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【PSPでも】高木順一朗part3【ティンときた!】
- 1 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/02/18(水) 07:38:30 ID:uMVZTjkn0]
- /  ̄`ヽ
. | / _.ゝ ∠_ < おはよう、プロデューサー諸君。 / ヽ ここは私のスレだ。存分に語ってくれたまえ! ./ ヽ | || ヘ ヽ ・公式サイト ttp://www.idolmaster.jp/ ttp://765pro.jp/ 前スレ 高木順一郎part2 schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamechara/1215188574/ 過去スレ 【空気の読めない】高木順一朗part1【高木社長】 game13.2ch.net/test/read.cgi/gamechara/1190985945/
- 483 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/05/31(日) 11:49:12 ID:MK+5gveqO]
- 拝啓 高木順一朗様
こんにちは 私を覚えてますか? 私ですよ、私 あなたに10年前、ふられた哀れな女ですよ 今になってわかりました。 私にはあなたが必要です。 愛してるわよ、順一朗 PS.元気です、あなたの永遠の女
- 484 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/05/31(日) 14:39:08 ID:9esCGrAgO]
- 「私は女性には興味ないのだが…」
律子「ちょっと、小鳥さん!社長の声色真似して何独り言を言ってるんですか!」 小鳥「あっ、いえ…、何の事でしょう?」
- 485 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/05/31(日) 18:51:43 ID:pttEqraTO]
- 【審査員ですよ!】天海春香 55周目【審査員!】
schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamechara/1243687465/ 誰も報告しに来てないようなので
- 486 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/01(月) 19:06:28 ID:1gvF17ZKO]
- 秋月律子 眼鏡28本目
schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamechara/1243808952/ こちらも代理でご報告 前スレは名誉店長就任、ライブ、いとこ登場とネタの尽きないスレでした
- 487 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/01(月) 22:42:01 ID:F5IlCmlo0]
- アイマス世界でのプロダクションには「社長は黒塗りに限る」という不文律でもあるのだろうか…
- 488 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/01(月) 23:01:37 ID:Mi+4wDAeO]
- 社長、四周年ライブの重大発表とは何だったのですか
- 489 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/01(月) 23:09:36 ID:qwhf6oOj0]
- ティンと来なくて不採用だった娘が春香さんに救われヒロインになったという、社長の審査眼の衰え
- 490 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/01(月) 23:36:46 ID:KmkT8/U/0]
- はるるんが真っ黒な姿で登場する日も遠くないですね
- 491 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/02(火) 03:31:08 ID:mSM94qArO]
- 社長、先行メンバーの引退・卒業も視野に入れて活動した方がいいんでしょうか?
え?事務員の小鳥さんだけは残すんですか?
- 492 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/02(火) 12:07:56 ID:D1egvTx50]
- 社長は新人3人にはまだ足りない何かを感じたのさ
だから、まずは実質兄弟プロダクションの876プロで頑張ってもらおうと考えたのさ そもそも審査員って社長なのか? 某ハロプロなんて社長が見るのは、最終選考のメンバーだけらしいし 某ジャニー事務所なんて1度落ちた人にYOU残っちゃいないよとかいって勝手に合格させちゃうほど社長自身は適当なとこあるみたいだし
- 493 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/02(火) 18:55:28 ID:7t/S9vrq0]
- まあ、新登場キャラもまだあの三人だけとは決まってないけどね
審査に合格したアイドル候補生もいるだろうし… 事前に登録された略称DSの名前はあと二つあるし
- 494 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/02(火) 19:25:31 ID:cBrN65Zu0]
- まあ、登録されたからと言って全て使われるわけでもないからな。
- 495 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/03(水) 10:49:57 ID:J5xHnZM8O]
- 【宇宙だって】萩原雪歩 深度36m【掘っちゃいます】
schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamechara/1243956977/ 荻原さんの進化に限界はないのですか社長
- 496 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/03(水) 16:22:11 ID:GuJoe9zYO]
- 謎多き社長が大好き
- 497 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/05(金) 14:46:38 ID:uYEioP7MO]
- ガチで最近順一朗たんが好きになった
- 498 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/06(土) 06:25:41 ID:SgXjY9kF0]
- 【ミキはミキだよ】星井美希46あふぅ【よろしくね】
schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamechara/1244216065/ ttp://imasupd.ddo.jp/~imas/cgi-bin/src/imas47165.gif 甜菜だけど、美希も祝福の笑みを…オレハアスシヌカモ(*´Д`)/ヽァ/ヽァ
- 499 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/06(土) 09:31:56 ID:gpIy4l8b0]
- クソビッチのスレ貼るなksg
- 500 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/06(土) 09:38:01 ID:gIR69ET50]
- 木曽路?
- 501 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/06(土) 09:38:41 ID:bqLPmgSt0]
- 春日?
- 502 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/06(土) 14:49:05 ID:XIXAcQRS0]
- か〜すが?
- 503 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/06(土) 16:44:56 ID:Mw9Kd9U2O]
- 順一朗のここは空いてますよ?
- 504 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/06(土) 17:11:44 ID:YnnNktwX0]
- 呼び捨てにすんな
- 505 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/06(土) 18:06:32 ID:nxoE+ALZ0]
- 順ちゃんと呼んでくれてもかまわないのだよ
- 506 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/06(土) 21:42:18 ID:EOTiG3Rc0]
- 高木「エヘッ♪」
- 507 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/06(土) 22:12:42 ID:4ZqvLOOW0]
- >>500
美希をしゃぶしゃぶに連れてったら、財布が死ぬぜ?
- 508 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/06(土) 22:47:21 ID:Mw9Kd9U2O]
- み、美希くんをしゃぶしゃぶ…だと…
き、君はプロデューサー失格だ え? そのしゃぶしゃぶではない? ハハハ じょ、冗談に決まっているだろう、諸君 な、なんだその冷たい目は! や、やめたまえ ウアーン
- 509 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/06(土) 23:44:27 ID:UA5Bw9K20]
- 社長のクラスメートの同級生になって、ドキドキしながら「高木君…一緒に帰ろう?」と誘いたい
- 510 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/07(日) 00:13:52 ID:leFqF8xIO]
- 高木「あ、雨だ…」
>>509「傘忘れちゃった…」 高木「ぼ、ぼく、折りたたみ傘あるよ。一緒に入ろ」 509「あ、ありがとう…」 … 509「雨やまないね…」 高木「だね。でもうれしいよ」 509「どうして?」 高木「大好きな人と一緒に一つの傘に入って帰れるからかな」 509「高木くん…」 高木「ずっとずっと大好きだったんだ。愛してるよ」 509「…ウッ」 高木「ど、どうしてなくの?」 509「あたしも高木くんのこと…大好きだよ」 ガバッ 高木「傘ささないと濡れちゃ…」 509「大丈夫。高木くんあったかい。濡れても冷たくないよ」 チュッ
- 511 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/07(日) 13:03:50 ID:oKF0k12f0]
- >>509
順一朗<一緒に帰って友達にウワサとかされるとハズカシーし
- 512 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/07(日) 13:07:33 ID:cOd1vfDw0]
- 実は春香Pもびっくりなフラグクラッシャーだったのかもな…
- 513 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/07(日) 14:12:16 ID:iW5pg1kxO]
- >>510
社長のSSって初めて見た気がする…
- 514 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/07(日) 14:25:48 ID:cOd1vfDw0]
- 1スレで、社長が各アイドルを採用する過程を描いたSSが連載されていたんだぜ
- 515 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/07(日) 14:27:03 ID:d+0/IX6pO]
- あのSSは良かったな…各キャラの特徴掴んでたし
- 516 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/07(日) 14:34:46 ID:WFE9qlLg0]
- ああ、あれはもう1年以上前じゃないかな
懐かしいな
- 517 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/07(日) 20:04:43 ID:odA3xAHO0]
- 誰か再掲してくれないか?
