30.91 ID:EEuebQZM0]
現場へ戻った御剣は、捜査中の優木を「おまえが犯人だ」と告発する。
御剣の部屋のナンバープレートを自分の部屋のそれとすり替え、さらにゴールポストを隣に動かすことで
マコに部屋の違いを意識させないまま鍵を開けさせ、御剣の部屋に忍び込んだ。
だが御剣の部屋を探っている時に、優木に会いに来た仲間戸がそれを見つけてしまい
優木は口封じに仲間戸を殺したのだ……という御剣の推理に反論できない優木。
ところが、話が死体発見直後、御剣と「犯人」が出会った話になると、優木の表情が明るくなった。
「その時間、僕は仕事で少し離れた警察署にいたよ。アリバイ成立だね!」
問い合わせてみると確かにその通り。これでは優木は犯人でないことになる。
自分の推理に穴があったか?嬉々としてマコを連行しようとする優木の前で
急いで事件を再吟味した御剣はあることに気づいた。
「2発の弾丸、部屋を2度荒らした痕跡……侵入者は二人いたのだ!
 被害者を殺した最初の侵入者と、私が会った二人目の侵入者は別人だ!」
こうなると、優木のアリバイは無意味になる。話をはぐらかそうとする優木の言葉を聞いているうちに
御剣は彼が「仲間戸から預かった2つの証拠品」と口にしたのを確かに聞いた。
仲間戸が優木の執務室のドアに挟んだメモによれば、証拠品の数は3つのはずだ!
指摘されて青くなった優木を無理やり身体検査すると、血がべっとり付いたビデオテープが出てきた。
コレが決定的な証拠となり、優木は仲間戸刑事の殺人容疑で緊急逮捕されたのであった。

こうして殺人犯は逮捕された。しかし謎はまだいくつも残っている。
御剣の執務室から古い事件ファイルを盗んでいった「二人目」の侵入者の正体、
頑なに黙秘している優木検事の背後に見え隠れする巨大な犯罪組織の影。
そして、御剣の執務室を捜査中に発見された「三本足のカラス」の紋章が入った謎のカード。
それはかつて、義賊と呼ばれた怪盗「ヤタガラス」が使っていた印だった。
「事件はあの時すでに始まっていたのだ……」
御剣が思い出したのは2日前、海外出張から帰国する飛行機内での出来事……

35 名前:逆転検事 第2話「逆転エアライン」1/3 mailto:sage [2013/09/01(日) 22:42:48.90 ID:EEuebQZM0]
3月12日午前6時。ヨーロッパから帰国する御剣は大型旅客機の機内ラウンジでくつろいでいた。
その時エアポケットにより機体が大きく揺れ、地震にトラウマのある御剣は気絶してしまう。
10分ほどしてから目を覚ました御剣はエレベータで客席に戻ろうとするが
開いたエレベータの中には、乗客の一人が死体になって転がっていた。
そこへちょうど現れたCAの木之路いちる(このみちいちる)によって、御剣は犯人として拘束されてしまう。
だが、犯罪目撃者の尋問であれば御剣の専門分野。
御剣は難なく木之路の主張を論破し、彼が犯人でないことを納得させる。
これで問題なし……と思いきや、次に立ち上がったのは乗客のひとりでボルジニア国の大富豪ジンク・ホワイト氏。
神経質でいつも時計を気にしている彼の証言によると、被害者のアクビー・ヒックスは
午前6時にエレベータでラウンジに向かった。その時ラウンジにいたのは御剣だけなのだ。
確かに状況を見れば御剣が怪しい。彼は濡れ衣を晴らすべく、自ら現場捜査することを申し出る。

木之路が機長から許可を取り、彼女の監視下で捜査が始まった。
彼女の報告によれば、エコノミーやビジネスクラスからはラウンジに入れない。
つまり御剣含むファーストクラスの乗客のみが容疑者となる。
現場を捜査するうちに御剣が見つけたのは、エアポケットの揺れでエレベータ前にこぼれたジュースの染みと
その上を通って機内ショップの方へ歩み去る一組の足跡。
つまり、誰かがエレベータに死体を残してそこを離れたことを意味するものだ。
「エレベータに乗っていたのはアクビー一人だけだ」と主張するジンクをより詳しく尋問するうちに
気の早い彼が、飛行機に乗った時点で時計を到着地日本の時刻に合わせていたことが判明する。
しかし、機内の時刻は中継地である西鳳民国(せいほうみんこく)の時間に合わせてあり
日本の時刻とは3時間の開きがあるのだ。つまり、ジンクの被害者目撃は午前3時の話になる。
犯行時刻に3時間もの幅があるなら御剣の容疑は晴れる……と思ったところで
もう一人のCA、白音若菜(しらおとわかな)が新たな証言をした。
飛行機は午前4時から5時の間、西鳳民国で給油と荷物の積み下ろしを行った。
5時の時点で一度乗客の点呼を取ったが、そのときアクビーはまだ生きていたというのだ。
そして御剣は、5時から6時までひとりでラウンジにいた。つまり、結局犯行が可能なのは御剣だけだ!
御剣は捜査で集まった証拠品を使って反論する。先ほどの足跡、そして
現場にあった凶器の貯金箱が、機内ショップに置かれていた商品である事実。
事件が機内ショップとも関係するなら、「ラウンジにいた」だけでは犯人であることの証明にはならない。
機内ショップも捜査……しようとしたところで白音のツッコミが入る。
機長は捜査の許可など出していない、これまでの捜査許可は全て木之路の独断だというのだ。
木之路は無言でその場を去り、改めて(正規の許可を取って来た)白音の監視下で捜査が再開される。

「ボルジニア語の読み書きができる」以外、全てが適当な白音に調子を狂わされつつ捜査を進める御剣。
機内ショップに入ると、陳列棚のガラス戸が割れてガラスが床に散らばっていた。
棚の外へガラスが散っているので、エアポケットの揺れで棚の中の貯金箱が飛び出したと推理できる。
だがそれでは、被害者が殺された時点で貯金箱はまだ棚の中にあったことになる。
犯行と凶器の食い違いに、白音は「ショップ担当の木之路さんなら戸を割らずに鍵を開けられた」と指摘。
棚の鍵を持つ彼女なら、そのような工作をすることができた、と言うのだが……。
もう一つ見つかった証拠品は、やはりショップに置かれていたキャスター付きスーツケース。
2つ並んだスーツケースのうちひとつは、車輪止めもなく置かれていて非常に危なっかしい。
鍵がかかっていなかったので中を改めると、そこには血まみれの布と血痕が残されていた。
このケースで死体を運んだのだとすると、やはりラウンジは事件現場では無さそうだ。
ひととおり捜査が済んだところで、まもなく目的地に着陸との機内放送が入る。

36 名前:逆転検事 第2話「逆転エアライン」2/3 mailto:sage [2013/09/01(日) 22:43:45.27 ID:EEuebQZM0]
日本の空港に到着し、一度機を降りた御剣。
そこに、逆転裁判2・3にも登場している顔なじみの狩魔冥(かるまめい)検事が現れた。
無線で伝えられていた情報を元に御剣を逮捕しようとする冥をなだめ、まずは現場を見ろとうながす。
機内に戻り、現場検証を終えた冥と御剣が対峙する。冥は御剣の犯行を立証しようとするが
すでに手広く現場捜査をしている御剣の方が証拠も多く有利だ。御剣は自らの推理を披露する。
「犯行後のエアポケットで棚から飛び出した貯金箱と、ショップに置かれた血痕付きのスーツケース。
 犯人は別の場所からスーツケースで死体をエレベータに運び、ケースをショップの商品に紛れさせる。
 そして落ちていた貯金箱を凶器のように見せて現場を工作し、さらに気絶していた私に被害者のサイフを押し付け
 濡れ衣を着せたのだ」
犯人がスーツケースや血染めの布を残していた点から、あまり工作の時間がなかったことがうかがえる。
どこかに真の凶器が残っている可能性が高い。それを見つければ捜査は一気に進むはず。
だが御剣の推理に対して冥は「貯金箱はやはり真の凶器かもしれない。棚の鍵を自由に開けられれば」と返す。
そう、ショップの鍵を持っていて、しかも事件直後に現場に現れた木之路こそ真犯人かもしれないのだ。

CA控え室で木之路の尋問が始まる。まずは事件直前、木之路がショップを訪れていた件について。
ショップ担当として自分の担当区域を見まわっただけだと語る木之路に、御剣は残酷な現実を突きつける。
件のスーツケースは社内公募で木之路のデザインが採用されたものだが、売れ行きは良くないらしい。
彼女はそれが気にかかって、頻繁にショップを見回っていたのではないか。
御剣の指摘に木之路はうなだれる。彼女はケースの売行き不審に責任を感じ、自腹で度々購入していた。
貨物室にはまだ結構な在庫があるが、それは間もなく処分されてしまう予定だという。
犯人が使ったケースは貨物室から持ちだされたらしい……だがそこで冥が鋭い指摘を入れる。
貨物室に入るには専用カードキーが必要。そしてそのキーは木之路の管理下にあるはずだ、と。
木之路がチェックすると、キーが紛失しているのが分かる。しかし冥は、それが偽装工作だと言って譲らない。
結局、木之路は最有力容疑者として連行されてしまう。
確かに現状では彼女が疑わしい。しかし御剣はどうしても彼女が犯人だとは思えない。
最初に御剣を疑ってしまった償いとして、越権を承知で捜査を手伝ってくれた彼女には誠意を感じたからだ。
彼女を助けられるとしたら、それは真犯人を捕らえること。真実を求めて御剣たちは貨物室へ踏み込む。

長い階段を降りて、大きな貨物室に入った御剣たち。
その床にアクビーの割れた眼鏡のレンズが落ちている。やはり彼はここに来ていたのだ。
冥の言葉によれば、彼の正体は国際警察の捜査官。冥と組んで、世界的な密輸組織の摘発に当たるはずだった。
彼は密輸の証拠をつかもうとして貨物室に入り、組織の人間に殺されたのではないか……。
だが冥は、貨物室に入るキーを持っていたのも、凶器の貯金箱を用意できたのも木之路だけだと主張する。
彼女の推理を覆すなら、凶器が偽物だと証明しなければならない。
丁度そのとき、貨物室にある自分の荷物を返せと詰め寄るジンクが警察官と押し合いになり
階段の手すりを越えて大きな荷物の上に転げ落ちたのを見た御剣ははっと閃いた。
「凶器は見つからなかったのではない……大きすぎて気付かなかったのだ!」

37 名前:逆転検事 第2話「逆転エアライン」3/3 mailto:sage [2013/09/01(日) 22:44:20.83 ID:EEuebQZM0]
御剣の推理は、アクビーの死因である打撲傷は鈍器によるものではなく
倉庫の階段から突き落とされた「墜落死」だというものだ。
それを立証するには、まず階段の真下にある巨大な荷物が事件当時「なかった」ことを証明せねばならない。
ジンクが言うには、この荷物は出発地のヨーロッパから買い付けてきた石像。
その通りならこの像はずっとここにあり、アクビーが墜落死する空間的余裕は無かったことになるが……。
国際警察が追っている密輸組織の件がある。この像にも組織の手が及んでいるかもしれない。
アクビーの遺した資料と照らし合わせると、この像が贋作だと分かる。
本物はヨーロッパから運び出されること無く、中継地の西鳳民国で偽物が積み込まれたのだ。
像をどかして床を調べると、大きなルミノール反応が。やはりここが殺害現場で間違いない。
……とすると、ひとつおかしな点がある。
アクビーの死亡時刻は、西鳳民国で荷物が運び込まれる4時より前。
だが、白音は「5時の点呼の時にアクビーは生きていた」と証言していた。
事実に反する証言で捜査を混乱させた彼女こそ真犯人なのでは?

白音が呼び出され、木之路も立ち会いの上で彼女の尋問が始まる。
証言の嘘、そして偽の美術品に関するボルジニア語の預かり証を発行していた件が突き付けられるが
白音は寝ぼけ顔でそれらをサラリとかわす。
いずれもミスやささいなすれ違いであり、殺人犯である証拠にはならないと言うのだ。
まだ見落としている証拠はないか……考えをめぐらした御剣はひとつの品に思い至る。
アクビーの携帯電話。彼が持ち歩いていて、しかし死体からは発見されなかった物だ。
真犯人は何か意図があって携帯を持ち去ったのではないか?
アクビーの電話番号を知る冥が試しに電話をかけてみると、CA控え室から着信音が響く。
なんと、木之路のロッカーから携帯が出てきた!
おそらくは真犯人の工作だろうが、木之路にまた不利な証拠がひとつ出てしまった。
しかし御剣はうろたえない。真犯人が一度この携帯を持ち去ったからには、これ自体に何か意味があるはず。
携帯の液晶画面は割れていたが、冥によれば中身は無事であり、データが取り出せた。
それは飛行機が西鳳民国に到着する前、石像が貨物室に無かったことを示す証拠写真。
殺人事件を示すものではなさそうだが……御剣は、そこに写った段ボール箱の山に目を留める。
ボルジニア語の書かれたその箱は、ジンクによると「衣装」と読める。
そう、殺害現場の血痕を拭き、スーツケースに押し込まれていた布はここから取られたのだ。
ボルジニア語の表書きを読んで中身を知ること、そしてこの荷物が西鳳民国で運び出され
証拠が残らなくなるのをあらかじめ知っていたこと。それができたのは白音以外にありえない!
今から西鳳民国の空港に問い合わせて荷物を押さえれば、決定的な証拠になる。
そう告げられて、ついに白音も自白せざるを得なくなった。
国際捜査官を名乗り、倉庫に入って写真を撮り始めたアクビーの口を封じるため
白音はアクビーを突き落とし、偽装工作を行ったのである。

事件は解決した。白音が逮捕され、木之路は濡れ衣を着せられずに済んだことを喜ぶ。
だが、白音は密輸組織の実態については怯えるばかりで話さないという。よほど根の深い問題らしい。
そして、新たな現場を求めてまた旅立つ冥は最後に御剣へ情報を語る。
冥とアクビー以外に、もう一人密輸組織を追っている国際警察の捜査官が居るという。
そのうち、御剣もその人物と会うことになる。謎めいた予告を残して冥は去っていった。
いぶかる御剣に応えるように、彼の携帯が鳴る。それは新たな事件の発生を告げる電話だった……。

38 名前:逆転検事 第3話「さらわれる逆転」1/4 mailto:sage [2013/09/01(日) 22:46:14.24 ID:EEuebQZM0]
3月13日午前10時。御剣はある任務を帯びて、遊園地「バンドーランド」を訪れた。
第2話最後の電話は御剣の後援者である富豪、天野川丈一郎(あまのがわじょういちろう)からのもの。
丈一郎の息子、天野川光(あまのがわひかる)が誘拐され、身代金一億円を求める脅迫状が届いた。
身代金の受け渡し役に、信頼できて目端が利く人物が必要ということで
帰国したばかりの御剣に白羽の矢が立ったのである。
2話でもらったスーツケースに一億円を詰めて遊園地に入った御剣に、携帯で誘拐犯から連絡が入る。
園内のあちこちを回ったあげく、たどり着いたのは不気味な「ホラーハウス」。
指示されるまま奥の部屋に入り、身代金を置いて部屋を出た御剣は
突然、何者かに後ろから殴られて気を失ってしまった……。

気がつくと、御剣は倉庫らしき部屋の中にいた。
柱に体を縛られており身動きが取れない。なんとか抜け出せないかともがいていると
上の方にある窓から、笑いながら謎の女の子が現れた。
女の子は、「2代目怪盗ヤタガラス」を自称する一条美雲(いちじょうみくも)。
検事の前で大泥棒を名乗る彼女とかみ合わない会話が続く。
幸い、携帯電話が手元に残されていたので糸鋸刑事に救援を求めるが
電話に出た「国際警察の捜査官」を名乗る人物は「救援に割く人手はない」と要請を一蹴。
仕方なく、御剣と美雲は倉庫内の品々を使ってなんとか部屋を脱出した。

倉庫を脱出し、遊園地の「ウエスタンランド」に出た御剣の前に
先ほどの捜査官、狼士龍(ろう しりゅう)が現れた。
なぜか御剣に敵意をむき出しにする狼によって警察の捜査権は掌握されてしまい
御剣は捜査から外され、糸鋸も狼の下に組み込まれる。
代わって御剣の助手に名乗りを上げたのは、「“真実”を盗む」と息巻く美雲だった。
御剣の記憶によれば「怪盗ヤタガラス」が狙うのは金品ではなく
企業の不正に関する情報を盗んで暴露すること。ある意味「“真実”を盗む」とも言える。
家に帰れという御剣の説得を美雲が聞く様子もなく、仕方なく彼女を連れての捜査が始まった。
最初に話を聞いたのは、現場に駆けつけた丈一郎。
被害者の光に関する情報を訪ねてみると、光だけでなく執事の小倉真澄(おぐらますみ)とも
先日から連絡が取れなくなっているという。事件と関係あるのだろうか。
続いて御剣が話しかけたのは、近くで踊っていた着ぐるみの「タイホくん」。
美雲が茶目っ気を出して着ぐるみの頭を取ると、そこから顔を出したのは
「逆転裁判 蘇る逆転」にも登場した無能警官、原灰ススム(はらばいすすむ)だった。
園内の客に配慮して、着ぐるみで変装しながら捜査をしていると言うのだが
奇妙なことに、彼自身がタイホくんに扮しているにもかかわらず
「園内に1体しか居ない」はずのタイホくんとすれ違ったらしい。
どうやら誘拐犯は、倉庫から予備の着ぐるみを着込んで逃走したようだ。
にわか雨の後なので、地面はぬかるみ足跡をたどることができる。
着ぐるみの足跡を追って、近くにあった車庫のシャッターを開けた御剣たちが見たものは
車庫の中に転がった、小倉執事の死体だった。駆けつけた狼は
「銃刀法の関係上、この周辺で銃を持っているのは警官だけだ」と言って原灰を容疑者として逮捕する。
御剣は現場の不自然さを指摘するも、捜査権を握っている狼は聞く耳を持たず
原灰を連行し、御剣たちを現場から追い出してしまった。

39 名前:逆転検事 第3話「さらわれる逆転」2/4 mailto:sage [2013/09/01(日) 22:46:48.61 ID:EEuebQZM0]
死体発見現場を追い出された御剣たち。だが、捜査の合間を縫って顔を出した糸鋸の情報によって
「目撃者」がいるというステージエリアへ向かうことになった。
そこで待っていたのは、かつて「蘇る逆転」で対面し
今はアメリカ留学から休暇で帰国中だという宝月茜(ほうづきあかね)
そして、マスコットキャラ「タイホちゃん」の着ぐるみで登場した“オバチャン”大場カオル(おおばかおる)。
どうやらオバチャンが、殺人の瞬間を目撃したらしいのだが
興味のないことにはトコトン適当なオバチャンの証言はどうも要領を得ない。
そこに美雲が取り出したのは、大ドロボウの秘密兵器「ぬすみちゃん」。
彼女が小さな機械を操作すると、周囲の風景が丸ごと立体映像に切り替わってしまった。
本来は盗みのシミュレーション用なのだが、これを使えば過去の出来事でも目の前で検証ができる。
さっそく、オバチャンの証言に添って殺人事件を再現してみると
どうやら、殺された被害者は着ぐるみを着ていたらしいことが判明。
茜の科学捜査による足跡検出もその推理を裏付ける。
オバチャンは2階席で昼寝をしていて事件を目撃したため、現場が良く見えていなかったのだ。
そこにまたしても割って入ってきた狼捜査官は、被害者が射殺されたこの目撃証言こそ
原灰が犯人である証拠だと主張する。
だが、御剣はこの推理には未完成の部分が残っていることを指摘する。
現時点での推理は「ステージ上の犯人が、下にいた着ぐるみの被害者を撃った」。
だが死体の傷は、弾丸が腹から肩へ突き抜けたことを示していた。
ならば状況は「下にいた犯人が、ステージ上の被害者を撃った」でなければならない。
これを以って、殺人は着ぐるみを着て逃走中の誘拐犯同士による仲間割れであると主張し
原灰は犯人ではあり得ない、と御剣は主張する。
そこへ、手錠をかけられた青年がふらふらと現れて倒れこんだ。
その青年こそ、誘拐されたはずの天野川光その人である。
自力で監禁場所から抜け出してきたという彼の証言から、誘拐犯の中に女性がいたことが明らかになるが
狼捜査官は光も、オバチャンたち目撃者もすべて自分で囲い込み、またしても御剣を追い払ってしまう。

御剣はウエスタンランドへ戻り、丈一郎、そして天野川家の使用人で光のガールフレンドだという
織戸姫子(おりとひめこ)に光が発見されたことを伝える。
もちろん、殺人事件の謎が残っている以上は御剣もここで終わるつもりはない。
ダメ元で、犯人一味が隠れていた倉庫を捜査できないかと警官に訪ねてみると
警官は「糸鋸刑事に頼まれているから」と通してくれただけでなく、捜査資料まで渡してくれる。
被害者の小倉は、実は脱獄したまま行方不明だった犯罪者「鞍馬純夫(くらますみお)」だったという情報だ。
倉庫に入って捜査を行った御剣は、そこに残されていた痕跡から、誘拐犯が3人いたという推理を導く。
殺された執事、光が見たという「女」の他に、もうひとりの誘拐犯がいるということになる。
ちょうどそこへ、倉庫内の着ぐるみを出そうとしたスタッフが現れたのだが
倉庫内を見たスタッフは、悪役キャラ「ワルホくん」の着ぐるみがないと騒ぎ出す。
ワルホくんは普段園内におらず、定時のショーにだけ出演するキャラクター。
つまり本来なら、倉庫には2体のワルホくん着ぐるみがあるはずなのに2体ともなくなっている。
倉庫内にあった8体の着ぐるみのうち、本来の用途で出払っているものが3体
誘拐犯が着て逃げたであろうものが3体。それとは別にワルホくん着ぐるみが1体持ちだされているのだ。
行方不明のワルホくん着ぐるみは、倉庫内のごみ処理コンテナに押し込まれていたのがすぐ発見される。
だがその手からは、据付の銃が剥ぎ取られていた。空砲しか撃てないモデルガンだとスタッフは言うが……。

40 名前:逆転検事 第3話「さらわれる逆転」3/4 mailto:sage [2013/09/01(日) 22:47:27.65 ID:EEuebQZM0]
倉庫を出た御剣の元へ、糸鋸が駆けつけた。正門前でタイホくん着ぐるみが発見されたのだという。
着ぐるみの中から発見されたのは「HIMEKO・K」の名前が入った翼のペンダント。。
狼捜査官はこれを見て、誘拐と殺人の犯人は姫子であると告発。姫子があっさりと自供したことで
全ての元凶は彼女だったという方向に傾きはじめた。
しかし、御剣は納得しない。彼女の自白は御剣の推理する真犯人と符合しないからだ。
御剣は反証として、死んだ小倉が身に着けていた馬のペンダントを取り出す。
それは姫子の翼型ペンダントと組み合わされて、ペガサスのペンダントになるよう作られていた。
脱獄囚だった小倉と幼くして生き別れた一人娘、それが姫子なのだ。娘を犯罪に引きこんで裏切る父親がいるだろうか。
「親子だからこそ強く結託して犯罪を企む可能性もある」と反論する狼。だが、それも御剣の想定内。
なぜなら、誘拐犯は3人だからだ。疑われもせずに逃げおおせている3人目が存在する。
御剣が告発した「3人目」の名は「天野川光」。そう、これは元々、光を中心とした狂言誘拐だったのだ!
放蕩息子の光は個人的な借金を抱えており、その返済のために金を必要としていたのである。
では、殺人事件の犯人は?姫子は、ステージエリアで確かに自分が小倉を撃ったと主張。
だが御剣は、小さな矛盾からその証言を突き崩す。ステージエリアで姫子が出会ったのは
頭だけをワルホくんに取り替えることで小倉になりすました光だった。
光はあらかじめ、ワルホくん着ぐるみから取ったモデルガンを姫子に「本物の銃」と言って渡しており
トリックによって「姫子が小倉を撃った」と姫子自身が思い込むよう仕向けたのだ。
なぜか?それは、光が小倉を殺した犯人であり、他人に濡れ衣を着せる必要があったからだ。
姫子は反論する。倉庫を出る少し前に、裏切ろうとした小倉が倉庫の奥に閉じ込められているのを見た。
その時点で小倉が生きていたなら、時間的に光が小倉を殺せたはずはない……。
しかし、その主張はむしろ御剣の抱えていた疑問の一つを解決した。
どうして誘拐犯は、身代金と共に御剣までさらって倉庫へ運び込んだのか?おそらく、その時点で小倉は死んでいた。
気絶させた御剣に着ぐるみの頭をかぶせ、小倉に見せかけることで姫子を騙したのである。
滔々と推理を述べる御剣に「どれも推測にすぎない」と一歩も譲らぬ狼捜査官。
決め手となる証拠はないのか?あるとしたら……小倉が殺された「真の殺害現場」。
御剣の誘拐が、小倉の死後に企まれた隠蔽計画のためであるなら、殺害はそれ以前。
おそらく、御剣がさらわれた「ホラーハウス」が鍵だ!
御剣は狼に、ホラーハウスの現場検証を要請。狼もこの提案に乗って捜査を開始しようとするが
それを遮ったのは、光をかばっていた丈一郎だった。彼はつい先程、遊園地の経営会社に金を積んで
ホラーハウスの権利を買い取ったと主張、権利者として現場検証を許可しないと宣言する。
どうやら彼は、すでに光から事件の真相を聞き出しており、光のために真相をもみ消すつもりらしい。
光が狂言誘拐を企んだことまでは、ごまかしきれなくなった光自身が認めたが
このままでは、殺人の容疑は金の力でごまかされ、姫子が犯人として裁かれてしまう!



