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LAS小説投下総合スレ19



1 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/10(月) 21:28:28 ID:???]
LASを投下しましょう。甘LAS、シリアスLAS、イタモノLASなどジャンルは問いません。
また、LARSやハーレム物の中で描かれるLASなどもOKですが主軸はLASで。他カプが主軸なら該当スレへ。

エロ分が多ければエロパロ板へ投下で、当板は全年齢対象です 。
原作にどれだけ直球な表現があったからといってもエロ分が多いとスレ削除を食らいます。

あなたがLASと思えば、それはLASなのです。

過去スレ1
01 anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1122558487/
02 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1109570903/
03 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1110008498/
04 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1110645039/
05 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1111194171/
06 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1111941594/
07 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1112530302/
08 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1113068736/
09 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1113238483/
10 comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1114138826/


evaFF転載板
ttp://yy10.kakiko.com/yy11307819/
LASスレ投下SS保管庫
ttp://las.nobody.jp/


716 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 18:23:10 ID:???]
>>715
別のLASスレですか?
それか別のカプとか?

717 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 18:23:22 ID:???]
>>715
じゃあ次のはLASじゃないってことかな?
だったら残念だけど、頑張ってください
そしてまたLAS書いてくれたら超嬉しいです

718 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 18:30:15 ID:???]
>>716
アスカ×マリスレか、ノンジャンルかな?
良く考えたら、俺はアスカが好きなんであってLASは
二の次って気がしてきました。

アスカに幸せになって欲しいから、LASって言う事なんですよね。

719 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 18:31:47 ID:???]
別にそれは言わなくていい


720 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 18:35:51 ID:???]
ふ〜ん。まあ仕方ないね。
とりあえず乙でした。

721 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 18:49:08 ID:???]
LASは二の次でしたとかLASスレでよく言えたなw
感想書いた奴とか楽しみにしてた奴の身になれよ…

まあでも作家さんは神様です。また別スレでも頑張って


722 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 20:03:40 ID:???]
結局N3の件は?
ここでおk?

723 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 20:10:24 ID:???]
>>721
二の次って言う言い方は誤解をうけますよね。
個人的には、カブとは誰かを幸せにする方法論だと思って居ます。
それで、アスカを幸せにする為にはLASしかないと言うのが俺の
見解です。

724 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 20:22:25 ID:???]
式波惣流スレにあった旧新アスカが混在するSSで、
惣流が主人公なのに式波とシンジがカップルになったっぽいんだ。
LASなんだが微妙にLASでないような気がしてすげー複雑な気分。
仲人プレイっぽいのが救いだけど、厳密にはイタモノ(悲恋系?)に属するのかな?



725 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 20:24:14 ID:???]
>>722
N3が来ない事にはどうにもこうにも

726 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 20:24:21 ID:???]
RemembranceだってLASだってことになってるんだからそのくらいインジャネーノ

727 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 20:24:56 ID:???]
>カブと

おばあちゃんが言っていた…男にはやってはいけないことが2つある
女の子を泣かせることと、食べ物を粗末にすることだ

728 名前:537 mailto:sage [2009/08/24(月) 20:32:57 ID:???]
今回は大丈夫かと思ってたんですが投下すると荒れそうですね
少し時間がかかると思いますが、11の他にも書きためてるのが有るんでブログかなんかで公開することにしようかと考えてます。

今回は職人様&読者様お騒がせ致しまして申し訳ありませんでした。

729 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 20:36:14 ID:???]
>>728
スレ立てるから気にしなくて大丈夫ですよ?
なんなら投下してもらえた方が嬉しいですし

730 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 20:40:10 ID:???]
>>728
おお帰ってきてくれたか!お騒がせなんてとんでもないですよ。
投下スレ20立てますから、出来れば投下してもらいたいです。2ちゃんの方が感想も書きやすいです。

731 名前:537 mailto:sage [2009/08/24(月) 20:41:21 ID:???]
スレたてていただけるなら、私としてはそのほうがありがたいです。
お願いしてもよろしいでょうか?

732 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 20:44:47 ID:???]
>>731

>>671と同じスレタイでいいですか?
ソッコー立ててきますが

733 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 20:46:52 ID:???]
>>727
俺のおばあちゃんはこうも言ってた


「人が歩むのは人の道、その道を拓くのは天の道」
「絆とは決して断ち切る事のできない深い繋がり…たとえ離れていても心と心が繋がっている」
「たとえ世界を敵に回しても守るべきものがある」
「美味しい物を食べるのは楽しいが、一番楽しいのはそれを待っている間だ」
「人は人を愛すると弱くなる…けど、恥ずかしがることはない。それは本当の弱さじゃないから」


ってな

734 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 20:47:27 ID:???]
やめろボケブログで細々やってりゃいいじゃね〜か



735 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 20:48:08 ID:???]
>>732
さんせー

736 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 20:50:49 ID:???]
絶対たてるなよ
どうしても投下したけりゃここにしろ!あらしてやるから

737 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 20:53:24 ID:???]
通訳プリーズ

738 名前:537 mailto:sage [2009/08/24(月) 20:54:31 ID:???]
スレタイはなんでもいいのでお任せします。

739 名前:732 mailto:sage [2009/08/24(月) 20:54:38 ID:???]
規制で立てれなかった…orz
誰か頼んます

740 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 20:56:19 ID:???]
>>739
バーカwwww

741 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 20:58:07 ID:???]
>>739
行って来ま

742 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 21:00:35 ID:???]
ドゾー

LAS小説総合投下スレ20【N3】
changi.2ch.net/test/read.cgi/eva/1251115165/

743 名前:732 mailto:sage [2009/08/24(月) 21:02:05 ID:???]
>>742
ありがとw乙です

744 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 21:09:26 ID:???]
専スレみたいなの立てたのね。乙です。
じゃあこちらもマターリ投下待ちますか。



745 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 21:12:34 ID:???]
やっとこさ落ぢづくな゛

746 名前:if mailto:sage [2009/08/24(月) 21:36:13 ID:???]
「空気クラッシャー」とか「栽培マン」とか言ってるけど、否定はせんよ
すいませんでした



747 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 21:37:13 ID:???]
よし、さっそく空気クラッシュしてくれ

748 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 21:38:43 ID:???]
>>746
消えてくれ

749 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 22:51:07 ID:???]
してるんだよ
「空気をクラッシュする」と言ったら既にそれは実行されているんだよ

750 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 23:08:26 ID:???]
うおっ
今夜投下しようかと思ってたけど、やっても大丈夫?

751 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 23:10:55 ID:???]
お願いしまつ

752 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 23:12:00 ID:???]
おk
たぶんまだだけど、そのうち投下します
あっちは使っちゃだめなんだよね?