- 518 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/07(日) 20:52:38 ID:iW5pg1kxO]
- おお、そうだったのか…
いろんな社長を見てみたいな…
- 519 名前:SS再掲/千早・1 mailto:sage [2009/06/07(日) 21:34:22 ID:LTbFyX3m0]
- 「ここか……」
八月のある日。私は、とある市民会館を訪れていた。 そこで開かれる素人のど自慢大会を見るためだ。 といっても、勿論、ただ見物に来たわけではない。有望そうな人材を見つけ、スカウトすること。 それが目的だった。新人発掘のために自社でオーディションも行っているのだが、如何せん我が社は 知名度が低く、なかなか人が集まらない。広告に使える予算も多くはない。そこで、社長である私が スカウトを兼務していたりするわけだ。涙ぐましい経営努力とは思わんかね? ……あ、いや、話が逸れてしまったな。オホン。 話を戻そうか。 私はホールの客席に座り、参加者の歌を聴くことに専念した。 素人とはいえ、のど自慢大会に出ようかというだけあって、なかなか歌の上手い参加者が多い。 だが、それだけだ。 カラオケで少々上手い程度では、プロとしてやっていくには足りない。 何か人を惹きつける魅力が必要だ。 そう思いながら歌を聴き続け、そして何人目の参加者だっただろうか。 一人の少女がステージに立った。 幼いな……というのが、正直な第一印象だった。 中学三年生というアナウンスに、私は納得した。この大会における、最年少の参加者だった。 それだけでも私の興味を引いたが、彼女が歌い出して、更に驚かされることになった。 「これは……」 華奢な体格からは想像もできない、伸びやかで、澄み切った歌声。 それまでの参加者とは一線を画する圧倒的な歌唱力。 一言でいえば、ピンと来たのである。 是非とも彼女を765プロに迎えたいと思った。 だが、何の心配もなかったかというと、そうでもない。 歌っている時の生き生きとした表情に比べ、歌い終えてステージから去る時の横顔があまりにも 無表情すぎた。まるで、歌うこと以外には興味ありませんといった顔。あのままでは、プロとして やっていく上では問題がありすぎる。けれど、それを理由に声をかけないのは、戦わずして負けた も同然。私は、あの如月千早という少女をスカウトすることを決めた。 予想にたがわず、如月千早は大会に優勝した。 しかし、私は授賞式を最後まで見ることなく、席を立った。
- 520 名前:SS再掲/千早・2 mailto:sage [2009/06/07(日) 21:35:05 ID:LTbFyX3m0]
- 市民会館の外で人を待つ。
程なくして目当ての人物が姿を現した。 大会優勝者とは思えない浮かない顔をしたその少女は、意外なことに保護者同伴ではなかった。 何か理由があるなとは思ったが、余計な想像を一旦脇に退け、私は少女に声をかけることにした。 「如月千早くんだね……」 「はい、そうですが……。あなたは?」 あからさまに警戒した表情を見せる彼女に、私は名刺を差し出した。 「申し遅れたが、私はこういうものだ。芸能プロダクションを営んでいる」 「ななひゃくろくじゅうごプロダクション……の、高木社長?」 「いや、そこの数字のところは『なむこ』と読んでくれたまえ」 「765プロダクション、ですか」 「そうだ」 「それで、私に何かご用でも?」 「うむ。先程の大会で、君の歌を聴かせてもらった。実に素晴らしい歌唱力だと思う」 「はぁ、ありがとうございます」 「どうかね。プロとしてデビューしてみる気はないかね?」 私の言葉に、彼女の表情が少し揺らいだのがわかった。 「デビュー、ですか……?」 「そうだ。我が社は、アイドルの育成、マネージメント、プロデュースを専門としていてね。もし君が アイドルに興味があれば――」 「アイドルには、興味ありません」 素気ない返答。だが、その程度で動揺する私ではない。 「そうかね。だが、君が歌手として身を立てていきたいと思っているのなら、アイドルを入り口とする ことも、ひとつの選択肢たりえると思うがね」 私がそう言うと、彼女は少し顎を引いた。 「…………」 考え込んでいるのが明らかにわかる。おそらく自分で思っているほどには、彼女は己の感情を隠し 切れていない。まだ子供ということでもあるし、根が素直ということでもあるのだろう。 私は、如月千早という少女に好感を覚えた。 「まぁ、結論を急ぐことはない。君は、まだ若いのだからね。考える時間はたっぷりある。高校受験が 終わってからでもいい。私の話を思い出してくれたら、連絡してきてくれたまえ。我が765プロは いつでも君を歓迎するよ」 「ありがとうございます」 感謝の言葉が返ってきたことに私は驚いたが、それが彼女本来の持ち味なのだろうと思いなおす。 「それでは、失礼するよ。また会おう」 私は彼女に背を向けて、駅へ向かって歩き出した。 理由はわからないが、彼女とは必ず再会できる予感がした。 彼女――如月くんが765プロの扉を叩いたのは、それから半年後のことだった。
- 521 名前:SS再掲/雪歩・1 mailto:sage [2009/06/07(日) 21:35:56 ID:LTbFyX3m0]
- 「意外と応募があったな」
「よかったですね、社長」 「まったくだよ。予算をかけた甲斐があったというものだ」 私は会議室で、山のような封筒を目の前にしていた。 我が765プロダクションのアイドル候補生募集に対し、これだけのリアクションがあったことに ひとまず安堵する。それなりの予算を掛けて広告を打って、何の反応も無かったら、寂しいどころの 話ではないからな。 事務員の音無くんに手伝ってもらいながら、応募書類を仕分けていく。 「ふむ……」 やはりめぼしいものは少ない、か。 予想していたといえ、なかなか有望なアイドル候補生を見つけ出すことは難しいと、改めて実感する。 だが、必ず原石はある。未だ発掘されず、眠っている才能を見出せる筈だ。そう信じて、応募書類の ひとつひとつを念入りにチェックしていく。 と、ひとつの書類に目がとまった。 「どうしたんですか、社長」 そう訊ねてきた音無くんに、書類一式を見せる。 「この子は、どうかね?」 名前は、荻原雪歩。 どこにでもいるようなボブヘアの少女。見た目に派手さはない。だが……。 「例の、ピンと来た、ですか?」 音無くんが、どこか揶揄するような口調で言う。 「うむ。音無くんは、どう思うかね?」 「どれどれ……。なかなか可愛い子ですね。ちょっと地味かなとは思いますけど。……履歴書の文字と 写真から受ける印象がちぐはぐですね。友達が勝手に応募したのかしら」 「そう言われてみると、写真のアングルがちと不自然ではあるな……」 「で、どうされるんです?」 「うむ……。一度、直接会って話がしてみたいな。音無くん、書類選考通過の通知を、この……荻原くんに 送っておいてくれたまえ」 「わかりました、社長。それと、その子の名字は荻原じゃなくて、萩原ですよ」 「なんと!?」 「本人の前で間違えちゃダメですよ。その子、気弱そうだから、自分から訂正できないかもしれませんし」 「うむ、気を付けよう……」 それから、私は「はぎわら」と口の中で三度繰り返した。 人の名前を間違えることほど、失礼なことは無いからな。 *** それから、二週間後。 指定した時刻から十五分ほど遅れて、萩原雪歩くんが事務所を訪れた。 「社長。萩原さんを会議室にお通ししておきました」 「ありがとう。では、行ってくるよ」 会議室に入ると、大人しそうな印象の少女が椅子に座っていた。 「765プロダクションの社長をしている高木です。今日はよろしく」 そう声を掛けると、少女は椅子から立ち上がってお辞儀をした。 「はじめまして、萩原雪歩です。よろしくお願いします」 「少し遅刻したようだが、体の具合でも悪かったのかな」 「いえ。その、散歩中の犬と出会って、体がすくんじゃって……」 「犬が苦手なのかね?」 「はい。……ダメダメですよね、こんな犬が苦手な女の子なんて」 むむ。随分と自己評価が辛いのだな。 「そんなことはないと思うがね。では、面接を始めようか」 「はい」
- 522 名前:SS再掲/雪歩・2 mailto:sage [2009/06/07(日) 21:36:43 ID:LTbFyX3m0]
- 「まず、アイドル候補生に応募した動機を聞かせてもらえないかな」
「えっと、その、実は友達が勝手に応募しちゃって。まさか書類選考を通過すると思ってなくて、 びっくりしたんですけど」 ふむ。音無くんの読み通りだったな。 「友達が勝手に応募したということは、萩原くん自身はアイドルになるつもりはなかったのかな」 「そう、でした」 「書類による一次選考は通過したとはいえ、今日の面接を断ることもできた。けれど、君はここへ やってきた。その理由を訊いてもいいかな」 「はい……。確かに、アイドルになろうと思ってはいませんでした。だけど、今日ここへ来たのは、 自分を変えたいと思ったからなんです」 「自分を変えたい、とは?」 「あの、私、人からも言われるし、自分でもそう思うんですけど、気が弱くて、後ろ向きな性格で……。 でも、それじゃいけないと思ってて。それで、アイドルを目指すことで、新しい自分に生まれ変わ……れる かどうかわからないですけど、でも、そうなれたらいいなと思って」 そう話す萩原くんは、明らかに緊張していて、落ち着かない様子だった。 だが、それでも一生懸命に自分の言葉で話す姿には好感が持てた。 あまりオドオドしているのは問題だが、逆に言えば、その点をうまく克服できれば、大きく成長できるのは 間違いないと思えた。 「なるほど。では、今はアイドルを目指す気持ちでいるわけだね」 「はい……」 「よし。それじゃあ、日を改めて実技――つまり、歌とダンスのレベルを見せてもらいたいと思う。 その上で、今後のレッスン方針を決めていこう。場所と日時については、追って連絡させてもらうよ」 「え……?」 「どうかしたのかね?」 「あの、面接って、これで終わりですか? 自己アピールとかしなくていいんですか?」 なかなか生真面目な面もあるのだな。 「十分に、萩原くんのアピールは聞かせてもらったよ。緊張していて、十分に君の持ち味が発揮された とは言えないが、その可能性は感じられた」 「それじゃあ……」 「うむ。我が765プロダクションは、君を『アイドル候補生』として迎えたいと思う」 「あ、ありがとうございます」 「なに、礼を言われるようなことではないよ。これからの君の頑張りを応援しようというだけのことだ。 全ては自分次第だということを忘れずにな」 「はい」 「では、今後のスケジュールは後で連絡するから、今日は帰ってゆっくり休みたまえ」 「はい。失礼します」 *** 「おはようございます、プロデューサー」 「おはよう、雪歩。今日は、オーディションだな」 「私、大丈夫でしょうか?」 「レッスンでやったことを思い出して、リラックスして挑めば大丈夫だよ。自信を持って」 「はいっ!」 萩原くんのデビューから半年が経った。 レッスンを通じて実力を付け、順調にランクアップを果たしている。 担当プロデューサーとの相性も良いようだ。 仲良きことは美しきことかな、だな。 「では、今日の流行情報を伝えよう。二人ともしっかり頑張ってくれたまえ」
- 523 名前:SS再掲/春香・1 mailto:sage [2009/06/07(日) 21:37:54 ID:LTbFyX3m0]
- 765プロダクションの社長の高木だ。皆、元気にしているかな?
先日締め切りを迎えたアイドル候補生の募集だが、幸いなことに予想を越える多数の応募があった。 書類選考の末に、採用候補者を十数名にまで絞り込み、一人一人と面接を行う日々が続いている。 実際に会ってみると、書類選考時とは全く違った印象を受けることも少なくない。 もちろん、そうしたイメージギャップが吉と出ることもあるが、凶と出ることもある。凶と出た場合 には、アイドル候補生として採用することはできない。残念ではあるが、致し方ないことでもある。 限られた予算の中で候補生を採用し、アイドルデビューさせてゆかねばならない以上、少しでも素質の ある者を選ばなければいけない。落選通知を送るのは、決して憎いからではないのだよ。 おっと、また話が逸れてしまったようだな。いかんいかん……。 「社長、誰とお話ししているのですか?」 「お、音無くん! 驚かさないでくれたまえ……」 「いえ、その……。今日、面接予定の天海さんが来られましたよ。会議室にお通ししておきましたから」 「おお、すまないね。では、ちょっと行ってくるよ」 軽くノックをして、会議室のドアを開ける。 その途端、派手な物音がした。 「な、何事だね……?!」 慌ててドアを開けて室内に入ると、倒れた椅子と床に転がっている少女が目に入った。 「え〜っと、天海春香くんかな?」 「は、はい……」 「大丈夫かね? かなり派手に転んだようだが……」 「だだだ大丈夫です。あの、立ち上がって挨拶しなきゃと思ったら、椅子を後ろに引くのを忘れてて、 足がテーブルに引っ掛かって、それで勢い余っちゃって……」 どうやら、天海くんは随分とそそっかしい子のようだ。 暇そうにしてても、お茶汲みはさせない方がよさそうだ。が、そういう雑用を自分から進んでやり そうな気がするのは、何故だろう。 私がそんなことを考えている間に、スカートに付いた埃を払って立ち上がると、天海くんは私に向かって 丁寧に頭を下げた。 「はじめまして、天海春香です。よろしくお願いします」 「765プロダクションの社長の高木です。こちらこそ、よろしく」 「え、社長さん……!?」 「そうだが……?」 「うわーっ、私ってば、社長さんの前でなんてみっともないところを見せちゃったんだろう。……あのぉ、 今の無しにできませんか?」 「無茶を言わんでくれたまえ」 「で、でも……」 「まぁ、落ち着きたまえ。多少転んだくらいで、選考にマイナス評価を付けたりはしないから、安心しなさい」 「ほ、本当ですか?」 「本当だとも。では、そろそろ席について。面接を始めよう」 「はい」 「では、まずアイドル候補生に応募した動機を聞かせてもらえるかな」 「はい。……といっても、そんな大それた動機じゃないんですけど。私、小さい頃から歌うことが 好きで、それでずっと歌っていられたらいいなと思って、それでたまたま今回のアイドル候補生 オーディションの募集広告を見つけて、試しに受けてみようと思ったんです」 「ふむ。でも、ただ歌うだけなら、わざわざアイドルを目指さなくとも、カラオケで歌えばよいのでは ないのかね?」 「確かに、そうかもしれません。でも、カラオケだと自分が楽しいだけでしょう? あ、もちろん一緒に 行く友達もですけど。だけど、できることなら、もっと大勢の人に楽しんでもらいたいって思うんです。 大きなステージで歌って、大勢のお客さんに喜んでもらえたら、素敵だなって」 聞きようによっては、如何にも優等生的な答えにも取れる。 だが、決して取り繕って言っているのではなく、本心からそう思っているのだということが、彼女の 表情から伝わってきた。もし、これが演技だとしたら、相当な演技派だ。それはそれで優れた才能だろうが、 彼女の場合は違うと私の直感が告げていた。