41 名前:逆転検事 第3話「さらわれる逆転」4/4 mailto:sage [2013/09/01(日) 22:47:59.51 ID:EEuebQZM0]
捜査が手詰まりになったかと思われたその時、美雲が得意げに「ぬすみちゃん」を取り出した。
捜査資料の中にあったデータを打ち込むと、周囲はホログラフィに覆われてホラーハウスの情景が再現された。
もちろん、ホログラフィから物的証拠は出てこない。だが精密なシミュレーションとロジックを組み合わせれば
真実に近づくことは可能なはずだ……!
御剣が注目したのは、自分を背後から襲った犯人が誰で、どこに隠れていたのか。
廊下は一本道で、隠れるような場所はない。だが廊下の奥に「倒れたタイホくん」の人形があった。
これがただのオブジェではなく、着ぐるみでオブジェになりすました犯人だったなら
背後から御剣を襲うことは可能といえる。
だが、狼がその推理に反証を突きつける。遊園地のパンフレットにホラーハウスの紹介もあり
そこには「消えるタイホくん」として、廊下に倒れているタイホくんが出たり消えたりする仕掛けが記されていた。
つまり、最初からホラーハウスの仕掛けとして人形が置かれており、犯人の隠れ場所には成り得ない。
推理の矛盾を突かれて状況を調べ直す御剣は、「消えるタイホくん」の胸に掛かったベルトが
なぜか左右逆になっていることに気づく。そう言えば、ホラーハウス内にはやけに鏡が多い……。
御剣は「消えるタイホくん」が、鏡を使った大仕掛であると看破する。
真っ直ぐな廊下は実は丁字路になっており、普段は壁に見せかけた大扉で塞がれている。
大扉の裏は鏡になっていて、扉が開くと分岐が鏡に映り、見た目は真っ直ぐな廊下に見える。
そうやって2つの廊下を切り替えることで、人形が出たり消えたりを演出しているのだ。
……とすれば、犯人は扉の裏側に隠れることができたということになる。
御剣は思い出す。一度ホラーハウスで奥の部屋に入り、身代金をおいた直後、ガラスの割れる音がしたことを。
それこそが小倉が射殺され、鏡の大扉が割れた時の音だ。
御剣が部屋から出た時見た「タイホくん」は、アトラクション用の人形ではなく
着ぐるみを着たままそこに投げ出された小倉の死体だったのだ。
そしてその工作ができたのは、小倉とともにホラーハウス内にいた光しか居ないということになる。
元々メンタルの弱い光は、殺人の瞬間を正確に言い当てられたことで屈服し、泣きながら容疑を認めた。

事件は解決した。光は狂言誘拐と殺人、そして丈一郎も証拠の隠蔽を罪に問われ逮捕される。
だが、狼はそれ以外にも、密輸事件について丈一郎を問い詰めるつもりらしい。
そこへ、第一話の優木検事と仲間戸刑事が現れ、捜査への協力を申し出るが
(時系列上、第2話→第3話→第1話なので、まだ仲間戸は生きているし、優木も逮捕されていない)
狼はその申し出を無視し、丈一郎を連行していく。
どうやら「天野川コンツェルンの周囲に、密輸組織に協力する悪徳検事がいる」という情報をすでに得ており
それが御剣に対する攻撃的な態度の元にもなっていたようだ。
だが、それ以外にも狼の言動には、検事そのものに対する不信感がにじみ出ている。
御剣に事情を問われた狼の助手、シーナ捜査官はその理由を「法廷のせいで狼家が失墜したから」と語る。
狼家は西鳳民国の犯罪捜査を長く手がけてきた名家。だが、近年は検察による証拠の捏造が横行し
現場捜査を行う狼家は軽んじられるようになった。だから彼は検事を信用しないのだ、と。
一方で、美雲は今回の事件について糸鋸とひとしきり話した後
「私たち、『はじめまして』じゃないんだよ」と言い出す。
以前に出会ったことがあったのか?思い出せずに首を傾げる御剣に、美雲が見せたのは一枚の白布。
それを見た時、御剣は思い出した。7年前のある事件のことを……。

42 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/02(月) 09:11:15.77 ID:s2gDqW2S0]
PSゲーム「serial_experiments_lain」の詳細なあらすじをご存知の方はおりませんか?
よろしくお願いします。

43 名前:逆転検事 第4話過ぎ去りし逆転」1/4 mailto:sage [2013/09/02(月) 22:09:04.80 ID:Y3koqLB10]
7年前のあの日……御剣検事の法廷デビューに“なるはずだった”事件。
それはとんでもない騒動から始まった。
コードピア国大使館前で起こった、大使館職員の銃殺事件。
殺人の瞬間を捉えた警備カメラ画像があることから、有罪判決は秒読みと思われていた。
しかし、容疑者の真刈透(まかりとおる)は、法廷でそれまでの否認から一転
「自分は怪盗ヤタガラスから依頼された実行犯だ。そしてヤタガラスはそこにいる検事だ」
と、この事件の担当検事だった一条九郎(いちじょうくろう)を告発したのである。
容疑者にされてしまった一条検事に代わる担当検事として
師匠の狩魔豪(かるまごう)と共に、後学のため傍聴していた御剣に白羽の矢が立ったのだ。
資料に目を通す御剣に、狩魔検事は今回の事件と「KG-8号事件」の関連性をほのめかす。
KG-8号事件、それは3年前、天野川コンツェルンの密輸疑惑に絡んだ殺人事件。
コンツェルンの社員が証言台に立つ直前に殺され、コードピア大使館の職員が容疑者となったが
結局、容疑者は無罪となった。その裁判の担当検事も一条だったという。
2つの事件の相違点は、今回の事件の影に見え隠れする「怪盗ヤタガラス」のみ。

御剣が法廷に立つが、引き継ぎを行うはずの一条検事が現れない。
そこへ飛び込んできたのは、新人刑事の糸鋸圭介(これが御剣と糸鋸の初対面である)。
彼は、控え室で一条検事と真刈が死んでいると報告する。
現場に急行した御剣が出会ったのは、真刈の担当弁護士だった葛氷見子(かずらひみこ)と
証人として出廷する予定だったという刑事、馬堂一徹(ばどういってつ)。
さらに、アメリカ留学から一時帰国中の冥(当時13歳)が、御剣への対抗心むき出しで割り込んでくる。
馬堂刑事は、御剣や冥を子供扱いして現場に入れてくれないが
狩魔検事の鶴の一声で、御剣たちが事件の捜査を担当することになった。
控え室には、折り重なって倒れた真刈と一条検事の死体。
ナイフを持った真刈の死体の上に、拳銃を持った一条検事の死体が重なっている。
拳銃は証拠品として一条検事が持ち込んだものだが、ナイフは出所不明。
被告人である真刈が持ち込めるはずはないから、一条検事の持ち物だろうと推測される。
現場を一瞥した冥は、対立した二人が争い、相打ちになったものと断定するが
御剣は、丁寧に集めた証拠品から、冥の推理が含む矛盾を突く。
検死によれば一撃で即死したはずの一条検事の死体が、真刈の死体の上にあること
さらに左利きの一条検事が右手に拳銃を握っていることなど。
細かい点で、二人が争っての相打ちという推理には矛盾がいくつも上がってくる。
殺人現場には三人目の「真犯人」がいて、現場を偽装した。御剣はそう推理する。
だが、控え室の外では糸鋸刑事がずっと見張りをしており、誰も通らなかったと証言しているのだが……。
そこへ、葛弁護士が、裁判長(逆転裁判シリーズおなじみのあの爺さんである)を連れて登場。
裁判長によれば、糸鋸刑事が持ち場であるはずの控え室前にいない時間があったとのこと。
糸鋸刑事は、被害者の他に控え室に入ったものはいないと証言していたが
彼自身が殺人犯だとすれば、その主張も無意味になるのではないか?

44 名前:逆転検事 第4話「過ぎ去りし逆転」2/4 mailto:sage [2013/09/02(月) 22:11:11.68 ID:Y3koqLB10]
御剣と冥は、狩魔検事の元へ戻り捜査状況を説明する。
被告人と担当検事が死んだ今、公訴棄却で捜査も無用となるはずなのだが
状況に違和感を抱く御剣は、無理を言って捜査続行の許可を得る。
聞き込みによって得られる新たな情報。
葛弁護士は、KG-8号事件で殺された被害者の姉で、関連事件の弁護を通じて情報を集めているらしい。
そして、馬堂刑事もKG-8号事件で被害者の警備を担当していたという繋がりがあった。
一方、容疑者となってしまった糸鋸刑事だが、その振る舞いはどうにも不自然だ。
自分が不利な立場になるのは分かっているのに「控え室前にいたのは自分だけ」と言い張っている。
真相を知るべく、御剣は控え室前の廊下を調べることにした。

廊下を調べた御剣は、ソファに付けられた糸鋸刑事の手形と、床に落ちた餡この欠片を発見する。
そしてソファの上には、窓辺に飾られたサボテンと、割れた風船の切れ端。
これらの証拠から推理を進めた御剣は、裁判長の元を訪れて彼を尋問する。
裁判長は廊下から中庭を挟んだトイレの窓から、廊下に誰も居ないのを見たと証言していたが
実のところ、糸鋸刑事は窓辺のソファに腰掛けてどら焼きを食べていただけ。
窓の位置関係から、ソファに座った糸鋸が見えなかったにすぎない、というわけだ。
裁判長が聞いたという「銃声」も、他者の証言と時間が合わないことから
窓辺のサボテンに引っかかった風船が割れた音だ、と御剣は看破する。
糸鋸が現場を離れていた、という疑いは晴れた。が、もう一つの疑惑が上がってくる。
廊下には糸鋸以外に誰かいた。そして、糸鋸はその人物をかばっているのではないか……?
と、そこへ現れた少女を御剣が取り押さえる。糸鋸を糾弾する御剣に怒りの視線を向けるその少女は
法廷を見学していた一条検事の娘、美雲(10歳)であった。
すでに一条検事の死についても聞いているようで、話すうちに美雲は泣きだしてしまう。
涙を吹こうと差し出されたハンカチの代わりに、美雲が御剣の胸元のクラバットで鼻をかんでしまう一幕もあったが
落ち着いた美雲の証言によって真相が明らかになる。
「知らない人から物をもらってはいけない」という、父親との約束を重んじる美雲に対し
美雲と二人で自販機のどら焼きを買った糸鋸は、美雲のために彼女のことを隠し続けていたのだ。
愚直極まりない行動だが、これで糸鋸の嫌疑は晴れた……と思いきや
葛弁護士は「糸鋸が事件現場の前を離れていないなら、犯行のチャンスが有ったのは彼だけだ」
と、むしろ糸鋸が犯人なのは確実だという主張を展開、再び糸鋸は連行されてしまう。

事件現場の隣にある別の控え室で、御剣は馬堂刑事と相対する。
銃声がしたとき、馬堂はこの部屋に葛弁護士とともに待機していたという。
馬堂と葛、そして一条検事の関係を問うことで、御剣は事件の裏にある闇に踏み込んでいく。
KG-8号事件で妹を失った葛、そして捜査を担当していた一条と馬堂。
彼らは、事件の背後で暗躍していた巨大な密輸組織を各々の職務を通じて追っていたが
組織の闇は恐ろしいほど深く、組織の全貌は一向につかめなかったという。
一方、今回の事件で名前が出た怪盗ヤタガラスだが、真刈がヤタガラスでないのは確実だと馬堂は請け合う。
標的に関する正確な情報収集、警備を突破する高度な窃盗術、そして現場に証拠を残さない狡猾さ。
ヤタガラスの特徴とされるこの3点に、真刈の犯行は全く合っていない。
なにより、ヤタガラスが今回警察に送りつけてきたという「証拠品」が何だったのか
真刈は答えることができなかったのだ。
しかし、ヤタガラスを騙った真刈と、ヤタガラスだと告発された一条が同時に殺された今回の殺人。
ヤタガラスが何らかの形で関係していることは間違いないと御剣は考える。
そこへ、法廷係官が「証拠品受け渡しの用意が整った」との知らせを持ってきた……。

45 名前:逆転検事 第4話「過ぎ去りし逆転」3/4 mailto:sage [2013/09/02(月) 22:13:20.11 ID:Y3koqLB10]
法廷に入り、裁判長立ち会いの元で証拠品を受け取る御剣。
一条検事が持っていた今回の裁判の証拠品と、彼の遺品となった捜査手帳がそこに含まれている。
だが、手帳の内容に目を通した御剣はある疑問を抱く。
一条を刺したナイフ。容疑者の真刈が凶器を持ち込めない以上、これは一条が証拠品として持ち込んだ物のはず。
だが、手帳にはナイフに関する記述がない。その一方で、ヤタガラスが送ってきたという奇妙な形の「鍵」が
並べられた証拠品の中に入っていないのだ。
御剣は、存在しないはずの「ナイフ」と、あるべきなのに無い「鍵」の関連に目をつける。
ナイフの柄の部分をいじると、柄はナイフの刃を包むように開き、中から「鍵」が飛び出した。
このナイフこそ「ヤタガラスの鍵」だったのだ。
どうやら一条も、この鍵がナイフにもなることを知らなかったらしい。とすると、この鍵を凶器に使えるのは
鍵の元の持ち主……すなわち、怪盗ヤタガラスその人ではないのか?
そしてもう一つ、あるべき証拠品がここにない。裁判の中で一度公開された、犯行時の映像。
銃声まではっきり記録されていた警備カメラの映像ビデオがなぜか紛失しているのだ。

御剣は事件現場に戻り、そこにいた馬堂に「ヤタガラスの鍵」の仕掛けについて伝える。
思った通り、馬堂もこの鍵の仕掛けを知らないまま、消えた鍵の行方を探していたのだ。
馬堂から話を聞くうちに、御剣は今まで気づかなかったある矛盾に気づく。
法廷の控え室は機密保持の観点から、防音にも力が入っている。なのに、なぜ馬堂は事件の瞬間
隣の部屋からの銃声をはっきりと聞くことができたのか?
事件現場の窓は何故か開いていた。そして、馬堂と葛がいた隣の控え室の窓も開いていた。
それは、葛が香水をこぼしてしまい、部屋に匂いがこもってしまったからだ。
おかげで、馬堂たちは銃声を聞いてすぐ現場に殺到した。だが、それが真犯人の思惑通りだとしたら?
御剣はある推理を元に、現場にあったテレビとビデオデッキを改める。……御剣が予想したとおり
そこに紛失していた証拠品のビデオがあった。犯行の瞬間の「銃声」が入っているビデオが。

法廷に戻った御剣は、糸鋸が犯人だと主張する葛に対し、実際の裁判のように向い合って、反論を展開する。
「真犯人」は、30分前に二人を殺した後、控え室の窓を開け、証拠品のビデオを掛けっぱなしにした。
そして30分後、ビデオが犯行の瞬間を映したときに響いた銃声を、皆は「犯行の瞬間」と思い込んだのだ。
だが、隣の部屋まで銃声が聞こえるには、もう一手「隣の部屋の窓を開けさせる」ことが必要だ。
香水をこぼすという「事故」で、窓を開けさせた葛弁護士こそ、一連のトリックを用意した「真犯人」である!
御剣の真剣な表情を茶化すようにたびたび爆笑する葛を、御剣は冷静にロジックで追い詰める。
一条も馬堂も知らなかった「ナイフに変形する鍵」を使って一条を殺害できたのは
鍵の送り主であるヤタガラスのみ。つまり、葛こそがヤタガラスなのだ。
御剣の追求に抗しきれなくなった葛は、ひときわ大きな笑いの後にその指摘を認める。
自分こそがヤタガラスであること。だが同時に、密輸組織の人間でもある。
だから真刈に口封じの殺人を依頼し、その真相に気付きかけた一条を真刈ともども始末したのだ、と。
御剣は葛を逮捕しようとする。が、葛は素早く拳銃を取り出し、それを御剣に向けた。
とっさのことで体がすくみ、動けない御剣。そのとき、法廷の隅で様子をうかがっていた美雲が叫んだ。
「お兄さん、右によけて!」具体的な指示に反射的に従うことで、御剣は銃撃を交わす。
だがその隙を突いて、葛は「ヤタガラスの鍵」を奪ったまま逃げ出してしまった……。

46 名前:逆転検事 第4話「過ぎ去りし逆転」4/4 mailto:sage [2013/09/02(月) 22:15:04.32 ID:Y3koqLB10]
葛の自白と逃走により、糸鋸の容疑は晴れ、事件は一応の収束を迎えた。
結局、葛は捕まらず、彼女の動機など具体的な真相は暴かれぬままになってしまったのだが
御剣によって無実が証明され首もつながった糸鋸刑事は御剣に心酔するようになり
以後、彼の部下として大いに奮闘することになったのである。
そして、結果的に御剣の命の恩人となった美雲とは、その後会う機会はなかった……

ここで、時系列は第3話終了時点まで戻る。
美雲が取り出した白布……あとで洗って返してくれと、彼女に預けたままだった御剣のクラバットを見たことで
御剣は、あの事件で会ったのが2人の最初の出会いだったと改めて認識したのである。
だが、不可解なことがひとつある。あの事件では、ヤタガラスの正体は葛だったということで決着した。
なのに、なぜ美雲は「2代目ヤタガラス」を名乗って現れたのか?
疑問をぶつけられた美雲は答える。最近になって父の遺品を整理した際に
父、一条九郎こそが本物のヤタガラスだったという記録を発見したのだと。
信じがたい話だが、美雲が持つ「ぬすみちゃん」は、子供が用意できる代物ではないのも事実だ。
そして美雲は、先日「ヤタガラスの予告状」が届けられたという新聞記事を見せた。
父がこの世にない以上、このヤタガラスは偽物。おそらくは葛につながっているはず。
偽ヤタガラスを捕まえて真実を明らかにするのに、御剣の協力がほしいと美雲は訴える。
御剣としては、真実を明らかにするためとはいえ「盗み」という手段は認められない。
だが、7年前の事件、そしてたった今の事件でも美雲は自分を助けてくれた。
それにあの事件のことが未だ引っかかっているのも事実。
「盗みはしない」という条件で、御剣は美雲への協力を誓った。

47 名前:逆転検事 第5話「燃え上がる逆転」1/6 mailto:sage [2013/09/02(月) 22:17:37.59 ID:Y3koqLB10]
ここで、ようやく時間軸は第1話の時点に戻る。
御剣は一連の事件を回想しながら、昨夜の事件(第1話)のことを思い返す。
殺人犯とは別に、事件ファイルを盗み出したもう一人の侵入者は「ヤタガラス」の関係者だったのだろうか?
静かに考えを巡らす御剣に対し、美雲は一刻も早く偽ヤタガラスを捕まえようと息巻いている。

事件を追って御剣たちが訪れたのは、「アレバスト王国」と「ババル共和国」の大使館。
それは、あの「コードピア」が、その後の内乱で東西に割れた国の名前である。
両国の大使館も、コードピアのそれを二分割して使っているという奇妙な状況だ。
一方で両国再統合の動きもあり、今日は両大使館の間に設けられた「永世中立劇場」において
両国合同のイベントが企画されている。そして、そのイベントがヤタガラスの標的とされているのだ。
劇場に入ってみると、そこで行われていたのは「大江戸戦士トノサマン」と「忍者ナンジャ」の
日本特撮ヒーローショー。トノサマンの隠れファンである御剣は密かに喜ぶが
ヤタガラスが現れる気配はない。やはり空振りか……そう思っていたところへ
「アレバスト大使館にヤタガラスが現れた」との叫び声が上がる。
美雲はアレバスト大使館に駆け込もうとするが、そちらへの入口は封鎖されていたため
警備の薄いババル大使館側から回りこもうとする。御剣も慌ててそれを追った。
ババル大使館の中庭で美雲を見失った御剣が目撃したのは、突然の火事で炎に包まれる
大使館の建物であった。これもヤタガラスの仕業なのだろうか?

消火が済んだところで大使館の執務室に駆け込んだ御剣が見たのは
狼捜査官の助手シーナと糸鋸刑事が、美雲の身柄を巡って争っている姿だった。
さらにそこにはもう一人、大使秘書のマニィ・コーチンが死体になって転がっていたのである。
怪しい人物を追って大使館内に入った美雲は、執務室で死体に出くわし
そこをシーナに発見され、地元警察から警備のため派遣されていた糸鋸との間で
彼女を殺人容疑者として逮捕すべきか押し問答になったらしい。
御剣はシーナの行動に異を唱えようとするが、大使館という場所柄、地方検事の御剣に捜査権限はなく
シーナは御剣を無視したまま美雲を逮捕しようとする。
そこへ、国際捜査官として活動中の冥が、駐日ババル大使のダミアン・ヒンジ氏と共に現れた。
御剣はとっさに「自分は冥の助手である」と名乗り、ダミアン大使に捜査の許可を求める。
唐突な発言に眉をしかめる冥だが、御剣を自分の下に置くという状況に思うところがあったらしく
彼が助手として捜査に加わることを認める。こうして、御剣は現場の捜査権を得た。
被害者のマニィを調べた御剣は、彼がKG-8号事件の容疑者であったことを思い出す。
さらに驚いたことに、彼のポケットには7年前の事件で葛に持ち去られた「ヤタガラスの鍵」があった。
いくつかの証拠、そして密輸事件を追っていた冥がこの場にいることから推測して
どうやら密輸組織の黒幕は、旧コードピア大使館であるこの場に潜んでいるらしい。
執務室に、固く閉ざされた金庫があるのに気づいた御剣は、もしやと思い鍵を金庫の鍵穴に差し入れる。
すると、金庫が開いた。やはりこの鍵はここで使われていたものだったのだ。
さらに金庫は二重になっており、その奥には密輸された美術品と密輸の書類が入っていた。
……ひと通り捜査が済んだところで、御剣はシーナと相対する。
現場で美雲が凶器のナイフを握っているのを見たというシーナ。落ちていたナイフを拾っただけと主張する美雲。
ナイフを改めた御剣は、刀身が血まみれなのに柄には血が付いていない不自然さに気づく。
どうやらこのナイフは柄と刀身が簡単に外せるらしい。ババルの国章である「蝶」の紋が入った柄を外してみると
刀身には「花」の紋が。これはアレバスト王国のものではないか!
凶器は執務室に飾られていたババルのナイフだと思っていたが、どうやらババルのそれと対になる
アレバストのナイフらしい。アレバスト大使館に入ってもいない美雲がこのナイフを用意できるわけはないので
彼女の殺人容疑は退けられるが…果たして、このナイフはどうやって大使館の境を越えてここに来たのか?

48 名前:逆転検事 第5話「燃え上がる逆転」2/6 mailto:sage [2013/09/02(月) 22:20:39.40 ID:Y3koqLB10]
いったん劇場まで引き返した御剣たちそこで出会ったのは、アレバスト大使館を捜査中の狼と
駐日アレバスト大使のカーネイジ・オンレッド翁。
彼らの話によると、アレバストでも大きな事件が起きたようだ。
自分の部下であるシーナとの諍いをすでに聞いている狼は、御剣のアレバスト大使館入りを阻もうとするが
そこに現れたダミアン大使が口を利いてくれたおかげで、御剣と冥はアレバスト大使館に入れることになる。
移動中に、冥から密輸に関する詳細な情報を聞く御剣。
今回の狙いは、ババルの特産品とされる「ババルインク」。ババルでしか作られないこのインクは
偽札を作るのに最適とされ輸出が制限されている。密輸組織はこのインクを大きく扱っているらしい。

アレバストの大使執務室に入った御剣を出迎えたのは、なんと着ぐるみのトノサマン。
着ぐるみの頭を外すと出てきたのは、逆転裁判シリーズでもおなじみ御剣の悪友、矢張政志(やはりまさし)だった。
天性のトラブルメーカーなこの男、アレバスト大使館で起きた殺人事件の容疑者にされてしまったらしい。
狼捜査官、そしてヤタガラス事件と聞いて駆けつけた馬堂刑事も交えて捜査が始まる。
こちらの被害者は、怪人☆仮面マスク2世。逆転裁判3に登場した怪盗の模倣犯である。
死因は撲殺。現場には、血まみれになったトノサマンの刀が残されていた。さらに悪いことに
事件直後、矢張は執務室の真上にある暖炉の煙突に入ろうとしていたところを拘束されたという。
友人として彼の人となりを知る御剣は彼が殺人犯ではないと確信しているが、状況は極めて不利だ。
隣の部屋で休憩中だったヒメサマンの役者が、前任者急病のためピンチヒッターで入れ替わっていた
オバチャンだったという衝撃の事実により、状況はますます混迷を極めていく。
ひと通り捜査を終えたところで、御剣はまず矢張の尋問から取り掛かる。
屋根の上にいた理由を、サンタクロースの真似だと主張して譲らない矢張であったが
御剣はあっさりとそれを論破する。矢張はヒメサマン役の交代を知らず、元の役者(もちろん若い女性)を追いかけて
煙突からヒメサマンが休憩中の部屋へ忍びこむつもりだったのだ。
執務室の暖炉は、抜け穴で隣の部屋とつながる仕掛けがあったが、構造上煙突も共有されており
そのため煙突に入ろうとしていた矢張は、執務室へ忍びこむように見えてしまったというわけだ。
現場周辺での不審な行動にはこれで説明がついた。では、現場にトノサマンの刀があった点についてはどうか?
御剣は、この刀が演劇用の模造刀で、人を撲殺するほどの強度はないと主張するが、狼は反論する。
大使館内で血液反応が出た品はこの刀だけ。これ以外に凶器たりえるものは無いのだ。
……だが、御剣は狼の緻密な捜査にひとつ抜けがあることを指摘した。
執務室に安置されていたアレバストの国宝「ダイカイ像」。
元々コードピアの国宝だったが、2国分裂以後、なぜか両国ともそっくりの像を所有しており
自分たちが持っている像こそ本物で、正統政府の証だと主張している両国紛争の火種だ。
本来なら大使とその秘書クラスしか触れないこの像にうかつに手をかければ国際問題になってしまう。
だが、御剣の指摘を受けた狼は、カーネイジ大使を無視して像の科学捜査を強行する。
像から出たのは血液反応と、何者かの手形。さっそく指紋の照合が行われるが
その結果、なんとこの手形はババルで死んでいたマニィのものだと判明する。
つまり、この像はいつの間にかババル側のそれとすり替えられていた、ということだ!
アレバストのナイフがババルにあった謎を解くどころか、さらなる「密輸品」が増えてしまったではないか。

49 名前:逆転検事 第5話「燃え上がる逆転」3/6 mailto:sage [2013/09/02(月) 22:22:11.97 ID:Y3koqLB10]
ババル大使館に戻ってきた御剣。報告を受けたダミアン大使は、すでにババル側の像を鑑定していた。
予想通り、こちらにあったのはアレバストの像。なぜ分かるかといえば、像が「本物」になっていたから。
そう、ババルの像は偽物だと大使は知っていた。その上で、国のメンツ上ごまかし続けていたのだ。
2国の大使館を凶器が行き来する不可思議な殺人事件。鍵になるのは、両方で目撃情報がある「ヤタガラス」。
そのヤタガラスが最初に現れたという、アレバストの中庭へと御剣は向かう。
真ん中に大きな池のある中庭、そこで今夜、カーネイジ大使の演説が行われる予定だった。
だが、その直前、スポットライトにヤタガラスの影が浮かび上がったという。
パニックに陥った観客によってライトが倒され、混乱のうちに影は消え去ったが
たしかにマントを翻したような大きな影が映った……と、警護を担当していた狼が語る。
だが、現場を見渡した御剣は、そこに仕掛けられたトリックに気づいた。
庭に飾られた複数の彫像、それに予め計算された角度から光を当てることによって異形の影を映す仕掛けである。
ライトの点灯で自動的に影が映し出されるこの仕掛けがあったということは、逆に言うと
仕掛けが発動した時点でヤタガラスはここに居なかった。
ヤタガラスはババル側におり、こちらには仕掛けを用意した「共犯者」がいた、と御剣は判断する。
そのとき、馬堂刑事が新たな証拠品を持ってきた。現場付近にいた女性ジャーナリスト
(実は、逆転裁判シリーズに登場していた『大沢木ナツミ』である)が撮ったという写真。
なぜか言葉を濁す馬堂にその写真を見せてもらった御剣と冥は絶句する。
その写真は、中庭の上を真っ直ぐ飛ぶ、大きな影を映し出していた。
ババルからアレバストの方向へ飛んでいったという影。これが怪盗ヤタガラスなのだろうか?
その正体に迫るべく、御剣は影の起点となるババル大使館へと戻る。

御剣はババル大使館、マニィが殺されていた執務室へと戻ってきた。
そして美雲の「ぬすみちゃん」で、事件直後の現場を再現する。
大きな疑問点は、美雲が目撃した謎の人影。執務室へ入ったその人影を美雲は追っていたのだが
部屋の中にそれらしき人物はおらず、隣の部屋から駆けつけたシーナに美雲自身が疑われてしまった。
ふと御剣は、左右対称の大使館を2つの国が分けて使っている点に着目し
暖炉の中を調べると、アレバストと同じように隣の部屋への抜け穴が開いた。
だが、犯人がここを通って逃げたなら、隣の部屋にいたシーナが気付かないはずはないのだが……。

永世中立劇場で御剣はシーナを詰問。自分の部下が疑われて苛立つ狼を退け、シーナは直接御剣と向き合った。
殺人現場から暖炉の抜け穴を通り、隣の部屋へ抜けた「ヤタガラス」。それをシーナが目撃していないのは
彼女こそが殺人犯ヤタガラスだからだと告発する御剣に、シーナはそれまでの寡黙さが嘘のように
甲高い笑い声を上げ、饒舌になる。その振る舞いは、御剣たちにある人物を思い出させた。
そう、彼女こそ、7年前の事件で逃走していた葛弁護士その人だったのだ。
彼女は密輸組織のスパイとして、素性を隠して国際警察に潜り込んでいたのである。
父の仇を前に思わず身を乗り出した美雲を人質に取り、この場を逃げ出そうとしたシーナ=葛の背後に
こつ然と現れた馬堂が銃を突きつけていた。そして、ついに御剣はヤタガラスの正体を知る。
葛が企業の内情を、一条が犯罪の手口を含む情報を提供し、馬堂が捜査の現場で証拠をもみ消す。
ヤタガラスとは、法の限界を知る者たちが創りだしたチーム名だったのだ。
だが、葛はヤタガラスの一員であると同時に、実在しないKG-8号事件被害者の姉を装って
一条と馬堂に近付き、スパイとしてヤタガラスの行動を牽制していた。
その関係が破綻したのが、第4話の事件の真相だったのである。
強引に突破しようと動く葛。だが次の瞬間、狼が馬堂と葛の間に割って入り、足に銃弾を受けながらも葛を取り押さえた。
狼によって連行される直前、葛は御剣にあることを語る。「今夜、私は誰も殺していない。真犯人は別にいる」
全てが嘘だった女の証言だが、その言葉は奇妙な真実味を持って響く。密輸組織の首領がまだ隠れているのだ。

50 名前:逆転検事 第5話「燃え上がる逆転」4/6 mailto:sage [2013/09/02(月) 22:23:36.47 ID:Y3koqLB10]
葛が連行され、馬堂もヤタガラス最後の一人として自供し、糸鋸に自らを逮捕させる。
その直前に馬堂が御剣に託したのは、第1話で御剣の部屋から盗まれた事件ファイル。
(そう、第1話の「侵入者」の正体は馬堂だったのだ)
そのファイルには、かつて一条が手に入れた「マニィがKG-8号事件で受け取った組織の指令書」が隠されていた。
そしてもう一つ、KG-8号事件の裁判で一条が盗まれた、証拠品のビデオテープが出てくる。
天野川丈一郎が隠匿していたものだが、彼が第3話で逮捕されたためガードが崩れ、流出したのだ。
第1話の優木検事は、これらの証拠品を組織側に取り戻そうとして暗躍していたのである。