753 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/24(月) 23:15:25 ID:???]
ダメ。釣りだったぽいので次スレに使いましょうか

754 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 00:01:31 ID:???]
あれだけスレ消費させといて結局釣りとか
悪質ってレベル越えてるw



755 名前:674 mailto:sage [2009/08/25(火) 00:13:04 ID:???]
ばんわ
なんとか完結させたくて頑張っております
スピード重視で荒いと思うけど、すんません
よく考えたらサファリパークしか行ったことなかったわ!


・学園異性系イタモノ注意
・明るめ・・・?え?



NGワード キンモクセイ

756 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/25(火) 00:14:25 ID:???]
髪を下ろして鏡の前で微笑む自分の姿は、いつもより大人っぽく見える気がした。

肩からさらりと髪が流れ落ちる。あたしの髪は今日も艶めいていて、相変わらず綺麗だと思う。
自分で言うなよ、なんて、またシンジにツッコまれそうだけど、事実は事実なんだからいいじゃない。
蜂蜜色に輝くこの髪は、ママではなくパパからもらったもの。
ママを捨てたパパだけど…、パパにもらったこの髪と青い瞳の色は自分でも嫌いじゃなかった。
サイドの髪を花の飾りのついたピンで止めて、最後に軽く色付きのリップを唇にひいた。
こんなもんかな?と、玄関にある鏡の前で一回転する。
クリームイエローのシフォンワンピースがふわりと蕾みを開くように舞った。
裾の短めのデニムジャケットを羽織って、足元にはキャメル色のブーツ。
赤い小さなポーチを肩にかけて、玄関の扉のスイッチに人差し指を近付ける。
…少し、甘すぎた格好かも知れない。コレじゃまるでデートに行くみたいじゃないの。
デート、と言う言葉にあたしは血の気が引いていくのを感じた。

何を考えてるんだろう、あたしは。いくら特別だろうと相手は友だちじゃない。

女を前面に押し出したような、こんなふわふわのワンピースを着る自分が急に汚らわしく感じて、あたしは慌てて翻った。
デニムパンツに着替えよう、と部屋へ戻るために一度履いたブーツに手をかける。
「んしょ、んしょ…」
なかなかブーツが脱げなくて、あくせくして。
「おはよう……って、なにしてんの?」
もたついている間に、シンジはすでにあたしの後ろに立っていた。
あたしはこの時ほど、自分がマヌケだと感じたことはない。


流れるように映り変わっていく、窓から見える景色。まるで映画のフィルムみたいだ。ビルばかり映したつまらないフィルム。
朝と言っても日曜日の電車の中に、平日のような混雑さはない。
他人の匂いの混じり合う電車独特の空気があまり好きじゃないので、ありがたかった。
出勤前のサラリーマンや高校生たちであふれ返る車内の臭いなんて、想像するだけで気持ち悪い。
幸いにも、休日らしく子供連れの家族とか、女の子同士のグループやカップルばかりで。


757 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/25(火) 00:15:34 ID:???]
さすがに座席は空いてなかったので、あたしたちは仕方なく扉の前に寄りかかっていた。
ちらり、と横目で隣に立つシンジを見る。
シンジの着ているアーガイル柄の黒いカーディガン、前にも見たことあるやつだ。
カーマインの細身のパンツとの組み合わせはなかなか良いと思う。
そんなことより問題なのは、さっきからのシンジの態度だった。
両腕を胸の前で組んで、ずっと景色ばかりを見ている。
マンションを出たときから口数が少なくて、ぶっきらぼうで、なんだか変だ。
どこか億劫な眼差しを外に向けて、あたしを見ようとしない。
なんなのよ、一体…。
あたしはシンジから視線を外してため息をついた。
そのまま自分の服に視線を移してまたひとつ、ため息をつく。
結局着て来てしまった、シフォンのワンピース。可愛いと思っていた裾のフリルが今は恨めしい。
唯一利点があるとすれば、ふんわりとしたフォルムが身体の線を隠してくれて、
あたしを舐めまわすような視線が減ることだろうか。向かいの斜め右に座る若い男の人のように、単純に顔を赤くするだけで。
例外として、左側の優先席に座るハゲオヤジのようにスケベな視線を寄こすやつもいる。
睨み付けてやると、オヤジは慌てて目を逸らした。これだから電車は嫌いなのよ。
シンジと言えば、相変わらず窓の外を見ている。
その澄ました横っ面を叩きたくなったけど、さすがに公衆の面前では憚られるので、
ブーツの底でその足を踏んづけてやることにした。
「い゛っ…!」
踏まれた足を抱えこんで、シンジが呻く。
「なにすっ…」
「やっとあたしを見たわね」
シンジのマヌケな顔に向けてにっと笑う。
シンジがはっと目を見開かせて、ごめんと言った。
「これからふたりで遊びに行こうっていうのに、やめなさいよそんな態度。つまんないじゃん」
「ごめん…」
そう二回謝ったそばから、また目を逸らす。今度は俯いて。
あんたいい加減にしなさいよ、と叫びかけて、その前にシンジがぼそりと呟いた。
「…今日のアスカ…」
「なによ」


758 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/25(火) 00:16:43 ID:???]
シンジが顔上げる。
「今日のアスカ、クラゲみたいだ」
もう一度、ブーツの底でぐりぐりと踏みつけてやった。




空は日に日に遠くなっていく。
おとといの雨の跡なんて微塵も感じさせないほどに、今日の天気は晴れ渡っていた。
雲は薄く、筋を描くように浮かんでいる。今日のあたしにはそれがだけが残念。
ふわふわとしたクラゲのような丸い雲が浮かぶ、初夏の空なら……もしかしたら、あたし飛べたかも知れないのに。
だって、あたしはクラゲ。ぷかぷか浮かぶクラゲ。
「ねぇ、シンジ。クラゲゾーンはどこ?」
「…すみません、動物園にはないです」
「ざんねーん。仲間に会いたかったのになあ!」

ペンギンはいるのに、クラゲがいないって不公平よね!