- 524 名前:SS再掲/春香・2 mailto:sage [2009/06/07(日) 21:39:20 ID:LTbFyX3m0]
- 「なぜ、そう思うようになったのかね?」
「えっと、小さい頃の話なんですけど、家の近所の公園に歌の上手なお姉さんがよく来ていて、私、 そのお姉さんに歌を教えてもらったり、一緒に歌を歌ったりしていたんです。それが、とても楽しくて。 あと、人に歌を聴いてもらうことを最初に意識したのも、その時なんですよね」 「というと?」 「みんなで歌を歌っていたら、近所の人たちが拍手してくれたりとかして。自分の歌で人が喜んで くれるって、とても嬉しいことですよね。それが忘れられなくて、だからアイドルになりたいって 思ったのかな……。きっと、そうなんだと思います」 「なるほど……」 思い出を語る時の生き生きとした表情を見ていると、何だかこっちまで楽しい気分になってくるから 不思議なものだな。 一見して取り立てて特徴のない、平凡な女の子。 だが、そのハートには温かな情熱が詰まっているというわけか……。 まぁ、ちょっとそそっかしいところが気にはなるが、この点をプラスに転じることができれば、 この上ない個性にもなり得る。それほど懸念すべき要素ではなかろう。 どうやら褒め言葉で育つタイプのようだから、要所要所で上手く褒めてやる必要はあるかもしれんな。 「それでは、実技――つまり、歌とダンス――については、日を改めて見せてもらいたいと思う。 そのレベルを確認した上で、今後のレッスン方針を決めていこう。詳細については、追って連絡させて もらうよ」 私がそう告げると、天海くんはきょとんとした表情を浮かべた。 「えっと……?」 「つまり、我が765プロダクションは、君を『アイドル候補生』として迎える、ということだよ」 「本当ですか!?」 「勿論だ。天海くんの歌への熱い思い、しかと聞かせてもらったよ。そのまっすぐな気持ちを忘れる ことなく、精進を重ねて欲しいと思う」 「はいっ」 「デビューが決まれば、担当プロデューサーを付けることになると思うが、それまでは候補生として 基礎レッスンに励んでもらうことになるだろう」 「わかりました」 「今後のスケジュールは後で連絡させてもらうよ。今日のところは、帰ってゆっくりと休みたまえ」 「はい。それでは、失礼します」 *** それから二ヶ月後。 私は、天海くんを面接したのと同じ会議室で、スカウトして間もない新人プロデューサーと 打ち合わせをしていた。 仕事内容について簡単な説明を済ませ、担当するアイドル候補生を決めることになった。 所属するアイドル候補生のプロフィールを彼の前に並べる。いずれも個性豊かな女の子たちだ。 その中から、彼は天海くんのプロフィールを手に取った。 「この子を、プロデュースしようと思います」 「お、天海春香くんを選んだか。彼女とは、たしか先ほど、顔を合わせていたな」 「はい。とはいっても、軽く挨拶しただけなので、何もわかりませんけど」 「あの子は……、まあ、普通の子だから。君でも、さほど苦労することはないだろう。天海くんは、 どうやら近くの公園に行ったようだ。早速迎えに行き、活動を開始してくれたまえ」 「はい!」 元気よく応えて、プロデューサーは会議室を飛び出していった。 普通だなんて言うと天海くんは怒るかもしれないが、他の子たちは一癖も二癖もあるからなぁ。 決して悪気があったわけではないのだよ――と、心の中で謝って、私も会議室を後にした。 二人の前途に幸あらんことを。
- 525 名前:SS再掲/真・1 mailto:sage [2009/06/07(日) 21:40:22 ID:LTbFyX3m0]
- 土曜の午後。私はアイドル候補生の天海君と萩原君を連れて、とあるCDショップを訪れていた。
大型ショッピングモール内にあるこの店舗には、地元FM局のオープンスタジオが設けられており、 毎週土曜と日曜には番組収録の様子を見学することができる。 今日は、某有名アイドルが番組にゲストとして呼ばれ、ブースの中でパーソナリティとトークをしていた。 レッスンも大事ではあるが、こうして現役アイドルの姿を見ることで仕事のイメージを掴むことも 有意義かと思い、アイドル候補生の二人を連れてきたわけである。 三十分程度の番組収録の後で、天海君と萩原君に感想を尋ねてみた。 「歌が上手なだけじゃダメなんですね。頑張らないといけないこと、沢山あるんだなぁ」 そう天海君が言うと、 「私、あんな風にちゃんとお喋りできるかなぁ……」 と萩原君も不安げな表情を浮かべる。 「まぁ、いきなり何でもできる人間などおらんよ。あのアイドルも、地道な努力の積み重ねで今の地位を 獲得したわけだ。千里の道も一歩から。今の天海君と萩原君は、いわばタマゴの状態だ。これから大きく 成長するためにも、デビューに備えての準備を怠らないようにしないとな。さて、今日は夕方からレッスン だったな」 「はい」 「それでは、少し早いが、そろそろ事務所に帰るとしよう」 「はい」と天海君が返事する傍らで、萩原君がおずおずと声を上げた。 「あのぅ、その……」 言葉尻の歯切れの悪さと、もじもじした態度に、私は思わず苦笑した。 「行ってきなさい。私たちは先に行って、噴水広場のところで待っているから」 「は、はいっ」 小走りに御手洗いへ向かう萩原君を残して、私は天海君とCDショップを出た。 ショッピングモールの中央に設けられた噴水広場で、萩原君を待つ。 だが、なかなか萩原君がやって来ない。 「遅いなぁ、雪歩」 「幾ら何でも遅すぎるな。何事もなければいいのだが……」 「私、様子を見てきます!」 そう言って駆け出そうとする天海君を呼び止める。 「待ちたまえ。私も一緒に行こう」 「はい――って、あれ?」 「ん?」 天海君の視線の先には、萩原君の姿があった。どうやら無事らしい。 が、隣にいるのは誰だろう? 一瞬男の子かと思ったが、よくよく見ると萩原君や天海君と同年代の女の子のようだ。 そうこうしているうちに、萩原君は私たちの前までやってきて、申し訳なさそうに頭を下げた。 「すみません。その、お待たせしてしまって……」 「いやいや、無事で何より。それにしても、何かトラブルでもあったのかね?」 「そのぉ、犬が……」 そういえば、萩原君は犬が大の苦手だったな。 「ちょうど、その向こうの休憩コーナーのところに、小犬を連れた人がいて。それで萩原さんが立ち往生 していたんで、ボクが萩原さんと犬との間に壁のように割って入るようにして、そうやって何とか通り 抜けてきたんですよ。へへっ」 自分のことをボクと呼ぶ、その少女の顔には見覚えがあった。 「君は?」 「菊地真です」 「キクチマコト君、か……。念のために訊くが、君は女の子だね?」 「そんなの当たり前じゃないですか! ひどいなぁ……」 「いや、決して悪気は無いんだ。あくまでも念のためであってね。……そうだ。もしよかったら、ちょっと お茶でもどうかね? 萩原君を助けてくれたお礼の代わりと言っては何だが」 「そんなお礼なんて……。ボクは、当然のことをしただけだから」 「まあ、無理にとは言わないが、ここで知り合ったのも何かの縁だ。私からのささやかな感謝の気持ちを 受け取ってはもらえんかね」 「まぁ、そこまで言うのなら……」 「よし。ならば、善は急げだな」 自分でも少々強引だとは思いつつも、三人を連れて喫茶店に入る。 注文した品物が来るのを待つ間に、私は本題に入ることにした。
- 526 名前:SS再掲/真・2 mailto:sage [2009/06/07(日) 21:41:08 ID:LTbFyX3m0]
- 「菊地君といったね」
「はい」 「明日、アイドル候補生オーディションの面接を受ける予定は無いかね?」 「ええっ?! どうして、おじさんがそんなこと知ってるんですか? ……まさか、ストーカーとか?」 「いやいや。申し遅れたが、私はこういうものだ」 そう言って、菊地君に名刺を差し出す。 「765プロダクションの高木社長……って、ボクが受けるオーディションの?!」 「その通り。いや、どこかで見た顔だと思ったら、我が社のオーディションに応募してくれていた子 だったとは。世間というのは狭いもんだねぇ」 私の言葉に驚いたのは、菊地君よりも、むしろ天海君と萩原君の方だったようだ。 「それじゃ、この菊地さんが――」 「真、でいいよ」 「じゃあ、その、真も私たちと同じアイドル候補生になるんですか?」 「へ?」 目をぱちくりさせる菊地君に、私から説明する。 「ここにいる天海君と萩原君は、我が社に所属するアイドル候補生でね。君が二次選考を通過すれば、 同期生ということになる」 「そうなんですか……」 「で、本来の二次選考は明日なんだが、せっかくだから、ここで面接をやってしまおう」 「ここで、ですか?」 「どこでやっても同じだよ。では、菊地君。準備はいいかね?」 「き、緊張するなぁ……。ど、どうぞ」 「うむ。それでは、アイドル候補生に応募した動機を聞かせてもらえるかな」 「はい。えっと、あの、ボク、男の子みたいだって言われることが多くて。それで、アイドルになって、 もっと女の子らしくなりたいというか……」 もっともらしい理由ではある。確かにそれも本心なのだろうが、言いたいことの全てだとは思えなかった。 「それだけが理由かね?」 「……いえ」 「動機はひとつだけでなくていい。沢山あってもいいんだ。君がアイドルを目指そうと思ったきっかけ。 原点のようなもの。それを教えて欲しいのだよ」 私がそう言うと、菊地君はしばらく逡巡してから、ゆっくりと口を開いた。 「中学生の頃のことなんですけど、公園の野外ステージでダンスの練習をしている女の人たちがいたんです。 毎日、汗をかきながら、一生懸命練習していて。その姿がすごく眩しくて。ボクも何か打ち込めるものが 欲しいって思ったんです。ダンスは上手くないけど、大好きだし、いつか大きなステージで踊りたい。 女の子らしくもなりたい。真剣に取り組めるものも欲しい。そう考えたら、もうこれはアイドルを目指す しかないって」 訥々と語る菊地君の眼差しは、私にとって十分に眩しいものだった。 女の子らしくありたいという菊地君にとっては不本意かもしれないが、彼女の中性的な魅力は、 男の子だけでなく、女の子にも通用するだろう。それはアイドルとして売り出す上で強力な武器になる。 「……とまぁ、そんな感じなんですけど。これで、いいのかな」 「十分な動機だよ。君の強い思いが、ひしひしと伝わってきた。我が765プロダクションは、 君を『アイドル候補生』として迎えたいと思う」 「ホントですか?! よろしくお願いします! ボク、バリバリ頑張りますから!」 「うむ。それなら、もし時間が許せばだが、天海君と萩原君が受けるレッスンに君も参加してみては どうかね。この後――何時からだったかな」 「四時半からですよ、社長」 と、天海君が助け船を出してくれた。 「そうだったな。休憩込みで、一時間半のダンスレッスンなんだが、どうかな?」 「うわぁ、本当にいいんですか?」 「勿論だとも」 「やーりぃ! ぜひ参加させてください!」 その菊地君の言葉を聞いて、天海君と萩原君が嬉しそうに顔を見合わせる。 この様子だと、仲良くやるように、と言う必要はなさそうだな。 喫茶店を出る頃には、三人はすっかり打ち解けていた。 アイドルを目指す彼女たちが心から笑顔でいられるよう、しっかりとバックアップをしていこう。 そう固く決意して、私は抜けるような青空を仰いだのだった。
- 527 名前:SS再掲/律子・1 mailto:sage [2009/06/07(日) 21:42:41 ID:LTbFyX3m0]