すでに時刻は午前0時過ぎ。カーネイジ大使は、式典再開の準備のために捜査の終了を要求してくる。
まだ「密輸された凶器」の謎が解けていない御剣としては、ここで終わらせたくはないのだが……。
そこへ戻ってきた狼捜査官は「事件の真犯人がわかった」と宣言する。
狼が告発したのは、なんと冥である。両国大使館の入国許可を持っていた彼女なら犯行が可能だというのだ。
冥は怒り狂うが、狼も一歩も引かず、事件解決のためもう一度アバレスト大使館の捜査を申し入れる。
カーネイジも仕方ないという様子で許可を出し、一同はアバレストの執務室へと移った。

アバレスト大使館の執務室で、御剣と狼が対峙する。狼の主張は
「演説の直前、冥はカーネイジ大使を呼ぶため執務室に入っている。犯行はその時行われた」というもの。
これに対し御剣は、冥から直接証言を求め、そこに見えた小さな違和感から推理を組み立てていく。
窓辺のプランターから引きぬかれたトケイソウの支柱、壁に飾られたボウガン、そして天井のファン……
まず、ボウガンで「長いワイヤーの両端を結んだ支柱」を打ち出し、ババル側にいた共犯者のシーナに受け取らせる。
ババル側でワイヤーの端を結んで円を作り、それを天井のファンに引っ掛けてベルトコンベアのように
両国のダイカイ像を運んで交換した。これが「空をとぶ影」の正体だったのだ。
そして御剣は告発する。この仕掛けは大使館の内部に精通した人物でなければ思いつけない。
犯人はアレバストの執務室にいた、大使館のベテラン。つまりカーネイジ大使しかありえない!
疑問点があるとすれば、なぜ彼はアレバストの「本物のダイカイ像」を放出して、ババルの偽ダイカイ像を求めたのか。
それは偽ダイカイ像を調べればすぐ明らかになった。中空になった像の中に、偽札の原盤が隠されていたのだ。
カーネイジ大使こそ、この大使館に潜んでいた密輸組織の首領だったのだ。
だが、カーネイジは大胆にもしらを切り通す。自分が密輸組織の人間だという証拠はない、と。
ここで御剣は決断を迫られる。馬堂が残した証拠品を使うべきだろうか?
これが密輸組織の首領を脅かす品なのは間違いない。だが、これは違法なやり方で確保された証拠品なのだ。
法の番人として、違法な証拠品を使うべきなのか。それとも、違法な証拠品でも真相に迫れるなら活用すべきか。
悩んだ結果、法の限界も人の信念によって超えられると信じ、御剣は馬堂の遺した証拠品を取り出す。
ビデオテープは、KG-8号事件の現場となったマンション入口の防犯カメラの映像。
そこには、組織の指令書を持ってマンションに入るマニィと、彼が乗って来たコードピアの公用車が映っていた。
その映像を拡大すると、公用車に載っていたのがカーネイジであることも明らかになったのである。
この証拠によって、KG-8号事件、そして密輸組織との関連を決定的に突き付けられたカーネイジは
それまでの腰が曲がった弱々しい姿から一転、反り返った尊大な姿勢に変わる。
だがその直後、彼はあっさりと自首を宣言。逮捕して締め上げようとして、御剣たちははたと気づく。
事件現場は大使館の敷地内。そして彼は現役の大使。二重の「治外法権」により、彼は日本の法では裁かれない。
故郷アレバストの法廷に送られ……そして、組織と癒着した法廷によって無罪判決を得るだろう。
これがかつて一条や馬堂を絶望させた「法廷で裁けぬ犯罪者」の正体だったのだ。
愕然とする御剣たちに、カーネイジは大使館からの退去を命じた。



51 名前:逆転検事 第5話「燃え上がる逆転」5/6 mailto:sage [2013/09/02(月) 22:25:34.14 ID:Y3koqLB10]
カーネイジを取り逃し、大使館からも去らねばならぬ御剣たち。しかし美雲はまだ諦めない。
なぜカーネイジは即時退去を命じてきたのか?それは、知られてはまずいことがまだあるからだ。
美雲のこの指摘によって、御剣はふたたび立ち上がる。
まず劇場内を調べたところ、正門前に飾られたトノサマンと大使たちの集合写真の中で
カーネイジの持っていた花束の中に、マニィ殺害の凶器である花の紋入りアレバストナイフが紛れていることに気づく。
密輸組織の仲間だったマニィとカーネイジが仲たがいし、カーネイジがマニィを殺害。
密輸に関する証拠をすべて死んだマニィに押し付けて逃げる計画を立てた……
両国の大使館に分かれて働いていた2人が会い、殺人事件が起きたのは、実はこの中立劇場ではないか?
だとすれば、カーネイジを守る二重の治外法権のひとつが消える!
御剣は冥から、劇場と大使館を繋ぐ通路の監視カメラ映像を受け取り、人の出入りをチェックする。
不自然なことに、マニィがババル大使館に入った映像がない。やはりこの事件にはまだ裏がある。
そのとき、カーネイジが劇場に現れた。故国の警察に出頭するため帰国するというのだ。
だがそれこそは彼が逃げ延びるための手段。なんとしても引き止めねばならない。
駆けつけたダミアン大使が、同じ大使としての立場から証言を要求し
美雲は、父の形見である捜査メモをちらつかせて彼に証言を強要する。
だが、それだけの手札を動員しても、大使として治外法権に守られているカーネイジには届かない。
万事休すかと思われたその時、席を外していた狼捜査官が再び乗り込んできた。
彼が突きつけたのは、カーネイジを大使の職から解任するというアレバスト本国からの緊急人事。
狼は、名門としての狼家のコネクションをフル動員してアレバストに圧力をかけ、この決定を引き出したのだ。
盾を失ったカーネイジとの対決が始まる。御剣は、トノサマンの小道具である手押し車を示して
劇場でマニィを殺したカーネイジが死体を舞台用の手押し車に詰め、何も知らない矢張に運ばせることで
マニィの死体をアレバスト大使館へ隠したことを暴く。……だが、そこから死体をババル大使館へ運ぶ方法が分からない。
ここで手詰まりなのか?そのとき飛び込んできたのは、トノサマンとヒメサマン、すなわち
矢張とオバチャンのお騒がせコンビであった。あきらかに状況を分かっていない2人だったが
アレバストでなくしたぬいぐるみが、なぜかババルでびしょぬれになって発見されたという矢張の話を聞いて
御剣はついに、死体をアレバストからババルへ運ぶトリックの正体を見抜く。
建物の他の部分同様、中庭の池も両大使館で左右対称になっており、2つの池が地下でつながっていた。
まずババルにいた共犯者の葛が火事を起こす。消火のため、貯水槽でもある池から水が抜かれる。
その際カーネイジはアレバストの池に死体入りの手押し車を浮かべ、ババルの葛は自ら池に入る。
貯水槽の水が抜かれることで自然と水位は下がり、両者は池の底に到達する。
そこで葛は手押し車をババル側に運ぶ。やがて貯水槽に水が足され、葛と死体はババルの地上に上がることができる。
これが、死体をババル大使館へ「密輸」した謎の答だったのだ。

死体移動のトリックを暴かれてなお白を切るカーネイジを決定的に追い詰めるため
論戦の主題は「殺人の瞬間のアリバイ」に移っていく。
劇場ではトノサマンショーを見ていて、席を外す時間はなかったというのがカーネイジの主張だが
そこに割って入った矢張のお喋りから、カーネイジが「劇中で使われなかった必殺技」の名前を口にしたことが判明する。
スタッフ以外がそれを知る方法は、劇場控え室のホワイトボードを見ることだけ。
やはりカーネイジはショー上演中に席を抜け出し、控え室に入り込んでいたのだ。
死体移動に小道具の手押し車が使われていたことといい、もしや控え室こそ殺人現場だったのでは?
だが、ここまで来てなおカーネイジは罪を認めない。控え室で殺人が行われた証拠も
そこに自分が居合わせた証拠もない、と言い張るのだ。
確かに、控え室もすでに狼の部下たちが捜査を済ませているが、特に変わったものは発見されていない。
極限までカーネイジを追い詰めながら、最後の詰めに至る証拠が存在しないことになってしまう……。

52 名前:逆転検事 第5話「燃え上がる逆転」6/6 mailto:sage [2013/09/02(月) 22:27:14.60 ID:Y3koqLB10]
緊迫した場の空気を断ち切ったのは、全く状況が分かっていないオバチャンだった。
彼女が差し入れとして出したのは、彼女曰く「すぺしゃる」な銘菓「とのさまんじゅう」。本来なら包みに描かれた扇が
ただの丸印のはずなのに「日の丸」になっているという代物だという。
それを見て、御剣ははっと気づく。この赤い丸は血痕だ。もとは控え室に置かれていたはずのまんじゅうに
血が付いていたとすると、これはそこで殺人が行われた証拠になるのではないか?
さっそく包み紙が鑑識に回される。しかし、それを見てもカーネイジは動じない。
それが被害者の血痕だったとしても、自分が殺人現場に居合わせた証拠にはならない、と言うのだ。
ところが鑑識からは「これは血痕だが、血液型がマニィとは一致しない」との報告が返ってくる。
これでは何の証拠にもならない……と思いきや御剣は、彼の「ライバル」のような逆転の発想に至る。
殺人現場に会った血痕が被害者のものではない。ならば「誰の血痕ならありうるのか」?
そう、答えは「加害者の血痕」。カーネイジがマニィを殺す際、反撃を受けて傷を追った証拠だ。
御剣はさらに一歩踏み込み、マニィが使った凶器が「ヤタガラスの鍵」であると指摘する。
密輸の罪をマニィに全て押し付けるため、カーネイジは密輸金庫の鍵を隠すわけにいかなかったのだ。
「殺人現場で、被害者と流血沙汰を起こしていた」ことまで証明されては、さすがのカーネイジも逃げられない。
ついにカーネイジは力尽き、殺人事件の容疑者として逮捕された。

こうして、密輸組織と怪盗ヤタガラスをめぐる一連の事件は終結した。
組織の首領であるカーネイジが逮捕されたことで、密輸と偽札に関する捜査は大いに前進している。
一方、父親の仇を討った美雲だが、大泥棒ヤタガラスの名を返上するつもりはないらしい。
だが、「真実」を盗むヤタガラスが活躍するのは、真実が隠されようとするときだけ。
法の番人が勤めを果たし、真実が明らかになっていればヤタガラスが盗みを行う必要もないのだ。
美雲の期待に答えるべく、御剣はこれからも法の力、そして法を運用する人の力を信じて
真実を追い求めていくことを誓うのであった。

53 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/03(火) 00:02:17.85 ID:r+E56Mpd0]
乙でした!

54 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/03(火) 01:39:07.77 ID:lCJTjAY10]
だいぶ前にやったな逆転検事、御剣が何度もやられた顔をしていた気がする

55 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/03(火) 08:00:44.86 ID:lGP6+M1g0]
>>42
超要約ならわかるけど、詳細は難しいな

56 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/05(木) 16:10:52.66 ID:6Gyh6vyX0]
エルシャダイクリアしたから書きたいんだが
神話に詳しくないからかストーリーの細かいとこが難解すぎて書ける自信がない・・・

57 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/05(木) 17:29:30.59 ID:wZ+U9kpy0]
大丈夫だ、問題ない

58 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/05(木) 18:46:04.61 ID:B8XsWKyP0]
シンワヲベンキョウシテ ストーリーヲトウカスルノデス

59 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 09:03:36.75 ID:a+lb08A8P]
THE鑑識官いくんで支援お願いします

60 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 09:05:29.63 ID:pPj9z6f80]
SIMPLE2000シリーズ THE鑑識官

登場人物
【江波識子】……主人公。半官半民の捜査機関『南東京市科学研究所』の新人鑑識官。
【江波査之介】……識子の先祖の霊。十手に宿っており識子にだけ姿が見え話をすることができる。
【鑑太】……数百年生きているであろう江波家の猫。神通力を使い、人語を話すことができる。
【寒川怜】……女刑事。識子と度々同じ事件を担当する。
【江波徹子】……識子の叔母で南東京市警察署長。『THE推理』が初出。江波家は江戸時代の同心から続く警察一家。
【落葉巡査】……いつも現場で識子に状況を教えてくれる人。瓜二つのいとこ(やはり巡査)がいる。
※南東京市科学研究所の各課担当者
【岩原所長】……コワモテの怖いオジサマ。失敗してゲームオーバーになると大目玉をくらう。
【シモーヌ】……指紋課の担当。混血児。所の専任であるため識子とはリアルで接触する。
【古畑博士】……法医課の担当。死体大好きな変態博士だがたまに辛辣。
【芦茂博士】……科学課の担当。識子を毎回口説こうとして華麗にスルーされる。
【物部博士】……物理課の担当。無愛想でいつも仏頂面。歴史好き。
【植木虫助】……生物課の担当。昆虫大好きで昆虫の話になると舌が止まらない。
【車早太郎】……交通課の担当。自動車メーカーの方が専任であるためすぐ自動車の営業をはじめる。
【かんこ】……情報課の担当で疑似人格インターフェイス。所の受付などもやっている。

※<>で区切っているのは調査パートです。

【File01・『猫と十手と私』】
『キコエマスカ?……ワタシノコエガキコエマスカ……』
「にゃおお〜ん」
変な夢と息苦しさに目覚めると、いつの間にか布団の上に乗っていた見知らぬ猫が跳び去っていった。
ここは東京の下町にある私の親戚の江波家本家が代々住む木造家屋。一昨日はお祖父様のお通夜でその後片付けが終
わった後、私はそのまま二階に泊めてもらっていたのだ。
「こ、こらっ!…………きゃあっ!」
寝惚けていると突然階下が騒がしくなり、続いて何かがぶつかる音と人の倒れる気配がした。急いで階下に降りると、
そこには昨夜から残っていた徹子叔母様と倒れている月島おばさん(手伝いに来てくれていた近所の縁戚)の姿があった。
「私は台所で炊事をしていたのよ。月島さんは茶の間で掃除。そうしたら『こらっ』って声が……何かがぶつかる気
配がして急いで見に行ったら、倒れていたの。でもおかしいわね。他人の気配はなかったし、襖も閉まっていたのよ。
今日は科研に挨拶に行く日でしょ?そろそろ用意しなさい。私は連絡済だから部下が来たら交代するわ」
ちなみに私は職場が近いこともあって、今日からこの家に住むことが決まっていた。

「ん?新人の鑑識捜査官か。江波警視正の姪だそうだな。まあ、今日は各課の担当者に挨拶して帰れ」
でもコワモテの所長と各課の担当者に挨拶して帰ろうとしたあと、なぜか所長から呼び戻しを受けた。
「さっそく仕事だ。新人研修だと思ってくれ、江波警視正からの御指名だからな。今朝7時頃、大京区2丁目の民
家で事件が起こった。50代の女性が殴られ香典がなくなった……知っているか?」
「はい。今朝立ち会いましたが、香典がなくなったのは知りませんでした」
「本来、捜査官の親類縁者に関する依頼は受けない。だがこれは個人からの依頼だ。現場に詳しい君がやるんだ」



61 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 09:06:25.19 ID:pPj9z6f80]
「みぎゃー!」
家に帰るなり、今朝の猫が現れ威嚇してきた。続いて現れた月島おばさんは、包帯を巻いたままだった。
「それはあなたの猫よ。この猫はね、あたしが子供の頃からずううっとこの家にいるのよ」
「おばさん、今朝のことを……」
「それがネェ……今朝のことは何も覚えてないのよ」
「ああ!おめぇ!入院してなきゃだめだって!すいませんねぇ、識子ちゃん。ウチのやつ、疑われてないかい?」
おばさんを心配して駆け付けた月島おじさんに聞いても、警察が抱く狂言の疑いを覆すような手がかりは得られなかった。

<自宅の茶の間で穴の開いた寿司ネタ・不明な繊維・小さな足跡を入手>
「これは猫科の動物の毛だね」
「小さいし4つの違う足跡があるから、小動物の足跡ではないかしら」
猫が寿司をくすねていたことは判ったけど、侵入したはずの泥棒と香典の行方はわからないまま。
そこで泥棒の侵入経路を諮るために家の見取り図を見ていると、構造にある矛盾が浮かび上がってきた。
「あれ?仏間と茶の間は同じ間取りなのに、仏間は八畳で茶の間は六畳なの?茶の間の大きさが変だわ」
不自然な茶の間をもう一度調べてみると、なんと回転扉になっていた掛け軸の裏に隠し部屋があり香典はそこにあった。
しかしそこに置かれていた不思議な十手も手に取ってみると、今朝から度々聞こえていた耳鳴りと共にいきなり人影が現れた。
「ついに見つけてくれましたね……怖がらなくてもいいのです。拙者はあなたの先祖なのですから。江波査之介と申します」
「きゃあああああーっおばけー!こんなオバケ屋敷出ていってやる!」

私は命からがら(?)外に逃げて、冷静に考えを整理することにした。
「足跡から判断して、『何か』に驚いた猫がマグロを取り落として逃げ出したのね。そうだ、さっきのオバケは知ってるかな?」
「知りません……拙者は……あなたとしか同調できませんから」
「ひーっ!知らないなら出てこないでよぉ」
「すいません。どういうわけかあなたとは相性がいいようですね。あなたの見聞きしたことは拙者にも伝わってしま
うのです。だいたい、この準密室に猫と犯人はどうやって出入りしたのでしょう?」
「隠し部屋をもう少しよく調べて見なきゃならないようね」
<隠し部屋で香典箱の指紋・回転扉上部の血痕と皮膚痕を発見>
箱には関係者の指紋しか発見できなかったけど、部屋が掃除されていたにも拘わらず入り口の回転扉上部には血痕と皮膚痕が見つかった。
「回転扉に付着していた(皮膚の)位置が被害者の傷の位置と一致したよ」
「隠し部屋を知っていたことから江波家の構造に詳しい人間が犯行に及んだことが推定される。近所の人も家族同様
に出入りしていたみたいだから候補者が多すぎるわね。しかも香典は隠し部屋にあった……どういうことかしら?」
「そういうときは、深呼吸をすると落ち着きますよ」
「すー、はあ……なんでここに出てくるのよ」
「あなたが十手を持ってきたからです。コレは拙者の依代なので……あ、他の人には見えないですよ」

事件があった時のことを、私は自分でもう一度思い出してみた。
「『こらっ』という声は……目下のもの……子供かなにかを叱る時のものではないでしょうか」
さらに考えてみれば、隠し部屋は掃除してあったのに香典の箱は指紋だらけ。証拠を消すならどちらも綺麗にしておくはず。
「では、音について考えてみましょう。おそらく、おばさんが怪我をしたときの音ではないでしょうか?」
「おばさんは、床の間に足を向けてうつ伏せに倒れていた。扉の付近には、怪我の痕跡が必ず残っているはずだわ!」
「識子ちゃん、おまたせ。血痕は被害者のものだよ」
待たれていた芦茂博士の鑑識報告によって全ての証拠が揃い、事件の全体像が見えてきた。
「月島おばさんは掃除をしていた……仏間を掃除している時に、不用心だからと香典を隠し部屋に入れ……さらに隠
し部屋を掃除していて猫がマグロを食べているのに気付き、部屋から飛び出そうとして扉の上部で頭を打って気絶した……」
こうして、事件は無事解決した。

62 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 09:30:09.41 ID:pPj9z6f80]
その後も私は、実は何かと都合がいいために『オバケ屋敷』にあの幽霊と猫と一緒に住んだままだった。
「査之介は、どういう怨念があって成仏できないの?」
「怨念なんてありません……拙者が八丁堀同心の時、解決できなかった事件がありまして。今回使った便利なカラク
リ道具。あれが当時あれば、解決できたのに。それが心残りです」
「ふうん……今までずっと、あの十手の中にいたの?」
「いえ……よく覚えていませんが、何回か意識が戻って一族の事件の解決を手伝った記憶が……夢かもしれませんけど」
「そこでうるさく鳴いてる猫、どうやって襖から部屋に入ったのかしら?まあ、どうでもいいことなんだけど」
「どうでもいいことじゃねえぜ!早くメシを作るのにゃー!」
「あれ?オマエは鑑太か?それとも鑑太の子孫かな」
「ん?たしかにオレは鑑太だけど、おめえはいってえ誰だ?」
「査之介だよ……宝永の大地震、覚えてるか?」
「しらにゃいな。識子、ごはんに味噌汁かけてニボシの2、3匹のっけてくれや」
「ひー!オバケにネコマタ……こんな家、出ていってやる!」
【File01・終】

63 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 09:54:00.58 ID:pPj9z6f80]
【File02・『死合』】
朝四時に電話で叩き起こされたのは、初出勤の日のことだった。
「仕事だ。すぐに来い。おまえ、ついてるぞ。最初から[殺し]が担当とはな。現場の地図を送るから、早く行け。
まだ詳細はわからんが、部屋中真っ赤だそうだ。警察ともうまくやってくれよ」
現場である紡績工場の跡地までは自転車で30分。急いで支度を済ませると、査之介が姿を現した。
「拙者も連れていってください!何かお役に立てると思います」
私は十手を持って(査之介を連れて)現場に向かった。

しかしせっかく急いで向かった現場のプレハブ小屋には、先に警察が到着していて結局待たされてしまった。
「よろしく。南東京署の寒川よ。でも、初動調査には間に合わなかったわね。ガイ者は10分ほど前に救急車で運ばれたわ」
「……死亡していたんですか?」
「さあね。でも、血塗れで瞳孔も開いていたわ。もう少し、ここで待っているのよ」
「匂いは最初の数刻で失われてしまいます。血の匂いの他に、何か別の匂いはありませんか?」
「そう言われてみれば、何の匂いだろう。かすかに漂うこの匂い……」
考えているうちに、寒川刑事が捜査を終えて引き継ぎに戻ってきた。
「ガイ者の身元はまだ不明だけど、多分ここの関係者ね。身長が2m近くあったし。発見者は新聞配達で、早朝四時
くらい。昨夜22時に練習生が引き揚げた後誰も目撃者はいないわ。それでは……現場は保全してちょうだいね」
寒川刑事らは、保安要員一人を残して帰っていった。
「お役目ご苦労様、落葉一郎でアリマス。科研の方なら、ご自由にお調べになって結構でアリマス」

<プレハブ小屋で壁の血痕・壁の血痕の人型の空白・床の血痕・床の血痕を空ける巨大な手形(掌紋)・現場を立ち去ったと思われる独特の足跡・足跡から見つかった奇妙な植物繊維・ゴングの指紋・野球道具を発見>
しかし私がそれらを押収して帰ろうとした時、突如暴漢が現れ落葉巡査を一撃で気絶させた。
その暴漢が続いて私に襲いかかってきたその時。
「カナシバリの術にゃ〜!」
「う……動きが止まった?怪しい技を使うのね〜。この男は何者かしら?」
勝手に付いてきた鑑太の神通力に動きを止められた暴漢は、やがて来た救急車によって被害者と同じ病院に運ばれていった。

持ち帰ったゴングの指紋とマットの掌紋は過去のデータには無かったけど、血液の方はA型B型二人分の血液が確認された。
「江波くん。今朝未明に蘇生したあの大男、身元がわかったよ。力王丸だ」
力王丸とは現在はプロレスに転向した大人気レスラーで、以前は『猛牛部屋』に所属していた力士だったという。
「少し思い出しましたよ。あの足紋の擦ったような跡……あれはあの職業独特の……」
「江波さん。おまたせ。あのサンプル、稲科の植物だ。一般に『ワラ』と呼ばれている稲を乾燥させたものだ」
「力王丸は猛牛部屋の力士出身……そして現場に残っていたスリ足と草履。猛牛部屋をあたってみるわよ」

向かった猛牛部屋で、猛牛親方に力王丸について聞いてみた。
「…………ええと……そのう……アレは暴れ者ですが、一本気な男で恨みを買うような奴では……」
「相撲を辞める時に、ゴタゴタのようなものはあったのですか?」
「いいえ、弟弟子や後援者たちの惜しむ声はありましたが、気持ちよくこの部屋を出たはずです」
結局猛牛部屋では親方が口籠もって重要なことを聞けず、警察病院の方に行くことにした。

64 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 10:01:16.96 ID:pPj9z6f80]
警察病院への路上で、寒川刑事に遭った。
「怨恨殺人の未遂の線で進めているわ。被害者は死にかけていた上に、満身創痍で1ヶ月の入院よ」
まだ言い返すことはできなかったけど、私は怨恨殺人の線には納得せずに寒川刑事と別れた。
しかし警察病院に入って勝手に面会してみても、現場で襲ってきた男は沈黙したまま。
「……識子どの、この草履を見てください。この文様は?さっきの猛牛部屋で見ませんでしたっけ?」
私はもう一度猛牛部屋に行き、親方に今度は暴漢のことを聞いてみた。
「朝恐竜の付き人の畳盛ですね……さっきも警察の方に聞かれました。力王丸とは面識もないと思います」
「では……力王丸さんと朝恐竜関さんとの関係は?」
朝恐竜は猛牛部屋の人気力士で、何を隠そう私も大ファン。しかし暴れん坊として世間を騒がせているためか、私が
警察ではないと知るまで親方の口は重かった。
「彼等は好敵手でした。力王丸が2年先輩でしたが、相撲の才能では朝恐竜が上でした。体重も上でしたし、何より
重心が低い相撲型の体型でした。力王丸は筋骨型で、いくら食べても限界がありました。力王丸も出世していました
が朝恐竜はついに力王丸を抜き……そして力王丸は引退したのです。でも、それでどちらかが恨むというようなことは……」
ほどなく朝恐竜関もやって来たけど、やたらピリピリしている朝恐竜関と私は感激を押し殺しつつ話した。
「ケガをなさっているようですが」
「稽古だよ稽古!これくらいの傷は普通だろっ!」

<警察病院で力王丸のパンツとブーツ・畳盛の掌紋を入手>
しかし現場の大きな掌紋は二人のそれとは一致せず、立ち去った足紋も血の付いていない畳盛さんの草履ではなかった。
一方、資料として届いた新聞に朝恐竜関と力王丸さんの壮絶な十両優勝戦(朝恐竜関の勝利)のことが書いてあった。
「当時力王丸は十両筆頭、朝恐竜は新十両でしたが……その申し稽古はどちらかが気絶するまで続くんです」
「仲が悪かったのは本当ですか?」
「うーん、いいえ。よく一緒に遊びに行っていました」
「仲が良かったのに気絶するまで真剣勝負を?どういうことなんでしょうか?」
「『死に生くことをいわずして、ひたすらに力較べせむ』、当麻蹴速が野見宿禰に語った言葉です」
「どちらが力や技がで優っているのか命なんか考えずに闘おう、という意味です」
査之介は説明してくれたけど、このときの私にはまだ親方の言葉の意味はわからなかった。
<大部屋で野球ボール・朝恐竜の手形・干してあったまわしと浴衣を入手>

ラボでこれまでの証拠をもう一度調べてみると、ゴングの指紋と畳盛さんの指紋が一致。さらにマットの掌紋と朝恐
竜関の手形も一致したため、二人が現場にいたことが明確な事実となった。
しかしそれに加えて畳盛さんの浴衣から力王丸さんの血液反応が出たところで、一つ疑問が持ち上がった。
「ここに立っていた付き人畳盛は、ゴングを鳴らす役だったのかもしれないですね……」
「でもね、ゴングを鳴らす槌は近くになかったの。何でゴングを叩いたのかな」

65 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 10:15:42.74 ID:pPj9z6f80]
警察病院に再度足を運び畳盛さんに聞いてみたけど、相変わらず押し黙ったまま。
仕方なく今度は力王丸さんの部屋に行ってみると、力王丸さんは意識を取り戻したらしく面会を許してもらえた。
「俺は……何も言いたくない。俺が被害届を出さなければそもそも事件にならないだろ?」
「そういうわけにはいきません。民事ならともかく、これは刑事事件になっています」
そこに猛牛親方と朝恐竜関がやってきて、力王丸さんが私と話しているのを見るとやがて二人は事情を話してくれた。
「……その生き死にはよそにして、ただひたすら力較べせむ」
「あれは試合だったのですよ。何の遺恨もありません。当麻蹴速と野見宿禰の試合のあと蹴速は死んでしまうのですが、
我々は……蹴速はそれで満足だったと思うのですよ。自分の力、習い覚えた技を出し切れる相手がいたことは幸せなことなのです」
「親方の言う通りです。俺たちは、双方承知の上で正々堂々と闘った。結果として、皆さんに迷惑をかけてしまいま
した…………ファンにも申し訳なく思っています。このケリは、近日中にきっと決着をつけます」
「明日、警察に出向いて全てをお話しします。ファンにもお詫びしなければ」
しかしそうして万事丸く収まろうとしているところに、いきなりやって来た寒川刑事が割り込んできた。
「朝恐竜関、殺人未遂容疑で任意同行願えますか?」
「待ってください、寒川刑事。聞き取り調査では……」
「じゃあ、合意の上での闘いであったことを証明して。今日の日没まででどうかしら?物証と推理を示して見せて」
私は事件の成り行きを説明したけど寒川刑事は信用せず、私は今日中にその証明を約束させられてしまった。