柵の下で、ペンギンたちもクエクエッって鳴いて同意してる。
そうよね。あんたたちも海の仲間が欲しいわよね。
「ごめんって…!クラゲだなんて、ほんの冗談だったんだよ」
ペンギンの柵から乗り出すように、シンジがあたしをのぞき込んでくる。
そんな必死にならなくても、別にそれほどあたしは怒ってない。
ふわふわクラゲのワンピース、なんて素敵なんだろう。女の子が、とてもデートに着ていくような服じゃないわ。
おかげで肩の荷が下りて、気が楽になった。
……もう二度と着ないけど。
「その、…戸惑って、つい、冗談言っちゃったんだよ!…だってアスカ、いつもと感じが違うから…」
「はぁ?なにがよ」
「……だから、その、可愛いって言ってんだよ!」
「はいはい、その手には何度も引っかからないわよ」
「ちがっ…」


759 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/25(火) 00:17:32 ID:???]
図書室での一件は忘れていない。
シンジのからかいを軽く流して、動物園のパンフレットを開く。
「次は何を見・よ・う・か・なぁ〜」
「アスカ…」
せっかく来たんだから、楽しみましょ!
そう言って、何か言いたそうにまごつくシンジの腕を引っ張って、あたしは歩きだした。
あたしの少し後ろを歩くシンジを引きずるようにして、ずんずん先へ進む。
「次はキリンを見るわよっ」
「はぁ…りょーかい」
日曜の動物園は家族連れが多くて、はじけるような子どもたちのはしゃぎ声に溢れていた。
けれど、遊園地のような騒がしさやせわしさはなくて、動物たちに合わせて時間はゆっくりと流れていく。
ただ動物を見ているだけなのに、不思議に楽しくて。
あたしは子どものようにはしゃぎまわった。
「シンジ!見て!あいつシンジにそっくり!」
指差した先には、ぼけっとしたマヌケ顔の毛むくじゃらが何匹も。
水辺でぼーっとしたままさっきから何も動かない。
「どこが似てるんだよ、カピバラじゃないか!」
どうやらこいつらが、カピバラとか言う世界最大のネズミらしい。
何をもってネズミとされているのかは謎だけど、くりくりとした大きな黒い瞳はとても可愛い。小さいころのシンジみたいね。
カピバラに似てると言われるのが不満らしくて、シンジは眉を寄せてむっつりとしている。
「あ…でも、泳ぎが得意って書いてあるわ。そこはシンジと違うわね」
「悪かったな、カナヅチで」
「ほら見て!気持ちよさそうに目を瞑る表情なんて、ほんとマヌケで笑えるわ」
くすくすと転がるようにあたしが笑うと、シンジはさらにむくれた。
お返しとばかりにニホンザルのゾーンで、あの子猿アスカに似てるねって、
キーキーと人一倍(猿一倍?)うるさい猿を指差してシンジは悪戯っぽく笑った。
そんな風にからかったって、今日のあたしは動じないわよ?
だって、おサルじゃなくてクラゲだもの。
残念ながら、おサルのマスコットはうちのベランダで日向ぼっこしてるのよ。雨でびしょびしょに濡れちゃったから。
そう言ってやったら、シンジはつまらなさそうに口を尖らせた。


760 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/25(火) 00:18:48 ID:???]

ゾウやキリンやチンパンジーみたいに、サービス精神旺盛に子どもたちの相手をする動物たちもいれば、
ライオンなんかはのべっとしてお腹を上に向けてダレているだけ。
集団でお昼寝する姿なんてとても百獣の王に見えなくて、これじゃ百睡の王ねと、シンジと笑い合った。

「あと、なに見てないっけ?」
園内のレストランでお昼をとっている時に、シンジが牛丼を頬張りながら聞いてきた。
あたしは、シンジに奢ってもらったミートスパゲティのフォークを置いて、パンフレットを取り出す。
それほど大きな動物園ではなかったので、もうほとんど見てまわってしまっていた。
「えっと…パラダイスゾーンって、珍しい南国の鳥とか……あと、意外にもトラを見てないわ」
「トラ?メジャーなの忘れてたね」

パラダイスゾーンはレストランのすぐ近くにあった。背の高いガラス張りの大きな建物の中に、
まるでジャングルのように鬱蒼と木が繁っている。
中は温室になっていて、デニムのジャケットが少し煩わしく感じた。
「わあ…!綺麗!」
ほんとうに綺麗だった。赤や白、黄色に青色、色とりどりの鳥たち。
すごく尾の長いのもいれば、バナナのような長いくちばしを持っていたり、
自分の体と同じくらいに大きな、そしてカラフルなくちばしを持っている鳥もいた。
シンジも目を輝かせて、そんな鳥たちを見ていた。
「パラダイスっていうの、分かるよね。本当に楽園みたいだ」
シンジの言葉に、あたしも頷く。
「見て見て!フラミンゴもいるわよ!」
道なりに進んだ先の大きな池に、サーモンピンクに色づいたたくさんのフラミンゴたちが群れをなして立っている。
実物で見るフラミンゴは思ったよりも大きくて、あたしと同じくらいの身長はあった。
棒みたいなあんな細い足で、どうして大きな体を支えてられるのかが不思議でたまらない。
「綺麗ね…でも、フラミンゴって渡り鳥じゃなかったっけ?」
テレビの動物番組で、そんなことを言っていた気がする。
湖から湖へと自由に旅するフラミンゴ。でもその旅の理由はまだよく分かっていないと、その番組の学者が言っていた。
美しい羽を広げて、群れをなして飛ぶ姿はきっと美しいだろうな。


761 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/25(火) 00:19:47 ID:???]
「…ここの鳥たちや動物たちは、どこか違うところへ行きたいとか思わないのかしら」
「今のままで彼らが幸せなら、それでいいじゃないか」
どこへも行く必要なんてないよ。
そう呟くシンジの目は、どこか遠くを見つめているようだった。

「シンジ君っ!?」
若い、女の声だった。聞き覚えのある、少し高めの可愛らしい声。
突然呼ばれたことにびっくりして、あたしたちは慌てて振り返った。
「あーやっぱり!!シンジ君だ!ひっさしぶりだねぇ♪」
あたしの胸がズキリと痛む。
あの時と変わらない、子犬のような人なつこい笑顔の。あの女。
「マナっ!?」
シンジが驚きに声を高くした。
霧島さんがシンジに駆け寄って、後ろで腕を組みながら媚びるように覗きこむ。
「背、高くなったねー。見違えちゃった!」
「どうしたんだよ!?こんなところで!?」
「ん?私もデート」
後ろに、背の高い男の人の姿が見えた。浅黒い肌をした、体格のいい、野生的な感じのする人だ。
シンジとはまるで正反対の。
「ところで、元気にしてる?」
「まぁまぁだよ」
見れば分かるじゃない、とあたしは心の中で愚痴をこぼす。
彼氏が後ろにいるっていうのに、どうしてこんな風に違う男と親しく話せるんだろう。
「卒業以来だから、一年半ぶりだねっ。シンジ君、違う高校に進学しちゃったからさ」
「マナも元気そうでよかったよ」
「元気だよぉ、私の取り得だもん。シンジ君、ここにはよく来るの?」
「ううん、初めてだよ」
あたしはなんとなく疎外感を感じて、話し込むふたりに背を向けた。霧島さんがあたしに話しかけないのは仕方ない。
中学時代、仲の良い関係でもなかったし。それに、今さら親しく話しかけられたって困る。
ぼんやりと、フラミンゴたちを見つめる。その中の二匹が、仲の良さそうにくちばしをつつき合っていた。