- 我が765プロは未だ弱小のプロダクション。
しかし、我が社で働いてるものにはそんなことは関係なく、 当然社長である私も多忙を極める身である。 …が、今日の私は珍しく暇だった。 普段は本当に忙しいのだが、今日はそんな日々の合間にぽっかりと穴が開いてしまったような日だ。 何をするでもなく、思わず事務所の備え付けのテレビを見てしまうくらいに。 「いやいや、芸能事務所社長たるものテレビを見て流行情報や芸能界の動向を知るのも立派な仕事だな、うむ」 「『うむ』じゃありませんよ社長。ちゃんと仕事をしてください」 ふと後ろから声をかけられたので振り返ってみると、 見慣れた眼鏡とおさげの少女が湯呑を2つ乗せたお盆を持って立っていた 「おお、秋月君か。君も休憩かね?いやはや、なぜか今日は仕事がなくなってしまってね」 「そうですか。こっちはおかげさまで大変忙しいんですが。仕事が無いんなら手伝ってもらえませんか?」 そう言いながらも彼女は「どうぞ」と言いながらお茶を私の前に置いてくれた。 うむ、実に気の利く良い娘だ。彼女は事務のアルバイトなのだが、仕事も優秀で気配りも出来る。 なんでも将来芸能関係の仕事、主にプロデュース業をしたいらしいが、 彼女ならどんなところでも上手くやっていけそうだ。 「そちらの仕事と言うと事務関係かね?私はどうも事務は苦手で…」 「プロデューサーみたいなこと言わないで下さい。社長の普段の仕事だって大体はデスクワークでしょう?」 そうは言われても苦手なものは苦手で…ん?プロデューサー? 「そうだ。プロデューサーはどうしたのかね?いつもなら彼を先に手伝わせているだろう。」 先ほどは彼も暇そうにしていたはずだ。 「プロデューサでしたらビルの裏でさっき雪歩が掘った穴を埋めてますよ。」 「む…彼女はまた穴を掘ったのかね。」 失敗したりして落ち込むとすぐに穴を掘り出すのは彼女の悪いくせだな。またビルのオーナーに怒られそうだ。 しかも彼女の場合その穴掘りが早い・深い・広いと三拍子そろっていて埋めるのがなかなか大変である。 「一応本人は立ち直ったんで、雪歩は自分で埋めると言っていたんですけどね。 でもプロデューサーが『女の子にやらせるわけにはいかないから』って。まったく変なとこ格好つけちゃって…」 「格好ついてるかは微妙ですけどね」と言いながら彼女は苦笑している。 「ふーむ…それでは彼に手伝ってもらうわけにもいかんな。やはり事務のほうは人手不足かね?」 「事務のほうは一応大丈夫ですよ。今日も忙しいですけど、手伝っていただけたら有難いってくらいですし」 わざわざ私を一瞥して言ってくれるあたり、やはり彼女はやり手なのかもしれない…。 これでは手伝わないわけにもいくまい…と観念しようとすると「それより」と彼女が話し始めた。 「事務よりも現場のほうが人手不足だと思いますよ。大体なんでプロデューサーが一人しかいないんですか!?」 信じられないと言った顔で秋月君は私にまくし立てる。
- 528 名前:SS再掲/律子・2 mailto:sage [2009/06/07(日) 21:56:23 ID:EBfzt93aQ]
- 確かに我が社にはプロデューサーはたった一人しかおらず、
今は彼に我が社のアイドルや候補生の面倒を見てもらっている。 「しかしだな、私としても我が社の大事なアイドル達を任せるにはやはり信頼に足る人物としたいのだよ。 その点彼は君も知っての通りだろう。それに私は現場の仕事についてもらうには、私の感性にひっかるような…」 「例の『ピーンと来た!』ですか?」 「うむ。そういった人間に任せたいのだよ。今はまだ弱小だが彼らならきっと活躍する。 そうすれば事務所も大きくなるし、現場の方もきっと信頼に足る人物が見つかるだろう。」 「楽観的ですねえ。」 そういいながら彼女は私の分といっしょに持ってきた自分の湯呑を口に持っていこうとしていた。 しかし… 「うわ!ちょっとお湯熱すぎたかなぁ」 どうやら湯気で眼鏡が曇ってしまったらしい。 眼鏡を拭こうとしたのだろう。彼女は眼鏡を外し…! 「ピーンと来た!」 「うわ!な、何ですか社長!?」 驚き立ち上がろうとした彼女の肩を抑える。まさかこんな逸材が身近にいようとは! 「秋月君!君はアイドルをやってみる気はないかね!?」 「は?な、何言ってるんですかいきなり!?冗談ならもう少しマシなのを…」 「冗談なものか!私は本気だ!実にイイ、ピーンと来た!」 今まで彼女がかけていた眼鏡では彼女の顔全体が良く分からなかったが、 改めて見てみると実にイイ!なんという罪深いめがねだ! 「まずその眼鏡がいかんな!レンズの厚さが目元のバランスを崩してしまっている。 とりあえず今すぐに新調しよう!もちろん費用は事務所持ちだ。」 「ちょ、ちょっと待ってください!私まだやるなんて一言も…それに私なんかがアイドルなんて…」 彼女はどうも乗り気ではないようだな…確かに勢いに任せては秋月君相手ではよろしくない。 しっかりと論理的にいかなくては。 「何を言うのかね。君は十分に魅力的だよ。まったく今まで気付かなかった自分が恥ずかしい。 それに秋月君。君は将来芸能関係の仕事を視野に入れているんだろう? ここでアイドルをやることは、君にとっても十分にメリットのあることだと思うが」 焦らず言い聞かせるようにゆっくりと話していくと、徐々に彼女の反応が変わっていく。 「確かに将来裏方に回るとして、表側の感覚を把握していると言うのは大きいかも。 それにあえて私でもやれる範囲でマニア層を狙ってみれば今の芸能界に足りないものも…」 「やってくれるかね?」 彼女はまだ難しそうな顔をしていたがしばらく逡巡したあと確かに頷いた。 「そうか、やってくれるかね!いやーありがとう!それでは早速事務仕事の方を切り上げて来週からでも…」 「ちょっと待ってください。事務のアルバイトの方も続けさせていただきます。さすがに小鳥さん一人じゃきついですし」 彼女は流石に真面目だ。まさか事務仕事も続けてくれるとは思わなかった。 確かに事務仕事の方面で彼女を失うのは痛手だ。彼女が進んでやってくれるのなら断る理由も無い。 「それは有難いが、いいのかね?」 「構いませんよ。こういう形とはいえ中途半端は嫌ですから。あと…」 すっかり平静を取り戻していた彼女だったが、急に不安そうな顔をした後、 「念のため聞いておきますけど私の担当になるのは…」 「もちろん『彼』だ!」 最早呆れたような諦めたような、そんな表情でため息をついたあと 「そっちの『ピーン』もよろしくお願いしますね」 そう呟いた彼女だった。
- 529 名前:SS再掲/あずさ・1 mailto:sage [2009/06/07(日) 21:57:43 ID:EBfzt93aQ]
- 765プロダクションの社長の高木だ。皆、風邪などひいてはおらんかな?
我が社のアイドル候補生オーディションの二次選考も、ようやく後半戦に突入した。 今日も、面接の予定が一件入っている――のだが、困ったことに肝心の応募者が来とらんのだよ。 「社長!」 「おお、音無君。連絡は取れたかね?」 「えぇ、さっき携帯電話とつながったんですが、何でも道に迷ったので少し遅れる……と」 「…………」 「もう既に予定の時刻から三十分は遅れていることは伝えましたけど……」 「けど、どうしたのかね?」 「三浦さんって、随分とおっとりした方のようで、こちらの意図がちゃんと伝わっているのかどうか、 あまり自信が……」 「ふむ……。まぁ、しばらく待ってみるか。今日は、特に予定もなかったな」 「そうですね」 と頷いてから、音無君は自分の席に戻り、事務仕事の続きを始める。 私は、一次選考通過者の書類をチェックしつつ、今後のプロジェクト展開について練ることにした。 そうして一時間半が過ぎた頃、事務所のドアが開いて一人の女性が入ってきた。 「遅くなって、すみませんー。三浦と申しますー」 なるほど。おっとりした物腰なのは確からしい。 「音無君」 「はい。三浦さん、こちらへどうぞ」 音無君が三浦君を会議室に案内している間に、私は書類をまとめる。 「社長。三浦さんを会議室にお通ししました」 「ありがとう。それでは、行ってくるよ」 軽くノックをしてから、会議室のドアを開ける。 「どうも、765プロダクションの社長の高木です。今日はよろしく」 「はじめまして。三浦あずさと申しますー。よろしくお願いします」 うーむ。このやけにのんびりした口調で話しかけられると、何だか調子が狂うな。 「では、さっそく面接を始めようか」 「はい」 「ところで、君はよく道に迷うほうなのかね?」 「そうなんです。初めて行く場所だと、必ず道に迷ってしまうんです。よく行く場所でも、なかなか 道を覚えられなくて、変なところへ辿りついてしまったり。方向音痴なのはわかっているんですけど、 どうやって治したらいいのか。こういうのって、普通のお医者さんでいいんでしょうか?」 「……いや、どうなんだろうね」 いかん。軽い前振りのつもりだったが、このままでは世間話で面接時間を潰しかねんぞ。 早々に本題へ移るとしよう。 「オホン。……それでは、アイドル候補生に応募した動機を聞かせてもらえるかな」 「その、短大を何とか卒業できたので、アイドルを目指してみようかなと思ったんです。新しいことに チャレンジしてみたいなと思って」 「ふむ……」 それも確かに動機のひとつなのかもしれない。だが、目の前のおっとりしたお嬢さんがアイドルという 派手な職業を目指すからには、何かもっと大きな理由があるに違いない。そう思われた。 「それだけが理由かね?」 「それだけ、ではないのですけれど……」 「三浦君」 「はい」 「初対面の私には、言いにくいこともあるかとは思う。だが、君が重大な決心をしてオーディションに 応募したように、私もまた並々ならぬ決意でもってアイドル候補生を選考しているつもりだ。その結果が 応募者の運命を左右することも自覚している。だからこそ、数多ある職業の中から、敢えてアイドルを 志した理由。アイドルでなければならない理由。それを教えてもらうことはできないものだろうか?」 私の問いに、三浦君は唇をきゅっと結んで首を振った。 「確かに、別の動機はあります。でも、今は言えません」 「何か、問題でもあるのかね?」 私は重ねて問うたが、やはり三浦君は首を振るばかりだった。 「今は、社長さんにきちんと説明する自信がないんです。けど、決して遊び半分でアイドルを目指して いるわけではないんです」 そう言って、三浦君は口を噤んだ。
- 530 名前:SS再掲/あずさ・2 mailto:sage [2009/06/07(日) 21:59:39 ID:EBfzt93aQ]
- さて、どうしたものか。
彼女が、彼女なりの強い決意をもって、この世界に飛び込もうとしているのはわかる。 二十歳となれば、世の中のこともある程度わかっている年だ。 短大を卒業してから、普通に就職することもできたはず。そうせずに、敢えてアイドルになりたい というのだから、遊び半分ではない、という彼女の言葉は本当だろう。 だが、問題なのは、それをどう評価すべきなのかということ。 確かに、三浦君は容姿も良いし、性格も温厚だし、アイドルとして売り出していく上で取り立てて 問題があるとは思えない。むしろ、プラスに作用することの方が多いだろう――とは思うのだが。 今までの面接では即断即決していた私が、こうも判断に迷うとはな……。 それからしばらく三浦君と面談を続けた結果、この場ですぐに結論を出さないことにした。 「――それでは、二次選考の結果については、追って通知させてもらうよ。今日のところは、これにて 面接を終了するとしよう。お疲れ様だったね」 * 「帰り道では、迷わないように気を付けたまえよ」 「はい。お見送りいただき、ありがとうございます」 ビルの玄関先で三浦君を見送ってから、事務所へ戻る。 「どうでした?」 興味津々といった様子で訊ねてきた音無君に、私は相談をしてみようという気になった。 「実は、判断に迷っていてね。三浦君の素質には問題を感じていないのだが、彼女の熱意というか、 あるいは意志というべきなのかな。そういったものを少しはかりかねているのだよ」 「志望動機は、何と?」 「新しいことにチャレンジしたい、と言っていたな」 「それだけですか?」 「うん。そこは私も気になったところでね。突っ込んで訊いてみたのだが、教えてはもらえなかったよ。 何かしら他の理由もありはするようなのだがね」 正直なところ、男である私には女性の気持ちがわかりかねることも少なくない。 ここは同性である音無君の意見が聞きたかった。 「音無君は、どう思う?」 「そうですねぇ……」と呟いて、彼女は細い顎に手を当てた。 「女の子は、大なり小なり秘密を持っているものですからね。例えば、シンデレラに憧れていて、 白馬の王子様に迎えに来て欲しい――みたいな願望を持っていたとして、それをホイホイと他人に 話すかというと、話さないと思うんですよね」 女の子という年でもなかろう、という言葉を呑み込んで、私は頷いた。 「確かに、そうかもしれん」」 「でも、熱意という点では、そんなに心配しなくていいんじゃないですか?」 「どうして、そう思うのかね?」 「だって、彼女、道に迷ってしまっても、諦めたりしないで、ちゃんとここまで面接を受けに来たじゃ ないですか。アイドルになりたいという思いが本物でないなら、連絡もせずにドタキャンですよ。 今時の子は、それくらい普通にやりますからね。確かに、おっとりしていて周りに伝わりにくいかも しれませんけど、彼女は十分な熱意を持っていると思いますよ」 音無君の見解は、私にとって非常にわかりやすく、そして納得できるものだった。 「なるほど……」 「それで、どうなさるんですか、社長?」 と、音無君が訊ねたとき、私の腹は決まっていた。 「三浦君に、二次選考の合格通知を送ってくれたまえ」 「わかりました」 「次は、歌とダンスのレベルを見るために、レッスンスタジオに来てもらわなけりゃならんが。 今日の二の舞にならないよう、タクシーを迎えに行かせた方がよいかもしれんな……」 「そうですね。では、そちらの手配も併せてやっておきましょうか」 「うむ。よろしく頼むよ、音無君」 「お任せください!」 これで、また一人新たなメンバーがアイドル候補生として加わる。 彼女たちアイドル候補生の個性豊かな魅力を引き出し、トップアイドルへと導くプロデューサーを、 一刻も早く見つけ出さなくてはならないな。 ビルの谷間に沈む夕日を見つめながら、私はそう決意を新たにしたのだった。