「朝恐竜関が殺人未遂に問われてる……ってことは、力王丸さん達がこの決闘を始めたことが証明できれば」
もう一度それぞれの物証をよく見てみると、ゴングには槌とは思えない縄目の付いた跡が見つかった。
続いて大部屋にあったボールを調べてみると、それには力王丸さんの掌紋がベッタリと見つかった。
「朝恐竜関が深夜の道場を訪れる。二人は恒例の力較べをしようと睨み合う。力王丸が畳盛に怒鳴る。『ゴングを鳴らせ!』。
しかし、不馴れな畳盛は戸惑って鐘を鳴らせない……そこで、力王丸が落ちていたボールを掴んでゴングに投げつけた」
こうして結論に至った私と査之介が寒川刑事に語って聞かせると、意外なことに彼女はあっさりそれを信じた。
「もともと力王丸が訴える気が無い以上、殺人未遂で起訴するのはムリっぽかったのよ。我々は、私闘を認めるわけ
にはいかない立場よ。朝恐竜関と力王丸さんにもそのへんを……責任をわかってもらいたかっただけ」

こうして事件は無事解決。朝恐竜関と力王丸さんはファンに全ての顛末を話し、以降は年に一度プロレスでの直接対
決(相撲協会公認)をする慣わしとなった。
【File02・終】

66 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 10:29:56.35 ID:pPj9z6f80]
【File03・『上手な死体』】
派手に遅刻したある朝、小言を覚悟して呼ばれた所長室には既に来客がいた。
「紹介しておこう。東京地検の剣崎さんだ。剣崎さんは警察・科研を監督する立場にある方だ」
「君はたしか今年から配属された江波くんだったね?今後ともよろしく」
挨拶を簡単に済ませて剣崎さんが出ていくと、所長から任務を言い渡された。
「多魔蘭湖で男性の死体が見つかった。地元警察は釣り人が過ってボートから転落しスクリューに巻き込まれた事故
と判断したが、遺族が反発して司法解剖を求める異議申し立てを起こした。とりあえず地元警察にかわって科研が解
剖とそれに伴う調査にあたることになった。解剖は古畑博士が担当する。おまえは調査担当だ」
私が早速調査に向かおうとすると、シモーヌさんが声をかけてきた。
「何年か前、話題になったのよ。多魔蘭湖の多魔ちゃん。多摩川のタマちゃんとは似ても似つかぬ代物よ」

「昨日の午前6時、朝釣りをしていた観光客が無人ボートを発見して近くの水面に浮いている死体を見つけたのでア
リマス。死体は左足大腿部を切断してましたが、その大腿部は見つかっていないのでアリマス。被害者の名前は田山
直哉さん。現場に止まっている車が被害者の自動車だと思います」
<発見現場で船のスクリュー・船の釣竿・自動車・車内にあった固形物・車内の砂・>
現場のボートには釣竿と空のボックス、車の中には奇妙な砂とワックスのような塗布物があり私は一通り写真を撮っ
た後それらを持ち帰った。
帰り際に貸しボート事務所の管理人さんに話を聞くと、借りに来た被害者の話を聞かせてくれた。
「土曜日の午後5時ごろだったかな。話し方に特徴があったからよく覚えとる。語尾にスッスとつく男じゃった」
しかし次いで死体の話も聞くと、管理人さんは何やら意味深なことを話した。
「上手なんだよなあ。ボートから落ちて死んだのに、ボートにほとんど揺れた形跡がないんだよな」
その後は多魔ちゃんの証拠だという胡散臭い写真を受け取って、私達は現場を後にした。

ラボに帰ると、古畑博士の司法解剖結果が届いていた。
「大きな力がかかって大腿部が切断されている。これが原因で大量の血を失った。次はこれだ。両手首に紐で締めつ
けたような斑が残っているな。死体は痣を生じるような着衣やアクセサリーを身につけていなかった」
「腕から先の皮膚の色が違うんですが?」
「ただの日焼けだよ。次は解剖について話そう」
「あのー、ちょっと聞きにくいことなんですが……足の切断なんですが、ボートのスクリュー以外が原因ということ
はないでしょうか?多魔ちゃんとか……」
「多魔ちゃんだって?それはおもしろいな。そうなると、多魔ちゃんはよほど大きな生物だ」
古畑博士はそう言ったけど、物部博士は異常を感じ取っていたようだった。
「このスクリューで足を切断?どうも切断面が気にかかるんだよ。まだ具体的にナニとは言えないが」

「胃の内容物は小麦粉、魚肉、わさび、海苔といったところだな。死亡したのは食後1時間といったところだね」
「多魔蘭湖周辺の砂ではないね。これは工場で砂に似せて人工的に造られたものさ。竿はキス釣り用の竿だね」
「これを見てよ。ワタリガニの幼生だよ。もちろん海洋性生物だ。見つかった蛆は平均して2ミリ程度。つまり孵化
直後、最短で12時間といったところだ。ただ、蛆は水死していたよ」
他の証拠品の情報も一緒にまとめてみると、多魔蘭湖での溺死事故はさらに疑わしさを増してきた。
「被害者は本当に多魔蘭湖で死亡したかが疑わしいわ。まずこの釣竿は海釣り用で、バス釣りのメッカの多魔蘭湖で
使うのはおかしいわ。死体からも海洋性のプランクトンが十二指腸から見つかった」
「被害者のハヤ駕籠(車)も。舟を借りた場所から徒歩で一時間もかかるところにわざわざ移動はさせないでしょう」
「つまり、被害者は湖で死んだのではなく海で亡くなった。そして、なにか事情があって多魔蘭湖へと運ばれてきた」
「調べていた人工砂だけど、納入先は今年の夏オープンを目指し急ピッチで建設が進むホテルニュー大嵐だ。本来、
海水浴に適さない岩だらけの海岸に人工砂浜ビーチを作っている」
「田山氏の情報の続報です。金曜日午後10時半、大嵐海岸近くのコンビニで買い物をしているのが確認されました」
私達は本当の現場はそこだと当たりをつけ、コンビニとホテルニュー大嵐のある大嵐海岸へと向かった。

67 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 10:30:49.70 ID:pPj9z6f80]
「今野安雄っス。店長からこれを渡すようにと預かってます」
渡されたのは田山氏のレシートで、そこには金曜日午後10時38分にパスタとチョコと水を買った記録があった。
「これは当店だけでしか買えない大嵐おおわらいパスタっス。賞味期限は土曜日の午後1時っス。週末に万引きがあ
って監視カメラの映像をチェックしていたら、多魔蘭湖で事故死した男性とそっくりな人が映っていたので警察に電
話をしたっス。これがそのビデオです。あの大きな建物は建設中のホテルっス。となりの空き地は駐車場っス」
一通り話を聞いてからついでに多魔蘭湖に行き、管理人の孫からあの写真がウソであるというしょうもない話を聞いてから帰路についた。

帰って防犯カメラの映像を確認するとたしかにそこにはコンビニに入る田山氏が映っていたけど、不思議なことに車
が停まっていたのは向かいのホテルニュー大嵐の駐車場だった。
「体にわいた蛆の成長から、田山氏の死体は最低でも12時間は陸に放置されていたはずよ。ともかく、金曜午後10
時半から日曜午前6時までの31時間半の田山氏の足取りは依然として不明なの……どうして田山氏はコンビニでは
なく、向かいの駐車場に車を停めたのか……ホテルニュー大嵐、あそこにはゼッタイにナニかがあるはずよ」
私達はホテルニュー大嵐に向かった。

私が鑑識官であることを知ると、ホテルニュー大嵐のオーナー金尾為三氏とチーフ弱夫木氏はなぜか動揺していた。
「日中は業者が出入りしてますが、夜は私と弱夫木が泊まりこんでいます。金曜日は深夜まで業者と打ち合わせをし
ていましたよ。寝たのは午前1時です。土曜日に業者がやってきたのは午前9時ですね。それからずっと仕事です
よ。業者が帰った時間ですか?午後5時をまわってたかな。それから午後9時都内の自宅につきまして、すぐに寝
ましたよ。午前6時ですか。自宅で寝てましたよ」
「自分は弱夫木聡といいまスス。金曜日は社長と一緒に業者と打ち合わせをしてたッスス。寝たのは午前2時ッスス。
午前6時に起きて周囲を掃く掃除ッスス。社長が起きてからは一緒に仕事ッスス」
しかし土曜午後のアリバイを聞くと、弱夫木氏はさらにあからさまな動揺を見せた。
「じ、自分は急にた、体調が悪くなって実家に帰らせてもらったッスス。時刻は午後3時くらいだったと記憶してお
りまッスス。自宅は大嵐海岸から車ですぐのとこにあります。そ、その日はすぐに寝たッスス。日曜午前6時ですか。
自宅で寝てましたッス。多魔蘭湖であがった死体?そそそんなの知らないッスよ」
聞き取りを終えて駐車場を調べた私達が目にしたのは、駐車場と人工ビーチを隔てるフェンスに開いた大穴だった。
「フェンスに穴が開いてるわ!ここからビーチに抜けられそうね」
<ホテル駐車場で路面の砂・路面のタイヤ跡・ビーチの奇妙なゴミを発見>
さらに破れたフェンスには、何やら繊維のようなものが引っ掛かっていた。

「間違いなく田山氏の車のタイヤ跡ですね」
「識子ちゃん、例のヤツ(固形物)とうとうわかったよ。サーフィンで使うワックスだよ。繊維は人造繊維だね。被
害者が着ていた上着の成分も同じだったよ」
「被害者の車から採取された砂と同一の化学組成だ。大嵐海岸に建設中のホテルに納入された砂だったな。こっちは
サーフボードの残骸だ。それも真ん中からバッサリ破壊されている」
「サーフィン関連の証拠が次々に見つかっているそうだな。それで気が付いたんだが、手首の写真のことで思い当た
ることがあったよ。サーファーが着用するウェットスーツなんだけどね、かなり手首を締め付けるんだ。あれを着用して死亡するとこのような痣が手足首に残る可能性があるね。過度の日焼けもサーファーだったら説明できる」
古畑博士の言葉で、ついに事件の全体像が見えてきた。
「田山氏は自動車をホテルの駐車場にとめていた。そして、フェンスの穴を通り抜けてビーチへ侵入した。つまり田
山氏は、ここでサーフィンをやっていたのよ」
「それでは、いよいよ被害者の死因について推理する番です」
「このふたつ(死体の足とサーフボード)の切断面には共通する部分が多いわ。もしかして、サメ!?そういえば、
年に数件サーファーがサメに襲われる事故が発生しているわ。観光客がサメに襲われて一番困るのはホテルニュー大
嵐よ。そこで事故の隠蔽工作を行うことにしたのよ。淡水湖である多魔蘭湖へ死体を運んだのね。ボート乗り場に現
れた田山氏の正体はホテル従業員の弱夫木だわ」

こうして事件は解決。ちなみに鑑太はあのゲテモノパスタを気に入ったらしい。
【File03・終】

68 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 11:04:32.97 ID:pPj9z6f80]
【File04・ルージュの脅迫状】
ある日の夕方ラボにて仕事をしていると、鑑太がバラエティ番組に熱中してしまっていた。
「『クレームがくる弁護士相談室 今夜は朝まで訴えてやる!』今夜最初の相談者はストーカー被害ですけども」
「ストーカーってぇ、お手紙を沢山くれる人ですかぁ?私にもいますよぉ。私はぁ、私の故郷のぉ、ポロリ星からの
お手紙だと思ったんですけどぉ。でも、ちがくてぇ。なんかぁ、ストーカーさんという人からぁ送られてきたらしいですぅ」
変な自称異星人アイドルが出てくると査之介までが夢中になってテレビを消さず、結局徹夜(本当に朝まで番組は続
いた)して眠い目をこすりながら所長の呼び出しに応じるハメになった。
「門田房の助というという富豪を知っているか?現在、門田氏はタレントのマネージメント業にのめり込んでいる。
最近、その所属タレントがストーカーに狙われているらしいのだ。今のところ大した実害は無いが、事が大きくなる
前にというのが依頼人の希望でな」

「ワシはよく知らんのじゃ。テレビで知ったばかりなんよ。仕事は全部高畑に任せとるからな。高畑か?ワシの右腕
や。仕事はできるし、人望も厚い。最高のマネージャーやね。さっそく、呼んでくるからちょっと待っててちょうよ」
どんな人が出てくるかと思っていたら、入れ替わりにやってきた高畑氏は意外にも好青年風の男性だった。
「社長はお気に入りのワインが無くなったのでパリに買い出しへ行きました。二ヶ月は帰ってこないでしょう。実は
最近、事務所に脅迫状が届くようになりました。被害者は夏川ナナ。ウチで売り出し中のアイドルです」
もらった写真に写っていたのは、まさしく昨夜の自称異星人アイドルだった。
「これがその脅迫状です。それからこんなものがずっと届くように」
『ナナちゃんは僕のものだ、ナナちゃんを食べてしまいたい。ナナちゃんは……(以下略)』
脅迫状は大量の封書と電子メールで、送り主は『ナナちゃんを世界一愛している・ナナの愛ひとりじめ』となっていた。
「ナナは素直でいい子ですよ。ただ、逆恨みを買うこともたまにはあります……僕の調べでは芸能界でナナに恨みを
持つ人物は二人います。砂田純二、河豚田公子の両名です。砂田はジゴロタレントでナナも誘われたらしいのですが、
軽く受け流したようです。その後の砂田は荒れていました。これは余談ですが、彼にはカツラ疑惑がかかっています。
河豚田は、前までウチの事務所に所属していたんです。それが事務所の方針でマネージメントを少数に絞り込むと
いうことになって、当時泣かず飛ばずのアイドルだった彼女をクビにしたわけです」
「その後にアイドルを捨ててブレイクしたわけですよね。結果的にはクビにされてよかったのでは?」
「でも当の本人はそう思ってないようです。ウチの事務所に恨みを持っていて、ナナは無視を決め込まれています」
<事務所で砂田が贈った花束・河豚田のサイン入りCDを入手>
「もういいようですね。僕は『クレームがくる弁護士相談室』の収録でウメテレビに行きます」

しかしラボに帰って物証を調べてみても、せいぜい容疑者二人の指紋が採取できた程度。メールの発信元も公衆端末
で所在は不明、脅迫状の筆跡も該当データなしだった。
「本人から直接聞いてみればいいじゃねえか」
「依頼内容を伏せれば、なんとか聞き出せるかもしれませんよ。それに高畑さんを頼れば容疑者たちにも話が聞けるかも」
「……確かにそうかもね。よし、じゃあウメテレビに行ってみますか」

「アポあんの?ないならダメに決まってるでしょ。あんたみたいな怪しい奴」
「入れてあげてくれないか。僕の知人なんだ。彼女を入れてあげていいだろ」
「たっ、高畑さんじゃないですか。もう、それならそうと……さぁ、どうぞお入りください」
不遜な守衛に阻まれているところに中から高畑さんがやってくると、なんとか無事に入ることができた。
「まぁ、うまい具合いにごまかしてくれればいいでしょう。ちょうど収録が終わったところなのでレギュラー陣が控
え室に戻ってます。砂田さん、河豚田さんもいますよ」

69 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 11:14:28.25 ID:pPj9z6f80]
「砂田さんはナナさんに軽くあしらわれて激怒したって聞いたのですが」
「まぁ確かにあの時は頭に来たけど、冷静に考えてみたらたいしたことじゃないよね」
「ナナさんの挨拶を無視したって聞いていたんですが」
「挨拶を無視したって思われたのはあの子が『昨日ポロリ星に里帰りしてたんですよぉ』とか、言ってくるのよ。バ
カは相手にできなかったの。確かにクビにされた時は悔しかったわよ。でもね……今は感謝してるの」
「今回の脅迫状について何か思い当たることはありませんか?」
「私はぁ、ポロリ星のお友達からのお手紙だと思ったんですよぉ。そういえばぁ、カバンに入ってるぅ、口紅が無く
なっているんですよぉ。とってもぉ、お気に入りのぉ、どデカ口紅なんですけどぉ」
しかし容疑者は別段怒っている様子はなく、何より夏川ナナ本人の言葉が突飛すぎて大した話は聞けなかった。

帰ってきたものの大した成果も上がらずラボでうなだれていた私の耳に、急報が飛び込んできた。
「ウメテレビの控え室で男性の死体を発見。至急、現場に向かってお前の担当との関係を調べろ」
「被害者は砂田純二。人当たりはよく、恨みをかう性格ではなかったそうでアリマス。索条のものによる絞殺で遺体
はうつ伏せで発見されました。凶器はまだ未発見でアリマス。容疑者は控え室のあるフロアを利用できて犯行時刻の
辺りに現場付近にいた人物(ナナ・河豚田・高畑・不遜な守衛)に絞られるでアリマス。中でも夏川ナナと河豚田公
子の両名は控え室前の廊下でうろうろしていたことを目撃されておりマス」
現場に急行し落葉巡査から説明を受けて砂田氏の控え室に入ると、そこの鏡には口紅で例の脅迫文が書かれていた。
『ナナちゃんを困らせた恨み、ナナちゃんの怒り……(以下略)ナナの愛ひとりじめ』
脅迫状の事件とこの殺人が無関係でないと確信した私は、死体の手元に落ちていた毛髪を採って一旦ラボへと帰った。

「脅迫状の文字と極似。しかし一致はせず。この文字はハネの部分が特徴的」
「被害者の検視が終わったよ。死亡推定時刻は午後4時から4時半の間と推測される」
「それから博士、被害者の手に握られていた毛髪の依頼をしたいのですが……」
「これは人毛じゃないぞ、人工毛髪だ。まあ、かつらや植毛の類だろう」
古畑博士には砂田氏の毛髪も鑑定してもらい、その間にさっきは会えなかった河豚田さんと夏川ナナに話を聞くことにした。
「私はただ、砂田さんの部屋から呻き声がしたから様子を伺いに廊下に出ただけ。何かトレーニングをしてるときの
声だと思ってすぐに引き返したわよ。そんなに疑うなら、私の鞄の中に怪しいものがあるか見てみなさいよ」
しかし、渋りながらも口紅とネックレスと貸してくれた河豚田さんに比べ夏川ナナは相変わらず手に負えなかった。
「ナナさん、鞄の中身を見せて頂けませんか?」
「えーっ、いやですぅ。高畑さん、この人がいじめるの」
「ナナが怯えているじゃないか。かわいそうに。ナナは砂田さんの死とは無関係だ!出ていけ!」
なぜか高畑さんの激しい怒りを買い、かろうじて査之介にねだられて書いてもらったサインのみを持ち帰った。

「これは凶器ではないな。被害者の首の索痕と一致しなかった。それから砂田氏の髪は、普通の地毛だったが……?」
口紅とサインも鏡の文字とは一致せず途方に暮れていると、またも緊急の連絡が入ってきた。
「ウメテレビの守衛、守田衛介が自宅アパートで変死しているもよう。現場に急行してください」

「守田衛介29歳。広島県出身で現在一人暮らし。首を吊ったことによる窒息死です。自殺の線で堅いみたいですよ」
<守田の部屋でナナサイン入り等身大ポスター・大きな口紅・パソコンデスクの下にあった失禁の跡・床に落ちてい
たソースの容器とストッキングにも付いた異物・守田直筆のメモ帳・梁に括られた縄・その真下の横倒しの椅子を発見>
さらに調べてみると、起動したままのパソコンには遺書らしき文章も写っていた。
『ナナさんに脅迫状を送ったのも、砂田さんを殺したのも僕です。死んでお詫びします。『ナナの愛ひとりじめ』こと守田衛介』
それを裏付けるような夏川ナナのグッズも部屋に大量にあり、守田氏が夏川ナナの大ファンだったこともわかった。

70 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 11:22:05.80 ID:pPj9z6f80]
「このソースは本当の地域限定品です。ネット販売も通信販売もしておらず、こちらでは入手不可能です」
「ストッキングに付着していたのはソースに間違いないよ。口紅と鏡の文字の紅も成分が一致したよ」
ポスターのサインと直筆メモの筆跡を調べてもらっている間に、遺体の検視結果が出ていた。
「死亡推定時刻は午後5時から5時半の間だろう。索条による絞死で使用した縄は砂田を殺害したものと同一のものだ。
しかし、もう一つ死後にできた索痕が見つかってな」
さらに物部博士も疑問を呈していた横倒しの椅子の写真を見てもらうと、古畑博士もまた同じ疑問を感じていた。
「自殺を図った場合、椅子は倒れない。もし倒れても前か後ろだ」
さらにパソコンデスクの下にあった失禁の跡から、守田氏がパソコンデスクの前で死んだことが明白となった
「識子さ〜ん、筆跡鑑定の結果が出ました。メモ帳とポスターの直筆サイン。二つの物証の筆跡は、一致しませんでした」
「それじゃあ、過去の筆跡のデータと照合してみてくれる?」
「守田さんのメモ帳と封書の脅迫状は、筆跡が一致しました」
「ナナさんのポスターのサインとナナさん直筆サインは筆跡が一致しませんでした」
「守田さんのメモ帳と、口紅で書かれた鏡の文字は筆跡が一致しませんでした」
「ナナさんのポスターのサインと、口紅で書かれた鏡の文字は筆跡が一致しました。それでは、人工毛髪の購入者リ
ストの調査を続行いたします」
筆跡鑑定が全て終わったところで、いよいよ全ての物証が揃った。
「ナナさんに最初の脅迫状を送った『ナナの愛ひとりじめ』と名乗るストーカーは守田さん。封書の脅迫状と自筆の
メモ帳の筆跡が一致したからね」
「それでは識子どの、やはり砂田さんを殺害したのは守田さんなのでしょうか?」
「いいえ、違うと思うわ。守田さんの文字と鏡の文字は筆跡が一致しなかった。でも、鏡の文字の筆跡とナナさんの
ポスターのサインとは筆跡が一致した」
「ということは、ナナさんが犯人?」
「ナナさん直筆サインとポスターのサインは一致しなかった。ポスターのサインを書いたのは本人じゃないってこと。
ナナさんのサインを真似しても誰にも怪しまれず、ナナさんの大ファンであった守田さんにサインを本物だと錯覚さ
せる事が可能な人物。ウメテレビの控え室で砂田さんを殺害し、その全ての罪を守田さんに被せ自殺に偽装して
守田さんを殺害した人物。この犯行が可能な人物は一人しかいないわ。そう、この連続殺人の真犯人は高畑よ」

「……ということで高畑さん、あなたが犯人ですね」
「そこまで言うなら、証拠はあるんだろうな」
「ええ、ありますよ。靴を脱いでみてください。あなたの靴下には広島限定ソースが付着しているはずです。地域限
定品で、こちらでは入手不可能なんですよ。そのソースが守田さんの家にはあったんです」
高畑は明らかに動揺しながらもまだ開き直っていたけど、かんこさんからの連絡が決定的な証拠となった。
「砂田さんが握っていた人工毛髪の購入者リストにあなたの名前があったそうですよ、高畑さん」
「そんな……僕は……ナナと……ナナの……ために……」
動機は、すべてナナのため。
恋をしてはならない相手を愛してしまったためだった。

「落ち着いて聞いてください。先ほど高畑さんが殺人容疑で緊急逮捕されました」
「でもぉマネージャーなんてぇ代わりはぁ、いくらでもいるからぁ大丈夫ですよぉ」
「確かに彼のやったことは憎むべきことです。でも、そんな言い方……」
「うるさいわね。私には関係ないわ。誰が誰を殺そうが私は私の道を行くだけ!私も忙しいの。終わったらさっさと帰って」

その後、動揺かあるいは敏腕マネージャーを失ったせいか夏川ナナはちょくちょくボロを出すようになったようだ。
【File04・終】



71 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 12:11:42.92 ID:pPj9z6f80]
【File05・霧の館】
所長からの呼び出しに応じると、そこには珍しく寒川刑事がいた。
「今回の仕事は警察と合同調査だ。昨夜、霧沼樹海の麓の警察に大学生の二人組がこの写真を持って現れた。廃虚の
洋館を見つけたようだが、これはそこで撮ったものらしい。白骨死体が写っているそうだ。二人の仕事は洋館の場所
まで行き死体が本物であるかどうかを確認し遺体の収容手続きをすすめる。事件性があれば引き続き調査だ」
渡されたのはピンぼけ写真一枚。これだけでは信憑性に乏しく警察は単独で動けないらしい。
「発見現場は霧沼樹海。富士山の黄泉ヶ原樹海と並び自殺の名所といわれる場所だ。昼夜を問わず深い霧に覆われ磁
石や携帯電話も役にたたない。当然ヘリも容易には近づけない。自動車で行けるところまで行って、あとは徒歩だ。
現場に到着したら遺体の搬送用ヘリを誘導するんだ。説明は以上だ」
「大学生が白骨死体を見つけたのは霧沼樹海にある廃虚です。麓の集落に残る噂ですが、戦前に反政府分子が山に入
ったきり戻らなかったことがありました。彼らは樹海内に活動拠点をつくる目的で入山したと思われます」
カメラの予備バッテリー等を準備し、私たちは霧沼樹海へと向かった。

「車が乗り捨てられてるけど、ここから先は本格的な山道になるわ」
寒川刑事の言う通り車が一台乗り捨てられその先は過酷な山道になっていたけど、ともあれ私達は件の廃虚に到着した。
「銃撃戦や放火の痕跡もあるわね……私は通信機で現在位置を報せてヘリの出動を要請するわ。奥が写真を撮った地下室よ」
<廃虚の地下室で4つのナップザック・固体に塗れた頭蓋骨・紋様の描かれたカーペット・壁の血文字『ココハジゴ
クダ ドウシテコンナコトニナッテシマッタノカ』を発見>
怪しい地下室に入ると、写真は本物だったらしく4体もの白骨死体が見つかった。一方で奇妙なことに、死体の一つ
の体内になぜかこの地下室の鍵があった。
「これを使えば部屋は内側から鍵をかけられるわね。でも逆に、これさえあれば確実にドアは開く。それなのに、な
ぜ4名はこの部屋に留まったのかしら……?」

捜査を終えて地上に戻ると、寒川刑事は連絡を終えていた。
「搬送ヘリは視界が悪すぎて着陸できないから今日は飛ばない。明日の朝、天候の回復を待って迎えに来るわ」
結局夜営をすることになったけど、私は白骨死体がすぐ近くにある状況で眠ることができなかった。
そんな折、異音がしたナップザックを開けてみると中から鑑太の姿が。
「ふあ〜、よく寝たにゃあ。ジャマなものはオレがポイポイ捨てておいてやったから」
「も〜、科研の備品をなくしたことが所長にバレたらクビなんだから。今から探しにいくわよ!」
鑑太は忍び込むために予備のバッテリーを捨ててしまっていて、私はわざわざそれを探しに車の乗り捨ててあった車
道終点まで下山しなければならなかった。
「ん?あの車を見てください。廃虚で見たのと同じ印がありますが」
「なんかボロボロね……何年も放置されているみたい」
<乗り捨ててあった車から紋様の描かれた雑誌・車内の指紋を発見>
廃虚に戻った頃には既に朝になっていて、また寒川刑事と歩いて(ヘリは死体の搬送で満杯)下山する羽目になった。