762 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 00:20:48 ID:???]
「あたしはよく来るんだよ。動物、好きなの知ってるでしょ?今日は部活も休みだから久しぶりに…」
「それよりさ、ムサシ君が怒っちゃうよ」
シンジの声に拒絶の色を感じて、あたしは驚いて思わずシンジを見る。
冷たい色だった。怒りなのか無関心なのか、あたしには分からない。
「あ…そうだね、ごめん」
霧島さんの表情が、あの笑顔から急に真顔に変わった。あたしをちらり、と見る。
「やっぱり、あなたたち付き合ったんだね」
「そうだよ」
…なんですって!?
すぐさま、そう答えたシンジの言葉にあたしは動揺した。
胸の痛みと、どきどきとがいっぺんに来て、あたしが戸惑っている間に。
霧島さんの方が先に、口を開く。
「…そっか。良かったね、シンジ君。じゃあねっ、シンジ君に惣流さんっ」
最後に調子を取り戻しながらそう言葉を残して、彼氏の待つ方へと行ってしまった。
ふたりで腕を組んで、寄り添うようにして、その後ろ姿は気がつけば小さくなっていた。
「男のつまらない意地に巻き込んで、ごめん」
「…サイテイね。冗談でもやめてよ、そんなウソ」
「…ごめん」
つまらない意地。男の意地。
元カノの前で見栄を張りたいからって、あたしを利用するのはやめてよ。
あたしの心をこれ以上かき乱すのはやめてよ。
ずっと昔に諦めてるのに、忘れたふりをしてるのに。
あたしは、あんたと友だちでいたいのに。
少しでも嬉しいと感じている自分が、たまらなく嫌だった。
「ねえ、シンジ。好きだったひとに、今彼氏がいるってどんな気持ち?」
「別に。好きなひとがいるから、関係ないよ」
ほんと言うと、少しフクザツだけど。
そう言って、シンジはふっと苦笑いした。
好きなひと、シンジに好きなひと…。3年前のあの時と同じように、シンジに告げられた。
でも大丈夫。今のあたしはちゃんと笑える。


763 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 00:22:45 ID:???]
この状況で投下する厚顔振りがエライw

764 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 00:24:57 ID:???]
キター!支援



765 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/25(火) 00:28:35 ID:???]
それなのに日に日に弱っていって…最後には死んでしまった。
「猫にね、牛乳はあげちゃだめだったのよ。消化不良を起こして、下痢になっちゃうから」
ミルクを飲んだあと、子猫はいつも下痢をしていた。
「アントンは…きっと、脱水を起こして死んじゃったのね。あたしたちが毎日毎日、少しずつアントンを殺していたのよ」
シンジに慰められながら、あたしはわんわん泣いた。自分が殺してしまったことも知らないで。
「知らなかったんだから仕方ないよ、僕たち子どもだったんだから…」
知らないって残酷よね。
知らないことで相手を傷つけて、時には殺してしまう。
そこに例え、優しさや愛情があっても。





とりあえずいじょう。

すんません。はやく終わらせたくて。
>>524
男女間の友情はありえるのか?ってのは疑問でもあったり希望でもあったり。
いちお、モデルとなる友だちがおります。その子らは仲いいけど。
恋愛ってむつかしいね!



ちなみに、温室にいるフラミンゴは渡り鳥じゃないヤツだよ!

766 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/25(火) 00:29:46 ID:???]
「あんた、好きなひとが出来たんだ」
フラミンゴの前の柵に体をもたれかけて、あたしは笑った。心から歓迎するよに。
「ずっと…いるよ」
遠くを見つめて。
「だから、好きなひとに恋人がいる苦しみなら、よく分かる」
シンジの言葉に、あたしは小さく息をのんだ。
あたしと、一緒だ。
「あたしもよく分かるよ、シンジ」
シンジは瞳を伏せて、そっかと呟いた。


檻の中のトラは、さっきから左へ行ったり右へ行ったり。
あたしたちから視線は外さないで、こっちに顔を向けたまま何度も往復してる。
「変なの。これって警戒してるの?」
とあたしが聞くと、シンジは、
「歓迎してるのかもよ」
と返した。
あたしがあんまり美人だから、トラも嬉しがってるのね。
あたしがそう言ったら。シンジがいつも通り、自分で言うなよと返してくれる。
いいのよ。自分で言ったって。
自分の魅力を自覚しない人は、それだけ周りを不幸にするのよ。あんたみたいにさ。
「ねえシンジ、このトラ見てたら…あの子猫のこと思い出さない?」
「アントンのこと?」
幼いころにふたりで拾った、キジトラ模様の小さな子猫。
大人たちには内緒で、ふたりで育てようってあたしが言ったの。
大きなダンボールにその子を入れて、近所の廃材置き場に隠して。
学校の帰りいつも寄っては三人で遊んでた。
こっそり持って帰った給食のミルクをふたりであげて、
一生懸命ミルクを飲む子猫を見ながら、はやく大きくならないかなぁってふたりでわくわくしてた。
たくさんたくさんミルクを飲む子猫。
あんなに元気だったのに。あんなに可愛がってあげたのに。


767 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 00:31:08 ID:???]
>>765
何か数レス飛んでる気が...

768 名前:764 mailto:sage [2009/08/25(火) 00:32:51 ID:???]
すみません…ぬけてました…

>>762の次は>>766です

ほんとすみません…

あと、完結すると思ってたかたすみません…
クライマックスまだですすみません…

769 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 00:33:26 ID:???]
>>765
>>766
順番逆かな?

770 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 00:33:33 ID:???]
イタモノってその雰囲気だけが勝負なんだから、イタイ描写を織り交ぜないと見かけ倒れw

771 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 00:36:03 ID:???]
>>768
GJ!二人の微妙な距離感や心のすれ違いが切ない

772 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 00:44:48 ID:???]
キンモクセイきたか!相変わらずGJです

773 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 01:25:32 ID:???]
>>770
誰に言ってるんだか良く分からん

774 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 02:09:04 ID:???]
あぁぁキンモクセイさん常々GJ!
もうもどかしすぎるww



775 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの [2009/08/25(火) 03:09:20 ID:FTF+L7ej]
あ、投下するんだ
よかったよかった

776 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 03:38:32 ID:???]
キンモクセイきとるーーー!!
毎度GJすぎる!そして切なすぎる。
続き楽しみに待ってます!

777 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 15:19:00 ID:???]
gj!

ちょうど秋に差し掛かったいま、キンモクセイさんの文が余計に切なさを感じます!