- 531 名前:SS再掲/やよい・1 mailto:sage [2009/06/07(日) 22:01:19 ID:EBfzt93aQ]
- 「やれやれまいったな」
空を見上げて途方にくれる。そして、そのままさほど速いわけではない雲が流れていくのを見つめていた。 雲が視界から消えた頃、首が疲れたので顔を下ろす。決して暇なわけではない。仮にも私は芸能事務所の社長だ。 最も現時点では本当に芸能事務所とは名ばかりの様な状態なのだが…。 『アイドル候補生ばかりが増えすぎている』 事務員の音無君や事務員兼アイドル候補生の律子君にそう言われ、 それならばと彼女達をトップアイドルへと導くプロデューサーを探しに来たのだが… 「見つからんなあ…」 私とてそう簡単に見つかると思ってはいなかったが、見つかる気配すら全く感じられない。 こうも先行きが見えないとは流石にガッカリドンヨリだ。と言うわけで、私は公園で途方にくれていた。 思えば今いる候補生の彼女達も道端でスカウト、というのは少なかったな。 私にはあまりスカウトは向いていないのかもしれない。人を見る目には自身があるのだが…。 しかしこのまま帰るわけにもいかん。なんせ公募することを提案してきた音無君や律子君を押し切って会社を出てきたのだ。 『我が社のアイドル候補生を任せる人物。しかもその最初の一人ともなれば、最大限の信頼を置ける人物にしたい。』 そう言って、私自らが出来る限り自然な形で人を見てと思い会社を出てスカウトに出てきたのだ。 短い間とはいえ方々を回り、様々な人を見てきたがどうにもアイドル候補生のときのようにピーンと来ない。 ああいって出てきた手前簡単に帰るわけにはいかない。しかし見つかる当てもない。 これからどうしたものかと、私は再度空を見上げ再び雲の観察を始めた。 「あ、あのう」 雲の形からそれぞれ似た物を連想して遊ぶのに飽き、位置的に近い雲に番号を振ってレースを始めた所で、 不意に視界の外から響いた声によって、私の意識は急に地上界に戻された。 見ればそこにいたのは小さな女の子だった。細身で小さく、顔も幼い。 小学生だろうか?頭の後ろで二つに結った髪の毛が印象的だった。 「なにかね?」 「えーと、お腹が減ってるならこれどうぞ!」 少しためらってから彼女が両手で差し出したのは、 やたらと右手に自身がありそうな機械的なキャラクターが描かれたキラキラした彩色の細長い袋。 袋を見れば一目で分かるほどのメジャーな菓子、『んまぁ〜い棒』だった。 「お腹?私がかね」 「えっと、さっき上を見ながらお腹が鳴ってたんでお腹減ってるのかな〜と思って」 どうやら自分でも気付かないうちに腹が鳴ってしまっていたらしい。 そういえば昼を食べていなかった。流石の私も少々恥ずかしい。 「あの、家のお父さんもよく仕事クビになっちゃいますけど、すぐに次の仕事見つかるんです」 彼女はいきなり家の事情を語り始めた。何を言っているんだ? 「だから、あまり落ち込まないで頑張って下さい!」 …どうやら私は失業者だと思われているようだ。 確かに先ほどの私は実に暗いオーラを醸し出していたし、今日は平日だったのでそう思われても仕方ないかもしれないが…。 自分がそのように見られていたことに少々落ち込んだ。 しかし、不思議なことにこの少女に話しかけられているとそのような気持ちも直ぐに晴れてくるようだった。 ―――この娘は、いいかも知れない…。 あまり活舌が良くないのか、彼女のほんわかとした雰囲気もあって話し声がすべて平仮名で聞こえてきそうだったり、 この様子では歌唱力もそう高くはなさそうだが、その辺はレッスンで鍛えればいいし、 たとえそこまで高くなくてもアイドルはそれだけではない。 この娘の場合あの雰囲気を表現できればそれが十分な武器となるだろう そんなことを少し考えたが、プロデューサーも見つからずまた新たな候補生を連れて事務所に戻ったとしたら…。 律子君の説教コースは確実だろう。音無君は、何も言わず笑っているかも知れんな。余計怖いが…。 「私は別に仕事が無いわけではないよ。今も実は仕事中でね」 「お仕事中…?へーそうなんですかぁ」 彼女は素直に感心している。うむ、実にいい娘だ。
- 532 名前:SS再掲/やよい・2 mailto:sage [2009/06/07(日) 22:02:44 ID:EBfzt93aQ]
- 「だから仕事が無いから食事をしなかったわけでもないのでね、わざわざ私にこれをくれなくてもいいんだよ」
「でも…やっぱりこれどうぞ!」 下げてもらおうと思ったのだが、彼女は再び『んまぁ〜い棒』を差し出してきた。 「いや、だから私は…」 「でもでも、おじさんさっきとても辛そうな顔してました。知ってますか?これ『んまぁ〜い棒』って言って とっても美味しいんですよ!これを食べればきっとおじさんも元気が出ます!」 彼女の勢いと元気に押されてつい受け取ってしまった。 「ありがとう。君は元気だね」 「ハイ!私元気だけが取り柄ですから」 こちらまで楽しくなるような笑顔で彼女は話す。 「それに『んまぁ〜い棒』はとっても安いんです!カスミとコウジを連れて行っても一人一個ずつ買えちゃうんですよ!」 そういえば父親が良く職が変わるといっていたな。こんないい娘に不便をさせるとはけしからん。 カスミとコウジというのは兄弟のことだろうか?しかし『んまぁ〜い棒』一本ずつで喜ぶとは、 不憫ながら本当にいい娘だ…ん?ということは、 「これを私が貰ってしまったら君の分は無くなってしまうのではないかね?」 必然的にそういうことになる。しかし彼女は少し困った顔をした後、 「えーと確かにそうですけど…でも大丈夫です!私元気だけが取り柄ですから!」 と傾きかけてきた陽がまた最高点に戻ってしまいそうな笑顔で言った。 なんという娘だ、いい娘過ぎる…いったいなんだこの娘は?荒んだ現代日本に舞い降りた天使か? こんないい娘を放置するなど出来るわけがなかった。 「ところで君、名前はなんと言うのかね?」 「私ですか?高槻やよい、13歳です!」 なんと中学生だったのか。いや、そんなことは最早どうでもいい。 「高槻君。君はアイドルをやってみる気はないかね」 「あ、アイドル?私がですか?」 当然のように彼女は驚く。 「うむ。私は芸能事務所の社長をやっていてね。高木という」 「ええ!?しゃ、社長さんですかあ?」 社長といったらさっきより驚かれた。 「社長さんだなんてすごいですぅ!きっと毎日もやし食べ放題なんでしょうね!」 この娘は普段何を食べているんだろう…。とはいえここまで驚かれると少し気も良くなってくる。 「いやいや、我が事務所はまだ小さくてね。そんなにすごいものではないよ。 しかしいつかは世界中にその名を知らしめるような会社にしたいと思っているがね」 「世界中だなんて本当にすごいです!ウランバートルですね〜!」 ひょっとして『グローバル』と言いたいのだろうか? どうやら横文字は苦手のようだ。モンゴルの都市名のほうがよほど難しい気もするが。 オッといかんいかん。私は彼女をスカウトしているのだった。 「どうかね高槻君。アイドルをやってみないかね。素質は十分にある。私が保証するよ」 「でも私弟や妹がいて、それにお父さんの仕事が良く変わっちゃうから、お母さんがいないときとか家のことも手伝わないと…」 む…やはり家の問題が出てきたか。 彼女のような娘では責任感も強そうだから、家のことを考えないわけにもいかないのだろう。 だが、ならば家の問題を解決するか、より良い状況へ進むような提案をすればいい。 「うむ…しかしだね高槻君、家の事務所で働いてくれれば当然君への給料もでる。 そうすれば君の家のほうもだいぶ楽になると思うんだが…」 「え?お給料出るんですか?」 ただでやると思っていたのか。どこまでいい娘なんだこの娘は。 「勿論だよ。金額は君次第だがね。」 「本当ですか!?いいんですか?」 「やってくれるかね? 「ハイ!私、アイドルやっちゃいます!!よろしくお願いしまーす!」 彼女の太陽のような最高の笑顔をで答えた彼女を連れ、 新たなアイドル候補生を迎え、太陽に照らされた青空のように澄み切った心で私は事務所への帰路についた。 無論事務所に帰ってから予想通りの説教&無言笑顔コースとなったのは言うまでもない。
- 533 名前:SS再掲/亜美真美・1 mailto:sage [2009/06/07(日) 22:04:52 ID:EBfzt93aQ]
- 私は今病院にいる。
体の何処かが悪いだとかではない。定期健診というやつだ。 まだまだ一線を退くつもりは無いが、いやだからこそ健康を維持するために健康診断を受けるのも、 一社会人として、また一国一城の主(事務所は賃貸だが)である社長たるものの義務だ。 ここ最近は身体の調子もいいし、我が社には有望なアイドル候補生が続々と入っており、精神面でも好調だ。 今回の結果は良いものになりそうだな。 しかし…だ。病院というところはどうにも暇だ。待ち時間も一つ一つが長い。 せっかく予約を入れているのに時間通りになった試しがない。 扱っているものが扱っているものだからそれは致し方なく、理解も納得もするが、暇なのは変わらない。 それに病院という場所柄基本的に静かであり、そういった空気が尚更閉塞感を抱かせるというか、私の時間を延ばしていく。 すこし次の予定までにはまだ時間がある。 少し外に出ていようかなどど私が思っていたとき、病院には似つかわしくない大きな足音が聞こえた。 その音は急激に私のほうへと近づいてきて、私は腰から下に後ろからの軽い衝撃を感じた。 「あいたたた…ぶつかっちゃったよ」 何かと思い振り返るとそこには鼻を押さえた少女がいた。どうやら私に走っていたらぶつかってしまったらしい。 子供、と言って差し支えないだろう。頭の右側の上に向かって結っていた髪が特徴的な娘だ。 「ごめんねーおじさん。ちょっと急いでるんだー」 彼女は謝りながら私の横をすり抜けていこうとした…が、それは叶わなかった。 「待ちたまえ」 なぜなら私が彼女の腕をがっちりと掴んでいたからだ。 そういえばこの娘はどこかで見たことがあるような気がする。 つい最近というか、むしろついさっきだった様な…。 「おじさん何すんのさー!?離してよー!」 彼女は私の腕を離そうとじたばたと暴れている。そうだ、目の前に本人がいるのだから直接聞いてしまえばいい。 「君は以前私とあったことは無いかね?」 そう聞くと彼女は少し呆けた後 「なーにー?おじさんもしかしてナンパ〜?んっふっふ〜亜美の魅力にメロメロって感じ〜?」 急ににやけた顔で私に話しかけてきた。 「いやいや私はだね…」 「でもさーちょ〜っと手が古いんじゃなーい?今時そんなんじゃ誰も引っかからないって」 「だから私は…」 「それに亜美としてはもっとイケメンで『せれぶ』な感じじゃないとね〜」 子供のいうこととはいえちょっと傷ついた。 どうも話がずれる上に終了しそうも無い。 「ともかくだ!」 しょうがないので私は少し声を荒げて(声はなるべく小さく)無理矢理話を打ち切った。 「急いでいたとはいえ、病院内を走るのはあまり関心できない。いったいどうしたんだね?」 「あーそうだった!急いでるんだ!」 確かに彼女が急いでいるのは解る。 それにここは病院内であるから、それこそ大事で急ぐ人もいるだろう。 だが、彼女の様子からはそういった空気は感じられない。 とすれば、早々見逃すわけにも行くまい。別に私が暇だからではないぞ? 「いやだからどうして…」 「だーかーらー急いでるんだってばー。早くしないと見つかっちゃうよー」 見つかる?何のことだ?と僅かとは言え気を取られたのがまずかった。 彼女が暴れた際に彼女を捕まえていた腕が離れてしまった。 「ごめんねおじさん。次からはぶつかんないように気をつけるからー!」 いや、そうじゃなくてそもそも走らないように…それに病院で大声を出してはいかん、と言いたかったが、 彼女はあっという間に何処かへと立ち去ってしまった。全く最近の若い者は難しいな…。
- 534 名前:SS再掲/亜美真美・2 mailto:sage [2009/06/07(日) 22:06:32 ID:EBfzt93aQ]
- まだ少し時間が余っていたので、私は病院内を散策することにした。