72 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 12:12:15.53 ID:pPj9z6f80]
「江波くん。さっそく例のホネ見せてもらった。男性1名と女性3名だ。男性の推定年齢は60歳。これは後で他の
課に分析を依頼するといい。女性はいずれも20代だ。とくに骨折などの痕は見られないね」
「抗癌剤に含まれる物質が検出されてるよ。この量だったら、かなりの期間服用していたみたいだ。鍵の黒ずみ
は酸化銅皮膜だ。大気中ではちょっとここまで黒ずむことはあまりないね」
一方で一つだけあった頭蓋骨は4体よりかなり古く、蝋が塗ってあり蝋燭として使われていたことが窺えた。
「4名分の指紋がハッキリ採れてたわ。警察が保管する指紋ファイルに1名分の指紋が登録されていたわ。『根住耕
平』。18年前、詐欺罪で起訴され実刑判決を受け服役してるわ」
「『ザ・真空管ワールド』。健康サークル『真空管協会』の機関誌として発行されていました。季刊誌として17号まで出て2年前廃刊になっています。この雑誌は4月1日に書店に並んだ15号です。真空管協会のマークのようです。
カーペットの紋様と放置車の雑誌は一致し、これであの放置車と白骨死体の関連は確実になった。
「着替え、雨具、非常食、財布などが入っているな。現金もカードもそのままだ。1名がドナーカードを持っていた。
『ナガハマキョウコ』23歳。ん?ナップザックの表面に何か付着しているな。これは植物のようだ」
「これは『くっつき虫』だな。正式にはイノコヅチ。花期は8〜9月だ。これは種子だから、もう少し後かな」
「失踪人の名簿の中にありました。長浜京子さんは南東京市に住所がありますね〜」
ほとんどの証拠の分析は終わり、いよいよ白骨死体の身元がわかってきた。

「洋館で死んでいた人たちですが、真空管協会に所属していた人たちだと思われます」
「イノコヅチの種が衣服などに付着して運ばれるのは9〜10月。通常空気中で人体が白骨化するのに1〜3年かかる。
車内から見つかった雑誌が書店に並んだのが2年前の4月。 つまり事件が起こったのは2年前の秋よ」
「普通に考えますと、4人は瞑想の行き着く果てに自ら餓死という運命を選んだことになりますが」
「ドナーカードが見つかったし、壁の血文字を見れば自殺じゃないわ。少なくとも全員の合意によるものではないわね」
「それは解せませんな?部屋の中に鍵がありましたね。つまり内側から外へ出られるのですよ?」
どうにも鍵のことに説明がつけられず推理に詰まった私たちは、とりあえず長浜京子さんの自宅へ聞き込みに向かった。

長浜さんの自宅で、京子さんの母・節子さんから話を聞くことができた。
「はい、2年前の9月15日です。朝、ハイキングに行くと言って出かけました。2泊して帰ると言っていました。
山梨の方と聞いていましたが。自殺は絶対にありません。自分から命を投げ出すような子じゃなかったですから。
付き合いはあまりなかったようです。携帯電話も失踪する1年ほど前に解約してましたし。ただ全く人付き合いがな
いわけでもなくて、月に1度ほど週末に精神世界についての研究サークルだと言ってどこかへ出かけていました。私
も京子の行方の参考になればと部屋を調べてみたんですが、何も見つけられませんでした」
「お時間をとらせてしまって、ホントに申し訳ありませんでした。それでは、私は……」
「あの、ちょっと待ってください。このぬいぐるみなんですが、あの子が一番大事にしていたものなんです」
手渡されたのは、首元に見覚えのあるブローチが付いた手作りの熊のぬいぐるみだった。

「これは、すでに名前が出ている健康増進サークルの会員バッチです。団体名は真空管協会で代表は中橋龍尊(58)。
独自の瞑想法によって精神の平安を目指すサークルです。中橋のワンマン団体で、趣味で若い女性ばかりを会員にし
ていました。最高の瞑想は代表中橋の直接指導の下でしか効果は発揮しないとされ、そのために代表にとって極めて
都合のいい団体運営へと歪められていたようです。中橋の本名は『根住耕平』で15年前都内で協会設立。2年前、
突然の代表の失踪により団体は瓦解。その数年前より代表はしばしば身体の不調を訴えており、そのことと失踪にな
んらかの関係があるのではと疑われています。瓦解直前の活動会員数は100から200名程度と推測されます」
「かんこさん、代表以外で今現在行方不明の会員をリストアップして」
「浅川翔子、北海道出身で失踪当時24歳。小宮芳子、大阪府出身で失踪当時22歳。長浜京子、東京都出身で失踪当
時23歳。以上の3名です」
「例の放置車の所有者が判りました。氏名は浅川翔子です。2年前から行方不明で北海道の家族から失踪届が出ております」
これで完全に全ての証拠が出揃い、真相を推理し所長に報告した。

73 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 12:13:31.04 ID:pPj9z6f80]
「中橋代表の骨から抗癌剤の成分が見つかっていたわ。中橋は病苦から自ら命を絶つことを決心したの。
でも一人で死ぬのではなく、気に入った会員を巻き添えにして無理心中するつもりだったのよ。中橋は会員に気づかれないように鍵を飲み下した。
鍵の不自然な酸化は胃液のせいよ。やがて全員が窒息死し、そして長い年月をかけ死体は朽ち果て鍵は再び姿を現したの」
「なぜ中橋は樹海内のこの廃虚を知ってたんだ?それと蝋燭代わりに使われた頭蓋骨は一体誰のものなんだ?」
「あの洋館ですが、戦前に政治結社のシンパであった大富豪が建てた別荘のようです。
政治結社は当時の政府から大弾圧を受けていたようで、隠れ家として建てられました。
所有者の氏名は根住耕三郎。根住耕平はその子孫にあたる人物で、一つ多い頭蓋骨は根住耕三郎本人です。
隠れ家が憲兵隊の襲撃を受けた時、建物は破壊されたようね」
推理を報告書にまとめてもいくつかの謎を所長に尋ねられ、現れた寒川刑事の説明に助けられる形になってしまった。

「完璧だと思ったんだけどなあ。あーあ、捜査官の道は厳しいな〜!」
「どうした、江波くん。顔色がすぐれないようだけど。キミは射撃を除けば完璧だったね。頑張れよ、期待してるからね」
「ハイ、剣崎検事。がんばりまーす!さあて、仕事仕事っと。ルンルンルン……」
「ムチャクチャ現金なヤツだにゃ」
「識子どの、わかりやすすぎます……」
【File05・終】

74 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 12:40:22.89 ID:pPj9z6f80]
【File06・虫の知らせ】
家で暑さにだらけていたところ、出し抜けに所長から電話がかかってきた。
「休日なのにかわいそうだが、これは出動命令だ。現地報告を見ておけ」
「今朝、伊逗の甘木山で農薬散布のヘリコプターが人間が倒れているのを発見。場所は山の中腹あたりの滅多に人の
行かない箇所。現地の警察が調査中。科研に出動要請あり」
「科研には寄らなくていい。現場に直行してくれ。倒れていた男性は昆虫採集が目的だったらしいで虫の話になるか
もしれないが……捜査の途中では植木君に電話で相談するなよ。帰ってきてからにしろ。今日中に戻ってこい」
「識子、オレもリュックに入って寝て行くから」
足手まといと思ったけど、神通力で体が涼しくなる鑑太も連れて私たちは伊逗の甘木山へと向かった。

山に着くなり狩りを始めた鑑太を放っておいて、現地の警察に属する落葉巡査のいとこに報告を聞いた。
「発見の報告から一時間後、署員が現場に到着して男性の死体を発見したのです。現場は蜜柑畑や雑木林です。
被害者の足元に虫籠が落ちていましたので署に保管してありますが、写真は撮ってあります。被害者の名は虫奈良大介。
愛媛県在住で旅行中でした。死体は現在検視中です。この暑いのに長袖長ズボンでした」
「よーし、腕捲りしてやるぞぉ。今日はかなり暑いしね」
<発見現場で木に付着していた血痕と皮膚・後ずさりする被害者の足跡を発見>
かすかに硫黄のような臭いのする現場を離れ被害者がいたと思われる近くの広場に移ると、そこになんと植木博士が現れた。
「所長の虫籠の写真を見せられて意見を聞かれてね。多分アオスジアゲハですと答えたら、所長はそそくさと帰ろう
とした。それで僕に隠そうとしているのは虫の事件にちがいないとピーンときて、有休とってきちゃったよ。死んだ
虫奈良君は我々虫屋の世界ではちょっとは名の知られた収集家でね。被害者は多分、一人だよ」
「どうしてですか?」
「自分だけが知っている採集の穴場を知られたくない。それに珍しい虫を共同で捕まえた場合、所有権の喧嘩になる」
<広場で被害者とは別の足跡・コップを使った地虫の補虫罠・補虫罠のバターに付いた指紋を発見>
「被害者の宿泊先もわかりました。同宿の仲間が二人います」

被害者と同宿の友人はやせ形の羽田さんと太った桑田さん。それに旅館の女将にも話を聞くことにした。
「俺は蝶の専門家でね。単独で蝶谷を捜してたから、宿を出てからは虫奈良君とは会ってないよ」
「この虫籠の蝶はあなたのものですか?」
「い、いや、知らないね。普通種のアオスジアゲハでしょ?そ、そんなもん全然、興味ないよ」
明らかに動揺していたけど、とりあえず指紋と足形をもらって次の桑田さんに話を聞いた。
「ボク、甲虫マニアです。特に好きなのはオサムシですけど。虫奈良くんとは朝に会ったきりです」
桑田さんの方はなぜか体をムズムズさせていたのが気になったけど、ともかく彼からも指紋と足形をもらった。
「三人ともお得意さんでして。数年前から、この時期になると昆虫採集とかで三人でお泊まりくださるのです。仲が
悪いということは無かったと思いますが……今朝も、朝早くからお出掛けになりました。別々だったと思います」
一通りの話を聞けたため、姿を現さない鑑太はどのみち明日も来るのだからと山に置いて帰ることにした。

「致命傷と思われる頭部の強打に伴う擦過傷と樹皮の写真は、矛盾がないと言えるね。あとは資料を見てくれ」
『死因は頭部の強打によるショック死。皮膚の水膨れはなんらかの刺激物と思われるが、直接の死因とは関係ない。
シャツには小さな染みがあった。ポケットから黒い粉の付いた脱脂綿と油性の黒の染料が見つかった」
「このシャツの染みは、硫黄酸化物だね。毒物だけど、普通は殺人には使わないね」
「補虫罠の指紋は虫奈良さんのものね。でも判定不能の指紋も2、3付いてたわ。他の人間がいたとしたら、どこかにバターで指紋を付けてるかも。足紋は皆同じね。でも明らかに体重差のある2種があったわ」
これで現場に桑田さんがいたことはほぼ明らかになったけど、未だ証拠は足りず明日の捜査を恃むことになった。

75 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 12:42:01.17 ID:pPj9z6f80]
翌日再び伊逗に赴いたけど、私も拾った鑑太も異様に体が痒く桑田さんのように体をムズムズさせる羽目になった。
「現場に原因があったのかな?」
現場近くの広場に再び赴くと、補虫罠に何やら虫がかかっていた。
「それがミイデラゴミムシ。通称ヘッピリ虫だよ。この辺にはたくさんいるようだね。触っちゃいけないよ」
植木博士はまた有休を取ってきたらしく、現場にいきなり現れたると痒みの原因を教えてくれた。
「伊逗ツツガムシだ。これに咬まれるととても痒い。草原の昆虫採集には、長袖長ズボン軍手長靴が鉄則なのさ。お
っ、これは泰山木。この辺では珍しいな。泰山木はミカドアゲハの幼虫の食樹として知られていて……」
一人で喋る植木博士を伴い、私たちは再び宿へと聴取に向かった。

「今日は大漁だったよ」
「あ、ほんとだ、いいカタのが採れましたね。でも、数が多すぎますね。少しは加減しなきゃ……」
「ほっといてくれよ。絶滅危惧種じゃないだろ。保護活動なら……俺だっていろいろやってるよ」
羽田さんは今日も採集に行ってきたようだったけど、桑田さんは違うようだった。
「今日は熱が出てずっと寝ていたよ……なんだか凄く痒いし。例えば、このふくらはぎ……」
「昨日採集された虫をお預かりしてもよいですか?」
「うひょ〜!これは、伊逗オサムシ!確か1996年以降に採集の記録がない、幻の……これは放してあげなければ」
「な、なんですか。法律に触れるわけじゃないでしょ。僕のものですからね」
植木博士と違い二人には加減がないらしく、彼らは険悪になってしまっていた。
「お二人とも、この宿には明日まで宿泊の予定です。甘木署では現場の足場が悪いことから、転んで頭を打ったとい
う見方が固まりつつあります。このまま何もなければ、お帰りになると思いますが……」
「……明日までに真相を明らかにしてみせますよ。被害者の虫籠と2匹の蝶も、資料としていただきたいのですが」
「あれ?これは……」
帰り際、植木博士は預かった蝶を見て怪訝な顔をしていた。

「(桑田のふくらはぎは)伊逗ツツガムシの咬傷だね。それほど危険ではないが、発熱することもある」
「オサムシからバターによる指紋が出たわ。被害者の虫奈良さんのものね」
「虫籠の蝶はミカドアゲハのつがいだね。黒い染料で修正してあるので一見、アオスジアゲハに見える」
これで決定的な証拠が揃い、いよいよ明日は真実を明かす時となった。

76 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 12:43:04.14 ID:pPj9z6f80]
「羽田さん、桑田さん。お二人とも隠していることがありますね。死んだ虫奈良さんと誰かが一緒にいたのは、明ら
かに体重の違う同じメーカーの長靴を履いた足跡からも明らかです」
「そりゃ、桑田だなぁ。俺は痩せてるもんな」
「そ、それなら羽田だって重い荷物を持ってれば……」
「現場にはツツガムシが生息していました。あなたも現場にいたのです」
「ツツガムシなんて、別の場所にもいるかもしれないじゃないですか」
「あの日、虫奈良さんと別々に行動していたと仰ってましたよね?あなたの採集したオサムシに、なぜ虫奈良さんの指紋が?」
「……うう、事故だったんですよ。たまたま、同じ草地に虫奈良君も罠を仕掛けていて。僕が仕掛けた罠にあの伊逗
オサムシがかかっていたんですが、後から来た虫奈良君が僕が盗んだんだろうって奪い合いになったんです。その時
ミイデラを投げつけたら、虫奈良君は跳び下がって頭をぶつけて倒れて……怖くなって逃げ帰ったんだ」
「おそらく……過失致死になるでしょう」
「あーあー、あさましいねえ」
「羽田さん、あなたのしたことも感心できませんね。希少種ミカドアゲハに細工して普通種アオスジアゲハに見せか
けるとは。虫奈良さんと共謀してミカドアゲハを放蝶していたのでしょう?」
「何回か伊逗に来るうち、幼虫の食樹である泰山木の存在を知ったからなのね」
「この温暖化が続けば、遅かれ早かれ伊逗もミカドの生息範囲になったさ。泰山木だって、人間が持ち込んであちこち植えたから広がったんだ。蝶の神様だって同じ意見らしいぜ。今日も珍種が大漁さ」
羽田さんが持っていた蝶は、みな絶滅危惧種の希少な蝶ばかり。しかしその時、大風が吹いたかと思うと死んでいた
はずの蝶が一斉に飛び逃げ去ってしまった。
「ど、どうしたんだ?ちゃんと蝶の胸を圧して全部圧死させたはずだ……!」
「へへへっ!つむじ風の術!これでちったあ反省するだろって」

こうして事件は解決したけど、植木博士は東京に帰って来ず伊逗でサボッて所長を怒らせていた。
【File06・終】

77 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 13:20:03.72 ID:pPj9z6f80]
【File07・凶走のカーテンコール】
休日に『湯島桜木公園』の『不喋池』をぶらついていると、既にお約束となっている呼び出しがあった。
「今月に入って轢き逃げ事件が2件も発生している。被害者はいずれも若い女性だ。しかも昨夜になってまた若い女
性が轢き逃げされた。被害者は意識不明のまま入院中だ。今回、交通課の事故調査員(車さん)と組んでもらう。お
前はこれまでの事件概要を把握し3度目の犯行現場を調査するんだ」
「事件現場は国道Q号線のあたりだときいております。事件後に検問が行われてて、昨夜は渋滞がすごかったです
ね。そうそう、事件の資料なんですがご覧になりますよね」
『事件1:被害者は森下早苗(19)・新郷女子短期大学1年・事故日は3日午後10時20分・現場は国道R号線泰矢町4丁目』
『事件2:被害者は仁科麻里(20)・欧段大学文学部2年・事故日は11日午後10時10分・現場は国道P号線番場町1丁目』
どちらも自転車での帰宅途中に背後から車に接触され軽傷を負ったという事件で、犯行に使用された車も盗難車であり容疑者の特定が困難となっていた。さらにどちらの現場からもブレーキ痕や擦過痕は発見されていないという。
「問題の盗難車ですが、南東京市警察署へ行けば調査することが可能ですよ」
私たちはとりあえず、南東京市警察署へと向かった。

『発見された盗難車は警察が念入りに調査したが、指紋や毛髪などの遺留品は発見できず。どちらの車もミッドシッ
プという型で、方向転換がききやすく速度も高いが車内が狭い。被害者の塗膜片とバンパーに付いている塗膜片は一
致しさらに現場から発見された塗膜片と車の塗料も一致』
ちなみに盗難車の所有者は、車内の狭さに拘らず二人とも結構な大柄だった。
「車は乗り捨てられるまで、犯人が運転してたはずよね……きっと運転席は犯人のサイズに合わせてあったはずだわ」
推測通りシートの位置はどちらの車もかなり前に固定され、シートをずらしてみると赤い毛髪を発見。早速所に持ち
帰ろうとしたところ、帰り際に寒川刑事と鉢合わせした。
「次の被害者が出ないよう、私が駆り出されたってわけ。この事件は早期解決が重要よ。何かわかったらすぐ教えて」

「この毛髪の持ち主は20代男性だ。血液型はBだった。一旦脱色した上で赤く染められていて、染められてからの
びた部分が約5ミリだ。人間の髪が延びるのは1日約0.3〜0.4ミリだ」
「車の持ち主とは別人の髪の毛ね!盗難車が発見されたのが2週間前だから、毛を染めたのは約1ヶ月前ね」
「このヘアカラーは輸入品でね。国内にわずかしかない製品だよ。美容院にしかないと思うよ。あと、厚生省が認可
してない物質が含まれていたって判明してね。すでに輸入が禁止された代物なんだ」
購入した美容院と顧客の情報をかんこさんに照会してもらったところ、全てに一致する人物が一人いた。
『氏名:引田勇(21)・欧段大学文学部3年・身長161cm・血液型:B型』
この男は2番目の被害者と同じ大学に通っている(後で自供した事実によると、最初の事件では暗がりでよく似た女
性を間違えてはねてしまったという)こともあり、情報を警察に送ってしばらくすると寒川刑事から連絡が入った。
「捜査官が訪れるやいなや、逃走したと連絡が入ったばかりよ。緊急手配したから、捕まるのも時間の問題ね」
「ところで、3度目の犯行現場を念のために調査したいのですが」
「そうね、新たな証拠も期待できそうだし私が案内するわ。場所は国道Q号線美坂町2丁目路上よ」

3度目の犯行現場へと到着すると、そこにはすでに寒川刑事がいた。
「被害者は羽田美衣子、19歳で穂同共立女子大一年生よ。病院に運ばれて手術を受けたけど、今も意識は戻ってな
い状態ね。昨夜ミュージカルと観たあと友人たちと別れ、自転車で帰宅する途中に衝突された。発見者は現場から走
り去る車を見たと証言してるわ。被害者の遺留品ならあるけど、犯人のものと思われる遺留品は発見されてないわ。
Q号線の主要ルートで昨夜から検問が開始されてるけど、現在に至っても怪しい車は発見されてないわ」
<犯行現場で肌色の塗膜片・自転車の塗膜片・自転車とは違う色の塗膜片・血痕・自動車の擦過痕を入手>

78 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 13:20:47.02 ID:pPj9z6f80]
「被害者をはねた車の落とした塗膜片ですね。車種が特定できるはずです。お預かりした物証はこれから分析していきます。」
車さんは諸々の物証を分析してくれたけど、なぜか肌色の塗膜片だけは判らず他の部署に廻してほしいと言われてしまった。
そこでその塗膜片の鑑定を芦茂博士に依頼して待っていると、寒川刑事から連絡が入ってきた。
「たった今、第三の事件に使用された盗難車が発見されたわ。今から来られるかしら?それと、あれから引田を緊急
逮捕したわ。今取り調べの最中だけどいずれの犯行も全面否認しているようね。自供させるには決定的な物証が必要よ」
私たちは、急いで盗難車が発見された湯島桜木公園の入り口へと急いだ。

<盗難車の発見現場で盗難車の写真・付着した塗膜片・事件現場のそれと酷似している運転席にあった肌色の塗膜片を発見>
一通りの調査を終えたところで、寒川刑事に盗難車の持ち主についての報告が入っていた。
「東条晃一って……あの元『白虎隊』の?」
「そう。10年前に芸能界デビューして以来、白虎隊のリーダーとしてTVのバラエティで大活躍!現在公演中のミ
ュージカル劇『ビビータ』では主役としてカムバック!さっそく彼に事情聴取しないと……じゃ、失礼するわ!」
寒川刑事は明らかにハイテンションなノリで行ってしまった。

「間違いありません。割り出した車種はこの写真のものですよ」
付着していた塗膜片の鑑定結果から見ても、この盗難車が第三の事件に使われたことは明白だった。さらに芦茂博士に依頼していた肌色の塗膜片と、今回盗難車の運転席から発見した肌色の塗膜片も同じ物質であるという。
「いろんなことが判ってきましたよ。ついでに事故の様子を再現しながら説明します。被害者が自転車で交差点を横
断しようとしたとき、右側から車が走ってきました。問題はこの瞬間、運転者はブレーキをかけたのかという点です」
「きっと、擦過痕はブレーキをかけたときについたものです」
「そのとおりです。しかし、もう手遅れでした。このブレーキ痕から見て車は一旦停止してますが、血の痕が地面に
微かですがこすれた状態になっています。運転者は一時的に車を降り、被害者を抱き起こした可能性が高いですね」
意外な事実が明らかになると、捜査の展開も別の方向に進み出した。
「第三の事件は独立した別の事件よ!最初から被害者にぶつけてそのまま立ち去っていた犯人が、この犯行に限って
ブレーキを踏むなんて不自然よ。そうなると、第三の犯行の盗難車が気になるわ」
私たちは東条晃一に話を聞くため、彼の泊まる帝都ホテルへと向かった。

「ブラボ〜ォォォォォォッ、ラブ!」
帝都ホテルのロビーには、歌を歌いながらローラーシューズで滑走する異様にハイテンションな人がいた。
「もしかして……東条晃一さんですか?いきなりなんで、こんなとこで滑って歌ったりするんですか?」
「若い頃のテンションを落とさないためさ。今上演されてる舞台でも、ローラーアクションを見せるためローラーシ
ューズをつけていつも滑ってるのさ。こんなふうにね」
「ところで……私が話を訊きたいのは、車が盗まれた状況なんです」
「愛車を劇場の駐車場に停め、楽屋入りしたのが午後4時さ。それから公演を終えてホテルに戻ろうとすると……僕
のマチルダ(愛車)がどこにもいないんだ。盗まれたのに気づいたのが午後10時頃だったな。仕方なくタクシーを
拾い、ホテルに到着したのが……たしか午後10時40分だ。それからホテル近辺の酒場でスタッフの打ち上げに顔
出して、朝まで飲んでたよ。そういうわけで盗難届出すのが遅れたのさ」
「そういえば、さっき同じようなことを女性の刑事にも訊かれたな。彼女、白虎隊のこととても詳しかったな。おっと、そろそろ時間だ。打ち合わせにいかなくちゃ。最後に何か訊いておくことないかい?」
最後に東条氏の部屋番号を訊き、捜査の許可をもらってから別れた。
<東条の部屋の洗面所で肌色の粉末を入手>

79 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 13:21:51.19 ID:pPj9z6f80]
「これは……今までの塗膜片と完全に一致するよ!メーキャップだね、舞台やテレビの。おしろい、ドーランの類いだね」
ここでこれまでの証拠を整理しようとしていた矢先、寒川刑事から連絡が入ってきた。
「発見してくれた毛髪のおかげでやっと引田が自供し始めたわ。でも第一第二の事件しかやってないと主張してる」
「今回の犯行は別の人物による犯行の可能性が高いものと思われます。美坂町2丁目路上ではブレーキ痕が発見され
ましたが、第一・第二の事件現場からは発見されていません。ミュージカル役者の東条晃一が有力容疑者です」
「あなた、本気で言ってるの?あなたがそう考える根拠は一体何なの?」
「これらの粉末は事件現場より採取されたものです。さらに先ほど帝都ホテルの洗面台より同じ粉末が発見されたば
かりです。その部屋に宿泊していたのは東条晃一でした。あの粉末の正体はメイク関連のものです。おそらく東条は
劇場からホテルへ戻る途中、事故を起こしてしまった。慌てて急ブレーキをかけても間に合わなかったんです。」そ
れから車を停めた東条は、被害者の生死を確認する際に痕跡を残してしまったんです」
しかしこれが結論だと思った推理も、寒川刑事に矛盾を指摘されたしまった。
「被害者をはねた後、現場から離れた場所で犯人は車を乗り捨ててるわ。事件が発生したのが大体午後10時15分
頃。それから25分後に東条はホテルで目撃されているのよ。盗難車の発見現場に車を乗り捨ててからタクシーを拾
ったとしても……10時30分頃開始した検問のせいでホテル前の国道は渋滞になってたのよ。
どうやっても午後10時40分にホテルに戻るのは不可能なのよ!いったいトッキーはどうやってホテルに戻ったの?」
「それは……湯島桜木公園をおそらく通ったんだと思います」
湯島桜木公園は、盗難車の発見現場とホテルが道路で挟んで向かい合う位置にあった。
「ここには確か……防犯用監視カメラが設置されてたはずだわ。あの日も30分感覚で撮影していたと思うから、す
ぐ画像を送ってもらいましょう」
すぐに送られてきた画像には、公園の中央にある不喋池のほとりを走る人影が写っていた。しかし……
「もしこれが東条だとしても……問題はまだあるわ!盗難車を乗り捨てた地点からホテルの手前へ向かうのが最短
距離なのよ。でも問題の写真の人影は迂回路で写ってるじゃないの。なぜ、こんな遠回りしなきゃいけないのかしら?
それに全力疾走したとしても残り10分でホテルに着くのはどちらのコースも不可能なの。ちなみにホテル周辺の調
査でバイク・自転車の類は一切発見されてないのよ」
たしかに人影が写っているのは、不喋池を取り囲むD字型の環状路のうち発見現場とホテルを結ぶ砂利道の直線路と
は逆の曲線路の方だった。
「東条を容疑者にしたかったら、今言った点に納得いく説明をしてもらわないとね」
「あきらめるのは、まだ早いです。公園とやらに行ってみましょう。きっと手がかりがあるはずです」

<不喋池の環状路で小さな擦過痕と塗膜片を入手>
「確かにタイヤの痕なんですがかなり小さいものですね。自転車よりもかなり小さいものです」
「ウレタンの原材料で、用途が幅広いから厄介だよ。例えばローラー・建築資材・運動用具……」
これで東条晃一が何を使って近道を走ったのかが判ってきた。
「公園で発見した物証で、どうやってホテルに戻ったのかハッキリわかったわ。そう、いつも東条が履いていたロー
ラーシューズよ。車を乗り捨てたあと、ローラーシューズで滑走し公園を通過した瞬間この写真が撮られたんだわ」
「被害者のバッグと衣服の分析結果が出たよ。被害者の着衣からドーランの粉末が発見されたよ」
今度こそ証拠が固まったところで、寒川刑事から連絡が入ってきた。
「あなたの主張してる容疑者、明日から海外へ向かうそうよ。急いでホテルにいらっしゃい」

80 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 13:23:28.26 ID:pPj9z6f80]
ホテルのロビーには、すでに寒川刑事と東条晃一が話していた。
「早くすませてよ。僕、今夜で楽日だしね」
「あなたのドーランが被害者の服から採取されてます。そして、これは事件当日10時30分に撮影されたものです。
この影は、あなたですね?愛車を乗り捨てたあと、ローラーシューズで滑走しホテルに戻ったんでしょう?」
「……ああ、その通りさ。僕は今までプロとしてここまでやってきた。
事故のことがばれると確実に芝居に穴が空く……プロとしてそうするわけにはいかなかったんだ……そうだ、君たち!罪は償うからさ。できれば猶予を……」
「残念だけどそれはできません。私たちもプロなんです」
「…………わかった。……確かにプロだもんな。君たちも……」

こうして事件は解決。瀕死の被害者は鑑太が知り合いの『天神』に頼んだために回復に向かっているそうだ。
【File07・終】



81 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 14:24:57.31 ID:pPj9z6f80]
【File08・江戸の闇】
「ご苦労だったな。しばらく休暇を取っていいぞ。何だったら科研で自由研究をしてもいい。論文を書けば昇級できるぞ」
久しぶりの長い休暇をもらった私は、査之介と鑑太の要望で東京見物に行き江戸懐古館へと向かった。