アスカが報われれば良いなぁ。

778 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 17:19:50 ID:???]
やっぱこのスレはこうじゃなくちゃな。GJです

>>777
ウチはまだまだ夏真っ盛りだわw

779 名前:ふぅ。 mailto:sage [2009/08/25(火) 17:50:54 ID:???]
そんなことを考えてる間も、ヤツはすやすや寝てる。
なんだかばからしくなってきた。
「…早く寝よう」

「アスカー、シンジくーん!ほら起きて!!」
「ママ!」
「…おばさん?」
「もぉ〜、二人で仲良く寝てるもんだから起こしたくなかったけど…遅刻、しちゃうわよ?」
「そっかぁ。もう朝なんだね。そういやアスカもう大丈夫なの?」
「ぴんぴんしてる!けど一応熱計ってなかったら学校行く」
「アスカ、風邪ひいてたの!?なんでママに連絡しないのよ!」
「忙しいって言ってたんだもん。それに…昨日はシンジが来てくれたしね」
「もう、子供が親に変な気を使わなくていいのよ!
てっきり昨日は二人で…」
「もう!変なこと言わなくていいのよ!!」
「ふふ、照れなくてもいいじゃない。朝ご飯、作ったから食べてね。ほら、シンジくんも。」
「ち、違うわよ!!」
「あっはい…、ありがとうございます」

780 名前:ふぅ。 mailto:sage [2009/08/25(火) 17:52:30 ID:???]
「ママぁ、あたし牛乳やだぁ」
「だめだよアスカ、ちゃんと飲まないと身長伸びないよ。」
「あんたに言われたくないわよ!ちびのくせに!」
「…シンジくん、昨日はありがとうねぇ。
あんなこと言ってるけど、本当はアスカはシンジくん大好きなのよ。」
「そんなことないと思いますけど…」
「そうよ!ママ?いい加減なこと言わないで!
あたしはもぉーっとおっとこらしい人が好きなんだから!」
「あらぁ、こんなにアスカの面倒みてくれる人いないわよ〜。」
「違うわよ、あたしがシンジの面倒見てやってるんだから!」
「ほ、ほらぁ!早く学校行かないと…」
「あんた、教科書とか家じゃないの?」
「ちゃんと持ってきといた。ここに来る前に時間割とかも合わせといたし。」
「そっか。」

「じゃ、いってきまーす!」
「おばさん、ごちそうさまでした!」
「はいはーい、じゃ気をつけてねぇ〜」

781 名前:ふぅ。 mailto:sage [2009/08/25(火) 17:53:34 ID:???]
「はぁ〜…眠たい」
「昨日眠れなかったの?」
そうよ、あんたのせいよ。
「そりゃあ、シンジが隣で寝てるなんて気持ち悪くて寝れないわよぉ〜
ずっと寝言で「アスカ、アスカ…」って言ってるんですもの。」
「…えっ!?本当にそんなこと言ってた!?」
まさかコイツ、思い当たる夢でも見てたのかしら。
「今日さっそくヒカリとそれをネタにでもしようかしら!」
「ちょ、ちょっとやめてよアスカ!!」
「じゃあどんな夢見てたのか白状しなさい!」
「…いやだよ」
「なに!?じゃああんたが小学校三年生になってもおねしょしてたことも
みんなに言ってやるんだから!」
「そんなぁ…言っても蹴らないでよ?殴らないでよ?」
「…なに?」

「えーっと、たぶん、アスカがお嫁さんになった夢。」
「きもちわるーい!変なこと言ってないでさっさと行くわよバカシンジ!!」

782 名前:ふぅ。 mailto:sage [2009/08/25(火) 18:14:13 ID:???]
そう言って走ると、風が思いっきり髪をかきあげた。
にやついてんの、ばれちゃう。
でもこんな自分も嫌いじゃない。
夢、どんなだったんだろう。
幸せだったのかなぁ?
こうやって、ずっとあたしを追いかけて。
今はまだ、なにも言わなくていいから。

783 名前:ふぅ。 mailto:sage [2009/08/25(火) 18:19:42 ID:???]
とりあえず、塾行ってきます!
あと、関西出身です。
二学期制なんで始まるのちょっと早いんですよ。

読んでくれている方本当にありがとうございます!
では本当に行ってきます。

784 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 18:39:50 ID:???]
>>783
GJ!看病モノのほのぼのLASだね
会話の間に地の文をもうちょっと入れると描写がもっと深くなる気がする



785 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 18:48:17 ID:???]
>会話の間に地の文をもうちょっと入れると描写がもっと深くなる気がする

まあ、そうかもしれないけど、これはこういう作風なんでしょう。
今さら変えるのも変だろうし。
地の文ほとんど入らないのに名作ってことになってる作品だってあるわけで。
実際、3人以上の会話を会話文だけでつないでいくのって、けっこう技ですしね。
(まあ、技だからうまくいかないことももちろんあるでしょうけど、チャレンジしなけりゃうまくもならないですし。)

786 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 19:06:00 ID:???]
>とりあえず、塾行ってきます!
>あと、関西出身です。
>二学期制なんで始まるのちょっと早いんですよ。


これは書かなくてもいいだろ…どうして夏は誰も彼も聞いてもないのに(ry

787 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 19:20:04 ID:???]
GJです!2人とも可愛ええのぉ〜
ちなみにまだ続くんだよね?それか終わり?

788 名前:名無し [2009/08/25(火) 19:30:17 ID:ZLcU98An]
LAS大好きだけどアスカがシンジ君以外に抱かれるのは絶対に嫌!
絶対に嫌!
惣流アスカと碇シンジが幸せでありますように

789 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 19:47:23 ID:???]
あげんなよ

790 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 20:04:47 ID:???]
キンモクセイとふぅ。GJ!
あとは入れ替わりの投下待ちか・・・


791 名前:if mailto:sage [2009/08/25(火) 22:38:33 ID:???]
キンモクセイさん最高

792 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 22:46:39 ID:???]
お前は書き込んでる暇あったら35冊の小説さっさと全部読めよw

793 名前:if mailto:sage [2009/08/25(火) 23:00:09 ID:???]
+7冊

794 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 23:02:39 ID:???]
>>793
だったらなおさら読めよww



795 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 23:03:56 ID:???]
>>793
もうすぐ夏休み終わるんだし、早く宿題すませとけ

796 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 23:05:22 ID:???]
>>793
ワロタwww
なんでその面白い返し技がSSで出ないんだw

797 名前:if mailto:sage [2009/08/25(火) 23:07:49 ID:???]
すいません、ハートマン教官

798 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/25(火) 23:22:55 ID:???]
↑よ。どうでもいいがSSを投下しる!