勿論他の患者さんに迷惑をかけぬようにやっている。 病院というのもやはり様々な人がいる場所だ。 ひょっとしたらこの中に私が探している 我が社のアイドル候補生をトップアイドルへと導いてくれるプロデューサーや 次代のトップアイドル候補がいるかもしれないな。 しかし病院にいるような人物では体力的に少々不安だが…いやアイドルは儚げな感じプラスに働くかも知れん。 そんなことを考えて病院内を散策していると、病院には似つかわしくない大きな足音がまた聞こえた。 その音はやはり私のほうへと近づいてきて、当然のように私は腰から下に後ろからの軽い衝撃を感じた。 「あいたたた…ぶつかっちゃったよ」 案の定私に走っていたらぶつかってしまったらしい。 思ったとおり子供、と言って差し支えないだろう容姿。 勿論、頭の左側の上に向かって結っていた髪が特徴的な娘だった。ん?左?? 「ごめんねーおじさん。ちょっと急いでるんだー」 「待ちたまえ」 私は彼女の腕をがっちりと掴んでいた。先ほどと全く同じ光景だ。 「おじさん何すんのさー!?離してよー!」 全く同じ言葉を彼女は発した。 「先ほど注意したばかりだろう。病院内で走るのは感心しないな」 「さっきって何ー!?真美そんなのされてないよー!!」 「いやいや、ついさっきロビーで会ったばかりではないかね」 いくらなんでもこんな直ぐに忘れるはずは無いだろう。今度こそしっかりと注意して止めさせなくては。 しかし彼女は私の言葉を聞いた途端、またしてもにやけた顔で 「なーにー?おじさんもしかしてナンパ〜?んっふっふ〜亜美の魅力にメロメロって感じ〜?」 先ほどと同じ言葉。どこか違ってる気もするが、それよりももう私は忘れられてしまったのか? 正直少し悲しかった。 「でもさーちょ〜っと手が古いんじゃなーい?今時そんなんじゃ誰も引っかからないって」 既聴感に満ちた台詞が続く 「それに真美としてはもっとイケメンで『はーとふる』な感じじゃないとねーおじさん真っ黒だしー」 ここは微妙に違う気がする。こっちの方が傷が深い。 また一度話を切って、今度こそしっかり注意しなければと思ったとき 「あー真美見っけー!!」 彼女とは別の方向から彼女の声がした。そちらを向いてみるとそちらにも彼女がいる。 「あーもう見つかっちゃったよー!おじさんが離してくれないから見つかっちゃったじゃんかー」 彼女が私を非難するが、私は現状がイマイチ把握できない。 同じ顔で同じ声の人間が2人いるということはつまり… 「君達はその…双子…なのかね?」 「「うんそうだよー」」 双子らしく見事なシンクロだった。なるほど見間違えるわけだ。 違和感を感じた髪の毛の結びの位置以外はほとんど同じといっていい。 「これで一勝一敗だね真美」 「見つからなければ真美の勝ちだったのにー。じゃあ次は何して遊ぼっか?」 「んっふっふ〜実はもう考えてあるのだよ真美君。じゃじゃ〜ん!」 「あーそれ松葉杖だね亜美!」 「そう次は『松葉杖レース』っていうのはどう真美?」 「面白そうー!どこからどこまでにする?」 「そうだね〜じゃあ向こうの階段の入り口から…」 「亜美!真美!何してるの!!」 二人のあまりの勢いに注意することすら忘れていると、二人を注意する声が耳に飛び込んできた。
- 535 名前:SS再掲/亜美真美・3 mailto:sage [2009/06/07(日) 22:08:04 ID:EBfzt93aQ]
- 「「げぇっ!ママ」」
どこかで見たことのあるようなリアクションで二人が同時に驚く。 どうやら二人を注意したあの女性が母親らしい。 「病院で遊んじゃダメだって言ったでしょう!ここはパパがお仕事をする場所なの。 病気や怪我をした人が一杯いるのよ。静かになさい。せっかくパパに会いに来たのに迷惑かけてどうするの!」」 病院内でのマナーを守りながら最大限の迫力を出して彼女達を叱っていた。 「ごめんなさーい…」 一方彼女達はというと、やはり子供といったところか。さっきまでの勢いは鳴りを潜めすっかりしぼんでいた。 しかし元気な子達だ。ややいたずらが過ぎるきらいはあるが、先ほどのも悪気があったわけではないようだし、 何事も率先して楽しもうという姿勢は、誰かを楽しませるということに向いているかもしれない。 「この子達がご迷惑をおかけした様で、すみませんでした」 お母さんに謝られてしまった。 とは言われても私自身大した迷惑をこうむったわけではないので、特にどうということもない。 「いやいや元気な子達ですな」 「ええもう元気が有り余っているというか、お恥ずかしい話ですが手に負えなくて。 主人のほうがこちらで働いているものですから、この子達を連れて顔を見に来たんですけど」 ここで働いている。そう聞いて思い出した。先にあったほう…亜美君だったか。 彼女を見たときに感じた既視感の正体を。 「もしかして双海先生の御家族ですかな?」 私は今日彼の診察を受けた。その後彼を見かけたときに子供といっしょにいるのを僅かながらに見かけていた。 それこそが彼女達だったのだ。そういえば彼は双子の娘がいるといっていたな。 「えっと、ハイそうです。主人をご存知なんですか?」 「ええ、今日も診察を受けましてね。彼女達のことも良く聞いてますよ。 とても元気で可愛い娘さん達がいる、とね。」 彼女達のほうへ目を向けて話す。もっとも実物は想像以上だったが。 しかしなるほど彼が自慢するのも良くわかる。可愛らしい娘さんたちだ。 「ところで奥さん。私はこういうものです」 名刺を渡す。多少の危険性もはらんでいるが、双海先生の話と実際の彼女達を見てピーンと来た。 「…芸能事務所の社長さん?」 「いきなりな話ですが、彼女達を我が事務所に預けてはいただけませんか?」 「「なになに?どういうこと?」」 奥さんと話していたら2人が会話に割り込んできた。当事者の2人だ。彼女達にもしっかり話しておかねば。 「君達はアイドルになる気は無いかね?」 「アイドル?う〜んなんかピンと来ないかなあ」 「アイドルって楽しい?」 2人はそれぞれ微妙な反応を返してくる。 「アイドルが楽しいかどうかは君達次第だよ。君達は人を楽しませるのは好きかね?」 「うーんどうかなあ?でも自分達が楽しくてそれで周りの人も楽しくできたら最高!って思うな!ね、真美」 「そうだね!人が楽しそうに笑ってるの見ると自分達も楽しくなってくるしね、亜美!」 「だったらきっと楽しいと思うよ。アイドルは自分達の笑顔で人を笑顔にする仕事だからね」 「それならチョー楽しそう。アイドルやってみようか真美?」 「そうだね。やろう亜美!」 彼女達はやる気になってくれたようだ。とりあえず今日のところはこれでいいか。 「いきなりな話をしてしまい申し訳ない。返事はすぐて無くてもいいのでご主人や娘さんとよく相談して下さい。」 お母さんのほうに向きなおして私は言った。 「でもこの子達がアイドルだなんて、大丈夫でしょうか?それにまだ子供ですし…」 不安そうな顔をしているのは当然か。 それに客観的に見れば今の状況はどちらかというと胡散臭いといったほうが正しいか。 「彼女達には素質があります。それに無茶はさせません。体力的な問題があるようでしたらまた別途考えます。 先ほども申し上げましたが、いきなりな話なのでお返事は直ぐでなくてもいいです。ですが来ていただけるようでしたらぜひお願いします」 そういって私は頭を下げた。 「それではそろそろ時間なので失礼します」 気付けばすっかり予定の時間は間近となっていた。 双海医師にこの話をしたらなんというか。そんなことを考えて私は予定の場所へと向かっていった。
- 536 名前:SS再掲/伊織・1 mailto:sage [2009/06/07(日) 22:19:13 ID:LTbFyX3m0]
- ここは765プロダクション社長室、つまりは私の部屋だ。
目の前には私の作業場、つまりデスクがある。その上にはティーカップ。 いつもなら音無君が特製のコーヒーをご馳走してくれるところだが、 今日はあいにく、律子君共々事務に追われている。 仕方なく、給湯室からパックを引っ張り出してきて、私自ら紅茶を淹れた。 自画自賛だが、味も香りも決して悪くは無いと思う。 ギィ、と椅子が小さく悲鳴を上げる。私の椅子ではない。いや、私の椅子か。 正確には、前者は「私が普段使っている」それであって、後者は「私が今、座っている」ものだ。 それともう一つ。先程、デスクについて述べたが、現在の私の位置はちょうど対面。 しかもギリギリ手の届かない範囲なので、受け皿は左手で持っている。 では、本来私の居るべき場所はどうなっているのか。逆光で表情はやや読み取りにくいのだが、 大きなリボンのシルエットだけははっきりとわかる。 小さな身を背もたれに預け、時折足をぶらぶらさせているのは、私もよく知っている人物だ。 「それで、こんな所まで来てくれるとは、一体どうしたのかな?伊織ちゃん。」 彼女の名は水瀬伊織。私の旧友であるあの男、水瀬の娘だ。 ついこの間までは母親の腕に抱かれていたのが、聞けばもう14才になったと言う。 「にひひっ。今日は伊織からぁ、高木のおじ様にぃ、ステキなステキな、プレゼントがあるんですぅー。」 身体を投げ出すように椅子からひょいと降りると、こちらへ回り込んできた。 私の顔を覗き込み、様子をうかがっている。 「ほう、それはうれしいな。ありがたく頂くとしよう。」 「本当?!伊織、とっても感激っ!!」 パァっと笑顔がはじけた。明る過ぎて、逆に不自然なくらいだ。 「はっはっは。……で、そのプレゼントとやらはどこかな?」 彼女の持ち物と言えば兎の人形、1体――1匹と呼ぶべきか、あるいは1人か。 となると、乗ってきた車のトランクにでも入っているのか。余り大きなものは困る、持ち帰りが面倒だ。 事務所に置いておけるものならいいが……律子君に叱られるな。 そんなことを考えていると、彼女は右手をすーっと伸ばし、ある場所を指した。 「コーコっ!」 鼻先。私のではない、彼女のだ。 「……どう言う意味かね?」 軽い舌打ちが聞こえたような気がする。私は一瞬、見てはいけないものを見てしまった、 そんな気分になった。 「もう!おじさまったらぁ、イ・ジ・ワ・ル!じゃあ、発表しちゃいまーす! なんと!この世界一の美少女、伊織ちゃんを……トップアイドルにする権利でーすっ!!」 室内を静寂が包む。空調の大げさな動作音を耳にして、私の意識は戻ってきた。 「……は、はっはっは。い、いや、なかなか面白いジョークだね。」 「本気でしてよ?」 にこやかに微笑む。私は思わず目をそらしてしまった。大人として、ちょっと情けない。 「こんなチャンス、二度と無いと思うでしょー?伊達に年食って……じゃなくて、 人生経験豊富なおじ様なら、どうすればいいのか、わかりますよねぇー?」 「み……お父様は何と?」 「えっ?パ、パパ?えーっと……そ、そりゃあもう、大賛成ですわよ!お、おほほほ。」 今度は彼女が目をそらした。……やはりな。 「『こんなにかわいい伊織を、水瀬家の宝というだけで終わらせたら末代までの恥だ! 私が全力でバックアップしよう、金に糸目は付けん!』、なぁんて言ってましたわ!」 彼との付き合いは私の方が長いのだよ、お嬢さん。 「ま、パパのことはもういいでしょ!にひひっ、すぐにおじ様も上流階級の仲間入り、 させてあげるわっ!」 さて、私もそんなにヒマな身ではない。ゆっくりと一呼吸し、立ちあがってカップを机に戻す。 そのまま振り返らず、私は背中越しに彼女に語りかけた。 「ありがとう、君はとても優しい子だ。その気持ちだけ、受け取っておくことにしよう。」 「だーかーらー!、私は……」 「お父様から聞いたのだろうね。確かに、わが社からデビューしたアイドルはまだ一人もいない。」 「でしょー!」
- 537 名前:SS再掲/伊織・2 mailto:sage [2009/06/07(日) 22:19:56 ID:LTbFyX3m0]
- 「しかし、だ。既に何人か候補は上がっているのだよ。プロデューサーを雇い次第、