「識子どの、大江戸捕物展をやってますよ。ああ!あれは!拙者が書いた調書とその証拠品です。拙者の最後の事件でした。しかも未解決なのです」
「それは、心残りかもね」
「……お願いがあるのですが。なんとかして、この展示品を借り出せないでしょうか?」
「昨日、所長の言ってた自由研究ってえことにすればいいんじゃねェか?」
「いい考えですね!今世の鑑識技術を使えば、真相が明らかになるかも……一生のお願いでござる」
「仕方がないわね……所長に話してみるかな」
期待に反して所長は快諾し、休暇を潰しての未解決事件の捜査が始まってしまった。

「懐古館長の藻尻です。資料の貸し出しですか?面白い企画ですね。是非協力させてください」
<懐古館から査之介の調書・捜介の指紋・密書・血塗れの木枕・布切れを入手>
「かいつまんで事件を説明しましょう。当時、将軍が次々と死にまして次期将軍を誰にするかで激烈な暗躍闘争があったのです。
拙者の従兄弟・江波捜介は幕府の隠密として梅平家の密偵の捜査を行っていました。梅平家の依頼で、捜介は家臣として潜入中でした。
梅平家にはもう一人、忍田影丸という先輩がいたそうです。梅平家の大名屋敷に、情報を漏洩している曲者がいる……その人物の特定が目的でした。
宝永4年の11月24日に敷地内のできたばかりの土蔵で密談が行われていたのですが、密談の最中に外で『曲者待て!』と声がして……
何者かが逃げる気配ともう一人が追い掛ける気配がしたそうです。その後、10町も離れた場所で侍同士の斬り合いがあり二人が死にました。
その一人が……捜介でした。相打ちになった相手は別の隠密・影丸らしいのです。二人とも死んでしまったので、どちらが密談を聴いていたのかわかりません……
拙者は捜介の潔白を証明するために奔走したのですが、翌日持病の労咳が悪化して拙者も死んでしまったらしいのです」
やがて調書を見てみると、そこに付録して捜介の指紋と密書とある借金の借受け書が見つかった。

「この木枕に残された血は、瀕死の捜介のものなのです。もう一人の忍田影丸は虫の息でしたが、幕臣が引き
取っていったそうです。影丸は幕府の隠密でしたから」
「この黒い付着物は……B型の血液だね」
「不鮮明だけど、たしかに耳紋が付いているわ。でも、何か黒い粉末状のものがたくさん付いてるの」
「元素分析をしてみたよ。主な成分は、珪素……石質だってことだ。火山灰だな」

「これは、捜介と闘った侍が裾を刀で切られて残していったものです」
「ん?青灰色の布かと思ったら、細かい模様がびっしりと……」
「それは江戸小紋かもしれません」
「この破れ方は刀によるものではなく、袖を強く引っ張られたことによって破り取られたものだね。でもこれ
は上物らしいな。この細かい模様は梅の文様だね。梅平家にしか許されなかったものだ」

『梅平ハ美戸ト組ミテ記州様ヲ推ス者也』
「美戸は梅平と同じ将軍家の血縁の親藩、美戸藩だ。記州様は記州藩の君主……後の徳川良宗だね」
墨で書かれた密書の端には、書き手の曲者がつけてしまった指紋がついていた。
「密書の指紋とこの借受け書の指紋は明らかに別人のものね。でも、同じ人物の右の親指と左の親指の可能性が残っているわ」
「良い資料を手にいれたな。ご先祖の調書を論文のために自由研究か。それは良い功徳になるな。志半ばで倒れられたご先祖も、これで成仏なされるのではないかな」
「成仏?成仏しちゃうんですか?」
「い、いや物の例えだ。既に極楽往生なさっているに違いない。ところで、お墓参りは行ったのか?
同心与力の家柄ならば、矢中墓地に必ずあるはずだ。この調書は私が現代語に翻訳しておこう」
一通りの鑑定を終えた私たちは、とりあえず矢中墓地にあるという捜介さんのお墓へと行ってみることにした。

82 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 14:25:46.36 ID:pPj9z6f80]
しかしいくら探しても江波捜介のお墓は無く、仕方なく住職に聞いてみると意外な答えが返ってきた。
「記録では、亡くなられてから数年後に柳田家の墓に埋葬されたようです。当時の後側用人柳田吉保の後遺言だったとか」
「梅平家も将軍家の血筋です。捜介は柳田吉保の密偵だったのかもしれません」
「査之介さんとやら、何が心残りなのかは知りませんが……全て忘れて成仏なさるのが一番ですぞ」
住職には、査之介の言葉が聞こえていたようだった。

所に帰ると、物部博士が翻訳を終わらせていた調書には梅平家上屋敷と書かれていた。
「大石川庭園ですね。郷土史料館もありますよ」
「もしかすると当時の土蔵が残っていて、証拠も残っているかも……」
<大石川庭園の土蔵で壁の耳紋を発見>
「土蔵の密談の日に、猫がくわえてきたのだとか」
「あ、それオレだ!捜介が追跡中に曲者の耳を切り落としたのを見て、後で梅平屋敷に戻ると思って届けたんだったっけ……」
「干からびてしまってもう我々にはわかりませんが、この耳と壁の耳紋は同じだったと言われています」
大石川庭園史料館の館長から耳のミイラを借りると、私たちは一旦所に戻った。

「さすがにこんなになっていては正確な鑑定はできないわ。強いて言えば、白い粒子が両方にいくつもついていたわね」
「耳からは、持ち主がO型だということしかわからなかった。この白い粒子も、石質だということしかわから
ない。少なくとも漆喰じゃない。安山岩という火成岩質だし、成分的にはこのあいだの黒い粒子と似ているね」
そこで二つの粒子を大石川庭園史料館の館長に見せてみると、当時のある大事件について話してくれた。
「これはもしかすると……火山灰かもしれません。壁耳事件の日に富士山が噴火したのです。江戸の大学者・
新井百石の日記『おりたく紫の記』に詳しい記録があります。それによると最初は白い灰が、そのあと黒い灰
が降ったとあります。原本のコピーがありますからお貸ししましょう。当時の火山灰のサンプルもあります」

「25日になって、今回の灰が富士山の噴火のためであるとやっと伝わったらしい。黒灰、と書いてあるから途中で灰の色が変わったのは確かなようだね。新井百石は有名な大学者だし、日記は正確だと言われているよ」
借りたサンプルの火山灰も、これまでに入手した粒子と完全に一致。いよいよ真実は明らかになった。
「土蔵の耳紋と耳のミイラはほぼ同じもの……それに、ミイラからは白い火山灰が発見されたわ。そうなると、
黒い火山灰は捜介さんが犯人でないことを証明しているわ。捜介さんが曲者を発見して追跡を始めた時、既に
火山灰は白から黒に変わっていたのね。最初は白い火山灰、後では黒い火山灰が降っていたから捜介さんは立ち聞きしていなかった……スパイは耳を落としていった影丸だったのよ」
捜介さんがなぜ柳田家の墓に埋葬されたのかは、査之介が語ってくれた。
「隠密は老中を通じて密かに下命されるのですが、当然その上には吉保殿がおられたのでしょう。捜介に汚名
が着せられても、立場上かばってやることはできなかった……しかし自分が死ぬ時に何も言わず自分の墓に入
れてやることで、少なくとも江波家や同心仲間には理解されたはずです」
事件を解決して家に帰った私たちは、捜介さんの無念を偲んだ。

「当時お主を間者扱いした人たちの疑念は、今晴らすことができたが……あのときに何もできなかった拙者を許してくれ……」
「アリガトウ……査之介、迎エニキタヨ……イッショニイコウ……」
「うん……そうだな。いろいろ、心残りもなくなったし……それじゃあ、識子どの。拙者はこの機会に成仏いたします。さようなら……」
「さ、さようなら……(査之介がいっちゃう……査之介が薄くなっていく……いかないで!)」
「がってんおまかせだぜ!」
「な、何をするんですか!ああ、捜介が逝ってしまった」
「ハア?おまいらが逝きたくない、逝かないで、と……思っていたのが聞こえたからつかまえたんだぜ?」
「あーあ。拙者は識子どのが心配で成仏しそこねたわけですか」
「なによ!あたしはもう一人前なんだから!さっさと成仏しちゃえば良かったのよ!」
「どうですかねえ。識子どのがもう少ししっかりなさたら、次の機会にはそうしますよ」
(コイツが居た方が面白いから、またそんときはつかまえてやるぜ)

こうして、先祖のオバケとの生活はまだまだ続くことになった。
【File08・終】

83 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 14:45:35.70 ID:pPj9z6f80]
【File09・歪んだ正義(前編)】
深夜1時。
恒例となっていた緊急呼び出しも、寒川刑事と剣崎検事まで加わったその日は異様だった。
「これから話す内容は極秘事項だ。1時間前、知事公邸に電話があった」

『私が知事の赤島だが、君は……?』
『名前……そうだな。ジャッカルとでも言っておこうか。そんなことはいい。用件だけ言う。今わたしの手元
には人質がいる。名前はタドコロヤスコ。このままじゃ明け方には死ぬな』
『何を言ってるんだ?要求はなんだ?』
『要求?それは考えてなかったな。じゃあ、都庁前広場でホンダラ節でも歌ってもらおうか』
『こんなときに冗談はやめたまえ……』
『けっこう本気だったんだがな。まあ、せいぜい頑張ってみてくれ。すべてが終わったらまた連絡する』

「以上が電話の内容だ。今回は知事のたっての希望で地検・警察・科研の精鋭スタッフで対処することになった」
詳しい事件の内容は、所長秘書プログラムが教えてくれた。
「昨夜午後11時30分ごろ、田所泰子さん(21)が火野市郊外の駅から自宅に向かって500mの地点で何者か
に連れ去られました。被害者の所持していた携帯電話が最後に電波を発した場所は、火野森林公園駅の付近で
す。それから知事公邸に電話がかかってくるまで20分。そこが誘拐現場でしょう」
電話の録音テープの分析を物部博士にまかせ、まずは現場の検証から始めることになった。

「地面が濡れていますが、昨夜は台風が通過したため短い時間でしたが激しい雨が降ったのでアリマス」
<誘拐現場で車の乾き跡・泥の上の複数の靴跡・煙草の吸殻を入手>
「これは国産煙草のハイランプだね。愛好者のうちの94%が男性という銘柄だよ。吸口からは唾液が検出され
たけど、残念ながら警察の情報ファイルにはなかったな」
「これは雨が降っていたときに自動車を停めていたせいで、濡れなかった場所のようですね。この大きさから
推測すると、ハッチバック車でしょうか」
「靴のサイズから男性女性1名ずつ。とくに男性はかなり大きなサイズで歩幅もあるわ。走っていたようね。
女性の足跡には途中で真横に向いた所があるわね。これは走りながら、後ろを振り返ったということよ。男性
の靴跡は珍しいわ。市販のシューズじゃないようね。メーカーに問い合わせてみる」
これでとりあえず、誘拐事件の流れは理解することができた。
「犯人は雨の中で車を停めて、煙草を吸いながら誘拐する人物を物色していた。そこに田所さんが通りがかった。
車の横を通りすぎたところを犯人は捕まえようとした。彼女は空地へと逃げたけど捕まり、車に押し込まれた」

その時、ちょうどシモーヌさんから問い合わせの答えが返ってきた。
「5年前スポーツ洋品メーカーのA社が、プロ野球チーム西新宿ボブキャッツの選手に提供したスニーカーの
フットプリントと一致したわ。サイズは30cm。さすがにこのサイズだとチームでも数名だったはずね」
「該当する人物は山元明(30)。元西新宿ボブキャッツ投手。東京都火野市すずめ台在住。4年前に選手を引退
して最近はラジオのパーソナリティなど芸能活動を行っている。今わかっているのはこれだけです」
「わかったよ。電話の音声データだけど元プロ野球選手の山元明で確定だ。ただ、ひとつ気になることがある。
知事と犯人の声の間に何かを叩いているような音がするんだよな」
未だ気になることはあったけど、とりあえず被疑者を所長に報告し警察の行動結果を待つことにした。

84 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 14:46:13.48 ID:pPj9z6f80]
午前5時。
山元宅に突入した寒川刑事たちからの連絡は、明らかに不穏だった。
「ん?何か音がする……エンジンの音……車庫かしら?踏み込むわよ……ごほっ、ごほっ!」
慌てて自分達も現場に行ってみると、すでに寒川刑事たちの作業は終わっていた。
「遺体はさっき運び出されたわ。被害者は車のマフラーから伸ばされたチューブをくわえさせられ死亡していたわ」
<山元宅のガレージで埃まみれの自動車・車内の土・車内の毛髪・車内の吸殻・棚のスニーカーを発見>
所に帰ると、すでに司法解剖が終わっており結果を聞くこともできた。
『死因は一酸化炭素による中毒死。死亡時刻は午前3時頃。胃からまだ溶けきっていない睡眠薬が見つかった」
「この車種なら、アスファルトに残った乾いた場所の大きさと一致します」
「誘拐現場で採取した吸殻と同じ種類だ。唾液のDNAも同一だったよ」
「誘拐現場に残された足跡はこのシューズで間違いないわ。付着している土が犯行に使われた車にも残っているはずね」
「シューズの土にも車の土にも、誘拐現場の土は見つからないな」
「あれ?この中に被害者の毛髪は一本も見当たらないぞ」

午前9時。
錯綜する情報に混乱しているところに、山元明が拘束されたという報せが入ってきた、
「わたしはやっていない、と煙草を持つ手を震わせて弁明している様子です。ちなみに煙草の銘柄は外国煙草
のマルパソです。2週間前からこれを吸っているそうです。昨日午前12時に自宅を出て午後1時火野市小学校
グラウンドの少年野球のコーチを行う。午後4時に練習を終了し午後5時にPTAと居酒屋で親睦会。そこに捜
査員が現れるまで飲み続けていたと主張」
しかし、まだ私には納得がいかなかった。
「一応アリバイはあるわ。それに殺害現場の車庫に停めてあった車は埃をかぶっていたわ。実際にこの車が犯
行に使われていたなら、当日降った雨が埃を洗い流したはずよ。吸殻も、本人がここ最近吸っている銘柄とは
違う。山元氏のスニーカーに付着していた土も、車内からは見つからなかったわ」
「犯人からかかってきた電話の声は間違いなく山元氏本人でした。この事実はどうです?」
「犯人からの電話の録音をもう一度聴いてみて。パソコンのキーボードよ。つまり犯人は山元氏のラジオ番組
などで録音した音声をパソコンに読み込み、音声読み上げソフトを使って電話をしてきたのよ」
そのことを剣崎検事に報告すると、私たちは一旦の帰宅を命じられた。

午後10時。
仮眠から起きるとちょうど剣崎検事から呼び出しがかかってきて、私はまたも急いで所長室に向かった。
「午後9時、また女性が誘拐された。犯人から第一報が知事に届いたのは午後10時だ。今回も音声がある」
『この前の事件に関しては心から同情するよ。今宵もとっておきのネタを提供しよう。また女性をひとり手に
入れた。名前はタニグチアケミ。今回はお金をいただこう。現金で1億だ。アンタの一存で動かせる機密費は
それぐらいはあるだろ。民間人の女に現金入りのバッグを持たせ午後11時、水森公園噴水前で持たせろ』
『人質は無事なんだろうな』
『夜明けまではな……』

「身代金を運ぶ役目、私にやらせてください」
「むざむざ死にに行くようなものよ。私が行きます!」
「きみは民間人ではない。それに犯人は警察の情報に通じているかもしれん……江波くん、やってもらえるか?」
大役を志願した私はラボで準備を整えるとともに、博士たちから激励の言葉を受けた。
「水森公園について説明します。敷地面積は約60ha。東エリアは博物館・うんどうひろば、西エリアはどうぶ
つエリアなどがあります。犯人の指定場所はどうぶつエリアの南にある『ちゅうおうひろば』の噴水の前です」
「これがアタッシュケースだ。本物の一億円が入っている。私が中身を確認して閉めたから、間違いはないは
ずだ。噴水の前で相手からなんらかの接触があるまでは、そのまま待ってもらいたい。緊急事態の際には、通
信機を使って話してくれ。公園の外に待機している特殊部隊がすぐに駆け付ける」
検事からアタッシュケースを受け取り、私(とこっそり査之介と鑑太)はいよいよ公園へと出発した。

85 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 14:46:45.48 ID:pPj9z6f80]
午後11時。
噴水の前に着くと、いきなりそこの公衆電話が鳴り出した。
「……ちゃんと、ひとりで来たか?」
「ええ……人質は無事なの?」
しかし犯人はその質問に答えないどころか、なぜか無言のまま電話を切ってしまった。
「そこから犯人は見えるか?おまえの行動を監視しているはずだ。不穏な動きはするな」
「識子どの、これは好機かもしれません。電話の音を耳を澄ませて聞けば、場所が推測できるかもしれません」
「所長。いまの電話のやりとりですが、環境音だけ増幅してこちらに送ってもらえませんか」
送られてきた音には、二つの特徴的な音があった。
『キョケ、キョケ、キョケ、キョケ……トゥクトゥクトゥクトゥク……』
「キョケ、キョケ、といっているのは鳥が驚いた声かもしれません」
「トゥクトゥクといっているのはバイクの音だわ。鳥の鳴き声は犯人の電話口と私のところで届く時間に差が生じたの」
「ニワトリ小屋は江波くんのいる場所のすぐそばだ。となると、犯人がいる場所までは340m」
公園の地図から居場所を推測すると、噴水から340mでかつそれを監視できそうな見晴台だとわかった。
その時また公衆電話が鳴り出し、私は応対とアタッシュケースを鑑太にまかせ犯人の元へ急いだ。
「とうとう捕まえたわ」
「捕まえられるかな?いくぞ……」
フルフェイスで顔を隠した犯人が警棒を出してきたその時、突如背後の噴水で爆発が起こった。
「鑑太は大丈夫でしょうか?」
「だいじょーぶじゃにゃーい!にゃにゃにゃー!!」
黒こげで走ってきた鑑太が犯人を気絶させ、何が起こったのか訳のわからないうちに犯人の逮捕は成功した。

午前1時前。
私は博士たちから歓迎を受けてから、寒川刑事も待つ所長室に赴いた。
「それにしても、待ち合わせ場所に爆弾を仕掛けるなんてどこまでも卑劣なヤツね」
「犯人は南東京市警察署に連行された。早速だが、まだ人質は救出されていない。犯人の自宅の捜索へ向かっ
てくれ。現場から採取したアタッシュケースの残骸は、お前に渡しておくからな」
「犯人は桐谷達彦(26)。アメリカ・マサチューセッツ州在住。現在は留学の休暇で帰国中で、港南区のマンシ
ョンに住んでます。父は与党の大物国会議員桐谷茂です」
アタッシュケースの残骸の鑑定を物部さんに任せ、私たちは犯人のマンションへと向かった。

<犯人のマンションから左利き向けに置かれたパソコン・ノート・釣り欄に赤丸が入ったスポーツ新聞・ピッ
キング用具・ふやけたガムテープ・車内の指紋・タイヤに付着した異物を入手>
「被疑者の車内から採取した指紋の中に被害者2名の指紋が見つかったわ。ピッキング用具にも被疑者の指紋
が付いていたわ。新聞の釣り欄には親指の指紋がベッタリついていたわ。赤いペンで21:48・5:15と書かれているわ」
「被疑者は犯行の数日前から当日にかけて、南東京市湾岸の地図に何度もアクセスしてますね」
「ガムテープの濡れた部分は海水だ。タイヤに付いていたのは馬糞だよ」
証拠は集まり、二つの誘拐事件の真相は明らかになった。
「ピッキング用具を使って桐谷は山元氏の家に侵入して、吸殻とスニーカーを持ち出して故意に現場に残したのよ」
その時、突然に警察署長の江波のおばさまから連絡が入ってきた。
「署に来て取調べを手伝ってもらいたいのよ。桐谷があなたを指名したの」

86 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 15:22:33.47 ID:pPj9z6f80]
午前2時。
「何を訊いても完全黙秘。被害者の所在は依然として掴めない状況なのよ」
「動機なんてあるわけないだろ。だってやってないんだから」
「じゃあ、山元氏をターゲットに選んだ理由もわからないというわけですか」
「子供の頃、野球選手にサインをねだって拒絶されたことはあるかね?あれはかなり傷つくぞ」
「それが山元氏を事件に巻き込んだ動機なんですか?」
「さあな。俺は犯人じゃないからなあ」
「お父さんは国会議員ですね。あなたはお父さんを含めいろいろな人に迷惑をかけたと思いませんか?」
「迷惑だって?それがなんだっていうんだ!」
「あなたが爆弾を仕掛けたんでしょ?」
「違うったら、違う!どうせ信じてくれないだろうが」
終始不遜な態度で事件のことを直接は喋らなかったけど、爆弾のことを聞いた時だけは態度が僅かに違っていた。
しかし夜明けまでは間がなく被害者の捜索を優先して所に帰ろうとした時、桐谷は呟いた。
「ちょっと待てよ……ヒントをやろう。俺は釣りはしない」

午前4時半。
私たちはなんとか今ある証拠を使って、被害者の居場所を割り出すことにした。
「被害者は桐谷が何度もチェックしていた地図の場所にいる。釣りをしないということは、スポーツ新聞の釣
り欄で干満情報を見ていたに違いないわ。あの数字は今日の満潮時刻よ。人質は海岸のどこかに縛られているのよ」
「でも、一口に海岸といっても広いですよ」
「タイヤに馬糞がつく可能性があるのは競馬場よ。ここを通り抜けて行ける埠頭は第二埠頭よ!」
間一髪、被害者の救出は間に合った。

二日後。
休みをもらった明け方に所長室に出勤すると、そこでは剣崎検事らが一斉に暗い顔をしていた。
「桐谷が保釈された。桐谷の父親は大物国会議員だ。そちら方面から検察上層部に圧力がかかったんだろう。
今は選挙期間中だし、与党の支持率後退を狙った謀略だと抗議したんだろうな」
「選挙期間中は政治的な逮捕を控える傾向はある。実際桐谷は君以外には完全黙秘を続け、立件できるだけの
証拠は得られてなかった」
「ヤツはすでに拘置所を出て父親が手配した都内のホテルに移ったわ」
怒り心頭の私が抗議していると、所長へ電話がかかってきていた。
「桐谷が自殺したそうだ」

【File09・終】

87 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/09(月) 15:23:19.09 ID:pPj9z6f80]
すいません今日はここまでです
最後のFile10は今月中に投下します

88 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/10(火) 23:17:37.53 ID:WGI1b10Q0]
未解決にあるソフトをプレイしているけど、仕事が忙しくてあまり進んでいない・・・
いつ頃投下できるかわかりませんが、念のため予約した方が良いでしょうか?

89 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/11(水) 00:58:36.53 ID:kq08zD7+0]
>>88
出来るようになって終わってから予約しろよw
万が一にも他の人がやり終えてて書くかもしれないじゃん?
予約されたら書く気しないかもしれんし

90 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/11(水) 08:35:52.58 ID:dqeJdvM70]
>>89
わかりました
20日まで連続出勤でプレイ再開は遅くなりますので、後日改めて予約します



91 名前:Fallout:newvegas mailto:sage [2013/09/13(金) 17:19:31.91 ID:6xK0Kyku0]
www8.atwiki.jp/storyteller/pages/1824.html

Fallout:newvegasのDLC第4弾、Lonesome roadの執筆終了しました
今回はwikiに直接投稿しましたが、表記等に問題などありましたらすいません

あとこれが終わったので本編の再開と、初代Falloutを書きたいと思います

92 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/15(日) 01:32:50.98 ID:QP3zvI+k0]
PSPゲーム、コープスパーティブラッドカバー リピーティッドフィアー
のストーリーを、まとめにある続きから教えていただけませんか?

93 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/16(月) 12:41:57.63 ID:fBAKlW9j0]
【File10・歪んだ正義(後編)】
「桐谷が自殺したそうだ」
「じゃあ、さっそく現場へ……」
「今回はいい。警視庁の別の部署が担当するそうだ。江波もラボに戻れ」
「司法解剖は古畑さんが担当するんですか?」
「それはないと聞いている。今回の事件には科研のメンバーは一切関わらないようだ」
今日は有休を取れと言われて帰ったけど私たちはこんな結末に納得できるはずもなく、私たちは現場の帝都ホテルへと向かった。

1304号室の現場保全には、いつも通り落葉巡査があたっていた。
「落葉巡査。お願いがあります。私にも現場を見せてください」
「それはダメでアリマス。この事件の鑑識は警察の科捜研が担当しているでアリマス」
「だったら、話だけでもお願いします」
「……しょうがないでアリマス。午前11時、フロント係が部屋に電話をしたが返事がなかったそうでアリマス。高
鳥サブマネージャーがマスターキーを使って鍵を開けると、バスルームで自殺死体を発見したでアリマス」
それ以上の話すら教えてくれなかったけど、食い下がってなんとか許しを得ることができた。
「ただし5分間だけでアリマス。まもなく鑑識班が昼食から戻ってきますから。現場からは何も持ち出さないでください」
<桐谷の部屋で脱ぎ散らかした服の写真・血塗れのバスタブと落ちていたカミソリの写真・桐谷の遺言録音を入手>
そこにあったノートパソコンに起ち上がっていた音声ソフトを動かしてみると、桐谷の遺言が流れてきた。
『今、すごく反省しています。亡くなった田所泰子さん。被害にあわれた谷口明美さん。爆弾で殺そうとした江波識子さん。
そして関係者の親族のみなさま。つらい思いをさせてすみません。私、桐谷達彦は死んでお詫びします。それでは、みなさん、さようなら』
次にロビーで第一発見者である高鳥サブマネージャーを見つけて話を聞いてみると、高鳥氏は私を科捜研の一員だ
と勘違いしたらしくすんなりと話を聞くことができた。
「午前11時すぎでございました。フロント係から1304号室のお客様のことで部屋に何度電話してもお返事がない
と連絡を受けました。部屋係とマスターキーを使って、室内を確認いたしました。そうしましたら、バスタブでお客
様が血を流しぐったりされていたのでございます。すぐに救急と警察に連絡しました。お医者様はお客様を診てすで
に死亡しているとおっしゃいました。お客様は服を脱いでバスタブに入り動脈を切って自殺を遂げていました。遺体
は警察病院に運ばれました」

私たちは所に戻り、証拠の鑑定とともに古畑博士になんとか検視結果を教えてもらえるように頼んでみた。
「警察病院の監察医は僕の教え子だったな。しょうがないな。電話で聞いとくよ」
「声が妙に暗い感じなんだが、100%同一人物に間違いない。データは資料室に送っといたから」
「これは死体の拡大写真だ。死因はこの傷からの失血だろう。左腕にカミソリによる切り傷が1本だけ見える。躊躇
い傷はない。死亡推定時刻は今日の午前9時から10時の間だ」
「胃の内容物から大量の催眠剤が見つかったよ」
証拠が集まってくるにつれ、桐谷の自殺にはますます疑問が持ち上がってきた。
「この写真を見る限り、桐谷の腕に躊躇い傷はないわ。それから、カミソリを持ったのは右腕となるわね。桐谷は左
利きだったはずよ。脱ぎ散らかした服は自殺の特徴である身の周りを整理することと矛盾するわ」
「それに、自殺すると発見者や警察に己の裸が見られることがわかっているわけです」
「これは恥ずかしいことよね。録音遺書にも人名の中で引っ掛かるものがあるのよね。『きりや』を『きりたに』と
読んでるの。つまり誰かに読まされていることを伝えたかった……」
さらに犯人の目星をつけるために過去に同様の事件がなかったかどうか調べてもらうと、警察の機密情報から一件の
類似事件データ『幼稚園児死傷事件』が見つかった。
「被告人A(22)は合法ドラッグで酩酊状態のまま車を運転。自動車は道路を横断中の幼稚園児の列に突っ込み、
死傷者9名の大惨事となった。Aは責任能力を問えないと判断され立件は断念された。保釈の2日後、自宅浴室で
自殺しているAが見つかった。遺書はパソコンに音声データで残されていた」
『今、とても反省しています。亡くなった桜井みかちゃん、田島裕子ちゃん、川田元気くん、そして、すずらん幼稚
園のみなさま。つらい思いをさせてごめんなさい。私、◯◯は死んでお詫びします。ご迷惑をおかけしました』
同様の事件の存在に他殺の確信を持ったけど犯人の目星まではつかず、私たちは思いきって所長に直談判することにした。

94 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/16(月) 12:47:15.43 ID:fBAKlW9j0]
その直前、剣崎検事からいきなり電話がかかってきた。
「もしもし、江波くんか?ちょっと君の様子が気になったんでね。今晩帝都ホテルで人と会うんだが、よかったらそ
の前に一緒に夕食でもどうかね?」
断って所長室に行ってみても、所長はやはり首を縦には振らなかった。
「地検は立件しない方針を固めた。それより、どういう了見で勝手に現場のホテルへ行った?ともかく桐谷の事件は
もう終わった。おまえの他殺説は絶対誰にも話すな。話は終わりだ。家に帰れ」

