- 941 名前:923の人 mailto:sage [2007/03/29(木) 03:03:50 ID:/SMpVoCg]
- 食堂では、とりあえず泣き止んだカティアがココアを啜っていた。
泣き止んだ、とはいっても、時折ひっく、という声が聞こえるあたり、完全ではない。 ジョシュアは穏やかな表情をしながらカティアの背中をさすっていた。 「すいません、ジョシュアさん、お手数おかけしました。」 律儀にカティアについていてくれたジョシュアに礼を言うと、統夜はカティアの対面に座った。 「さっきはごめんなさい、統夜。ちょっと取り乱してしまったけど・・・もとから記憶はおぼろげだったし、もう大丈夫よ。」 琥珀色の瞳の端に涙を浮かべながらも、カティアはしっかりとした口調でいった。 (ただ無理してどうにか二人を引っ張っていこうとしてるだけよ、あの子は) カルヴィナの言葉が心の中で繰り返される。今も、どうにか統夜に弱いところは見せまいと気を張っているのだ。 そんな彼女に統夜ができる事・・・それは・・・ 「俺、地球に戻ってもヴォルレントのパイロット、続けるよ。」 ふえ?ときょとんとした表情を浮かべるカティアと対照的に、ジョシュアは真剣な顔になった。 「あ、あの、統夜・・・貴方は・・・」 「それでいいんだな?君は。」 統夜は力強く頷いた。ジョシュアはしばらく統夜の瞳を覗き込んでいたが、強い決意の光を見て取ったのか、すぐに微笑んだ。 「はい、どういう経緯かは知らないけど、ヴォルレントは俺に適合してる、そして、その力で、少しでも身近な人を悲しい思いから護れるなら・・・ 俺はヴォルレントのパイロットになります。」 統夜・・・とつぶやくカティアの表情がみるみる明るくなっていく。 「だから、カティア、もう少し俺に付き合ってくれるかい?」 「はい、こちらこそ!」 ジョシュアが顔をあげると、アクセルがちょいちょいと手招きをしている。邪魔をするなという事だろう。 状況を悟ったジョシュアは適当に理由をつけるとそそくさと退散を始めた。 (今は、ヴォルレントしかないかもしれないけどさ・・・一緒にやってゆくうちに見つけられる、いや、見つけてみせる。ヴォルレント以外に君の生きがいになる事) なんて心の中では思っていた統夜だったが、まだ流石に、それを口にするのは恥ずかしかった。
|
|