すぐにでも活動を始める手筈は出来ている。」 「え……?」 私は彼女の方へ向き直ると、両手を小さな肩に軽く乗せた。 「だから私の方は大丈夫だ。余計な心配をかけて済まなかったね。」 「……そ、そう!なんだ、もう……よ、よかったわ。ア、アイドルなんて、変な格好して、 下手くそな歌、歌って、ダ、ダサダサなダンス踊って……そ、それがテレビで日本中に放送されるなんて、 そんな恥ずかしい事、私が……やる訳……やる訳ないじゃないっ!!」 「おいおい、随分な物言いだな。それにいきなり全国区とはいかんよ。アイドルは一日にしてならず、 まずは地道に営業をこなして……」 無駄に熱くノウハウについて語りかけたところで、私は異変に気付いた。 震えている。私ではない、彼女だ。精一杯笑顔を保とうとしているが、わずかながらにその瞳は潤んでいた。 「さ、さてとっ!わ……伊織、忙しいからまたねっ!バイバイ、おじ様っ!!」 乱暴に私の腕を振り解くと、彼女はドアへと一直線に駆け込む。 「何よ!とっとと開きなさいよ、このペラっペラのオンボロドアっ!!」 ブーツでガンガンと蹴り飛ばしている。このままでは壁ごと持って行かれそうだ。 「待ちなさい。」 私は彼女の手首を掴んだ。 「放してっ!こんなカビ臭い所、もう一生来ないんだから!!」 引き剥がそうと必死に振り回される腕を押さえつつ、さらに言葉を続ける。 「先程の言葉は嘘かね?」 「知らないわよ!イチイチ覚えてなんかいられないわ!!」 「では、私の聞き違いか。本気、と聞こえたのだがな。」 彼女の動きが止まる。暫しの沈黙。空調の音が消えた頃、彼女が再び口を開く。 「……そうよ。嘘よ、嘘。冗談に決まってるじゃなぁい。やあねぇ、コロっと騙されちゃって。 社長がこの程度じゃ、ここも大した事ないわね。それに、別にアイドルに……興味なんて無いし。」 まただ。また震えている。 「ねえ、扉を開けてくださらない?……伊織、早くお家に帰らないといけないの。」 せっかちだな……よろしい。ただし、私が開くのは、目の前の靴跡の付いたものではない。 「そうだな。君には、履歴書を書いてきてもらわねばならんからな。」 「……落ち着いたかね。」 「あら、私はいつでも落ち着いてますわよ。にひひっ。」 やれやれ、自慢の黒がぐちゃぐちゃだ。まあ、この顔を見せられては怒る気にもならんが。 ……これがこの子の、本当の笑顔なのだな。 「さあ、スーパーアイドル、水瀬伊織ちゃんの伝説が今、ここから始まるのよ!!」 「では、お父様を説得するのが君の初仕事、だな。」 「うっ……わかってるわよ。……やるしか……やるしかないのよね。そうよ、それが出来なきゃ、 世界中の人間が悲しむことになるのよ!!……責任重大だわ。」 相手が相手だ。愛娘の頼みとは言え、一筋縄には行かんだろうな。 「おじ様には私に見合うような、超一流のプロデューサーを用意しておいてもらうわね。 ……いいえ、今すぐにでも引っ張ってきてちょうだい!」 「はっはっは、頼もしい限りだな。だがさっきも言った通り、アイドルは一日にしてならず。 デビュー後も厳しいレッスンと地道な営業の……」 「そんなの楽勝よ!ほらほら、もっとドーンと、大船に乗ったつもりでいなさい!にひひっ!」 船、か。いい例えだ。追い風を目一杯受けて、大海原へと突き進んで行く。 次々と襲い来る荒波をどう乗り切るかは、舵取りの腕の見せ所…… ああ、私としたことが、重要なことを忘れていた。ドックは既に進水式を控えた客船で一杯なのだ。 ここでさらに新規建造などと言い出せば、工場長たちはストライキを起こしかねない―― 最悪、サボタージュに発展するやも知れんな。 思わずため息が出たところで、視線の先にあったのはティーカップ。一つは私の飲んだ紅茶。 そしてもう一つは……全く手をつけられた形跡が無かった。 「……自信作、だったのだがなあ。」 ――おはよう。……おっと、事務所内では私のことは『社長』、と呼んでくれたまえ。 ……うむ、よろしい。では早速、面接を始めようか、『水瀬伊織』君――
- 538 名前:SS再掲/美希・1 mailto:sage [2009/06/07(日) 22:20:44 ID:LTbFyX3m0]
- 765プロダクションの社長の高木だ。皆、息災かね?
紆余曲折はあったものの、我が社の新プロジェクトは順調な滑り出しを見せていて、アイドル候補生の 諸君も次々とデビューを果たしつつある。 これは、新たにスカウトしたプロデューサーたちの実力によるところが大であることは言うまでもない。 が、彼らを見出した私の目に狂いは無かったということでもあるかな。うむ。 しかし、会社の経営が軌道に乗ってくると、私にも少しずつ暇が増えてきた。無論、決裁せねばならない 事柄は少なくない。だが、日常的な事務処理は音無君と律子君に任せていれば問題ないし、アイドルの プロデュースについては各担当プロデューサーに一任しているので、私は流行情報について注意を促す くらいしかやることがない。 そういうわけだから、せめて世情には敏感でなければならんと思い、空いた時間はなるべく街に出る ようにしている。テレビや新聞、インターネットといった情報媒体に頼ることなく、自らの感覚で 捉まえたものを大切にする。そうして研ぎ澄ませた勘が、いざというときに役に立つことも少なくない。 え? 何だって? 音無君や律子君に小言を言われるのがイヤなんじゃないのか、だと? バカを言っちゃあいかんよ。 この高木順一朗、事務員の小言のひとつやふたつで怯むような男ではない! ……オホン! すまんな。つい熱くなって、我を忘れるところだった。 君らにこんなことを言っても仕方がないというのにな。 実は、私が会社を抜け出して、昼間から繁華街にいるのには訳がある。 この近辺に、モデル顔負けの美少女が現れるらしいのだよ。 ライバルの芸能プロダクションの複数のスカウトが彼女に声を掛けたそうなのだが、全て素気なく 断られてしまったというんだ。 そういう話を聞くと、一体どんな子なのか気になるのが人情というもの。 つまり、そういう理由で何度となくこの界隈に足を運んでいるのだが、噂に聞いたような少女を見かける ことはなく、私は幾ばくかの徒労感を覚えつつあった。もしかしたら、ライバル会社のホラ――とは言わない までも、ちょっとした話を針小棒大に誇張しただけのことだったのかもしれないとすら思い始めていた。 ふと空腹を感じて時計を見ると、時計の針は午後三時すぎを指していた。 なるほど、腹が減るのも無理はない。 私は手っ取り早く近くのコンビニに入り、おにぎりとペットボトル入りのお茶を買い求めることにした。 レストランなり食堂なりを探せばいいのに、と思うかもしれない。 だが、午後五時からプロデューサーたちとの会議が予定されていて、そろそろ事務所へ戻らなければ ならない刻限が迫りつつあった。そういうときに、目の前にコンビニがあれば、つい入ってしまう。 いやはや便利な時代になったものだ。 私は、購入したおにぎりとお茶を持って、近くの公園に向かった。もう何度も訪れているから、このあたりの 地理はすっかり頭に入っている。 賑やかな表通りから細い横道に入ると、目指す公園がある。さほど大きくはないものの、それゆえに 訪れる人も少なく、静かな公園だ。 ベンチに腰を下ろすと、私はさっそくおにぎりの包装を解いて中身にかぶりついた。 もぐもぐと咀嚼しながら、この姿を見て私を芸能プロダクションの社長だと思う者はおらんだろうな という思いが頭をよぎる。途端に自己嫌悪にも似た感情が込み上げてくるが、これをぐっと抑え込んで、 手にしたおにぎりを口元へ運ぶ。 と、その時だった。
- 539 名前:SS再掲/美希・2 mailto:sage [2009/06/07(日) 22:21:46 ID:LTbFyX3m0]
- 公園の入口に一人の少女が立って、私を――正確に言えば、私の手元をじっと凝視していた。
もしや……と思いつつ、私は素知らぬ振りを装って手にしたおにぎりを食べ、それから横目でそっと 少女の様子を窺う。 すると、傍目にもそれとわかる落胆した表情で彼女が溜息をつくのが見えた。 さすがに、そんな態度を取られて平然としていられるほど、私は冷淡な人間ではない。 かといって、いきなりおにぎりを勧めるのも違うだろう。 まずは無難に声を掛けてみることにする。 「どうかしたのかね?」 まともな返事など期待してなかったが、少女は少し目を瞬いた後で単刀直入にこう言った。 「おじさん、おにぎりちょうだいなの」 予想を超える反応に、私は飲みかけの茶を吹きそうになった。 「それとも、今ので終わり?」 この無警戒さは何なのだろうか。 「……ゴホン。おにぎりはまだ幾つかあるから、あげるのは構わないんだが、もう少し他人に対して 警戒を抱いてはどうかね?」 「む。もったいぶらないでよ。おにぎりあるんだよね?」 と、少女はスタスタと歩いてきて、私が傍らに置いていたコンビニの袋を指差した。 「かつおと焼きたらこがあるが――って、そうではなくてだね! 君、まだ未成年だろう?」 「君じゃなくて、ミキだよ」 「……えっと」 「年はね、14歳。中二だよ」 「……だからだね。未成年をターゲットにした犯罪が後を絶たないご時世に、見知らぬ大人から食べ物を 分けてもらうなんて、危ないとは思わないのかね?」 「ん。別に大丈夫だって思うな」 「どうしてだね?」 「おじさんは、そんな悪いことをしそうなタイプには見えないの」 そう言ってもらえるのは光栄の至りだが、この子の行く先が非常に不安になってくる。 天真爛漫というか、天衣無縫というか、まぁ、それはそれで得難い性質だとは思う。けれども、 よくよく見れば、かなり露出度の高い服を着ていて、髪の毛を金髪に染めており、化粧っ気こそないものの、 妙に目立つ格好なのは間違いない。服装のせいか、メリハリのあるボディラインが露わになっていて、 とても中学二年生とは思えない。また、眉をひそめているからわかりにくいが、目鼻立ちも整っている。 少しばかり目つきがきついかなとも感じるが、それもまた美人さを高めている一因になっているとも 言えなくはない。 と、ここまで少女のことを観察して、私はふと気が付いた。 ここ最近、同業者の間で話題になっていた美少女とは、この子なのではないかと。 「ねぇ、おじさん。おにぎり、くれないの?」 「あげてもいいが、その前にひとつ質問してもいいかな?」 「いーよ。何?」 「君は、スカウトをされたことがあるかね?」 「君じゃなくて、ミキだって言ってるのに……。スカウトって、モデルやってみませんかーとかって、 知らない人から声をかけられること?」 「そうだ。名刺を渡されたりしたかね?」 「うん、もらったよ。ミキ、興味ないって言ったのに、気が変わったらここに連絡してねって押しつけられたの。 もう、全部捨てちゃったけど」 間違いない。 噂は本当だったのだな。
- 540 名前:SS再掲/美希・3 mailto:sage [2009/06/07(日) 22:22:33 ID:LTbFyX3m0]
- 「で、どちらのおにぎりにするかね?」
「焼きたらこ」 迷い無く値段の高い方を選んで、彼女は私の隣に腰を落ち着けた。 慣れた手つきでビニルの包装を解いて、実に美味そうにおにぎりを食べる。 その横顔は、確かに年相応の幼さを感じさせるものだった。 あっという間に、焼きたらこおにぎりを平らげてから、彼女は私を見上げて言った。 「おじさんも、もしかして芸能界の人なの?」 「はは……、鋭いね。実は、その通りだ。765プロダクションという芸能事務所の社長をやっている」 「なむこぷろだくしょん?」 「会社の名前はあまり知られてないかもしれないがね。如月千早というアイドルを知っているかね?」 「知ってるよ! すっごく歌がうまくて、キレイな人だよねー。ミキ、ちょっと憧れちゃうなー♪」 「その、如月千早君が所属している事務所の社長が私なんだ」 「へぇ……」 少女の表情に明らかな変化があった。 これは脈ありかもしれんと思い、一押ししてみることにする。 「もし興味があれば、一度ウチに見学に来てみないかね? スケジュールの都合さえあえば、憧れの 如月君にも会えるかもしれんぞ」 「それ、本当なの?!」 「勿論だとも」 「じゃあ、今から行く!」 「し、しかしだね……」 「今日は、千早さんはいないの?」 「いや、その、今日はプロデューサー会議があるから、如月君も事務所に来る筈だが……」 「だったら、今日がいいな。今日にしよう。ね?」 むむむ。段取りをきちんと整えてからにしたかったが、この機を逃せばこの子を我が社に迎えることは できないかもしれない。ここは決断の時だ。 「……わかった。私も男だ。腹を括ろう。ついてきたまえ」 「わーい、やったぁ!」 喜色満面で付いてくる少女を見やりつつ、ふと名前を聞いていなかったことを思い出す。 「そう言えば、君の名前を聞いていなかったね」 「ミキはね、星井美希。よろしくね、おじさん」 「私は、高木順一朗だ。今後は、社長と呼んでくれたまえ」 「うんっ!」 * 今から思えば、スーツ姿の私とカジュアルスタイルの美希君とは、道行く人たちから見て、実に奇妙な 取り合わせに見えたことだろう。 しかし、この日の出会いがなければ、星井美希君がトップアイドルとして名を馳せる日が来ることは なかったかもしれない。 そう考えると、つくづく人の世は実に奇妙なものだと痛感させられる。 「社長!」 おっと、音無君が呼んでいるな。 今日は美希君と如月君のユニットのライブツアー初日でね。そろそろ会場に向かわねばならん時刻に なったようなので、この辺で失礼させてもらうよ。 これは私の勘だが、君たちとは別の形で再会できそうな気がする。なに、ただの勘だがね。 それでは、また会うときまで元気でいてくれたまえよ。
- 541 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/07(日) 22:24:02 ID:LTbFyX3m0]
- ロダにまとめて上げるべきだったと思いつつとりあえず出会いのSSは全部転載。
鬱陶しい人もいるかと思うんで、そういう人は「SS再掲」でNGして下さい…
- 542 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/07(日) 22:50:05 ID:CCicc7G/0]
- 先に言っとけよ・・
- 543 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/07(日) 22:59:37 ID:Ee6PGkdO0]
- 一瞬なんの荒らしかと思ったじゃないか。
ろだに上げるべきだったろうけど、まあたまにはレス進むのもありかw
- 544 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/07(日) 23:05:35 ID:wsE9N1mq0]
- OCN組だけに赤IDがどぶぁーと並ぶと凄い怖いw
たしかに、これはロダだったかもねえ。
