- 662 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 [2011/07/18(月) 10:28:30.19 ID:EdyBgn66]
- 840 :無なさん:2011/07/18(月) 00:43:55.61 ID:LfgQABcK0
「大正大震災大火災」(大正12年刊)って本を買ってきたのでうp TRTR(・Д・;) blog.livedoor.jp/roadtoreality/archives/51764225.html 地方のさわぎ 三重県下の新聞は九月二日、大阪からの通知を得て、 東京大地震大火災を報じた、曰く「東京全滅!死傷無慮九十万!」 しかもその報道は各新聞ともまちまちでどれを信じてよいかわからない。 東京に親戚のあるもの、子供を学校によこして置くもの、 奉公によこして置くものは、もういても立ってもいられない。 「町役場は、どうしたんや、早う訊いて来なはれ!」と町役場に、 駈け付けると、吏員先生曰く、 「何や?阿呆言うな。東京へ行こういやはっても、あかんわ! 東京市内は、今百五十度の熱さや!入るものはみな焼き殺される! 諦めなはれ、何や?糧食持って行こう言うのか、それも駄目、 途中で略奪されて叩き殺されるいうこっちゃ!」 そうどやされると、みんなは震え上がった。 「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏、あああ、こらどうしたものやろ!」 と手も足も出なかったが、惨憺たる報知は、櫛の歯を引く如くやって来るので、 東京市街戸塚の自分の弟の店に小僧を四五人世話して置く或る一人は、 その小僧の親への義として、どうしても行かねばならないと意を決し、 兵糧を携えて出発すると忽ち二三人の同志が出来る。 三日ようやく名古屋に入ると、もう気の早い避難者はポツリポツリやって来る。 「東京全滅じゃ!東京全滅じゃ!まるで昔の武蔵野原じゃ、これからはもう大阪じゃ。 なんもかも大阪に移る。えらいこっちゃ、江戸っ子もこれからは威張れんテ、 みな、あとから大阪へ逃げてくる。 東京にはもう猫の子一匹おらへんやろ、わしは、その一番乗りじゃ、先陣じゃ。 はよう大阪へ行って商売の準備でもしよか!」 さすが関西人だけに、どこまでも抜け目が無い。 (205ページ)
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