799 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/26(水) 00:29:47 ID:???]
ifは「出来の悪い子程かわいい」の典型だなw

800 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/26(水) 00:38:37 ID:???]
ずっと軒亜って人とifが同一人物だと思ってたw

801 名前:674 mailto:sage [2009/08/26(水) 08:37:23 ID:???]
おはよう

軽くスレ独占状態ですみません
8月中に終わらせたくて、もうスピードだけでがりがり行ってます
プロット通りに進んでるのかよー分からん状態で…
たぶんもうすぐ終わります。



・異性系イタモノ注意
・異性絡みアリ!
・痛い?のかな?よーわからん





NGワード キンモクセイ

802 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/26(水) 08:38:24 ID:???]
「碇」と書かれた表札に描かれた天使の絵と2〜3秒ほどにらめっこしてから、あたしは息を吐いた。
開閉ボタンを押すと、シュッという空気音を立てて玄関の扉が開く。
「おーはよっ!シンジ、準備出来た?」
名前を呼んだ相手ではなくて、奥から出てきたのはおばさんだった。
これはいつも通り。
「おはよう、アスカちゃん」
「おはようございますおばさん。シンジ、起きてる?」
「いつもいつもごめんなさいねぇ…」
おほほ、と口元に手をかざしてすまなさそうに笑って。
「シンジ!早くしなさい!」
そう叫ぶおばさんも、いつも通り。
わかってるよ!、と奥からシンジの声とともにバタバタと足音が聞こえてくる。
10年以上続く、このあわただしい早朝。
変わらない光景に呆れるけれど、ほっとする。
「おはよう、アスカ」
「Guten Morgen!シンジ!はやく行こっ」

今日の朝は特に寒い。
一面に広がる灰色の雲が、太陽を隠してしまっていた。
同時に、冷えた空気の中に湿っぽさを感じる。
「今日、雨降るかなぁ」
シンジが空を仰いで呟いた。
「天気予報は午後から晴れるって、そう言ってたわ」
そう言いながらも、あたしも一応傘は持ってきていた。
あのお気に入りの赤い花柄の傘。
「テレビと天気予報だけは信じるなって、父さんが…。ま、いいか。傘はあるし」
ほら、と自分の自転車のハンドルにかけてある透明傘を指して、シンジが言った。
「傘さし運転は違法よ」


803 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/26(水) 08:39:47 ID:???]
「どうせ乗らないよ」
その言葉の通りで。
今だって自転車があるのに、シンジは乗っていない。
あたしが歩く隣で、自転車を引きながら一緒に歩いているだけだ。
たまのたまに、ふたり乗りで通学する日もあるけど。
もちろん、先生にバレないように校門の手前で降りるようにしてる。
「昨日、楽しかったわね」
動物園を出たあとに、時間が余ったからふたりでカラオケに行って、そのあとご飯を食べて。
あの女と会ってからは陰鬱な感情が尾を引いていたけど、そういう感情を誤魔化すのには慣れてる。
それに動物園自体はすごく新鮮で楽しかった。
シンジがずっと一緒だったってのもあるし、
生で動物を見るのがあんなに面白いなんて思わなかった。
動物園が初めてってわけじゃないけど、
前に行ったのはすごく幼い頃のことで…あまり覚えていないから。
あたしがまだドイツにいた頃に行った、ベルリンの動物園。
パパとつないだ手のひらの大きさだけが、記憶にかすかに残ってる。
「サルもいいけど、特にカピバラ!あたし、また見に行きたいわ」
あたしの言葉に、シンジが心底嬉しそうに微笑んだ。
「良かった。水族館にするかどっちか迷ったんだけど…あっ」
シンジがはっとして、口を押さえる。
迷った?
どういうこと?
「き、昨日のさっ。帰ってからテレビでやってた映画見た?
シュワルツェネッガー大統領の若い頃が出てるやつ。
燃え盛る白い別荘をバックに歩く、上半身裸のシュワちゃんがー…」
「シンジ?」
「…M60片手に次々と敵を蹴散らすシーンはいつ見ても―…」
「シンジ!誤魔化さないでよ!…迷ったってどういうこと?
新聞屋さんにもらったんじゃないの?」
黙り込むシンジ。
あたしがシンジの前に回り込んでじっと見つめると、目を泳がせる。


804 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/26(水) 08:40:33 ID:???]
「………」
「………」
しばらくして、観念したようにシンジが小さく口を開いた。
「…新聞屋のお兄さんが洗剤をくれたのは本当だよ」
「動物園のチケット、あんたが買ってくれたのね」
「………」
シンジがまた黙り込む。
「…どうしてウソついたの?」
あたしは責めてるつもりはかった。純粋に、疑問だった。
どうしてわざわざウソついて。
そんな必要ないじゃない。
それなのに、シンジは眉間にしわをよせて、むっと表情を強張らせて。
「別ににいいだろっ」
強く言い放って、自転車のサドルにまたがる。
「シンジ!待ちなさいよ!」
あたしを避けて、あたしの声も無視して、シンジは自転車をこぎだした。
「…なんなの」
みるみるうちに背中が遠くなっていく。
あたしは茫然と、その場に立ち尽くした。


学校に近づくにつれ、生徒の数は増していく。
登校する生徒たちの波の中で、あたしはひとり歩いていた。
いつもは気にならない周りの騒がしさも、この時ばかりは煩わしいものでしかない。
特に五月蝿い女の子たちの集団から距離を置いて、あたしは歩みを急がせた。
シンジはほんとうに先に行ってしまったんだろうか。
学校に着いてすぐに、自転車置き場を覗く。
そこに、シンジの紫の自転車を見つけた。
なんなのよ、ムカつく。勝手に怒ってあたしを置いて行っちゃってさ。
…問い詰めてやらなきゃ。




805 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/26(水) 08:41:52 ID:???]
「アスカ」
後ろからかけられた声は、あまり聞きたくない声だった。
一瞬ためらって、仕方なく振り返る。
また怒ったように眉を釣り上げて、目をギラギラさせたあいつがいた。
「昨日、なんで電話に出なかったんだ?」
「家に忘れてのよ。ずっと出かけてたから」
それは本当のこと。
家へ帰って着信履歴を見て、ウンザリしてかけ直さなかったのも本当のこと。
「ウソつけよ!」
「ウソじゃないわ」
「どうせまた、碇といたんだろ!碇がいるからオレを無視して…」
「そうよ、悪い?あたし、シンジの方が大事なの。
こないだのことなら、単なる気まぐれよ」
あんたなんか比べものにならないほどずっとずっとずっと、大事よ。
「でもね、友だちなの。シンジは。それが分からないなら、あんたとあたし」
別れましょ。
そう言い切る前にチャイムが鳴る。
「悪いけど、先行くから」
あたしを呼び止める男を無視して、あたしはその場から走り去った。
あいつはもうダメだ。
あたしを求めすぎてる。
こんな、つまらないあたしに執着しすぎてる。
あいつをこれ以上不幸にする前に…はやく別れてしまおう。


806 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/26(水) 08:42:40 ID:???]


