- 875 名前:>>870の続き [2010/01/08(金) 20:24:19 ID:33D/ns2c]
- 上の話で蘭丸側のオチ
蘭丸と濃姫の親子話 相変わらずの調子ですが、ちょっとシリアス気味。 「蘭丸君、蘭丸君?」 「お呼びですか、濃姫様?」 いつきと別れた蘭丸は濃姫の元へ直行した。 「ああ、良かった。あなたには退屈だろうから、いなくなってしまったのかと思ったわ。」 濃姫は蘭丸の顔を見て安堵する。 「そんなことございません。」 実際はそうだったのだが、蘭丸はあえてそれを口にしなかった。 「しかし濃姫様。貴方様が直接来られなくても、他の者にさせては…」 「大丈夫よ。」 蘭丸の言葉を濃姫は遮る。 「私がいなくなっても、悲しむ人はいないから…。」 優しく、何処か自嘲気味に濃姫は微笑んだ。 蘭丸はその表情を見て不安になり、濃姫の着物の袖をつかんだ。 「そんなことございません!!濃姫様が居なくなられたら、蘭丸は寂しゅうございます!!どうか、そのようなこと仰らないでください!」 濃姫が一瞬、儚く消えてしまいそうに見えた蘭丸は、泣きそうになりながら必死に叫ぶ。 濃姫はその言葉にはっとし、蘭丸の頭をなでる。 「大丈夫よ。私は、ここにいるもの…」 そう言って蘭丸を優しく包み込む。 蘭丸はその温もりに包まれながら、先程いつきと自分の間で交わされた会話を思い返す。 確かに自分は、自身の主である信長の全てに憧れている。 しかしいつきとの会話は、その憧れとは正反対の物だった。 自分が何を目指すのか一瞬不安になった蘭丸は、濃姫にしがみ付く。 濃姫はそれをしっかりと受け止めていた。 今、目の前にいるこの人は、何を思って信長様について行くのだろうか…。 漠然とした疑問を胸に秘めながら、蘭丸は静かに目を閉じた。
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