家に帰って項垂れていると、唐突に落葉巡査から電話があった。
「ちょっとお話があるのでアリマス。電話では話せないのでアリマス。昭和名画座に来ていただけませんか?」
慌ただしく電話を切った巡査になんの疑問も抱かず映画館に行っても当の巡査の姿はなく、そこで暇潰しに映画を見
ていると真後ろから話しかける声がした。
「振り返らないで。そのままの姿勢で聞いてほしいのでアリマス。法律には様々な抜け道があります。知っての通り、
それが結果的に悪をのさばらせる温床になっています。誰かがそれを糾さなくてはいけない。それが、我々『火刑法
廷』の役目なのでアリマス。我々は熱に浮かされたような無秩序な集団ではないのでアリマス。アナタは心がまっす
ぐな人です。我々の仲間に加わる資格は充分です。やり甲斐は保証します。どうでアリマスか?」
「ひとつ聞いていいですか?アナタが桐谷を殺したんですか?……そんなわけないですよね?」
「社会改革という大きな目的のために小さな死は仕方がないのです!そのことは、わかってください」
「いいえ、わかりません!たしかに、私も桐谷が保釈された時はやりきれなかったわ。でも自分が罰を下すのは違う
と思う。落葉巡査の方こそ、過ちに気づいて!それじゃ、私はこれで!」
「待ってください!あなたは自分の置かれた立場が全然わかっていない!あなたは知りすぎている。それに、あなたは選ぶ側じゃない。
これが本当にラストチャンスかもしれないんでアリマス!止まるんでアリマス。ここから出ていっちゃいけない!」
映画館を出ると、見ていたらしい査之介が話しかけてきた。
「拙者の時代にもいましたよ。法では裁けない極悪人を闇で裁こうとする私刑集団は。拙者も識子どのと同じ意見です……あぶない!」
突然の銃声に驚いて、私は見知らぬ街を無我夢中に逃げた。

家に帰れず行くあてもなく、なぜかおばさまや剣崎検事にも電話が繋がらない。
そこで仕方なく、寒川刑事を頼ることにした。
「あの、唐突なんですが今晩そちらに泊めていただけないでしょうか?」
「まあ、いいわ。あまり遅くならないうちに来てよ」
寒川刑事のマンションで見たニュースでは、すでにさっきのことが報道されていた。
「本日午後7時ごろ、城西区名画座通で発生した警官射殺事件の続報です。亡くなったのは、南東京市警察署の落葉
一郎巡査です。後頭部に銃弾を受け即死でした。警察では犯行時刻行動を共にしていた知人の行方を追っています」
「落葉巡査と行動を共にしていた知人ってアナタよね、江波さん……?」
「寒川さん、話を聞いてください。その後は、寒川さんの好きなようにしてくださってかまいません」
私が今までのことを話すと、意外にも彼女はそのまま信じてくれた。
「あなたの話、信じるわ。で、これからどうするつもりなの?冷静になってこれまであったことを振り返ってみたら」
考えに考えた末、私は結論を出した。
「寒川さん。科研本部へ行ってきます。今動かないと、真実は永遠に闇に葬られる……そんな気がするんです」
「わかったわ。死なないでね。これでも、アナタと組むのけっこう気に入ってるんだから」

95 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/16(月) 12:51:55.31 ID:fBAKlW9j0]
とりあえずそのままの格好というわけにはいかないので、科研には出前に変装して入りシモーヌさんに協力を求めた。
「私になりすまして情報にアクセスしたいというわけね?いいわよ。そういえば、アタッシュケースの残骸が届いてるけど」
「時間になったら爆発する仕掛けだ。より焦げていたのは鞄の内側だよ。これはどういうことだかわかるかね?」
「ということは、アタッシュケースを最後に閉じた人物が私や桐谷を殺そうとしたってこと……?」
「巡査の司法解剖を行ったのは全く面識のない人物だ。解剖後、すぐに出国しているな。どうもエライ人物が圧力を
かけてハワイ在住の名誉教授を担ぎ出した形跡がある。すでに捏造データにすり替えられている可能性もあるな」
それでもなんとか証拠を探すために、今度は所長室を探ってみることにした。
「所長は帰ったけど、あの部屋には手強いやつが一匹いるでしょ?一か八かだけど、私に任せて」
所長秘書インターフェースの対応をシモーヌさんに任せ、私たちはなんとか所長室に潜入した。

所長室にはなぜか落葉巡査の司法解剖報告書があり、ダイヤル式の小函からは事件に使われたと思われる拳銃が見つかった。
『背後から銃弾を一発撃ち込まれ、即死状態であった。弾は旋条痕が識別できないほど変形。拳銃は現場にあった落
葉一郎巡査の所持品と確認。銃弾は2発発射されていた。また拳銃からは江波識子の指紋が検出されている。彼女は
同日夕刻より行動を共にしていた。死亡推定時刻は狙撃時刻とほぼ同時の午後7時と推測される。事件の瞬間を目撃
した人物は現時点では現れていない』
しかしそれらを見ているところで、部屋に戻ってきた所長に見つかってしまった。
「所長、どうしてアナタの部屋に落葉巡査殺しの証拠品が揃っているんですか!?所長が火刑法廷の黒幕なんですか?」
「軽々しくその名前は口にするな。あまりにも危険だ。今回おまえが巻き込まれたようにな」
「そろそろ全てを話してもいい頃なんじゃないの」
同時に現れたのは、なんと江波おばさまだった。
「岩原所長とは、1年前から極秘である事件を追っているのよ」
「1年前可菜川県内で起こった幼稚園児死傷事件のことは知っているだろう。あの犯人が保釈後に不可解な自殺を遂
げたことに関心をもち調べ始めた。だが調査をはじめてまもなく、事件の背後には恐ろしい組織が介在していること
を知った。敵はわれわれ捜査当局の内側にいる」
「そう。それもかなり上層部に。私たちは慎重な上にも慎重を重ね、捜査を進めてきたの」
「ということは、私がそれを全部ぶち壊したと?」
「一部はな。でも悪いことばかりじゃない。今回の件で敵も証拠を残した。おかげで、組織の全容はあらかた掴むこ
とができた。黒幕は剣崎検事だ。アタッシュケースに爆弾を仕掛けたのは最後にアタッシュケースを閉めた剣崎だ」
「待ってください!そうなると、爆弾は桐谷を殺害するためではなく最初から私を……?」
「この際だから、一つ謝っておきたいことがある。警察の内部情報に接続する時に若い女性になりすました」
「つまり、ずっと前から事件の情報を閲覧していた人物が剣崎検事の前に現れウロチョロしはじめたと?」
しかし、剣崎検事をいかにして逮捕するかは難題だった。
「まずおまえへの疑いをなんとか払拭したいな」
「でも、私には巡査を殺す動機はないし硝煙反応だって出ないはずです!」
「奴らはそれくらい捏造する。私は江波警視正と今後について話があるから、おまえはラボに戻って証拠を調べておけ」

「検視は大体終わったよ。さきほど所長からゴーサインが出て急遽、葬儀場に駆け付けたよ。もし銃を発射していたなら
掌から火薬残渣が見つかるはずだが、残念ながら検出されなかったな。頭部の銃創には火薬輪があったよ。死亡6時間以内に
食事はとっていなかったが、胃の中から未消化の植物の葉っぱが見つかった。胃に入って1時間程度のようだな。ただ気になるのは、再解剖のことを検察は把握してなかったようだな」
「これは蝿取り草の葉っぱだよ。それにしても、普通食べないよ」
未だ決定的な証拠に欠く私たちは、所長室に戻って思いきって所長に進言した。
「所長、剣崎検事の自宅を強制捜査できないでしょうか?」
「強制捜査ってアナタ、相手は検事なのよ!?」
「いや、悪くないかもしれない……どのみち、ここから先は一か八かの賭けの連続だ!」
私と江波おばさまは、常世区にある剣崎検事のマンションへと向かった。

96 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/16(月) 12:57:18.41 ID:fBAKlW9j0]
「昭和名画座通警官射殺事件に関して、証拠隠滅のおそれがあるため強制捜査を行わせていただきます」
「これだけのことをして何も証拠を見つけられなかったら、タダではすまさんぞ」
「江波、私は奥のリビングを調べる。オマエは玄関のあたりだが、その前に検事から話を聞いておけ」
現役の検事への尋問はかなり緊張したけど、なんとか心を落ち着け問いかけた。
「今晩の行動を教えていただけますか?」
「午後7時半、帝都ホテルに着いて警察本部長と会食だ……」
「7時半以前のことが知りたいんです!つまりアリバイはないということなのですね?」
「そ、そうだ……」
「あなたは落葉巡査をご存知ですか?」
「会ったこともないし面識もないね」
「あなたは銃を撃ったことがありますか?」
「あるわけないだろ!いい加減にしないか!」
<検事のマンションで葉っぱのちぎれた観葉植物・一枚だけ洗っていた洗濯物を入手>
「終わったようだな。江波くん。キミのこれからの人生は後悔の連続になるだろう」
「その言葉、そっくりアナタにお返しします」
しかしその場で決定的な証拠を見つけることはできず、私たちは肩を落として科研に帰った。
「江波、もう我々は後戻りできないところまで来た。立件可能な証拠が見つかれば我々の勝ちだ。ダメなら我々は終わる」

「えっ、これどこで手に入れたの?これだよ、さっき巡査の胃から見つかった植物の葉は!蝿取り草だよ」
「ダメだ。もし火薬残渣があったとしてもこの分析器の精度では無理だ。サマー9ならなんとかなるかもしれないな」
あとは、その大型放射光施設からの報せが希望だった。
「緊急メールが届きました。送信元は国立放射線研究所からです」
『結果[火薬残渣アリ]』
私たちはそれらの証拠を持って、既に剣崎検事が連行されている南東京警察署に向かった。

「あなたの部屋にあった蝿取り草の葉っぱの一部が落葉巡査の胃から発見されました。落葉巡査は嚼まずに飲み込ん
だので、ちょうど大きさも一致しています。落葉巡査は自分の死の可能性も予感していたから、あなたの部屋にいた
ことがわかるサインとして蝿取り草を咄嗟に口にいれたのです」
「そんな物証で公判を維持できると思っているのか?」
「これがあなたが犯罪に関与した動かぬ証拠です!検事の衣類から火薬残渣が検出されました。剣崎さん、アナタは
銃も撃ったことがない落葉巡査も知らないと言いましたね」
「さすが江波くん。感服した。そうだよ、君の指摘どおり私が落葉を処分した。我々は秘密結社だ。君に正体を明か
し勧誘も拒否された。処刑する、これ以上の理由があるというのかね?私はね、最初から君を殺すべきだと主張して
いたんだよ。ただ、落葉がチャンスを与えてほしいと懇願したのだ。自業自得だよ」
「剣崎検事、アナタには組織のことをすべて話していただきますよ」
「それはどうだろう……私の仲間がそんなことを許すかな?」
「危い!伏せて!」
その時一発の銃声が轟き、剣崎検事は倒れた。

ライフルの銃弾が取調室の小さな窓から侵入し検事の頭部を貫通。即死だった。
結局剣崎検事は事件について多くを語らぬままこの世を去り、書類の上では事件は終結した。でも本当に終わったのだろうか。
剣崎検事は今際の科白で『私の仲間』と言った。言葉通りの意味なら、組織は生き延びている……
火刑法廷はふたたび歴史の闇へと沈んでいったが、いつの日か恐怖と共に我々の前に姿を現すことだろう……
その時こそ、私は逃がさない。

それから私はあいもかわらず科研の一員として、信じられないような激務に耐えているのです。
これはこれでやり甲斐を感じていたりする今日このごろなのであります。
【File10・終】

97 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/16(月) 14:17:38.67 ID:ZUss41DcP]
これでTHE鑑識官は終わりです

どなたかFCのファイアーエムブレム外伝をお願いします
特に『暗黒竜と光の剣』との接点を教えてください

98 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/17(火) 18:10:02.22 ID:O9qtpdaB0]
パスワードが必要だから、wikiのメニューの項目にあるスレを65から66に変えられない

99 名前:ゲーム好き名無しさん [2013/09/22(日) 20:29:13.35 ID:6StAsDVj0]
3DS「ファイアーエムブレム覚醒」をお願いします

100 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/23(月) 18:45:10.88 ID:bI3zkS/a0]
未解決一つ書き上げたので投下したいんですが、ここに投下して大丈夫でしょうか?
まとめwiki側の掲示板に投下した方がいいならそうします

いずれにせよ投下自体はするので、携帯アプリ「テイルズオブコモンズ」予約します



101 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/23(月) 20:46:30.22 ID:qoohhQet0]
むしろここじゃいけない理由がわからない

102 名前:テイルズオブコモンズ mailto:sage [2013/09/23(月) 21:16:23.15 ID:bI3zkS/a0]
>>101 何やら同時進行してるようでしたので、念のため優先があるのか確認をと

問題ないようなのでテイルズオブコモンズ投下します
他のテイルズアプリはプレイできなかったので他の方よろしく


テイルズオブコモンズ〜変わりゆく世界 信じる想い 共に歩んでゆくRPG〜

1レスで分かるテイルズオブコモンズ

人と精霊が、生まれてから死ぬまでずっと命を共有し、共に生きる世界・ディオニス。
二大国家による大戦の頃から何故か精霊が誕生しなくなり、人々は精霊を模した機械と共に生きるようになった。
しかし戦争の影響か、次第に自然や生態系に異常が発生し、人々は救済を求めるようになる。

そんな折、戦後初めて精霊を得たアルヴィンとセフィナが救済に必要な道具を見つけ出し、世界救済は間近となる。
ところが味方のフェルスが彼らを裏切り、道具を奪って世界崩壊の儀式を行ってしまった。
世界に絶望していたフェルスは、人間を間引いて、選ばれた人のみが救済を受けるべきだと考えていたのだ。

儀式により復活した古の精霊の王は、フェルスの考えとは違い、人を絶滅させようとした。
王は、勘違いに愕然とするフェルスを取り込むと、王を倒さんとするアルヴィンらに語った。

太古、人は精霊によって生み出されたが、やがて精霊に刃向かうようになった。
一人の精霊が、双方の命を共有させることで争いを収めたが、今度は人同士が争うようになった。
精霊が誕生しないのは、精霊がそんな人を拒んだからだが、人はそのことに気付かず代用品まで創る始末。
これほど愚かな生き物はこの世界には不要。我々が始末をつけるのは当然のことではないか。

私たちは友として、彼らと共に生きていたい――言葉に詰まったアルヴィンらに代わって、その精霊達が言葉を返した。
種族や性別、国や文化が違おうと、人や精霊は共に生きていける。二人は精霊と共に王へ戦いを挑む。
破れた王は、人の心と力を見守ってみようと言って命の共有を解くと、全ての精霊らを引き連れ空へと消えていった。

何度となく戦争を繰り返してきた二国だったが、この混乱の中で絆を強め、ついに一つの国となる。
それからしばらくして、精霊が生まれると言い伝えられる場所に、一体の精霊が姿を現すのだった。



以下詳細版に続く

103 名前:テイルズオブコモンズ詳細(1/8) mailto:sage [2013/09/23(月) 21:25:48.94 ID:bI3zkS/a0]
 テイルズオブコモンズ詳細

アルヴィン
 主人公。ユピテル人とユンファヤング人のハーフ。両親はすでに亡く、叔父とユピテルで暮らす。
 子供っぽく少々我儘だが、徐々に成長して周囲を見るようになる。機械を扱うのが得意。十代後半。
セフィナ
 ユンファヤング人の少女。華皇旅団本部のある町に一人住んでいる。ユピテルが嫌い。
 困っている人を放っておけない。アルヴィンと接するうちユピテルへの見方が変わっていく。十代後半。    
清雲
 華皇旅団の地方隊長のユンファヤング人。二人の保護及び教育係。天然ジルフィクシィを持つ。
 ユンファヤング王への忠誠は厚いが、どちらかに偏ることなく客観的に物事を見られる大人。四十代?
ユウ
 出身地など、名前以外が謎のド天然少女。やはり天然ジルフィクシィを持つ。
 助けてくれたアルヴィンを兄のように慕う。外見より幼く、独自のあだ名を含め変わった喋り方をする。


ディオニス………世界の名前。物語開始十六年前まで、二国が三度にわたる世界大戦を行っていた。

ユピテル…………大統領を元首とする国。科学技術に優れ、発展著しいためか古いものを軽んじる傾向がある。

ユンファヤング…王を元首とする国。伝統を重んじるため古風なものが多い。軍の他に優秀な忍びを有する。

華皇旅団…………二国の民からなる、華皇輪という秘宝を探す組織。大戦後に和平の象徴として創設された。
        天然ジルフィクシィを持つものが主なメンバーの様子。

華皇輪……………6枚からなる鏡の総称。世界の根幹に関わる秘宝だが、物語当初に発見されているのは1枚のみ。

ジルフィクシィ…一人に一体憑く精霊のようなもの。生死を主の人間と共にする。
        大戦の頃から自然のもの(=天然)が現れなくなり、現在は機械のジルフィクシィ(=人工)を使っている。
        天然、人工を問わず、ジルフィクシィが死ぬ(機能停止する)と主である人間は仮死状態に陥る。

※TOCにおけるアルヴィンは、TOX及びTOX2のアルヴィンとは一切関係ありません。

104 名前:テイルズオブコモンズ詳細(2/8) mailto:sage [2013/09/23(月) 21:32:42.62 ID:bI3zkS/a0]
 第1章

母の故郷へ向かい旅をしているアルヴィンは、不思議な歌を追って森の奥の神殿に辿り着く。
神殿にはセフィナがいたが、彼女は歌の主ではなく、ただ天然ジルフィクシィの出現を祈っていただけだった。
そんな風に二人が互いの事情を話していると、突然の光と共に二体の天然ジルフィクシィが現れる。
天然ジルフィクシィの出現に戸惑う二人。そこに謎の幼女が現れ、天然ジルフィクシィに襲いかかった。
腕の立つ幼女に圧倒され絶体絶命となった二人だったが、幸運にも通りがかった清雲に助けられる。
アルヴィンとセフィナは「戦後初の天然のジルフィクシィの主」として華皇旅団に保護されることになった。

華皇旅団の本部にて、被保護者兼旅団員となった二人は、清雲と共に華皇輪を探す任に就く。
旅を始めて間もなく、不思議な歌を耳にした一行は、奇妙な隠し通路の先に華皇輪を見つける。
奇妙なことに、不思議な歌はアルヴィンとセフィナにしか聞こえないようだった。
清雲は一連の出来事を自身の王に伝えるべく、ユンファヤングの都へと向かうと告げた。

ユンファヤングの都で王に謁見したアルヴィンらは、ユピテルの大統領へ書状を届けることになる。
森の神殿で襲撃を受けた幼女の言動が、かつてユピテルに存在した宗教団体の思想と酷似していたのだ。
一方、アルヴィンは、己の父がユピテルの騎士、母はユンファヤングの隠密だったと知り、複雑な気持ちを抱く。
(アルヴィンの父母は、互いの身分を知らずに出会い結ばれたが、戦争中は各々の国の命に従い戦った)

ユピテルへの道中、謎の集団に襲われはしたものの、一行は無事ユピテルの都へ到着する。
だが大統領は清雲の黒幕=ユピテル説を一蹴し、ことによってはまた戦争になると脅しをかけてくる。
その後一行はアルヴィンの家で今後を話し合うも、セフィナがアルヴィンとの意見の相違から家を飛び出す。
アルヴィンが清雲に窘められていると、外から悲鳴が聞こえてくる。道中襲ってきた集団にセフィナが浚われたのだ。

105 名前:テイルズオブコモンズ詳細(3/8) mailto:sage [2013/09/23(月) 21:36:59.73 ID:bI3zkS/a0]
 第2章

世界に二人だけの希少な存在であるアルヴィンとセフィナは、各所から狙われていた。
セフィナを一人にしたことを悔いながら、アルヴィンらはユピテルの秘密組織の研究所へと向かう。
見張りを上手くかわし、セフィナを見つけた一行だが、研究所は証拠隠滅のため火に包まれてしまう。
来た道を炎に呑まれ絶体絶命となったとき、アルヴィンとセフィナがあの歌を耳にする。
導かれるように歌を追った先には、戦時中に掘られたと思しき、ユンファヤングへ通じる隠し坑道があった。

坑道を進む途中、一行は例の幼女に襲われているらしい(?)ユウを見つけ、助太刀する。
相変わらず天然ジルフィクシィを狙う幼女を倒すと、自ら宗教信者の生き残りを名乗って消えた。
ユウを加えた一行は、拉致されていたセフィナの体調を考え、坑道出口近くの寺院で休息をとる。
ここでまた歌を耳にした二人は、寺院地下にてまたしても華皇輪を発見する。

旅団本部に華皇輪を預け、アルヴィンらは一連の報告のためにユンファヤングの都へと向かう。
城にて、一行と王が収集したユピテルの情報を総合して推察していると、慌てた様子の隠密が現れる。
華皇旅団本部が何者かに襲撃され、保管していた華皇輪三枚全てが奪われたというのだ。
王の命により隠密の里に向かった一行は、隠密の長からユピテルの長官が怪しいという話を聞く。

再びユピテルへと赴いた一行は、大統領が仕事、長官が休暇でそれぞれ不在だと知る。
何故要職の人間が二人同時に不在なのか。大統領不在の隙を狙って、長官が何かをするのでは?
急ぎ一行は街から離れた長官の屋敷へと向かうも、長官は屋敷の奥で変わり果てた姿となっていた。
アルヴィンは屋敷にいた騎士を問い詰めるが、大統領の命で不審な動きのある長官を調べていただけだった。
騎士は代わりに自身の調査結果の一部を明かし、華皇旅団地方隊長の一人に不審がある、と語った。

106 名前:テイルズオブコモンズ詳細(4/8) mailto:sage [2013/09/23(月) 21:43:27.65 ID:bI3zkS/a0]
 第3章

ユピテルの都に戻ると、大統領の不在に加えての長官の急逝に不穏な空気が広がっていた。
ユンファヤングに向く疑いの目に複雑な思いを抱くアルヴィン達だが、一度旅団本部へ戻ることに。
ところがその旅団本部のある街も大騒ぎになっていた。旅団本部が爆破され、総司令が暗殺されたらしい。
ユピテルの高官に、旅団の総司令……嫌な予感を覚えた一行はすぐさまユンファヤングの都へ向かう。

一行の予想通り、幸い軽傷に終わったものの、ユンファヤング王も襲撃を受けていた。
そこへ暗殺された筈の総司令が現れ、旅団襲撃はユピテルの騎士の仕業だと告げる。
絶対的な証拠はないものの、提示された状況証拠により、次第にユピテルを疑う空気が漂う。
ともあれ、世界の根幹に関わる秘宝を奪われた今、残りを掌握する他に道はない、と総司令は言った。
ユピテルの調査は隠密らに任せ、アルヴィンらは残りの華皇輪を探すことになる。

あちこちから得た情報をもとに、一行は残された三枚の華皇輪を次々に発見していく。
最後の華皇輪を入手した時、不思議な歌の主である女性・カナは、華皇輪を頼むと言って消えた。
ジルフィクシィが現れなくなった頃から、世界の気象や生態系は日に日に異常を増している。
何かが、ディオニスに起きようとしているのだろうか。華皇輪を持って、一行は旅団本部へと急いだ。

華皇輪発見の報告の最中、不在だったユピテル大統領が世界に向けての通信を行った。
「ユンファヤング及びユピテルは、ここ最近の混乱には無関係であり、全ては長官の一味の策謀である」
戸惑う一行に、総司令が「例の宗教団体は、かつて大統領が組織したもの」という衝撃の事実を告げる。
総司令の話をどう考えるべきか。通信のことも含め真実を聞くため、一行は大統領が身を潜める要塞へと急ぐ。

静まり返った要塞の奥には、ユピテル騎士団員達の亡骸と、旅団の一員であるフェルスとキーナがいた。
すっかり荒れ果てた様子の室内に驚愕しつつ、アルヴィンは二人に説明を求める。
大統領の身内であるフェルス達は、ユピテルの挙動に疑念を抱き、話を聞くべく要塞へ進入した。
しかし問答無用と騎士団を仕向けられ、応戦する間に、大統領は行方不明の華皇輪を持って姿を消したのだ。

107 名前:テイルズオブコモンズ詳細(5/8) mailto:sage [2013/09/23(月) 21:51:45.10 ID:bI3zkS/a0]
 第4章

大統領の逃亡で元首を失ったユピテルは、同じユピテル人である総司令が大統領を代行することになった。
ユンファヤングで王に報告を行った一行は、「天地龍脈解放」という華皇輪を使った救世の儀式があることを知る。
そのために旅団は華皇輪を探していたのだが、実はまだ、「龍脈文書」という儀式の説明書が必要らしい。
救世の道具とされる華皇輪だが、強大な力を持つがゆえ、使い方を誤れば世界崩壊をも引き起こしてしまうのだ。
アルヴィンらは文書を入手するため、忍びからの情報をもとに砂漠の果ての大遺構へと向かうことになった。

異常気象に荒れる砂漠を抜け、途中漆黒の翼なる珍妙な三人組に遭遇しながら、アルヴィンらは遺構に辿り着く。
遺構の最奥では、姿を消していた大統領が総司令を襲撃しており、一行に気付くとすぐさま逃走した。
総司令は一行と同様に文書を捜索し入手したのだが、その文書を狙っていた大統領に襲われたらしい。
ともあれ、これで状況は一転して大統領に不利となった。あとは奪われたままの華皇輪を見つけるだけだ。

遺構から戻って休息に寄った街で、清雲は子供から一行宛の大統領の密書を受け取る。
内密に一行だけに会いたい、という密書。大統領の真意を問うため、一行は指定された場所へと向かう。

漸く対面した大統領は予想外の真相を語った。黒幕は大統領ではなく、華皇旅団総司令その人だったのだ。
フェルスも総司令の仲間であり、要塞での一件は、真相を知る大統領を消して黒幕の疑惑を事実とするため。
(ただしキーナに関しては、フェルスを愛するがゆえに良いように操られている、と大統領は苦い顔をした)
華皇輪強奪も、旅団襲撃も、長官襲撃やユンファヤング王襲撃に至るまで、全て総司令の自作自演だったのだ。
総司令の目的は、世界の救済と、争いの原因にもなる華皇輪を闇に葬ることだ、と大統領は言う。
しかし目的が正しければ手段を誤っていい筈がない。大統領は総司令を見つけ連行するよう一行に告げた。

総司令は、今は閉鎖された宗教施設の地下で、酷い傷を負った状態で発見された。
辛うじて意識のあった総司令は、一行にフェルスを止めろと告げ、何があったかを告げ、息を引き取る。
フェルスは、世界崩壊という目的のために、総司令に従うフリをして時期を見計らっていたのだ。
キーナと、フェルスに心酔する旅団地方隊長を連れ、フェルスはユピテルのエルプズ塔へと去った。
道具が揃ってしまった今、世界崩壊まで時間がない。アルヴィンらは急ぎ塔へと向かう。

108 名前:テイルズオブコモンズ詳細(6/8) mailto:sage [2013/09/23(月) 22:02:15.31 ID:bI3zkS/a0]
 最終章(1/3)

塔に到着した一行は、塔の機能を統括する機械のところへ向かうが、そこには例の幼女が待ち受けていた。
フェルスが天然ジルフィクシィを餌に呼んだ幼女だったが、もはやアルヴィンらの敵ではなかった。
ついに力尽きた幼女は、天然ジルフィクシィが羨ましかったと本心を零すと、永い眠りについた。
時が違えば或いは、と落ち込むセフィナ。そこに機械を操作していたアルヴィンが顔色を失くして戻った。
フェルスは、全ての人工ジルフィクシィの機能停止、つまり世界中の人間の仮死を狙っていたのだ。

機械を使用不能にした一行だったが、直後に巨大な地震が発生し、遠方に天高く光の柱が立ち上った。
旅団本部のある町に戻ると、人工ジルフィクシィが機能停止し、その主である多数の人々が仮死状態になっていた。
機械は停止させた筈……一行は光の柱が立ち上ったという旅団本部を調べることに。
隠された地下室の奥には儀式場があり、傷ついた姿のカナがいた。ついに世界崩壊の儀式が成されてしまったのだ。
カナは苦しげな様子で、全ての始まりである森の神殿に来るように告げると消えてしまう。
町で聞いた「巨大なジルフィクシィに似た影」の目撃談を不気味に思いながら、一行は森へ向かう。