「進路希望のプリント、今週中にちゃんと提出しておけよー。分かってるなー!」
教壇の前の担任の言葉で、あたしは白紙のままのプリントの存在を思い出した。
「お前ら2年の後半にさしかかってんだからな、ちゃんと真剣に考えろよ」
結局シンジは京都にしたんだろうか。
あれからシンジと進路の話はなにもしていない。
あれからずっと、ウソをついたままだ。
…あたしはドイツへ行かないってことも、ちゃんと伝えようと思う。
そのためにも、早くシンジと話をしなくちゃ。


2時限目の数学が終わったあと、あたしはシンジの姿を探しに教室を出た。
シンジが籍を置くクラスは、あたしの教室のふたつ隣にある。
朝の態度を問い詰めてやろうと意気込んで、あたしはシンジの教室へと乗り込んだ。
窓際の後ろの席で、男子生徒と談話するシンジの姿を見つける。
周りで起こる騒がしい男の声を無視して、あたしはシンジへつかつかと歩み寄った。
シンジもあたしの姿に気づいて、途端ばつの悪そうな顔をする。
「ちょっと来て」
シンジの腕を引っ張って、あたしたちは教室を出た。
そのままシンジを引きずるように廊下を歩いて、階段を上って、その先の屋上へ出る。
「…なんだよ」
あたしが腕を放すと、シンジがふてくされたように呟いた。
外はまだ曇っている。湿気を含んだ冷たさが、あたしたちを包み込む。
「朝のあんたの態度、あれなんなの?」
シンジの態度にむっとして、あたしはつい強い口調で言ってしまった。
「あたしを置いて、勝手に先に行っちゃって!」
「…それについては謝るさ」
「別に謝らなくていいわよ!あたしは、あんたがなんで怒ったのか、それが知りたい」
「アスカは別に知らなくていいよ」


807 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/26(水) 08:45:35 ID:???]
なによそれ!
あたしは叫んでいた。思いのほか大きな声が出てしまって、自分でも驚く。
「僕には僕の意地があるんだよ!」
今度はシンジが叫んでいた。
あたしを睨みつけて、こんな強い目をするシンジは初めてだった。
あたしは思わず息をのむ。
「…昨日言ってた、男の意地ってやつなの?」
あたしの問いに、シンジが首を横に振る。
「違うよ、僕の意地だ。ほんとうにつまらない、クソ食らえな意地だ!」
「シンジ…?」
「何度捨てようと思ったか!…そのたびに自分を戒めて、また意地を張って。
僕だって、このままでいられるならそれでいいと思ってたさ。
ずっとこの日が続くなら、それでいいと思ってたさ…。
…ありえないと分かってはいても…それを信じていたのに…
……でも、君があんなことを言うから…」
言葉を繋ぐたびに、シンジの声は掠れて小さくなっていって。

―…お願いだから、どこへも行かないでくれ……アスカ

最後の言葉は、あまりにも小さすぎてあたしには聞こえなかった。
ただ、シンジのその弱々しい姿に、シンジの本当の姿を垣間見た気がして…。
たまらなく愛しくて、あたしはそんなシンジを抱きしめたくて。
でも、出来なかった。そんな資格はあたしにはないから。
うなだれるシンジを、あたしは静かに見つめ続けていた。こみ上げる痛みに胸を押さえながら。
「…なんてね、別に最初から怒ってなんかないよ」
しばらくして、顔をあげたシンジがにやっと笑う。
「アスカ、もうそろそろ戻らなきゃやばいんじゃ?僕のクラスさ、次の授業英語なんだよ」
ただでさえ目付けられてんのにそのうえ遅刻したらマズいって!
さっきの弱々しい姿なんてかけらも見せないで、なんでもないよ、と笑って誤魔化してる。
あたしは、こんな風に笑う誰かを知っていた。それは、……あたし自身だ。

808 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/26(水) 08:46:39 ID:???]


放課後。静まり返った教室の中で、あたしはひとり窓の外を見ていた。
その不安定さが秋を象徴するように、午後の天気は雨へと変わっていた。
銀絹の糸のように、静かに滴り落ちる雨を見ると…シンジのチェロを思い出す。
柔らかで、穏やかで、そして悲しげな。
あんなに苦しそうに言葉を吐くシンジを見るのは初めてだった。
あたしの知ってるシンジは、バカで、でも優しくて、いつも明るく笑ってて。
あの女と別れたときだって、意外にもあっけらかんとしていて。
落ち込むシンジを慰めてやろうと目論んでいたあたしは、そんなシンジに拍子抜けした記憶がある。
…シンジは、何かに苦しんでる。
どうしてかは分からない、それが何かは分からない、でも、なぜか知るのが怖くて。
知ってしまうと、あたしたちが終わってしまうような予感がしたから。
ふと、ポケットの中でケータイが振動していたのに気付いた。
急いで取り出す。
…あいつからの着信だ。
画面を開いて、通話ボタンをすぐに押した。
ちゃんと話をして、別れよう。
「もしもし?」
そう決心して、あたしはケータイに耳を当てた。


あたしの声に、雰囲気に。
あいつも、あたしが何を言い出そうとしているのか察したんだろう。
あいつは何も言わず、あたしたちの間には重苦しい空気が流れて。
まだ学校にいたあいつに呼び出されて、
あたしたちは屋上へ出る扉の手前で向かい合って立っていた。
外には雨が降っているから出られない。
扉の前は6畳ぐらいのスペースになっていて、
モップやバケツなどごちゃごちゃと色んなものが倉庫のように置かれている。
そこに置ききれないものは、階段の方まであふれていた。

809 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/26(水) 08:47:27 ID:???]
ホコリと湿気の混じり合った嫌な臭いがする。
沈黙と、臭いと、目の前の男に、あたしはため息をついた。
屋上側の壁にもたれながら、静かに話を切り出す。
「…あたしたち、別れましょ」
「なんでだよ!!!」
叫ぶあいつの姿を、あたしは冷めた目で見る。
ダメなのよ、もうあんた。
「あんた…あたしを求めすぎたのよ。最初から分かってたでしょ?
あたしはただのダッチワイフ。キスもいい。セックスもいい。
けど、それ以上求めたって何も返ってこないって」
あたしがあんたと付き合ったのは、あんたがそれを理解していると思ったから。
体だけの関係に満足する男だと思ったから。
「あたしも、あんたを利用してるだけなのよ…サイテーよ、こんな女」
「それでもいい、俺、お前が好きなんだ」
だめ。
そんな関係フェアじゃないわ。いくら想ってくれたって、あたしはあんたを絶対好きにはならないのよ。
何も与えることなんで出来ないのよ。
「ばっかじゃないの?
…あたしはあんたなんか、これっぽっちも好きじゃない!
ただの飾りよ、マスコットよ!」
あいつの目が、あたしを睨むように見据える。
「…碇だろ。お前…碇が好きだからっ」
「そうよ」
あたしが肯定したことに、さらに視線をキツくして。
「好きで好きでたまらないわ!ずっと前から大好きよ!本当はあんたじゃなっ」
最後まで言い終える前に、
伸びてきた腕に肩を捕まれて無理やり唇を重ねられた。肉と肉のぶつかり合うだけのキス。

