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[特徴ないのが]天海春香45kgくらい[特徴って言うな]



584 名前:SS・春香360(4/4) mailto:sage [2008/12/14(日) 07:26:39 ID:CpnLEyQb0]
「もう、もう! 信じてたのに! なんなんですか、もう!」
「ゴメン! ほんっとゴメン! いや、その、そのスイッチは押さなくても良いことに気づいたんだ!」
春香がぷりぷりに怒っている。そりゃそうだ。しかし、スカートに手をかけていたか。
いや違う、それは忘れろ俺。忘れる。そう忘れる。……無理だろ。
「ぶー……。ひどいですよプロデューサーさん。だからっていきなり振り向かなくても……」
「すまん。ゴメン。悪かった。で、だ。XBox360はな、コントローラーからも電源が入れられるんだ」
「むぅ。まあ、いいです。押さなくて済むなら。で、どうやるんですか?」
「その頭のコードだよ。iPodのボタン付きケーブルで思い出したんだ。よっと」
俺は、棚に置かれている資料閲覧用のAV機材の山の中からXBox360用の無線コントローラーを取り出した。
春香の頭の上から伸びたコードの先のコネクタを、コントローラーのてっぺんに添えて差し込む。
春香がくすぐったそうに身をよじったが、今度は声を漏らさなかった。
「……コホン。いきなりですまん」
「いえ……」
「で、これでこのコントローラーは春香がマスターになるんだ。有線にはならないけれど」
「じゃ、じゃあ電源を入れたら……」
「うん。映るよ、たぶん」
「春香、自分で押してみるかい」
「は、はい。えーと、どれです?」
「真ん中のしいたけ」
「あははっ、ホントだ。煮物のしいたけみたいな形ですね。じゃあ……ぽちっとな?」
そして、俺は見た。
春香のリボンのふちが、ピカピカと明滅しセットアップシーケンスに入っていくのを。
そして、画面に映ったのは……。



「やー、びっくりでしたね! まさか、あんなに遊べるなんて凄いかも」
「ホントにな。さすが春香だ。XBox360の設計スタッフが見たらきっと驚いただろう。こんな性能ありえないって」
「えへへ、イヤですよ、プロデューサーさん。私は、アイドルです」
「そうだな、ゲーム機じゃない。しかし治ってよかったよ」
映ったそれは、ただのゲームだった。
春香が漠然と考えていた、ゆるいアクションパズルのミニゲーム集のようなそれは、全編二人用。
主人公は、赤いリボンの似合うちょっとドジな可愛い女の子と、スーツ姿の飄々としたナイスガイ。
とりあえず二人で遊ぶことにしたのだが、4時間ぶっとおしで堪能してしまった。
「まあ、どうしてこんなことになったのかは謎のままだけどな」
エンディングが終わると同時に、ふっとコードが抜け落ちて、跡形もなく消え、春香は元に戻っていた。
全てのステージはクリアしたが、最大の謎はゲームの外で、いまだ答えはない。
「……私、なんとなく解っちゃいました」
「お? それは、どういう?」
つい、ゲーム中のナイスガイが良く使っていたセリフで春香に尋ねてしまった。尋ねてから後悔する。
この尋ね方をすると、ゲーム中のあのリボンの娘は、決まってある答を返すのだ。
「ヒ・ミ・ツです♪」
「あーしまったー! なあ教えてくれよ春香、色々手伝ったじゃないか」
「だめですー! えへへへ」
春香が駆けて行く。事務室のドアについてしまった。まあ、いいか。春香が楽しそうだ。
と、ドアノブに手をかけたまま、春香が振り返る。
「あの、プロデューサーさん、また遊んでもらえますか?」
「ああ。いつでもいいよ。仕事の隙間をみつけて、また遊ぼう」
このすっきりした笑顔を、いつでも見られるなら。
「約束ですよ、約束!」






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