森の神殿の奥、アルヴィンとセフィナのジルフィクシィが現れた部屋で、一行は救済への決意を新たにする。
通路を進み、立ち塞がった地方隊長を退けるも、神殿に入った筈のフェルス達の姿はどこにもない。
アルヴィンらは、最奥の部屋で見つけた転送装置のような光へ飛び込んだ。

転送先は一面の銀世界だった。フェルスを追うため雪道を進む一行は、ねこにんの村を見つける。
休息を求めて入ったその村は、なんとユウの故郷であり、ユウは暫く行方不明になっていたらしい。
行方不明の間に発生した村の問題を、意気込むユウに引き摺られて一行は解決し、ねこにんの村に再び平和が戻る。
安心する一行の耳に、カナの歌が聞こえてくる。急ぎ声の方向へ向かうと、ねこにんに囲まれたカナがいた。

フェルスが行った崩壊の儀式が、ジルフィクシィの王ヤルトウェイを生み出してしまったとカナは語る。
このままではヤルトウェイは世界を崩壊させてしまう。阻止するにはヤルトウェイを倒さなければならない。
それではフェルス達はどうなるのか?その質問にカナは答えず、雪原の先にある空中都市に来るよう告げて消えた。

109 名前:テイルズオブコモンズ詳細(7/8) mailto:sage [2013/09/23(月) 22:11:32.38 ID:bI3zkS/a0]
 最終章(2/3)

明日が最終決戦になるのかもしれない。ユウの家でそれぞれ夜の時間を過ごす一行。
ユウは久しぶりの我が家に安心したのか、眠気に襲われて幸せな夢の中に落ちていった。
清雲とそのジルフィクシィは、かつての大戦前夜を思い出し、明日の共闘を誓い合った。
セフィナとアルヴィンは、広場のベンチで空を見上げて、この旅で得たことについて語り合った。
正反対の価値観の持ち主であった二人を含め、皆大切な仲間となれたように、きっと誰もが理解しあえると。

村の北の森から、ディオニスの遥か上空に浮かぶ空中都市へ転送した一行は、ヤルトウェイがいるという神殿へ急ぐ。
度々導くように現れたカナは、空中都市とジルフィクシィ、そして天地龍脈解放とは何かを語っていった。
 空中都市はもともとジルフィクシィの都であり、最奥の神殿は歴代の王の住まう場所だったこと。
 天地龍脈解放とは、太古に封印されたヤルトウェイの強大な力を、救済の力として利用するものであること。
信じがたいことではあったが、繋がっていく事実に納得せざるを得なかった。

古びた神殿の封印を解きながら先に進むと、探していたフェルスとキーナが待ち受けていた。
フェルスは、人類は一度滅亡せずにはまともな再生などできず、自分はそのために選ばれたのだと信じ切っていた。
アルヴィン達を放置したことを失敗だったと言い捨てたその顔に、初対面時の優しい先輩の面影はない。
フェルスに従うと決意したキーナも説得には応じない。二人を止めるには戦うしかなかった。

追い詰められたフェルスは、「自分は選ばれた筈なのに、なぜ力をくれない」とヤルトウェイに問いかける。
が、勘違いも甚だしいと鼻で笑ったヤルトウェイは、用済みとなったフェルスとキーナを己に取り込んでしまう。
二人を返せと一行は迫るが、ヤルトウェイは聞く耳を持たず、封印される前から見てきた人の傲慢さを語る。
 ジルフィクシィによって作られたにも関わらず、ジルフィクシィに刃向かった人は、ヤルトウェイを封印したこと。
 あるジルフィクシィの女王が、両者の命を共有させることで争いを収めたが、今度は人同士で争い始めたこと。
 挙句ジルフィクシィの代用品を創りだし、ジルフィクシィが現れなくとも何も感じなくなったこと。
 全ては人の、自らを正義と決めつけて他者を受け入れず、排除しようとする性質に端を発していること。
 そしてジルフィクシィが現れなくなったのは、そんな人の傲慢さをジルフィクシィが拒んだのが原因であること。
衝撃的な事実に言葉を失う一行。
勝利を確信したヤルトウェイは、一行のジルフィクシィ達にそんな傲慢な人など捨ててしまえ、と語りかける。
ところがジルフィクシィ達は口々に、主と自分たちは互いに望み望まれている。これからもそれは変わらないと返した。
逆上したヤルトウェイは、ジルフィクシィ諸共一行を消さんと襲いかかった。

110 名前:テイルズオブコモンズ詳細(8/8) mailto:sage [2013/09/23(月) 22:19:23.17 ID:bI3zkS/a0]
 最終章(3/3)

激闘の末、アルヴィン達は勝利を収める。
互いに強く望みあって出会えたアルヴィンやセフィナのジルフィクシィは、創造主を超える奇跡の象徴だった。
再び現れたカナは、私たちは誤っていたのかもしれないとヤルトウェイに語りかける。
ジルフィクシィと人の命の共有は、呪縛でしかなかったのかもしれない――寂しげに言うカナに、アルヴィンらが反論する。
確かに自分達とジルフィクシィは縛られているが、無理矢理共にいる訳ではなく、望んで共にいるのだと。
人の争いも、そもそもは互いに良かれと思う心と価値観の差に起因したもので、人は争いを望んでなどいなかったと。

少し考え、ヤルトウェイは言った。人が我らを超えられるのなら、今度こそ互いを認め合えるかもしれない。
ならば我らジルフィクシィは空に還り、人が真の平和を手に入れられるかどうか見守ることにしよう、と。
フェルスとキーナを返してヤルトウェイは消え、カナもまた、人のこれからに期待していると告げて消えた。

そして一行のジルフィクシィ達が輝き始める。ヤルトウェイが告げたとおり、別れの時が来たのだ。
再会を信じ、それぞれのパートナーに別れの挨拶をする一行。
ジルフィクシィと人は、本当はずっと昔から、目に見えない深いところで繋がっていたのかもしれない。
ならば遠からずまた会えるだろう。そう言い残し、ジルフィクシィらは空に還っていった。
多大な時間がかかるだろう。問題も数多と出るだろう。けれど強く願い行動していけば、いつか奇跡は起こせる筈だ。


その日、旅団本部のあった街で、復帰したユピテル大統領とユンファヤング王が宣言し、両国は一つの国ととなった。
人々が歓声を上げる中、風に揺れる国旗は、かつての華皇旅団のマークが描かれていた。

森の神殿の奥で、アルヴィンとセフィナはそれぞれのジルフィクシィに最近の出来事を報告していた。
まだジルフィクシィ達は戻ってきていないが、初めて出会ったここからなら、彼らに届く気がしていた。
ふとアルヴィンが時間を確認して慌てだす。清雲との約束の時間に遅れていたのだ。
また来るとだけ挨拶して、慌てて神殿を駆け出していく二人。
誰もいなくなった神殿に光が満ちる。光が収まったその場所に、一体のジルフィクシィの影があった。



 補足

ユウ   外見や言葉遣いは趣味で、実はねこにん。何気に公式イラストでも耳が見えない。
     偶然空中都市に迷い込み、足を滑らせるも傘でふわふわ落下し無傷、その後アルヴィンらと出会ったらしい。
フェルス ユピテル大統領の養い子で旅団の一員。孤児を理由に苛められたこともあり、本当の家族を求めている。
     自分にのみ聞こえる「声」を本当の家族と盲信し従っていたが、「声」は現実逃避からくる幻聴だった。
キーナ  華皇旅団頭領(父)とユピテル大統領(母)の娘。フェルスに恋愛感情を抱き、強く依存している。
     父母は考え方の違いから離婚しており、父を嫌う様子が度々見られるが、本心ではない。
カナ   不思議な歌の主。一行を時に導き時に助ける。「歌姫伝説」として昔から語り継がれている。
     明言はされていないが、人とジルフィクシィの命を共有させた女王の化身だと思われる。

モバイル版でもシリーズお決まりの要素は幾つかありました。



111 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/24(火) 22:17:01.02 ID:tPeubYxI0]
去年くらいにGBAのデビチル闇の書書いた人です
あれから光の書も発見してプレイしたんだけど規制やらで書き込めなかった
次レスから始めます

112 名前:真・女神転生デビルチルドレン光の書 mailto:sage [2013/09/24(火) 22:18:59.38 ID:tPeubYxI0]
メインの登場人物は前に投稿した闇の書と変わらない
前に書いてなかったランドと光の書ではよく絡む反乱軍のメンバーの紹介をしておく

ランド(名前変更可能)
ジンのパートナー。ソルレオンと言うデビル。光属性。

シュン
ヴァルハラ出身のデビルチルドレンで反乱軍のエース的存在。

ジュディ
反乱軍のメンバー。

ナオミ
反乱軍のメンバーで酒場でピアノ演奏をしながら情報収集をしている

ドレイル
反乱軍のリーダー。実は・・・

ブル&ガイ
ミノタウルスの兄弟。終盤仲魔にすることができる。



場所はヴァルハラの時の塔。
亜美と呼ばれる少女が1人の少年(シュン)と何か話している。
亜美は「光と闇の力」を探すために何処かに旅立とうとしているようだ。

場所は変わり、いきなり「ノルン」と名乗る女神が現れる。
名前を聞かれ(ここで主人公の名前を入力、ここでは「ジン」にしたことにする)、答えるとノルンの後ろの扉から転生の旅が始まる・・・

またまた場所は変わり、200X年の10月、東京原宿の地下街にあるゲームセンター。
「バトルネット」と呼ばれるデビルを戦わせるゲームで遊んでいたジンの元にレナがやってくる。
「学校で凄いものを見つけた」と言うレナと一緒に小学校へ。
ジンとレナはまだ授業が終わっていないアキラを誘いに行くと、ちょうど授業が終わりアキラが教室から出てくる。
レナが見つけた「凄いもの」とは「デビル図鑑」と言う本らしい。しかもデビルを呼び出す契約の言葉まで書いてあるんだとか。
デビル好きなジンは大はしゃぎ。デビルを呼び出そうと張り切っているとアキラの教室から見たこと無い女の子が現れる。
彼女は「亜美」と言い、今日アキラのクラスに転校した来たらしい。
何故デビルを呼び出そうとするのか?と問う亜美に「自分達は不思議クラブだから」と説得するレナ。
少し考えた後、亜美も同行することに。
図書室に行くと、レナがデビル図鑑を探している。ジンも一緒になって探すが見つからない。
後からやってきたアキラがデビル図鑑を見つけてくれた。
そしてジンとアキラは呪文を唱えだす。

113 名前:真・女神転生デビルチルドレン光の書 mailto:sage [2013/09/24(火) 22:21:36.83 ID:tPeubYxI0]
ケヤガ・カ・リカヒ レフ・アチミ・ミヤ
イニシエの ケイヤクにしたがい 姿を あらわせ
・・・コーーーーール!

すると本当にデビル・ガーゴイルが現れてしまう。
「ヴァルハラ」と言う場所から来たというガーゴイルを見てデビル好きのジンは大興奮。
このガーゴイルはヴァルハラを支配しようとする帝国軍のデビルで、ヴァルハラから姿を消した亜美を探してやってきたらしい。
レナは果敢(無謀?)にもガーゴイルに突っかかり、案の定捕まる。
すると亜美がデビライザーとヴェネコンをジンとアキラに渡す。
渡されたデビライザーをガーゴイルに向けると、デビライザーから激しい光と共に1体のデビルが現れる。
そのデビルはジンのことを「デビルチルドレン」と呼んだ。
デビルの名は「ランド」(変更可能)。ジンのパートナーとなるデビルである。
戦闘の末、ガーゴイルを撃退することに成功する。
ガーゴイルは「この世界に未来はない!時のユガミに閉じ込められた世界は滅ぶしかないのだからな」と言い残して姿を消す。
図書室を飛び出した亜美を追って学校の下駄箱の近くに行くと、中央に謎の渦。これがガーゴイルの言っていた「時のユガミ」らしい。
触ればどんなものか分かるだろう、と4人で時のユガミに触れる。
・・・と、下駄箱から少し離れたところに戻っている。ユガミに触れたことで時間が戻ったらしい。
亜美は自分が「ヴァルハラ」と言う異世界から来たことを告げると、時間が無いからヴァルハラへのゲートがある屋上の小部屋に来てくれと言い行ってしまう。
「仲魔を休ませてから追いかける」と言うアキラを残してジンとレナは屋上の小部屋へ急ぐ。
ジンはレナはこの世界に残るべきだと言うが、レナは自分だって何かの役に立てるはずだとゲートへ入ってしまう。
ジンはレナを追いかけてヴァルハラへと続くゲートに入った。

目を覚ますと、見知らぬ場所(時の塔)の休憩所のような部屋の中。
部屋から出るとレナと亜美が見知らぬ少年と共に居た。
少年の名は「シュン」ヴァルハラを制圧しようとする「帝国軍」と戦う「反乱軍」の一員で、彼もデビルチルドレンだそうだ。
3人は先に反乱軍のアジトに行ってしまう。
途中立ち寄ったハーミットと言う村で反乱軍の一員、「ジュディ」が帝国軍に捕まりそうになるのを助ける。
辿り着いた反乱軍のアジトで反乱軍のデビルと腕試しをして時間を潰していると
ちょうどリーダー、「ドレイル」が帰って来たのでそのまま作戦会議が開かれる。
シュンとレナがヴァルハラを救うために必要な「光と闇の力」を探すために魔界へ行くことに。
ジンは反乱軍と協力し、時のユガミを消すために必要な「時の鎖」を持つデビルが居ると言うハイドラの町を目指す。

114 名前:真・女神転生デビルチルドレン光の書 mailto:sage [2013/09/24(火) 22:23:27.36 ID:tPeubYxI0]
ハイドラの町に着くと、ちょうどシュンとレナが魔界から帰って来た。
「光と闇の力」についてはあまり収穫はなかったようだが、何とアキラに会ったらしい。
アキラは魔界を旅し、すでに時の鎖を手に入れているそうだ。
そして本題。今回の作戦は「炎の煉獄」に捕らわれている反乱軍の仲間を助けに行くこと。ジンはその煉獄の鍵を本隊に届ける仕事を頼まれる。
鍵を持つブルはハイドラ鉱山の中に居るそうなので、迷路のようになっている鉱山を進んでいく。
ブルに会うと、鍵はハイドラの町に居る仲間に預けたと言われ町に戻ることに。
今度こそ鍵を受け取ると、そこにジュディとガイが飛び込んでくる。
何と本隊が帝国軍に襲われてしまったのだ。同行していたレナは捕まってしまったとか・・・
「業火の谷」で待ち伏せしていた帝国軍を蹴散らし進むジンだが、健闘むなしく捕まってしまう。
しかし持ち物検査はされなかったのか、煉獄の鍵が手元にあるのでそのまま脱獄。
するとランドがランクアップ(この時の選択肢で魔法型かパワー型に分岐)
やっとの思いでレナを見つけるが、レナは「この煉獄の何処かに時の鎖を持っているデビルが居る、私のことよりそのデビルに会うことを考えて!」と言い残して帝国軍に連れ去られてしまう。
立ちふさがる帝国軍の将軍、アンドロマリウスを倒すとレナの望みを叶えるために煉獄の鍵を片っ端から開放し、ついに時の鎖を持つデビルを見つけることができた。
(鍵を持っていないデビル達からも「シュンとドレイルは上手く逃げたらしい」「反乱軍の作戦がどこかから漏れている」と言う話を聞くことができる)
ハイドラの町に戻り、レナを助けられなかったことを伝えると、ガイはレナを助けるためにも「光と闇の力」を探してほしい、その力はジン達の世界にある「魔界」にあるはずだと教えてくれる。

とりあえず時の塔から小学校に戻り、下駄箱にあった時のユガミを時の鎖を使って消す。
小学校のすぐ外や公園へ続く道にもユガミは発生していた。
すると公園の中に居た少年が「あそこに居る変な奴らがこの渦を作っているのを見た」と教えてくれる。
変な奴とは帝国軍のデビル。会話を聞いていると、何と反乱軍のリーダー、ドレイルが裏切り者だと言っている。
ともかくそのデビルを倒すと、「魔界はもう終わりだ」と言って消滅する。
学校の屋上の小部屋に戻るとちょうど魔界ゲートが開いたのでそこから魔界へ旅立つことに。

魔界ゲートのすぐ近くにある町、ヒューイではデビル達から
「魔界の王ルシファーが死んだ」「少し前に2人の人間がこの町に来た」「ヴァルハラから来た2人組にルシファーが殺された」と言う話を聞く。
しかし真偽の程が分からないのでルシファーのお膝元の町、セントラルランドへ。
ここでシュンがルシファーを殺したと言う話を聞くことが出来た。ルシファーの死は事実のようだ。
実際、ルシファーの城であるダークパレスへ行くと玉座の間で「フォロウ」と言うデビルが部下と思われる「グルヴェルグ」と言うデビルと何か話している。
「ヴァルハラの皇帝の言うとおりになった」とは・・・?
簡単に挨拶を済ませ、時の女神達に時のユガミのことを相談すべく玉座の後ろにあるゲートから「オルゴールルーム」へ向かう。
時の女神・ウルド、ヴェルザンディ、スクルドはルシファーの死により魔界が滅びようとしていることをジンに伝える。
シュンによるルシファー殺害も、時のユガミも、全てはヴァルハラの皇帝達の仕業。
その皇帝達は光と闇の力を恐れている。しかし光と闇の力について知っていたはずのルシファーが死んでしまった今、ジンは自分がどうすればいいのか女神達に問う。
女神達は「ルシファーの形見」があれば、ジンをルシファーが殺される前の時間に送り込むことができるかもしれない、と言う。
未来の魔界にある形見を見つけ出してくるよう頼まれたジンは時の塔にある時の最果てから未来の魔界へ行ってみることに。
ここでランドがランクアップ(選択肢により魔法型、万能型、パワー型に分岐)

115 名前:真・女神転生デビルチルドレン光の書 mailto:sage [2013/09/24(火) 22:25:09.38 ID:tPeubYxI0]
時の最果ては様々な時間に通じる扉がある狭間の空間。
今まで通れなかった扉を通り辿り着いた未来の魔界はヴァルハラとの戦争の末に荒れ果てていた。
フォロウには王は務まらない、それを分かっていて帝国軍はフォロウにルシファーを暗殺させて魔界の王に仕立て上げていたのだ。
王家の墓からルシファーの形見を発見し、オルゴールルームへ戻る。
時の女神達はルシファーの形見と自分達の力でジンを「ルシファーが殺される直前」に送り込んでくれる。
送り込まれたの先に居たのはルシファー、フォロウ、そしてシュンとドレイル。
「光と闇の力について教えて欲しい」と願うシュンに「君にはその資格が無い」と断るルシファー。
「どうしても教えてくれないのなら力づくで聞き出してやる!」と言うシュンの言葉と同時に、フォロウがルシファーの動きを封じる。
慌ててシュンを止めるジン。しかしシュンは「お前まで邪魔をするのか!」と襲い掛かってくる(正確にはシュンがコールした仲魔だけど)
どうにかシュンを退けると「よくも邪魔してくれたな!」とフォロウが続けざまに襲い掛かってくる。
それも退け、無事にルシファーの暗殺を阻止することができた。
ジンの力を認めたルシファーは「光の御子からの手紙を持つものにだけ伝えられることがある」と教えてくれた。
早速光の御子からの手紙を探したいところだが、シュンとドレイルのことも心配なので2人が向かったと言う氷の魔界へ向かうことに。

氷の魔界で人間の2人組が氷の神殿へ向かったと聞き、神殿の奥へ進んでいくと時の最果てへのゲートがあった。
ゲートの前にたたずむドレイル。
「もう帝国と戦う力は残っていない」と言うドレイルにジンは「最初から戦う気などなかったのだろう」と原宿で帝国軍のデビルの話を聞いたことを告げる。
シュンが現れ、嘘だ、何故だと問い詰める。
ドレイルは、ジンがヴァルハラに来る前に帝国に捕まっていたのだ。
皇帝達の前に引き出され、もう逆らうことはできないと確信した・・・
「こんな世界に生まれちまった俺たちが悪かった」「黙れドレイル、貴様ああ!」シュンがドレイルを攻撃する。
ジンに「時の鍵を手に入れろ」と言い残し、ドレイルは息絶えた・・・

ゲートを通り時の最果てに着くと亜美が居た。
亜美は悪い知らせ―レナが処刑されたこと―をジンに伝える。
「私がレナを巻き込んでしまったから・・・」としきりに自分を責める亜美。
ジンもまた、レナを救えなかった自分の無力さに打ちひしがれていた・・・
その時、作業をしていたデビルが今まで通れなかった扉が通れるようになったと教えてくれたので入ってみるとそこは過去の光の神殿。
神殿の奥でルシファーがヴァルハラを創るために旅立とうとしている光の御子と何か話していた。
2人が去った後、神殿にある宝箱を開けるとそこには光の御子からの手紙と「時の鍵」が入っていた。
今まで時のユガミを消すために使っていた時の鎖は1度使うと無くなってしまったのだが、
時の鍵は何度でも使える上、時の鎖では消すことの出来なかった大きなユガミも消すことが出来る。
だが、ユガミをいくら消しても意味は無い。やはり帝国軍をどうにかしなければ。

過去の世界で手に入れた手紙をルシファーに渡すと、ジンこそ光の力を受け継ぐに相応しいことを認めてくれる。
そして光の力がある光の神殿への道を教えてくれる。

116 名前:真・女神転生デビルチルドレン光の書 mailto:sage [2013/09/24(火) 22:26:17.91 ID:tPeubYxI0]
光の神殿で宝箱を開けると、そこには光の御子からのメッセージと「血脈の証」が入っていた。
光の御子と闇の貴公子は自分達が創ったヴァルハラが原因で今回の事件が起こることを知っていたのだ。
そこへ帝国軍の将軍・ビフロンスが現れ戦闘に。
ビフロンスを倒すと、血脈の証が輝きだしその力がランドに宿りランドが最終形態へ(この時の対応によって魔法型・魔法寄り万能型・パワー寄り万能型・パワー型に分岐)
光の力を手に入れたことをルシファーに報告すると、アキラがヴァルハラのエリュシオンと言う町に居ることを教えてくれる。

時の最果てに戻ると、そこにはシュンの姿が。
反乱軍は壊滅し、亜美までも帝国軍によって処刑されてしまったと聞かされる。
自分達の負けだと嘆くシュンに喝を入れ、レナや亜美のためにも皇帝を倒す力を得るためルシファーの元へ急ぐ。

エリュシオンの中央の塔の中で、同じように闇の力を手に入れたアキラと再会。
皇帝を倒すと言う約束を確認した2人はアヴァロンと言う町の先にある皇帝の居城、ティルナノーグへ向かう。
ティルナノーグの皇帝の部屋の目前でアキラと合流。
光属性の兄と闇属性の弟、2人の皇帝に対してジンとアキラはそれぞれ自分の力を反対の力を持つ皇帝と戦うことに。
苦戦の末皇帝を倒した2人だが、皇帝達はそれぞれ「光の狭間」「闇の狭間」に逃げてしまう。
ジンとアキラはそれぞれ後を追い、ジンは闇の狭間の最奥に辿り着く。
そこにはこの世界が生まれた時に生まれた魔物、「クェーサー」が眠っていた。
クェーサーは皇帝を取り込むと、ヴァルハラを創った力が自分を生み出したこと、時間と空間が生み出す全てを破壊することが望みであること、自分が全ての黒幕であったことをジンに話し始める。
世界の運命を任されたデビルチルドレンとして、ジンはクェーサーと戦い、勝利する。

すると光の御子に連れられて、エリュシオンの塔の内部のような場所へ。
光の御子と闇の貴公子はレナと亜美を蘇らせた上、1つ願いを叶えてくれると言う。
「新たな転生を」「更なる冒険を」「しばしの休息を」(解説は前に闇の書で書いたのと同じ)

117 名前:真・女神転生デビルチルドレン光の書 mailto:sage [2013/09/24(火) 22:29:52.14 ID:tPeubYxI0]
以上です
闇の書と共通の所は流用してます
せっかくレナや亜美と一緒にヴァルハラに来たのに「先に行くから」と置いてけぼりで結局1人旅する寂しさ
光闇の両方ともプレイしてみたけど、結局何だったの?ってことも結構あってちょっと勿体無いと思った

118 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/09/25(水) 07:37:21.71 ID:NLHqEzR+P]
乙!
デビチルのアニメ見たい

119 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/10/02(水) 18:17:23.50 ID:iwvT74vk0]
シャドウランもすでにwikiにあるが、未解決一覧から消していいのだろうか?

120 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/10/02(水) 18:34:09.05 ID:9zRxJu9b0]
シャドウランは書かれているのはSFC版のみで
メガCD版は未執筆だから消しちゃだめだぞ



121 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/10/02(水) 20:04:40.47 ID:iwvT74vk0]
●このスレの>>119までをWikiに収録
・以下を追加
「逆転検事」「SIMPLE2000シリーズ Vol.70 THE 鑑識官」
「テイルズオブコモンズ」「真・女神転生 デビルチルドレン 光の書」

●差し替え・追加スレッドの>>627までをWikiに収録
・以下を追加
「ゲゲゲの鬼太郎(PS)」「カードマスター リムサリアの封印」
「式神の城U」「エスパードリーム2 新たなる戦い 」
「アクトレイザー」「勇士の紋章 ディープダンジョンII


●未解決一覧
・以下を消去
「逆転検事」「SIMPLE2000シリーズ Vol.70 THE 鑑識官」
「Fallout:New Vegas(Lonesome Roadのストーリー)」消し忘れ
「テイルズオブコモンズ」「真・女神転生 デビルチルドレン 光の書」
「ゲゲゲの鬼太郎」「カードマスター リムサリアの封印」
「式神の城2」「エスパードリーム2 新たなる戦い」
「アクトレイザー」「勇士の紋章 ディープダンジョンII


・以下を追加
PS「serial experiments lain」(詳細なあらすじを)
FC「ファイアーエムブレム外伝」(「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」との関係を詳しく)
3DS「ファイアーエムブレム覚醒」

●書き込み途中
・以下を消去
「Call of Duty BlackOps2」

●執筆予告
・以下を追加
「Fallout」【9月】

122 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/10/02(水) 23:12:41.58 ID:Lva9ZpKW0]
>>121


123 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/10/03(木) 07:16:58.27 ID:TPUkQzDEP]
>>121
細かい報告乙

124 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/10/03(木) 18:33:46.36 ID:meu4gYan0]
Rokko Chan(ロッコちゃん)が未解決一覧の同人ゲーの所にあったので要約して書く。が、
製作者サイト行けば詳細が普通に書いてあるのでそっちを見に行った方がいい。
ゲーム内にも特にストーリーないし。

時は未来。生まれつき体が弱く死の病を患っていた寝たきりのロッコちゃんは皆の役に立ちたいという願いがあった。
父親はアンドロイド研究者のセイン博士。娘の願いをかなえるため同じ記憶を持ったロボットを作る。
人間のロッコちゃんはコールドスリープ。
開発が成功した後、時を同じくしてドクターマッドが特殊な電波で、世界中のロボットを操り暴走させた。
人の心を持ったロボット、ロッコちゃんは操られなかった。
人の役に立ちたいロッコちゃんは、セイン博士が止めるのも聞かず戦いに行く。

操られたロボット達六体を倒し、マッドの居城を攻略し、最後にはマッドの乗った兵器を破壊して、土下座させる。

125 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/10/07(月) 16:31:51.08 ID:kMxoCCRiP]
遅れたが乙

126 名前:ゲーム好き名無しさん [2013/10/07(月) 22:13:50.32 ID:jioTTvDc0]
未解決一覧の同人ゲームにタオルケットをもう一度〜fury〜があったけれど、
明日書いてもいいですか?

127 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/10/07(月) 23:18:05.29 ID:bPOxqO2T0]
「逆転検事」にちょっとだけ補足。
第5話で狼が冥を犯人と告発するシーンがありますが、
後にこれは演技だったと判明します。
カーネイジが強引に捜査を打ち切りにしようとしてきたので
捜査を続行させ証拠を集めるために、わざと冥を告発する芝居をうったわけです。
カーネイジは「これで冥が犯人になれば好都合」だと思い、捜査の許可を出した。
それが狼の狙い通りとも知らずに。

128 名前:ゲーム好き名無しさん [2013/10/08(火) 19:43:43.98 ID:O71p9mtl0]
未解決一覧にあった、タオルケットをもう一度〜fury〜の内容ですが、
要約したほうがいいですか?

129 名前:ゲーム好き名無しさん mailto:sage [2013/10/08(火) 20:52:41.39 ID:71y6Y0euP]
好きなように書けばいい






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