けどね、あんたと別れるのに…シンジは関係ないわ。
ただのあたしの都合よ。


810 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/26(水) 08:48:18 ID:???]
あたしは目を開いたまま、目の前にある男の顔を見つめる。
焦りに汗を浮かべながら目を瞑る男の顔は、とても滑稽に映った。
やっと唇を離した男に、あたしは冷たくこう言い放つ。
「これで満足した?もう終わりにしましょ」
「っ…!!」
逆上した男があたしの腕をひねりあげて、そのままあたしを壁に押し付ける。
ぐぅっと、痛みに声が出た。
あたしの首筋を舐めながら、スカートを捲り上げて太ももが露わになる。
下着の中に侵入してきた男のゴツゴツした指が、あたしの中心を弄ぶ。
太ももに男の固くなりつつあるモノを感じながら、どこか醒めていた。
あたしは人事のように今の自分を状況を見て、
これって、犯されるって言うのかなあ、なんて暢気に考えた。
「…っ…あっ…ん…」
体は正直なもので、心は別にあっても悦を感じて少し反応したらしく、息が漏れる。
かちゃかちゃとベルトを外す音が響いた。

ガタッ

下から物音が聞こえて、はっとした。
階段のところで、よく見知った黒い瞳と視線がぶつかって。
とても綺麗で、大きくて、少しタレ目がちの。あたしが大好きなひとの瞳。

――シンジ!!

「うおっ」
あたしに絡みつく男の股間を蹴って、肩を突き飛ばした。
呆然とあたしを見やるシンジの横をすり抜けて、あたしは走った。
後ろで、モップやバケツが倒れて大きな音をたてた。誰かがあたしを呼ぶ声がする。
そんなのおかまいなしに、あたしは走った。


811 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/26(水) 08:58:15 ID:???]

呆然とあたしを見る、見開かれた黒い瞳。
その瞳の中に、愉悦に喘ぐあたしの姿が、はっきりと映っていた。
シンジに見られた。見られてしまった。
女としてのあたしを、汚れたあたしを、あんな形で見られた。ずっと隠してきたのに!
その事実が頭の中をぐるぐると駆け巡って、あたしを締め上げる。
一番シンジに見られたくなかった姿、そして、一番シンジにさらけ出したかった姿。
あたしは怖かった。
これをきっかけに、何かが変わるんじゃないかって。
そしてそれはあたしにとって、終わりへの始まりでもあったから。







とりあえず以上です
まだありますけど、規制されてるのですみません
ほんと長くて申し訳ないです

812 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/26(水) 09:06:13 ID:???]
GJ

続き気になる

813 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2009/08/26(水) 09:21:36 ID:???]
GJっす!
あとどれぐらい?

814 名前:674 mailto:sage [2009/08/26(水) 09:31:33 ID:???]
書き込めるかな?

>>813
ラストまではまだ書いてないです。
プロットは出来てんだけど、どうにも脱線しがちで。


あんま関係ないけどシンジがツンデレ気味だったのは、
本当に好きな相手にはちょっとツンデレしちゃう本編シンジから。(→父さん)

じゃ、さっきの続きいきます

NGワード キンモクセイ




815 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/26(水) 09:32:17 ID:???]
朝の太陽のまぶしさも、ひんやりと落ち着いた空気も、テレビの中で元気に喋るアナウンサーの声も。
すべてがあたしを憂鬱にさせる。
新しい一日が始まったからって、すべてがリセットされるわけじゃない。
昨日のことを思い出して、あたしのさらに憂鬱になった。
あの後すぐに、あたしはひとりで家に帰ってすぐに熱いシャワーを浴びた。
汚いあたしを洗い流して、シンジに見られたという事実を、すべてを無かったことにしたくて。
普段ならそれで気分が晴れて、いつものあたしが取り戻せるはずなのに。
…都合よくいかないものね、ほんと。
その後、夕飯も食べないでずっと部屋に篭って、毛布に包まっていた。
ママがいなくて良かったと思う。
今週はずっと研究所に詰めっぱなしで家には帰ってこないから。
ケータイの画面を開いて、ママにおはようのメールを送信する。
ごめんなさい、ママ。
あたし今日、学校をサボるわ。
ケータイの履歴には、あいつの名前もシンジの名前も無かった。


昨日の雨がウソみたいに、窓から見える空は澄んでいて。
あたしが知ってる空の中では一番の高さだった。
やることもなく毛布にくるまりながらソファに寝そべって、ぼんやりと見知った天井を見つめる。
どうやってシンジに言い訳しよう、
どう誤魔化そうといくら考えても、何も思い浮かばなくて。
むしろ考えれば考えるほどに、
それが鎖のようにあたしを絡めこんで、深い海の底へ沈めようとする。
毛布を頭まで被って丸まって、あたしは目をつぶった。
まるで貝みたい。
深海に沈む貝ね。
クラゲの次は貝だなんて、まるでありきたりでセンスもない。馬鹿みたい。
あたしは自分で自分を鼻で笑った。


816 名前:キンモクセイ mailto:sage [2009/08/26(水) 09:33:13 ID:???]


玄関の扉が開く音がして、あたしは慌てて飛び起きる。
…人の気配がする。
まさかママかしら、
と思って壁の時計を見たけれど、針はまだ午後の1時半すぎを指していた。
あたしは毛布を頭から被ったままで、玄関へと続く廊下をおそるおそる覗きにいく。
「アスカ、いるの?」
柔らかい声。優しい声。…シンジの声だ。
いつもならまっさきに飛びつく声でも、その時ばかりはびくりと体を震わせて、あたしは立ち止まった。
なぜシンジが、あたしの家の鍵を。
「…いるよね?」
息を殺す。
それでも布の擦れる音や息遣いが消えることはなくて。
「おじゃまします」
シンジが靴を脱いで廊下を歩いてくる音が聞こえてくる。
あたしはあせった。
どうしよう、まだなにも言い訳なんか考えてない。
とりあえず、その場から逃げようとして。

ゴンッ

「痛っ!」
毛布の裾を踏んづけて、おでこと鼻を床にぶつけていた。
後ろで、くくく…と笑う声がする。
「笑うな!不法侵入者!」
あたしは床に屈んだまま、シンジをキッと睨みつけた。







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