- 545 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/07(日) 23:21:43 ID:odA3xAHO0]
- >>541
おお、超乙!
- 546 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/08(月) 02:52:27 ID:lXKlaWRuO]
- とはいえ乙。
- 547 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/08(月) 03:28:16 ID:lkSMHBZ6O]
- ものすごく遅レスですが、
キャラスレまとめWiki の社長のところに SS が掲載された過去スレがありますんで。 次回のテンプレに入れとく? 【空気の読めない】高木順一朗part1【高木社長】 ttp://www29.atwiki.jp/imas-mousousinsi?cmd=upload&act=open&pageid=31&file=takagi1.htm ※リンクをクリックするとダウンロードのダイアログが出ます。
- 548 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/08(月) 03:36:33 ID:azBp3QZKO]
- スレがごっそり進んでてたまげた
けど、いいものを読ませてもらったよ
- 549 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/08(月) 10:01:59 ID:8AMuJy5J0]
- 社長のってSSまとめサイトなかったんだっけ?
- 550 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/08(月) 13:40:07 ID:CWIHrWIxO]
- 俺も一瞬荒らしかと思ったw
まぁ正直、高木社長スレ荒らしても何の得もないだろうがw
- 551 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/08(月) 14:32:13 ID:Sb7rz750O]
- いや、このスレって荒らしが立てたのをそのまま使ってるんだぜw他にもdat落ちするわ名前間違ってるわで毎回何かしらあるという順ちゃんスレ
- 552 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/08(月) 15:00:15 ID:CWIHrWIxO]
- 一応2スレ目は1000まで行ったんだよな
このスレもこのペースなら何ヶ月後かには1000いきそうだな
- 553 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/08(月) 15:01:06 ID:ugDqWp1P0]
- 一病息災と言ってだな
- 554 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/09(火) 21:20:51 ID:Gj9RoTj30]
- 波乱万丈な人生をいきぬいてきたんですね、社長!
- 555 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/10(水) 12:49:22 ID:sIE/SP1IO]
- 波乱万丈な恋か
- 556 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/10(水) 20:02:58 ID:g5ksFLK30]
- ぴよっ、お呼びですか社長
- 557 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/10(水) 20:41:26 ID:GIfu7+Qf0]
- 高木「音無君…早く帰りたかったら、君は残業を終わらせたまえ…」
- 558 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/10(水) 23:14:50 ID:rkgmtw9H0]
- >>375のスレ落ちたみたいだね。
まあ流石に何のネタもないわな…
- 559 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/11(木) 05:47:55 ID:Wu0esVVo0]
- ふむ、黒井のスレは大丈夫かね?
- 560 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/11(木) 06:09:38 ID:ERf1GseJO]
- あそこは定期的一応ageるようにしてはいる
- 561 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/12(金) 01:14:42 ID:MTrDlqVO0]
- 【この歌声】如月千早59【雨雲を割って】
schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamechara/1244727142/ まだ報告がなかったようなので代理報告ですー。 それにしてもじめじめする季節って嫌ですよねぇ
- 562 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/13(土) 00:25:29 ID:UNaMFx1c0]
- 社長、ワンダーモモが改めてプロデュースされる(WiiのVCで配信)と聞きました!
- 563 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:age [2009/06/13(土) 23:21:16 ID:vgDLlOaw0]
- 社長の1番最初にプロデュースしたという噂の子か
- 564 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/14(日) 15:48:54 ID:H9B6GnziO]
- 社長!
パチ業界にアイマスブランド取られる前にオンライン麻雀で企画出していいですか?
- 565 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/15(月) 01:00:27 ID:JLt1vHCwO]
- 却下
- 566 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/15(月) 17:50:01 ID:SRBXqejbO]
- 【ジャズって】高槻やよい 35うっうー【初めて】
schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamechara/1245017470/ 雨が降った後に虹をみたいですねー
- 567 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/19(金) 00:38:39 ID:8LfQyLXI0]
- ちょっと前コロンビアからCDのパケのあちこちのミスが頻発してたけど
今のMSの遅れもそういうミスが発覚したせいなんかな。 以前のMA9の遅れとか、中の人が関与してるって噂があったけど コロンビアのミス連発みてると流石にどう考えてもコロンビアのせいだな。
- 568 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/19(金) 18:41:39 ID:f15gTvoZ0]
- そういや、アイマスライブツアーで販売してたMASTER BOX catalog
でCDの曲順番がまた歌詞と違っていたとか聞いたんだけどほんと? オレ自身は開けてないから確かめようがない
- 569 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/19(金) 20:43:44 ID:1dI2YsI/0]
- CRとき○きメモリアルすら出てないから大丈夫だろう>パチ業界
まあアレだ、数年後のナムコゲーの作中看板に "Haruka Amami NEW SINGLE" とかそんな感じ?
- 570 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/19(金) 23:00:55 ID:XQygSRyjO]
- アイマスなら何でも売れるという適当さがあるみたいでよくないね
人手や予算が不足してるのかもしれないけど けど社長CDは皆買うな
- 571 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/19(金) 23:53:35 ID:KvM2utXKO]
- 【765プロの】天海春香 ウエスト56cm【有名アイドル】
schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamechara/1245422103/ 春香さんの正確な体重が知りたいです!
- 572 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/20(土) 04:50:10 ID:XQKMlO04O]
- >>570
俺も保存用、観賞用、視聴用、妄想用 で最低4枚は買っちゃうかな
- 573 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/20(土) 12:38:53 ID:mXalTzgx0]
- 視聴用と妄想用の違いはなんなんだ…
- 574 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/20(土) 18:08:43 ID:f/z8baBL0]
- 視聴用……聞きながら社長タンハァハァする
妄想用……CDを手に持ち社長タンハァハァする だが>>572、布教用を買わないのは怠慢だぞ
- 575 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/20(土) 20:41:33 ID:XQKMlO04O]
- >>574
おぉ!すまない、兄弟 更に初回と通常で合計10枚だな
- 576 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/21(日) 22:22:17 ID:2GEZiPB/0]
- 社長!765プロのホームページはいつになったら更新されるんですか!?
- 577 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/21(日) 23:06:04 ID:XUYOyX4aO]
- それはダメな…いや、音無くんの担当だ
音無くんに聞いてみてくれたまえ
- 578 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/21(日) 23:09:14 ID:sICiXtp30]
- 社長、仕事の出来ない小鳥さんは俺んちでねっとり鍛えさせますんでお任せください
- 579 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/21(日) 23:20:28 ID:zpitdD0n0]
- 残念、それは小烏さんだ
- 580 名前:名無したんはエロカワイイ [2009/06/22(月) 02:13:36 ID:m/j8EcKmO]
- 社長誕生日近いな
- 581 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/22(月) 05:59:46 ID:/BW+6bIG0]
- 333.ooo.amigasa.jp/
- 582 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/23(火) 06:22:14 ID:3jx0SC+tO]
- 秋月律子 眼鏡29本目
schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamechara/1245679283/ 今日はりっちゃんの誕生日ですよー
- 583 名前:名無したんはエロカワイイ mailto:sage [2009/06/23(火) 23:32:33 ID:paJaPrS80]
- 報告が来ていないようなので、代理です
【凸と金髪】水瀬伊織22ひひっ【14歳】 schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamechara/1245752124/l50 【七夕】三浦あずさ ある日の風景27【誕生日】 schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamechara/1245761147/l50 おや? このコンビ、何処かで見たような…
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